タービン段シュラウドセグメント
【課題】ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメント部において、冷却効果の高い冷却構造および冷却方法を提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントは、段の作動気体環状部のための端壁を形成する。セグメントはまた、セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供する。使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過する。セグメントは、複数の冷却孔81及び冷却孔のための各空気供給路を有する。冷却孔は、ブレードの先端によってスイープされるセグメントの気体打寄面80の部分にわたって分配されている。冷却孔は、使用中に、気体打寄面にわたって拡がる冷却空気を放出する。供給路は、放出された空気がセグメントにおける主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されている。
【解決手段】ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントは、段の作動気体環状部のための端壁を形成する。セグメントはまた、セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供する。使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過する。セグメントは、複数の冷却孔81及び冷却孔のための各空気供給路を有する。冷却孔は、ブレードの先端によってスイープされるセグメントの気体打寄面80の部分にわたって分配されている。冷却孔は、使用中に、気体打寄面にわたって拡がる冷却空気を放出する。供給路は、放出された空気がセグメントにおける主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、全体として符号10で示されているダクトファンガスタービンエンジンが、主要回転軸X−Xを有する。当該エンジンは、軸方向流れ順に、エアインテーク11と、推進ファン12と、中圧コンプレッサ13と、高圧コンプレッサ14と、燃焼装置15と、高圧タービン16と、中圧タービン17と、低圧タービン18と、コアエンジン排気ノズル19と、を備える。ナセル(nacelle)21が、エンジン10を全体に覆い、インテーク11と、バイパスダクトと、バイパス排気ノズル23と、を形成している。
【0003】
ガスタービンエンジン10は、インテーク11に入る空気が2つの空気流を生成するべく、ファン12によって加速される、というような従来の態様で作用する。第一空気流Aは、中圧コンプレッサ13に入っていき、第二空気流Bは、推進力を提供するべく、バイパスダクト22を通過する。中圧コンプレッサ13は、更なる圧縮が行われる高圧コンプレッサ14に空気流Aを移送する前に、自身の内部に誘導された空気流Aを圧縮する。
【0004】
高圧コンプレッサ14から排気された圧縮空気が、燃焼装置15内に誘導され、燃焼装置15内で、当該圧縮空気が燃料と混合されて、当該混合物が燃焼される。次に、結果として生じる高熱の燃焼生成物は、付加的な推進力を提供するべく、ノズル19を通って排気される前に、高圧タービン16、中圧タービン17及び低圧タービン18を通って膨張し、これらを駆動させる。高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンは、適切な相互連結シャフトを介して、高圧コンプレッサ14、中圧コンプレッサ13及び推進ファン12をそれぞれ駆動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスタービンエンジンの性能は、効率または比出力のどちらの観点から評価されても、タービンの気体温度を上昇させることによって改善される。従って、タービンを可能な限り最も高い温度で稼働することが所望されている。どんなエンジンサイクル圧縮比またはバイパス比にとっても、タービン進入気体温度を上昇させることは、更なる比推力(例えば単位空気質量流量あたりのエンジン推力)を生成する。しかしながら、タービン進入気体温度が上昇するにつれて、非冷却タービンの寿命が下がり、より良い材料の開発と内部空気冷却の導入とを必要とする。
【0006】
近年のエンジンでは、高圧タービン気体温度は、ブレードやベーンの材料の融点より高いので、これらのエーロフォイル要素(airfoil components)の内部空気冷却が必要となる。気流がエンジンを通過する間、動力が抜き取られるため、気流の平均温度は低下する。従って、気体が高圧部から中圧部及び低圧部を通って排気ノズルに向かって動く際には、エンジン構造の静的部及び回転部を冷却する要求は下がっている。
【0007】
図2は、典型的な単一段冷却タービンの斜視図を示している。冷却空気流は、矢印によって示されている。
【0008】
内部対流や外部被膜は、気体経路要素−エーロフォイル、プラットフォーム、シュラウド及びシュラウドセグメント等−を冷却する主要な方法である。高圧タービンノズルガイドベーン31(NGVs)は、高温エンジンで最も多量の冷却空気を消費する。高圧ブレード32は、典型的にはNGV流れの約半分を利用する。HPタービン下流の中圧段及び低圧段は、漸次減少する冷却空気を利用する。
【0009】
高圧タービンエーロフォイルは、コンプレッサからの高圧空気を利用することによって冷却される。前記高圧空気は、燃焼装置を迂回し、これにより、気体温度と比較して相対的に冷たくなっている。典型的な冷却空気温度は、800乃至1000Kであり、一方で、気体温度は、2100Kを越え得る。
【0010】
高熱のタービン要素を冷却するために利用されるコンプレッサからの冷却空気は、タービンから仕事を取出すことに充分に利用されるわけではない。従って、冷却流れを取出すことは、エンジンの作動効率に有害な効果をもたらすので、冷却空気を効率よく利用することが重要である。
【0011】
燃焼装置排気を削減するために、平坦な燃焼径方向特性に向けての駆動と組合わされる気体温度レベルの増大は、NGVプラットフォーム33、ブレードプラットフォーム34及びシュラウドセグメント35(シュラウドライナーとしても知られている)を含む作動気体環状端壁が被る局所的な気体温度の増大をもたらす。しかしながら、前記端壁を冷却するために利用される空気の流れは、タービン効率にとってかなり有害であり得る。これは、冷却流れが主要作動気体流路に戻る際の、前記冷却流れに起因する高い混合損失によるためである。
【0012】
1つの選択肢は、プラットフォームまたはシュラウドセグメントの気体打寄壁の背面に対する冷却空気の衝突流れによって、当該構成要素を冷却することである。例えば、気体打寄壁から離間配置されて、基台に支持された有孔プレートが、衝突噴流を形成し、更に、使い尽くされた冷却流れは、前記構成要素の後縁で作動気体経路内に環流し得る。好ましくないことに、衝突噴流の制限された数は、非均一の熱交換分布を生成し得る。更に、使い尽くされた冷却流れからの横断する流れは、前記構成要素の更に下流の位置で衝突噴流の効果を減少させ得る。加えて、作動気体経路内のレベルを越える冷却流れ圧力を維持する要求は、衝突噴流にわたる許容できる圧力降下を減少させ、従って、関連する熱伝達レベルを減少させる。
【0013】
このように、シュラウドセグメントでは、セグメントの気体打寄面に断熱障壁を提供する摩耗性被膜の利用に対する要請がある。対応するブレード先端に、当該摩耗性被膜内に入る跡(トラック(track))の切除を容易にするべく、摩耗性被膜が付加され得る。前記摩耗性被膜は、セグメント内に入る熱流束を減少させる上で有効であることが証明されている。しかしながら、それらの低い熱伝導性は、摩耗性被膜の厚さにわたって高い温度勾配をもたらす。従って、気体打寄面はかなり高熱となり、保護されない場合には、摩耗性被膜の材料の焼結温度限界を超える温度まで上昇し得る。同様に、典型的には摩耗性被膜をセグメントに取付ける接着層は、摩耗性被膜と接着層混合物との間の境界が、前記摩耗性被膜を酸化させる、あるいは、前記摩耗性被膜を早期にぼろぼろにすることを防ぐべく、所定温度以下に維持される必要もある。
【0014】
