説明

ダウンコンバーター

【課題】画素ずらしをした撮像装置において、画素数の多いフォーマットから画素数の少ないフォーマットに変換するとき、画素ずらしの効果のある高域成分がなくなるため変換後の高域成分での画素ずらしの効果が小さくなるが、これを画素ずらしの効果が十分でるようにする。
【解決手段】ダウンコンバーター1において、方式変換のときに、方式変換後に輝度信号だけ存在する帯域に対して、画素ずらしの効果が最大になるように、画素の位置がずれている信号どうしの比率が1対1になるように輝度信号を作り直す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイビジョン等の高精細画像をNTSCやPAL等の標準画像に変換するダウンコンバーターに関し、画素ずらしを使用したビデオカメラによって生成された画像の解像感を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイビジョンに代表される高精細画像を扱う映像機器が普及しつつあるが、NTSCやPAL等標準画像の方式も併存している。これに対し、映像制作は高精細画像の方式で行い、その高精細画像を変換(ダウンコンバート)して、標準画像を提供する場合が多くなっている。この高精細画像の映像機器は普及しつつあるとはいうものの、画素数が多いため、標準方式の映像機器に比べて高価であったり、電力が大きくなる傾向にある。
【0003】
この価格や電力の課題を解決すべくビデオカメラ等では、画素ずらしという手法を用い、半分の画素数の撮像素子を使用して高精細画像を得ているものがある。そして、その高精細画像をダウンコンバートして標準方式の画像も出力できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで、高精細画像から標準画像への変換であるダウンコンバートは、帯域の制限と、位相をずらすという一般的な方式変換が行われる。例えば、水平の画素数が1920画素の通称1080iの画像を水平の画素数が720画素の通称480iの画像に変換するとき、8対3のダウンコンバートすなわち画素数を等間隔で8分の3の数に間引き、折り返し成分がでないように帯域を8分の3に制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−95001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画素ずらしで、輝度信号のみ存在する帯域すなわち図7(a)のFC1からFY1の帯域である高域成分を生成するとき、実際には理想フィルタではない分、色差信号において図7(b)に示すようにFC1以下の帯域に折り返し(斜線部)が混じることになる。この折り返しはモアレと呼ばれるノイズで、解像感を劣化させる原因となることはよく知られている。
【0007】
図7(b)の帯域の画像をダウンコンバートにより図7(c)の帯域の画像に変換するとき、図7(b)の折り返しがそのまま輝度信号に残った形で変換されてしまい、モアレが残ることになる。すなわち、解像感の劣化が生じていることになる。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、画素ずらしを用いて生成された高精細画像から標準画像に変換するときに、折り返しを取り除き、解像感の劣化を緩和するダウンコンバーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明のダウンコンバーターは、画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号から、緑、青、赤の映像信号を生成するGBR生成部と、前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の映像信号をそれぞれ高域の映像信号と低域の映像に分離する帯域分離部と、前記帯域分離部から出力される緑、青、赤の高域の映像信号を所定の比率1で混合し、輝度信号の高域の映像信号を生成する輝度高域成分生成部と、前記帯域分離部から出力される緑、青、赤の低域の映像信号を所定の比率2で混合し、輝度信号の低域の映像信号を生成する輝度低域成分生成部と、前記輝度高域成分生成部から出力される輝度信号の高域の映像信号と、前記輝度低域成分生成部から出力される輝度信号の低域の映像信号とを加算する加算部と、前記帯域分離部から出力される緑、青、赤の低域の映像信号を所定の比率3及び4で混合し、青と赤の色差信号を生成する色差生成部と、前記加算部から出力される輝度信号と、前記色差生成部から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部と、を有する。
【0010】
この構成により、ダウンコンバーターは画素ずらしにより、色の帯域を確保するために犠牲にしていた折り返しノイズの発生を減らすことができる。
【0011】
さらに、前記輝度高域成分生成部は、前記帯域分離部から得られる映像信号が処理画素の近傍の赤の直流成分のほうが青の直流成分の比率または差が所定の値より小さいときそれ以外のときに比べて前記帯域分離部から得られる青の映像信号の比率を多くして輝度信号の高域の映像信号を生成することで、2色だけでは画素ずらしが成り立たない場合でも画素ずらしの効果を得ることができることがある。
【0012】
第2の発明のダウンコンバーターは、画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号から、緑、青、赤の映像信号を生成するGBR生成部と、前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の高域の映像信号を所定の比率1で混合し、輝度信号を生成する輝度生成部1と、前記輝度生成部1から出力される輝度信号から所定の周波数以上の周波数成分を抽出する高域通過部と、前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の高域の映像信号を所定の比率2で混合し、輝度信号を生成する輝度生成部2と、前記輝度生成部2から出力される輝度信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部1と、前記高域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の低域の映像信号を第3及び第4の所定の比率で混合し、青と赤の色差信号を生成する色差生成部と、前記色差生成部から出力される色差信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部2と、前記加算部から出力される輝度信号と、前記低域通過部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部と、を有する。
