説明

ダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置

【課題】種々の態様のダブルエマルション・マイクロカプセルを簡便にしかも容易に作製することができるダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置を提供する。
【解決手段】ダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、第1分散相(205)と分流した二方から供給される第1連続相(201)とが交差する四路交差部(208)と、この四路交差部(208)の下流である第2分散相と第2連続相とが交差する三路交差部(214)とが形成されるマイクロチャネルからなるダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成方法に係り、水溶液、油など親和性の低い複数の液体を用いた微小なマイクロスフェア、エマルション・マイクロカプセルを作製する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、エマルション・マイクロカプセルの生成方法及び装置について、既に下記特許文献1として、特許出願済みである。
【特許文献1】WO02/068104A1 第6−7頁 図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記先行技術をさらに発展させて、そのダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置に関して、交差するマイクロチャネルを組み合わせることにより、種々の態様のダブルエマルション・マイクロカプセルを簡便にしかも容易に作製することができるダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕ダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、第1分散相と分流した二方から供給される第1連続相とが交差する四路交差部と、この四路交差部の下流である第2分散相と第2連続相とが交差する三路交差部とが形成されるマイクロチャネルからなるダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップを具備することを特徴とする。
【0005】
〔2〕上記〔1〕記載のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、前記ダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップを、第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとに分離し、前記第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとを接続する接続流路とを具備することを特徴とする。
【0006】
〔3〕上記〔2〕記載のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、前記接続流路を水平方向に配置し、前記第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとを並設することを特徴とする。
【0007】
〔4〕上記〔3〕記載のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、前記接続流路を垂直方向に配置し、前記第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとを積層することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、交差するマイクロチャネルを組み合わせることにより、種々の態様のダブルエマルション・マイクロカプセルを簡便にしかも容易に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置は、第1分散相と分流した二方から供給される第1連続相とが交差する四路交差部と、この四路交差部の下流である第2分散相と第2連続相とが交差する三路交差部とが形成されるマイクロチャネルからなるダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップを具備する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の第1参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図、図2は図1のA部(第1の交差部)拡大図、図3は図1のB部(第2の交差部)拡大図である。
【0012】
これらの図において、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置は、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ100、第1連続相101の供給口102、その供給口102から第1連続相101が供給される第1のマイクロチャネル103、第1分散相104の供給口105、その供給口105から第1分散相104が供給される第2のマイクロチャネル106、第1と第2のマイクロチャネル103と106が交差する第1の交差部(T型交差部)107、第2分散相108が供給される第3のマイクロチャネル109、第2連続相110の供給口111、その第2連続相110が供給される第4のマイクロチャネル112、第3と第4のマイクロチャネル109と112が交差する第2の交差部(三路交差部)113、ダブルエマルション・マイクロカプセル114が供給されるマイクロチャネル115、ダブルエマルション・マイクロカプセル114の排出口116からなる。
【0013】
このように、この参考例では、三路マイクロチャネル107と113とを組み合わせることにより、ダブルエマルション・マイクロカプセル114を生成するようにしている。
【0014】