摩耗性被膜の気体打寄面の温度を下げるべく、冷却空気の被膜層が、高熱の作動気体と摩耗性被膜との間に設けられ得る。これは、セグメントの表面に流出冷却(effusion cooling)を導くことによって達成され得る。図3は、摩耗性被膜と流出冷却とを有する典型的なシュラウドセグメントの斜視図である。セグメントは、鋳造合金本体40と、タービン支持ケーシングに取付けるための取付脚41と、上流縁42と、下流縁43と、羽根状または細長状密封漏洩制御溝44と、摩耗性表面被膜45と、摩耗性表面被膜の気体打寄面に冷却空気流を送る複数の流出冷却孔46と、を備える。冷却空気流は、気体打寄面に保護被膜を形成する。しかしながら、保護被膜は、気体打寄面と近接する高熱気体と混ざり、気体打寄面上を流れるにつれて、次第に熱くなっていく。保護被膜のこの劣化は、典型的には冷却孔からの距離とともに劣化する「被膜効果」として一般に表現される。
【0015】
被膜効果の高いレベルを達成しようとするために、前記壁と接触する気体の運動量と適合するべく、気体打寄面上に低い運動量を有する冷却空気を導入することが慣用されている。保護被膜の吹出率が高すぎると、保護被膜は気体打寄面から吹き離れ、気体と冷却流れとの間の混合が促進される。冷却孔は、流れが冷却孔を抜ける際に当該流れを拡散させるべく、扇状の開口として形成され得る。前記冷却孔の供給路の角度もまた、重要なパラメータである。一般的には、気体打寄面に対する供給路の直線のより狭い角度(例えば、エンジン軸に対して狭い半径方向角度)が、保護被膜が気体打寄面から分離していくようになることを防ぐことに貢献する。
【0016】
従来は、狭い角度の供給路を提供して、供給路の長さを増大し、供給路内の対流性の熱収集(convective heat pickup)を増大させることを行っていた。供給路の方向の効果に対しては、ほとんど考慮がなされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の第1の特徴は、ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントを提供し、セグメントは、段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過する。セグメントは、複数の冷却孔及び冷却孔のための各空気供給路を有し、冷却孔は、ブレードの先端によってスイープされるセグメントの気体打寄面の部分にわたって分配されており、冷却孔は、使用中に、気体打寄面にわたって拡がる冷却空気を放出し、供給路は、放出された空気がセグメントにおける主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されている。供給路は、ブレードの先端の後縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向が、ブレードの先端の前縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向に対して、エンジンの軸方向に向かって回転されるように構成されている。
【0018】
セグメントにおける主流の流れの旋回方向に対して、放出空気旋回方向を非整列とすることで、放出空気により形成される冷却被膜の拡がりを増大させることができる。しかしながら、拡がりは局所的に良好な被膜被覆を提供できるが、被膜効果のレベルが急激に低下し得る。対照的に、本発明は、セグメントにおける主流の流れの旋回方向に対して、放出空気旋回方向を同一方向に整列させることにより、全体的に良好な被膜効果を提供することができるという認識に、少なくとも部分的に基づいている。
【0019】
ブレードの先端の後縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向が、ブレードの先端の前縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向に対して、エンジンの軸方向に向かって回転されるように供給路を構成することで、放出空気旋回方向を主流の流れの局所的な旋回方向に、より良く合致させるように支援することができる。これは、典型的には、ブレード先端の後縁における主流の流れの局所的な方向が、ブレード先端の前縁における主流の流れの局所的な方向に対して、エンジンの軸方向に向かって回転されるからである。
【0020】
シュラウドセグメントは、以下の任意の特徴の一つ又はそれらが共存できる限りにおいて組み合わせを有することができる。
【0021】
各供給路の線は、エンジンの軸に対して、旋回角及び放射角によって定義され得る。供給路の線の旋回角は、通常、対応する冷却孔から放出される冷却空気の旋回角を決定し(例えば通常はこれと同じであり)、それ故に、放出される空気の旋回方向を決定する。放出される空気がセグメントにおいて主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように供給路を構成することは、冷却孔の所定の位置に対して、所望の放出空気旋回方向を提供するべく、供給路の線の旋回角度を設定することを典型的には伴う。
【0022】
好ましくは、各供給路は、孔のそれぞれにて、放出された空気が、主流の流れの局所的な旋回方向と少なくとも20°以内で同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されており、より好ましくは、少なくとも15°又は10°以内である。
【0023】
供給路は、ブレードの先端の前縁によってスイープされる冷却孔からブレードの先端の後縁によってスイープされる冷却孔へエンジンの軸方向に移動するときに直面する冷却孔のそれぞれの放出空気旋回方向が、10°〜70°の範囲の角度で回転するように構成されており、好ましくは25°〜55°の範囲の角度であり、例えば35°〜45°の角度である。
【0024】
ブレード先端によってスイープされる気体打寄面の一部が、少なくとも4つの、好ましくは少なくとも6つのまたは8つの、軸方向に間隔を空けて、周方向に延在している冷却孔の列を有し、各列は、各々の放出空気旋回角度を有している(即ち、所定の列の全ての冷却孔の放出空気旋回方向が、エンジン軸周りの回転のもとで回転対称である)。より多くの冷却孔の列を有すれば、各孔からの放出空気が各孔からのより小さな軸方向距離にわたってセグメントにおいて主流の流れの方向と整列することに集中させ得る。換言すれば、セグメントにおける主流の流れの方向及び強さにおける変化が、より小さな軸方向距離にわたって概ねより狭くなるにつれて、各孔は、局所的な主流の流れの状態により良く「調和」され得る。このように、冷却孔の列の数の増加は、セグメントにおける主流の流れ全体とのより効果的な整列を提供し得る。好ましくは、各列の冷却孔及び各空気供給路は、列の孔からの放出空気トレイル(trail)が、次の下流の列の隣接する孔と整列しないように配置される。このような孔の非整列は、冷却被膜被覆を改善できる。
【0025】
本発明の更なる特徴によれば、冷却孔は周方向に延びる列状に配置されており、少なくとも幾つかの隣接する周方向に延びる孔の列は、互いに対して周方向にオフセットされている。これは、例えば孔が互いに重なり合うことがないように保証することによって、孔の所望の角度及び間隔を許容することに貢献し得る。そのような構成は、改善された冷却被膜被覆をもたらすことにも貢献し得る。
【0026】
本発明の更なる特徴は、第1の特徴によるシュラウドセグメントを備えたタービン段を有するガスタービンエンジンを提供する。
【0027】
本発明の他の特徴は、ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントを製造する方法を提供し、セグメントは段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過し、
前記方法は、
作動気体の主流の流れのセグメントにおける旋回方向を予測するためのコンピュータによる流体力学計算を実施する工程と、
第1の特徴によるシュラウドセグメントを製造する工程であって、供給路は、放出された空気がセグメントにおける主流の流れの予測された旋回方向と同一方向に整列された旋回方向を持つように構成される、工程と、を備える。
【0028】
