説明

ダイナミックダンパー

【課題】エンジンの常用回転域での防振機能を果たし、常用回転域を越え加速度が大幅増
でも防振機能を果たし且つ耐久性高く、製作も容易なダイナミックダンパーを提供する。
【解決手段】アウターパイプ4と、これの軸芯に配置したダンパーマス5と、これとアウ
ターパイプ4との間に介在して両者を弾性的に連結するマウントラバー6とを有してなる
中空プロペラシャフト用のダイナミックダンパーであって、アウターパイプ4とダンパー
マス5との間にストッパー3を設けてなり、中空プロペラシャフトの常用回転域内ではス
トッパー3を機能させず、常用回転域を超えた際ストッパー3を機能させるようにして、
常用回転域及びこれを超えた回転域での軸直角方向の防振機能を共に果たしつつ、マウン
トラバー6に必要以上の歪みを排除して耐久性を高め、従来構成のダンパーにストッパー
3を設けるだけなので製作も容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車走行時の静粛性向上を図るための、中空プロペラシャフト用のダイナ
ミックダンパーに関するもので、より詳しくは、中空プロペラシャフトが常用回転域を超
えた際に、ストッパーを機能させ、マウントラバーに過大な負荷がかからないようにして
、マウントラバーの耐久性を向上させるようにしたダイナミックダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックダンパーは、自動車の駆動力伝達に供する中空プロペラシャフト内に装着
して、車体の振動を防止し自動車走行時の静粛性の向上を図り、加えて、中空プロペラシ
ャフト自身の振動による金属疲労に随伴する強度低下を防止するためのものである。この
中空プロペラシャフト用のダイナミックダンパーは、通常、図7に示すように、アウター
パイプ50と、このアウターパイプ50の軸芯に配置したダンパーマス51と、このダン
パーマス51とアウターパイプ50との間に介在して両者を弾性的に連結するマウントラ
バー52と、を少なくとも有している。このダイナミックダンパーは、中空プロペラシャ
フトに内設し、中空プロペラシャフトの回転時に発生する振動を吸収し防振することで、
中空プロペラシャフトの振動を解消しようとするものである。
【0003】
ところが、エンジンの高回転化に伴い、中空プロペラシャフト内に装着のダイナミック
ダンパーのマウントラバー52に、大きな振動などの負荷を入力することになり、マウン
トラバー52が大きく歪み、耐久性が低下する状況が発生してきている。このような状況
に対処するものとして、以下のような技術が知られている。
【特許文献1】特開2003−97633号公報
【特許文献2】特開平9−42375号公報
【0004】
特許文献1のダイナミックダンパーは、図8に示すように、ダンパーマス51aの中央
部にくびれ状部53を設けてなり、このくびれ状部53だけアウターパイプ50aまでの
マウントラバー52aの幅W2を図7の幅W1より大きく取ることができ、その結果、マ
ウントラバー52aに大きな振動が入力しても、そのマウントラバー52aの歪みを減ら
して、耐久性を向上させ得るものである。
【0005】
特許文献2のダイナミックダンパーは、図9に示すように、ダンパーマス51bにマウ
ントラバー52bを介してアウターパイプ50bを接続し、そのマウントラバー52bは
等間隔に設けた複数の連結部54を有し、これらの連結部54同士の間に、ダンパーマス
51bとアウターパイプ50bとの偏心量を制限するストッパー55、並びにダンパーマ
ス51bとアウターパイプ50bとの回転変位量を制限する円周方向ストッパー56をそ
れぞれ設けてなるものである。すなわち、定常状態では、アウターパイプ50bとストッ
パー55との間xが充分開いているため、ストッパー55が機能せず、アウターパイプ5
0bの回転変位を阻害することがない。一方、アウターパイプ50bがダンパーマス51
bに対し所定量偏心する非定常状態では、ストッパー55が円周方向ストッパー56に当
たり、ダンパーマス51bとアウターパイプ50bとの回転変位量を制限することになる
。したがって、回転方向の過大な振動などの負荷の入力を抑制することが出来るようにな
っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1記載のものは、ダンパーマス51aのくびれ状部53があること
により、ウエイトバランスが両側となって、その結果こじり方向の共振を誘発し、目的と
する周波数領域での振幅倍率が低下してしまい、目的とする中空プロペラシャフトの振動
を充分減らすことができない。その結果、マウントラバー52aに大きな振動が入力する
ことになって、その分マウントラバー52aが大きく歪み、それの耐久性をそれほど高め
ることができない。
【0007】
また、特許文献2記載のものは、定常状態ではストッパー機能が働かず、非定常状態で
