ダイヤモンド研磨刃具の構造
【課題】金属層はダイヤモンド顆粒の固着性を向上させ、ダイヤモンド顆粒を含む金属層は使用寿命と研磨切削効果を向上させることができるダイヤモンド研磨刃具の構造を提案する。
【解決手段】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造は、研磨刃具の本体金属材20表面もしくはその切刃部に嵌合溝20aを設けたものであり、その嵌合溝20aの設け方は、研磨刃具の本体金属材20の形状の差異によって、異なる排列、分布となり、その嵌合溝20aは、ダイヤモンド顆粒400を嵌合する為のものであり、成形金型で金属材の表面を圧することにより嵌合溝20aを内側に圧力を加えてダイヤモンド顆粒400を嵌合固定、その表面は金属層もしくはダイヤモンド顆粒400を含む金属層を被覆する。
【解決手段】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造は、研磨刃具の本体金属材20表面もしくはその切刃部に嵌合溝20aを設けたものであり、その嵌合溝20aの設け方は、研磨刃具の本体金属材20の形状の差異によって、異なる排列、分布となり、その嵌合溝20aは、ダイヤモンド顆粒400を嵌合する為のものであり、成形金型で金属材の表面を圧することにより嵌合溝20aを内側に圧力を加えてダイヤモンド顆粒400を嵌合固定、その表面は金属層もしくはダイヤモンド顆粒400を含む金属層を被覆する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造において、研磨刃具の本体金属材の表面もしくはその切刃部に複数設けた嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、並びに成形金型によって金属材表面に圧力を加えて嵌合溝両側の金属面を内側に圧して変形、ダイヤモンド顆粒を嵌合固定させ、また、その表面に金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
従来品のダイヤモンド研磨刃具には、ダイヤモンド鋸(円形、長形)、ダイヤモンド円柱研磨刃、ダイヤモンドドリル、ダイヤモンド研磨体などがあり、そのダイヤモンド研磨刃具の表面もしくはその切刃部のダイヤモンド顆粒は、初期にはやはり銅材もしくは比較的柔らかい金属板を用いており、機械圧入式もしくは高温機械圧入式によってダイヤモンド顆粒を金属材に固定していた。しかし、その比較的柔らかい金属材の強度が不足している為、低速切削研磨にのみ適し、高速切削研磨である場合は変形破損が発生し易い問題点が残る。
【0003】
また、電気メッキ方式でダイヤモンド顆粒を金属材に被覆固定してダイヤモンド研磨刃具を形成する例は図1及び図2に示すとおりであるが、これは、円形もしくは管体金属材の切刃部10a、11aを用いた電気メッキによるものであり、金属層の厚みを増加させることによりダイヤモンド顆粒を被覆固定してダイヤモンド鋸10やダイヤモンドドリル11を形成する。しかし、電気メッキ金属層が被覆固定するダイヤモンド顆粒は研磨切削時に磨耗し易く、その研磨切削の寿命は短いことを問題点とする。
【0004】
また、図3に示す、ダイヤモンド金属焼結式(Sintered)のダイヤモンド鋸14は、各種金属粉末とダイヤモンド顆粒の混合を用いて、特性金型に入れ高温(650℃〜1500℃)且つ高圧方式によってダイヤモンド砥石体14aを形成、更に各ダイヤモンド砥石体14aを軸孔のある円形鋼鉄片14b外側縁箇所に溶接してダイヤモンド鋸14を形成する。しかし、前述したダイヤモンド金属焼結式のダイヤモンド鋸14は、ハイコストのダイヤモンド顆粒と各種金属粉末によってのみ製作が可能であり、ダイヤモンド顆粒と金属粉末を混合する場合に作業人員が皮膚病にかかってしまうという問題も発生し易く、また、製造の周辺機器システムは非常に高価で電力エネルギーの消費も非常に高く、空気汚染を生じさせ、製作過程は非常に複雑で、コストが非常に高い故に製品単価も高価であり、これは機械圧入方式もしくは一般の電気メッキ方式によって製作されるダイヤモンド鋸の数倍以上である等の問題点から、各業界のコストダウンの要求には符号し難いものである。
【0005】
以上からわかるように、機械圧入式且つ電気メッキ式により作製されたダイヤモンド鋸の長所は製作コストが低く、切削効果が良好、製作が簡単であるが、強度不足と短命という問題点が残り、またダイヤモンド金属焼結式のダイヤモンド鋸14は、鋼鉄材を主体としている故強度は良好、変形することもないが、コスト高という問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造は、研磨刃具の本体金属材表面もしくはその切刃部に嵌合溝を設けたものであり、その嵌合溝の設け方は、研磨刃具の本体金属材の形状の差異によって、異なる排列、分布となり、その嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、成形金型で金属材の表面を圧することにより嵌合溝を内側に圧力を加えてダイヤモンド顆粒を嵌合固定、その表面は金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆したものであり、嵌合溝内のダイヤモンド顆粒の固着性と研磨刃具の使用寿命と研磨切削効果を向上させることができ、また、金属層とダイヤモンド顆粒を含む金属層は電気メッキもしくは焼結方式により形成することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、研磨刃具の本体金属材の表面もしくはその切刃部に複数に設けた嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、並びに成形金型によって金属材表面に圧力を加えて嵌合溝両側の金属面を変形させ内側に圧し、ダイヤモンド顆粒を嵌合固定させ、また、その表面に金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項2の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の研磨切刃部位には間隔を開けた複数の嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