説明

タブレット状食品及びタブレット状食品の製造方法

【課題】栄養価の高い豆乳粉を多く含み、しかも、成型の際に油分の染み出しがなく、キャッピングが生じず、製品として必要な硬度を有する、タブレット状食品を提供すること。
【解決手段】本発明のタブレット状食品の製造方法は、大豆を原料として0〜70℃の温度で抽出された豆乳を乾燥させることにより豆乳粉を得る工程と、前記豆乳粉を14メッシュパス(目開き1.18mm)95%以上の顆粒に造粒する工程と、前記顆粒をタブレット状に成型する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆乳粉が配合されているタブレット状食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
豆乳は、蛋白質、脂質、炭水化物が多いので栄養価が高く、また、不溶性食物繊維(いわゆる、おから)が少ないのでざらつき感のない良好な食感を有する。このように、豆乳は、栄養学的に優れているだけでなく、食感も良いという利点を有していることから、近年、様々な食品の素材として利用範囲が拡大している。中でも、豆乳を乾燥、粉砕することで得られる豆乳粉は、粉末状態であることから、さらに利用価値が高いといえる。
【0003】
しかしながら、豆乳粉を多く配合した食品の中には、タブレット状に成型されたものは見られない。この理由としては、豆乳には可溶性の食物繊維が少なく、油分を多く含むので、(1)その粉末や顆粒は流動性が悪く、成型加工が難しい、(2)成型の際に油が染み出す、(3)キャッピングが生じる、(4)硬度が出難い、といったことが挙げられる。
【0004】
これに対して、大豆粉を成型したものは従来から知られている。例えば、特許文献1には、大豆粉を打錠機で成型した粒状食品が開示されている。全脂大豆粉の場合、油分は多いものの不溶性食物繊維が多いので、打錠機での成型は、豆乳粉より困難ではない。また、脱脂大豆粉の場合、不溶性食物繊維が多く、且つ油分が少ないので、全脂大豆粉よりも困難ではない。
【0005】
しかしながら、大豆粉を多く配合した食品は、不溶性食物繊維が多いので食した際にざらつきを感じる。特に、脱脂大豆粉は、油分をほとんど含まないので風味が悪く、且つ栄養学的にも劣ることから食品の素材としては適さない。
【特許文献1】特開2001−120223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、栄養価の高い豆乳粉を多く含み、しかも、成型の際に油分の染み出しがなく、キャッピングが生じず、製品として必要な硬度を有する、タブレット状食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねた。その結果、ある条件で豆乳を抽出、乾燥、粉砕等した豆乳粉は、流動性が良く、且つかかる豆乳粉を多量に配合して成型したタブレット状食品は、高い硬度を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
本発明のタブレット状食品は、豆乳粉が60質量%以上配合されていることを特徴とする。本発明のタブレット状食品では、豆乳粉は、油脂を12〜30質量%含有することが好ましく、賦形剤としてソルビトールが配合されていることが好ましい。さらに、本発明のタブレット状食品に配合されている豆乳粉は、大豆を原料として0℃〜70℃の温度で抽出された豆乳を乾燥させることにより得られることが好ましい。
【0010】