例えば、アクリル製の第1のマイクロチャネル103を用いる場合、第1連続相101に油、第1分散相104に水を用いることにより、第1の交差部107でW(水)/O(油)型エマルションが界面活性剤を用いずに生成される。勿論、第1連続相101側に親油性界面活性剤(例えば、レシチン)を添加すればさらに安定して生成できる。
【0015】
また、第2連続相110に親水性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム;SDS)を加えることで、第2の交差部113で水滴を含むW(水)/O(油)/W(水)型エマルション(ダブルエマルション)が安定して生成される。
【0016】
さらに、第1の交差部107と第2の交差部113では濡れ性の異なる液体が液滴となるので、その一方の交差部を含むマイクロチャネル表面の濡れ性を改質することにより、さらに容易に液滴を生成することができる。例えば、上記したアクリル製のマイクロチャネルを用いた場合に、第2の交差部113近傍を親水化処理すればW/O/W型ダブルエマルション生成が容易となり、逆に第1の交差部107近傍を親水化処理すれば、O/W/O型ダブルエマルション生成が容易となる。
【0017】
また、横方向に配置されるマイクロチャネル(106)などを複数個配置して、複数個の交差部を配置するようにしてもよい。
【0018】
図4は本発明の第1参考例の変形例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図、図5は図4のC部(第1の交差部)拡大図、図6は図4のD部(第2の交差部)拡大図である。
【0019】
これらの図において、150は第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、151は第1分散相、152はその第1分散相の供給口、153は第1分散相151を供給する第1のマイクロチャネル、154は第1連続相、155はその第1連続相154の供給口、156はその第1連続相154が供給される第2のマイクロチャネル、157は第1と第2のマイクロチャネル153と156とが交差する第1の交差部(T型交差部)、158は第2分散相、159はその第2分散相158が供給される第3のマイクロチャネル、160はその第2分散相の排出口、161は接続流路、170は第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、171は第2分散相の排出口160に接続流路161を介して接続される第2分散相の供給口、172は第2分散相158が供給される第4のマイクロチャネル、173は第2連続相、174は第2連続相の供給口、175は第2連続相173が供給される第5のマイクロチャネル、176は第4と第5のマイクロチャネル172と175が交差する第2の交差部(T型交差部)、177はダブルエマルション・マイクロカプセル、178はそのダブルエマルション・マイクロカプセル177の搬送マイクロチャネル、179はダブルエマルション・マイクロカプセル177の排出口である。
【0020】
この参考例では、第1の交差部(T型交差部)157を有する第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ150と第2の交差部(T型交差部)176を有する第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ170とを接続流路161で接続して、2つのT型マイクロチャネル157,176を組み合わせることにより、2段のT型マイクロチャネルを有するマイクロチャネルを容易に構築することができる。
【0021】
図7は本発明の第1実施例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図、図8は図7のE部(第1の交差部)拡大図、図9は図7のF部(第2の交差部)拡大図である。
【0022】
これらの図において、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置は、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ200、第1連続相201の供給口202、その供給口202から分流される、第1連続相201が供給される第1のマイクロチャネル203及び第2のマイクロチャネル204、第1分散相205の供給口206、その供給口206から第1分散相205が供給される第3のマイクロチャネル207、第1、第2のマイクロチャネル203,204と第3のマイクロチャネル207が交差する第1の交差部(十字型交差部)208、第2分散相209が供給される第4のマイクロチャネル210、第2連続相211の供給口212、その第2連続相211が供給される第5のマイクロチャネル213、第4と第5のマイクロチャネル210と213が交差する第2の交差部(T型交差部)214、ダブルエマルション・マイクロカプセル215が搬送されるマイクロチャネル216、ダブルエマルション・マイクロカプセル215の排出口217からなる。
【0023】
このように、この実施例では、十字型マイクロチャネル208とT字型マイクロチャネル214を組み合わせることによりダブルエマルション・マイクロカプセルを生成することができる。
【0024】
また、この実施例では、第1の交差部(十字型交差部)208と第2の交差部(T型交差部)214の型を入れ換え、第1の交差部にT型マイクロチャネル、第2の交差部に十字型マイクロチャネルを用いることも可能である。
【0025】
図10は本発明の第1実施例の変形例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図、図11は図10のG部(第1の交差部)拡大図、図12は図10のH部(第2の交差部)拡大図である。
【0026】
