説明

ダム湖の堆積物の脱水処理方法およびそのシステム

【課題】安定的かつ効率的に脱水処理を行うことができるダム湖の堆積物の脱水処理方法およびそのシステムを提供する。
【解決手段】ダム湖底の泥状堆積物を採取して脱水処理する方法であって、上記泥状堆積物を採取する採泥ステップと、上記採取された泥状堆積物を砂と、砂より小径の細粒分と水との混合物である泥水とに分離する分離ステップと、分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し濃度調整泥水を生成する濃度調整ステップと、分離された砂と濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成する混合ステップと、調整脱水原液をスクリュウプレス5により脱水する脱水ステップと有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダム湖の堆積物を安定的かつ効率的に脱水処理することができる脱水処理方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダム湖の堆積物の浚渫や、トンネルの掘削などにともなって発生する水、粘土、シルト、砂、礫などの混合物(以下、「泥状物」という)を有効活用するための技術のひとつに、脱水技術がある。中でもスクリュウプレスなどの機械を用いた機械脱水は、泥状物の減容化や強度増加を図り、運搬や有効活用を行いやすいように処理する技術である。スクリュウプレスを用いて泥状物の脱水処理を行う技術として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1は、浚渫によって発生した汚泥のリサイクル処理に関する技術であって、高濃度浚渫船により浚渫した泥状物を、まずふるいにかけて礫や夾雑物を除去し、次に凝集剤と反応させてフロック(凝集泥状物)を生成させた脱水原液とした上で、スクリュウプレスにより脱水処理して排水を分離し脱水ケーキとなす。さらにこの脱水ケーキに固化剤を添加混合して粒状土となす方法を開示している。
【0004】
スクリュウプレスは一般的に、排水の透過性を有する円筒型あるいは円錐型の外筒(スクリーン)と、羽根が螺旋状に取り付けられたスクリュウ軸とから構成され、スクリュウ軸は外筒の両端面に回転自在に軸支されている。スクリュウ軸と外筒との間の空間の容積は、スクリュウ軸の軸径が脱水原液の投入口側から脱水ケーキの出口側に向かって徐々に大きくなるか、あるいは外筒の径が徐々に縮小することによって徐々に縮小する。その結果、泥状物は、羽根により出口側に送られながら徐々に強い圧力で圧搾され、その排水を外筒を通して排出しつつ、最終的に脱水ケーキとなってケーキ出口から排出される。
【特許文献1】特開2002−192200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術にあっては、スクリュウプレスを既定の仕様および運転条件(スクリュウ軸の回転速度など)で運転させる一方で、採取される泥状物は場所などによってその性状がまちまちであるため、泥状物から生成される脱水原液を安定的に脱水処理することができない、および効率的に行うことができないといった課題があった。
【0006】
具体的には、脱水原液中における砂の含有割合や、泥水(脱水原液から砂を除いた成分、すなわち水、粘土、シルトからなる混合物)の濃度すなわち泥水中に含まれる細粒分(粘土、シルト)の割合などがまちまちであるため、例えば、脱水原液中の砂の含有割合が多く(泥水の含有割合が低く)泥水濃度も高いときは回転速度が低すぎてスクリュウプレス内で目詰まり(脱水処理の不安定)が生じ、他方、脱水原液中の砂の含有割合が低く(泥水の含有割合が高く)泥水濃度も低いときは回転速度が高すぎて脱水が不完全(脱水処理の不効率)となる場合があった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、安定的かつ効率的に脱水処理を行うことができるダム湖の堆積物の脱水処理方法およびそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるダム湖の堆積物の脱水処理方法は、ダム湖底の泥状堆積物を採取して脱水処理する方法であって、上記泥状堆積物を採取する採泥ステップと、上記採取された泥状堆積物を砂と、砂より小径の細粒分と水との混合物である泥水とに分離する分離ステップと、該分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し濃度調整泥水を生成する濃度調整ステップと、上記分離された砂と上記濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成する混合ステップと、該調整脱水原液をスクリュウプレスにより脱水する脱水ステップと有することを特徴とする。
