説明

ダイナミックアパーチャー駆動装置及びその制御方法

【課題】本発明はセンサマグネットとホールセンサを利用してプロジェクションTV及びプロジェクターの投射光学系に具備されたアパーチャーの位置制御において、周辺の温度変化に伴うセンサマグネットの着磁強度の変化を検出し、それを補償することにより信頼性のあるアパーチャー位置制御が可能なダイナミックアパーチャー駆動装置及びその制御方法に関するものである。
【解決手段】本発明は上記センサマグネットの着磁強度の変化を検出するよう第2のホールセンサをさらに具備することにより、上記第2ホールセンサを通してセンサマグネットの着磁強度の変化量をチェックし、位置検出エラーを補正することを技術の旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロジェクションTVあるいはプロジェクターにおいて投射レンズの光量を調節するダイナミックアパーチャーに関するものとして、より詳細にはホールセンサを利用して簡単な構造で具現できながら周辺の温度変化に関係無く正確に位置制御が可能なダイナミックアパーチャー駆動装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近頃になって大画面、高画質ディスプレー装置は最も重要なイッシューの一つとされ、その代表的な装置としてプロジェクションTVとプロジェクターが挙げられる。
【0003】
上記プロジェクションTVとプロジェクターは光学原理によって駆動されるものとして、 図1はこうしたプロジェクションTVとプロジェクターの光学構造の一例を示している。
【0004】
上記図1によると、プロジェクション装置は、光を発生させる照明光学系(1a)と、上記照明光学系(1a)から入射した光を提供された映像に応じて画素単位で反射し映像を載せる反射型ディスプレイ素子(1b)と、上記反射型ディスプレイ素子(1b)を通して反射された映像をスクリーンに投射する投射光学系(1c)とで構成される。
【0005】
上記照明光学系(1a)は光を生成するランプと、生成された光を反射して進行経路をガイドする反射鏡を含む光源(10)と、上記光源(10)から出射した光を反射型ディスプレイ素子(1b)に照明するための光学レンズ(20)とで構成される。
【0006】
上記光学レンズ(20)は上記光源(10)から出射した光を上記反射型ディスプレイ素子(1b)に集中させる集光レンズ(condensing lens)(21)と、上記集まった光を均一光に変えながら光形状を整形化する整形レンズ(shaping lens)(23)とを含んで構成される。この際、上記集光レンズ(21)と整形レンズ(23)との間には回転されながら特定の色光を選別して透過できるよう図示していない駆動源によって片方へ回転駆動され、円周方向へ複数個のカラーフィルターが等間隔で配されたカラーウィール(22)を含む。
【0007】
そして、上記ディスプレイ素子(1b)はDMD(Digital Micromirror Device)(30)で具現されるものとして、上記DMD(30)はプロセッサー(31)とメモリー(32)が具備される基板(33)上に搭載され、チルト角度に合わせて上記照明光学系(1a)と投射光学系(1c)の光経路を分離する。
【0008】
こうしたDMD(30)は米国TI(Texas Instruments)社が開発した光を制御する半導体を使用する投射型表示器として、これはシリコンウェーハ上に微細な大きさを有する複数のマイクロ反射鏡を二次元的に具備し、上記反射鏡は1鏡当たり1の画素構造を担って各画素に対応し、各画素に対応して配されるメモリー(32)の該静電系作用によって、鏡の傾斜が調整され画像を表現する。上記DMD(30)の反射鏡は10μs(100万分の1の単位)といった大変速い速度でチルティング運動しながら入射した光の経路を2種の状態(オン/オフ)に転換し反射する。
【0009】
即ち、各反射鏡がオン状態にチルティングされると、上記反射鏡から反射した光は上記投射光学系(1c)の投射レンズ(projection lens)モジュール(40)を通して拡大されスクリーン(50)に照射され、上記反射鏡がオフ状態にチルティングされると、該反射鏡に入射した光はスクリーン(50)に照射されなくなる。上記DMD(30)は上記のような反射鏡を各画素に対する映像信号に応じて独立的にチルティング駆動させ光の反射角度を変化させることにより、光をオン/オフさせ照明光学系(1a)から提供された光に映像情報を載せる。
【0010】
そして、透過光学系(1c)は投射レンズモジュール(40)で成り、上記DMD(30)から伝達された映像を拡大しスクリーン(50)に結像させる。
【0011】
