説明

タービンリングセクタ用繊維プリフォームおよびその製造方法

本発明は、タービンリングセクタ用繊維プリフォーム(40)であって、三次元織りによって製造され、基部を形成する第1の部分(42)と、各々が2つの枝部を有する2つのタブ形成L字形部分(44、46)とを備え、第1の部分(42)の2つの端部は前記第1の枝部(44a、46a)によってそれぞれ延長され、さらに2つのタブ(44、46)を接続する第2の部分(48b)を備え、織り合わされる第1および第2のストリップ(A、B)が第1の枝部(44A、46a)と第2の枝部(44b、46b)の第1の厚み部分と第1の部分(42)とを形成し、第1の枝部(44a、46a)および第1の部分(42)の位置に第1および第2のストリップ間の非連結領域が存在し、織られる第3のストリップ(C)は第2の部分(48b)とタブ(44、46)の各々の第2の枝部(44b、46b)の第2の厚み部分とを形成する繊維プリフォーム(40)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンセクタ用繊維プリフォーム、その製造方法、該繊維プリフォームを組み込んだタービンリングセクタ、および複数の該リングセクタを備えるタービンリングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の適用分野は、特に、ガスタービン航空機エンジンの分野である。しかし、本発明は、他の種類のターボ機械、例えば、工業用タービンにも適用可能である。
【0003】
金属基複合材料(CMC)は、構造要素を構成するのに適した優れた機械的特性、および高温でその特性を維持することができる能力を有することで周知である。
【0004】
ガスタービン航空機エンジンでは、効率を向上させ汚染排出物を低減することは、常に高温で動作することを模索することになる。
【0005】
したがって、特に、CMCは従来使用されている耐熱材料よりも低密度であるので、ガスタービン航空機エンジンの種々の高温部品にCMCを使用することはすでに考えられている。
【0006】
したがって、タービンリングセクタは、図1に示されている種類の構造を有する一体部品のCMCとしてすでに製造されている。
【0007】
図1は、CMCタービンリング10と金属リング支持構造体13とを備える高圧タービンリングアセンブリを示す図である。タービンリング10は、1組の回転ブレード15を取り囲む。タービンブレード10は、複数のリングセクタ100から成り、図1は、2つの隣接リング間を通る面における経線断面図である。
【0008】
各々のリングセクタ100は、ほぼギリシャ文字の逆π形で、基部112はリングセグメントの形で、アブレイダブル材料の層113で被覆された内側面がタービン内のガス流の流路を画定する。タブ114、116は、基部112の外側面から伸びる。タブの1つの上流側タブ114は、略横L字形の経線断面を有し、上流側に伸びて基部112の上流側端部と協働してU字形部分を形成して、上流側端部114aの深さにわたって延在するハウジング115を画定する。他方のタブ116もしくは下流側タブは、略横T字形の経線断面を有し、基部112の下流側端部から下流側に伸びる。
【0009】
用語「上流側」および「下流側」は、この場合、タービン内を流れるガス流の流れ方向に対して使用される(図1では、矢印F)。
【0010】
タービンケーシングに固定されるリング支持構造体13は、環状の上流側半径方向フランジ32を備え、フランジ32は、軸方向下流側を向くコンマ形の経線断面を有しハウジング115に係合するのに適する環状フック34を担持する。フック34の端部34aがハウジング115に係合する方法は、ガス流路とリングセクタ100の外側との間が上流側で封止されるように設計される。
【0011】
リング支持構造体13は、下流側端部に、タブ116の環状端部116aが当接する環状当接部36aで終端する逆L字形の環状フランジ36を含む。タブ116の端部116aとフランジ36の当接部36aとは、従来の形のバネクリップを形成する横U字形の経線断面を有するクランプ38によって、隙間なく互いに押し付けられた状態で維持される。クランプ38は、フランジ36の当接部36aから下流側に突出するフランジ(fingers)36bとタブ116の端部116aから突出するフランジ116bとの間に挿入されることによって、フランジ36およびタブ116に対して周囲を固定した状態で維持される。
【0012】
タービン内を通るガス流路とタービンの下流側端部の外側との間を可能な限り十分に封止するために、フランジ36の当接部36aとタブ116の端部116aとの間にガスケット20が押し付けられる。例として、ガスケット20は金属網で構成され、当接部36aの内側面に形成されたハウジング内で保持される。