これらの図において、250は第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、251は第1連続相、252はその第1連続相251の供給口、253は供給口252から分流する第1連続相251が供給される第1のマイクロチャネル、254は供給口252から分流する第1連続相251が供給される第2のマイクロチャネル、255は第1分散相、256は第1分散相の供給口、257はその第1分散相が供給される第3のマイクロチャネル、258は第1、第2のマイクロチャネル253,254と、第3のマイクロチャネル257とが交差する第1の交差部(十字型交差部)、259は第2分散相、260はその第2分散相259が供給される第4のマイクロチャネル、261は第2分散相259の排出口、262は接続流路、270は第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、271は第2分散相259の排出口261に接続流路262を介して接続される第2分散相の供給口、272はその第2分散相259の供給口271に接続され、第2分散相259が供給される第5のマイクロチャネル、274は第2連続相273の供給口、275は第2連続相273が供給される第6のマイクロチャネル、276は第5と第6のマイクロチャネル272と275が交差する第2の交差部(T型交差部)、277はダブルエマルション・マイクロカプセル、278はそのダブルエマルション・マイクロカプセル277の搬送マイクロチャネル、279はダブルエマルション・マイクロカプセル277の排出口である。
【0027】
この実施例では、第1の交差部(十字型交差部)258を有する第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ250と第2の交差部(T型交差部)276を有する第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ270とを接続流路262で接続することにより、異なった態様の十字型マイクロチャネルとT型マイクロチャネルとを組み合わせたマイクロチャネルを容易に構築することができる。
【0028】
上記した図4と図10によれば、異なる材質のマイクロチャネルを用いても、接続流路161,262で接続することによって、ダブルエマルション・マイクロカプセルを生成することができる。
【0029】
例えば、第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ150,250をアクリル製、第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ170,270をガラス製にすることにより、W/O/W型エマルション・マイクロカプセルが生成できる。
【0030】
図13は本発明の第1実施例の更なる変形例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体構成図であり、図13(a)はその上面図、図13(b)は図13(a)のA−A線断面図である。
【0031】
これらの図において、280は第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、281は第1連続相、282はその第1連続相281の供給口、283は供給口282から分流する第1連続相281が供給される第1のマイクロチャネル、284は供給口282から分流する第1連続相281が供給される第2のマイクロチャネル、285は第1分散相、286は第1分散相285の供給口、287はその第1分散相285が供給される第3のマイクロチャネル、288は第1、第2、第3のマイクロチャネル283,284,287とが交差する第1の交差部(十字型交差部)、289は第2分散相、290はその第2分散相289が供給される第4のマイクロチャネル、291は第2分散相の排出口、292は接続流路、293は第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ280の下部に配置される第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、294は接続流路292に接続され、第2分散相289が供給される第5のマイクロチャネル、295は第2連続相、296は第2連続相295の供給口、297は第2連続相295が供給される第6のマイクロチャネル、298は第5、第6のマイクロチャネル294,297とが交差する第2の交差部(T型交差部)、299Aはダブルエマルション・マイクロカプセルの搬送マイクロチャネル、299Bはダブルエマルション・マイクロカプセルの排出口である。
【0032】
この実施例の場合は、上記したように、第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ280と第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ293とを上下に重ねるようにしている。
【0033】
また、図4と図10の場合は流路で横方向に接続した場合であるが、この図13の場合は上下に重ねた場合であり、図4と図10と同様に異なる材質のマイクロチャネルを用いてもよい。
【0034】
図14は本発明の第2参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【0035】
この図において、300はダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、301は第1連続相、302はその第1連続相301の供給口、303はその第1連続相301が供給される第1のマイクロチャネル、304は第1分散相(1)、305はその第1分散相(1)304の供給口、306はその第1分散相(1)304が供給される第2のマイクロチャネル、307は第1、第2のマイクロチャネル303と306とが交差する交差部(T型交差部)、308は交差部(T型交差部)307より下流の第2分散相(1)、309はその第2分散相(1)308が供給される第3のマイクロチャネル、310は第1分散相(2)、311は第1分散相(2)310の供給口、312はその第1分散相(2)310が供給される第4のマイクロチャネル、313は第3、第4のマイクロチャネル309と312とが交差する交差部(T型交差部)、314は交差部(T型交差部)313より下流の第2分散相(2)、315はその第2分散相(2)314が供給される第5のマイクロチャネル、316は第2連続相、317はその第2連続相316の供給口、318は第2連続相316が供給される第6のマイクロチャネル、319は第5、第6のマイクロチャネル315と318とが交差する交差部(T型交差部)、320は生成されるダブルエマルション・マイクロカプセル、321はダブルエマルション・マイクロカプセル320の搬送マイクロチャネル、322はそのダブルエマルション・マイクロカプセル320の排出口である。
