説明

ダニ抗原簡易検査試薬、ダニ抗原検出方法およびダニ抗原を検出するためのキット

【課題】喘息やアトピーなどのアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)、即ちダニ抗原を簡便かつ安価に検出する手段を提供することを目的とする。
【解決手段】Cy3等の水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチド、好ましくはα−ポリ−L−リシンを含むダニ抗原検出用試薬。より具体的には、ガラスビーズにα−ポリ−L−リシンを縮合剤を利用して固定し、更にCy3 reactive dyeを用いてα−ポリ−L−リシンに導入したダニ検査試薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダニ抗原を検出するための試薬、ならびに該試薬を用いてダニ抗原を検出する方法およびダニ抗原を検出するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウスダスト中のダニ抗原は、喘息やアトピーなどのアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)として、現在注目されている。現在、ダニアレルギー患者の治療には、主として薬物療法が適用されているが、一方でアレルギーを引き起こす因子の一つであるダニそのものを、患者自身の生活環境から除去する方法は、ダニ抗原暴露から直接患者を守る合理的な手段と考えられる。
【0003】
患者の生活環境から、効率よくダニ抗原を除去するためには、ダニ汚染状況を定量的に把握する必要がある。どの場所にどの程度のダニが繁殖しているかを知り、ダニの多い場所を重点的に管理するためのデータを得ることが重要である。従来のダニ及びダニ抗原の検出方法としては、培養後顕微鏡によって形態観察を行う方法が知られているが、時間と専門性が必要とされ、家庭内で簡単に実施することはできない。また、抗原抗体反応を利用する方法やダニ由来の遺伝子を検出する方法も知られているが、高価格であり、家庭内で実施するには適切でない。
【0004】
また、ダニが有するグアニンに反応する物質を用いたダニ抗原検査キットも販売されている。しかし、グアニンはダニに限らず動物の糞に広く含まれている物質であり、ダニの糞にのみ含まれている物質ではない。家庭内で収集したゴミを検査対象にしてグアニンを検出した場合、ダニの糞由来のグアニンである可能性が高いが、特異的な検出とはいえない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ダニ抗原を簡便かつ安価に検出する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、水溶性の色素を結合させた水溶性ポリペプチドを調製し、ダニ抗原に含まれるプロテアーゼが該ポリペプチドを切断することにより遊離する色素を検出することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドを含むダニ抗原検出用試薬。
(2)水溶性色素が水溶性ポリペプチドの側鎖官能基を介して結合している、(1)記載の試薬。
(3)水溶性ポリペプチドが遊離のアミノ基を有し、水溶性色素が該アミノ基を介してポリペプチドに結合している、(1)又は(2)記載の試薬。
(4)水溶性ポリペプチドが重量平均分子量200〜1000万のポリペプチドである、(1)〜(3)のいずれかに記載の試薬。
(5)水溶性ポリペプチドがポリリシンである、(1)〜(4)のいずれかに記載の試薬。
(6)水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドが固相に固定化されている、(1)〜(5)のいずれかに記載の試薬。
(7)被検試料中のダニ抗原を検出する方法であって、
被検試料と(1)〜(5)のいずれかに記載の試薬とを水性溶媒中で混合する工程、
混合液をろ過する工程、及び
ろ液に含まれる色素を検出する工程
を含む、前記方法。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の試薬を含む、(7)記載の方法を実施するためのキット。
(9)被検試料中のダニ抗原を検出する方法であって、
被検試料と(6)記載の試薬とを水性溶媒中で混合する工程、及び
液相に含まれる色素を検出する工程
を含む、前記方法。