項3の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列した環状形の嵌合溝、もしくは縦方向の嵌合溝、もしくは螺旋状の嵌合溝を設けて、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項4の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列、もしくは交差している嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項5の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、電気メッキもしくは焼結方式により形成することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項6の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、ダイヤモンド顆粒の固着性と、使用寿命と研磨切削効果を向上させることができることを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造は、使用寿命、研磨切削効果、鋭利度を向上させ、また精巧簡単な構造を持ち、ダイヤモンド顆粒の固着性を向上させ、コスト低減を実現することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図4及び図5に、本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、鋸とドリルに実施した嵌合溝の立体表示図を示す。図に示すとおり、鋸2(ホイール鋸もしくは長形鋸)とドリル3の金属材20、30の研磨切刃部位に設けた、間隔を有する複数の嵌合溝20a、30aは、ダイヤモンド顆粒400を嵌合する為のものであり(図6、図7、図8参照)、成形金型によって圧力を加えて嵌合溝20a、30aの両側金属面を内側に圧して変形させ、ダイヤモンド顆粒400をしっかり嵌合固定させる。
【0010】
図9、図10、図11は、本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の各実施例立体表示図を示す。図に示したとおり、グラインドホイール(grind wheel)(小さいサイズのグラインドホイールはワイヤーソー(wire saw)に用いることが可能)(図23及び図24参照)の金属材40の表面に間隔を開けて排列した環状形を成す複数の嵌合溝401、もしくは縦向きになっている嵌合溝401a、もしくは螺旋状を呈する嵌合溝402を設けて、ダイヤモンド顆粒400を嵌合(図12、図13、図14、図15、図16参照)、成形金型を用いて圧力を加え、嵌合溝401、401a、402の両側金属面を内側に圧して変形させてダイヤモンド顆粒400をしっかり嵌合固定する。
【0011】
図17及び図18に、本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ダイヤモンド研磨体に実施した嵌合溝の各実施例立体表示図を示す。図に示したとおり、ダイヤモンド研磨体5の金属材50の表面に間隔を開けて排列した交差する嵌合溝501を設けて、ダイヤモンド顆粒400を嵌合(図19、図20、図21、図22参照)、成形金型を用いて圧力を加え、嵌合溝501の両側金属面を内側に圧して変形させてダイヤモンド顆粒400をしっかり嵌合固定する。
【0012】
以上、各実施例に述べた成形金型によって圧することとは、主に、嵌合溝20a、30a、401、401a、402、501の両側金属面を変形させてダイヤモンド顆粒400を嵌合固定することである。成形金型によって圧力を加えた後、各金属材20、30、40、50の表面は平面状(図12、図21、図22参照)とするか、凸凹状(図6、図14、図15、図19、図20参照)とする。また、その表面は、圧力を加える成形金型の模様設計により変化する。
【0013】
前述の各実施例は、成形金型で圧し、ダイヤモンド顆粒400を嵌合固定した後、その表面に金属層60(図23、図24参照)もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層70(図25、図26、図27、図28、図29参照)を被覆する。その金属層60はダイヤモンド顆粒400の固着性を向上させ、またダイヤモンド顆粒を含む金属層70は使用寿命と研磨切削効果を向上させることができる。金属層60とダイヤモンド顆粒を含む金属層70は電気メッキもしくは焼結方式により形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来品に関する、電気メッキによるダイヤモンド顆粒結合方式のダイヤモンド鋸立体表示図である。
【図2】従来品に関する、電気メッキによるダイヤモンド顆粒結合方式のダイヤモンドドリル立体表示図である。
【図3】従来品に関する、ダイヤモンド金属焼結式によって製作したダイヤモンド鋸の構造表示図である。
【図4】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、鋸に実施した嵌合溝の立体表示図である。
【図5】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ドリルに実施した嵌合溝の立体表示図である。
【図6】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材の嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合した後、成形金型によって圧力を加えて変形させダイヤモンド顆粒を嵌合固定させることにより凹凸状を形成させた立体表示図である。
【図7】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、別の金属材の嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合した後、成形金型によって圧力を加えて変形させダイヤモンド顆粒を嵌合固定させることにより凹凸状を形成させた立体表示図である。