はストッパー機能が働いて、回転方向の過大な振動などの負荷の入力を抑制することが出
来るが、これはあくまでも回転方向の過大な振動などの負荷の入力を抑制するものであり
、ダイナミックダンパーの軸直角方向の防振用ではない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、エンジンの常用回転域での軸直角方向の防振機能を無論充分
果たしつつ、エンジンの高速化に伴い常用回転域を大きく超え加速度が大幅に増加しても
、軸直角方向の防振機能を果たし且つ充分な耐久性を有し、かつ製作も容易なダイナミッ
クダンパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなるこ
とを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、アウターパイプと、該アウターパイプの軸芯に配置したダ
ンパーマスと、該ダンパーマスと前記アウターパイプとの間に介在して両者を弾性的に連
結するマウントラバーと、を少なくとも有してなる中空プロペラシャフト用のダイナミッ
クダンパーであって、前記アウターパイプと前記ダンパーマスとの間にストッパーを設け
て、前記中空プロペラシャフトの常用回転域内では前記ストッパーを機能させず、常用回
転域を超えた際に前記ストッパーを機能させるようにしたことを特徴とするダイナミック
ダンパーが提供される。
【0010】
また、本発明によれば、前記ストッパーは固着部と当接部とからなり、前記固着部は前
記アウターパイプに固着し、前記当接部は前記中空プロペラシャフトの常用回転域を超え
た際に、前記ダンパーマスに当接するようにした上記ダイナミックダンパーが提供される

【0011】
また、本発明によれば、前記ストッパーは固着部と当接部とからなり、前記固着部は前
記ダンパーマスに固着し、前記当接部は前記中空プロペラシャフトの常用回転域を超えた
際に、前記アウターパイプに当接するようにした上記ダイナミックダンパーが提供される

【0012】
また、本発明によれば、前記ストッパーを別体で構成し、前記アウターパイプに固着す
るようにした上記ダイナミックダンパーが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、 前記ストッパーを別体で構成し、前記ダンパーマスに固着す
るようにした上記ダイナミックダンパーが提供される。
【0014】
また、本発明によれば、前記ストッパーの固着部と当接部とを一体に形成してなる上記
ダイナミックダンパーが提供される。
【0015】
また、本発明によれば、前記ストッパーの固着部と当接部とを一体に形成してなる上記
ダイナミックダンパーが提供される。
【0016】
また、本発明によれば、前記ストッパーの当接部は前記マウントラバーの硬度より高い
上記ダイナミックダンパーが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のダイナミックダンパーは、中空プロペラシャフトが常用回転域内ではストッパ
ーが機能しないから、マウントラバーには想定内の歪みしか発生しない。さらに、この常
用回転域を超えるとストッパーが機能するから、マウントラバーにはそれ以上の歪みが生
じず想定外の歪みが発生することがない。したがって、エンジンの常用回転域での軸直角
方向の防振機能を果たしつつ、常用回転域を大きく超え、加速度が大幅に増加しても同じ
く防振機能を果たし、且つ想定内に歪みを抑制するから、充分な耐久性を有する。しかも
、構造的にはストッパーを設けるだけなので製作も容易である。
【0018】
また、本発明のダイナミックダンパーは、中空プロペラシャフトの常用回転域を超える
と、マウントラバーがそれまで以上に歪むが、アウターパイプに固着したストッパーの当
接部がダンパーマスに当接するから、マウントラバーはそれ以上歪まない。したがって、
上記効果を充分に享受できる。
【0019】
また、本発明のダイナミックダンパーは、中空プロペラシャフトの常用回転域を超える
と、マウントラバーがそれまで以上に歪むが、ダンパーマスに固着したストッパーの当接
部がアウターパイプに当接するため、マウントラバーはそれ以上歪まない。したがって、
上記効果を充分に享受できる。
【0020】
また、本発明のダイナミックダンパーは、マウントラバーによりダンパーマスとアウタ
ーパイプとの間を弾性的に連結し一体にしてあり、アウターパイプに別体のストッパーを
固着することでダイナミックダンパーを構成する。したがって、上記効果に加えて、スト
ッパーとダンパーマスとのクリアランスを製作上の制約から大きく開放でき、自在に設定
することが可能となる。
【0021】
また、本発明のダイナミックダンパーは、マウントラバーによりダンパーマスとアウタ
ーパイプとの間を弾性的に連結し一体にしてあり、ダンパーマスに別体のストッパーを固
着することで、ダイナミックダンパーを構成する。したがって、上記効果に加えて、スト