【0009】
また、前記採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、砂の含有比率が高い領域の泥状堆積物と、細粒分の含有比率が高い領域の泥状堆積物とを、交互に採取することを特徴とする。
【0010】
また、前記採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、砂の含有比率が高い領域の泥状堆積物の採取から開始することを特徴とする。
【0011】
また、前記採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、表層から深層に向けて順次行うことを特徴とする。
【0012】
また、前記濃度調整ステップにおける前記濃度調整泥水の生成は、泥水の比重に基づき行うことを特徴とする。
【0013】
また、前記混合ステップにおける前記調整脱水原液の生成は、前記分離された砂と前記濃度調整泥水との混合物の比重に基づき行うことを特徴とする。
【0014】
また、前記脱水ステップにおいて排出された排水を凝集沈殿させ凝集泥水を取り出す凝集分離ステップを有し、上記凝集泥水を前記分離泥水に混合することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるダム湖の堆積物の脱水処理システムは、ダム湖底の泥状堆積物を採取して脱水処理するシステムであって、ダム湖内に移動可能に設けられダム湖底の泥状堆積物を採取する採泥手段と、該採泥手段からの泥状堆積物を砂と、砂より小径の細粒分と水との混合物である泥水とに分離する分離部と、該分離部で分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し濃度調整泥水を生成する濃度調整部と、上記分離部で分離された砂と上記濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成する混合部と、該調整脱水原液を脱水するスクリュウプレスとを有することを特徴とする。
【0016】
また、前記濃度調整部は、前記分離部で分離された分離泥水を受け入れる貯留槽と、該貯留槽に希釈水を供給する希釈水供給手段と、当該貯留槽に高濃度泥水を供給する高濃度泥水供給手段と、当該貯留槽内の泥水の濃度に応じ、該泥水があらかじめ決められた濃度となるよう上記希釈水供給手段および上記高濃度泥水供給手段を制御する濃度調整制御部とを有することを特徴とする。
【0017】
また、前記スクリュウプレスにおける前記調整脱水原液の脱水時に排出された排水を凝集沈殿させ凝集泥水を取り出す凝集泥水生成部を有し、該凝集泥水が前記高濃度泥水であることを特徴とする。
【0018】
また、前記濃度調整部は、前記貯留槽内の泥水を前記分離部に返送する泥水返送手段と、上記貯留槽内の泥水量に応じ、上記泥水返送手段を制御する泥水量制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかるダム湖の堆積物の脱水処理方法およびそのシステムにあっては、安定的かつ効率的に脱水処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明にかかるダム湖の堆積物の脱水処理方法およびそのシステムの好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかるダム湖の堆積物の脱水処理システム1は基本的には、図1および図2に示すように、分離部2と、濃度調整部3と、混合部4と、スクリュウプレス5とから主に構成される。なお、本明細書および特許請求の範囲などにおいて「堆積物」および「泥状堆積物」とは、河川からの流入などによってダム湖底に堆積した泥状の物質であって、水、粘土、シルト、砂、礫などを含む混合物を指す。また、「泥水」とは、泥状堆積物から砂や礫を除いた成分、すなわち水と細粒分(粘土およびシルト)からなる混合物を指す。