本発明のタブレット状食品の製造方法は、大豆を原料として、0℃〜70℃の温度で抽出された豆乳を乾燥させることにより豆乳粉を得る工程と、前記豆乳粉を14メッシュパス(目開き1.18mm)95%以上の顆粒に造粒する工程と、前記顆粒をタブレット状に成型する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、豆乳粉を多く配合しても、タブレット状に成型する際に、油分の染み出しによるキャッピングがなく、製品として必要な硬度を有する、タブレット状食品を提供することができる。かかるタブレット状食品は、大豆を原料とする豆乳粉が多く配合されているので、栄養学的に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本明細書において、全脂大豆粉とは、不溶性食物繊維と油分とを含む大豆粉をいい、脱脂大豆粉とは、不溶性食物繊維を含むが油分を含まない大豆粉をいう。また、豆乳粉とは、大豆を原料とし、油分を含むが不溶性食物繊維を含まない豆乳粉をいう。
【0013】
本発明のタブレット状食品は、豆乳粉が高配合されていることを特徴とする。本発明のタブレット状食品では、かかる食品の栄養的価値を高め、且つ風味を良好にするために、豆乳粉を原料とする。いわゆる全脂大豆粉や脱脂大豆粉を原料とはしない。豆乳粉が高配合されている本発明のタブレット状食品は、大豆を原料とするので栄養価が高く、また、油分を含むので風味が良い。さらに、不溶性食物繊維をほとんど含まないので食感も良い。
【0014】
[大豆]
本発明では、大豆は、市場に流通しているものを用いることができる。例えば、エンレイ、リュウホウ、トヨホマレ、ミヤギシロメ等の国産大豆、及びIOM等の外国産大豆のいずれも用いることができ、遺伝子組み換えであるか、非遺伝子組み換えであるかも問わない。青大豆、黒大豆、青豆等を用いてもよく、また、大豆の未熟種子である枝豆を用いてもよい。
【0015】
本発明の豆乳粉は、大豆から抽出した豆乳を乾燥粉末化することで得られる。
[豆乳の製造方法]
本発明では、大豆から豆乳を抽出する。豆乳を抽出する方法としては、高温抽出方法A(高温加熱搾り)、高温抽出方法B(高温炊き搾り)、低温抽出方法(炊き搾り)、生搾りが挙げられる。高温抽出方法(A)とは、大豆を蒸煮し、粉砕抽出し、不溶性物質を分離除去、加熱殺菌によって溶液を得る方法をいう。高温抽出方法(B)とは、大豆に吸水させ、粉砕抽出し、蒸煮し、不溶解性物質を分離除去、加熱殺菌によって溶液を得る方法をいう。低温抽出方法とは、大豆に吸水させ、粉砕低温抽出し、不溶性物質を分離除去、加熱殺菌によって溶液を得る方法をいう。生搾りとは、大豆に吸水させ、粉砕抽出し、不溶性物質を分離除去、加熱殺菌によって溶液を得る方法をいう。
【0016】
<蒸煮>
蒸煮とは、70℃を超える温度の水で大豆を加熱することをいう。本発明における高温抽出方法(A)及び(B)では、かかる工程が含まれる。
【0017】
<吸水>
吸水は、大豆を軟らかくし、次の粉砕工程を容易にするために行う。給水方法は、特に限定されず、常法により適宜調整して行うことができる。浸漬に用いる水としては、水道水、地下水等、特に限定されないが、豆乳に含まれる大豆タンパク質の沈殿を防ぐという点において、軟水等の金属イオンを少量しか含まない水を用いることが好ましい。
【0018】
<粉砕抽出>
粉砕抽出は、混合液状にできる方法であれば、特に限定されず、常法により適宜調整して行うことができる。粉砕抽出に用いられる粉砕装置は、特に限定されるものではなく、例えば、ミキサー、石臼等を用いてもよい。粉砕装置に投入する水は、水道水、地下水等、特に限定されないが、豆乳に含まれる大豆タンパク質の沈殿を防ぐという点において、軟水等の金属イオンを少量しか含まない水を用いることが好ましい。
【0019】
本発明では、豆乳を0〜70℃の温度で抽出することを特徴とし、30〜60℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。なお、水の温度が70℃に近い場合には、短時間での抽出が好ましい。0〜70℃で抽出する方法としては、例えば、上述の低温抽出方法、生搾り等が挙げられる。0〜70℃で抽出した豆乳を乾燥粉末化した豆乳粉は、流動性に優れ、且つタブレット状に成型した場合に高い硬度が得られる。しかし、上述の高温抽出方法(A)及び(B)のように70℃を超える温度で抽出した豆乳を粉末乾燥化した豆乳粉は、流動性が良くない。そのため、打錠機の原料ホッパーから臼へ供給する際に豆乳粉が滞り、充填量のバラツキが大きくなるので、重量の安定した製品を得ることができない。したがって、効率良く量産することができない。
