説明

ダイヤフラムポンプ

【課題】 騒音の低減を図った上で、小型化と部品点数の低減を図る。
【解決手段】 ポンプ室20Aのポンプ作用によって、ケース3の吸入口3cから吸入されたエアーは、ポンプ室20Aから吐出用弁体14Aを経て消音室9Aに導入され、連通溝10Aを介して吐出口17aから吐出される。ダイヤフラムホルダー8に有底筒状に形成された消音室20Aは、ダイヤフラム12および隔壁体17によって密閉された空間として底部がケース3内に臨んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計や家電製品等に流体を供給するダイヤフラムポンプに関し、特に、吐出口から漏洩する騒音の低減を図ったダイヤフラムポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のダイヤフラムポンプとしては、大気からエアーを吸入するための通気口を有するケースと、ダイヤフラムとともにポンプ室を形成するバルブハウジングと、吐出口を有する蓋体とを備え、これら蓋体、バルブハウジング、ケースをねじによって積層状態で固定するものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示されたダイヤフラムポンプにおいては、蓋体とバルブハウジングとの間に密閉された消音室を設け、ケースに設けた通気口からケース内に流入させた流体を、ねじを遊挿する遊挿孔との間の遊びを通して消音室に導き、この消音室の消音効果によって騒音の低減を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4074980号公報(段落〔0019〕〜〔0032〕および図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来のダイヤフラムポンプにおいては、蓋体とバルブハウジングとの間に消音用の専用の空間を設ける構造であるため、消音用の空間を設けるために蓋体が必要となる。このため、部品点数も増加するというだけではなく、ダイヤフラムポンプ自体が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、騒音の低減を図った上で、部品点数の低減と小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、ダイヤフラムによって形成され拡縮するポンプ室と、このポンプ室内に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から当該吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ当該吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体と、前記ダイヤフラムを作動させ前記ポンプ室を拡縮させるモータと、このモータが外側に取り付けられたケースとを備えたダイヤフラムポンプにおいて、流体が前記ポンプ室から流出され外部に吐出されるまでの吐出側経路中に、前記ケース内に臨む密閉された消音室を備えたものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記ダイヤフラムを保持するとともに前記消音室が設けられたダイヤフラムホルダーと、吐出口が設けられ前記ダイヤフラムとによって前記ポンプ室を形成する隔壁体とを備え、前記ケースに吸入口を設け、前記ダイヤフラムおよび前記ダイヤフラムホルダーに、前記ケースの吸入口から吸入された流体の通路となる連通孔を設け、前記隔壁体に、前記ダイヤフラムの連通孔と前記ポンプ室との間を連通する第1の連通路と、前記ポンプ室と前記消音室との間を連通する第2の連通路とを設け、前記ダイヤフラムホルダーに、前記消音室と前記吐出口とを連通する連通溝とを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流体の通路の途中に消音室を設けたことにより消音効果が得られ、この消音効果は、消音室を、吐出口から吐出される直前の吐出側経路中に設けたことにより、エアー流路中に発生する騒音が吐出口から漏洩するようなことがない。また、消音室をケースに臨むように設けたことにより、消音室をケースの空きスペースを利用して設けることができる。したがって、従来のように、蓋体と隔壁体との間に消音用の空間を設けるための新たなスペースを必要としないため、ダイヤフラムポンプの小型化を図ることができる。また、ケースの空きスペースを利用することで、消音室の容量を比較的大きくすることができるため、より顕著な消音効果が得られる。また、従来のように隔壁体との間に消音用の空間を形成するための蓋体も必要がなくなるため部品点数も削減される。
【0009】
前記発明のうちの一つの発明によれば、ケースの吸入口からエアーを吸入することにより、ケースも消音空間として機能するため、より一層消音効果が増すとともに、吸入口から吸入された直後に消音されるため、騒音が吸入口から漏洩するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】本発明に係るダイヤフラムポンプを分解して示す斜視図である。