【0036】
この参考例では、分散相の供給口を増やすようにしている。つまり、第1分散相の流量を増加させることにより、ダブルエマルション・マイクロカプセル内に含まれる液滴量を増やすようにしている。
【0037】
図15は本発明の第3参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【0038】
この図において、400はダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、401は第1連続相、402はその第1連続相401の供給口、403はその第1連続相401が供給される第1のマイクロチャネル、404は第1分散相、405はその第1分散相404の供給口、406はその第1分散相404が供給される第2のマイクロチャネル、407は第1、第2のマイクロチャネル403と406との交差部(第1T型交差部)、408は交差部(T型交差部)407より下流の第2分散相(1)、409はその第2分散相(1)408が供給される第3のマイクロチャネル、410はその第2分散相(1)408が供給される第3のマイクロチャネル409と第3のマイクロチャネル409の交差部(第2のT型交差部)、408Aは排出されない残りの第2分散相(2)、411は交差部410から排出される一部の第1連続相、412はその第1連続相411の排出用マイクロチャネル、413は第1連続相411の排出口、414は排出されない残りの第2分散相(1)408が供給される第4のマイクロチャネル、415は第2連続相、416はその第2連続相415の供給口、417は第2連続相415が供給される第5のマイクロチャネル、418は第4、第5のマイクロチャネル414と417とが交差する交差部(T型交差部)、419は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル、420は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル419の搬送マイクロチャネル、421は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル419の排出口である。
【0039】
この参考例でも、第2参考例と同様に、第1連続相の流量の比率を分散相に対して減少させることにより、ダブルエマルション・マイクロカプセル内に含まれる液滴量を増やすようにしている。
【0040】
図16は本発明の第4参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【0041】
この図において、500はダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、501は第1連続相、502はその第1連続相501の供給口、503はその供給口502から分流される第1連続相501が供給される第1のマイクロチャネル、504は供給口502から分流される第1連続相501が供給される第2のマイクロチャネル、505は第1分散相、506は第1分散相505の供給口、507はその第1分散相505が供給される第3のマイクロチャネル、508は第1、第2、第3のマイクロチャネル503,504,507とが交差する第1の交差部(十字型交差部)、509は第2分散相(1)、510はその第2分散相(1)509が供給される第4のマイクロチャネル、511は第2の交差部(十字型交差部)、512は第2分散相(1)509中の第1連続相501の一部が排出される第1の排出用マイクロチャネル、513は第1連続相501の第1の排出口、514は第1連続相501の一部が排出される第2の排出用マイクロチャネル、515は第1連続相501の排出口、516は第2の交差部511に接続される排出されない残りの第2分散相(1)509が供給される第5のマイクロチャネル、517は第1の第2連続相、518は第1の第2連続相517の供給口、519は第1の第2連続相517が供給される第6のマイクロチャネル、520は第2の第2連続相、521は第2の第2連続相520の供給口、522は第2の第2連続相520が供給される第7のマイクロチャネル、523は第3の交差部(十字型交差部)、524は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル、525は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル524の搬送マイクロチャネル、526は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル524の排出口である。
【0042】
図17は本発明の第5参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【0043】
この図において、600はダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、601は第1連続相、602はその第1連続相601の供給口、603は供給口602から分流される第1連続相601が供給される第1のマイクロチャネル、604は供給口602から分流される第1連続相601が供給される第2のマイクロチャネル、605は第1分散相、606は第1分散相605の供給口、607はその第1分散相605が供給される第3のマイクロチャネル、608は第1、第2、第3のマイクロチャネル603,604,607とが交差する第1の交差部(十字型交差部)、609は第2分散相、610はその第2分散相609が供給される第4のマイクロチャネル、611は第2の交差部(十字型交差部)、612は第2分散相609の一部が排出される第1の排出用マイクロチャネル、613は第2分散相609の第1の排出口、614は第2分散相609の一部が排出される第2の排出用マイクロチャネル、615は第2分散相609の第2の排出口、616は第2の交差部611に接続される排出されない残りの第2分散相609が供給される第5のマイクロチャネル、617は第2連続相、618は第2連続相617の供給口、619は第2連続相617が分流され供給される第6のマイクロチャネル、620は第2連続相617が分流され、供給される第7のマイクロチャネル、621は第3の交差部(十字型交差部)、622は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル、623は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル622の搬送マイクロチャネル、624は生成したダブルエマルション・マイクロカプセル622の排出口である。