【0020】
<分離除去>
分離除去とは、除去装置(又は分離装置)により、大豆の粉砕物と水との混合液から不溶性成分(例えば、おから)を除去することをいう。除去装置(又は分離装置)としては、例えば、スクリュープレス、スクリューデカンターが挙げられる。
【0021】
<加熱殺菌>
加熱殺菌は、微生物の殺菌又は滅菌、酵素の失活のために行う。方法は、特に限定されず、例えば「低温長時間殺菌法」(62〜65℃で30分間加熱)、「高温短時間殺菌法」(72〜75℃で15〜16秒間加熱)、「超高温瞬間殺菌法」(120〜130℃で2秒間加熱)、「超高温瞬間滅菌法」(140〜150℃で1〜2秒間加熱)によって行ってもよい。「超高温瞬間滅菌法」には、配管中を流れる製品に加圧された蒸気を吹き込み、製品を瞬間的に滅菌温度まで加熱する「インジェクション方式」と、加圧された飽和蒸気で満たされた加熱容器の中へ、製品を適当な分散になるように吹き込んで瞬間的に滅菌温度まで加熱する「インフュージョン方式」とがある。
【0022】
なお、本発明では、豆乳はJAS規格に限定されるものではなく、大豆を原料として豆乳状にしたものをすべていう。例えば、おからを除去しないものや、大豆を乾燥させて一度粉末にした後にその粉を水に溶かしたものも含まれる。また、大豆固形分の含有量も問わない。
【0023】
[豆乳粉の製造方法]
本発明では、豆乳を乾燥粉末化することで豆乳粉を得る。豆乳を乾燥粉末化する方法は、液状の豆乳を乾燥粉末化できるものであれば、特に限定されず、例えば、スプレードライヤーやヴァキュームドラムドライヤーを用いて行ってもよい。また、本発明では、乾燥粉末化した豆乳粉は、14メッシュパス(目開き1.18mm)95%以上の顆粒に造粒する。造粒化しない粉末の状態であっても、本発明のタブレット状食品に用いることはできるが、豆乳粉の静電気を抑制し、流動性をさらに向上させるためには造粒することが好ましい。かかる粒径の均一な顆粒に造粒することで、豆乳粉の静電気が抑えられて流動性が向上する。流動性が向上すると、打錠機の原料ホッパーから臼へ滞ることなく供給することができるので、臼への充填量のバラツキが少なくなり、重量の安定した製品を得ることができる。ここで、造粒化とは、造粒機を用いて粒子を形成させることをいう。造粒する方法は、豆乳粉を造粒できるものであれば、特に限定されず、例えば、流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法等が挙げられる。
【0024】
本発明では、豆乳粉を安息角45度以下になるように造粒することで、高い流動性が得られる。ここで、安息角とは、粉体層を形成させた際の斜面と水平面をなす角のことであり、測定方法は特に限定されない。例えば、ロート等を介して粉体を落下させ、山型に層を形成した斜面と水平面とがなす角を測定する方法、専用機器を用いて測定する方法等が挙げられる。また、本発明では、豆乳粉の造粒にバインダーを用いてもよく、バインダーとしては、例えば、水又は水にα化澱粉を少量(造粒品における固形含有率1%以下)添加したものが挙げられる。さらに、豆乳粉を打錠時に用いる賦形剤とともに造粒してもよい。
【0025】
本発明のタブレット状食品は、豆乳粉が60質量%以上配合されていることを特徴とする。本発明のタブレット状食品は、栄養価の高い豆乳粉が60質量%以上配合されているので、栄養学的に優れており、豆乳粉を用いているので60質量%以上配合されていてもざらつき感のない良好な食感を有する。なお、豆乳粉は、60質量%以上配合されていれば特に限定されるものではなく、目的とする用途に応じて適宜調整することができる。好ましくは60〜98質量%、より好ましくは70〜95質量%である。
【0026】
本発明のタブレット状食品では、豆乳粉に含まれる油脂は、12〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜30質量%である。油脂を12〜30質量%含む豆乳粉は、栄養価が高く、風味も良く、且つタブレットの成型が問題なく行える。