この際、投射レンズモジュール(40)は図2に示すように、鏡筒(41)内に光軸を基準として順次配列され各々所定の直径及び光学特性を有する多数の投射レンズ(42)で成り、上記DMD(30)から入射する映像が所定距離ほど隔たれたスクリーン(50)上に鮮明に結ばれるよう拡大させる。この際、投射映像の焦点距離は上記多数の投射レンズ(42)同士の間隔を変化させることにより調節可能である。
【0012】
さらに、上記多数の投射レンズ(42)の間に光量を調節するためのアパーチャー(43)を具備して、投射映像が適切な明暗比を有するよう光量を調節する。この際、精密な明暗比調節のために、上記アパーチャー(43)は任意の角度(例えば、30度)内で128ステップの高分解能で位置制御されなければならず、一般に精密な位置制御のためにボイスコイルモーター(Voice coil motor、以下VCMという)(44)を利用してアパーチャー(43)を回転させる。
【0013】
図3は従来のアパーチャーの位置制御構造を示したものとして、従来のアパーチャー駆動装置(110)はアパーチャーと一体で具現され左右に回転動作するピボット(111)と、上記ピボット(111)の回転角度別に異なる磁気強度を提供するセンサマグネット(112)と、上記ピボット(111)と一体で回転し上記センサマグネット(112)から提供される磁場の強度を電気信号に変換するホールセンサ(113)と、上記ピボット(111)の回転範囲の限界位置に設けられ臨界値以上に 回転するピボット(111)を停止させるストッパー(114)と、上記ピボット(111)の他側端部の回転経路上に位置する駆動マグネット(115)と、上記駆動マグネット(115)と対向するよう上記ピボット(111)の下端部に具備され上記駆動マグネット(115)との電磁気的作用によって駆動電流量に応じてピボット(111)を回転させる駆動コイル(116)とで成る。上記駆動マグネット(115)及び駆動コイル(116)はVCMに該当する。
【0014】
上記アパーチャー駆動装置は駆動コイル(116)に電流を印加してピボット(111)を回転させながら、センサマグネット(112)とホールセンサ(113)を通してピボット(111)の位置を検出し、上記ピボット(111)が指示された位置へ動くようフィードバック制御する。
【0015】
従来のアパーチャー位置検出過程を説明すると、図4(a)に示したように、上記駆動コイル(115)に電流を印加しない初期状態において、ピボット(111)はストッパー(114)により停止状態となり、この際のホールセンサ(113)の出力を基準値として貯蔵し、以降図4(b)に示すようにピボット(111)が所定角度で回転するとホールセンサ(113)の出力が変化し、上記貯蔵された基準値と上記ホールセンサ(113)の出力の差からピボット(111)の回転角度を予測する。
【0016】
ところが、上記のようなホールセンサ(113)を利用して位置を検出する場合、周辺温度が変化すると上記ピボット(111)の回転角度に対応するセンサマグネット(112)の着磁強度が変化するので、ピボット(111)が同一位置であっても周辺温度に応じてホールセンサ(113)の出力値が異なり、結果として位置フィードバック値が温度によって異なりアパーチャー駆動に対する信頼性が落ちてしまうとの欠点がある。
【0017】
その他、上記ホールセンサに代わって温度の影響を受けない光センサやMRエンコーダーなどを利用して位置制御を行うこともできるが、この場合費用が高く、回路及び機構物の構成が複雑になってしまうとの欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明は上記従来の問題点を解決するために提案されたものとして、その目的はホールセンサを利用して簡単な構造で具現できながらも周辺の温度変化に関係無く正確な位置制御が可能なダイナミックアパーチャー駆動装置及びその制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的を成し遂げるための構成手段として、本発明はダイナミックアパーチャーを回転させ 投射光学系の光量を調節するダイナミックアパーチャー駆動装置において、 上端部が上記ダイナミックアパーチャーに連結され所定の回転角内で左右に回転するよう構成された回転手段と、所定の電気信号に応じて上記回転手段を左右に回転させる駆動手段と、ホール効果を利用して上記回転手段の位置を検出する第1感知手段と、温度変化による上記第1感知手段の動作エラーを検出する第2感知手段とを含んで成る。
【0020】