【0013】
さらに、セクタ間の封止は、各々のリングセクタ100内で、基部112の内部の中央部に、基部112の上流側から下流側までのほぼ長さ全体にわたって収容された封止舌状体22によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2006/136755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のリングセクタ100は、封止舌状体を取り囲んで2つのタブ114、116を構成するCMC製の部分が動作時に受ける熱機械応力に耐えられる程度の強度を有するように、十分な厚みを有する必要がある。
【0016】
本発明の目的は、特に、リングセクタの重量をさらに低減することができる新規のタービンリングセクタ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するために、タービンリングセクタ用繊維プリフォームであって、三次元織りによって製造され、基部を形成する第1の部分と、各々が第1の枝部および第2の枝部を有する2つのタブ形成L字形部分とを備え、第1の部分の2つの端部は前記第1の枝部によってそれぞれ延長され、さらに2つのタブを接続する第2の部分であって、第2の部分と2つのタブの一方との間に形成される第1の接続部と前記第2の部分と2つのタブの他方との間に形成される第2の接続部とによって2つのタブを接続する第2の部分を備え、前記第2の部分はタブおよび第1の部分と協働して空洞を画定し、織り合わされる第1および第2のストリップが第1の枝部と第2の枝部の第1の厚み部分と第1の部分とを形成し、第1の枝部および第1の部分の位置に第1および第2のストリップ間の非連結領域が存在し、織られる第3のストリップは第2の部分とタブの各々の第2の枝部の第2の厚み部分とを形成する繊維プリフォームを提供する。
【0018】
この方法で、このような構造体を作ることで、特に、内側方向は第1の部分、外側方向は第2の部分によって、上流側端部および下流側端部は2つのタブの第1の枝部によって画定される空洞を有することで、中空であるために中実の構造体よりも軽量の構造体が得られることは理解できる。
【0019】
このようにして、リングセクタの機械的強度特性を損なわず、また低減することなく、CMCを最小限の厚みにすることができる。
【0020】
好ましくは、以下の1つまたは複数の条件が実施される:
第2の部分(すなわち、第3のストリップ)と2つのタブとの間に形成される第1および第2の接続部の少なくとも一方の位置は、対応する第1の枝部と第2の枝部との間にほぼ位置すること、
第2の部分(すなわち、第3のストリップ)と2つのタブとの間に形成される第1および第2の接続部の少なくとも一方は、第1および第2のストリップにより形成されるアセンブリおよび第3のストリップから形成されること、
第2の部分(すなわち、第3のストリップ)と2つのタブとの間に形成される第1および第2の接続部の少なくとも一方は、スティッチングにより形成されること、および
各々のタブの第2の枝部は、第1および第2のストリップにより形成されるアセンブリの一部と第3のストリップの一部とを重ね合わせることで形成されること。
【0021】
例として添付の図面を参照して行われる次の説明を読むと、本発明の他の利点および特徴が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】上述した先行技術のタービンリングアセンブリを示す経線片側断面図である。
【図2】本発明の繊維プリフォームの斜視図である。
【図3】図2の領域IIIの織り面の拡大図である。
【図4】図2の領域IVの織り面の拡大図である。
【図5】図2の領域Vの織り面の拡大図である。
【図6】図2の領域VIの織り面の拡大図である。
【図7】図2の領域VIIの織り面の拡大図である。
【図8】図2と同様の図であり、タービンリングセクタの金属ストリップが挿入される方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の各々のリングセクタは、リングセクタの形状に近い形状の繊維プリフォーム40(図2を参照)を形成してセラミックマトリクスでリングセクタを圧密化することにより、CMCで作られる。
【0024】
繊維プリフォーム40を作成するのに、セラミック繊維製の糸、例えば、日本の製造業者の日本カーボンから「Nicalon」という商品名で販売されている糸のようなSic繊維製の糸、あるいは炭素繊維製の糸を使用することができる。