【0013】
この構成により、ダウンコンバーターは画素ずらしにより、色の帯域を確保するために犠牲にしていた折り返しノイズの発生を減らすことができる。
【0014】
さらに、前記輝度生成部1は、前記GBR生成部から得られる映像信号が処理画素の近傍の赤の直流成分のほうが青の直流成分の比率または差が所定の値より小さいときそれ以外のときに比べて前記GBR生成部から得られる青の映像信号の比率を多くして輝度信号の高域の映像信号を生成することで、2色だけでは画素ずらしが成り立たない場合でも画素ずらしの効果を得ることができることがある。
【0015】
さらに、高精細画像の輝度信号の色差信号と同じ帯域に帯域制限し、その色差信号のサンプル位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部を通してから輝度信号を入力することで、ダウンコンバート前の信号に対して、ダウンコンバート後の信号の水平のサンプル数が半分以下になる場合、回路の電力削減を図ることができる。
【0016】
第3の発明のダウンコンバーターは、画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号を所定の比率で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数以上の周波数成分を抽出する高域通過部と、入力された輝度信号に、前記色差補間部から出力される色差信号を、所定の比率で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部と、前記高域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、入力された輝度信号を色差信号と同じ帯域に帯域制限し、さらに色差信号のサンプルの位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部と、前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と入力された色差信号を所定の比率で混合して、出力する映像方式のカラリメトリの色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部と、を有する。
【0017】
この構成により、ダウンコンバーターは画素ずらしにより、色の帯域を確保するために犠牲にしていた折り返しノイズの発生を減らすことができる。
【0018】
第4の発明のダウンコンバーターは、画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された輝度信号を色差信号と同じ帯域に帯域制限し、その色差信号のサンプル位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部と、前記2対1方式変換部から出力された輝度信号と、入力された色差信号を所定の比率で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数以上の周波数成分を抽出する高域通過部と、前記2対1方式変換部から出力された輝度信号と入力された色差信号を、所定の比率で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部と、前記高域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と入力された色差信号を所定の比率で混合して、出力する映像方式の色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部と、を有する。
【0019】
この構成により、ダウンコンバーターは画素ずらしにより、色の帯域を確保するために犠牲にしていた折り返しノイズの発生を減らすことができる。
【0020】
さらに、前記輝度信号生成部は、画素ずらしの互いにずれている緑の映像信号に対する、赤または青の映像信号を1対1の比率で混合することで、2色だけでは画素ずらしが成り立たない場合でも画素ずらしの効果を得ることができることがある。
【0021】
第5の発明のダウンコンバーターは、画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号を所定の比率で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数1以上から所定の周波数2以下の周波数成分を抽出する帯域通過部と、入力された輝度信号に、前記色差補間部から出力される色差信号を、所定の比率1で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部1と、前記帯域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、入力された輝度信号を前記所定の周波数1以下に帯域制限し、入力された色差信号のサンプル化の位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部と、入力された色差信号から所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部2と、前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と前記低域通過部から出力された色差信号を所定の比率2で混合して、出力する映像方式の色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部と、を有する。
【0022】
この構成により、ダウンコンバーターは画素ずらしにより、色の帯域を確保するために犠牲にしていた折り返しノイズの発生を減らすことができる。
【0023】
さらに、方式変換部はあらかじめ帯域制限されているので、映像信号の位相のシフトと間引きだけを行うことで、回路規模が削減できる。
【0024】
第6の発明のダウンコンバーターは、画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された輝度信号を所定の周波数1以下に帯域制限し、その色差信号のサンプル位置と同じ位置の画素の輝度信号を出力する2対1方式変換部と、前記2対1方式変換部から出力された輝度信号と、入力された色差信号を所定の比率1で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数1以上から所定の周波数2以下の周波数成分を抽出する帯域通過部と、前記2対1方式変換部から出力された輝度信号に、前記色差補間部から出力される色差信号を、所定の比率1で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部1と、前記帯域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、入力された色差信号から所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部2と、前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と前記低域通過部から出力された色差信号を所定の比率2で混合して、出力する映像方式の色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部と、を有する。