例えば、各供給路を、各孔において放出された空気が主流の流れの予測された局所的な旋回方向と少なくとも30°以内で(及びより好ましくは少なくとも20°又は10°以内で)同一方向に整列された旋回方向を持つように構成することができる。
【0029】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について例示的に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ダクトファンガスタービンエンジンを通る概略長手方向横断面を示す図。
【図2】典型的な単一段冷却タービンの斜視図を示す図。
【図3】摩耗性被膜と流出冷却とを有する典型的なシュラウドセグメントの斜視図。
【図4】絶対座標系において従来のシュラウドセグメントの気体打寄面、及び、ブレード間を通過する主気流に対して決定される空力的な筋線(aerodynamic streaklines)を示す図。
【図5】冷却孔を有するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度がすべて同じ方向である図。
【図6】ノズルガイドベーンの列と、それに続くローターブレードの列とを概略的に示す図。
【図7】速度三角形を示す図。
【図8】冷却孔を有するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度が局所的な主流の流れの旋回方向と同一方向に整列している図。
【図9】冷却孔を有するシュラウドセグメントの一部の気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度が局所的な主流の流れの旋回方向と同一方向に整列している図。
【図10】冷却孔を有するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度が局所的な主流の流れの旋回方向と同一方向に整列している図。
【図11】互い違いの孔配置を備える点を除いて、図10のシュラウドセグメントに類似するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示す図。
【図12】冷却孔が一列に並んだ配置から互い違いの配置に漸進的に変化する点を除いて、図10及び図11に示すシュラウドセグメントに類似するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図4は、絶対座標系(即ち、非回転座標系)においてシュラウドセグメントの気体打寄面及び通過するブレード間の主流に対して決定される空力的な筋線50(aerodynamic streaklines)を示す。筋線は、気体打寄面内に形成された冷却孔51から生じる。ブロック矢印Va1、Va2は、ブレード間通路の入口及び出口それぞれにおいてブレード間通路内の主流(流れの半径方向成分を無視している)の方向を示している。冷却孔は、通路(破線で図示される)を有している。当該通路は、空気を冷却孔に供給し、エンジンの軸方向に対して旋回しないか(通路52)、エンジンの軸方向に対してある旋回角度(通路53)になっている。放出された空気は、気体打寄面にわたって冷却被膜を形成している。
【0032】
慣例的に、主流の流れ方向の情報は、冷却孔の供給路の向きを決める際に使用されていない。例えば、一つの従来のアプローチは、セグメントの気体打寄面の少なくとも中央孔において、共通の角度にて供給路を配向する。表面の先端での孔において、各々の孔への接近を容易にするために、異なる供給路配向を選択することもできる。図5は、セグメントの気体打寄面60上の冷却孔パターンを示している。孔61は、扇形状の開口を有し、孔の供給路はこれら開口の長手方向と整列している。従って、すべての孔が、(ブロック矢印で示されているように)同じ旋回角度にて冷却空気を放出する。
【0033】
しかしながら、高い気体温度において、そのようなアプローチは熱効果(thermal benefits)の最適化に失敗し得る。特に、輪郭が付けられた端壁(contoured endwalls)の使用が増えると、二次的な流れが相当に減少し、冷却被膜はより長い距離にわたって気体打寄面に付着することができ、従って、冷却効率を考慮することが益々重要となる。
【0034】
そのため、本発明は、冷却孔供給路の配向を決定するための異なるアプローチを提供するものであり、このアプローチは、通過するブレード先端間の通路におけるシュラウドセグメントの気体打寄面での又はその近傍での、主流の流れの空力学的挙動を評価することを含むものである。この評価は、セグメントの近傍の流れパターンの3次元コンピュータ流れダイナミクス(CFD)を用いて行うことができ、これは、流れビジュアライゼーション(flow visualization)として知られている。典型的には、表面速度ベクトルがプロットされ、そのような情報から、冷却流れが、主流の気体のそれと同様の旋回角度にてどのように放出され得るかを決定することができる。このようにして、放出された空気と主流の流れの旋回方向を同一方向に整列することで、より安定し且つ持続性のある、より高い冷却効率を持つ冷却被膜を生成することができる。
【0035】
特に、被膜冷却の観点から、放出された冷却空気の軌道が最適化されるような方法にて、冷却孔を配置し、供給路を形成するために、静的な座標系と回転する座標系の両方にて、ブレードの先端での主流の流れの流れ線(streamline)を知ることが有益である。そして、冷却孔は、周方向に延びる列にて配置でき、各列からの放出された空気の旋回方向が、局所的な主流の流れと同一方向に整列される。
【0036】
図6は、ノズルガイドベーン70の列の先端領域及びそれに続くローターブレード71の列の先端領域を概略的に示した図であり、図中の矢印は、(i)ローターブレード先端の回転方向U、(ii)ローターブレードの列の入口及び出口のそれぞれでの絶対座標系における先端での主流の流れの方向Va1、Va2、及び(iii)回転座標系における先端での主流の流れの対応する方向Vr1、Vr2を示している。回転座標系におけるブレード間通路Vrpに沿った異なる軸方向位置での先端での主流の流れの方向は、破線矢印によって概略的に示されている。
【0037】
図7に示されているように、各Vrpについて速度三角形を構成することができ、Vapは、絶対座標系におけるブレード先端での(即ち、シュラウドセグメントによって形成された端壁での)主流の流れの合成ベクトルを示している。このように、Vapは、静的な座標系において冷却流れ及び主流の流れと同一方向に整列される必要があるであろう局所的な冷却流れの方向を示している。速度三角形及びそれ故にVapの方向及び大きさは、Vrpの方向及び大きさがセグメントの前から後ろまで変化するにつれて、セグメントの前から後ろまで変化する。一般に、Vapは、ブレードの前縁よりもブレードの後縁においてエンジンの軸方向により接近している。
【0038】
図8は、シュラウドセグメントの気体打寄面80を概略的に示している。冷却孔81の周方向に延びる9つの列は、通過するブレード先端によってスイープされる表面の部分にわたって分布している。孔81は、扇形状の開口を持ち、孔に冷却空気を供給する各供給路がこれらの開口の長手方向に整列されている。供給路は、孔から外へ放出される冷却空気がセグメントでの局所的な主流の流れの方向と同一方向に整列するように構成されている。異なる列の孔の(ブロック矢印によって示された)旋回方向は、局所的なVapに沿って配向される。
【0039】
このように、放出された空気の旋回角度は、Vapが軸方向に沿って同様に変化するにつれて、列から列へと変化する。必要であれば、例えば製造を簡略化するために、隣接する孔列が同じ放出空気旋回角度を有しているが、少なくとも幾つかの列が、局所的なVapとそれほど良くは整列していない放出空気旋回角度を提供するようにしても良い。
【0040】
図9に示されているように、ブレード先端の前縁によってスイープされる冷却孔82(即ち、上流冷却孔82)と、ブレードの後縁によってスイープされる冷却孔83(即ち、下流冷却孔)とは、シュラウドの局所的な周方向に対して異なる角度Ωをなしている。上流冷却孔82の角度Ωは、下流冷却孔83の角度Ωよりも小さく、下流冷却孔83は上流冷却孔82に対して軸方向に向かって回転されている。ここで冷却孔の角度を参照すると、これは、冷却孔から放出される冷却流れの角度を意味するかも知れない。
