説明

タンパク尿、糸球体硬化、及び腎不全の治療に有用な5−β,14−β−アンドロスタン誘導体

タンパク尿、糸球体硬化、又は腎不全の予防及び/又は治療のための医薬を製造するための、式(I)[各記号は明細書中に記載の意味を有する]の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛋白尿、糸球体硬化、及び腎不全の予防及び/又は治療のための医薬の製造のための有用な薬剤としての、17−β−(3−フリル)及び(4−ピリダジニル)−5−β,14−β−アンドロスタン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク尿なる用語は、タンパク質及び尿に由来し、尿中の過剰な血清タンパク質の存在を意味する。タンパク尿は腎(腎臓)損傷の兆候である可能性がある。血清タンパク質は容易に尿から再吸収されるため、過剰なタンパク質の存在は、吸収が不十分であるか又は濾過に障害があることのいずれかを示す。
【0003】
タンパク尿は、以下の疾患:
ネフローゼ症候群(すなわち、腎実質性腎不全);腎臓の中毒性病変;膠原血管病(例えば、全身性エリテマトーデス);糸球体疾患、例えば、膜性糸球体腎炎、巣状分節状糸球体腎炎;激しい運動;ストレス;糖尿病;薬物(例えば、NSAID、ニコチン、ペニシラミン、金及び他の重金属、ACE阻害剤、抗生物質、アヘン剤、特にヘロイン);感染症(例えば、HIV、梅毒、肝炎、連鎖球菌感染後感染);アミノ酸尿;高血圧性腎硬化:間質性腎炎、及び糸球体硬化
の特徴である可能性がある。
【0004】
糸球体硬化は、腎臓の小血管、糸球体、血液から尿を濾過する腎臓内の機能ユニットの瘢痕化を示す一般的な用語である。糸球体硬化を有する多数の患者は、腎臓が完全に機能しなくなるまで、次第に悪化する。この疾患は、末期腎臓疾患又はESRDと称される。ESRDを有する患者は、透析(血液透析又は腹膜透析)を受けて血液を浄化するか、又は移植によって新しい腎臓を得なければならない。
【0005】
腎臓の糸球体は、タンパク質の血漿限外濾過を制御するのに非常に特化した構造である。この制御を確実なものにする具体的な細胞ユニットは有足細胞であり、その機能障害は尿(タンパク尿)のタンパク質の大量の損失に関する。有足細胞の機能は、厳密に、アクチン細胞骨格を調節する特定のタンパク質の制御化にあることがよく知られている。そのような有足細胞タンパク質をコードする遺伝子への変異が、糸球体膜障壁の変化と関連し、かつ、結果として大量のタンパク尿及び腎臓損傷と関連することが知られている。こうした有足細胞タンパク質のうち、ネフリンは、スリット細孔膜の基本的な構成成分であり、Srcファミリーキナーゼに属するチロシンキナーゼであるFynによって媒介されるシグナル伝達経路の活性化を介する細胞骨格動態を調節する(Trends MoI Med. 2007; 13: 396-403)。
【0006】
アデュシンは、全ての細胞のアクチン−スペクトリン動態の制御に関する細胞骨格タンパク質である。アデュシン遺伝子の多型は、高血圧及び腎不全の進行と関連することが示されている。
【0007】
実験データによって、α及びβアデュシンが糸球体で発現しており、それらの多型が幾つかの有足細胞タンパク質の発現変化、タンパク尿、及び血圧から独立した動物モデルにおける腎臓損傷の進行に関与していることが示されている(J Hypertension 2003, 21 (Suppl. 4) , abs 4C.4)。
【0008】
詳細には、正常血圧である、βアデュシン変異体のノックアウトマウスは、対照マウスと比較して、有足細胞タンパク質、例えば、ネフリン、シナプトポジン、α−アクチニン、Fyn、及びZO−1の発現増大並びに尿タンパク質の低減を示し(図1)、このことは、血圧調節から独立した糸球体透過性の制御におけるβアデュシンの果たし得る役割を示す。
【0009】
