説明

ターンテーブル装置

【課題】発塵や振動を増さずに、コンベヤを動作させて物品を進退させる際の、移載時の偏荷重による移載装置のたわみを制限する移載装置を提供する。
【解決手段】 ターンテーブル本体12上にコンベヤ10を搭載してターンテーブル装置8とする。ターンテーブル装置8の底面4箇所にスロープ14〜17を、台車4側にフリーローラ18〜21を配置し、コンベヤ10により物品を前進させた際のターンテーブル装置8のたわみを制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターンテーブル本体上に、コンベヤやスライドフォーク、スカラアームなどの移載装置を搭載したターンテーブル装置に関し、特に物品を移載する際の移載装置のたわみを制限することに関する。
【背景技術】
【0002】
ターンテーブル本体上に移載装置を搭載したターンテーブル装置が知られている(例えば特許文献1)。ところでこのようなターンテーブル装置では、移載装置を動作させて物品を進退させると、移載装置に偏荷重が加わる。移載装置の剛性を増さずに、たわみを解消するため、移載装置の底面をベースで支持しながら旋回させることが考えられる。しかしこのようにすると、支持部との接触に基づく発塵や振動が発生するため、クリーンルーム内で使用するには不向きである。
【特許文献1】特開2003−205488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の課題は、発塵や振動を増さずに、物品の移載時の偏荷重による移載装置のたわみを制限することにある。
請求項2の発明での追加の課題は、そのための具体的な構成を提供することにある。
請求項3の発明での追加の課題は、発塵や振動をより確実に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、移載装置を搭載したターンテーブル本体を、移載装置とベースとの間に隙間が生じるように配置したターンテーブル装置において、
平坦な突き出し面を備えた突き出し部材とローラとを、移載装置とベースとの間に各々複数箇所に間隔を開けて配置し、その一方を移載装置に、他方をベースに配置することにより、前記移載装置が物品を移載する角度位置にターンテーブル本体を旋回させた際に、移載装置を前記突き出し部材とローラとを介してベースにより支持し、前記角度位置から離れると、前記突き出し部材とローラとを介しては、移載装置がベースにより支持されなくなるようにしたことを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記物品を移載する角度位置は少なくとも2箇所有り、前記ターンテーブル本体の旋回中心から第1の半径位置と、該第1の半径位置から前記ローラ及び突き出し部材の幅の平均値以上離れた第2の半径位置の各々に、前記突き出し部材と前記ローラとを配置することにより、物品を移載する角度位置でのみ、突き出し部材とローラとを接触させる。
【0006】
また好ましくは、前記移載装置が所定値以上たわむと、突き出し部材とローラとが接触するように、前記突き出し部材と前記ローラとの間に隙間を設ける。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、物品を移載する角度位置にターンテーブル本体を旋回させると、移載装置は突き出し部材とローラとを介してベースにより支持されて、移載時のたわみが制限され、移載装置の剛性を高くする必要がない。また突き出し部材とローラとは物品を移載する角度から離れると接触しなくなるので、ターンテーブル装置を旋回させる際の突き出し部材とローラとの接触による発塵や振動を少なくできる。
【0008】
請求項2の発明では、物品を移載する角度位置は少なくとも2箇所有り、複数の突き出し部材と複数のローラとを各々、ターンテーブル本体の旋回中心からの半径位置を第1の半径位置と第2の半径位置とに変えて配置する。また2つの半径位置はローラと突き出し部材の幅の平均値以上離れている。このため、文字通りに物品を移載する角度位置でのみ、突き出し部材とローラとが接触する。この結果、突き出し部材とローラとの接触による発塵や振動をさらに少なくできる。
【0009】
請求項3の発明では、突き出し部材とローラとの間に隙間を設けて、移載装置が所定値以上たわんだ時にのみ突き出し部材とローラとを接触させるので、振動や発塵をさらに少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例】
【0011】
図1〜図4に無人搬送車2を例にターンテーブル装置8の実施例を示すが、ターンテーブル装置8はスタッカークレーンなどの他の搬送台車に搭載しても良く、あるいは地上側のステーションなどに配置しても良い。
【0012】
図1において4は台車で、その上面をベースとし、6はシャッタで、物品を移載する時以外は閉じておき、図示しないファンフィルタユニットからのクリーンエアの雰囲気を台車4内に形成する。ターンテーブル装置8は、ターンテーブル本体12上に、ローラコンベヤなどのコンベヤ10を搭載したもので、コンベヤ10に代えてスライドフォークやスカラアームなどの他の移載装置を搭載してもよい。コンベヤ10の底面に、角度位置を変えて4箇所にスロープ14〜17を設け、台車4の上面のベース側にも角度位置を変えて4箇所にフリーローラ18〜21を設ける。スロープ14,15とフリーローラ18,19はターンテーブル本体12の旋回中心からの半径が共通で、スロープ16,17とフリーローラ20,21はターンテーブル本体12の旋回中心からの半径が共通で、これらの半径は異なっている。この結果、ターンテーブル本体12を物品の移載角度に旋回させた時にのみ、スロープ14〜17とフリーローラ18〜21とが接触する。
【0013】
図2に示すように、コンベヤ10を動作させて物品22を前進させると、コンベヤ10に偏荷重が加わる。そこでこの偏荷重によるコンベヤ10のたわみを、スロープ14〜17とフリーローラ18〜21とで制限しながら、これらの接触による発塵や振動を防止することが課題である。また物品22は例えば液晶基板や半導体などのカセットとし、向きがあるものとする。そこでロードポートなどに物品22を所定の向きで移載するために、ターンテーブル本体12を用いる。
【0014】