上記本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置において、第1感知手段は、上記回転手段の回転経路と平行に配置され、長手に沿って着磁強度が線形的に変化され回転手段の回転角度別に異なる着磁強度を提供するセンサマグネット、及び上記回転手段と一体で回転しながら、上記センサマグネットから提供された磁気強度を電気信号に変換する第1ホールセンサから成るか、上記回転手段の回転によって回転手段との間隔が変化するよう所定位置に固設され、一定の着磁強度を有するセンサマグネットと、上記回転手段と一体で回転しながら、回転角度に応じて変化する上記センサマグネットの磁気強度を電気信号に変換する第1ホールセンサとから成ることができる。
【0021】
さらに、上記本発明のダイナミックアパーチャー駆動装置において、上記第2感知手段は、上記センサマグネットと一定の距離ほど離隔した位置に固設され、センサマグネットの着磁強度の変化を検出する第2ホールセンサで具現される。
【0022】
また、本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置は、上記第2感知手段の出力値の変化から温度変化による第1感知手段の特性の変化量を算出して、第1感知手段の位置検出エラーを補償する温度補償値を出力する温度補償手段、及び上記温度補償値を利用して第1感知手段の位置検出値のエラーを補正し、位置指示値の入力を受け、上記位置指示値と補正された位置検出値を比較して上記回転手段が指示された位置に到達するよう駆動手段を制御する駆動制御手段をさらに含んで構成することができる。
【0023】
また、本発明は上述した目的を成し遂げるための構成手段として、アパーチャーに連結された回転手段の回転角度別に異なる強度の磁力を提供するセンサマグネットと、回転手段上に設けられ回転手段の回転により変化した磁気強度を電気信号に変換する第1ホールセンサと、上記センサマグネットと一定の間隔ほど離隔した位置に固設されセンサマグネットの磁力を電気信号に変換する第2ホールセンサを利用して回転位置を検出するダイナミックアパーチャー駆動装置の制御方法において、ダイナミックアパーチャーの駆動前所定温度における上記第2ホールセンサの出力を基準値として貯蔵する段階と、回転手段の位置指示値の入力を受ける段階と、上記第1ホールセンサを通して回転手段の現在位置を検出する段階と、上記第2ホールセンサの出力と上記貯蔵された基準値を比較し、その偏差に対応する温度の補償値を算出する段階と、上記第1ホールセンサを通して検出された位置検出値を上記温度の補償値で補償し、温度の補償された位置を算出する段階と、上記温度の補償された現在位置と上記位置指示値を比較し、指示された位置にアパーチャーが到達するよう回転手段を動かす段階とを含むことに特徴がある。
【発明の効果】
【0024】
上述したように、本発明はセンサマグネットとホールセンサを利用し簡単な構造と低いコストでプロジェクターあるいはプロジェクションTVなどにおける投射光学系の光量を調節するダイナミックアパーチャーを駆動させられ、さらに周辺の温度変化によるセンサマグネットの特性の変化当否及び特性変化量がチェックでき、これから温度補償を施して温度に関係無く常に安定した制御結果を得られるとの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましき実施例について添付の図を参照しながら詳細に説明する。下記説明及び添付の図において本発明の要旨を不要に曇らせかねない公知の機能及び構成に係わる詳細な説明は省略する。
【0026】
本発明はホール効果を利用してアパーチャー位置を制御するダイナミックアパーチャー駆動装置において、温度変化によるセンサマグネットの特性の変化を検出することにより、これを通して位置検出のエラーを補正し、その結果アパーチャーの精密な制御を可能にしたものである。
【0027】
図5(a)及び図5(b)は本発明により改善されたダイナミックアパーチャー駆動装置の実施形態を示したものである。
【0028】
先ず、図5(a)によると、本発明のダイナミックアパーチャー駆動装置は、上端部が投射光学系(1c)の投射レンズモジュール(40)内部に位置したアパーチャーと一体で連結され、所定の回転角度範囲内で左右に回転可能なよう形成されたピボット(111)と、上記ピボット(111)と所定間隔ほど離隔した位置にその長手方向が回転経路と平行するよう配置され、長手に沿って着磁強度が線形的に変化されピボット(111)の回転角度別に異なる強度の磁力を提供するセンサマグネット(112)と、上記ピボット(111)と一体で回転しながら上記センサマグネット(112)から提供されるピボット(111)の位置別着磁強度を電気信号に変換する第1ホールセンサ(113)と、上記ピボット(111)の下端部の回転経路に沿って配置される駆動マグネット(115)と、上記ピボット(111)の下端部に形成され駆動電流印加に応じて電磁力が発生し上記駆動マグネット(115)に沿って左右に回転する駆動コイル(116)と、上記センサマグネット(112)から一定の距離ほど離隔した位置に固設され、上記センサマグネット(112)から発生した磁気強度を電気信号に変換する第2ホールセンサ(117)とで成る。