親の高血圧であるMHS株(Q529R)に由来するβアデュシン遺伝子変異体を正常血圧であるMNS背景に遺伝子移入した(BBRC 2004; 324: 562-568)、正常血圧であるコンジェニックのNBラットでは、MHS株に由来する変異αアデュシンとともに野生型βアデュシンバリアントを有する正常血圧のコンジェニックNA株と比較して、培養した有足細胞で測定した幾つかの有足細胞タンパク質(ネフリン、α−アクチニン、ポドシン、及びZO−1)の発現が低減していることが認められ(図2)、成体ラットの免疫蛍光データ(図3参照)によって示される大量のタンパク尿及び腎臓損傷と関連していた。したがって、これらの発見は、血圧から独立しており、かつ、α変異体バリアントによって調節される、腎機能に対するβアデュシン変異体の病理学的な役割を示す。
【0010】
ヒト疾患の動物モデルで得られた実験データの妥当性は、αアデュシン変異バリアント(Trp)との相互作用においてβアデュシン変異(CT+TT)を有する際に、IgA腎症を有する患者は末期腎不全に向かってより速く進行することを示す、最近の臨床的発見によって支持されている(図4)。
【0011】
内因性のウアバイン(EO)は、異なる複数のメカニズム、主に腎臓のNa処理の制御によって血圧を調節することができる新規ホルモンとして広く認識されている。EOの高い循環レベルは、高血圧と関連することが認められている。
【0012】
17−(3−フリル)及び(4−ピリダジニル)−5−β,14−β−アンドロスタン誘導体は既知の化合物である。
【0013】
EP0583578B1は、本願の特許請求の範囲に記載のβ−アンドロスタン誘導体、その製造方法、並びに心不全及び高血圧などの心臓血管疾患の治療のためのそれらの使用を開示している。
【0014】
EP0590271B1は、17−アリール及び17−へテロシクリル−5−α,14−β−アンドロスタン、アンドロステン、及びアンドロスタジエン誘導体、それらの製造方法、並びに心不全及び高血圧などの心臓血管疾患の治療のためのそれらの使用を開示している。
【0015】
EP0590272B1は、17−アリール及び17−ヘテロシクリル−5−β,14−β−アンドロスタン誘導体、並びに心不全及び高血圧などの心臓血管疾患の治療のためのそれらの使用を開示している。
【0016】
WO2008148812は、17−β−(3−フリル)及び(4−ピリダジニル)−5−β,14−β−アンドロスタン誘導体、並びに血管形成又は動脈内膜切除後の再狭窄及び器官の線維症による疾患の治療のためのそれらの使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】Trends MoI Med. 2007; 13: 396-403
【特許文献2】J Hypertension 2003, 21 (Suppl. 4) , abs 4C.4
【特許文献3】BBRC 2004; 324: 562-568
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】EP0583578B1
【非特許文献2】EP0590271B1
【非特許文献3】EP0590272B1
【非特許文献4】WO2008148812
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述の文献のいずれにおいても、5β,14β−アンドロスタン誘導体のタンパク尿、糸球体硬化、及び腎不全の予防及び/又は治療のための使用は開示されていない。
【0020】
ここで、本発明に係る17−β−(3−フリル)及び(4−ピリダジニル)−5−β,14−β−アンドロスタン誘導体は、タンパク尿、糸球体硬化、及び腎不全の予防及び治療に有用な薬剤であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明の1つの主題は、式(I):
【化1】