(10)(6)記載の試薬を含む、(9)記載の方法を実施するためのキット。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ダニ抗原を簡便かつ安価に検出することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の試薬における水溶性ポリペプチドは、水溶性色素を結合できダニ抗原が含むプロテアーゼによって切断されうるものであれば特に制限されない。当該ポリペプチドは、天然のものでも合成のものでもよい。水溶性ポリペプチドは、遊離のアミノ基を有するもの、特に複数有するものが好ましい。水溶性ポリペプチドの具体例としては、例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、コラーゲン及びその加水分解物、ゼラチン及びその加水分解物、ケラチン加水分解物、パール加水分解物、シルク加水分解物、カゼイン加水分解物、ならびに植物由来タンパク質加水分解物(例えば、ダイズペプチド、ポテトペプチドなど)等が挙げられる。また、D体でもL体でもよいが、好ましくはL体を用いる。水溶性とは、例えば、水に対する溶解度が1mg/L以上であればよいことをさす。
【0010】
水溶性ポリペプチドの分子量は、重量平均分子量で、通常200〜1000万、好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは2万〜50万である。あるいは、アミノ酸残基の数で、通常2〜50000、好ましくは50〜5000である。上記のような分子量のポリペプチドを用いることにより、プロテアーゼによる加水分解で得られるポリペプチド断片と当初ポリペプチドとの分子量の差が大きくなり、分離しやすくなる。例えば、ろ過を行う場合、両者の分子量の差が大きいほど、ポリペプチド断片を分離しやすくなる。また、水溶性ポリペプチドを固相に固定化する場合には、高分子量のポリペプチドを固相に固定化することにより、反応に寄与するペプチド(アミノ酸)の絶対量が多くなり、検出感度が向上する。
【0011】
本発明においては、水溶性ポリペプチドとして、ポリリシンを用いるのが好ましい。ポリリシンは、一般的に入手が容易なポリペプチドであるとともに、保存料としても使用されるように人体に対する安定性が高い点でも好ましい。リシンは1分子中に2つのアミノ基を有するアミノ酸であり、これから得られるポリリシンは一般にα位のアミノ基と、ε位のカルボキシ基とが結合したα−ポリリシンと、ε位のアミノ基とα位のカルボキシ基とが縮合したε−ポリリシンとの2種類が存在するが、本発明ではα−ポリリシンを用いるのがより好ましい。また、ポリリシンは、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシンでもよいが、好ましくはポリ-L-リシンを用いる。ポリリシンの好ましい分子量は、重量平均分子量で、1万〜1000万である。
【0012】
ポリリシンは慣用のポリペプチド合成法により製造することができる。また、ε−ポリリシンは、例えば、特開昭59-20359に記載のε−ポリリシン生産菌であるストレプトマイセス属に属するストレプトマイセス・アルブラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを培地に培養し、得られた培養物からε−ポリリシンを分離・採取することによって得られる。
【0013】
ポリリシンは遊離の形で用いることができるが、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸又は酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸の塩の形で用いることもできる。
【0014】
一実施形態においては、水溶性色素は水溶性ポリペプチドの側鎖官能基を介して結合している。側鎖官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基などが挙げられる。
【0015】
水溶性ポリペプチドが遊離のアミノ基を有する場合、水溶性色素は該アミノ基を介してポリペプチドに結合することができる。水溶性色素は、好ましくは、側鎖官能基としての遊離アミノ基を介して水溶性ポリペプチドに結合している。
【0016】
水溶性色素の水溶性ポリペプチドへの結合は、水溶性タンパク質を染色するための公知の方法に従って実施できる(例えば、特開2004-125750)。
【0017】
水溶性色素としては、ポリペプチドに結合、好ましくは共有結合で結合できるものであれば特に制限されない。水溶液中で-SO3-や-SO2X(Xは、F、Cl、Brなどのハロゲンをさす)を有するものを用いるのが好ましい。-SO3-や-SO2Xは、ポリペプチドのアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基と反応して結合を形成することができる。例えば、-SO3-や-SO2Xは、アミノ基、メルカプト基又はヒドロキシ基との間で、それぞれ、以下の結合:-S(O)2-NH-、-S(O)2-S-、-S(O)2-O-を形成する。-SO3-や-SO2Xを有しない色素にこれらを導入してもよい。特開2004-125750に記載されるような、トリアジン系反応性染料、ビニルスルホン系反応性染料、トリアジン官能基系反応性染料、ビニルスルホン官能基系反応性染料を色素として用いてもよい。