【図8】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材の嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合した後、成形金型によって圧力を加えて変形させダイヤモンド顆粒を嵌合固定させることにより凹凸状を形成させた局部断面表示図である。
【図9】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の第1実施例立体表示図である。
【図10】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の第2実施例立体表示図である。
【図11】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の第3実施例立体表示図である。
【図12】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた立体表示図である。
【図13】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた断面表示図である。
【図14】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた実施例立体表示図である。
【図15】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた実施例立体表示図である。
【図16】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた実施例断面表示図である。
【図17】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ダイヤモンド研磨体に実施した嵌合溝の第1実施例立体表示図である。
【図18】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ダイヤモンド研磨体に実施した嵌合溝の第2実施例立体表示図である。
【図19】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第1実施例立体表示図である。
【図20】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第2実施例立体表示図である。
【図21】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第3実施例立体表示図である。
【図22】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第4実施例立体表示図である。
【図23】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つ金属層を被覆した第1実施例断面表示図である。
【図24】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つ金属層を被覆した第2実施例断面表示図である。
【図25】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した第1実施例立体表示図である。
【図26】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した局部断面表示図である。
【図27】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した第2実施例立体表示図である。
【図28】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した層断面表示図である。
【図29】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した第2実施例断面表示図である。
【符号の説明】
【0015】
10a、11a 切刃部
10、14 ダイヤモンド鋸
11 ダイヤモンドドリル
14a ダイヤモンド砥石体
14b 円形鋼鉄片
2 鋸
3 ドリル
20、30、40、50 金属材
20a、30a、401、401a、402、501 嵌合溝
400 ダイヤモンド顆粒
4 グラインドホイール(grind wheel)
5 ダイヤモンド研磨体
60 金属層
70 ダイヤモンド顆粒を含む金属層
【技術分野】
【0001】
本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造において、研磨刃具の本体金属材の表面もしくはその切刃部に複数設けた嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、並びに成形金型によって金属材表面に圧力を加えて嵌合溝両側の金属面を内側に圧して変形、ダイヤモンド顆粒を嵌合固定させ、また、その表面に金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
従来品のダイヤモンド研磨刃具には、ダイヤモンド鋸(円形、長形)、ダイヤモンド円柱研磨刃、ダイヤモンドドリル、ダイヤモンド研磨体などがあり、そのダイヤモンド研磨刃具の表面もしくはその切刃部のダイヤモンド顆粒は、初期にはやはり銅材もしくは比較的柔らかい金属板を用いており、機械圧入式もしくは高温機械圧入式によってダイヤモンド顆粒を金属材に固定していた。しかし、その比較的柔らかい金属材の強度が不足している為、低速切削研磨にのみ適し、高速切削研磨である場合は変形破損が発生し易い問題点が残る。
【0003】
また、電気メッキ方式でダイヤモンド顆粒を金属材に被覆固定してダイヤモンド研磨刃具を形成する例は図1及び図2に示すとおりであるが、これは、円形もしくは管体金属材の切刃部10a、11aを用いた電気メッキによるものであり、金属層の厚みを増加させることによりダイヤモンド顆粒を被覆固定してダイヤモンド鋸10やダイヤモンドドリル11を形成する。しかし、電気メッキ金属層が被覆固定するダイヤモンド顆粒は研磨切削時に磨耗し易く、その研磨切削の寿命は短いことを問題点とする。
【0004】