[式中、
【化2】

なる記号は、単結合又は二重結合である;
Yは、3位の
【化3】

が二重結合である際は、酸素又はグアニジノイミノである;
Yは、3位の
【化4】

が単結合である際は、ヒドロキシ、OR、又はSRであり、α又はβ配置を有してよい;
Rは、非置換又は置換された3−フリル又は4−ピリダジニル基である;
は、水素;メチル;又はOH若しくはNRによって置換されたエチル若しくはn−プロピルである;
は、水素であるか、又はRとともにオキシラン環の結合である;
は、水素であるか、又はRとともにオキシラン環の結合である;
は、水素;メチル;又は第四級アンモニウム基、1以上のOR、NR、ホルミル、アミジノ、グアニジノイミノ、若しくはNR及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキル、C3−C6アルケニル、若しくはC2−C6アシルである;
、Rは、独立に、水素;メチル;又は1つのNR1011若しくはNR1011及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキルであるか、又はR及びRが、窒素原子とともに、非置換若しくは置換された、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環(場合によって、酸素、硫黄、若しくは窒素から選択される他の複素原子を含有する)を形成する;
は、水素、メチル、又は1以上のNR1011若しくはNR1011及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C4アルキルである;
、Rは、独立に、水素;メチル;又は1以上のNR1011若しくはNR1011及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキル若しくはC3−C6アルケニルであるか、又はR及びRが、窒素原子とともに、非置換若しくは置換された、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環(場合によって、酸素、硫黄、若しくは窒素から選択される他の複素原子を含有する)を形成するか、又はRが水素であり、かつ、Rがアミジノであるか;又はNRがプロパルギルアミノである;
10、R11は、独立に、水素若しくはC1−C6アルキルであるか、又はR10及びR11が、窒素原子とともに、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環を形成する]
の化合物である。
【0022】
本発明には、基剤の生物学的活性を保持しており、かつ、既知の製薬学的に許容される酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、又は安息香酸に由来する、(I)の製薬学的に許容される塩も含まれる。
【0023】
前記アルキル及びアルケニル基は、分枝鎖又は直鎖の基であってよい。
【0024】
前記C1−C6アルキル基は、好ましくは、C1−C4アルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルである。
【0025】
前記C2−6アルキル基は、好ましくは、C2−4アルキル基であり、例えば、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルである。
【0026】
前記C3−6アルケニル基は、好ましくは、C3−4アルケニル基であり、例えば、2−プロペニル、2−ブテニルである。
【0027】
前記C2−C6アシルは、好ましくは、C2−4アシル基であり、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルである。
【0028】
前記第四級アンモニウム基は、好ましくは、トリメチルアンモニウム基、N−メチルピロリジニウム基、又はN−メチルピペリジニウム基である。
【0029】
前記OR基は、好ましくは、ヒドロキシ、2−アミノエトキシ、3−アミノプロポキシ、2−ジメチルアミノエトキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ、2,3−ジアミノプロポキシ、2−(1−ピロリジニル)エトキシ、3−(1−ピロリジニル)プロポキシである。
【0030】
前記NR基は、好ましくは、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、1−イミダゾリル、2−アミノエチルアミノ、3−アミノプロピルアミノである。
【0031】
前記NR基は、好ましくは、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソ−プロピルアミノ、アリルアミノ、プロパルギルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、1−イミダゾリル、1−グアニジノ、2−アミノエチルアミノ、3−アミノプロピルアミノ、2−(1−ピロリジニル)エチルアミノ、3−(1−ピロリジニル)プロピルアミノ、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−(1−ピロリジニル)2−ヒドロキシプロピルアミノ、2,3−ジアミノプロピルアミノ、(2−(1−ピロリジニル)エチル)メチルアミノである。
【0032】
本発明に係る特定の化合物の好ましい例は、抗タンパク尿薬として使用するための、
