説明

ダイヤフラムを用いた圧力測定装置及び圧力測定方法

【課題】本発明は、ダイヤフラムを用いた静電容量型圧力測定装置に関する。
【解決手段】内部にダイヤフラムが設けられるセンサーハウジングに、圧力可変容器を固定設置することにより、ゲッターポンプ無しで、大気圧以下の圧力を測定できるだけではなく、大気圧以上の圧力も測定可能な、ダイヤフラムを用いた圧力測定装置に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムを用いた静電容量型圧力測定装置に関するもので、より詳細には、内部にダイヤフラムが設けられるセンサーハウジングに、圧力可変容器を固定設置することにより、ゲッターポンプ無しで、大気圧以下の圧力を測定できるだけではなく、大気圧以上の圧力も測定可能な、ダイヤフラムを用いた圧力測定装置に関するものである。
【0002】
また、本発明は、前記圧力測定装置を用いた圧力測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
図1は、従来のダイヤフラムを用いた静電容量型圧力測定装置に係る構成図である。
【0004】
図1を参照すると、従来技術は、センサーハウジング12を有する。センサーハウジング12には、第1の開放管12−1と第2の開放管12−2とが形成される。
【0005】
図1を参照すると、センサーハウジング12には電極基板14が形成されて、電極基板14には電極14Tが付着される。第1の開放管12−1と第2の開放管12−2とが相互連通するように、電極基板14には貫通孔(図示せず)が形成される。また、電極基板14と第1の開放管12−1との間には、電極基板14と第1の開放管12−1を空間的に遮断するように、ダイヤフラム16が固定設置される。ダイヤフラム16は、外周面がセンサーハウジング12の内側壁に固定設置される。ダイヤフラム16は、弾性物質の導体である。
【0006】
図1を参照すると、第2の開放管12−2には、ゲッターポンプ18が設けられ、ダイヤフラム16と第2の開放管との間の空間を真空状態にする。ゲッターポンプ18は、事実上、ポンプというよりは、化学反応を通じてガスを吸着及び除去することにより、圧力を落とすガス除去剤であって、Zr(Zirconium)、Ti(Thallium)などが挙げられる。
【0007】
従来技術は、第1の開放管12−1が、真空圧力より高い測定対象領域に位置する場合、ダイヤフラム16が電極14Tに向かって凸状に撓むことにより、電極14Tとダイヤフラム16との間の静電容量が変わって、このような静電容量の変化を通じて、第1の開放管12−1の位置した測定対象領域の圧力を測定していた。
【0008】
しかしながら、従来技術は、ゲッターポンプ18を構成するガス除去剤が使いきられた場合、その入れ替えに不便がある。
【0009】
また、従来技術は、測定対象領域の圧力が、ゲッターポンプ18が位置した側の真空圧力より遥かに高い常圧である場合、ダイヤフラム16の弾性変形量に係る限界点により、測定対象領域の圧力を測定し難いという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ゲッターポンプ無しで、真空圧力及び大気圧より高い常圧の圧力を容易に測定できる、ダイヤフラムを用いた圧力測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の開放口と第2の開放口とが形成されるセンサーハウジングと、前記第1の開放口と第2の開放口とが 空間的に相互遮断されるように、前記第1の開放口と第2の開放口との間に設けられ、導電部が備えられるダイヤフラムと、前記第2の開放口とダイヤフラムとの間に流路が形成されるように貫通孔が形成され、前記第2の開放口とダイヤフラムとの間に設けられる電極基板と、前記ダイヤフラムに直面するように、前記電極基板に付着される電極とを含むダイヤフラムセンサー;及び、第3の開放口及び第4の開放口が形成されて、前記第2の開放口が前記第3の開放口に連通するように、前記センサーハウジングが固定される圧力可変容器;を含むことを特徴とする、ダイヤフラムを用いた圧力測定装置に関する。
【0012】
本発明は、前記第4の開放口を開閉するゲートバルブ;前記圧力可変容器に流入されるガス量を調節するためのガス流量調節バルブが備えられ、前記圧力可変容器に連結されるガス流入管;前記ゲートバルブによる前記圧力可変容器の閉鎖時、前記圧力可変容器の内部の圧力測定のための容器圧力測定ゲージ;を含むことができ、前記ダイヤフラムが、前記第1の開放口に接触することなく、前記第1の開放口に向かって凸状に撓むように、前記ダイヤフラムは、前記第1の開放口から所定距離離隔して設けられる。