また、図3に示す、ダイヤモンド金属焼結式(Sintered)のダイヤモンド鋸14は、各種金属粉末とダイヤモンド顆粒の混合を用いて、特性金型に入れ高温(650℃〜1500℃)且つ高圧方式によってダイヤモンド砥石体14aを形成、更に各ダイヤモンド砥石体14aを軸孔のある円形鋼鉄片14b外側縁箇所に溶接してダイヤモンド鋸14を形成する。しかし、前述したダイヤモンド金属焼結式のダイヤモンド鋸14は、ハイコストのダイヤモンド顆粒と各種金属粉末によってのみ製作が可能であり、ダイヤモンド顆粒と金属粉末を混合する場合に作業人員が皮膚病にかかってしまうという問題も発生し易く、また、製造の周辺機器システムは非常に高価で電力エネルギーの消費も非常に高く、空気汚染を生じさせ、製作過程は非常に複雑で、コストが非常に高い故に製品単価も高価であり、これは機械圧入方式もしくは一般の電気メッキ方式によって製作されるダイヤモンド鋸の数倍以上である等の問題点から、各業界のコストダウンの要求には符号し難いものである。
【0005】
以上からわかるように、機械圧入式且つ電気メッキ式により作製されたダイヤモンド鋸の長所は製作コストが低く、切削効果が良好、製作が簡単であるが、強度不足と短命という問題点が残り、またダイヤモンド金属焼結式のダイヤモンド鋸14は、鋼鉄材を主体としている故強度は良好、変形することもないが、コスト高という問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造は、研磨刃具の本体金属材表面もしくはその切刃部に嵌合溝を設けたものであり、その嵌合溝の設け方は、研磨刃具の本体金属材の形状の差異によって、異なる排列、分布となり、その嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、成形金型で金属材の表面を圧することにより嵌合溝を内側に圧力を加えてダイヤモンド顆粒を嵌合固定、その表面は金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆したものであり、嵌合溝内のダイヤモンド顆粒の固着性と研磨刃具の使用寿命と研磨切削効果を向上させることができ、また、金属層とダイヤモンド顆粒を含む金属層は電気メッキもしくは焼結方式により形成することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、研磨刃具の本体金属材の表面もしくはその切刃部に複数に設けた嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、並びに成形金型によって金属材表面に圧力を加えて嵌合溝両側の金属面を変形させ内側に圧し、ダイヤモンド顆粒を嵌合固定させ、また、その表面に金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項2の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の研磨切刃部位には間隔を開けた複数の嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項3の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列した環状形の嵌合溝、もしくは縦方向の嵌合溝、もしくは螺旋状の嵌合溝を設けて、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項4の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列、もしくは交差している嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項5の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、電気メッキもしくは焼結方式により形成することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
請求項6の発明は、請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、ダイヤモンド顆粒の固着性と、使用寿命と研磨切削効果を向上させることができることを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造は、使用寿命、研磨切削効果、鋭利度を向上させ、また精巧簡単な構造を持ち、ダイヤモンド顆粒の固着性を向上させ、コスト低減を実現することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図4及び図5に、本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、鋸とドリルに実施した嵌合溝の立体表示図を示す。図に示すとおり、鋸2(ホイール鋸もしくは長形鋸)とドリル3の金属材20、30の研磨切刃部位に設けた、間隔を有する複数の嵌合溝20a、30aは、ダイヤモンド顆粒400を嵌合する為のものであり(図6、図7、図8参照)、成形金型によって圧力を加えて嵌合溝20a、30aの両側金属面を内側に圧して変形させ、ダイヤモンド顆粒400をしっかり嵌合固定させる。
【0010】
図9、図10、図11は、本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の各実施例立体表示図を示す。図に示したとおり、グラインドホイール(grind wheel)(小さいサイズのグラインドホイールはワイヤーソー(wire saw)に用いることが可能)(図23及び図24参照)の金属材40の表面に間隔を開けて排列した環状形を成す複数の嵌合溝401、もしくは縦向きになっている嵌合溝401a、もしくは螺旋状を呈する嵌合溝402を設けて、ダイヤモンド顆粒400を嵌合(図12、図13、図14、図15、図16参照)、成形金型を用いて圧力を加え、嵌合溝401、401a、402の両側金属面を内側に圧して変形させてダイヤモンド顆粒400をしっかり嵌合固定する。
【0011】
図17及び図18に、本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ダイヤモンド研磨体に実施した嵌合溝の各実施例立体表示図を示す。図に示したとおり、ダイヤモンド研磨体5の金属材50の表面に間隔を開けて排列した交差する嵌合溝501を設けて、ダイヤモンド顆粒400を嵌合(図19、図20、図21、図22参照)、成形金型を用いて圧力を加え、嵌合溝501の両側金属面を内側に圧して変形させてダイヤモンド顆粒400をしっかり嵌合固定する。
