説明

ダイボンダ

【課題】
本発明は、ダイボンダ内部、環境変化や動作変化に応じ、実際のワーク表面電位によって適切なイオンバランスを調整し、除電して製品の品質を向上させたダイボンダを提供することにある。
【解決手段】
本発明は、ダイをボンディングするボンディングヘッドと、前記ボンドヘッドでダイを剥離する際に生じた静電気を除去するイオナイザーとを設けたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイボンダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にダイボンダでは、ダイ(ワーク)などをウェハーテープから剥離する際に、静電気の発生を抑制し、静電破壊を防止するため、除電装置イオナイザーを使用することである。イオナイザーとは、正イオンと負イオンとを交互に発生させ、対象物を除電するようにしたものである。イオンバランスとは、イオナイザーが発生したプラスイオン、マイナスイオンのバランスというものである。イオンバランスが、OVに近いほど、除電がうまく行うものである。
【0003】
イオナイザーの従来技術としては特許文献1や特許文献2が挙げられる。
この特許文献1は、安定な測定環境にてイオナイザーに帯電量検出機能を追加し、検出した結果でイオンバランスを調整できるようにすることが記載されている。また特許文献2は、被制御空間の絶対湿度を測定するための手段を設けるとともに、絶対湿度の増加により正イオンに対する負イオンの相対的発生量を増し、絶対湿度の減少により負イオンに対する正イオンの相対的発生量を増すようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−289796号公報
【特許文献2】特開平5−94896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ダイボンダ内部では、湿度などの環境は一定ではなく、常に変化するものである。
また、金属製ボンドヘッドでは、ダイ(ワーク)をウェハーテープから剥離して移動させ、基板にボンディングするものである。この動作で、ワークを基板などにボンディングさせ、ダイボンダというものである。そのため、ダイボンダ内部、環境変化や動作変化が常に発生するものである。
【0006】
ところが、この変化する環境でイオナイザーを使用し、除電すると新たな問題が発生した。
つまり、現状のイオナイザーでは、測定環境の湿度が変化するとイオンバランスが崩し、除電しようとする対象物に対して適切な除電ができず、逆帯電の可能性が高まってしまう。また、金属などの接近より帯電物の帯電量を正確に検出できず、適切なイオンバランスを出さなくなり、除電しようとする対象物を逆帯電する可能性もある。
【0007】
ところがダイボンダ内ボンディング温度が高いため、ボンドヘッド周囲の湿度が変化しやすくなって、ダイ(ワーク)の帯電量も変わってしまう。そのため、ボンドヘッド周囲のイオンバランスが崩し、ダイ(ワーク)の帯電量に応じ、適切に除電できないという問題が発生した。
また、ボンドヘッドでダイ(ワーク)をウェハーテープから剥離する際に静電気が発生しまう。イオナイザーは発生した静電気を除去しようとすると、帯電したダイ(ワーク)の帯電量を正確に検出することが必要である。しかし、金属製ボンドヘッドを接近することで、イオナイザーがダイ(ワーク)の帯電量を正確に検出できず、ダイ(ワーク)の除電ができないという問題も発生した。
【0008】
これに対して、上述した特許文献1では安定な測定環境にてイオナイザーに帯電量検出機能を追加し、検出結果でイオンバランスを調整できることについては記載されているものの、ダイボンダ内部金属製品などの接近による変化する環境にてイオナイザーで帯電物の帯電量に応じて除電することについては何ら記載されていない。また引用文献2もダイボンダ内部、湿度の制御については一切記載れていない。
【0009】
本発明の目的は、ダイボンダ内部の環境変化や動作変化に応じ、帯電物を適切に除電して、製品の品質を向上させたダイボンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、ウェハーテープ上のダイ(ワーク)と、ボンディングヘッドを備え、このボンドヘッドで前記ウェハーテープから剥離しようとした前記ダイ(ワーク)に向いて、前記ワークを剥離する際に生じた静電気を除去するイオナイザーを設けたものである。
【0011】
また上記目的を達成するために、好ましくは、前記ワークの電位を検出する電位検出装置を前記ワークの近傍に設けたものである。
【0012】
また上記目的を達成するために、好ましくは、前記イオナイザーは前記電位検出装置からの出力を入力とする制御装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ダイボンダ内部、環境変化や動作変化に応じ、実際の環境にてダイ(ワーク)の表面電位によって適切なイオンバランスを調整し、除電して製品の品質を向上させたダイボンダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係るダイボンダを上から見た概念図である。