【0021】
ダム湖Dでは、図2に示すように、ダム湖内を移動可能な浚渫船(図示省略)とその採泥パイプ101からなる採泥手段100により、ダム湖底の泥状堆積物が採取され、分離部2へと送られる。泥状堆積物には、礫、砂、細粒分などが含まれており、一般的にそれらの粒子は、その性状(質量、比重、粒度など)に従って複数の領域に分かれて分布している。特に粒度について見ると、やはり一般的にダム湖底の泥状堆積物は一定の粒度分布を示す。図示例にあっては、泥状堆積物の表層から準深層までは、河川の上流部、中流部、およびダム堤体102に近い下流部の3つの領域A、B、Cに分かれて分布しており、領域Aの泥状堆積物は砂礫(礫55%、砂30%、細粒分15%)、領域Bの泥状堆積物は砂質土(礫5%、砂70%、細粒分25%)、領域Cの泥状堆積物はシルト質粘土(砂20%、細粒分80%)とそれぞれ呼ばれる粒度構成をなしている。泥状堆積物の最深層には、湖底の全域にわたって河床礫Gが分布している。特に、泥状堆積物中の砂と細粒分に注目すると、上流部である領域Aは砂の含有比率が高く、下流部である領域Cは細粒分の含有比率が高い。中流部の領域Bは、砂と細粒分の含有比率がともに中程度である。
【0022】
また、各領域A〜Cの泥状堆積物は、採取作業の手順などによってその堆積状態、すなわち粒度分布が崩れてしまうおそれがある。具体的には例えば、領域Aおよび領域Bの泥状堆積物領域を全く採取せずに、領域Cの泥状堆積物を深層まで採取してしまうと、重量と河川の流れの作用で領域Aおよび領域Bの泥状堆積物が領域Cの泥状堆積物を除去した部分に崩落してきてしまい、湖底の堆積物全体の粒度分布が変化してしまうので注意が必要となる。
【0023】
分離部2には、採泥手段100により採取された泥状堆積物を礫と砂と泥水とに分離する振動ふるい21が設けられている。ダム湖Dで採取された泥状堆積物が送られてきて、振動ふるい21の受け入れ口22に投入される。振動ふるい21では、投入された泥状堆積物から礫、および砂が分離される。泥状堆積物からこれら礫と砂とが分離された残りの混合物、すなわち分離泥水は、振動ふるい21の泥水出口23からポンプP1によりサイクロン分級機24に投入されて遠心分離された後、濃度調整部3の貯留槽31に送られる。サイクロン分級機24では、遠心分離により壁面に付着した粒子を再度振動ふるい21へと戻すことによって、分離泥水中に残存する礫や砂を、より確実に分離泥水から除去する。本図示例にあっては、径が3mm以上の粒子を礫、径が74μm以上3mm未満の粒子を砂、74μm未満の細粒と水からなる混合物を泥水と分類している。
【0024】
分離部2において分離された礫と砂とは、土砂ピット6に蓄積される。土砂ピット6では、礫は礫置き場61、砂は砂置き場62に蓄積され、このうち砂は随時バックホー7およびブルドーザー8などにより運び出されて、図示しないベルトコンベアーやロードセルなどを経由して、後段の混合部4へと送られる。
【0025】
後段の混合部4では、後述するように、砂置き場62からの砂と貯留槽31からの濃度調整泥水とが混合され調整脱水原液が生成されるが、この調整脱水原液の生成がスムーズに行われる場合は、砂置き場62から砂がスムーズに運び出されてゆくため、砂置き場62に砂があまり大量に蓄積されることがなく、砂置き場62は比較的小さい面積で済む。また、砂置き場62に山積される砂の量があまり大量とならなければ、バックホー7などによる砂の取り扱いも容易となる。
【0026】
濃度調整部3には、貯留槽31が設けられている。貯留槽31には、分離部2で分離された分離泥水が投入されその濃度が調節される。貯留槽31には、希釈水供給手段32と高濃度泥水供給手段33とが接続されており、貯留槽31内の泥水の濃度を薄める場合には希釈水供給手段32から希釈水が供給され、濃度を高める場合には高濃度泥水供給手段33から高濃度泥水が供給され、最終的に、あらかじめ決められた濃度を有する濃度調整泥水が生成される。以上のような、泥水の濃度調整に関する各部の動作は、濃度調整制御部34によって制御される。図示例にあっては、濃度調整制御部34は、第1制御部39の一部として構成されている。