【0044】
図18は本発明の実施例を示す生成されたW/O/W型ダブルエマルションを示す図であり、アクリル製十字型マイクロチャネル(分散相側40μm×40μm、連続相側100μm×100μm)とガラス製T型マイクロチャネル(分散相側40μm×40μm、連続相側100μm×100μm)によって生成されたダブルエマルション・マイクロカプセルの例である。流量は、第1分散相0.01ml/h、第1連続相0.5ml/h、第2連続相25ml/hである。
【0045】
図19は本発明の参考例の第1のダブルエマルション・マイクロカプセルの液滴径および内部に含まれる液滴数を制御するための装置の模式図である。
【0046】
この図において、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置は、ダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ700、第1連続相701の供給口702、その供給口702から第1連続相701が供給される第1のマイクロチャネル703、第1分散相704の供給口705、その供給口705から第1分散相704が供給される第2のマイクロチャネル706、その第1、第2のマイクロチャネル703と706が交差する第1の交差部(第1のT型マイクロチャネ707、第2分散相708が供給される第3のマイクロチャネル709、第2連続相710の供給口711、第2連続相710が供給される第4のマイクロチャネル712、その第3、第4のマイクロチャネル712と709が交差する第2の交差部(第2のT型マイクロチャネル)713、ダブルエマルション・マイクロカプセル714が供給される搬送マイクロチャネル715、ダブルエマルション・マイクロカプセル714の排出口716からなる。
【0047】
また、第1連続相701の供給口702の経路には第1の流量可変ポンプ723が、第1分散相704の供給口705の経路には第2の流量可変ポンプ724が、第2連続相710の供給口711の経路には第3の流量可変ポンプ725がそれぞれ接続されている。
【0048】
さらに、粒子径・生成数の測定装置726では、第1の交差部(第1のT型マイクロチャネル)707での粒子径・生成数の測定を、粒子径・生成数の測定装置727では、第2の交差部(第1のT型マイクロチャネル)713での粒子径・生成数の測定をそれぞれ行うようにしている。それらの粒子径・生成数の測定装置726,727からの情報はコントローラ722に取り込まれ、コンピュータ(PC)721によって予め設定された所定の粒子径・生成数になるように、第1の流量可変ポンプ723、第2の流量可変ポンプ724及び第3の流量可変ポンプ725が制御される。
【0049】
このように、図19は、ダブルエマルション・マイクロカプセル内部に含まれる液滴径および液滴数をカメラ、静電容量等で計測し、第1の流量可変ポンプ723、第2の流量可変ポンプ724を制御する。さらに、第2の交差部713においても液滴径および液滴数を計数して、第3の流量可変ポンプ725を制御する。
【0050】
図20は本発明の参考例の第2のダブルエマルション・マイクロカプセルの液滴径および内部に含まれる液滴数を制御するための装置の模式図である。
【0051】
この図において、800はダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ、801は第1連続相、802はその第1連続相801の供給口、803はその第1連続相801が供給される第1のマイクロチャネル、804は第1分散相、805はその第1分散相804の供給口、806はその第1分散相801が供給される第3のマイクロチャネル、807は第1、第2のマイクロチャネル803と806との第1の交差部(T型交差部)、808は第1の交差部807に接続される第1連続相801が供給される第3のマイクロチャネル、809は第2の交差部(T型交差部)、810はその第3のマイクロチャネル808から分岐して第1連続相801の一部が排出されるマイクロチャネル、811は第1連続相801の排出口、812は第2連続相、813は第2連続相812の供給口、814はその第2分散相812が供給される第5のマイクロチャネル、815は第3、第5のマイクロチャネル808と814との第3の交差部(T型交差部)、816は第3の交差部815より生成されるダブルエマルション・マイクロカプセル、817はそのダブルエマルション816の生成マイクロチャネル、818はそのダブルエマルション・マイクロカプセル816の排出口である。
【0052】
また、第1連続相801の供給口802の経路には第1の流量可変ポンプ823が、第1分散相804の供給口805の経路には第2の流量可変ポンプ824が、第2連続相812の供給口813の経路には第3の流量可変ポンプ825が、第1連続相の排出口811の経路には流量可変バルブ828がそれぞれ接続されている。
【0053】
さらに、粒子径・生成数の測定装置826では、第1の交差部(T型交差部)807での粒子径・生成数の測定を、粒子径・生成数の測定装置827では、第3の交差部(T型交差部)815での粒子径・生成数の測定をそれぞれ行うようにしている。それらの粒子径・生成数の測定装置826,827からの情報はコントローラ822に取り込まれ、コンピュータ(PC)821によって予め設定された所定の粒子径・生成数になるように、第1の流量可変ポンプ823、第2の流量可変ポンプ824及び第3の流量可変ポンプ825、流量可変バルブ828が制御される。