17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−アミノエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−メチルアミノエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−イミダゾリル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−イミダゾリン−2−イル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−アミジノ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−グアニジノエトキシ)−17−β−(3−フリル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−グアニジノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2,3−ジアミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β,17−α−ビス(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β,17−α−ビス(3−アミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
14−β,17−α−ジヒドロキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
14−β,17−α−ジヒドロキシ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン;
17−α−ヒドロキシ−17−β−(3−フリル)−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(3−フリル)−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
14−β,15−β−エポキシ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−β,17−α−ジオール;並びに
上述の3−β誘導体の3α誘導体、及び対応する3α及び3−βチオ誘導体(Y=S)である。
【0033】
本発明に係る特定の化合物の最も好ましい例は、17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオールであり、以下においては、「ロスタフロキシン」又は「PST2238」と称する。
【0034】
本発明のさらなる主題は、抗糸球体硬化薬として使用するための式(I)の化合物である。
【0035】
本発明のさらなる主題は、抗腎不全薬として使用するための式(I)の化合物である。
【0036】
本発明のさらなる主題は、タンパク尿、糸球体硬化、及び腎不全の予防又は治療のための医薬の製造のための、式(I)の化合物の使用である。
【0037】
本発明のさらなる主題は、式(I)の化合物の治療上有効量を投与する工程を含む、タンパク尿、糸球体硬化、又は腎不全に罹患した哺乳動物の治療方法である。本明細書で使用する用語「治療上有効量」は、標的とする病気又は疾患を治療又は改善するために必要な治療剤の量、又は検出可能な治療効果を示すために必要な治療剤の量である。
【0038】
任意の化合物に関して、治療上有効量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常はマウス、ウサギ、イヌ、又はブタのいずれかにおいて最初に見積もることができる。
【0039】
前記動物モデルを使用して、適当な濃度範囲及び投与経路を決定してもよい。そのような情報は、次いで、ヒトに投与するための有用な投与量及び経路の決定に使用することができる。
【0040】
ヒトの対象に対する正確な有効量は、疾患状態の重度、対象の一般的な健康、対象の年齢、体重、及び性別、食事、投与時間及び頻度、併用薬、反応感度、及び治療に対する耐性/反応に依存する。この量は、ルーチンな実験によって決定されてよく、臨床医の判断の内にあってよい。一般的には、1日あたりの有効量は、0.05mgから20mg、好ましくは0.5mgから15mg、最も好ましくは5mgから10mgであろう。
【0041】
投与処置は、医師の判断によって、単回投与計画又は複数回投与計画であってよい。
【0042】
組成物は、患者に個別に投与されてよく、又は他の薬剤、薬物、又はホルモンと併用して投与してよい。
【0043】
医薬は、治療剤の投与のための、製薬学的に許容される担体も含有してよい。そのような担体は、抗体並びに他のポリペプチド、遺伝子、及び他の治療剤、例えば、リポソームを含むが、前記担体は、それ自体で、組成物を接種する個体に有害な抗体の産生を誘導せず、過度の毒性なしで投与され得る。
【0044】
適切な担体は、大きく、ゆっくりと代謝される高分子、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、及び不活性ウイルス粒子であってよい。
【0045】
製薬学的に許容される担体の詳細な議論が、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co., N. J.1991)で得られる。
【0046】
治療用組成物中の製薬学的に許容される担体は、追加で、液体、例えば、水、生理食塩水、グリセロール、及びエタノールを含有してよい。加えて、補助的な物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤及びpH干渉物質などが、そのような組成物中に存在してよい。そのような担体は、患者による摂取のために、医薬組成物を錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、及び懸濁剤などに製剤化することを可能にする。
【0047】
一度製剤化されると、本発明の組成物は、対象に直接投与することができる。治療対象は動物であってよく、特にヒトの対象を治療することができる。
【0048】
本発明の医薬は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、脳室内、経皮若しくは経皮膚適用、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所、舌下、直腸への手段、又は外科手術後の疾患組織への局所的な投与を含むが、それらに限らない、任意の数の経路で投与されてよい。本発明の化合物は、制御放出マトリックスに組み込まれたステントに適用(コーティング)してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、野生型(WT)の対照と比較した、βアデュシンのノックアウト(KO)を行ったマウスにおける尿のタンパク質排出(mg/6h)のレベルを表わす。オスのマウスは11月齢であり、尿のタンパク質排出は、代謝ケージに入れた各マウスから6時間にわたって回収した尿で測定した。データは、15WT及び19KOマウスの平均±標準誤差である。統計分析は、スチューデントのt試験で実施した。図は、6時間の尿のタンパク質排出が、WTマウスと比較して、βアデュシンのKOマウスにおいて顕著に低減(30%)していたことを示す。