【0025】
この構成により、ダウンコンバーターは画素ずらしにより、色の帯域を確保するために犠牲にしていた折り返しノイズの発生を減らすことができる。
【0026】
さらに、方式変換部はあらかじめ帯域制限されているので、映像信号の位相のシフトと間引きだけを行うことで、回路規模が削減できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ハイビジョン等画素数の多い高精細画像をNTSCやPAL等のより画素数の少ない画像に変換するときに、高精細画像が画素ずらしを使用したビデオカメラによって生成された画像であれば、折り返し成分を減らすことができ、画像の解像感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態のダウンコンバーター1のブロック図
【図2】第2実施形態のダウンコンバーター1Aのブロック図
【図3】第3実施形態のダウンコンバーター1Bのブロック図
【図4】第3実施形態のダウンコンバーター1Cのブロック図
【図5】第4実施形態のダウンコンバーター1Dのブロック図
【図6】第4実施形態のダウンコンバーター1Eのブロック図
【図7】ダウンコンバート前後の映像信号の帯域を示す図
【図8】色差信号の補間される画素を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
[第1実施形態]
<1.1:ダウンコンバーター1の構成>
図1に、第1実施形態のダウンコンバーターの概略構成図を示す。
【0031】
画素ずらしされたカメラで生成した、輝度信号の帯域がFY1で、色差信号の帯域がFY1の半分のFC1である1080i形式の輝度信号Y1と色差信号C1とがダウンコンバーター1に入力される。入力された色差信号C1は色差補間部101に入力され、輝度信号Y1はGBR生成部102に入力される。色差補間部101では色差信号C1から輝度信号と同じサンプル間隔にした色差信号CB1およびCR1を生成し、生成された色差信号CB1およびCR1はGBR生成部102に入力される。GBR生成部102では、入力された輝度信号Y1、色差信号CB1、CR1から光の3原色の映像信号G1、B1、R1を生成し、生成した映像信号G1は帯域分離部103に入力され、映像信号B1は帯域分離部104に入力され、映像信号R1は帯域分離部105に入力される。帯域分離部103では、入力された映像信号G1をFC2以上の周波数の映像信号G1HとFC2以下の周波数の映像信号G1Lとに分け、映像信号G1Hは輝度高域成分生成部106に入力され、映像信号G1Lは輝度低域成分生成部107と色差生成部108とに入力される。帯域分離部104では、入力された映像信号B1をFC2以上の周波数の映像信号B1HとFC2以下の周波数の映像信号B1Lとに分け、映像信号B1Hは輝度高域成分生成部106に入力され、映像信号B1Lは輝度低域成分生成部107と色差生成部108とに入力される。帯域分離部105では、入力された映像信号R1をFC2以上の周波数の映像信号R1HとFC2以下の周波数の映像信号R1Lとに分け、映像信号R1Hは輝度高域成分生成部106に入力され、映像信号R1Lは輝度低域成分生成部107と色差生成部108とに入力される。輝度高域成分生成部106に入力された映像信号G1H、B1H、R1Hをカメラの画素ずらし処理で輝度信号高域成分が生成された比率と同じ比率で混合して、輝度信号の高域成分Y3Hを生成し、生成された輝度信号の高域成分Y3Hは加算部109に入力される。輝度低域成分生成部107に入力された映像信号G1L、B1L、R1Lは、NTSCやPALの規格で規定された輝度信号の混合比で混合して輝度信号の低域成分Y3Lが生成され、生成された輝度信号の低域成分Y3Lは加算部109に入力される。加算部109に入力された輝度信号の高域成分Y3Hと輝度信号の低域成分Y3Lとは加算されて輝度信号Y3となり、方式変換部110に入力される。色差生成部108に入力された映像信号G1L、B1L、R1Lは、NTSCやPALの規格で規定された輝度信号の混合比で混合して色差信号C3が生成され、生成された色差信号C3は方式変換部110に入力される。方式変換部110に入力された輝度信号Y3と色差信号C3とは、帯域制限と間引きの処理により1080iの形式から480iの形式にダウンコンバートされて輝度信号Y4と色差信号C4になり、方式変換部110から出力され、ダウンコンバーター1の出力信号となる。
【0032】
<1.2:ダウンコンバーター1の動作>
図7(a)に示す輝度信号の帯域がFY1で、色差信号の帯域がFY1の半分のFC1である1080i形式の映像信号を、図7(c)に示す輝度信号の帯域がFY2で、色差信号の帯域がFY2の半分のFC2である480i形式の映像信号に変換する場合について述べる。ここで、周波数FY1は周波数FY2の8分の3倍である。そして、ダウンコンバーター1に入力される映像信号である輝度信号Y1と色差信号C1とは、画素ずらしを用いたカメラで生成されたものであり、FC1以上の周波数の輝度信号は画素ずらしで生成されたものとする。また、入力される映像は無彩色であるとする。
【0033】
ダウンコンバーター1に入力された色差信号C1は色差補間部101にて、図8(a)に示すように輝度信号と同じサンプル位置の信号を補間処理により求め、輝度信号と同じサンプル間隔の信号である青色の色差信号CB1と赤色の色差信号CR1とを生成する。図8(b)の四角の画素が補間で求めた画素で、丸の画素が元々ある画素である。そして、この四角の画素はFIRフィルタを用いて求めるが、特別な技術ではないため詳細な説明は省略する。
【0034】
次に、輝度信号Y1と色差信号CB1及びCR1とからGBR生成部で、1080iの規格で決められている式に応じて、光の3原色である緑の映像信号G1と青の映像信号B1と赤の映像信号R1とを求める。ここでの規格で決められている式は具体的には、G1=Y1−188/1024×CB1−469/1024×CR1、B1=Y1+1858/1024×CB1、R1=Y1+1577/1024×CR1となる。
【0035】