ッパーとアウターパイプとのクリアランスを製作上の制約から大きく開放でき、自在に設
定することが可能となる。
【0022】
また、本発明のダイナミックダンパーは、ストッパーの固着部と当接部とを一体に形成
してあるため製作が容易となる。
【0023】
また、本発明のダイナミックダンパーは、ストッパーの当接部がマウントラバーの硬度
より高いため、中空プロペラシャフトの常用回転域を超えた際、ストッパーの当接部が当
接した後、マウントラバーがそれ以上歪む度合が大きく減る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明のダイナミックダンパーを示す斜視図、図2は従来構成のダイナミックダ
ンパーを示す斜視図、図3は図2のダイナミックダンパーの断面図、図4は本発明のスト
ッパーを示す斜視図、図5は本発明のダイナミックダンパーの断面図である。
これらの図面において、本発明のダイナミックダンパー1は、中空プロペラシャフト内
部に装着するものであり、図2及び3に示す従来構成のダイナミックダンパー(以下、単
にダンパーという)2に、本発明のストッパー3を圧入して固着したものである。
【0026】
前記ダンパー2は、図2に示すように、アウターパイプ4と、このアウターパイプ4の
軸芯に配置したダンパーマス5と、このダンパーマス5とアウターパイプ4との間に介在
して両者を弾性的に連結するマウントラバー6と、を少なくとも有してなるものである。
【0027】
アウターパイプ4の材質は、金属製であればよく、通常鉄系の金属が用いられる。ダン
パーマス5は、ある程度の重量が必要となるので、経済性の面から鋳鉄や鋼鉄が多く用い
られる。マウントラバー6は、SBR(スチレン・ブタジエン共重合系合成ゴム)や天然
ゴム、あるいはそれらの混合物が用いられる。
【0028】
アウターパイプ4の形状は円筒状である。ダンパーマス5は、円盤10に孔11を有し
た形状であるが、この孔11は必須条件ではない。これらのアウターパイプ4とダンパー
マス5とを弾性的に連結しているマウントラバー6は、図3に示すように、アウターパイ
プ4の内周面を覆うパイプ側基部12と、ダンパーマス5の外周面を覆うマス側基部13
と、パイプ側基部12とマス側基部13とを連結する5本の立設部14とからなる。これ
ら5本の立設部14は、等間隔、すなわち、360度/5=72度ごとに設けてある。し
たがって、5本の立設部14の間、アウターパイプ4及びダンパーマス5に囲われた、5
個の窓15ができる。なお、立設部14は、5本に限定するものではなく、3本、4本、
6本あるいはそれ以上であっても支障がない。しかしながら、後に詳述するストッパー3
をアウターパイプ4に圧入して固着することから、自ずと立設部14は5、6本程度が理
想的となる。また、アウターパイプ4の外周面はラバー16が貼られているが、これは中
空プロペラシャフト内に圧入して装着するためである。
【0029】
前記ストッパー3は、本発明の重要な構成をなすものであり、図4に示すように、固着
部20と当接部21とからなる。この固着部20は、アウターパイプ4に固着するための
ものであり、これに固着可能なリング22に、アウターパイプ4の5つの前記窓15に差
し込み可能な差込片23を5つ設けたものである。さらに、当接部21は、許容範囲を超
えたマウントラバー6の立設部14の歪みを止めるものであり、差込片23及びリング2
2の内周面に設けたものである。なお、当接部21の形状は特に限定がなく、例えば、先
端の当接面を平らにして当接面積を広くして、当接方向の歪みをより少なくする工夫を凝
らしてもよい。
【0030】
上記構成のストッパー3は、前記ダンパー2に圧入し固着される。すなわち、ダンパー
2のアウターパイプ4の内周面はマウントラバー6のパイプ側基部12に覆われており、
その内径よりやや大きくストッパー3のリング22の外径を形成してあるから、ダンパー
2の窓15にストッパー3の差込片23を差し込めるように位置決めして、ダンパー2に
ストッパー3を圧入して行けば固着することができ、本発明のダイナミックダンパー1を
構成することになる。その際、ストッパー3の当接部21とダンパーマス5のマス側基部
13との間は、マウントラバー6の立設部14の歪みの許容範囲内のクリアランスC、例
えば、0.1mmから1.1mmが与えられる。具体的なクリアランスCは、中空プロペ
ラシャフトの常用回転域、それを超える回転域がどの程度であるか、さらに、マウントラ
バー6の材質などにより決定される。
【0031】
そして、中空プロペラシャフトが常用回転域を超えた際、ストッパー機能が働き、すな
わち、立設部14の歪みが許容範囲内のクリアランスCを超えると、当接部21がダンパ
ーマス5上のマウントラバー6のマス側基部13に当接して、立設部14の歪みがそれ以
上進まず、マウントラバー6の耐久性を確保すると共に中空プロペラシャフトの静粛性も