【図2】図2は、コンジェニックのNB及びNA株に由来する新生児(10日齢未満)のラットから得られた培養有足細胞で発現している有足細胞タンパク質(ネフリン、α−アクチニン、ZO−1、ポドシン、α−アデュシン、及びアクチン)の量を表わす。有足細胞タンパク質は、適当な抗体を用いてウエスタンブロットによって有足細胞抽出物で定量した(棒グラフの上の代表的なトレースを参照のこと)。データは、各株について、4から24時間の範囲で幾つかの実験の平均±標準誤差として記載している。統計分析は、スチューデントのt試験で実施した。図は、ハウスキーパータンパク質であるアクチンは同様あるのに対し、ネフリン、α−アクチニン、ZO−1、ポドシン、及びα−アデュシンの量が、野生型のバリアントを有するNA対照と比較して、β−アデュシン変異体を有するNB正常血圧ラットに由来する有足細胞において堅著に低減することを示す。
【図3】図3は、野生型のバリアントを有するNA対照と比較した、β−アデュシン変異体を有するNB正常血圧ラットに由来する腎糸球体において免疫蛍光によって検出可能な幾つかの有足細胞タンパク質(ネフリン、シナプトポジン、α−アクチニン、ZO−1、Fyn、及びビメンチン)の発現を表わす。図は、NAラットと比較してNBではこれらのタンパク質の発現が劇的に低減するが、有足細胞体に局在するマイクロフィラメントであるビメンチンは2つの株で正常に発現することを示す。
【図4】図4は、α−アデュシン(ADD1,Gly460Tyr)及びβ−アデュシン(ADD2,C399T)遺伝子型によって4つの群に細分されたIgA腎症の患者の経時的な糸球体濾過速度(GFR)(ml.分−1.年−1)の低下として評価した腎不全の進行を示す。速度低下に対する2つの遺伝子の間の相互作用が顕著に認められた。
【図5】図5は、コンジェニックNB株由来の新生児(10日齢未満)ラットから得られ、ロスタフロキシン10−9Mとともに又はそれ無しで5日間インキュベートした培養有足細胞で発現した有足細胞タンパク質(ネフリン、ZO−1、ポドシン、α−アデュシン、シナプトポジン、及びアクチン)の量を示す。有足細胞タンパク質は、適当な抗体を用いてウエスタンブロットによって有足細胞抽出物で定量した。データは、幾つかの実験の平均±標準誤差として記載している。統計分析は、スチューデントのt試験によって実施した。図は、ネフリン、ZO−1、ポドシン、α−アデュシン、及びシナプトポジンの量が、10−9Mのロスタフロキシンの存在下で培養した有足細胞において増大しているが、アクチンは増大しないことを示す。
【図6】図6は、対照の生理食塩水を注入したラット又はロスタフロキシン100μg/kg/日で八週間にわたって経口処理したOSラットと比較した、ウアバイン(OS)を長期間注入したラット及び媒体で処理したラットの最大血圧(SBP)、尿のタンパク質排出、腎皮質由来のネフリンの量を表わす。データは、各群について八匹のラットの平均±標準誤差として記載している。統計分析は、スチューデントのt試験によって実施した。図は、ロスタフロキシンがSBP及び尿のタンパク質排出を顕著に低減するが、OSラットのネフリン発現を増大し、かくして、ウアバインの腎臓に対する効果をアンタゴナイズすることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の非限定的な実施例によって、本発明をさらに説明する。
【0051】
(実施例1)
有足細胞タンパク質の損失を妨げる本発明の化合物の活性を試験するために、βアデュシン変異を有するコンジェニックのNBラット(Tripodi G. et at Effect of Addl gene transfer on blood pressure in reciprocal congenic strains of Milan rats. BBRC 2004; 324: 562-568)を使用した。前記NBラットは、非高血圧ラットであり、Prassis Research Institute, Sigma- tau, Italyで得られる。
【0052】
有足細胞単離及び培養に7から10日齢のNBラットを使用した。NBラット由来の有足細胞を、10−9Mでロスタフロキシンとともに(NB n=5)又はなしで(NB対照、n=4)、5日間にわたってインキュベートした。インキュベートの5日目の終わりに、ウエスタンブロットによって有足細胞タンパク質を定量した。ウエスタンブロットによる定量は、各有足細胞マーカーについて2から3回繰り返した。表1A及び1Bは、繰り返しの値の平均として、各条件について分析した有足細胞サンプルの最終的な数を示す(NB対照、n=4;NB+ロスタフロキシン、n=5)。デンシトメトリー分析は、任意単位において光学密度として定量した。
【0053】
有足細胞単離及び培養有足細胞中のタンパク質定量
ふるい及びさらなる手作業の精製によって、糸球体をNB腎臓から単離した。次いで、37℃で5%CO雰囲気下において、コラーゲンタイプIV(Sigma−Aldrich)で事前にコーティングした培養フラスコ(Corning,Sigma−Aldrich,Milan,Italy)に糸球体を播種した。4から5日目に、有足細胞の増殖が始まり、8日目までに糸球体をトリプシン−EDTAを使用して剥ぎ取った。光学顕微鏡を用いた検査によって90%超の純度であった2代継代の有足細胞をフラスコ及びチャンバースライドに播種した。有足細胞タンパク質定量(10μgタンパク質/レーン)を、ネフリン、ポドシン、ZO−1、アデュシン、シナプトポジン、及びアクチンに対する特異的な抗体を使用してウエスタンブロット技術によって実施した。
【0054】
得られた結果を、表1A、1B、及び図5に記載する。
【表1A】