【0054】
上述した図20は、ダブルエマルション・マイクロカプセル内部に含まれる液滴数をさらに精密に制御する場合である。液滴数の制御は、第1連続相を流量可変バルブ828を通じて排出することにより、さらに、精密な制御を行う。第3の交差部815において液滴径及び液滴数を計数して、第3の流量可変ポンプ825を制御するが、場合によっては第1及び第2流量可変ポンプ823,824も制御する。
【0055】
上記した各実施例においては、ダブルエマルション・マイクロカプセルが排出されるマイクロチャネルは1つであった。したがって、量産化のためには、個別のマイクロチャネル装置を複数個設ける必要がある。
【0056】
これを回避して、量産化を図るために、以下のように構成する。
【0057】
図21は本発明の参考例の第1の量産型のダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置(デバイス)の模式図である。
【0058】
この図において、900はダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置、901,902は第1連続相の供給口、903は分散相の供給口、904,905は第1の交差部、906,907は第2連続相の供給口、908,909は第2の交差部、910はダブルエマルション・マイクロカプセル回収口である。
【0059】
図22は本発明の参考例の第2の量産型のダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置(デバイス)の模式図である。
【0060】
この図において、950はダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置、951は第1連続相の供給口、952は分散相の供給口、953,954は第1の交差部、955,956は第2連続相の供給口、957,958は第2の交差部、959はダブルエマルエマルション・マイクロカプセル回収口である。
【0061】
なお、上記実施例において、T型交差部は三路交差部、十字型交差部は四路交差部の一例として示したに過ぎないものである。
【0062】
本発明は、交差するマイクロチャネルを組み合わせることにより、種々の態様のダブルエマルション・マイクロカプセルを簡便にしかも容易に作製することができる。例えば、水溶液、油など親和性の低い複数の液体を用いて微小なマイクロスフェア、エマルション・マイクロカプセルを作製することができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置は、種々の態様のダブルエマルション・マイクロカプセルを簡便にしかも容易に作製するのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図2】図1のA部(第1の交差部)拡大図である。
【図3】図1のB部(第2の交差部)拡大図である。
【図4】本発明の第1参考例の変形例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図5】図4のC部(第1の交差部)拡大図である。
【図6】図4のD部(第2の交差部)拡大図である。
【図7】本発明の第1実施例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図8】図7のE部(第1の交差部)拡大図である。
【図9】図7のF部(第2の交差部)拡大図である。
【図10】本発明の第1実施例の変形例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図11】図10のG部(第1の交差部)拡大図である。
【図12】図10のH部(第2の交差部)拡大図である。
【図13】本発明の第1実施例の更なる変形例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体構成図である。
【図14】本発明の第2参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図15】本発明の第3参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図16】本発明の第4参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図17】本発明の第5参考例を示すダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置の全体模式図である。
【図18】本発明の実施例を示す生成されたW/O/W型ダブルエマルション・マイクロカプセルを示す図である。
【図19】本発明の参考例の第1のダブルエマルション・マイクロカプセルの液滴径および内部に含まれる液滴数を制御するための装置の模式図である。
【図20】本発明の参考例の第2のダブルエマルション・マイクロカプセルの液滴径および内部に含まれる液滴数をさらに精密に制御するための装置の模式図である。
【図21】本発明の参考例の第1の量産型のダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置(デバイス)の模式図である。
【図22】本発明の参考例の第2の量産型のダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置(デバイス)の模式図である。
【符号の説明】
【0066】
100,200,300,400,500,600,700,800 ダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ
101,154,201,251,281,301,308,401,408,411,501,601,701,801 第1連続相
102,155,202,252,282,302,402,502,602,702,802,901,902,951 第1連続相の供給口