次に、映像信号G1は帯域分離部103に入力され、図7(c)の周波数がFC2以上の高域成分G1Hと周波数がFC2以下の低域成分G1Lとに分けられる。ここでは、周波数がFC2以下を通過させるFIRフィルタで構成された低域通過フィルタで映像信号G1Lを抽出し、映像信号G1からG1Lを引くことで、映像信号G1Hを生成する。同様に、映像信号B1は、帯域分離部104にて、周波数がFC2以上の高域成分B1Hと周波数がFC2以下の低域成分B1Lとに分けられ、映像信号R1は、帯域分離部105にて、周波数がFC2以上の高域成分R1Hと周波数がFC2以下の低域成分R1Lとに分けられる。
【0036】
次に、各色の映像信号の高域成分であるG1H、B1H、R1Hは輝度高域成分生成部106にて、画素ずらしで輝度信号の高域成分をつくりだしたときと同じ比率で、混合される。通常、画素ずらしを用いるカメラでは光の3原色の緑のフォトダイオードの位置に対して、青と赤のフォトダイオードの位置を半分ずらすので、緑の映像信号に赤または青の映像信号を加算する。そして、無彩色画像の場合、ノイズの少ない赤の映像信号が用いられるので、緑の映像信号と赤の映像信号が加算される。従って、ここでは、無彩色画像なので、緑の映像信号の高域成分G1Hと赤の映像信号の高域成分R1Hとを加算して2で割ることで輝度信号の高域成分Y3Hを得る。
【0037】
一方で、各色の映像信号の低域成分であるG1L、B1L、R1Lは、輝度低域成分生成部と色差生成部とに入力され、480iの規格で規定される混合比によって混合され、輝度信号Y3L及び色差信号C3が得られる。色差信号は、ダウンコンバーター1に入力された時点のサンプルの位置すなわち図8(b)の丸の位置の色差信号と同じものだけを順に並べて出力する。ここで、480i規格で規定される混合比は、C3の青の色差信号をCB3、赤の色差信号をCR3とすると、Y3L=(306×R1L+601×G1L+117×B1L)/1024、CB3=(−177×R1L−347×G1L+524×B1L)/1024、CR3=(524×R1L−439×G1L−85×B1L)/1024で求められる。
【0038】
そして、輝度高域成分生成部106で生成された輝度信号の高域成分Y3Hと輝度低域成分生成部107で生成された輝度信号の低域成分Y3Lとが加算部109で加算され、輝度信号Y3が生成される。
【0039】
そして、加算部109で生成された輝度信号Y3と色差生成部108で生成された色差信号C3とは方式変換部110で、8対3の方式変換、すなわち、信号帯域を8分の3にし、8画素に対し3画素の信号を位相をずらして得る。
【0040】
以上の処理において、方式変換部110に入力される輝度信号Y3は、FC2以上の周波数成分について、画素ずらしで互いにずれている緑の映像信号と赤の映像信号とを加算して2で割っているので折り返しの成分が除去される。従って、ダウンコンバーター1に入力される輝度信号Y1をそのまま方式変換する場合に比べると、FC2からFC1の周波数の折り返し成分が少なくなり、解像感が向上する。
【0041】
なお、本実施形態では輝度高域成分生成部106にて、緑の映像信号の高域成分G1Hと赤の映像信号の高域成分R1Hとを1対1の比率で加算したが、映像によってはこの比率を変えたり、青の映像信号の高域成分B1Hを混合しても良い。
【0042】
また、ダウンコンバーター1に輝度信号と色差信号とを入力する時点で輝度信号を2対1の比で方式変換を行い、色差信号はそのまま青の色差信号と赤の色差信号とを分割して、個々の信号として扱うことで、クロック周波数を半分にして信号処理をして、電力の削減を図っても良い。このとき、色差補間部101は必要なくなる。
【0043】
[第2実施形態]
<2.1:ダウンコンバーター1Aの構成>
図2に、第2実施形態のダウンコンバーターの概略構成図を示す。
【0044】
図2に示すように、画素ずらしされたカメラで生成した輝度信号Y1と色差信号C1とがダウンコンバーター1Aに入力される。入力された色差信号C1は色差補間部101に入力され、輝度信号Y1はGBR生成部102に入力される。色差補間部101では色差信号から輝度信号と同じサンプル間隔にした色差信号CB1およびCR1を生成し、生成された色差信号CB1とCR1とはGBR生成部102に入力される。GBR生成部102では、入力された輝度信号Y1、色差信号CB1、CR1から光の3原色の映像信号G1、B1、R1を生成し、生成した映像信号G1、B1、R1は輝度生成部203と輝度生成部204と色差生成部205とに入力される。輝度生成部203に入力された映像信号G1、B1、R1はカメラの画素ずらし処理で輝度信号高域成分が生成された比率と同じ比率で混合され、輝度信号Y2Hが生成され、生成された輝度信号Y2Hは高域通過部206に入力される。輝度生成部204に入力された映像信号G1、B1、R1は、NTSCやPALの規格で規定された輝度信号の混合比で混合され、輝度信号Y2Lが生成され、生成された輝度信号Y2Lは低域通過部207に入力される。色差生成部205に入力された映像信号G1、B1、R1は、NTSCやPALの規格で規定された輝度信号の混合比で混合され、色差信号C2が生成され、生成された色差信号C2は低域通過部208に入力される。高域通過部206では、輝度生成部203から入力された輝度信号Y2HのFC2以上の周波数を抽出して輝度信号の高域成分Y3Hを生成し、生成した輝度信号の高域成分Y3Hを加算部109に入力する。低域通過部207では、輝度生成部204から入力された輝度信号Y2LのFC2以下の周波数を抽出して輝度信号の低域成分Y3Lを生成し、生成した輝度信号の低域成分Y3Lを加算部109に入力する。加算部109に入力された輝度信号の高域成分Y3Hと輝度信号の低域成分Y3Lとは加算されて輝度信号Y3となり、方式変換部110に入力される。低域通過部208では、色差生成部205から入力された輝度信号C2のFC2以下の周波数を抽出して、FC2以下の周波数に帯域制限された色差信号C3を生成し、生成した色差信号C3を方式変換部110に入力する。方式変換部110に入力された輝度信号Y3と色差信号C3とは、帯域制限と間引きの処理により1080iの形式から480iの形式にダウンコンバートされて輝度信号Y4と色差信号C4になり、方式変換部110から出力され、ダウンコンバーター1Aの出力信号となる。
【0045】
<2.2:ダウンコンバーター1Aの動作>
第1実施形態と同じ部分があるので、第1実施形態と同じ部分についての説明は可能な限り省略する。
【0046】
先ず、第1実施形態と同じ輝度信号Y1と色差信号C1をダウンコンバーター1Aに入力する。
【0047】
入力された輝度信号Y1と色差信号C1とは第1実施形態と同じく、色差信号C1が色差補間部101で処理された後、GBR生成部で、光の3原色である緑の映像信号G1と青の映像信号B1と赤の映像信号R1とが生成される。
【0048】