【表1B】

【0055】
得られた結果は、本発明の化合物が、βアデュシン変異によって誘導された有足細胞タンパク質の損失に対してアンタゴナイズすることができ、かくして、糸球体濾過障壁の正常な機能に有利に働き、かつ、正常血圧の実験モデルにおけるタンパク尿を低減することができることを示す。
【0056】
(実施例2)
タンパク尿及び腎臓の糸球体タンパク質損失を妨げる本発明の化合物の活性を試験するために、長期間にわたってウアバイン(OSラット)又は生理食塩水(対照ラット)を注入したラットを使用した。
【0057】
2つの群の2月齢のOSラット(各々、n=8)を、媒体(メトセル0.5%)又はロスタフロキシン(100μg/kg)を8週間にわたって強制飼養によって経口処理した。生理食塩水を注入したラットの1つの群は対照として使用した。この期間の後に、最大血圧及び尿のタンパク質排出を3つの群で測定した。次いで、3つの群の動物を屠殺して、ウエスタンブロットによって腎皮質ミクロソームのネフリン定量を実施した。
【0058】
ウアバイン注入
100から110gの体重の三週齢のオスのSprague−Dawleyラット(Harlan,IN)に、浸透圧ミニポンプを皮下に移植し、15μg/kg/日のウアバイン(OSラット、n=16)を14週間にわたって放出させるか、又は滅菌生理食塩水(CSラット、n=8)を放出させた(Ferrari P. et al. J. Pharmacol Exp. Ther. 1998; 285: 83-94)。ウアバイン注入から6週間目に、OSラットを2つの群にランダムに割り当てた(各々、n=8)。第一の群(OS処理)は、0.5% w/vメトセルに懸濁したロスタフロキシンを経口で100μg/kg/日摂取し、第二の群(対照)は媒体のみを接種した。最大血圧(SBP)及び心拍(HR)を、Tail−Cuffプレチスモグラフィー(BP Recorder, U. Basile, Italy)によって意識のあるラットで毎週測定した。
【0059】
尿のパラメータの測定のための生化学アッセイ
処理の12週目に、意識のあるOS及び対照ラットで尿のパラメータを測定した。ラットは個々の代謝ケージに入れて、一日間順応させた。24時間の尿の回収を午前9時に開始した。尿の回収の間に、ラットは自由に水及び食料を入手できた。遠心分離(20分間、4500rpm;Varifuge 3.2 RS,Haereus Instruments,AHSI,Milan,Italy)の後に、ラットの尿を尿の容量(ml)について分析し、Mettler精密てんびんで尿の容器を秤量することによって定量し、尿のpH(pHM83,Radiometer、Copenhagen)を測定し、及び全尿タンパク質排出(mg/24h)を標準的なトータルプロテインキット(Sentinel Diagnostics,Milan,Italy)を用いて測定した。次いで、三つの群の動物を屠殺し、腎皮質ミクロソームを各ラットから調製し、スリット隔膜の重要なタンパク質であるネフリンをウエスタンブロットで定量した。サンプルをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、ブロットし、特異的な一次抗体(Santa Cruz社製抗ネフリン;Sigma−Aldrich社製抗アクチン)とともに4度で一晩にわたってインキュベートし、その後に蛍光二次抗体(Alexa Fluor)とともに1時間にわたってインキュベートし、次いで、Odyssey Infrared Imaging detection system(LI−COR Biosciences)によって分析及び定量した。ネフリン定量は、任意単位である光学密度として表わしている。
【0060】
得られた結果は、以下の表2A、2B、2C,及び図6に記載する。
【表2A】