【0018】
また、アミド結合やエステル結合を介して色素を水溶性ポリペプチドに導入してもよい。アミド結合を介して導入する場合は、色素としてカルボキシ基を有するものを用いるか、色素にカルボキシ基を導入し、該カルボキシ基を活性エステル化した後、水溶性ポリペプチドに導入することが好ましい。活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味する。エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基としては、たとえばp-ニトロフェニル基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド基等が挙げられ、特に、N-ヒドロキシスクシンイミド基が好ましく用いられる。
【0019】
活性エステル基の導入は、例えば、カルボキシ基を、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN-ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することにより実施できる(特開2001-139532)。活性エステル基は、水溶性ポリペプチドのアミノ基とアミド結合を形成することができる。また、活性エステル基は、水溶性ポリペプチドのチオール基およびヒドロキシ基とも反応性を有する。また、アルデヒド基などを介した共有結合により色素を水性性ポリペプチドに導入してもよい。
【0020】
本発明において水溶性色素は、蛍光色素等の蛍光検出器で検出できるものでもよいが、目視で検出できる色素が好ましい。家庭等において特別な測定装置等を必要とすることなく、簡便かつ安価に使用できるからである。水溶性色素の具体例としては、例えば、モナスカス系赤色色素、クチナシ系黄色色素、紅麹色素、コチニール色素、水溶性アナトー色素(例えば、アンナットA2000)、シアニン系色素(例えば、Cy dye)、タール系色素(例えば、赤色2号、黄色4号、赤色102号、黄色5号、赤色3号)等が挙げられる。また、蛍光色素としては、FITC、FAM、TAMRA、Cy dye(Cy3、Cy5など)、Alexaなどが挙げられる。
【0021】
本発明の一実施形態においては、水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドが固相に固定されたものをダニ抗原検出用試薬として用いる。固相としては、特に制限されないが、例えば、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などに代表されるシリコン材料、ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロビレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリルアミド及びポリスルホンなどのプラスチック材料、ならびにニトロセルロースなどの有機材料等が挙げられる。
【0022】
固相の形状は特に限定されず、ビーズ状、平板状、糸状、多孔質、シート状、ゲル状、メンブレン状、フィルター状などの形状とすることができる。好ましくはビーズ状のものを用いる。ビーズ状とすることにより、例えばチューブ内で試薬とダニ抗原とを効率的に混合することができる。最も好ましくは固相としてガラスビーズを用いる。
【0023】
水溶性ポリペプチドの固相への固定化は、タンパク質やポリペプチドを固相に結合するための慣用の方法により実施できる。水溶性ポリペプチドと固相との結合は、共有結合でも非共有結合(例えば、静電結合)でもよい。例えば、タンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン−2,4−ジイソシアネート、シアンカップリング剤、金属キレート、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基又はアミノ基などを利用して固相への固定化を行うことができる。
【0024】
例えば、ガラス固相への水溶性ポリペプチドの結合は、以下のように実施できる。ガラス固相をフッ酸溶液に浸漬した後、NaOHで洗浄し、続いて、3-アミノプロピルトリエトキシシランの水溶液に浸漬し、これに水溶性ポリペプチドを、[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドの存在下で縮合させる。
【0025】