【0027】
[成型方法]
本発明の食品は、打錠機を用いてタブレット状に成型する。打錠機は、適正硬度が得られるものであれば、特に限定されず、例えば、単発打錠機、ロータリー打錠機等が挙げられる。豆乳粉等の原料を打錠機のホッパーから臼に一定量充填し、上下のピストンで臼内の原料を圧縮し、ピストンの運動によって臼から排出させる。
【0028】
本発明のタブレット状食品では、豆乳粉に圧縮形成に必要な性質、すなわち打錠機の臼に定量的に流し込むための流動性と、十分な硬度を得るための結合性とを付与するために、賦形剤を配合する。賦形剤としては、例えばソルビトール、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシ澱粉等が挙げられるが、中でもソルビトールが、豆乳粉に高い流動性と結合性とを付与できる点において好ましい。ソルビトールの配合量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜調整することができるが、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。かかる配合量では、本発明のタブレット状食品の保形性が良い。なお、打錠の際には、賦形剤だけでなく、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を配合してもよい。その他、本発明のタブレット状食品には、通常の食品に添加する食品添加物、例えば、甘味料、調味料、栄養強化剤、酸化防止剤等を各々の使用基準や目的に応じて配合することができる。
【0029】
[タブレット状食品]
本発明では、タブレット状食品とは、タブレットの形状に成型された食品をいい、成型工程を伴わない顆粒状の食品を含まない。タブレットの形状は、特に限定されないが、例えば、上面視略円形の略円柱が挙げられる。なお、本発明では、図1に示すような、円柱の上面部と底面部とに側面視緩やかな円弧状とする凸曲面状に膨出させた膨出部10を有する形状であることが好ましい。かかる形状は、膨出部10を有しない扁平な形状に比して、上面部と底面部との表面積が大きくなるので成型性が向上すると考えられる。
【0030】
タブレット状食品に必要とされる硬度は、輸送に耐えうるのであれば、特に制限されず、包装形態、梱包方法等によりその値は変動する。例えば、複数個のタブレット状食品が互いに接触するような包装形態では、硬度は5kg以上が好ましく、PTP(Press Through Package)であれば、4kg以上が好ましい。
【0031】
タブレット状食品の大きさは、特に限定されないが、好ましくは、直径dが9〜25mm、高さhが3〜10mmであり、さらに好ましくは、直径dが13〜20mm、高さhが5〜8mmである。このような大きさにすると、摂食の際にそのまま飲み込むことがなく、咀嚼することが必要となるので、自然と豆乳の風味を味わう食し方ができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0033】
<製造例1>:高温抽出による豆乳の製造方法
脱皮した市販の乾燥大豆(品種:ツルムスメ)470kgを水4000Lに入れた後、100℃に加熱しながら磨砕し、十分に撹拌抽出した。その後、遠心分離機(HS−405LS:石川島播磨重工業(株)製)により豆乳部とおから部とに分離した。得られた豆乳部を145℃で5秒間加熱殺菌後、5℃に冷却し、豆乳を得た。
【0034】
<製造例2>:低温抽出による豆乳の製造方法
市販の乾燥大豆(品種:ツルムスメ)470kgを12℃の水4000Lに15時間浸漬させた後、水切りをして、浸漬大豆1000kgを得た。次に、得られた浸漬大豆1000kgに対し、2000Lの水を加えながら磨砕した。磨砕後、50℃に加熱しながら十分に撹拌抽出し、遠心分離機(HS−405LS:石川島播磨重工業(株)製)により、豆乳部とおから部とに分離した。得られた豆乳部を145℃で5秒分間加熱殺菌後、5℃に冷却し、豆乳を得た。