【0041】
例示すると、上流冷却孔82の角度Ωは、5°〜45°の範囲とすることができ、例えば10°〜35°の範囲であり、例えば15°〜25°の範囲であり、例えば20°台である。
【0042】
例示すると、下流冷却孔83の角度Ωは、40°〜90°の範囲とすることができ、例えば50°〜85°の範囲とすることができ、例えば60°〜75°の範囲とすることができ、例えば70°台である。
【0043】
上流冷却孔82及び下流冷却孔83の両方の正確な角度Ωは、例えば、ブレードのタイプ、及び/又はシュラウドのタイプ、及び/又はガスタービンエンジンのタイプ、及び/又はガスタービンエンジンの適用に依存するであろう。
【0044】
上で示したように、上記実施形態においては、角度Ωは下流方向に増加しても良い。幾つかの実施形態においては、角度Ωの増加率もまた、下流方向に増加しても良い。
【0045】
図9及び図10に示された実施形態においては、孔82、83は、周方向の列に平行に且つ整列して配置されている。しかしながら、代替の実施形態においては、孔は互い違いであっても良い。これは、周方向に隣接する孔84、85が軸方向にオフセットされても良いことを意味している。これは、隣接する周方向に延びる孔84、85の列が、互いに周方向にオフセットされても良いことを意味している。そのような構成の一例が図11に示されている。そのような構成は、より良い冷却被膜被覆を提供し得る。これはまた、例えば隣接する孔が相互作用しない(即ち互いに融合しない)ようにすることで、孔が所望の角度及び離間距離を持てるようにできるかも知れない。
【0046】
代替の実施形態が図12に示されている。この実施形態においては、上流端における孔86は実質的に直線状であり、即ち、それらは直線状の周方向の列を形成し、孔は、下流方向にますます互い違いとなっている。
【0047】
孔のあらゆる適切な構成を使用できることも評価される。また、図10、11、及び12との関係でここで議論した孔81の特徴を、すべての実施形態に適用できることも評価される。
【0048】
従って、孔は、所定の列の孔からの被膜トレイル(film trail)が、下流の次の列の孔と整列しないように配置され得る。これは、被膜被覆を改善することができる。しかしながら、やがては、被膜トレイルは下流方向に融合する傾向にある。結果として得られる被膜厚さは、添加被膜重ね合わせ原理を仮定することによって計算し得る。通過するブレード先端間の時間はほとんど無いように見えるが、速度ベクトル計算によれば、被膜はそれら自身を形成することができ、各被膜トレイルは、通過するブレード先端によってぬぐい去られる前に、相当な距離(典型的には数ミリメートル)にわたって延びることができる。
【0049】
放出された冷却材の流れの軌跡が、局所的な主流の流れと整列しておらず且つ同一方向でない場合、被膜冷却空気と主流気体との間の混合が増加するかもしれず、その結果、冷却効率が低下する。従って、そのような非整列は、好ましくは約20°よりも小さい。
【0050】
供給路は、典型的には、気体打寄面に対する浅い角度での機械加工で形成され、その結果、放出された空気は主流の気体流れと融合し、飛沫同伴(entrainment)は最小限に抑えられる。冷却流れの吹込み率(blowing rate)(即ち、(ρv)c/(ρv)g、ここでρは密度、vは速度、及び下付き文字c、gはそれぞれ冷却空気及び気体を示す。)は、好ましくは、「1」の値の近辺に維持され、被膜が表面から分離(「ブローオフ(blow off)」)しないように支援される。もし被膜のブローオフが生じると、被膜冷却効果が実質的に喪失され、減少する。
【0051】
より高い冷却率が要求される軸方向上の位置において、より高い放出空気流量を生成するように、孔及び供給路の寸法を決定し及び/又は孔密度を変化させることができる。しかしながら、冷却材流量が増加するとタービン効率に悪い影響を与えうるので、必要な箇所でのみ放出空気流量を増加させるのが有利である。
【0052】
有利には、セグメントでの主流の流れの旋回方向に対して、放出空気の旋回方向を同一方向に整列させることにより、被膜冷却の効率を改善することができる。これは、金属及びコーティング温度を低下させ、機器寿命の改善をもたらすことができる。代替として、被膜冷却効率の改善を、冷却材流れの低減と交換することもできる。冷却材流れの低減及びこれに対応する混合損失の低減は、タービンの段効率にとって、究極的にはエンジンの比燃料燃焼(specific fuel consumption)にとって有益である。上述した例示的な実施形態に合わせて本発明を説明してきたが、この開示内容が与えられることにより、多くの等価の変形及び変更が当業者において明らかとなるであろう。従って、上述した本発明の例示的な実施形態は例証的なものであり、限定的なものではない。本発明の範囲から外れることなく、上述した実施形態に対して各種の変更を行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、全体として符号10で示されているダクトファンガスタービンエンジンが、主要回転軸X−Xを有する。当該エンジンは、軸方向流れ順に、エアインテーク11と、推進ファン12と、中圧コンプレッサ13と、高圧コンプレッサ14と、燃焼装置15と、高圧タービン16と、中圧タービン17と、低圧タービン18と、コアエンジン排気ノズル19と、を備える。ナセル(nacelle)21が、エンジン10を全体に覆い、インテーク11と、バイパスダクトと、バイパス排気ノズル23と、を形成している。
【0003】
ガスタービンエンジン10は、インテーク11に入る空気が2つの空気流を生成するべく、ファン12によって加速される、というような従来の態様で作用する。第一空気流Aは、中圧コンプレッサ13に入っていき、第二空気流Bは、推進力を提供するべく、バイパスダクト22を通過する。中圧コンプレッサ13は、更なる圧縮が行われる高圧コンプレッサ14に空気流Aを移送する前に、自身の内部に誘導された空気流Aを圧縮する。
【0004】
高圧コンプレッサ14から排気された圧縮空気が、燃焼装置15内に誘導され、燃焼装置15内で、当該圧縮空気が燃料と混合されて、当該混合物が燃焼される。次に、結果として生じる高熱の燃焼生成物は、付加的な推進力を提供するべく、ノズル19を通って排気される前に、高圧タービン16、中圧タービン17及び低圧タービン18を通って膨張し、これらを駆動させる。高圧タービン、中圧タービン及び低圧タービンは、適切な相互連結シャフトを介して、高圧コンプレッサ14、中圧コンプレッサ13及び推進ファン12をそれぞれ駆動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスタービンエンジンの性能は、効率または比出力のどちらの観点から評価されても、タービンの気体温度を上昇させることによって改善される。従って、タービンを可能な限り最も高い温度で稼働することが所望されている。どんなエンジンサイクル圧縮比またはバイパス比にとっても、タービン進入気体温度を上昇させることは、更なる比推力(例えば単位空気質量流量あたりのエンジン推力)を生成する。しかしながら、タービン進入気体温度が上昇するにつれて、非冷却タービンの寿命が下がり、より良い材料の開発と内部空気冷却の導入とを必要とする。
【0006】
近年のエンジンでは、高圧タービン気体温度は、ブレードやベーンの材料の融点より高いので、これらのエーロフォイル要素(airfoil components)の内部空気冷却が必要となる。気流がエンジンを通過する間、動力が抜き取られるため、気流の平均温度は低下する。従って、気体が高圧部から中圧部及び低圧部を通って排気ノズルに向かって動く際には、エンジン構造の静的部及び回転部を冷却する要求は下がっている。
【0007】
図2は、典型的な単一段冷却タービンの斜視図を示している。冷却空気流は、矢印によって示されている。
【0008】
内部対流や外部被膜は、気体経路要素−エーロフォイル、プラットフォーム、シュラウド及びシュラウドセグメント等−を冷却する主要な方法である。高圧タービンノズルガイドベーン31(NGVs)は、高温エンジンで最も多量の冷却空気を消費する。高圧ブレード32は、典型的にはNGV流れの約半分を利用する。HPタービン下流の中圧段及び低圧段は、漸次減少する冷却空気を利用する。
【0009】