【図3】本発明に係るダイヤフラムポンプおけるダイヤフラムホルダーの平面図である。
【図4】同図(A)は本発明に係るダイヤフラムポンプのダイヤフラムの平面図、同図(B)は同図(A)におけるIV(B)-IV(B) 線断面図である。
【図5】本発明に係るダイヤフラムポンプのバルブホルダーの平面図である。
【図6】本発明に係るダイヤフラムポンプにおいて、吸引エアーの流れを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。なお、明細書中において方向を説明するために使用した「上、下」は、説明の便宜上図中における方向をいうものであって、本発明に係るダイヤフラムポンプを実際に使用する際の上・下とは必ずしも一致するものではない。
【0012】
図1および図2に、全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、駆動源であるモータ2を備えている。このモータ2は、有底円筒状に形成されたケース3の底部3aの外側に、出力軸2aが底部3aに設けた軸孔からケース3内に臨むように、ボルト4によって取り付けられている。ケース3は上方が開口され開口部3bが設けられており、底部には吸入口3cが形成され、周面には円周方向に互いに等間隔をおいた三つの溝3dが上下方向に延在するように設けられている。
【0013】
図1において、5は略円柱状に形成されたクランク台であって、中央部にモータ2の出力軸2aが固定され、出力軸2aと一体的に回転する。6は駆動軸であって、下端部がクランク台5の出力軸2aが取り付けられた部位から偏心した部位に傾斜した状態で取り付けられている。
【0014】
7は中央部に非貫通孔7aが設けられた駆動体であって、上端部に平面視における円周方向に互いに等角度(120°)をおいて、非貫通孔7aと直交する方向に突設された三つの駆動子7bが一体に設けられている。これら駆動子7bは揺動端部側に向かっていずれも同じ角度だけ下方にわずかに傾斜するように形成され、各揺動端部にはダイヤフラム部取付孔7cが設けられている。
【0015】
この駆動体7は、非貫通孔7aに駆動軸6の上部が嵌挿されることにより、この駆動軸6に回転自在に枢支されており、モータ2を駆動させることによりクランク台5を回転させると、駆動軸6が傾斜方向を変えるようにして回転することにより、この駆動軸6を介して三つの駆動子7bの揺動端部が順次上下方向に揺動する。
【0016】
8は逆有底円筒状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、図2および図3に示すように天井部8aに、円筒状に形成された三つの保持筒8bが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて下方に向かって一体に突設されている。また、このダイヤフラムホルダー8の天井部8aの互いに隣接する保持筒8b,8b間には、上部が開口され有底円筒状に形成された三つの消音室9A,9B,9Cが天井部8aから下方に向かって一体に突設している。
【0017】
さらに、天井部8aの中央部には、三つの消音室9A,9B,9C間を互いに連通する三つの連通溝10A,10B,10Cが、互いに隣接する保持筒8b,8b間に設けられている。これら三つの連通溝10A,10B,10Cは、天井部8aの中心で互いに合流し、中心から半径方向に向かって放射状に延設され、円周方向に互いに等角度(120°)をなすように平面視Y字状を呈している。
【0018】
11A,11B,11Cは、消音室9A,9B,9Cのそれぞれと各保持筒8bとの間に位置するように天井部8aに設けられた連通孔である。また、ダイヤフラムホルダー8の周面には、上下方向に延在する三つの溝8cが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。
【0019】
図2および図4において、12はゴム等の柔軟性を有する材料によって略円板状に形成されたダイヤフラムであって、薄肉状に形成された三つのダイヤフラム部12A,12B,12Cが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。このダイヤフラム部12A,12B,12Cの下部には、ピストン部12aが一体に設けられ、このピストン部12aの下端には細径部12bが一体に設けられている。
【0020】
ダイヤフラム部12A,12B,12Cの上端縁の一部には、各ダイヤフラム部12A,12B,12Cに臨むように、薄肉で平面視三日月状に形成された三つの吸入弁13A,13B,13C(図4(A)中、説明の便宜上破線によるハッチングを施した部位)が円周方向に互いに等角度(120°)をおいて、水平方向に向かって一体に突設されている。
【0021】
ダイヤフラム12の各ダイヤフラム部12A,12B,12Cの互いに隣接する部位には、円弧状の切欠き14aに囲まれ薄肉で円形に形成された三つの吐出弁14A,14B,14Cが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて一体に設けられている。