【0025】
この繊維プリフォーム40は、三次元織りまたは多層織りによって作られたブランクによって、封止舌状体を形成する金属ストリップを受承するプリフォーム部分を離間させるために非連結領域が配置されて作られる。
【0026】
図2から図8の実施形態では、3つのストリップA、B、Cは、上流側から下流側に伸びる互いに平行な縦糸を使用して同時に織られる。
【0027】
用語「上流側」および「下流側」は、この場合、織り方向(図2では、矢印T)に対して使用される。
【0028】
第1のストリップAと第2のストリップBとは、第1のストリップAと第2のストリップBとにより形成されるアセンブリの厚み全体を通る共通の横糸を使用して一緒に織られて縦糸の層の全てをつなぐが、これはプリフォーム40の第1のセグメントT1さらに第4のセグメントT4で行われる(図2、図3、および図7を参照)。
【0029】
プリフォーム40の移行セグメントを構成する第2のセグメントT2(図2および図5を参照)では、第1のストリップAと第2のストリップBとにより形成されるアセンブリは第3のストリップCと交差する。
【0030】
プリフォーム40の第3のセグメントT3(図2、図5、および図6を参照)では、第1のストリップAと第2のストリップBとは、ストリップAおよびBのそれぞれ別個の縦糸を使用して同時に織られ、第1のストリップAと第2のストリップBとの間に隙間が残るようにして、非連結領域Dを形成する。
【0031】
プリフォーム40の第3のストリップC(図2、図4、および図7を参照)は、プリフォーム40の第2の移行セグメントT2の範囲を除いて(この位置では、第1のストリップAと第2のストリップBとにより形成されるアセンブリの縦糸は第3のストリップCの縦糸と交差する)、第1のストリップAと第2のストリップBとにより形成されるアセンブリに平行に、アセンブリから離して別々に編まれる。第3のストリップCの横糸は通された状態で、上述の交差の前(図5の上部)は、第1のストリップAと第2のストリップBとで形成されるアセンブリの横糸は第1のストリップAと第2のストリップBとで形成されるアセンブリの縦糸の層の全てをつなぎ、上述の交差の後は切り離されて、横糸の一部が第1のストリップAの縦糸の層の全てをつなぎ、他の横糸が第2のストリップBの縦糸の層の全てをつなぐようにする(第3のセグメントT3の始まりに相当する図5の下部)。
【0032】
第3のストリップCでは、上流側から下流側に向かって、プリフォーム40の第1のセグメントT1に面して配置される第1のセグメント48aと、プリフォーム40の第3のセグメントT3に面して配置される第2のセグメント48bと、プリフォーム40の第4のセグメントT4に面して配置される第3のセグメント48cとがある。
【0033】
したがって、第2の移行セグメントT2では、織りによって3つのストリップA、B、Cの全てを連結して、互いに固定し、織りステップの最後に一体のプリフォームブランクを形成することができる。
【0034】
図3から図7は、図2の織り細部III〜VIIそれぞれの連続的な織り面の例を示す(図2の方向Tに垂直な)縦糸断面図である。
【0035】
図示されている例では、縦糸の層の総数は、ストリップA、B、Cのそれぞれに対して2つである。
【0036】
当然、2つ以外の数も可能であり、特に、3つ以上も可能である。
【0037】
さらに、3つのストリップA、B、Cに対して全てが同じでない縦糸の数を使用することも可能である。
【0038】
図2に示されるようなプリフォーム40の形状にするので、第3のストリップCは第1のストリップAと第2のストリップBとにより形成されるアセンブリより短いことが理解できる。第3のストリップCは実質的に水平のままであるが、第1のストリップAと第2のストリップBとで形成されるアセンブリは、プリフォーム40の成形後(図2参照)は、ヨーグルト容器に似た断面形状、すなわち、わずかに開いた垂直枝部とそれぞれの水平アーム部が伸びる自由端部とを有するU字形形状であるためである。
【0039】
織りは、図示されるように、交絡状にすることができる。
【0040】
他の三次元織りまたは多層織り、例えば、多面平織りまたは多面繻子織りを使用してもよい。国際公開第2006/136755号を参照してよい。
【0041】
織りの後、ブランクは、リングセクタプリフォーム40を形成するために、どの糸も切らずに、特に、どの縦糸も切らずに成形される。
【0042】
この成形後に、以下から生じる種々のリングセクタ部を形成する図2の形状のプリフォーム40が得られる:
リングの内側面を形成する内側小平面を有し、第1のストリップAと第2のストリップBとによって形成されるアセンブリの第3のセグメントT3の中央部によって形成され、非連結領域Dの第1の部分を画定する第1の部分42もしくは基部、
第1の部分42の端部を延長する各々の第1の枝部44a(46a)と、第1の枝部44a(46a)を延長し第1の部分42に平行な第2の枝部44b(46b)とを有するL字形部分の2つのタブ44、46。第1の枝部44a、46aは、第1のストリップAと第2のストリップBとによって形成されるアセンブリの第3のセグメントT3の2つの端部に対応し、それぞれ非連結領域Dの第2の部分および第3の部分を画定する。プリフォーム40の第1のセグメントT1側の上流側タブ44の第2の枝部44bは、第1のストリップAと第2のストリップBとによって形成されるアセンブリの上流側端部セグメント(上部)と第3のストリップCの上流側端部セグメント48a(下部)とを重ね合わせることによって得られる。プリフォーム40の第4のセグメントT4側の下流側タブ46の第2の枝部46bは、第1のストリップAと第2のストリップBとによって形成されるアセンブリの下流側端部セグメント(下部)と第3のストリップCの下流側端部セグメント48c(上部)とを重ね合わせることによって得られる、
外側壁を形成し、2つのタブ44、46を接続し、第1の部分42から一定間隔にあり第1の部分に平行な第2の部分48b。
【0043】
このために、第2の部分48bと上流側タブ44との第1の接続部は、上述の交差によって行われ、3つのストリップA、B、およびCを織り合わせることで形成される。このことで、第2の部分48bを形成する第3のストリップCと2つのタブの1つ(上流側タブ44)とを接続することができる。
【0044】
さらに、第2の部分48bと下流側タブ46との第2の接続部は、他方のタブ側(下流側タブ46)の第3のストリップCと第1および第2のストリップA、Bで形成されるアセンブリとの接続によって形成される。
【0045】
前記第2の接続部は、好ましくは、スティッチングによって、つまり、縫い糸49が下流側タブ46の3つのストリップA、B、およびCの厚み全体を通ることで形成され(図2および図7を参照)、これにより簡単で迅速なプリフォーム40の構造体を固定する手段が得られる。また、縫い糸49により、下流側タブの第1の枝部46と第1の部分42と上流側タブ44の第1の枝部44aと第2の部分48bとの間の空洞60を閉じることもできる。
【0046】
したがって、本発明において、基部を形成し、タブ(上流側部分44、下流側部分46)を形成するL字形部分で延長され第1の枝部(44a、46a)および第2の枝部(44b、46b)の両方を有する2つの端部を備える第1の部分42と、2つのタブ44、46を接続し、タブ44、46および第1の部分42と協働して空洞60を画定するのに適した第2の部分48bとを備えるセラミックマトリクス複合材料の一体部品で構成されるタービンリングセクタを形成する繊維プリフォーム40の製造方法であって、好ましくは、
第1のストリップA、第2のストリップB、および第3のストリップCを同時に織るステップと、
第1の部分42、タブ(44、46)の第1の枝部(44a、46a)、タブ(44、46)の第2の枝部(44b、46b)の第1の厚み部分とを形成するために第1のストリップAと第2のストリップBとが互いに平行に織られ、第2の枝部(44b、46b)のアセンブリを形成するために第1のストリップAと第2のストリップBとが連結され、第1の部分42およびタブ(44、46)の第1の枝部(44a、46a)の位置に第1のストリップAおよび第2のストリップB間の非連結領域Dを形成するステップと、
第3のストリップCがタブの一方(上流側タブ44)の第1のストリップAと第2のストリップBとによって形成されるアセンブリと交差するように第3のストリップCを織り、第2の部分48bを形成する第3のストリップCを2つのタブの一方(上流側タブ44a)と接続するステップと、
第3のストリップCを他方のタブ(下流側タブ46a)の第1のストリップAと第2のストリップBとによって形成されるアセンブリに接続するステップと
を含む。図示されている例では、この接続部は、糸49を下流側タブ46の第2の枝部46bに沿ってスティッチングにより形成される。
【0047】
その後、上記の方法はさらに、金属ストリップ50が前記非連結領域Dに挿入される追加のステップを含む(図8を参照)。
【0048】
これらの金属ストリップ50は、以下を備える3つのストリップの形であるのが好ましい:
第1の部分42に面する非連結領域Dの第1の部分に水平に収容される第1の平坦ストリップ52、