水溶性ポリペプチドへの色素の結合は、固相への固定化の前に実施してもよいし、固相へ固定化した後に実施してもよい。
【0026】
一実施形態において本発明のダニ抗原を検出する方法は、以下の工程:
被検試料と本発明の試薬とを水性溶媒中で混合する工程、
混合液をろ過する工程、及び
ろ液に含まれる色素を検出する工程
を含む。
【0027】
被検試料は、ダニ抗原を含みうるものであれば特に制限されないが、例えば、埃及び塵などのいわゆるハウスダストが挙げられる。家庭等において掃除機によって吸引されたダストを被検試料として好適に用いることができる。例えば、掃除機の吸引部分にフィルターを設置し、吸引した後、フィルターに残ったダストを被検試料として用いてもよい。ここで用いることのできるフィルターとしては、セルロースなどの天然繊維、再生繊維、合成繊維又はこれらの混合物からなる不織布、紙が挙げられる。好ましくはポリエステル繊維製、ポリプロピレン繊維製、ナイロン繊維製、レーヨン繊維製、セルロース繊維製等のフィルターが用いられる。
【0028】
被検試料と試薬とを水性溶媒中で混合する。水性溶媒は、プロテアーゼの活性を阻害するものでなければ特に制限されない。例えば、水、リン酸緩衝化食塩水(PBS)、生理食塩水などを使用できる。例えば、本発明の試薬の水性分散液に上記のような被検試料を添加して混合する。被検試料は水性溶媒に分散してから、試薬の水性分散液に添加して両者を混合してもよい。混合した後、インキュベートすることにより、ダニ抗原に含まれるプロテアーゼによるポリペプチドの切断反応を進行させる。インキュベートは、通常10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、通常1分〜12時間、好ましくは1分〜6時間、より好ましくは5分〜1時間実施する。
【0029】
続いて、インキュベート後の混合液をろ過する。ろ過方法は特に制限されないが、例えば、チューブにフィルターを設置し、混合液を添加して遠心することにより実施できる。得られたろ液に水性溶媒を再度添加して、遠心及びろ過する操作を繰り返す(好ましくは2〜5回繰り返す)ことが好ましい。このとき用いるフィルターは、用いる水溶性ポリペプチドの分子量に合わせて適宜選択できる。例えば、分子量が30,000〜70,000の水溶性ポリペプチドを用いた場合は、分画分子量が、通常1,000〜50,000Da、好ましくは5,000〜30,000Daのフィルターを用いる。例えば、分子量が300,000以上の水溶性ポリペプチドを用いた場合は、分画分子量が、通常1,000〜250,000Da、好ましくは10,000〜200,000Daのフィルターを用いる。
【0030】
フィルターの分画分子量を決定する場合、もとのポリペプチドと、切断されたペプチド断片を分離することができるという点が最も重要である。従って、もとのポリペプチドの分子量よりも小さな分子量を持つ分子を透過するフィルターを選択する必要がある。また、フィルターがあまりにも小さな分子量を持つ分子しか透過しない場合は、遠心による分離に長時間が必要になるので、あまり細かいフィルターは選択しない方がよい。
【0031】
得られたろ液には、ダニ抗原由来のプロテアーゼによって切断されたペプチド断片及びこれに結合した色素が含まれることになる。一方、プロテアーゼによって切断されていない高分子量の水溶性ポリペプチドはフィルターを通過することができない。被検試料にダニ抗原が多く含まれているほど、プロテアーゼによる反応が進行し、多くのペプチド断片及び色素がろ液に含まれることになる。従って、ろ液に含まれる色素を検出することによって、被検試料中のダニ抗原を検出することができる。
【0032】
ろ液に含まれる色素の検出方法は、用いた色素の種類によって、適宜選択される。例えば、蛍光色素を用いた場合は、蛍光検出器等によって検出することができる。しかし、本発明においては、目視で検出できる色素を用いることが好ましく、最終的な判定も目視で行うことが好ましい。特別の装置を必要とすることなく、家庭等において簡便に検査を実施できるからである。
【0033】
本発明の方法において、色素の検出には、色素の有無の判定、及び色素の量の判定の双方が含まれる。量の判定は、通常、対照品、標品又は基準品等と比較したときに量が多いか少ないかの判定をさす。同様に、本発明においてダニ抗原の検出には、ダニ抗原の有無の判定、及びダニ抗原の量の判定の双方が含まれる。量の判定は、通常、対照品、標品又は基準品等と比較したときに量が多いか少ないかの判定をさす。
【0034】
一実施形態において本発明のダニ抗原を検出する方法は、以下の工程:
水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドが固相に固定化されてなる本発明の試薬と被検試料とを水性溶媒中で混合する工程、及び
液相に含まれる色素を検出する工程