【0022】
また、ダイヤフラム12の周縁部には、三つの各ダイヤフラム部12A,12B,12Cと三つの吐出弁14A,14B,14Cのそれぞれとの間に、三つの連通孔15A,15B,15Cが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。また、ダイヤフラム12の中心には、通気孔12cが設けられており、周部には三つの半円形の切欠き12dが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。
【0023】
図1および図5において、17は略円板状に形成された隔壁体であって、中心には吐出口17aを有する吐出用筒部17bが一体に立設されており、周部には三つの半円形の切欠き17cが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。
【0024】
また、この隔壁体17の上面には、連通孔15Aと吸入用弁体13A(ポンプ室20A)との間を連通する第1の連通路が形成された連通ブロック体18Aと、連通孔15Bと吸入用弁体13B(ポンプ室20B)との間を連通する第1の連通路が形成された連通ブロック体18Bと、連通孔15Cと吸入用弁体13C(ポンプ室20C)との間を連通する第1の連通路が形成された連通ブロック体18Cとが、円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。
【0025】
また、この隔壁体17の上面には、後述するポンプ室20Aと吐出用弁体16A(消音室9A)との間を連通する第2の連通路が形成された連通ブロック体19Aと、ポンプ室20Bと吐出用弁体16B(消音室9B)との間を連通する第2の連通路が形成された連通ブロック体19Bと、ポンプ室20Cと吐出用弁体16C(消音室9C)との間を連通する第2の連通路が形成された連通ブロック体19Cとが、円周方向に互い等角度(120°)をおいて設けられている。
【0026】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプの組立方法について説明する。予め、駆動軸6をクランク台5に軸着しておき、ケース3にボルト4によってモータ2を取り付け、このモータ2の出力軸2aにクランク台5を固定する。次いで、ダイヤフラム12のダイヤフラム部12A,12B,12Cのそれぞれをダイヤフラムホルダー8の各保持筒8b内に挿入して、ダイヤフラム12をダイヤフラムホルダー8の天井部8aに載置する。次いで、各ピストン部12bの細径部12cを駆動体7の各駆動子7bの取付孔7cに取り付ける。
【0027】
この状態で、ダイヤフラム12の切欠き12dのそれぞれとダイヤフラムホルダー8の各溝8cが対応するとともに、ダイヤフラム12の連通孔15A,15B,15Cのそれぞれとダイヤフラムホルダー8の各連通孔11A,11B,11Cが対向する。同時に、消音室9A,9B,9Cのそれぞれが、各吐出用弁体14A,14B,14Cに対向する。
【0028】
次いで、駆動体7の非貫通孔7aに駆動軸6の上部を嵌挿させ、ダイヤフラムホルダー8の溝8cのそれぞれとケース3の各溝3dとを対応させるように、ケース3上にダイヤフラムホルダー8を載置する。さらに、隔壁体17の切欠き17cのそれぞれをダイヤフラム12の各切欠き12dに対応させるようにして、隔壁体17をダイヤフラム12上に載置する。
【0029】
この状態で、図6に示すようにダイヤフラム12の吸入用弁体13A(ポンプ室20A)および連通孔15Aと、隔壁体17の連通ブロック体18Aの第1の連通路の両端部のそれぞれとが対向するとともに、ダイヤフラム部12A(ポンプ室20A)および吐出用弁体14Aと、連通ブロック体19Aの第2の連通路の両端部のそれぞれとが対向する。
【0030】
同時に、ダイヤフラム12の吸入用弁体13B(ポンプ室20B)および連通孔15Bと、隔壁体17の連通ブロック体18Bの第1の連通路の両端部のそれぞれとが対向するとともに、ダイヤフラム部12B(ポンプ室20B)および吐出用弁体14Bと、連通ブロック体19Bの第2の連通路の両端部のそれぞれとが対向する。
【0031】
同時に、ダイヤフラム12の吸入用弁体13C(ポンプ室20C)および連通孔15Cと、隔壁体17の連通ブロック体18Cの第1の連通路の両端部のそれぞれとが対向するとともに、ダイヤフラム部12C(ポンプ室20C)および吐出用弁体14Cと、連通ブロック体19Cの第2の連通路の両端部のそれぞれとが対向する。また、図1に示すようにダイヤフラム12の通気孔12cを介して、隔壁体17の吐出用筒部17bの吐出口17aと、連通溝10A,10B,10Cとが連通する。
【0032】
さらに、隔壁体17とダイヤフラム12の各ダイヤフラム部12A,12B,12Cとによって、三つのポンプ室20A,20B,20C(ポンプ室20B,20Cは図示を省略)が形成される。また、消音室9A,9B,9Cは、図1に示すように、上部の開口部がダイヤフラム12および隔壁体17によって閉塞されて密閉状態となり、底部がケース3内に突出するようにケース3内に臨む。