次に、各色の映像信号であるG1、B1、R1は、第1実施形態の輝度低域成分生成部107及び色差生成部108での処理と同じく、輝度生成部204と色差生成部205にて、480iの規格で規定される混合比によって混合され、輝度信号Y2L及び色差信号C2が得られる。
【0049】
一方で各色の映像信号であるG1、B1、R1は、第1実施形態の輝度高域成分生成部106での処理と同じく、輝度生成部203にてカメラにおける画素ずらしで輝度信号の高域成分をつくりだしたときと同じ比率で混合され、輝度信号Y2Hを得る。
【0050】
次に、輝度信号Y2Hは高域通過部206に入力され、周波数がFC2以上の輝度信号の高域成分Y3Hを生成する。ここで、高域成分の抽出には周波数がFC2以上を通過させるFIRフィルタを使用する。
【0051】
輝度信号Y2Lは低域通過部207に入力され、周波数がFC2以下の輝度信号の低域成分を抽出し、輝度信号Y3Lが生成される。ここで、低域成分の抽出には周波数がFC2以下を通過させるFIRフィルタを使用する。
【0052】
そして、加算部109にて輝度信号の高域成分Y3Hと輝度信号Y3Lとを加算して、輝度信号Y3を得る。この輝度信号Y3は周波数がFC2以上の帯域については画素ずらしで半分画素がずれた緑の映像信号と赤の映像信号とを加算しているので、色の解像感を重視して周波数FC1以下に残っていたモアレを抑制した輝度信号になっている。
【0053】
そして、色差信号C2は低域通過部208に入力され、周波数がFC2以下の色差信号の低域成分を抽出し、色差信号C3が生成される。ここで、低域成分の抽出には周波数がFC2以下を通過させるFIRフィルタを使用する。
【0054】
そして、加算部109で生成された輝度信号Y3と低域通過部208で生成された色差信号C3とは方式変換部110で、8対3の方式変換、すなわち、信号帯域を8分の3にし、8画素に対し3画素の信号を位相をずらして得る。
【0055】
以上の処理において、方式変換部110に入力される輝度信号Y3は、FC2以上の周波数成分について、画素ずらしで互いにずれている緑の映像信号と赤の映像信号とを加算して2で割っているので折り返しの成分が除去される。従って、ダウンコンバーター1Aに入力される輝度信号Y1をそのまま方式変換する場合に比べると、FC2からFC1の周波数の折り返し成分が少なくなり、解像感が向上する。
【0056】
なお、本実施形態では、緑の映像信号の高域成分G1と赤の映像信号の高域成分R1を1対1の比率で加算したが、映像によってはこの比率を変えたり、青の映像信号の高域成分B1を混合しても良い。
【0057】
また、ダウンコンバーター1Aに輝度信号と色差信号とを入力する時点で輝度信号を2対1の比で方式変換を行い、色差信号はそのまま青の色差信号と赤の色差信号とを分割して、個々の信号として扱うことで、クロック周波数を半分にして信号処理をして、電力の削減を図っても良い。このとき、色差補間部101は必要なくなる。
【0058】
[第3実施形態]
<3.1:ダウンコンバーター1Bの構成>
図3に、第3実施形態のダウンコンバーターの概略構成図を示す。
【0059】
図3に示すように、画素ずらしされたカメラで生成した輝度信号Y1と色差信号C1とがダウンコンバーター1Bに入力される。入力された色差信号C1は色差補間部101及び、カラリメトリ変換部304に入力され、輝度信号Y1は2対1方式変換部301と輝度生成部302とカラリメトリ変換部303とに入力される。色差補間部101では色差信号を輝度信号と同じサンプル間隔にした色差信号CB1とCR1とを生成し、生成された色差信号CB1とCR1とは輝度生成部302とカラリメトリ変換部303とに入力される。輝度生成部302では入力された輝度信号Y1、色差信号CB1、CR1から輝度信号Y2Hを生成し、生成した輝度信号Y2Hは高域通過部206に入力される。カラリメトリ変換部303では入力された輝度信号Y1と色差信号CB1とCR1とから輝度信号Y2Lを生成し、生成された輝度信号Y2Lは低域通過部207に入力される。
【0060】
2対1方式変換部301では入力された輝度信号Y1は2対1の方式変換が行われた輝度信号Y1Lを生成し、輝度信号Y1Lはカラリメトリ変換部304に入力される。カラリメトリ変換部304では、入力された輝度信号Y1Lと色差信号C1とから色差信号C3を生成し、生成した色差信号C3は方式変換部110に入力される。
【0061】
方式変換部110では入力された輝度信号Y3と色差信号C3とから8対3の方式変換をした輝度信号Y4と色差信号C4とを生成して出力し、この輝度信号Y4と色差信号C4とがダウンコンバーター1Bの出力になる。
【0062】
<3.2:ダウンコンバーター1Bの動作>
第1実施形態及び第2実施形態と同じ部分があるので、これら同じ部分についての説明は可能な限り省略する。
【0063】
先ず、第1実施形態と同じ輝度信号Y1と色差信号C1とをダウンコンバーター1Bに入力する。
【0064】
入力された輝度信号Y1と色差信号C1とは第1実施形態と同じく、色差信号C1を色差補間部101で処理し、輝度信号Y1と同じサンプル数の映像信号である色差信号CB1とCR1を生成する。
【0065】
次に、輝度生成部302にて、色差補間部101にて生成された色差信号CB1とCR1及び輝度信号Y1とを混合して輝度信号Y2Hを生成する。ここでの混合比は、緑の映像信号と赤の映像信号とが1対1の比率になるように混合する。すなわち、第1実施形態に示す通り、輝度信号Y1と色差信号CB1とCR1とに対して、緑の映像信号G1はY1−188/1024×CB1−469/1024×CR1、赤の映像信号R1はY1+1577/1024×CR1なので、輝度信号Y2Hは、(G1+R1)/2すなわち、Y1+(−94×CB1+554×CR1)/1024となる。そして、輝度信号Y2Hは高域通過部206に入力され、周波数FC2以上の周波数成分が抽出され、輝度信号の高域成分であるY3Hが生成される。
【0066】
一方で、カラリメトリ変換部303にて、色差補間部101にて生成された色差信号CB1とCR1及び輝度信号Y1とを混合して輝度信号Y2Lを生成する。ここでの混合比は、1080iの方式から480iの方式の輝度信号への変換をするので、Y2L=Y1+102/1024×CB1+196/1024×CR1とする。そして、生成された輝度信号Y2Lは低域通過部207に入力され、周波数F2C以下の周波数成分が抽出され、輝度信号Y3Lが生成される。ここで、周波数F2C以下の周波数成分の抽出にはFIRフィルタを用いる。そして、輝度信号Y3Lは加算部109に入力され、高域通過部206にて生成された輝度信号の高域成分Y3Hと加算され、輝度信号Y3が生成される。
【0067】
この輝度信号Y3は周波数がFC2以上の帯域については画素ずらしで半分画素がずれた緑の映像信号と赤の映像信号とを加算しているので、色の解像感を重視して周波数FC1以下に残っていたモアレを抑制した輝度信号になっている。
【0068】