高圧タービンエーロフォイルは、コンプレッサからの高圧空気を利用することによって冷却される。前記高圧空気は、燃焼装置を迂回し、これにより、気体温度と比較して相対的に冷たくなっている。典型的な冷却空気温度は、800乃至1000Kであり、一方で、気体温度は、2100Kを越え得る。
【0010】
高熱のタービン要素を冷却するために利用されるコンプレッサからの冷却空気は、タービンから仕事を取出すことに充分に利用されるわけではない。従って、冷却流れを取出すことは、エンジンの作動効率に有害な効果をもたらすので、冷却空気を効率よく利用することが重要である。
【0011】
燃焼装置排気を削減するために、平坦な燃焼径方向特性に向けての駆動と組合わされる気体温度レベルの増大は、NGVプラットフォーム33、ブレードプラットフォーム34及びシュラウドセグメント35(シュラウドライナーとしても知られている)を含む作動気体環状端壁が被る局所的な気体温度の増大をもたらす。しかしながら、前記端壁を冷却するために利用される空気の流れは、タービン効率にとってかなり有害であり得る。これは、冷却流れが主要作動気体流路に戻る際の、前記冷却流れに起因する高い混合損失によるためである。
【0012】
1つの選択肢は、プラットフォームまたはシュラウドセグメントの気体打寄壁の背面に対する冷却空気の衝突流れによって、当該構成要素を冷却することである。例えば、気体打寄壁から離間配置されて、基台に支持された有孔プレートが、衝突噴流を形成し、更に、使い尽くされた冷却流れは、前記構成要素の後縁で作動気体経路内に環流し得る。好ましくないことに、衝突噴流の制限された数は、非均一の熱交換分布を生成し得る。更に、使い尽くされた冷却流れからの横断する流れは、前記構成要素の更に下流の位置で衝突噴流の効果を減少させ得る。加えて、作動気体経路内のレベルを越える冷却流れ圧力を維持する要求は、衝突噴流にわたる許容できる圧力降下を減少させ、従って、関連する熱伝達レベルを減少させる。
【0013】
このように、シュラウドセグメントでは、セグメントの気体打寄面に断熱障壁を提供する摩耗性被膜の利用に対する要請がある。対応するブレード先端に、当該摩耗性被膜内に入る跡(トラック(track))の切除を容易にするべく、摩耗性被膜が付加され得る。前記摩耗性被膜は、セグメント内に入る熱流束を減少させる上で有効であることが証明されている。しかしながら、それらの低い熱伝導性は、摩耗性被膜の厚さにわたって高い温度勾配をもたらす。従って、気体打寄面はかなり高熱となり、保護されない場合には、摩耗性被膜の材料の焼結温度限界を超える温度まで上昇し得る。同様に、典型的には摩耗性被膜をセグメントに取付ける接着層は、摩耗性被膜と接着層混合物との間の境界が、前記摩耗性被膜を酸化させる、あるいは、前記摩耗性被膜を早期にぼろぼろにすることを防ぐべく、所定温度以下に維持される必要もある。
【0014】
摩耗性被膜の気体打寄面の温度を下げるべく、冷却空気の被膜層が、高熱の作動気体と摩耗性被膜との間に設けられ得る。これは、セグメントの表面に流出冷却(effusion cooling)を導くことによって達成され得る。図3は、摩耗性被膜と流出冷却とを有する典型的なシュラウドセグメントの斜視図である。セグメントは、鋳造合金本体40と、タービン支持ケーシングに取付けるための取付脚41と、上流縁42と、下流縁43と、羽根状または細長状密封漏洩制御溝44と、摩耗性表面被膜45と、摩耗性表面被膜の気体打寄面に冷却空気流を送る複数の流出冷却孔46と、を備える。冷却空気流は、気体打寄面に保護被膜を形成する。しかしながら、保護被膜は、気体打寄面と近接する高熱気体と混ざり、気体打寄面上を流れるにつれて、次第に熱くなっていく。保護被膜のこの劣化は、典型的には冷却孔からの距離とともに劣化する「被膜効果」として一般に表現される。
【0015】
被膜効果の高いレベルを達成しようとするために、前記壁と接触する気体の運動量と適合するべく、気体打寄面上に低い運動量を有する冷却空気を導入することが慣用されている。保護被膜の吹出率が高すぎると、保護被膜は気体打寄面から吹き離れ、気体と冷却流れとの間の混合が促進される。冷却孔は、流れが冷却孔を抜ける際に当該流れを拡散させるべく、扇状の開口として形成され得る。前記冷却孔の供給路の角度もまた、重要なパラメータである。一般的には、気体打寄面に対する供給路の直線のより狭い角度(例えば、エンジン軸に対して狭い半径方向角度)が、保護被膜が気体打寄面から分離していくようになることを防ぐことに貢献する。
【0016】
従来は、狭い角度の供給路を提供して、供給路の長さを増大し、供給路内の対流性の熱収集(convective heat pickup)を増大させることを行っていた。供給路の方向の効果に対しては、ほとんど考慮がなされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の第1の特徴は、ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントを提供し、セグメントは、段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過する。セグメントは、複数の冷却孔及び冷却孔のための各空気供給路を有し、冷却孔は、ブレードの先端によってスイープされるセグメントの気体打寄面の部分にわたって分配されており、冷却孔は、使用中に、気体打寄面にわたって拡がる冷却空気を放出し、供給路は、放出された空気がセグメントにおける主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されている。供給路は、ブレードの先端の後縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向が、ブレードの先端の前縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向に対して、エンジンの軸方向に向かって回転されるように構成されている。
【0018】
セグメントにおける主流の流れの旋回方向に対して、放出空気旋回方向を非整列とすることで、放出空気により形成される冷却被膜の拡がりを増大させることができる。しかしながら、拡がりは局所的に良好な被膜被覆を提供できるが、被膜効果のレベルが急激に低下し得る。対照的に、本発明は、セグメントにおける主流の流れの旋回方向に対して、放出空気旋回方向を同一方向に整列させることにより、全体的に良好な被膜効果を提供することができるという認識に、少なくとも部分的に基づいている。
【0019】
ブレードの先端の後縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向が、ブレードの先端の前縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向に対して、エンジンの軸方向に向かって回転されるように供給路を構成することで、放出空気旋回方向を主流の流れの局所的な旋回方向に、より良く合致させるように支援することができる。これは、典型的には、ブレード先端の後縁における主流の流れの局所的な方向が、ブレード先端の前縁における主流の流れの局所的な方向に対して、エンジンの軸方向に向かって回転されるからである。
【0020】
シュラウドセグメントは、以下の任意の特徴の一つ又はそれらが共存できる限りにおいて組み合わせを有することができる。
【0021】
各供給路の線は、エンジンの軸に対して、旋回角及び放射角によって定義され得る。供給路の線の旋回角は、通常、対応する冷却孔から放出される冷却空気の旋回角を決定し(例えば通常はこれと同じであり)、それ故に、放出される空気の旋回方向を決定する。放出される空気がセグメントにおいて主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように供給路を構成することは、冷却孔の所定の位置に対して、所望の放出空気旋回方向を提供するべく、供給路の線の旋回角度を設定することを典型的には伴う。
【0022】
好ましくは、各供給路は、孔のそれぞれにて、放出された空気が、主流の流れの局所的な旋回方向と少なくとも20°以内で同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されており、より好ましくは、少なくとも15°又は10°以内である。
【0023】