【0033】
この状態で、ケース3の溝3d、ダイヤフラムホルダー8の溝8c、ダイヤフラム12の切欠き12d、隔壁体17の切欠き17cを通したばね(図示せず)によって、ケース3、ダイヤフラムホルダー8、ダイヤフラム12および隔壁体17が積層状態で一体化される。
【0034】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプにおけるポンプ作用について説明する。モータ2を駆動し、出力軸2aを介してクランク台5を回転させると、駆動体6の三つの駆動子7bのそれぞれの揺動端部が順次上下方向に揺動する。一つの駆動子7bの揺動端部が下方に移動すると、ピストン部12aを介して一つのポンプ室20Aが拡張するので、ポンプ室20A内が負圧状態になる。
【0035】
したがって、吸入用弁体13Aによる連通ブロック体18Aの第1の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放される。すなわち、連通ブロック体18Aの第1の連通路の一端部が吸入用弁体13Aによって開閉される吸入通路として機能する。
【0036】
この状態で、外部の大気からケース3の吸入口3cを通って吸入されるエアーは、ダイヤフラムホルダー8の連通孔11A、ダイヤフラム12の連通孔15Aを通って、図6に示すように隔壁体17の連通ブロック体18Aの第1の連通路内に流入する。連通ブロック体18Aの第1の連通路内に流入したエアーは、吸入用弁体13Aによる連通ブロック体18Aの第1の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放されていることにより、拡張したポンプ室20A内に流入する。
【0037】
次に、モータ2の出力軸2aが回転し、拡張したポンプ室20Aの駆動子7bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室20Aは収縮するから、ポンプ室20A内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体14Aによる連通ブロック体19Aの第2の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放される。すなわち、連通ブロック体19Aの第2の連通路の一端部が吐出用弁体14Aによって開閉される吐出通路として機能する。
【0038】
したがって、ポンプ室20A内のエアーは、図6に示すように連通ブロック体19Aの第2の連通路を介して、消音室9A内に流入し、連通溝10Aを通って、吐出口17aからエアーチューブ(図示せず)等に接続された加圧対象物に供給される。ここで、消音室9Aは、ポンプ室20Aから吐出口17aまでの、連通ブロック体19Aの第2の連通路および連通溝10Aによって構成される吐出側経路中に設けられている。
【0039】
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室20Bが拡張すると、ケース3の吸入口3cを通って吸入されたエアーは、ダイヤフラムホルダー8の連通孔11B、ダイヤフラム12の連通孔15Bを通って、図6に示すように隔壁体17の連通ブロック体18Bの第1の連通路内に流入する。
【0040】
連通ブロック体18Bの第1の連通路内に流入したエアーは、吸入用弁体13Bによる連通ブロック体18Bの第1の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放されていることにより、拡張したポンプ室20B内に流入する。すなわち、連通ブロック体18Bの第1の連通路の一端部が、吸入用弁体13Bによって開閉される吸入通路として機能する。
【0041】
次に、モータ2の出力軸2aが回転し、ポンプ室20Bが収縮すると、ポンプ室20B内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体14Bによる連通ブロック体19Bの第2の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放される。すなわち、連通ブロック体19Bの第2の連通路の一端部が吐出用弁体14Bによって開閉される吐出通路として機能する。
【0042】
したがって、ポンプ室20B内のエアーは、連通ブロック体19Bの第2の連通路を介して、消音室9B内に流入し、連通溝10Bを通って、吐出口17aからエアーチューブ(図示せず)等に接続された加圧対象物に供給される。
【0043】
さらに、モータ2の出力軸2aが回転し、次のポンプ室20Cが拡張すると、ケース3の吸入口3cを通って吸入されたエアーは、ダイヤフラムホルダー8の連通孔11C、ダイヤフラム12の連通孔15Cを通って、図6に示すように隔壁体17の連通ブロック体18Cの第1の連通路内に流入する。
【0044】
連通ブロック体18Cの第1の連通路内に流入したエアーは、吸入用弁体13Cによる連通ブロック体18Cの第1の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放されていることにより、拡張したポンプ室20C内に流入する。すなわち、連通ブロック体18Cの第1の連通路の一端部が吸入用弁体13Cによって開閉される吸入通路として機能する。