【図2】本発明の実施例1に係るダイボンダを上から見た概念図である。
【図3】本発明の実施例1に係るボンドヘッド、突き上げユニット、イオナイザーの概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係るピックアップ治具と突き上げユニットの概念図である。
【図5】本発明に係る実施例の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1に係るダイボンダを上から見た概念図である。
図1において、ダイボンダは大別するとウェハー供給部1と、基板供給・搬送部2と、ダイボンディング部3とを有する。基板供給・搬送部2はスタックローダ21と、フィーダ22と、アンローダ23とを有する。スタックローダ21によりフィーダ22に供給された基板)は、フィーダ22上の2箇所の処理位置を介してアンローダ23に搬送される。
【0017】
ダイボンディング部3は、プリフォーム部31とボンディングヘッド部32とを有する。このダイボンディング部3の前工程となるプリフォーム部31は、フィーダ22により搬送されてきた基板に接着剤を塗布する部分である。ボンディングヘッド部32は、ダイ(ワーク)供給ユニット12からダイ(ワーク)をピックアップして上昇し、平行移動してフィーダ22上のボンディングポイントまで移動させる。そこで、ボンディングヘッド部32は、ダイ(ワーク)を下降させてフィーダ22により搬送されてきた基板にボンディングする。
【0018】
ウェハー供給部1は、ウェハーカセットリフタ11とダイ(ワーク)供給ユニット12とを有する。ウェハーカセットリフタ11は、ダイシングしたウェハーをウェハーテープに固定させたリングが充填されたウェハーカセット(図示せず)を有し、順次ダイシングしたウェハーをウェハーテープに固定させたリングをダイ(ワーク)供給ユニット12に供給する。そして、突き上げユニット26を剥離しようとするワークを突きあげて、ボンディングヘッド部32は前記突き上げたダイ(ワーク)をピックアップする。
【0019】
図2は本発明に係るダイボンダの上面図である。なお、図1と同じ番号は同一物を示すので、その説明は省略する。
図2において、ウェハーテーブル13上にはダイシングしたウェハーを固定したウェハーテープ24が搭載されている。ボンディングヘッド部32は24のターゲットダイ(ワーク)28部(詳細は後述する)がピックアップされ、ピックアップされたダイ(ワーク)を基板(図示せず)上にボンディングするものである。ダイ(ワーク)28をウェハーテープ24から剥離する場合にピックアップ治具25が用いられる。
【0020】
ダイは突き上げユニット26(詳細は図3で説明する)によって確実に剥離されるようになっている。この剥離動作を照明ユニット29によって照らされ、安全かつ正確な作業ができるようになっている。
【0021】
図3はピックアップ治具と突き上げユニットの断面図である。
図3において、ボンディングヘッド33に取り付けられたピックアップ治具25には複数の吸着穴25aが設けられており、この吸着穴25aの一端はボンドヘッドなどに介して真空供給源(図示せず)と連通しているため真空供給源によりダイ34は吸着穴25aに吸着する。ダイ34がピックアップ治具25の吸着穴25aに吸着すると、ウェハーテープ24aからダイ34が剥がされる。この剥離作業をより確実に行うため、ウェハーテープ24aの下方には突き上げユニット26が設けられている。
【0022】
この突き上げユニット26はダイ34の外周を突き上げる突き上げ部26aとダイ(ワーク)34の中央部を突き上げる中央突き上げ部26bが備えられている。
【0023】
ところで、図3に示したピックアップ治具はダイ(ワーク)をウェハーテープから剥離したときに静電気が発生しまう。ダイ(ワーク)や基板などに静電破壊を防止するため、近傍に設置されているイオナイザーを使用して、ダイ(ワーク)とピックアップ治具を除電する。
このイオナイザーでは、環境の湿度などに影響され、崩すことになるものである。特にダイボンダ装置の内部、ボンドヘッド周囲の湿度が変化しやすいため、ダイ(ワーク)を剥離際に生じた静電気をうまく除去できず、静電気を溜まってしまうことが発生する。
また、金属製ボンドヘッドの接近により、イオナイザーではイオンバランスを崩して、ダイ(ワーク)を除電できなくなる。
【0024】
このような課題を解決する一手段として、引用文献2のような帯電物周囲環境の湿度を測定し、イオンバランスを制御できることが分かっている。また、引用文献1のようなイオナイザーを採用することで帯電物の除電が有効であることが分かっている。これは、静電気にはマイナスイオンとプラスイオンからなることが分かっていることから、静電気を帯びた対象物の周囲空気をイオナイザーでイオン化させ、発生させたイオンバランスにより生じた静電気を中和させるものである。