また、2対1方式変換部301に入力された輝度信号Y1は、FC1以下の周波数に帯域制限されて色差信号と同じサンプルの位置の信号が抽出されて、輝度信号Y1Lとなる。この輝度信号Y1Lとダウンコンバーター1Bに入力された色差信号C1はカラリメトリ変換部304に入力され、1080iの方式から480iの方式の色差信号への変換をするので、青の色差信号CB3は1014/1024×CB1−113/1024×CR1で求め、赤の色差信号CR3は−74/1024×CB1+1007/1024×CR1で求め、青の色差信号CB3と赤の色差信号CR3を時系列に並べて色差信号C3を生成する。
【0069】
そして、加算部109で生成された輝度信号Y3とカラリメトリ変換部304で生成された色差信号C3とは方式変換部110で、8対3の方式変換、すなわち、信号帯域を8分の3にし、8画素に対し3画素の信号を位相をずらして得る。
【0070】
以上の処理において、方式変換部110に入力される輝度信号Y3は、FC2以上の周波数成分について、画素ずらしで互いにずれている緑の映像信号と赤の映像信号とを加算して2で割っているので折り返しの成分が除去される。従って、ダウンコンバーター1Bに入力される輝度信号Y1をそのまま方式変換する場合に比べると、FC2からFC1の周波数の折り返し成分が少なくなり、解像感が向上する。
【0071】
なお、本実施形態では、緑の映像信号の高域成分G1と赤の映像信号の高域成分R1とを1対1の比率になるように輝度信号と色差信号とを混合したが、映像によってはこの比率を変えたり、青の映像信号の高域成分B1を含めて混合しても良い。
【0072】
また、図4に示すように、ダウンコンバーター1Cに輝度信号と色差信号とを入力する時点で輝度信号を2対1の比で方式変換を行い、色差信号はそのまま青の色差信号と赤の色差信号とを分割して、個々の信号として扱うことで、クロック周波数を半分にして信号処理をして、電力の削減を図っても良い。このとき、色差補間部101は必要なくなる。
【0073】
[第4実施形態]
<4.1:ダウンコンバーター1Dの構成>
図5に、第4実施形態のダウンコンバーターの概略構成図を示す。
【0074】
図5に示すように、画素ずらしされたカメラで生成した輝度信号Y1と色差信号C1とがダウンコンバーター1Dに入力される。入力された色差信号C1は色差補間部101及び、低域通過部501に入力され、輝度信号Y1は2対1方式変換部301と輝度生成部302とカラリメトリ変換部303とに入力される。色差補間部101では色差信号を輝度信号と同じサンプル間隔にした色差信号CB1とCR1とを生成し、生成された色差信号CB1とCR1とは輝度生成部302とカラリメトリ変換部303とに入力される。輝度生成部302では入力された輝度信号Y1、色差信号CB1、CR1から輝度信号Y2Hを生成し、生成した輝度信号Y2Hは帯域通過部502に入力される。カラリメトリ変換部303では入力された輝度信号Y1と色差信号CB1とCR1とから輝度信号Y2Lを生成し、生成された輝度信号Y2Lは低域通過部207に入力される。
【0075】
2対1方式変換部301では入力された輝度信号Y1は2対1の方式変換が行われた輝度信号Y1Lを生成し、輝度信号Y1Lはカラリメトリ変換部304に入力される。カラリメトリ変換部304では、入力された輝度信号Y1Lと色差信号C1Lから色差信号C3を生成し、生成した色差信号C3は方式変換部110に入力される。
【0076】
方式変換部110では入力された輝度信号Y3と色差信号C3とから8対3の方式変換をした輝度信号Y4と色差信号C4とを生成して出力し、この輝度信号Y4と色差信号C4とがダウンコンバーター1Dの出力になる。
【0077】
<4.2:ダウンコンバーター1Dの動作>
第1実施形態〜第3実施形態と同じ部分があるので、これら同じ部分についての説明は可能な限り省略する。
【0078】
先ず、第1実施形態と同じ輝度信号Y1と色差信号C1とをダウンコンバーター1Dに入力する。
【0079】
入力された輝度信号Y1と色差信号C1とは第1実施形態と同じく、色差信号C1を色差補間部101で処理し、輝度信号Y1と同じサンプル数の映像信号である色差信号CB1とCR1とを生成する。
【0080】
次に、輝度生成部302にて、第3実施形態と同じく輝度信号Y2Hを生成する。そして、輝度信号Y2Hは帯域通過部502に入力され、周波数FC2以上FY2以下の周波数成分が抽出され、輝度信号の高域成分であるY3Hが生成される。ここで、周波数FC2以上FY2以下の周波数成分の抽出にはFIRフィルタを使用する。
【0081】
一方で、第3実施形態と同じく、カラリメトリ変換部303にて、色差補間部101にて生成された色差信号CB1とCR1及び輝度信号Y1とを混合して輝度信号Y2Lを生成する。そして、生成された輝度信号Y2Lは低域通過部207に入力され、周波数F2C以下の周波数成分が抽出され、輝度信号Y3Lが生成される。そして、輝度信号Y3Lは加算部109に入力され、帯域通過部502にて生成された輝度信号の高域成分Y3Hと加算され、輝度信号Y3が生成される。
【0082】
この輝度信号Y3は周波数がFC2以上の帯域については画素ずらしで半分画素がずれた緑の映像信号と赤の映像信号を加算しているので、色の解像感を重視して周波数FC1以下に残っていたモアレを抑制した輝度信号になっている。
【0083】
また、2対1方式変換部301に入力された輝度信号Y1は、FC1以下の周波数に帯域制限されて色差信号と同じサンプルの位置の信号が抽出されて、輝度信号Y1Lとなる。また、ダウンコンバーター1Dに入力された色差信号C1は低域通過部501にて、FC2以下の周波数に帯域制限して、色差信号C1Lを得る。この輝度信号Y1Lと色差信号C1Lとはカラリメトリ変換部304に入力され、第3実施形態と同じく混合して色差信号C3を生成する。
【0084】
そして、加算部109で生成された輝度信号Y3とカラリメトリ変換部304で生成された色差信号C3とは方式変換部110で、8対3の方式変換、すなわち、信号帯域を8分の3にし、8画素に対し3画素の信号を位相をずらして得る。
【0085】
以上の処理において、方式変換部110に入力される輝度信号Y3は、FC2以上の周波数成分について、画素ずらしで互いにずれている緑の映像信号と赤の映像信号とを加算して2で割っているので折り返しの成分が除去される。従って、ダウンコンバーター1Dに入力される輝度信号Y1をそのまま方式変換する場合に比べると、FC2からFC1の周波数の折り返し成分が少なくなり、解像感が向上する。
【0086】
なお、本実施形態では輝度生成部302にて、緑の映像信号の高域成分G1と赤の映像信号の高域成分R1とを1対1の比率になるように輝度信号と色差信号とを混合したが、映像によってはこの比率を変えたり、青の映像信号の高域成分B1を含めて混合しても良い。
【0087】