【0045】
次に、モータ2の出力軸2aが回転し、ポンプ室20Cが収縮すると、ポンプ室20C内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体14Cによる連通ブロック体19Cの第2の連通路の一端部の閉塞が解除され一端部が開放される。すなわち、連通ブロック体19Cの第2の連通路の一端部が吐出用弁体14Cによって開閉する吐出通路として機能する。
【0046】
したがって、ポンプ室20C内のエアーは、連通ブロック体19Cの第2の連通路を介して、消音室9C内に流入し、連通溝10Cを通って、吐出口17aからエアーチューブ(図示せず)等に接続された加圧対象物に供給される。
【0047】
このように、流体の通路の途中に消音室9A,9B,9Cを設けたので、マフラー効果による消音効果が得られ、この消音効果は、消音室9A,9B,9Cを、エアー流路中、吐出口17aから吐出される直前の吐出側経路中に設けたことにより、エアー流路中に発生する騒音が吐出口17aから漏洩するようなことがない。
【0048】
また、消音室9A,9B,9Cをケース3に臨むように設けたことにより、消音室9A,9B,9Cをケース3の空きスペースを利用して設けることができる。したがって、従来のように、蓋体と隔壁体との間に消音用の空間を設けるための新たなスペースを必要としないため、ダイヤフラムポンプの小型化を図ることができる。また、従来のように隔壁体との間に消音用の空間を形成するための蓋体も必要がなくなるため部品点数も削減される。
【0049】
また、ケース3の吸入口3cからエアーを吸入することにより、ケース3も消音空間として機能するため、より一層消音効果が増すとともに、吸入口3cから吸入された直後に消音されるため、騒音が吸入口3cから漏洩するようなことがない。また、ケース3の空きスペースを利用することで、消音室9A,9B,9Cの容量を比較的大きくすることができるため、より顕著な消音効果が得られる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、ポンプ室20A,20B,20Cを三つ備えた、いわゆる三気筒の例を挙げたが、二気筒以下または四気筒以上のダイヤフラムポンプに適用できることは勿論である。また、吸入用弁体15および吐出用弁体16をダイヤフラム11と一体に設けた例を説明したが、ダイヤフラム11とは別体に個々に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…ダイヤフラムポンプ、2…モータ、3…ケース、8…ダイヤフラムホルダー、9A,9B,9C…消音室、10A,10B,10C…連通溝、11A,11B,11C…連通孔、12…ダイヤフラム、12c…通気孔、12A,12B,12C…ダイヤフラム部、13A,13B,13C…吸入用弁体、14A,14B,14C…吐出用弁体、15A,15B,15C…連通孔、17…隔壁体、18A,18B,18C…連通ブロック体(第1の連通路)、19A,19B,19C…連通ブロック体(第2の連通路)、20A,20B,20C…ポンプ室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムによって形成され拡縮するポンプ室と、このポンプ室内に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から当該吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ当該吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体と、前記ダイヤフラムを作動させ前記ポンプ室を拡縮させるモータと、このモータが外側に取り付けられたケースとを備えたダイヤフラムポンプにおいて、
流体が前記ポンプ室から流出され外部に吐出されるまでの吐出側経路中に、前記ケース内に臨む密閉された消音室を備えたことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記ダイヤフラムを保持するとともに前記消音室が設けられたダイヤフラムホルダーと、
吐出口が設けられ前記ダイヤフラムとによって前記ポンプ室を形成する隔壁体とを備え、
前記ケースに吸入口を設け、
前記ダイヤフラムおよび前記ダイヤフラムホルダーに、前記ケースの吸入口から吸入された流体の通路となる連通孔を設け、
前記隔壁体に、前記ダイヤフラムの連通孔と前記ポンプ室との間を連通する第1の連通路と、前記ポンプ室と前記消音室との間を連通する第2の連通路とを設け、
前記ダイヤフラムホルダーに、前記消音室と前記吐出口とを連通する連通溝とを設けた
ことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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