【0027】
ここで、あらかじめ決められた濃度とは、本脱水処理システム1において使用されるスクリュウプレス5の仕様(例えばスクリュウプレス5の外筒とスクリュウ軸との間の容積など)、およびスクリュウプレス5の運転条件の一つであるスクリュウ軸の回転速度に応じて決定される、最適な泥水濃度(泥水中の、粘土やシルトなど細粒分の含有率)のことであって、その値は前もって第1制御部34にデータとして入力されている。
【0028】
また、貯留槽31には貯留槽31内の泥水(濃度調整済みの場合は濃度調整泥水)を吐出するための吐出管35と吐出ポンプP2が設けられている。これら泥水、あるいは濃度調整泥水の吐出および搬送に関する各部の動作は、後述する泥水量制御部38によって制御される。
【0029】
また、貯留槽31には比重測定器36が接続されており、貯留槽31内の泥水の濃度調整は、当該泥水の比重に基づき実行される。具体的には、比重測定器36において測定された泥水比重測定値が、泥水の濃度調整制御を実行する濃度調整制御部34へと出力され、濃度調整制御部34では、前もって入力された泥水の比重と泥水濃度との関連を示すグラフのデータに基づいて、入力された泥水比重測定値から現在の泥水濃度を判断する。そして、現在の泥水濃度があらかじめ決められた濃度よりも濃い場合には、希釈水供給手段32のポンプP3が作動し貯留槽31に希釈水が供給され、あるいは現在の泥水濃度があらかじめ決められた濃度よりも薄い場合には、高濃度泥水供給手段33のポンプP4が作動し貯留槽31に高濃度泥水が供給されて、貯留槽31内の泥水があらかじめ決められた濃度となるよう調整され、最終的に、濃度調整泥水となる。
【0030】
また、本実施形態における濃度調整部3には、貯留槽31内の泥水量の調節を行うために、泥水返送手段37と、泥水量制御部38とが設けられている。泥水量制御部38は、図示例にあっては、第1制御部39の一部として構成されている。すなわち図示例にあっては、第1制御部39は上述の濃度調整制御部34と泥水量制御部38とを含んでいる。泥水返送手段37は、貯留槽31の吐出管35から分岐させ、振動ふるい21の受け入れ口22まで接続された泥水返送管37aと、泥水返送管37aの中途に設けられた開閉制御可能なバルブV1と、貯留槽31に設けられた泥水量測定器37bなどから構成され、貯留槽31内の泥水量が基準値を超えてしまうような場合には、この泥水返送手段37を介して適宜な量の泥水を、分離部2の振動ふるい21へと返送する。具体的には、まず泥水量測定器37bにおいて測定された泥水量測定値が泥水量制御部38へと出力され、泥水量制御部38で泥水量測定値が基準値以上に達したと判断された場合、泥水量制御部38では、バルブV1を開放するとともに、後述する濃度調整泥水搬送管9a、9bの中途に設けられたバルブV2、V3を閉止させた上で、貯留槽31の吐出ポンプP2を作動させる。その結果、貯留槽31内の泥水が振動ふるい21への受け入れ口22へと返送される。
【0031】
泥水量制御部38は、あらかじめ決められた期間、泥水を返送した後自動的に泥水の返送を終了する。あるいは、泥水量測定器37bから出力される泥水量測定値があらかじめ決められた一定値まで低下したことをもって返送を終了することとしてもよい。
【0032】
また、貯留槽31の吐出管35には、後段の混合部4へ濃度調整泥水を送るための濃度調整泥水搬送管9a、9bが接続されている。濃度調整泥水搬送管9a、9bはそれぞれ後述する混合部4の混合槽41a、41bに接続されており、それぞれの中途には開閉制御可能なバルブV2、V3が設けられている。上述の泥水量制御部38において、比重測定器36から出力された泥水比重測定値に基づき、濃度調整泥水が生成されたと判断された場合には、当該濃度調整泥水を貯留槽31から混合部4へと搬送するために、バルブV2、V3を開放するとともに、泥水返送手段37のバルブV1を閉止させた上で、吐出ポンプP2を作動させる。その結果、貯留槽31内で生成された濃度調整泥水が混合部4へと搬送される。
【0033】