供給路は、ブレードの先端の前縁によってスイープされる冷却孔からブレードの先端の後縁によってスイープされる冷却孔へエンジンの軸方向に移動するときに直面する冷却孔のそれぞれの放出空気旋回方向が、10°〜70°の範囲の角度で回転するように構成されており、好ましくは25°〜55°の範囲の角度であり、例えば35°〜45°の角度である。
【0024】
ブレード先端によってスイープされる気体打寄面の一部が、少なくとも4つの、好ましくは少なくとも6つのまたは8つの、軸方向に間隔を空けて、周方向に延在している冷却孔の列を有し、各列は、各々の放出空気旋回角度を有している(即ち、所定の列の全ての冷却孔の放出空気旋回方向が、エンジン軸周りの回転のもとで回転対称である)。より多くの冷却孔の列を有すれば、各孔からの放出空気が各孔からのより小さな軸方向距離にわたってセグメントにおいて主流の流れの方向と整列することに集中させ得る。換言すれば、セグメントにおける主流の流れの方向及び強さにおける変化が、より小さな軸方向距離にわたって概ねより狭くなるにつれて、各孔は、局所的な主流の流れの状態により良く「調和」され得る。このように、冷却孔の列の数の増加は、セグメントにおける主流の流れ全体とのより効果的な整列を提供し得る。好ましくは、各列の冷却孔及び各空気供給路は、列の孔からの放出空気トレイル(trail)が、次の下流の列の隣接する孔と整列しないように配置される。このような孔の非整列は、冷却被膜被覆を改善できる。
【0025】
本発明の更なる特徴によれば、冷却孔は周方向に延びる列状に配置されており、少なくとも幾つかの隣接する周方向に延びる孔の列は、互いに対して周方向にオフセットされている。これは、例えば孔が互いに重なり合うことがないように保証することによって、孔の所望の角度及び間隔を許容することに貢献し得る。そのような構成は、改善された冷却被膜被覆をもたらすことにも貢献し得る。
【0026】
本発明の更なる特徴は、第1の特徴によるシュラウドセグメントを備えたタービン段を有するガスタービンエンジンを提供する。
【0027】
本発明の他の特徴は、ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントを製造する方法を提供し、セグメントは段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過し、
前記方法は、
作動気体の主流の流れのセグメントにおける旋回方向を予測するためのコンピュータによる流体力学計算を実施する工程と、
第1の特徴によるシュラウドセグメントを製造する工程であって、供給路は、放出された空気がセグメントにおける主流の流れの予測された旋回方向と同一方向に整列された旋回方向を持つように構成される、工程と、を備える。
【0028】
例えば、各供給路を、各孔において放出された空気が主流の流れの予測された局所的な旋回方向と少なくとも30°以内で(及びより好ましくは少なくとも20°又は10°以内で)同一方向に整列された旋回方向を持つように構成することができる。
【0029】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について例示的に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ダクトファンガスタービンエンジンを通る概略長手方向横断面を示す図。
【図2】典型的な単一段冷却タービンの斜視図を示す図。
【図3】摩耗性被膜と流出冷却とを有する典型的なシュラウドセグメントの斜視図。
【図4】絶対座標系において従来のシュラウドセグメントの気体打寄面、及び、ブレード間を通過する主気流に対して決定される空力的な筋線(aerodynamic streaklines)を示す図。
【図5】冷却孔を有するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度がすべて同じ方向である図。
【図6】ノズルガイドベーンの列と、それに続くローターブレードの列とを概略的に示す図。
【図7】速度三角形を示す図。
【図8】冷却孔を有するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度が局所的な主流の流れの旋回方向と同一方向に整列している図。
【図9】冷却孔を有するシュラウドセグメントの一部の気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度が局所的な主流の流れの旋回方向と同一方向に整列している図。
【図10】冷却孔を有するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示し、冷却孔の供給路の旋回角度が局所的な主流の流れの旋回方向と同一方向に整列している図。
【図11】互い違いの孔配置を備える点を除いて、図10のシュラウドセグメントに類似するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示す図。
【図12】冷却孔が一列に並んだ配置から互い違いの配置に漸進的に変化する点を除いて、図10及び図11に示すシュラウドセグメントに類似するシュラウドセグメントの気体打寄面を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図4は、絶対座標系(即ち、非回転座標系)においてシュラウドセグメントの気体打寄面及び通過するブレード間の主流に対して決定される空力的な筋線50(aerodynamic streaklines)を示す。筋線は、気体打寄面内に形成された冷却孔51から生じる。ブロック矢印Va1、Va2は、ブレード間通路の入口及び出口それぞれにおいてブレード間通路内の主流(流れの半径方向成分を無視している)の方向を示している。冷却孔は、通路(破線で図示される)を有している。当該通路は、空気を冷却孔に供給し、エンジンの軸方向に対して旋回しないか(通路52)、エンジンの軸方向に対してある旋回角度(通路53)になっている。放出された空気は、気体打寄面にわたって冷却被膜を形成している。
【0032】
慣例的に、主流の流れ方向の情報は、冷却孔の供給路の向きを決める際に使用されていない。例えば、一つの従来のアプローチは、セグメントの気体打寄面の少なくとも中央孔において、共通の角度にて供給路を配向する。表面の先端での孔において、各々の孔への接近を容易にするために、異なる供給路配向を選択することもできる。図5は、セグメントの気体打寄面60上の冷却孔パターンを示している。孔61は、扇形状の開口を有し、孔の供給路はこれら開口の長手方向と整列している。従って、すべての孔が、(ブロック矢印で示されているように)同じ旋回角度にて冷却空気を放出する。
【0033】
しかしながら、高い気体温度において、そのようなアプローチは熱効果(thermal benefits)の最適化に失敗し得る。特に、輪郭が付けられた端壁(contoured endwalls)の使用が増えると、二次的な流れが相当に減少し、冷却被膜はより長い距離にわたって気体打寄面に付着することができ、従って、冷却効率を考慮することが益々重要となる。
【0034】
そのため、本発明は、冷却孔供給路の配向を決定するための異なるアプローチを提供するものであり、このアプローチは、通過するブレード先端間の通路におけるシュラウドセグメントの気体打寄面での又はその近傍での、主流の流れの空力学的挙動を評価することを含むものである。この評価は、セグメントの近傍の流れパターンの3次元コンピュータ流れダイナミクス(CFD)を用いて行うことができ、これは、流れビジュアライゼーション(flow visualization)として知られている。典型的には、表面速度ベクトルがプロットされ、そのような情報から、冷却流れが、主流の気体のそれと同様の旋回角度にてどのように放出され得るかを決定することができる。このようにして、放出された空気と主流の流れの旋回方向を同一方向に整列することで、より安定し且つ持続性のある、より高い冷却効率を持つ冷却被膜を生成することができる。
【0035】
特に、被膜冷却の観点から、放出された冷却空気の軌道が最適化されるような方法にて、冷却孔を配置し、供給路を形成するために、静的な座標系と回転する座標系の両方にて、ブレードの先端での主流の流れの流れ線(streamline)を知ることが有益である。そして、冷却孔は、周方向に延びる列にて配置でき、各列からの放出された空気の旋回方向が、局所的な主流の流れと同一方向に整列される。