【0013】
本発明において、前記センサーハウジングは、前記圧力可変容器に密着固定されるように、フランジ部が形成されてもよい。
【0014】
また、本発明は、前記圧力測定装置を用いた圧力測定方法として、前記ゲートバルブの作動により前記第4の開放口を閉鎖する段階;前記ガス流入管を通じて前記圧力可変容器にガスを流入する段階;前記ガス流量調節バルブを利用して、前記圧力可変容器の内部を一定圧力に調節する圧力調節段階;前記第1の開放口を、前記圧力調節段階で調節された圧力可変容器の内部圧力より高い圧力測定空間に位置させる段階;を含むことを特徴とする圧力測定方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるダイヤフラムを用いた圧力測定装置は、ゲッターポンプ無しで、真空圧力及び大気圧より高い圧力を容易に測定できる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のダイヤフラムを用いた静電容量型圧力測定装置に係る構成図である。
【図2】実施例1の概略的構成図である。
【図3】図1のダイヤフラムセンサーの詳細図である。
【図4】図3の電極基板の詳細図である。
【図5】実施例2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の一実施例について詳細に説明する。
【0018】
(実施例1)
実施例1は、本発明によるダイヤフラムを用いた圧力測定装置に係るものである。図2は、実施例1の概略的構成図を、図3は、図1のダイヤフラムセンサーの詳細図を、図4は、図3の電極基板の詳細図を示す。
【0019】
図2を参照すると、実施例1は、ダイヤフラムセンサー110と圧力可変容器122を有する。
【0020】
図2及び図3を参照すると、ダイヤフラムセンサー110は、センサーハウジング112、電極基板114、電極114T、電極ライン114L、ダイヤフラム116、及び信号処理部118を含む。
【0021】
図2及び図3を参照すると、センサーハウジング112には、第1の開放口(図面符号無し)に連通する第1の開放管112−1が形成されて、第2の開放口(図面符号無し)に連通する第2の開放管112−2が形成される。
【0022】
図3を参照すると、ダイヤフラム116は、第1の開放口と第2の開放口との間に設けられるが、第1の開放口と第2の開放口が空間的に相互遮断されるよう、その外側面がセンサーハウジング112の内側面に固着される。ダイヤフラム116は、第2の開放口側にのみ弾性変形されるよう、第1の開放口が形成される側壁に接触して固定される。この際、溶接により、ダイヤフラム116の外側面をセンサーハウジング112の内側面に固着できる。一方、本発明の場合、ダイヤフラム116には、導電体が備えられるが、実施例1の場合、ダイヤフラム116自体が弾性材質の金属箔板から形成される。
【0023】
図3を参照すると、電極基板114は、第2の開放口とダイヤフラム116との間に設けられる。図4を共に参照すると、電極基板114には、左右側を貫通する多数個の貫通孔114Hが形成される。貫通孔114Hは、第2の開放口と電極基板114との間の空間及び電極基板114とダイヤフラム116との間の空間が相互連通されるようにするためのものである。
【0024】
図3及び図4を参照すると、電極基板114には、電極114Tが付着される。電極114Tは、電極基板114の中央部に付着されるが、電極基板114の、ダイヤフラム116に直面する面に付着される。電極基板114は、絶縁性物質から形成される。
【0025】
図3を参照すると、電極114Tには、電極ライン114Lが連結される。電極ライン114Lは、信号処理部118に連結される。信号処理部118は、電極ライン114Lから入力される信号によって圧力を表示するための装置である。
【0026】
図2を参照すると、圧力可変容器122には、センサーハウジング112の第2の開放管112−2が挿入される第3の開放口(図面符号無し)が形成される。即ち、センサーハウジング112は、第2の開放管112−2が第3の開放口に挿入されることにより、ダイヤフラム116の左側空間が圧力可変容器122に連通される。一方、圧力可変容器122と第2の開放管112−2との間の密封のために、第2の開放管112−2の外周面と第3の開放口の内側面との間には、シリコンなどのような密封材を施してもよい。また、センサーハウジング112には、圧力可変容器122と第2の開放管112−2との間の密封を助けると共に、センサーハウジング112を圧力可変容器122に付着するために、フランジ部112F(図3参照)が形成される。