上流側タブ44の第1の枝部44aに面する非連結領域Dの第2の部分に配置される長い枝部と、第1のストリップ52の上流側縁部を覆う短い枝部とを有する逆L字形の第2のストリップ54、
下流側タブ46の第1の枝部46aに面する非連結領域Dの第3の部分に配置される長い枝部と、第1のストリップ52の下流側縁部を覆う短い枝部とを有する逆L字形の第3のストリップ56。
【0049】
あるいは、第1のストリップ52のみを使用する、または第1のストリップ52と第2のストリップ54のみを使用することも可能である。
【0050】
その後、リングセクタを形成するために、従来のCMCを形成する後続ステップ、すなわち、特に、SiC繊維製の繊維プリフォームを使用してCMCを形成するステップを実施する必要がある:
繊維から寸法を小さくするためにプリフォーム40を処理するステップ、
化学蒸気浸透法(CVI)によりプリフォームの繊維上に相間コーティングの薄層を形成するステップ、
圧密組成物、典型的には、溶剤内で希釈可能な樹脂で繊維を含浸するステップ、
プリフォームを乾燥するステップ、
プリフォームを所定の長さに切断するステップ、
成形モールドに配置することでプリフォームを成形するステップ、
樹脂を硬化して、その後、熱分解するステップ、
任意で、第2の相間層を形成するステップ、
セラミックマトリクス、例えば、SiCマトリクスを使用してプリフォーム40を圧密化するステップ、および
第1の部分42の内側面(空洞60から見て外側)にアブレイダブルコーティングの層を付着するステップ。
【0051】
以上のステップにより、上述のプリフォーム40と、第1の部分42の位置および上流側および下流側タブ44、46の第1の枝部44a、46aの位置で第1のストリップAと第2のストリップBとの間に位置する非連結領域Dに配置される金属ストリップ52、54、56とによって構成されるセラミックマトリクス複合材料製の一体タービンリングセクタを製造することができる。
【0052】
このようなプリフォーム40から形成されたリングセクタは、図1に示された方法と同様の方法で取り付けられる。もっと正確に言えば、
下流側タブ46の第2の枝部46bは、環状フランジの環状当接部36aに当接するクランプ38に収容され、
上流側タブ44の第2の枝部44bは、図1のフック34と同じ位置に配置されるが、下流側方向に開口したU字形形状のフック内に収容される。
【0053】
このようにして、タービンリングアセンブリは、上述の複数のリングセクタおよびリング支持構造体で構成される。このような状況で、繊維プリフォーム40の第1の部分42は環状内壁を構成し、繊維プリフォーム40の第2の部分48bは環状外壁を構成し、2つのタブ44、46の第2の枝部44b、46bの端部はリング支持構造体内のハウジングに係合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンリングセクタ用繊維プリフォーム(40)であって、三次元織りによって製造され、基部を形成する第1の部分(42)と、各々が第1の枝部(44a、46a)と第2の枝部(44b、46b)とを有する2つのタブ形成L字形部分(44、46)とを備え、第1の部分(42)の2つの端部は前記第1の枝部(44a、46a)によってぞれぞれ延長され、さらに2つのタブ(44、46)を接続する第2の部分(48b)であって、第2の部分(48b)と2つのタブ(44、46)の一方との間に形成される第1の接続部と前記第2の部分(48b)と2つのタブ(44、46)の他方との間に形成される第2の接続部とによって2つのタブ(44、46)を接続する第2の部分(48b)を備え、前記第2の部分(48b)はタブ(44、46)および第1の部分(42)と協働して空洞(60)を画定し、織り合わされる第1および第2のストリップ(A、B)が第1の枝部(44A、46a)と第2の枝部(44b、46b)の第1の厚み部分と第1の部分(42)とを形成し、第1の枝部(44a、46a)および第1の部分(42)の位置に第1および第2のストリップ間の非連結領域が存在し、織られる第3のストリップ(C)は第2の部分(48b)とタブ(44、46)の各々の第2の枝部(44b、46b)の第2の厚み部分とを形成する、繊維プリフォーム(40)。
【請求項2】
第2の部分(48b)と2つのタブ(44、46)との間に形成される第1および第2の接続部の少なくとも一方の位置が、対応する第1の枝部(44a、46a)と第2の枝部(44b、46b)との間にほぼ位置することを特徴とする、請求項1に記載の繊維プリフォーム(40)。
【請求項3】