103,106,109,112,115,153,156,158,172,175,178,203,204,207,210,213,216,253,254,257,260,272,275,278,283,284,287,290,294,297,299A,303,306,309,312,315,318,321,403,406,409,412,414,417,420,503,504,507,510,512,514,516,519,522,525,603,604,607,610,612,614,616,619,620,623,703,706,709,712,715,803,806,808,810,814,817 マイクロチャネル
104,151,205,255,285,304,404,505,605,704,804 第1分散相
105,152,206,256,286,305,405,506,606,705,805 第1分散相の供給口
107,157,208,258,288,508,608,707,807,904,905,953,954 第1の交差部
108,159,209,259,289,310,408A,509,609,708 第2分散相
110,173,211,273,295,316,415,517,520,617,710,812 第2連続相
111,174,212,274,296,317,416,518,521,618,711,813,906,907,955,956 第2連続相の供給口
113,176,214,276,298,511,611,713,809,908,909,957,958 第2の交差部
114,177,215,277,320,419,524,622,714 ダブルエマルション・マイクロカプセル
116,179,217,279,299B,322,421,526,624,716 ダブルエマルション・マイクロカプセルの排出口
150,250,280 第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ
160,261,291 第2分散相の排出口
161,262,292 接続流路
170,270,293 第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップ
171,271,311 第2分散相の供給口
307,313,319,407,408,410,418 交差部
413,811 第1連続相の排出口
513 第1連続相の第1の排出口
515 第1連続相の第2の排出口
523,621,815 第3の交差部
613 第1連続相の第1の排出口
615 第1連続相の第2の排出口
721,821 コンピュータ
722,822 コントローラ
723,823 第1の流量可変ポンプ
724,824 第2の流量可変ポンプ
725,825 第3の流量可変ポンプ
726,727,826,827 粒子径・生成数の測定装置
816 ダブルエマルション・マイクロカプセル
818 ダブルエマルション・マイクロカプセルの排出口
828 流量可変バルブ
900,950 ダブルエマルション・マイクロカプセルの生成装置
903,952 第1分散相の供給口
910,959 ダブルエマルション・マイクロカプセル回収口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分散相と分流した二方から供給される第1連続相とが交差する四路交差部と、該四路交差部の下流である第2分散相と第2連続相とが交差する三路交差部とが形成されるマイクロチャネルからなるダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップを具備することを特徴とするダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置。
【請求項2】
請求項1記載のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、前記ダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップを、第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとに分離し、前記第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとを接続する接続流路とを具備することを特徴とするダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置。
【請求項3】
請求項2記載のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、前記接続流路を水平方向に配置し、前記第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとを並設することを特徴とするダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置。
【請求項4】
請求項3記載のダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置において、前記接続流路を垂直方向に配置し、前記第1のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップと第2のダブルエマルション・マイクロカプセル生成チップとを積層することを特徴とするダブルエマルション・マイクロカプセル生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−44692(P2007−44692A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262654(P2006−262654)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【分割の表示】特願2003−27544(P2003−27544)の分割
【原出願日】平成15年2月4日(2003.2.4)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】