【0035】
<製造例3>:豆乳顆粒
豆乳を真空ドラムドライヤー(中央化工機(株)製)で乾燥させ、その乾燥物を粉砕し、豆乳粉を得た。次いで、得られた豆乳粉と製造後の顆粒における濃度が1%以下となる量のα化デンプン(マツノリンSM−32:松谷化学工業(株)製)とを、造粒機(フロイント産業(株)製)にかけ、得られた顆粒を篩(14メッシュパス)とマグネット(8500ガウス)に通し、豆乳顆粒を得た。
【0036】
<製造例4>:タブレット状食品A
製造例3の方法にて得られた豆乳顆粒100kgを打錠機のホッパーに充填し、臼に供給後、打錠圧3〜4トン、打錠速度17rpmにて、上面部と底面部とに、側面視緩やかな円弧状とする凸曲面状に膨出させた膨出部を有する円柱の形状に成型した(図1参照)。成型物の大きさの条件は、直径15mm、厚さ6.5mmとした。
【0037】
<製造例5>:タブレット状食品B
製造例3の方法にて得られた豆乳顆粒100kgを打錠機のホッパーに充填し、臼に供給後、打錠圧3〜4トン、打錠速度17rpmにて、上面部と底面部とが扁平な円柱の形状に成型した。成型物の大きさの条件は、直径18mm、厚さ4mmとした。
【0038】
<評価方法1>:豆乳粉の流動性評価
豆乳粉の流動性評価は、かかる豆乳粉を配合して製造したタブレット状食品の総重量のバラツキ(最大値と最小値との差)を測定することにより行った。豆乳粉の流動性が良好であると、豆乳粉が打錠機の原料供給ホッパーから臼中に滞りなく供給されるので、臼への充填量に差が生じず、総重量の最大値と最小値との差は小さくなる。評価には、10個のタブレット状食品を用いた。
【0039】
<評価方法2>:硬度の評価
硬度の評価は、粉・粉体特性測定器(筒井理化学機器(株)製)を用い、10個のタブレット状食品について、縦方向からの硬度を測定し、その平均値を求めることにより行った。
【0040】
[豆乳の製造方法の検討1]
<比較例1>高温抽出
製造例1に従って製造した豆乳を乾燥粉砕し、豆乳粉を得た(製造例3)。そして、得られた豆乳粉を造粒し、豆乳顆粒を得た(製造例3)。この豆乳顆粒を用いて、タブレット状食品Aを製造した(製造例4)。配合表を表1に示す。
豆乳粉については、流動性を評価した(評価方法1)。タブレット状食品については、硬度を評価した(評価方法2)。評価結果を表2に示す。
【0041】
<実施例1>低温抽出
製造例2に従って製造した豆乳を乾燥粉砕し、豆乳粉を得た(製造例3)。そして、得られた豆乳粉を造粒し、豆乳顆粒を得た(製造例3)。この豆乳顆粒を用いて、タブレット状食品Aを製造した(製造例4)。配合表を表1に示す。
豆乳粉については、流動性を評価した(評価方法1)。タブレット状食品については、硬度を評価した(評価方法2)。評価結果を表2に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
表2に示すように、低温抽出した豆乳から得られた豆乳粉(実施例1)は、流動性が良く、また、成型した食品は高い硬度を示した。これに対して、高温抽出した豆乳から得られた豆乳粉(比較例1)は、流動性が悪く、打錠機の原料ホッパーから臼への供給の途中で滞ったため、成型には至らなかった。このことから、豆乳粉をタブレット状に成型するためには、低温抽出が有効であることがわかった。
[豆乳の製造方法の検討2]
<比較例2>高温抽出
製造例1に従って製造した豆乳を乾燥粉砕し、豆乳粉を得た(製造例3)。そして、得られた豆乳粉を造粒し、豆乳顆粒を得た(製造例3)。この豆乳顆粒を用いて、タブレット状食品Aを製造した(製造例4)。配合表を表3に示す。
豆乳粉については、流動性を評価した(評価方法1)。タブレット状食品については、硬度を評価した(評価方法2)。評価結果を表4に示す。
【0045】
<実施例2>低温抽出
製造例2に従って製造した豆乳を乾燥粉砕し、豆乳粉を得た(製造例3)。そして、得られた豆乳粉を造粒し、豆乳顆粒を得た(製造例3)。この豆乳顆粒を用いて、タブレット状食品Aを製造した(製造例4)。配合表を表3に示す。