【0036】
図6は、ノズルガイドベーン70の列の先端領域及びそれに続くローターブレード71の列の先端領域を概略的に示した図であり、図中の矢印は、(i)ローターブレード先端の回転方向U、(ii)ローターブレードの列の入口及び出口のそれぞれでの絶対座標系における先端での主流の流れの方向Va1、Va2、及び(iii)回転座標系における先端での主流の流れの対応する方向Vr1、Vr2を示している。回転座標系におけるブレード間通路Vrpに沿った異なる軸方向位置での先端での主流の流れの方向は、破線矢印によって概略的に示されている。
【0037】
図7に示されているように、各Vrpについて速度三角形を構成することができ、Vapは、絶対座標系におけるブレード先端での(即ち、シュラウドセグメントによって形成された端壁での)主流の流れの合成ベクトルを示している。このように、Vapは、静的な座標系において冷却流れ及び主流の流れと同一方向に整列される必要があるであろう局所的な冷却流れの方向を示している。速度三角形及びそれ故にVapの方向及び大きさは、Vrpの方向及び大きさがセグメントの前から後ろまで変化するにつれて、セグメントの前から後ろまで変化する。一般に、Vapは、ブレードの前縁よりもブレードの後縁においてエンジンの軸方向により接近している。
【0038】
図8は、シュラウドセグメントの気体打寄面80を概略的に示している。冷却孔81の周方向に延びる9つの列は、通過するブレード先端によってスイープされる表面の部分にわたって分布している。孔81は、扇形状の開口を持ち、孔に冷却空気を供給する各供給路がこれらの開口の長手方向に整列されている。供給路は、孔から外へ放出される冷却空気がセグメントでの局所的な主流の流れの方向と同一方向に整列するように構成されている。異なる列の孔の(ブロック矢印によって示された)旋回方向は、局所的なVapに沿って配向される。
【0039】
このように、放出された空気の旋回角度は、Vapが軸方向に沿って同様に変化するにつれて、列から列へと変化する。必要であれば、例えば製造を簡略化するために、隣接する孔列が同じ放出空気旋回角度を有しているが、少なくとも幾つかの列が、局所的なVapとそれほど良くは整列していない放出空気旋回角度を提供するようにしても良い。
【0040】
図9に示されているように、ブレード先端の前縁によってスイープされる冷却孔82(即ち、上流冷却孔82)と、ブレードの後縁によってスイープされる冷却孔83(即ち、下流冷却孔)とは、シュラウドの局所的な周方向に対して異なる角度Ωをなしている。上流冷却孔82の角度Ωは、下流冷却孔83の角度Ωよりも小さく、下流冷却孔83は上流冷却孔82に対して軸方向に向かって回転されている。ここで冷却孔の角度を参照すると、これは、冷却孔から放出される冷却流れの角度を意味するかも知れない。
【0041】
例示すると、上流冷却孔82の角度Ωは、5°〜45°の範囲とすることができ、例えば10°〜35°の範囲であり、例えば15°〜25°の範囲であり、例えば20°台である。
【0042】
例示すると、下流冷却孔83の角度Ωは、40°〜90°の範囲とすることができ、例えば50°〜85°の範囲とすることができ、例えば60°〜75°の範囲とすることができ、例えば70°台である。
【0043】
上流冷却孔82及び下流冷却孔83の両方の正確な角度Ωは、例えば、ブレードのタイプ、及び/又はシュラウドのタイプ、及び/又はガスタービンエンジンのタイプ、及び/又はガスタービンエンジンの適用に依存するであろう。
【0044】
上で示したように、上記実施形態においては、角度Ωは下流方向に増加しても良い。幾つかの実施形態においては、角度Ωの増加率もまた、下流方向に増加しても良い。
【0045】
図9及び図10に示された実施形態においては、孔82、83は、周方向の列に平行に且つ整列して配置されている。しかしながら、代替の実施形態においては、孔は互い違いであっても良い。これは、周方向に隣接する孔84、85が軸方向にオフセットされても良いことを意味している。これは、隣接する周方向に延びる孔84、85の列が、互いに周方向にオフセットされても良いことを意味している。そのような構成の一例が図11に示されている。そのような構成は、より良い冷却被膜被覆を提供し得る。これはまた、例えば隣接する孔が相互作用しない(即ち互いに融合しない)ようにすることで、孔が所望の角度及び離間距離を持てるようにできるかも知れない。
【0046】
代替の実施形態が図12に示されている。この実施形態においては、上流端における孔86は実質的に直線状であり、即ち、それらは直線状の周方向の列を形成し、孔は、下流方向にますます互い違いとなっている。
【0047】
孔のあらゆる適切な構成を使用できることも評価される。また、図10、11、及び12との関係でここで議論した孔81の特徴を、すべての実施形態に適用できることも評価される。
【0048】
従って、孔は、所定の列の孔からの被膜トレイル(film trail)が、下流の次の列の孔と整列しないように配置され得る。これは、被膜被覆を改善することができる。しかしながら、やがては、被膜トレイルは下流方向に融合する傾向にある。結果として得られる被膜厚さは、添加被膜重ね合わせ原理を仮定することによって計算し得る。通過するブレード先端間の時間はほとんど無いように見えるが、速度ベクトル計算によれば、被膜はそれら自身を形成することができ、各被膜トレイルは、通過するブレード先端によってぬぐい去られる前に、相当な距離(典型的には数ミリメートル)にわたって延びることができる。
【0049】
放出された冷却材の流れの軌跡が、局所的な主流の流れと整列しておらず且つ同一方向でない場合、被膜冷却空気と主流気体との間の混合が増加するかもしれず、その結果、冷却効率が低下する。従って、そのような非整列は、好ましくは約20°よりも小さい。
【0050】
供給路は、典型的には、気体打寄面に対する浅い角度での機械加工で形成され、その結果、放出された空気は主流の気体流れと融合し、飛沫同伴(entrainment)は最小限に抑えられる。冷却流れの吹込み率(blowing rate)(即ち、(ρv)c/(ρv)g、ここでρは密度、vは速度、及び下付き文字c、gはそれぞれ冷却空気及び気体を示す。)は、好ましくは、「1」の値の近辺に維持され、被膜が表面から分離(「ブローオフ(blow off)」)しないように支援される。もし被膜のブローオフが生じると、被膜冷却効果が実質的に喪失され、減少する。
【0051】
より高い冷却率が要求される軸方向上の位置において、より高い放出空気流量を生成するように、孔及び供給路の寸法を決定し及び/又は孔密度を変化させることができる。しかしながら、冷却材流量が増加するとタービン効率に悪い影響を与えうるので、必要な箇所でのみ放出空気流量を増加させるのが有利である。
【0052】
有利には、セグメントでの主流の流れの旋回方向に対して、放出空気の旋回方向を同一方向に整列させることにより、被膜冷却の効率を改善することができる。これは、金属及びコーティング温度を低下させ、機器寿命の改善をもたらすことができる。代替として、被膜冷却効率の改善を、冷却材流れの低減と交換することもできる。冷却材流れの低減及びこれに対応する混合損失の低減は、タービンの段効率にとって、究極的にはエンジンの比燃料燃焼(specific fuel consumption)にとって有益である。上述した例示的な実施形態に合わせて本発明を説明してきたが、この開示内容が与えられることにより、多くの等価の変形及び変更が当業者において明らかとなるであろう。従って、上述した本発明の例示的な実施形態は例証的なものであり、限定的なものではない。本発明の範囲から外れることなく、上述した実施形態に対して各種の変更を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントにおいて、前記セグメントは、前記段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、前記セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過し、