を含む。
【0035】
被検試料、被検試料と試薬との混合、混合後のインキュベートについては、上記と同様である。ただし、本実施形態においては、インキュベート後のろ過工程は実施してもよいが、実施しなくてもよい。本実施形態は、水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドが固相に固定された試薬を用いるものである。従って、ダニ抗原由来のプロテアーゼによって、切断されたペプチド断片及びそれに結合する水溶性色素のみが液相中に遊離する。プロテアーゼによる切断を受けていない高分子量の水溶性ポリペプチドは固相に固定化されたまま残る。従って、被検試料にダニ抗原が多く含まれているほど、プロテアーゼによる反応が進行し、多くのペプチド断片及び色素が液相中に含まれることになる。従って、液相に含まれる色素を検出することによって、被検試料中のダニ抗原を検出することができる。液相に含まれる色素の検出についても上記と同様であり、好ましくは目視で検出できる色素を用い、目視で検出を行う。
【0036】
本発明の一実施態様として、固相に固定された試薬を用いた場合の、本発明のダニ抗原検出方法のプロトコルについて図1を参照しながら説明する。工程1において、掃除機にハウスダスト捕集用のフィルターを装着し、掃除機をかける。工程2において、捕集したハウスダストを採取する。工程3において、固相に固定化された本発明の試薬を含む検出用チューブにハウスダストを入れる。工程4において、チューブのフタを閉めて、上下に振盪する。工程5において、溶液(液相)の色によってダニ抗原の量を判定する。
【0037】
本発明はまた、本発明のダニ検出用試薬を含む上記ダニ抗原検出方法を実施するためのキットに関する。本発明のキットは、本発明のダニ検出用試薬に加えて、例えば、チューブ、被検試料採取用フィルター、ろ過用フィルター、標準物質、本発明のダニ抗原検出方法の工程について記載したマニュアル等を含みうる。マニュアルとして、図1のような工程図を添付してもよい。
【0038】
本発明の試薬及び方法により、特に制限されないが、Dermatophagoides farinae(コナヒョウヒダニ)、Dermatophagoides pteronyssinus(ヤケヒョウヒダニ)、Tyrophagus pterescentiae(ケナガコナダニ)、Hirstia domicola(イエチリダニ)、Malayoglyphus intermedius(ニセチリダニ)、Euroglyphus maynei(シワダニ)、Acarus siro(アシブトコナダニ)、Acarus immobilis(オソアシブトコナダニ)、Aleuroglyphus ovatus(ムギコナダニ)、Lardoglyphus konoi(コウノホシカダニ)、SuiDasia nesbitti(チビコナダニ)、Calvolia domicola(ゴミウスケダニ)、Carpoglyphus lactis(サトウダニ)、Chortoglyphus domicola(イエマルニクダニ)、Glycyphagus destructor(サヤアシニクダニ)、Glycyphagus domesticus( イエニクダニ)、Glycyphagus privates(チリニクダニ)、Gohieria fusca(キナコダニ)、Sarcoptes scabiei (ヒゼンダニ)、Notoedres cati(ネコショウヒゼンダニ)、Dermanyssus hirundinis(スズメサシダニ)、Ornithonyssus sylviarum(トリサシダニ)、Ornithonyssus bacoti(イエダニ)、Cheyletus eruditus(ホソツメダニ)、Cheyletus malaccensis(フトツメダニ)、Chelacaropsis moorei(ミナミツメダニ)、Cheyletus malaccensis(クワガタツメダニ)、Chelatomorpha lepidopterorum(アシナガツメダニ)、Demodex folliculorum(ニキビダニ)、Pyemotes tritici(ムギシラミダニ)、Tarsonemus granaries(ナミホコリダニ)、Haplochthonius simplex(イエササラダニ)、Cosmochthonius reticulates(カザリヒワダニ)等由来のダニ抗原を検出することができる。
【0039】
本発明によって検出できるダニ抗原は、プロテアーゼを含むものであれば特に制限されないが、例えば、ヤケヒョウヒダニ由来のDer f、コナヒョウヒダニ由来のDer p、ダニ糞由来のDer1、ダニ虫体由来のDer2などが含まれる。より具体的には、以下の表1に記載されるようなダニ抗原(ダニアレルゲンとも称される)が挙げられる。
【0040】
【表1】