第2の部分(48b)と2つのタブ(44、46)との間に形成される第1および第2の接続部の少なくとも一方が、第1および第2のストリップ(A、B)により形成されるアセンブリおよび第3のストリップ(C)から形成されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維プリフォーム(40)。
【請求項4】
第2の部分(48b)と2つのタブ(44、46)との間に形成される第1および第2の接続部の少なくとも一方が、スティッチング(49)によって形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の繊維プリフォーム(40)。
【請求項5】
各々のタブの第2の枝部(44b、46b)が、第1および第2のストリップ(A、B)により形成されるアセンブリの一部と第3のストリップ(C)の一部とを重ね合わせることで形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の繊維プリフォーム(40)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のプリフォーム40と、第1の部分(42)の位置およびタブ(44、46)の第1の枝部(44a、46a)の位置で第1のストリップ(A)と第2のストリップ(B)との間に位置する非連結領域(D)に配置される金属ストリップ(52、54、56)とによって構成されるセラミックマトリクス複合材料製の一体タービンリングセクタ。
【請求項7】
請求項6に記載の複数のリングセクタと、リング支持構造体とを備えるタービンリングアセンブリであって、第1の繊維プリフォーム部は環状内壁を構成すること、および第2の繊維プリフォーム部は環状外壁を構成すること、2つのタブ(44、46)の第2の枝部(44b、46b)の端部はリング支持構造体のそれぞれのハウジングに係合されることを特徴とする、タービンリングアセンブリ。
【請求項8】
第1の枝部(44a、46a)と第2の枝部(44b、46b)とをそれぞれ有するタブ形成L字形部分(44、46)によってそれぞれ延長される2つの端部を有する基部形成第1の部分(42)と、2つのタブ(44、46)を接続してタブ(44、46)および第1の部分(42)と協働して空洞(60)を画定するのに適した第2の部分(48b)とを備えるセラミックマトリクス複合材料の一体部品のタービンリングセクタ用の繊維プリフォーム(40)の製造方法であって、
第1のストリップ(A)、第2のストリップ(B)、および第3のストリップ(C)を同時に三次元織りするステップと、
第1の部分(42)、タブ(44、46)の第1の枝部(44a、46a)、第2の枝部(44b、46b)の第1の厚み部分とを形成するために第1および第2のストリップ(A、B)が互いに平行に織られ、第2の枝部(44b、46b)のアセンブリを形成するために第1および第2のストリップ(A、B)が連結され、第1の部分(42)およびタブ(44、46)の第1の枝部(44a、46a)の位置に第1および第2のストリップ(A、B)間の非連結領域(D)を形成するステップと、
第3のストリップ(C)がタブ(44、46)の一方の第1および第2のストリップ(A、B)によって形成されるアセンブリと交差するように第3のストリップ(C)を織り、第2の部分(48b)を形成する第3のストリップ(C)を2つのタブ(44、46)の一方と第1の接続部を介して接続するステップと、
タブ(44、46)の他方に、第3のストリップ(C)と第1および第2のストリップ(A、B)によって形成されるアセンブリとの第2の接続部を形成するステップと を含む、繊維プリフォーム(40)の製造方法。
【請求項9】
前記第2の接続部が、縫い糸(49)によって形成されることを特徴とする、請求項8に記載の繊維プリフォーム(40)の製造方法。
【請求項10】
金属ストリップ(52、54、56)が前記非連結領域(D)に配置される追加のステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の繊維プリフォーム(40)の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521209(P2013−521209A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555471(P2012−555471)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050428
【国際公開番号】WO2011/107708
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【出願人】(512227328)
【Fターム(参考)】