保持するものである。逆に、常用回転域内であればストッパー機能は働かず、すなわち、
立設部14の歪みがクリアランスC内であるから、当接部21はダンパーマス5に当接す
ることなく、中空プロペラシャフトの静粛性を保持するものである。
【0032】
このストッパー3は、前記ダンパー2と別体で構成しているので、ダンパー2に別体の
ストッパー3を固着すれば良いため、ストッパー3とダンパーマス5とのクリアランスC
が製作上の制約から開放することができ、自在に設定するのを可能としている。なお、予
めダンパー2にストッパー3を組み込んだ形状で一体に製作したものでも差し支えない。
しかしながら、上述のとおり、上記クリアランスCが0.1mmから1.1mmであるた
め、一体で製作するには、金型もそれに合わせる必要があり、金型の耐久性が低下するこ
とになってコストアップの要因となる。
【0033】
また、ストッパー3は、この実施例では金属製の固着部20にゴム製の当接部21を加
硫接着したものであるが、固着部20と当接部21とが一体に形成されていてもよい。そ
の場合、ストッパー3は金属製で鋳造や焼結、あるいは樹脂製で射出成形で一体に成形す
る。このストッパー3は、好適にはナイロンにガラス繊維やカーボン繊維を含ませたもの
がよく、一体に形成することで製作が容易となる。そして、ストッパー3の当接部21は
前記マウントラバー6の硬度より高いことが望まれる。その理由は、中空プロペラシャフ
トが常用回転域を超えた際に、当接部21がダンパーマス5に当接するが、当接部21が
硬いから当接方向に変形しづらく、マウントラバー6の立設部14がそれ以上歪む度合が
減るからである。
【0034】
次に、上記構成になるダイナミックダンパー1の作用について説明する。
まず、ダンパー2に別体のストッパー3を圧入して固着してダイナミックダンパー1を
製作する。次に、ダイナミックダンパー1を中空プロペラシャフトに装着する。そして、
中空プロペラシャフトが回転して、それが常用回転域内、例えば5000rpmであれば
、マウントラバー6の立設部14の歪みが少なく、クリアランスCの範囲内に収まるから
、ストッパー3の当接部21はダンパーマス5に当接することがなく、中空プロペラシャ
フトの静粛性を保持する。一方、中空プロペラシャフトの回転が常用回転域を超えて、例
えば、7000rpmになると、マウントラバー6の立設部14の歪みが大きくなり、ク
リアランスCの範囲内より外れるから、ストッパー3の当接部21はダンパーマス5に当
接して、マウントラバー6の立設部14の歪みがそれ以上進まず、マウントラバー6の耐
久性を確保すると共に、中空プロペラシャフトの静粛性も保持する。
【0035】
なお、本発明のダイナミックダンパー1の性能について試験したので、その状況を説明
する。
〈試験例1〉
本発明のダイナミックダンパー1に加速度:2.0Gを入力し、その時の周波数特性、
すなわち、共振周波数及び位相を測定する。
〈比較例1〉
従来構成のダンパー2に加速度:2.0Gを入力し、その時の周波数特性、すなわち、
共振周波数及び位相を測定する。
その結果、試験例1における共振周波数は143Hzであったのに対して、比較例1に
おける共振周波数は141.5Hzであった。位相はほとんど差が認められなかった。
【0036】
〈試験例2〉
本発明のダイナミックダンパー1に加速度:10.0Gを入力し、回数:5千万回での
マウントラバー6の立設部14の耐久性をみる。
〈比較例2〉
従来構成のダンパー2に加速度:10.0Gを入力し、回数:5千万回でのマウントラ
バー6の立設部14の耐久性をみる。
その結果、試験例2のものは5千万回後でもマウントラバー6の立設部14に変化は見
られなかっのに対して、比較例2のものは1千7百万回後でマウントラバー6の立設部1
4に亀裂が発生した。
【実施例2】
【0037】
実施例1のダイナミックダンパー1は、図5のダンパー2のアウターパイプ4の内周面
に上記のストッパー3を圧入して固着したものであるが、図6に示すように、ダンパー2
のダンパーマス5の外周面にストッパー3aを圧入し固着して得た実施例2のダイナミッ
クダンパー1aでもよい。すなわち、このストッパー3aは固着部20aと当接部21a
とからなる。この固着部20aは、ダンパーマス5に固着するためのものであり、これに
固着可能なリング22aに、アウターパイプ4の5つの窓15に差し込み可能な差込片2
3aを5つ設けたものである。さらに、当接部21aは、許容範囲を超えたマウントラバ
ー6の立設部14の歪みを止めるものであり、固着部20aの差込片23a及びリング2
2aの外周面に設けたものである。
【0038】
上記構成のストッパー3aは、前記ダンパー2に圧入し固着される。すなわち、ダンパ
ー2のダンパーマス5の外周面はマウントラバー6のマス側基部13に覆われており、そ
の外径よりやや小さくストッパー3aのリング22aの内径を形成してあるから、ダンパ