前記セグメントは、複数の冷却孔(81)及び前記冷却孔のための各空気供給路を有し、前記冷却孔は、前記ブレードの先端によってスイープされる前記セグメントの気体打寄面(80)の部分にわたって分配されており、前記冷却孔は、使用中に、前記気体打寄面にわたって拡がる冷却空気を放出し、前記供給路は、放出された空気が前記セグメントにおける前記主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されており、
前記供給路は、前記ブレードの先端の後縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向が、前記ブレードの先端の前縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向に対して、前記エンジンの軸方向に向かって回転されるように構成されている、シュラウドセグメント。
【請求項2】
請求項1記載のシュラウドセグメントであって、各供給路は、前記孔のそれぞれにて、放出された空気が、前記主流の流れの局所的な旋回方向と少なくとも20°以内で同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されている、シュラウドセグメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシュラウドセグメントであって、前記供給路は、前記ブレードの先端の前記前縁によってスイープされる前記冷却孔から前記ブレードの先端の前記後縁によってスイープされる前記冷却孔へ前記エンジンの軸方向に移動するときに直面する前記冷却孔のそれぞれの放出空気旋回方向が、10°〜70°の範囲の角度で回転するように構成されている、シュラウドセグメント。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシュラウドセグメントであって、前記ブレードの先端によってスイープされる前記気体打寄面の前記部分は、軸方向に離間され且つ周方向に延びる少なくとも4つの冷却孔の列を有し、各列は各放出空気旋回角を有している、シュラウドセグメント。
【請求項5】
請求項4記載のガスタービンエンジンであって、周方向に延びる冷却孔84,85の列の少なくとも幾つかは、互いに対して周方向にオフセットされている、ガスタービンエンジン。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシュラウドセグメントを有するタービン段を備えたガスタービンエンジン。
【請求項7】
ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントを製造する方法において、前記セグメントは前記段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、前記セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過し、
前記方法は、
前記作動気体の前記主流の流れの前記セグメントにおける旋回方向を予測するためのコンピュータによる流体力学計算を実施する工程と、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシュラウドセグメントを製造する工程であって、前記供給路は、放出された空気が前記セグメントにおける前記主流の流れの予測された旋回方向と同一方向に整列された旋回方向を持つように構成される、工程と、を備えた、方法。
【請求項1】
ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントにおいて、前記セグメントは、前記段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、前記セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過し、
前記セグメントは、複数の冷却孔(81)及び前記冷却孔のための各空気供給路を有し、前記冷却孔は、前記ブレードの先端によってスイープされる前記セグメントの気体打寄面(80)の部分にわたって分配されており、前記冷却孔は、使用中に、前記気体打寄面にわたって拡がる冷却空気を放出し、前記供給路は、放出された空気が前記セグメントにおける前記主流の流れの旋回方向と同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されており、
前記供給路は、前記ブレードの先端の後縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向が、前記ブレードの先端の前縁によってスイープされる当該冷却孔の放出空気旋回方向に対して、前記エンジンの軸方向に向かって回転されるように構成されている、シュラウドセグメント。
【請求項2】
請求項1記載のシュラウドセグメントであって、各供給路は、前記孔のそれぞれにて、放出された空気が、前記主流の流れの局所的な旋回方向と少なくとも20°以内で同一方向に整列する旋回方向を持つように構成されている、シュラウドセグメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシュラウドセグメントであって、前記供給路は、前記ブレードの先端の前記前縁によってスイープされる前記冷却孔から前記ブレードの先端の前記後縁によってスイープされる前記冷却孔へ前記エンジンの軸方向に移動するときに直面する前記冷却孔のそれぞれの放出空気旋回方向が、10°〜70°の範囲の角度で回転するように構成されている、シュラウドセグメント。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシュラウドセグメントであって、前記ブレードの先端によってスイープされる前記気体打寄面の前記部分は、軸方向に離間され且つ周方向に延びる少なくとも4つの冷却孔の列を有し、各列は各放出空気旋回角を有している、シュラウドセグメント。
【請求項5】
請求項4記載のガスタービンエンジンであって、周方向に延びる冷却孔84,85の列の少なくとも幾つかは、互いに対して周方向にオフセットされている、ガスタービンエンジン。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシュラウドセグメントを有するタービン段を備えたガスタービンエンジン。
【請求項7】
ガスタービンエンジンのタービン段のためのシュラウドセグメントを製造する方法において、前記セグメントは前記段の作動気体環状部のための端壁を形成すると共に、前記セグメントに沿ってスイープするタービンブレードの列の先端に僅かな隙間を提供し、使用中に、作動気体の主流の流れが、隣接するタービンブレード間に形成された通路を通過し、
前記方法は、
前記作動気体の前記主流の流れの前記セグメントにおける旋回方向を予測するためのコンピュータによる流体力学計算を実施する工程と、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシュラウドセグメントを製造する工程であって、前記供給路は、放出された空気が前記セグメントにおける前記主流の流れの予測された旋回方向と同一方向に整列された旋回方向を持つように構成される、工程と、を備えた、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−57620(P2012−57620A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−194775(P2011−194775)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(590005438)ロールス‐ロイス、パブリック、リミテッド、カンパニー (21)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194775(P2011−194775)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(590005438)ロールス‐ロイス、パブリック、リミテッド、カンパニー (21)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
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