【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
【0042】
(実施例1)ダニ抗原による固相に固定化されたポリリシンの切断試験
α-ポリ-L-リシン(PLL)をガラスビーズに固定化し、さらに色素(Cy3 reactive dye(Cy3-NHS))をPLLに共有結合で導入した後、ダニ抗原を反応させ、液相の着色を評価した。
【0043】
方法:
1.ガラスビーズの処理(カルボキシ化)
(1) ガラスビーズを1%フッ酸溶液に2時間浸漬した。
(2) 5N NaOHで10分間洗浄した。
(3) (2)で作成したビーズを3-アミノプロピルトリエトキシシランの2%水溶液に浸漬し、室温で1時間反応させた。反応後のビーズは、超純水で洗浄した。
【0044】
2. α-ポリ-L-リシン(PLL)への色素導入及びガラスビーズへの固定化
(1) 1で処理したガラスビーズ及び無処理のガラスビーズを、1%PLL(M.W.30,000〜70,000)水溶液に浸漬し、0.1Mの[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドの存在下で縮合反応を実施した。
(2) 更に、Cy3 reactive dye(Cy3-NHS)(アマシャム・バイオサイエンス)を用いて、PLLに色素を導入した。
【0045】
3. ダニ抗原検出試験
(1) ダニ抗原(精製ダニ抗原 Der f1 、製造:アサヒビール(株)、販売:アサヒフードアンドヘルスケア(株))(100μg/ml、PBS、1%ラクトース)を超純水で3倍希釈して抗原溶液を調製した。
(2) BSA溶液(100μg/ml、PBS)を超純水で3倍希釈して対照溶液を調製した。
(3) 上記2で調製したガラスビーズ(カルボキシ化処理あり)を(1)及び(2)の溶液(それぞれ15μl)に浸漬した。
(4) 37℃に設定した培養器中に静置した(〜40時間)。
(5) 反応後のガラスビーズ及び反応溶液を目視観察した。
【0046】
結果:
2で調製したガラスビーズの外観写真を図2に示す。色素を結合したPLLを固定化したカルボキシ化ガラスビーズを用いて、ダニ抗原検出試験を行った。反応後の溶液(液相)を別のチューブに採取した。溶液の写真を図3に示す。反応溶液を目視観察したところ、ダニ抗原を添加した場合に溶液の着色が観察された。これは、ダニ抗原によってPLLが切断されたことを示している。一方、対照としてのBSAを添加した場合は溶液の着色は認められなかった。すなわち、本発明の方法によって、ダニ抗原を特異的に検出できることが示された。
【0047】
(実施例2)ダニ抗原による遊離のポリリシンの切断試験1
α-ポリ-L-リシン(PLL)に色素(Cy3 reactive dye(Cy3-NHS))を共有結合で導入し、ダニ抗原を添加した後、分子量分画用フィルター付きチューブでろ過した。
【0048】
方法:
1. α-ポリ-L-リシン(PLL)への色素結合
(1) PLL(M.W.30,000〜70,000)の1%水溶液を調製した。
(2) Cy3 reactive dye(Cy3-NHS)(アマシャム・バイオサイエンス)を用いて、PLLに色素を導入した。
(3) 溶液をMicrocon-10(Millipore社)に移して、遠心によりろ過した(Hitachi CF-15R、12500rpm、30分、25℃)。ろ液が透明になるまでPBS溶液の添加と遠心ろ過を繰り返した。
(4)α-ポリ-L-リシン(PLL)にかえてPAA(ポリアリルアミン)を用いたサンプルも対照として同様に調製した。
【0049】
2. 評価用サンプルの調製
以下の(1)〜(3)のサンプルを調製し、表2に記載の試験1及び2を実施した。
(1) ダニ抗原(精製ダニ抗原 Der f1 、製造:アサヒビール(株)、販売:アサヒフードアンドヘルスケア(株))(100μg/ml、PBS、1%ラクトース)
(2) BSA溶液(100μg/ml、PBS)
(3) バッファー((1)をMicrocon-10でろ過してダニ抗原を除去したもの)
【0050】
【表2】

【0051】
3. ダニ抗原検出試験
(1) 上記1で調製した色素結合PLLを40μl計り取り、チューブに入れた。
(2) 上記2で調製したサンプルをチューブに10μl添加した。
(3) 37℃に設定したオーブンで3時間〜12時間インキュベートした。
(4) 溶液をMicrocon-10(分画分子量1万)に移して、遠心した(Hitachi CF-15R、12500rpm、30分、25℃)。
(5) ろ液の着色を目視で観察した。
【0052】
結果:
調製した色素結合PLLの外観写真を図4に示す。PBSを用いてろ過を繰り返した後でも着色していることから、色素がPLLに共有結合していることがわかる。
【0053】