【0025】
そもそも、イオンバランスは環境変化或いは動作変化によってイオンバランスが崩す。したがって、本発明の発明者らはダイ(ワーク)の帯電量を常に測定し、その測定結果をイオナイザーの調整にフィードバックすることを種々検討した結果、以下のごとき実施例を得た。
【0026】
以下、本発明の一実施例を図4、図5にしたがって説明する。
【0027】
図4は本発明の一実施例に係るピックアップ治具と突き上げユニットの概念図である。
図5は本実施例のフロー図である。
【0028】
図4において、ダイ(ワーク)34がボンドヘッド32にピックアップされ、上昇したダイ(ワーク)34がピックアップされた時に静電気を生じた。生じた静電気を近傍に設置されているイオナイザー36で除去しようとしている。
【0029】
本図では、このイオナイザー36はイオンバランスを噴射するものであり、常にピックアップ治具25に向かってイオンバランスを噴射する角度で傾斜して配置されている。
【0030】
設定されていたボンディング回数を到達した後、ダイ(ワーク)34は電位検出器36によって電位量が検出するようになっている。検出された電位によって、イオナイザーの除電効果を判断する。検出された電位が異常の場合、イオンバランス調整をなったら、次のボンディングを行うことになる。
【0031】
図5において、
(1)ウェハーテープ上に貼り付けられたダイ(ワーク)をピックアップ治具の吸引力で吸い付けることでダイを剥離させて、基板にボンディングする。繰り返し動作(101)
(2)設定する回数を到達(102)
(3)ダイ(ワーク)表面電位を測定(103)
(4)測定した電位値からイオンバランスの適切性を判断(104)
(5)正常の場合は問題なしとして(101)に戻る。(105)
(6)異常場合はオンバランスの調整を行ったら(103)に戻る。(106)
このように、本実施例ではダイ34の電位状況に応じてイオナイザー36を制御するため、より正確な除電ができるものである。
【実施例2】
【0032】
実施例1では環境変化に応じたダイ(ワーク)で電位を検出してイオナイザーに反映させることを説明したが、本実施例では可動部となる金属のボンディングヘッドの動作環境に応じた電位の変化を常に検出することを説明する。つまり、金属の可動部となるボンディングヘッドの位置にイオンバランスが変わってしまう。
【0033】
そこで本発明の発明者らはボンディングヘッドの移動に応じて、ダイ(ワーク)の電位を検出してイオナイザーの制御にフィードバックをかけるようにしたものである。
図4において、ダイ(ワーク)34の帯電量を検出して、イオナイザー36に制御し、適切なイオンバランスを出すことになる。ボンディングヘッド33の影響を除いて、ダイ(ワーク)の除電を行うことである。
【0034】
このように、本実施例によればボンドヘッド33の動作変化或いは周辺の環境変化によって電位を正確に検出してイオナイザー36の制御に反映できるため正確な除電ができる。
【0035】
以上のごとく、本発明は環境変化或いはボンディングヘッドの動作変化を排除してダイ(ワーク)の帯電状態に合わせたイオンバランスを提供して除電することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…ウェハー供給部、2…基板供給・搬送部、3…ダイボンディング部、11…ウェハーカセットリフタ、12…ウェハーテーブル、21…スタックドーダ、22…ローダ、23…アンローダ、24…ウェハー、24a…ウェハーテープ、24b…ワーク、25…ピックアップ治具、25a…貫通穴、26…突き上げユニット、26a…突き上げ部、26b…中央突き上げ部、30…搬送シュート、31…プリフォーム部、32…ボディングヘッド部、32a…ボンディングヘッド、36…イオナイザー、36a…電位検出装置、36b…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイをボンディングするボンディングヘッドと、前記ボンドヘッドがウェハーテープから前記ダイを剥離する際に生じた静電気を除去するイオナイザーを設けたことを特徴とするダイボンダ。
【請求項2】
請求項1記載のダイボンダにおいて、
前記ダイの電位を検出する電位検出装置を設けたことを特徴とするダイボンダ。
【請求項3】
請求項2に記載のダイボンダにおいて、
前記イオナイザーは前記電位検出装置の測定結果から放出するイオンのイオンバランスを制御することを特徴とするダイボンダ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のダイボンダにおいて、
前記電位検出装置は前記ダイの移動に応じ、帯電量の検出を行うことを特徴とするダイボンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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