【0012】
以上、各実施例に述べた成形金型によって圧することとは、主に、嵌合溝20a、30a、401、401a、402、501の両側金属面を変形させてダイヤモンド顆粒400を嵌合固定することである。成形金型によって圧力を加えた後、各金属材20、30、40、50の表面は平面状(図12、図21、図22参照)とするか、凸凹状(図6、図14、図15、図19、図20参照)とする。また、その表面は、圧力を加える成形金型の模様設計により変化する。
【0013】
前述の各実施例は、成形金型で圧し、ダイヤモンド顆粒400を嵌合固定した後、その表面に金属層60(図23、図24参照)もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層70(図25、図26、図27、図28、図29参照)を被覆する。その金属層60はダイヤモンド顆粒400の固着性を向上させ、またダイヤモンド顆粒を含む金属層70は使用寿命と研磨切削効果を向上させることができる。金属層60とダイヤモンド顆粒を含む金属層70は電気メッキもしくは焼結方式により形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来品に関する、電気メッキによるダイヤモンド顆粒結合方式のダイヤモンド鋸立体表示図である。
【図2】従来品に関する、電気メッキによるダイヤモンド顆粒結合方式のダイヤモンドドリル立体表示図である。
【図3】従来品に関する、ダイヤモンド金属焼結式によって製作したダイヤモンド鋸の構造表示図である。
【図4】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、鋸に実施した嵌合溝の立体表示図である。
【図5】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ドリルに実施した嵌合溝の立体表示図である。
【図6】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材の嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合した後、成形金型によって圧力を加えて変形させダイヤモンド顆粒を嵌合固定させることにより凹凸状を形成させた立体表示図である。
【図7】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、別の金属材の嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合した後、成形金型によって圧力を加えて変形させダイヤモンド顆粒を嵌合固定させることにより凹凸状を形成させた立体表示図である。
【図8】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材の嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合した後、成形金型によって圧力を加えて変形させダイヤモンド顆粒を嵌合固定させることにより凹凸状を形成させた局部断面表示図である。
【図9】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の第1実施例立体表示図である。
【図10】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の第2実施例立体表示図である。
【図11】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、グラインドホイール(grind wheel)に実施した嵌合溝の第3実施例立体表示図である。
【図12】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた立体表示図である。
【図13】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた断面表示図である。
【図14】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた実施例立体表示図である。
【図15】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた実施例立体表示図である。
【図16】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた実施例断面表示図である。
【図17】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ダイヤモンド研磨体に実施した嵌合溝の第1実施例立体表示図である。
【図18】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、ダイヤモンド研磨体に実施した嵌合溝の第2実施例立体表示図である。
【図19】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第1実施例立体表示図である。
【図20】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第2実施例立体表示図である。
【図21】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第3実施例立体表示図である。
【図22】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させた第4実施例立体表示図である。
【図23】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つ金属層を被覆した第1実施例断面表示図である。
【図24】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つ金属層を被覆した第2実施例断面表示図である。
【図25】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した第1実施例立体表示図である。