無人搬送車2が走行する場合、コンベヤ10は例えば図3の向きをとり、この向きを中立位置という。中立位置からターンテーブル本体12を時計回りあるいは反時計回りにそれぞれ90°ずつ旋回させた向きが移載位置で、無人搬送車2は走行方向の左右に 所定の向きで物品22を移載できる。図3の外側の鎖線24は、ターンテーブル装置8の干渉範囲を示し、中間の鎖線25はコンベヤ10に取り付けられたスロープ14,15の干渉範囲を、内側の鎖線26はスロープ16,17の干渉範囲を示す。干渉範囲25,26は、ターンテーブル本体12の中心からの半径が異なる。スロープ14,15とフリーローラ18,19は第1の半径で、スロープ16,17とフリーローラ20,21は第2の半径で配置され、これらの半径は、スロープ14〜17やフリーローラ18〜21の、旋回中心からの軸方向に沿った幅以上異なっている。なおスロープ14〜17とフリーローラ18〜21との幅が異なる場合、これらの幅の平均値以上、第1の半径と第2の半径とが異なればよい。実施例ではスロープ14〜17をコンベヤ10の底面側に、フリーローラ18〜21をベース側に配置するが、ベース側にスロープ14〜17を配置し、コンベヤ10の底面側にフリーローラ18〜21を配置しても良い。
【0015】
物品を移載する向きは、図3の紙面上の上向きと下向き(無人搬送車2の走行方向の左右方向)の2方向で、図3の上向きに移載する場合、スロープ14がフリーローラ18で支持され、スロープ15がフリーローラ19で支持され、スロープ16がフリーローラ20で、スロープ17がフリーローラ21で支持される。図3の下向きに物品を移載する場合、スロープ14がフリーローラ19で、スロープ15がフリーローラ18で、スロープ16がフリーローラ21で、スロープ17がフリーローラ20で、それぞれ支持される。
【0016】
図4にスロープ14とフリーローラ18を例に、これらの構造を示すが、他のスロープ15〜17やフリーローラ19〜21も同様である。スロープ14はその左右に傾斜面29を、中央部に平坦面28を備え、平坦面28でコンベヤ10から最も下側に突き出している。フリーローラ14は台車4の上面のベースにより支持され、その表面は鋼でもウレタンゴムなどでも良い。移載装置10に物品からの荷重が加わっていない場合、平坦面28とフリーローラ18の間に例えば0.01〜0.5mm程度の隙間が生じるように、クリアランスcを設け、物品からの荷重が加わった状態で移載装置10を動作させて、偏荷重が働いた時にのみ平坦面28がフリーローラ18で支持されるようにする。この結果、物品の移載を行わず、単にコンベヤ10を旋回させている場合には、スロープ14〜17とフリーローラ18〜21とが接触せず、これに伴う発塵や振動がない。
【0017】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) コンベヤ10の底面をスロープ14〜17とフリーローラ18〜21で支持するので、移載時の物品による偏荷重を、コンベヤ10の剛性を増さずに支持できる。
(2) スロープ14〜17とフリーローラ18〜21とが接触するのは、ターンテーブル本体12を物品を移載する角度位置に旋回させ、かつコンベヤ10を動作させて物品からの偏荷重でコンベヤ10がクリアランス以上たわんだ時のみである。ターンテーブル本体12を動作させている間は、スロープ14〜17とフリーローラ18〜21との接触がないので、発塵や接触に伴う振動を無くすことができる。
(3) これらのため、クリーンルーム内で無人搬送車2を使用した場合、スロープ14〜17やフリーローラ18〜21を設けたことによる物品の汚染が無い。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例の無人搬送車の平面図
【図2】実施例のターンテーブル装置でコンベヤを動作させて、物品を前進させた姿を示す平面図
【図3】コンベヤを中立位置に配置した際の、スロープとフリーローラとの配置を模式的に示す平面図
【図4】実施例でのスロープとフリーローラとを示す要部部分拡大側面図
【符号の説明】
【0019】
2 無人搬送車
4 台車
6 シャッタ
8 ターンテーブル装置
10 コンベヤ
12 ターンテーブル本体
14〜17 スロープ
18〜21 フリーローラ
22 物品
24 ターンテーブル装置の干渉範囲
25 スロープ14,15の干渉範囲
26 スロープ16,17の干渉範囲
28 平坦面
29 傾斜面
c クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載装置を搭載したターンテーブル本体を、移載装置とベースとの間に隙間が生じるように配置したターンテーブル装置において、
平坦な突き出し面を備えた突き出し部材とローラとを、移載装置とベースとの間に各々複数箇所に間隔を開けて配置し、その一方を移載装置に、他方をベースに配置することにより、前記移載装置が物品を移載する角度位置にターンテーブル本体を旋回させた際に、移載装置を前記突き出し部材とローラとを介してベースにより支持し、前記角度位置から離れると、前記突き出し部材とローラとを介しては、移載装置がベースにより支持されなくなるようにしたことを特徴とする、ターンテーブル装置。
【請求項2】
前記物品を移載する角度位置は少なくとも2箇所有り、前記ターンテーブル本体の旋回中心から第1の半径位置と、該第1の半径位置から前記ローラ及び突き出し部材の幅の平均値以上離れた第2の半径位置の各々に、前記突き出し部材と前記ローラとを配置することにより、物品を移載する角度位置でのみ、突き出し部材とローラとが接触するようにしたことを特徴とする、請求項1のターンテーブル装置。
【請求項3】
前記移載装置が所定値以上たわむと、突き出し部材とローラとが接触するように、前記突き出し部材と前記ローラとの間に隙間を設けたことを特徴とする、請求項1または2のターンテーブル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−56366(P2008−56366A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231667(P2006−231667)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】