また、図6に示すダウンコンバーター1Eのように輝度信号を2対1の比で方式変換を行った後、色差信号はそのまま青の色差信号と赤の色差信号とを分割して、個々の信号として扱うことで、クロック周波数を半分にして信号処理をして、電力の削減を図っても良い。このとき、色差補間部101は必要なくなる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のダウンコンバーターは、画素ずらしをした撮像装置にて生成された映像信号を1080iの方式等から480iの方式等へダウンコンバートをするとき、画素ずらしの処理のときに残さざるを得なかった折り返し成分を除去でき、解像感を向上させることができるので、各種方式どうしの変換を行う方式変換器等にも有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 ダウンコンバーター
101 色差補間部
102 GBR生成部
103〜105 帯域分離部
106 輝度高域成分生成部
107 輝度低域成分生成部
108 色差生成部
109 加算部
110 方式変換部
203 輝度生成部
204 輝度生成部
205 色差生成部
206 高域通過部
207 低域通過部
208 低域通過部
301 2対1方式変換部
302 輝度生成部
303 カラリメトリ変換部
304 カラリメトリ変換部
501 低域通過部
502 帯域通過部
601 輝度生成部
602 カラリメトリ変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、
入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、
入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号から、緑、青、赤の映像信号を生成するGBR生成部と、
前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の映像信号をそれぞれ高域の映像信号と低域の映像に分離する帯域分離部と、
前記帯域分離部から出力される緑、青、赤の高域の映像信号を所定の比率1で混合し、輝度信号の高域の映像信号を生成する輝度高域成分生成部と、
前記帯域分離部から出力される緑、青、赤の低域の映像信号を所定の比率2で混合し、輝度信号の低域の映像信号を生成する輝度低域成分生成部と、
前記輝度高域成分生成部から出力される輝度信号の高域の映像信号と、前記輝度低域成分生成部から出力される輝度信号の低域の映像信号とを加算する加算部と、
前記帯域分離部から出力される緑、青、赤の低域の映像信号を所定の比率3及び4で混合し、青と赤の色差信号を生成する色差生成部と、
前記加算部から出力される輝度信号と、前記色差生成部から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部とを備えるダウンコンバーター。
【請求項2】
前記輝度高域成分生成部は、前記帯域分離部から得られる映像信号が処理画素の近傍の赤の直流成分のほうが青の直流成分の比率または差が所定の値より小さいときそれ以外のときに比べて前記帯域分離部から得られる青の映像信号の比率を多くして輝度信号の高域の映像信号を生成することを特徴とする請求項1記載のダウンコンバーター。
【請求項3】
画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、
入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、
入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号から、緑、青、赤の映像信号を生成するGBR生成部と、
前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の高域の映像信号を所定の比率1で混合し、輝度信号を生成する輝度生成部1と、
前記輝度生成部1から出力される輝度信号から所定の周波数以上の周波数成分を抽出する高域通過部と、
前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の高域の映像信号を所定の比率2で混合し、輝度信号を生成する輝度生成部2と、
前記輝度生成部2から出力される輝度信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部1と、
前記高域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、
前記GBR生成部から出力される緑、青、赤の低域の映像信号を第3及び第4の所定の比率で混合し、青と赤の色差信号を生成する色差生成部と、
前記色差生成部から出力される色差信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部2と、
前記加算部から出力される輝度信号と、前記低域通過部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部とを備えるダウンコンバーター。
【請求項4】
前記輝度生成部1は、前記GBR生成部から得られる映像信号が処理画素の近傍の赤の直流成分のほうが青の直流成分の比率または差が所定の値より小さいときそれ以外のときに比べて前記GBR生成部から得られる青の映像信号の比率を多くして輝度信号の高域の映像信号を生成することを特徴とする請求項3記載のダウンコンバーター。
【請求項5】
高精細画像の輝度信号の色差信号と同じ帯域に帯域制限し、その色差信号のサンプル位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部を通してから輝度信号を入力することを特徴とする請求項1〜4に記載のダウンコンバーター。
【請求項6】
画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、
入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号を所定の比率で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、
前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数以上の周波数成分を抽出する高域通過部と、
入力された輝度信号に、前記色差補間部から出力される色差信号を、所定の比率で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、
前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部と、
前記高域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、