【0029】
上記構成において、ピボット(111)はアパーチャーと一体で形成され所定角度範囲内で左右に回転する回転手段であり、駆動マグネット(115)と駆動コイル(116)はVCM方式により上記ピボット(111)を回転させる駆動手段である。
【0030】
さらに、上記センサマグネット(112)と第1ホールセンサ(113)は回転手段の回転角度を検出するための第1感知手段に該当し、第2ホールセンサ(117)は上記第1感知手段の温度変化に応じた特性の変化を感知するための第2感知手段に該当する。
【0031】
上記のように構成されたダイナミックアパーチャー駆動装置における位置検出及び温度の補償作用は次のとおりである。
【0032】
上記センサマグネット(112)は長手方向に沿った着磁強度が線形的に変化し、ピボット(111)の回転角度別に異なる強度の磁力を発生させる。この際、第1ホールセンサ(113)はピボット(111)と一体で回転しながら 上記センサマグネット(112)から発生した磁気強度を電流信号に変換する。さらに、上記第1ホールセンサ(113)から出力された電流量はホール効果によってセンサマグネット(112)から提供された磁気強度に応じて変化するので、上記第1ホールセンサ(113)から出力された電流信号はピボット(111)の回転角度に対応し、上記ピボット(111)の回転角度はアパーチャーの位置に対応するので、結果として第1ホールセンサ(113)の出力電流はアパーチャーの位置を示すようになる。したがって、上記第1ホールセンサ(113)の出力電流をアパーチャーの位置値に利用する。
【0033】
ところで、上記第1ホールセンサ(113)の出力電流の基準となるセンサマグネット(112)の着磁強度は先に説明したように周辺の温度に応じて変化することができる。
【0034】
これに上記センサマグネット(112)を基準とした第2ホールセンサ(117)の位置は固定されていないので、センサマグネット(112)の特性が変化しなければ、即ち周辺の温度が変化しなければ第2ホールセンサ(117)の出力は変化しなく、逆にセンサマグネット(112)の自体の特性が変化すると、即ち周辺温度が変化すると第2ホールセンサ(117)の出力が異なってくる。したがって、上記第2ホールセンサ(117)の出力をチェックすることにより、センサマグネット(112)の特性の変化当否及びその程度を把握できるようになる。
【0035】
次に、図5(b)は本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置の異なる実施形態を示したものとして、これは位置検出の原理において上記図5(a)の駆動装置とやや差がある。
【0036】
上記図5(b)によると、本発明の第2実施形態によるダイナミックアパーチャー駆動装置は、上端部が投射光学系(1c)の投射レンズモジュール(40)内部に位置したアパーチャーと一体で連結され所定の回転角度範囲内で左右に回転可能なよう形成されたピボット(111)と、上記ピボット(111)の回転によってピボット(111)との距離が変化するよう所定位置に固設され一定の着磁強度を有するセンサマグネット(112’)と、上記ピボット(111)と一体で回転しながら上記ピボット(111)の回転位置に応じて異なるセンサマグネット(112’)から提供された着磁強度を電気信号に変換する第1ホールセンサ(113’)と、上記ピボット(111)の下端部の回転経路に沿って配される駆動マグネット(115)と、上記ピボット(111)の下端部に形成され駆動電流印加に応じて電磁力が発生し上記駆動マグネット(115)に沿って左右に回転する駆動コイル(116)と、上記センサマグネット(112’)から一定の距離ほど離隔した位置に固設され上記センサマグネット(112’)から発生した磁気強度を電気信号に変換する第2ホールセンサ(117’)とで成る。
【0037】
先述したように、上記構成要素中ピボット(111)はアパーチャーと一体で形成され所定の角度範囲内で左右に回転する回転手段に該当し、駆動マグネット(115)と駆動コイル(116)はVCM方式により上記ピボット(111)を回転させる駆動手段に該当する。そして、上記センサマグネット(112’)と第1ホールセンサ(113’)は回転手段の回転角度を検出するための第1感知手段に該当し、第2ホールセンサ(117’)は上記第1感知手段の温度変化による特性の変化を感知するための第2感知手段に該当する。
【0038】
上記第2実施形態によるダイナミックアパーチャー駆動装置における位置検出及び温度の補償作用は次のとおりである。
【0039】