【図26】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した局部断面表示図である。
【図27】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した第2実施例立体表示図である。
【図28】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した層断面表示図である。
【図29】本発明のダイヤモンド研磨刃具の構造に関する、金属材に設けた嵌合溝にダイヤモンド顆粒を嵌合させ、且つダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆した第2実施例断面表示図である。
【符号の説明】
【0015】
10a、11a 切刃部
10、14 ダイヤモンド鋸
11 ダイヤモンドドリル
14a ダイヤモンド砥石体
14b 円形鋼鉄片
2 鋸
3 ドリル
20、30、40、50 金属材
20a、30a、401、401a、402、501 嵌合溝
400 ダイヤモンド顆粒
4 グラインドホイール(grind wheel)
5 ダイヤモンド研磨体
60 金属層
70 ダイヤモンド顆粒を含む金属層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨刃具の本体金属材の表面もしくはその切刃部に複数に設けた嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、並びに成形金型によって金属材表面に圧力を加えて嵌合溝両側の金属面を変形させ内側に圧し、ダイヤモンド顆粒を嵌合固定させ、また、その表面に金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項2】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の研磨切刃部位には間隔を開けた複数の嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項3】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列した環状形の嵌合溝、もしくは縦方向の嵌合溝、もしくは螺旋状の嵌合溝を設けて、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項4】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列、もしくは交差している嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項5】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、電気メッキもしくは焼結方式により形成することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項6】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、ダイヤモンド顆粒の固着性と、使用寿命と研磨切削効果を向上させることができることを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項1】
研磨刃具の本体金属材の表面もしくはその切刃部に複数に設けた嵌合溝は、ダイヤモンド顆粒を嵌合する為のものであり、並びに成形金型によって金属材表面に圧力を加えて嵌合溝両側の金属面を変形させ内側に圧し、ダイヤモンド顆粒を嵌合固定させ、また、その表面に金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層を被覆することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項2】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の研磨切刃部位には間隔を開けた複数の嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項3】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列した環状形の嵌合溝、もしくは縦方向の嵌合溝、もしくは螺旋状の嵌合溝を設けて、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項4】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属材の表面に間隔を開けて排列、もしくは交差している嵌合溝を設け、ダイヤモンド顆粒を嵌合することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項5】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、電気メッキもしくは焼結方式により形成することを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【請求項6】
請求項1記載のダイヤモンド研磨刃具の構造において、金属層もしくはダイヤモンド顆粒を含む金属層は、ダイヤモンド顆粒の固着性と、使用寿命と研磨切削効果を向上させることができることを特徴とするダイヤモンド研磨刃具の構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2007−313613(P2007−313613A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146947(P2006−146947)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(502307058)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(502307058)
【Fターム(参考)】
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