ダニ抗原等を含むサンプルを添加しインキュベートした後の、ろ液の外観写真を図5及び6に示す。ダニ抗原を含むサンプルを添加した場合、ろ液の着色が認められた。反応時間が長くなると、目視による観察が可能になるということは、PLLがダニ抗原由来のプロテアーゼによって切断されていることを示している。一方PLLのかわりにPAAを用いた場合は、ろ液の着色は認められなかった。これはPAAはダニ抗原由来のプロテアーゼによって切断されないこと、切断されなければろ液が着色しないことを示している。
【0054】
以上から、ダニ抗原由来のプロテアーゼによりPLLが切断され、その結果遊離した色素が溶解している溶液をろ過し、ろ液に含まれる色素を検出することにより、ダニ抗原を検出できることが示された。
【0055】
(実施例3)ダニ抗原による遊離のポリリシンの切断試験2
実施例2の試験において、さらに反応時間の調査及び操作の簡略化を試みた。反応時間を1分〜4時間として評価した。また、PLLとして分子量の大きいものを使用した(分子量30万以上)。さらに、フィルターとして目の粗いものを使用した(分画分子量10万)。
【0056】
方法:
1. α-ポリ-L-リシン(PLL)への色素結合
(1) PLL(分子量 30万以上)の1%水溶液を調製した。
(2) Cy3 reactive dye(Cy3-NHS)(アマシャム・バイオサイエンス)を用いて、PLLに色素を導入した。
(3) 溶液をMicrocon-10(Millipore社)に移して、遠心によりろ過した(Hitachi CF-15R、12500rpm、30分、25℃)。ろ液が透明になるまでPBS溶液の添加と遠心ろ過を繰り返した。
【0057】
2. 評価用サンプルの調製
以下の(1)〜(3)のサンプルを調製し、試験を実施した。
(1) ダニ抗原(精製ダニ抗原 Der f1 、製造:アサヒビール(株)、販売:アサヒフードアンドヘルスケア(株))(100μg/ml、PBS、1%ラクトース)
(2) バッファー((1)をMicrocon-10でろ過してダニ抗原を除去したもの)。
【0058】
3. ダニ抗原検出試験
(1) 色素導入PLLを40μl計り取り、チューブに入れた。
(2) 上記2.で調製したサンプルをチューブに10μl添加した。
(3) 37℃に設定したオーブンで、1分〜4時間インキュベートした。
(4) 溶液をMicrocon-100(分画分子量100000 Da)に移して、遠心した(小型卓上遠心機、約10000rpm、1分、25℃)。
(5) ろ液の着色を目視で観察した。
※ 対照として、アサヒフードアンドヘルスケア製「ダニスキャン」でも試験を実施した。
【0059】
結果:
サンプルにおけるダニ抗原を「ダニスキャン」(アサヒフードアンドヘルスケア製)で検出した結果を図7に示す。2μgのダニ抗原を含むサンプルを滴下した場合、若干の汚染を示す結果となった。バッファーと、BSA溶液では、ダニ抗原は検出されなかった。
【0060】
1で調製した色素結合PLLの外観写真を図8に示す。
【0061】
試験後の外観写真を図9に、目視判定結果を図10に示す。PLLの分子量を高くして、Microconのフィルターを粗くすることにより、ろ液の着色が濃くなり、目視判定がより容易になった。実施例2では、切断された断片が、フィルターを通過しにくく、感度が若干低くなるという問題があったが、フィルターが粗くなったことにより、断片化したPLLが通過しやすくなったと考えられる。また、卓上小型遠心機を用いて1分間遠心するだけで、ろ過が可能になった。反応時間10分間で着色が観察され、反応時間30分以上で確実に目視判定が可能であることが示された(図10)。
【0062】
(実施例4)ダニ抗原による遊離のポリリシンの切断試験3
α-ポリ-L-リシン(PLL)に色素としての食紅(赤色2号)を導入し、ダニ抗原を添加した後、分子量分画用フィルター付きチューブでろ過した。
【0063】
方法:
1. α-ポリ-L-リシン(PLL)への色素結合
(1) PLL(M.W.30,000〜70,000)の1%水溶液を調製した。
(2) 色素として赤色2号(別名:アマランス、化学名:3-ヒドロキシ-4-(4-スルホナフチルアゾ)-2,7-ナフタレンジスルホン酸=三ナトリウム塩)をPBS中0.1 mg/mlで溶解した。
(3)(1)で調製した水溶液250μlと(2)で調製した水溶液250μlを混合し、室温で1時間放置した。
(4) 溶液をMicrocon-100(Millipore社)に移して、遠心によりろ過した(Hitachi CF-15R、12500rpm、10分、25℃)。ろ液が透明になるまで遠心ろ過を繰り返した。
(5)最後にPBSを加えて250μlに調製した。
【0064】
2. 評価用サンプルの調製
以下の(1)〜(3)のサンプルを調製し。