上記センサマグネット(112’)は一定の着磁強度を具備するものとして、上記センサマグネット(112’)から提供された磁気強度はセンサマグネット(112’)に近接するほど大きくなり、センサマグネット(112’)から遠ざかるほど小さくなる。同時に、ピボット(111)は所定の角度範囲内で回転しながら、回転角度に応じて上記センサマグネット(112’)の距離が異なる。したがって、上記ピボット(111)と一体で回転する第1ホールセンサ(113’)から出力される電流はピボット(111)の回転角度に応じて異なり、結果として上記第1ホールセンサ(113’)の出力電流からピボット(111)の回転角度、即ちアパーチャーの位置を知ることができる。
【0040】
この際、上記ピボット(111)の回転角度別センサマグネット(112’)との距離の変化、即ち磁気強度の変化が線形的に表れることが好ましく、この場合上記第1ホールセンサ(113’)の出力電流の信号処理が容易になることができる。
【0041】
さらに、上記第2ホールセンサ(117’)は固設されたものとして、センサマグネット(112’)との距離が一定であるので、上記センサマグネット(112’)の特性が変化されない限り、一定の電流量が出力される。逆に、周辺の温度変化によってセンサマグネット(112’)の着磁強度が変化する場合、該磁気強度を電気信号に変換する第2ホールセンサ(117’)の出力電流に変化が生じる。したがって、所定の基準温度における上記第2ホールセンサ(117’)の出力を基準として、アパーチャー駆動時第2ホールセンサ(117’)の出力変化をチェックすることにより、温度によるセンサマグネット(112’)の特性の変化当否及びその変化程度を把握することができるようになる。
【0042】
上述した図5(a)及び図5(b)のように構成されたダイナミックアパーチャー駆動装置を利用したダイナミックアパーチャーの位置制御は次のように行うことができる。
【0043】
先ず、センサマグネット(112、112’)の特性の変化当否及び変化程度が検出できるよう、ダイナミックアパーチャーの動作が開示される前、所定の基準温度における第2ホールセンサ(117、117’)の出力値を基準値として貯蔵する。
【0044】
そして、ダイナミックアパーチャーの駆動が始まり、ピボット(111)に対する位置指示値が提供されると、上記指示された位置にピボット(111)を回転させるための位置制御が始まるが、上記位置指示値が入力された地点で検出された第2ホールセンサ(117、117’)の検出値と上記既設定された基準値を比較して、センサマグネット(112、112’)に特性の変化が起こったか判断する。
【0045】
上記貯蔵された基準値と第2ホールセンサ(117、117’)の現在出力値との間に偏差が無ければ、センサマグネット(112、112’)の特性が変化しなかったことを意味するので位置補正無しで第1ホールセンサ(113、113’)の出力値をそのまま利用し、逆に基準値と第2ホールセンサ(117、117’)の現在出力値間に偏差ができれば、温度の変化によってセンサマグネット(112、112’)の特性が変化したことを意味するので、特性の変化程度に応じて上記第1ホールセンサ(113)の位置検出値を補正した後、補正した位置の値を利用してピボット(111)を駆動させなければならない。即ち、上記基準値と第2ホールセンサ(117、117’)の現在検出値の偏差を利用して、上記第1ホールセンサ(113、113’)の現在位置検出値に対する温度補償を行い、このように温度の補償された位置検出値を上記位置指示値と比較して指示された位置に到達するよう駆動コイル(116)の電流量を調節する。
【0046】
図6は上述した制御手順を行う手段がさらに含まれた本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置を示したブロック図である。上記図6には図5(a)に示した第1実施形態のみ示しているが、図5(b)の第2実施形態にも同一に適用可能である。
【0047】
上記図6によると、上記本発明のダイナミックアパーチャー駆動装置は、既設定された基準値と上記第2ホールセンサ(117)の検出値を比較して、温度変化に対するセンサマグネット(112)の特性の変化量を算出し、上記特性の変化量を温度補償値を出力する温度補償手段(200)と、位置指示値の入力を受け上記入力された位置指示値と上記第1ホールセンサ(113)の検出値を比較してピボット(111)が指示された位置に到達するよう駆動コイル(116)の電流を制御する駆動制御手段(300)をさらに含む。
【0048】
具体的に、上記温度補償手段(200)は、上記第2ホールセンサ(117)の出力値と既設定された基準値を比較してその偏差を増幅する差動増幅部(あるいは差動AMP)(210)と、上記差動増幅部(210)の出力信号に対する利得を制御するループ利得制御部(220)と、上記ループ利得制御部(220)を通して出力された偏差値を比例積分制御し温度補償値を算出する比例積分制御部(230)と、上記比例積分制御部(230)から出力された温度補償値を電流信号に変換出力する電圧/電流変換部(240)とで成る。