【表2B】

【表2C】

【0061】
得られた結果は、本発明の化合物が、血圧、尿のタンパク質排出、及び糸球体タンパク質損失に対するウアバインの病理学的効果に対してアンタゴナイズし、かくして、血圧を低下し、糸球体ネフリン発現を回復し、かつ、タンパク尿を低減することができることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗タンパク尿薬として使用するための、式(I):
【化1】

[式中、
【化2】

なる記号は、単結合又は二重結合である;
Yは、3位の
【化3】

が二重結合である際は、酸素又はグアニジノイミノである;
Yは、3位の
【化4】

が単結合である際は、ヒドロキシ、OR、又はSRであり、α又はβ配置を有してよい;
Rは、非置換又は置換された3−フリル又は4−ピリダジニル基である;
は、水素;メチル;又はOH若しくはNRによって置換されたエチル若しくはn−プロピルである;
は、水素であるか、又はRとともにオキシラン環の結合である;
は、水素であるか、又はRとともにオキシラン環の結合である;
は、水素;メチル;又は第四級アンモニウム基、1以上のOR、NR、ホルミル、アミジノ、グアニジノイミノ、若しくはNR及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキル、C3−C6アルケニル、若しくはC2−C6アシルである;
、Rは、独立に、水素;メチル;又は1つのNR1011若しくはNR1011及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキルであるか、又はR及びRが、窒素原子とともに、非置換若しくは置換された、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環(場合によって、酸素、硫黄、若しくは窒素から選択される他の複素原子を含有する)を形成する;
は、水素、メチル、又は1以上のNR1011若しくはNR1011及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C4アルキルである;
、Rは、独立に、水素;メチル;又は1以上のNR1011若しくはNR1011及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキル若しくはC3−C6アルケニルであるか、又はR及びRが、窒素原子とともに、非置換若しくは置換された、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環(場合によって、酸素、硫黄、若しくは窒素から選択される他の複素原子を含有する)を形成するか、又はRが水素であり、かつ、Rがアミジノであるか;又はNRがプロパルギルアミノである;
10、R11は、独立に、水素若しくはC1−C6アルキルであるか、又はR10及びR11が、窒素原子とともに、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環を形成する]
の化合物。
【請求項2】
抗糸球体硬化薬として使用するための、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
抗腎不全薬として使用するための、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−アミノエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−メチルアミノエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−イミダゾリル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−イミダゾリン−2−イル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−アミジノ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−グアニジノエトキシ)−17−β−(3−フリル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−グアニジノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2,3−ジアミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β,17−α−ビス(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β,17−α−ビス(3−アミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
14−β,17−α−ジヒドロキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
14−β,17−α−ジヒドロキシ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン;
17−α−ヒドロキシ−17−β−(3−フリル)−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(3−フリル)−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
14−β,15−β−エポキシ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−β,17−α−ジオール;並びに
上述の3−β誘導体の3α誘導体、及び対応する3α及び3−βチオ誘導体(Y=S)
からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
タンパク尿、糸球体硬化、及び腎不全の予防及び/又は治療のための医薬の製造のための、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項6】
好ましい化合物が17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオールである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物が1日あたり0.05mgから20mgの用量で投与される、請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記化合物が0.5mgから15mgの用量で投与される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記化合物が5mgから10mgの用量で投与される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記化合物が単回投与計画で投与される、請求項7から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記化合物が複数回投与計画で投与される、請求項7から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記医薬が、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、脳室内、経皮、経皮膚、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所、舌下、又は直腸への投与用である、請求項5に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−521383(P2012−521383A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501255(P2012−501255)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053571
【国際公開番号】WO2010/108855
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】