ー2の窓15にストッパー3aの差込片23aを差し込むように位置決めして、ダンパー
2にストッパー3を圧入して行けば固着することができて、本発明にかかる実施例2のダ
イナミックダンパー1aを構成することになる。その際、ストッパー3aの当接部21a
とダンパーマス5のマス側基部13との間は、実施例1と同様なクリアランスC1が与え
られる。その他の構成、作用は実施例1のダイナミックダンパー1と同様なので、その説
明を省略する。
【0039】
以上、本発明の実施例1、2を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明
の要旨を逸脱しない範囲での変更は適宜可能であることは理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のダイナミックダンパーは、エンジンの常用回転域での防振機能性は無論、高速
回転での防振機能性と耐久性とを要求される場合に利用可能性が高く、さらに、手間を掛
けないで製作したいような場合に、利用可能性が極めて高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のダイナミックダンパーを示す斜視図である(実施例1)。
【図2】従来構成のダイナミックダンパーを示す斜視図である(実施例1)。
【図3】図2のダイナミックダンパーの断面図である(実施例1)。
【図4】本発明のストッパーを示す斜視図である(実施例1)。
【図5】本発明のダイナミックダンパーの断面図である(実施例1)。
【図6】本発明の他のダイナミックダンパーの断面図である(実施例2)。
【図7】従来のダイナミックダンパーの一例を示す断面図である。
【図8】従来の他のダイナミックダンパーの一例を示す断面図である。
【図9】従来のダイナミックダンパーの一例を示す一部を切欠した側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,1a ダイナミックダンパー
2 従来構成のダイナミックダンパー(ダンパー)
3,3a,55 ストッパー
4,50,50a,50b アウターパイプ
5,51,51a,51b ダンパーマス
6,52,52a,52b マウントラバー
10 円盤
11 孔
12 パイプ側基部
13 マス側基部
14 立設部
15 窓
20,20a 固着部
21,21a 当接部
22,22a リング
23,23a 差込片
53 くびれ状部
54 連結部
56 円周方向ストッパー
C,C1 クリアランス
W1,w2 幅
x 間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターパイプと、該アウターパイプの軸芯に配置したダンパーマスと、該ダンパーマ
スと前記アウターパイプとの間に介在して両者を弾性的に連結するマウントラバーと、を
少なくとも有してなる中空プロペラシャフト用のダイナミックダンパーであって、前記ア
ウターパイプと前記ダンパーマスとの間にストッパーを設けて、前記中空プロペラシャフ
トの常用回転域内では前記ストッパーを機能させず、常用回転域を超えた際に前記ストッ
パーを機能させるようにしたことを特徴とするダイナミックダンパー。
【請求項2】
前記ストッパーは固着部と当接部とからなり、前記固着部は前記アウターパイプに固着
し、前記当接部は前記中空プロペラシャフトが常用回転域を超えた際、前記ダンパーマス
に当接するようにした請求項1記載のダイナミックダンパー。
【請求項3】
前記ストッパーは固着部と当接部とからなり、前記固着部は前記ダンパーマスに固着し
、前記当接部は前記中空プロペラシャフトが常用回転域を超えた際に、前記アウターパイ
プに当接するようにした請求項1記載のダイナミックダンパー。
【請求項4】
前記ストッパーを別体で構成し、前記アウターパイプに固着するようにした請求項2記
載のダイナミックダンパー。
【請求項5】
前記ストッパーを別体で構成し、前記ダンパーマスに固着するようにした請求項3記載
のダイナミックダンパー。
【請求項6】
前記ストッパーの固着部と当接部とを一体に形成してなる請求項2ないし5のいずれか
1項記載のダイナミックダンパー。
【請求項7】
前記ストッパーの当接部は前記マウントラバーの硬度より高い請求項2ないし6のいず
れか1項記載のダイナミックダンパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−139041(P2007−139041A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332441(P2005−332441)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000242426)北辰工業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】