【0049】
上記駆動制御手段(300)は、上記第1ホールセンサ(113)の出力信号を電圧信号に変換する信号変換部(380)と、所定の電圧信号で伝達された位置指示値と上記信号変換部(380)の位置検出値を比較し、その偏差を出力する第1演算部(310)と、上記第1演算部(310)から出力された偏差を上記ピボット(111)が回転するトルク値に変換するトルク変換部(320)と、上記トルク変換部(320)の出力に上記温度補償手段(200)の温度補償値を合算し、電流フィードバック値を減算する第2演算部(330)と、上記第2演算部(330)の出力値を増幅する電流増幅部(340)と、上記電流増幅部(340)の出力信号を整流して上記駆動コイル(116)に印加するH−ブリッジ(350)と、上記駆動コイル(116)に印加される電流をフィードバックして上記第2演算部(330)に提供する電流検出部(370)を含んで成る。
【0050】
上記駆動制御手段(300)は第2演算部(330)を通して上記温度補償部(200)から提供された温度補償値を合算して駆動コイル(116)の電流量を調節する。
【0051】
上記温度補償手段(200)は既設定された基準値と上記第2ホールセンサ(117)により検出された検出値に差があるかを検出し、その差に対応する位置ズレを補償する温度補償値を出力する。この際、比例積分制御部(230)はセンサマグネット(112)の温度別着磁強度の変化特性を考慮して温度偏差を対応する位置変化量に変換するものであり、基準値と第2ホールセンサ(117)の出力値との偏差対比温度補償分との関係が設定されている。さらに、上記基準値は既設定された所定の基準温度における第2ホールセンサ(117)の出力で設定することができる。
【0052】
一方、上述した本発明の説明においては具体的な実施例に係わり説明したが、上記に限定されず様々な変形が本発明の範囲内で図られる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一般のDLP方式のプロジェクション装置を示した概念図である。
【図2】図1に示したDLP方式プロジェクション装置における投射光学系の光学エンジンを示した詳細構造図である。
【図3】従来のダイナミックアパーチャー制御構造を示した模式図である。
【図4】従来のダイナミックアパーチャーの動作状態を示した図である。
【図5】(a)は本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置の第1実施形態を示した図である。(b)は本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置の第2実施形態を示した図である。
【図6】本発明によるダイナミックアパーチャー駆動装置の応用例を示したブロック構成図である。
【符号の説明】
【0054】
110 ダイナミックアパーチャー
111 ピボット
112 センサマグネット
113、117 第1、2ホールセンサ
114 ストッパー
115 駆動マグネット
116 駆動コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミックアパーチャーを回転させ投射光学系の光量を調節するダイナミックアパーチャー駆動装置において、
上端部が上記ダイナミックアパーチャーに連結され所定の回転角内で左右に回転するよう構成された回転手段と、
所定の電気信号に応じて上記回転手段を左右に回転させる駆動手段と、
ホール効果を利用して上記回転手段の位置を検出する第1感知手段と、
温度変化による上記第1感知手段の動作エラーを検出する第2感知手段とを備えたダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項2】
上記第1感知手段は、上記回転手段の回転経路と平行に配置され、長手方向に沿って着磁強度が線形的に変化し回転手段の回転角度別に異なる着磁強度を提供するセンサマグネット、及び上記回転手段と一体で回転しながら、上記センサマグネットから提供された磁気強度を電気信号に変換する第1ホールセンサから成ることを特徴とする請求項1に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項3】
上記第1感知手段は、上記回転手段の回転によって回転手段との間隔が変化するよう所定の位置に固設され一定の着磁強度を有するセンサマグネット、及び上記回転手段と一体で回転しながら、回転角度に応じて変化される上記センサマグネットの磁気強度を電気信号に変換する第1ホールセンサから成ることを特徴とする請求項1に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項4】