【0027】
図2を参照すると、圧力可変容器122には、第4の開放口(図面符号無し)に連通する第4の開放管122−4が形成される。第4の開放管122−4には、第4の開放口を開閉するゲートバルブ122−4Vが備えられる。
【0028】
図2を参照すると、圧力可変容器122には、ガス流入管122−5が連結される。ガス流入管122−5は、圧力可変容器122にガスを流入するための流入管である。ガス流入管122−5には、圧力可変容器122に流入されるガス量を調節するためのガス流量調節バルブ122−5Vが備えられる。一方、ガス流入管122−5には、ガス貯蔵槽130が連結される。
【0029】
図1を参照すると、圧力可変容器122には、容器圧力測定ゲージ140が設けられる。容器圧力測定ゲージ140を利用して、ゲートバルブ122−4Vによる圧力可変容器122の閉鎖時、圧力可変容器122の内部圧力を測定することができる。
【0030】
以下、上記の一実施例の作動について説明する。
【0031】
図3を参照すると、電極114Tは、ダイヤフラム116との間に静電容量Cを帯びる。静電容量Cは、電極114Tとダイヤフラム116との間の距離によって変わる。電極114Tとダイヤフラム116との間の距離による静電容量Cは、下記の数学式1のようである。
【0032】
[数1]
C=εA/D
ここで、Cは、電極114Tとダイヤフラム116との間の静電容量、εは、誘電率、Aは、電極の面積、Dは、電極114Tとダイヤフラム116との間の距離である。
【0033】
ダイヤフラム116は、弾性物質であるため、第1の開放管112−1が位置した領域の圧力が、圧力可変容器122内部の圧力より大きいと、電極基板114側に撓むようになる。図1には、このような状態が表示されている。一方、電極ライン114Lに連結された信号処理部118を通じて、電極114Tとダイヤフラム116との間の距離の変化による静電容量Cの変化、及び測定対象となる領域の圧力を測定することができる。
【0034】
(1)測定対象となる領域の圧力が大気圧以下である場合
第1の開放管112−1を大気圧の領域下に位置させて、ゲートバルブ122−4Vを開けて、第4の開放管122−4を測定対象となる領域に位置させる。この際、第1の開放管112−1が位置した領域の圧力をP、測定対象となる領域の圧力をPとすると、P>Pであるため、ダイヤフラム116は、電極基板114側に向かって凸状に撓むようになり、それによって電極114Tとダイヤフラム116との間の静電容量Cが変わるようになるため、信号処理部118を通じて圧力Pを測定することができる。
【0035】
(2)測定対象となる領域の圧力が大気圧以上である場合
第1の開放管112−1を測定対象の領域下に位置させて、ゲートバルブ122−4Vを閉める。次いで、ガス流入管122−5を通じて、圧力可変容器122にガスを注入する。その後、容器圧力測定ゲージ140を通じて、圧力可変容器122内の圧力が大気圧の状態に達すると、ガス流量調節バルブ122−5を閉める。もし、圧力可変容器122内の圧力が大気圧超過状態に達すると、ゲートバルブ122−4Vを開けて、圧力可変容器122内の圧力を大気圧状態になるようにする。この際、測定対象となる領域の圧力をP、圧力可変容器122内の圧力をPとすると、P>Pであるため、ダイヤフラム116は、電極基板114側に向かって凸状に撓むようになり、それによって電極114Tとダイヤフラム116との間の静電容量Cが変わるようになるため、信号処理部118を通じて圧力Pを測定することができる。
【0036】
実施例1は、センサーハウジング112の第1の開放管112−1を大気圧下に位置させて、圧力可変容器122の第4の開放管122−4を圧力測定対象領域に位置させることにより、大気圧より低い圧力を測定することができる。一方、圧力可変容器122の内部圧力を大気圧に維持した状態で、センサーハウジング112の第1の開放管112−1を圧力測定対象領域に位置させることにより、大気圧より高い圧力を測定することができる。
【0037】
一方、実施例1は、これに限定されるものではない。実施例1は、ダイヤフラム116がセンサーハウジング112の第1の開放口側にも凸状に撓むことができるように、ダイヤフラム116をセンサーハウジング112の第1の開放口から所定距離離隔して設けることができる。この場合、センサーハウジング112の第1の開放管112−1を大気圧下に位置させて、圧力可変容器122の第4の開放管122−4を圧力測定対象領域に位置させることにより、大気圧より高い圧力を測定することができる。このガス流入管122−5及び容器圧力測定ゲージ140は、設けなくてもよい。