入力された輝度信号を色差信号と同じ帯域に帯域制限し、さらに色差信号のサンプルの位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部と、
前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と入力された色差信号を所定の比率で混合して、出力する映像方式のカラリメトリの色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、
前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部とを備えるダウンコンバーター。
【請求項7】
画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された輝度信号を色差信号と同じ帯域に帯域制限し、その色差信号のサンプル位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部と、
前記2対1方式変換部から出力された輝度信号と、入力された色差信号を所定の比率で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、
前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数以上の周波数成分を抽出する高域通過部と、
前記2対1方式変換部から出力された輝度信号と入力された色差信号を、所定の比率で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、
前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過部と、
前記高域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、
前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と入力された色差信号を所定の比率で混合して、出力する映像方式の色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、
前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部とを備えるダウンコンバーター。
【請求項8】
前記輝度信号生成部は、画素ずらしの互いにずれている緑の映像信号に対する、赤または青の映像信号を1対1の比率で混合することを特徴とする請求項7に記載のダウンコンバーター。
【請求項9】
画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された色差信号を輝度信号のサンプル間隔と同じサンプル間隔の画素を求めて輝度信号と同じサンプル間隔にする色差補間部と、
入力された輝度信号と、前記色差補間部から出力される色差信号を所定の比率で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、
前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数1以上から所定の周波数2以下の周波数成分を抽出する帯域通過部と、
入力された輝度信号に、前記色差補間部から出力される色差信号を、所定の比率1で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、
前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部1と、
前記帯域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、
入力された輝度信号を前記所定の周波数1以下に帯域制限し、入力された色差信号のサンプル化の位置と同じ位置の画素を出力する2対1方式変換部と、
入力された色差信号から所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部2と、
前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と前記低域通過部から出力された色差信号を所定の比率2で混合して、出力する映像方式の色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、
前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部とを備えるダウンコンバーター。
【請求項10】
画素ずらしを用いて生成された高精細画像の輝度信号と色差信号を入力とし、入力された輝度信号を所定の周波数1以下に帯域制限し、その色差信号のサンプル位置と同じ位置の画素の輝度信号を出力する2対1方式変換部と、
前記2対1方式変換部から出力された輝度信号と、入力された色差信号を所定の比率1で混合して輝度信号を生成する輝度生成部と、
前記輝度生成部から出力される輝度信号から所定の周波数1以上から所定の周波数2以下の周波数成分を抽出する帯域通過部と、
前記2対1方式変換部から出力された輝度信号に、前記色差補間部から出力される色差信号を、所定の比率1で混合することで出力する映像方式のカラリメトリの輝度信号を生成するカラリメトリ変換部1と、
前記カラリメトリ変換部1から出力される輝度信号から前記所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部1と、
前記帯域通過部から出力される輝度信号の高域成分と前記低域通過部1から出力される輝度信号を加算する加算部と、
入力された色差信号から所定の周波数1以下の周波数成分を抽出する低域通過部2と、
前記2対1方式変換部から出力される輝度信号と前記低域通過部から出力された色差信号を所定の比率2で混合して、出力する映像方式の色差信号を生成するカラリメトリ変換部2と、
前記加算部から出力される輝度信号と、前記カラリメトリ変換部2から出力される色差信号を、所定の変換比で輝度信号と色差信号の水平または垂直の画素数を少なくする方式変換部とを備えるダウンコンバーター。
【請求項11】
方式変換部は映像信号の位相のシフトと間引きだけを行うことを特徴とする請求項9または10記載のダウンコンバーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−273080(P2010−273080A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122873(P2009−122873)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】