上記第2感知手段は、上記センサマグネットと一定の距離ほど離隔した位置に固設され、センサマグネットの着磁強度の変化を検出する第2ホールセンサから成ることを特徴とする請求項2または3に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項5】
上記第2感知手段の出力値の変化から温度変化による第1感知手段の特性の変化量を算出して、第1感知手段の位置検出エラーを補償する温度補償値を出力する温度補償手段、及び上記温度補償値を利用して第1感知手段の位置検出値のエラーを補正し、位置指示値の入力を受け、上記位置指示値と補正された位置検出値を比較して上記回転手段が指示された位置に到達するよう駆動手段を制御する駆動制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項6】
上記駆動手段は、上記回転手段と一体で形成され駆動制御手段により制御された電流が印加される駆動コイルと、上記駆動コイルから離隔設置される駆動マグネットとを含んで成ることを特徴とする請求項5に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項7】
上記温度補償手段は、上記第1感知手段の出力値と既設定された基準値を比較して偏差を算出する差動増幅部と、
上記差動増幅部の出力信号に対する利得を制御するループ利得制御部と、
上記ループ利得制御部を通して入力された偏差値を比例積分制御して、温度補償値を算出する比例積分制御部と、
上記比例積分制御部から出力された温度補償値を電流信号に変換出力する電圧/電流変換部とから成ることを特徴とする請求項6に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項8】
上記駆動制御手段は、上記第1感知手段から出力された位置検出値を電圧信号に変換する信号変換部と、
入力された位置指示値と上記信号変換部から印加された位置検出値とを比較して偏差を算出する第1演算部と、
上記第1演算部の出力信号をトルク制御値に変換するトルク変換部と、
上記トルク変換部の出力値に上記温度補償部から出力された温度補償値を合算し、上記和から電流フィードバック値を減算する第2演算部と、
上記第2演算部の出力を増幅する電流増幅部と、
上記電流増幅部の出力信号を整流して上記駆動コイルに印加するH−ブリッジと、
上記駆動コイルに印加される電源電流をフィードバックして上記第2演算部に提供する電流検出部とを含んで成ることを特徴とする請求項6に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項9】
上記差動増幅部に印加される基準値は所定の基準温度で示す第2感知手段の出力値であることを特徴とする請求項7に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置。
【請求項10】
アパーチャーに連結された回転手段の回転角度別に異なる強度の磁気を提供するセンサマグネットと、回転手段上に設けられ磁気強度を電気信号に変換する第1ホールセンサと、上記センサマグネットの磁力変化を検出するための上記センサマグネットと一定の間隔ほど離隔した位置に固設される第2ホールセンサを利用して回転位置を検出するダイナミックアパーチャー駆動装置の制御方法において、
ダイナミックアパーチャーの駆動前の所定温度における上記第2ホールセンサの出力を基準値で貯蔵する段階と、
回転手段の位置指示値の入力を受ける段階と、
上記第1ホールセンサを通して回転手段の現在位置を検出する段階と、
上記第2ホールセンサの出力と上記貯蔵された基準値を比較し、その偏差に対応する温度の補償値を算出する段階と、
上記第1ホールセンサを通して検出された位置検出値を上記温度の補償値で補償して、温度の補償された位置を算出する段階と、
上記温度の補償された現在位置と上記位置指示値とを比較し、指示された位置にアパーチャーが到達するよう回転手段を動かす段階とを含むことを特徴とするダイナミックアパーチャー駆動装置の制御方法。
【請求項11】
上記回転手段を動かす段階は、上記温度補正された位置検出値と位置指示値とを比較し、両値が一致するよう回転手段を駆動させる段階であることを特徴とする請求項10に記載のダイナミックアパーチャー駆動装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−154718(P2006−154718A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114392(P2005−114392)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】