豆乳粉については、流動性を評価した(評価方法1)。タブレット状食品については、硬度を評価した(評価方法2)。評価結果を表4に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
表4に示すように、低温抽出では、豆乳粉の配合量を60.0質量%(実施例1)から71.0質量%(実施例2)に増加させても、実施例1と同様の高い硬度を示した。これに対して、高温抽出では比較例1と同様に、成型には至らなかった。
【0049】
[配合処方の検討]
<実施例3>
製造例2に従って製造した豆乳を乾燥粉末化し、豆乳粉を得た(製造例3)。そして、得られた豆乳粉を造粒し、豆乳顆粒を得た(製造例3)。この豆乳顆粒を用いて、タブレット状食品Aを製造した(製造例4)。配合表を表5に示す。
豆乳粉については、流動性を評価した(評価方法1)。タブレット状食品については、硬度を評価した(評価方法2)。評価結果を表6に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
【表6】

【0052】
表6に示すとおり、賦形剤としてソルビトールを用いた(実施例3)ところ、トレハロースとエリスリトールとを用いた場合(実施例2)に比して流動性が向上した。また、硬度も向上した。このことから、低温抽出した豆乳から得られた豆乳粉をタブレット状に成型するためには、糖質の賦形剤として、ソルビトールがより好ましいことがわかった。
【0053】
[形状の検討]
<実施例4>
製造例2に従って製造した豆乳を乾燥粉末化し、豆乳粉を得た(製造例3)。そして、得られた豆乳粉を造粒し、豆乳顆粒を得た(製造例3)。この豆乳顆粒を用いて、タブレット状食品B(形状:上面部と底面部とが扁平な円柱)を製造した(製造例5)。原材料の配合は、実施例3と同様とした。
豆乳粉については、流動性を評価した(評価方法1)。タブレット状食品については、硬度を評価した(評価方法2)。評価結果を表7に示す。
【0054】
【表7】

【0055】
表7に示すとおり、実施例3(形状:上面部と底面部とに、側面視緩やかな円弧状とする凸曲面状に膨出させた膨出部を有する円柱)は、実施例4(形状:上面部と底面部とが扁平な円柱)に比して高い硬度を示した。このことから、実施例3のような形状に成型することは、豆乳粉を多く配合したタブレットの硬度を向上させる上で有効な手段であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明品の実施形態を示す斜視図(A)及び側面図(B)である。
【符号の説明】
【0057】
10 膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳粉が60質量%以上配合されているタブレット状食品。
【請求項2】
前記豆乳粉は、油脂を12〜30質量%含有する請求項1記載のタブレット状食品。
【請求項3】
賦形剤としてソルビトールが配合されている請求項1又は2記載のタブレット状食品。
【請求項4】
前記豆乳粉は、大豆を原料として0〜70℃の温度で抽出された豆乳を乾燥させることにより得られる請求項1から3いずれか記載のタブレット状食品。
【請求項5】
大豆を原料として、0〜70℃の温度で抽出された豆乳を乾燥させることにより豆乳粉を得る工程と、前記豆乳粉を14メッシュパス(目開き1.18mm)95%以上の顆粒に造粒する工程と、前記顆粒をタブレット状に成型する工程と、を有するタブレット状食品の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−4857(P2010−4857A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171676(P2008−171676)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】