(1) ダニ抗原(精製ダニ抗原 Der f1、製造:アサヒビール(株)、販売:アサヒフードアンドヘルスケア(株))(100μg/ml、PBS、1%ラクトース)
(2) バッファー((1)をMicrocon-10でろ過してダニ抗原を除去したもの)
(3) PBS
【0065】
3. ダニ抗原検出試験
(1) 上記1で調製した色素結合PLLを40μl計り取り、チューブに入れた。
(2) 上記2で調製したサンプルをチューブに10μl添加した。
(3) 37℃に設定したオーブンで2時間インキュベートした。
(4) 溶液をMicrocon-100に移して、遠心した(Hitachi CF-15R、12500rpm、3分、25℃)。
(5) ろ液の着色を目視で観察した。
【0066】
結果:
方法1-(4)において、ろ過を繰り返した後でも着色が観察され、色素がPLLに結合していることが確認できた。
【0067】
サンプルを添加しインキュベートしてろ過した後の、ろ液の外観写真を図11に示す。ダニ抗原を含むサンプルを添加した場合にのみ、ろ液の着色が認められ、PLLがダニ抗原由来のプロテアーゼによって切断されていることが確認された。
【0068】
以上から、色素として食紅を導入したPLLを用いた場合も、本発明によりダニ抗原を検出できることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のダニ抗原検出方法の一実施形態を示す。
【図2】本発明のダニ抗原検出用試薬を固定化したガラスビーズの写真を示す。
【図3】本発明の固相固定化ダニ抗原検出用試薬とダニ抗原又はBSAを含むサンプルをチューブ内で反応させた後、液相から採取した溶液の写真を示す。
【図4】色素を結合させたポリリシンの水溶液を示す。
【図5】色素を結合したポリリシンの水溶液にサンプルを添加しインキュベート(3時間)した後のろ液の外観写真を示す。
【図6】色素を結合したポリリシンの水溶液にサンプルを添加しインキュベート(12時間)した後のろ液の外観写真を示す。
【図7】ダニ抗原をダニスキャン(アサヒフードアンドヘルスケア製)で検出した結果を示す。
【図8】色素を結合したポリリシンの水溶液を示す。
【図9】色素を結合したポリリシンの水溶液にサンプルを添加しインキュベートした後のろ液の外観写真を示す。
【図10】色素を結合したポリリシンの水溶液にサンプルを添加しインキュベートした後のろ液を目視で判定した結果を示す。×は目視での判定ができなかったこと(ダニ抗原の検出ができなかったこと)を示し、△は目視での判定が難しかったことを示し、○は目視で容易に判定できたことを示す。
【図11】色素として赤色2号を結合したポリリシンの水溶液にサンプルを添加しインキュベートした後のろ液の外観写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドを含むダニ抗原検出用試薬。
【請求項2】
水溶性色素が水溶性ポリペプチドの側鎖官能基を介して結合している、請求項1記載の試薬。
【請求項3】
水溶性ポリペプチドが遊離のアミノ基を有し、水溶性色素が該アミノ基を介してポリペプチドに結合している、請求項1又は2記載の試薬。
【請求項4】
水溶性ポリペプチドが重量平均分子量200〜1000万のポリペプチドである、請求項1〜3のいずれか1項記載の試薬。
【請求項5】
水溶性ポリペプチドがポリリシンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の試薬。
【請求項6】
水溶性色素が結合した水溶性ポリペプチドが固相に固定化されている、請求項1〜5のいずれか1項記載の試薬。
【請求項7】
被検試料中のダニ抗原を検出する方法であって、
被検試料と請求項1〜5のいずれか1項記載の試薬とを水性溶媒中で混合する工程、
混合液をろ過する工程、及び
ろ液に含まれる色素を検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項記載の試薬を含む、請求項7記載の方法を実施するためのキット。
【請求項9】
被検試料中のダニ抗原を検出する方法であって、
被検試料と請求項6記載の試薬とを水性溶媒中で混合する工程、
液相に含まれる色素を検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項10】
請求項6記載の試薬を含む、請求項9記載の方法を実施するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−29337(P2008−29337A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175265(P2007−175265)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】