【0038】
(実施例2)
実施例2は、実施例1を利用した圧力測定方法に関する。図5は、実施例2のフローチャートを示す。
【0039】
図5を参照すると、実施例2は、第4の開放口閉鎖段階S10、ガス注入段階S20、圧力可変容器圧力調節段階S30、及び圧力測定段階S40を有する。
【0040】
図5を参照すると、第4の開放口閉鎖段階S10では、ゲートバルブ122−4Vを作動し、第4の開放口(図示せず)を閉鎖する。
【0041】
図5を参照すると、ガス注入段階S20では、ガス流入管122−5を通じて、圧力可変容器122にガスを流入させる。ガス注入段階S20では、ガス流量調節バルブ122−5Vが開放される。
【0042】
図5を参照すると、圧力可変容器圧力調節段階S30では、圧力可変容器122の内部圧力が一定の圧力、例えば大気圧に維持される。圧力可変容器122の内部圧力が予め設定された一定圧力、例えば大気圧に達すると、ガス流量調節バルブ122−5Vを閉鎖させる。
【0043】
図5及び図2を参照すると、圧力測定段階S40では、第1の開放管112−1を圧力測定空間に位置させて、信号処理部118を通じて圧力測定領域の圧力Pを測定する。この際、圧力測定領域の圧力Pは、圧力可変容器圧力調節段階S30で調節された圧力可変容器122の内部圧力Pより高い。
【符号の説明】
【0044】
110 ダイヤフラムセンサー
112 センサーハウジング
112−1 第1の開放管
112−2 第2の開放管
112F フランジ部
114 電極基板
114T 電極
114L 電極ライン
114H 貫通孔
116 ダイヤフラム
118 信号処理部
122 圧力可変容器
122−4 第4の開放管
122−4V ゲートバルブ
122−5 ガス流入管
122−5V ガス流量調節バルブ
130 ガス貯蔵槽
140 容器圧力測定ゲージ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開放口と第2の開放口とが形成されるセンサーハウジングと、前記第1の開放口と第2の開放口とが空間的に相互遮断されるように、前記第1の開放口と第2の開放口との間に設けられ、導電部が備えられるダイヤフラムと、前記第2の開放口とダイヤフラムとの間に流路が形成されるように貫通孔が形成され、前記第2の開放口とダイヤフラムとの間に設けられる電極基板と、前記ダイヤフラムに直面するように、前記電極基板に付着される電極とを含むダイヤフラムセンサーと、
第3の開放口及び第4の開放口が形成されて、前記第2の開放口が前記第3の開放口に連通するように、前記センサーハウジングが固定される圧力可変容器と、
を含むことを特徴とする、ダイヤフラムを用いた圧力測定装置。
【請求項2】
前記第4の開放口を開閉するゲートバルブと、
前記圧力可変容器に流入されるガス量を調節するためのガス流量調節バルブが備えられ、前記圧力可変容器に連結されるガス流入管と、
前記ゲートバルブによる前記圧力可変容器の閉鎖時、前記圧力可変容器の内部の圧力測定のための容器圧力測定ゲージと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のダイヤフラムを用いた圧力測定装置。
【請求項3】
前記ダイヤフラムが、前記第1の開放口に接触することなく、前記第1の開放口に向かって凸状に撓むように、前記ダイヤフラムは、前記第1の開放口から所定距離離隔して設けられることを特徴とする、請求項1に記載のダイヤフラムを用いた圧力測定装置。
【請求項4】
前記センサーハウジングは、前記圧力可変容器に密着固定されるように、フランジ部が形成されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のダイヤフラムを用いた圧力測定装置。
【請求項5】
前記ゲートバルブの作動により前記第4の開放口を閉鎖する段階と、
前記ガス流入管を通じて前記圧力可変容器にガスを流入する段階と、
前記ガス流量調節バルブを利用して、前記圧力可変容器の内部を一定圧力に調節する圧力調節段階と、
前記第1の開放口を、前記圧力調節段階で調節された圧力可変容器の内部圧力より高い圧力測定空間に位置させる段階と、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の圧力測定装置を用いた圧力測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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