後段の混合部4では、後述するように、砂置き場62からの砂と貯留槽31からの濃度調整泥水とが混合され調整脱水原液が生成されるが、この調整脱水原液の生成がスムーズに行われる場合は、貯留槽31から濃度調整泥水がスムーズに送られてゆくため、貯留槽31に泥水があまり大量に蓄積されることがなく、貯留槽31や貯留槽31に接続される配管などを比較的小さいサイズに設計することが可能となる。
【0034】
混合部4は、土砂ピット6の砂置き場62から運ばれる砂を受け入れるベルトコンベアー42と、このベルトコンベアーに並列に接続された2つの混合槽41a、41bなどから構成される。正逆反転可能なベルトコンベアー42の動作は、第2制御部43により制御されて、受け入れた砂を混合槽41aあるいは混合槽41bへと選択的に投入する。また各混合槽41a、41bは、上述のように、泥水を貯留槽31から受け入れるための濃度調整泥水搬送管9a、9bに接続されている。各混合槽41a、41b内では、砂と泥水とがあらかじめ決められた割合で混合され、最終的に後段のスクリュウプレス5で脱水処理される調整脱水原液が生成される。
【0035】
ここで、あらかじめ決められた砂の含有割合(=砂と濃度調整泥水との混合割合)とは、本脱水処理システム1において使用されるスクリュウプレス5の仕様(例えばスクリュウプレス5の外筒とスクリュウ軸との間の容積など)、およびスクリュウプレス5の運転条件の1つであるスクリュウ軸の回転速度に応じて決定される、混合物中における砂の最適な含有割合であって、その値は前もって第2制御部43にデータとして入力されている。
【0036】
混合槽41a、41bにはそれぞれ比重測定器44a、44bが接続されており、混合槽41a、41b内の砂と濃度調整泥水との混合物(以下、「混合物」という)の調整は、当該混合物の比重に基づき実行される。具体的には、比重測定器44a、44bにおいて測定された混合物比重測定値が、混合物の混合割合を調整するためにベルトコンベアーの動作を制御する第2制御部43へと出力され、第2制御部43では、前もって入力された混合物の比重と混合物の混合割合(=混合物中の砂の含有割合)との関連を示すグラフのデータに基づいて、入力された混合物比重測定値から現在の砂の含有割合を判断する。そして、この現在の砂の含有割合に基づきベルトコンベアーを正転あるいは逆転させ、ベルトコンベアー上の砂が混合槽41aあるいは混合槽41bへと投入されて、各混合槽41a、41b内の混合物があらかじめ決められた砂の含有割合となるように調整され、最終的に、各混合槽41a、41bにおいて調整脱水原液が生成される。
【0037】
混合部4に、前段からの砂と濃度調整泥水とが偏りなく投入される場合には(必ずしも両者がともに連続的に投入される必要はなく、交互に、それぞれ混合に適切な量が投入されてもよい)、調整脱水原液がスムーズに生成されて後段へ送ることが可能となる。またその場合、各混合槽41a、41bには、砂と濃度調整泥水のどちらか一方のみが先行して大量に蓄積されるおそれがないため、比較的小さいサイズに設計することが可能となる。
【0038】
混合部4において生成された調整脱水原液は、パドル型反応器10に送られ、ここでアニオンやカチオンなどの適宜な1種ないし複数種の凝集剤11と反応させてフロックを生成させ、調整脱水原液中の粒子がスクリュウプレス5の外筒から排出されにくいよう調整した後、スクリュウプレス5に投入される。
【0039】
スクリュウプレス5は、排水の透過性を有する円筒型あるいは円錐型の外筒(スクリーン)と、羽根が螺旋状に取り付けられたスクリュウ軸とから構成され、スクリュウ軸は外筒の両端面に回転自在に軸支されている。スクリュウ軸と外筒との間の空間の容積は、スクリュウ軸の軸径が調整脱水原液の投入口51側から脱水ケーキの出口52側に向かって徐々に大きくなるか、あるいは外筒の径が徐々に縮小することによって徐々に縮小する。その結果、調整脱水原液は、羽根により出口52側に送られながら徐々に強い圧力で圧搾され、その排水を外筒を通して排出しつつ、最終的に脱水ケーキとなってケーキ出口52から排出される。
【0040】
スクリュウプレス5の後段には、凝集泥水生成部12としてのシックナー12a、およびベルトコンベアー13を介してスラッジ置き場14が設けられている。スラッジ置き場14には脱水ケーキが蓄積される。
【0041】
シックナー12aでは、スクリュウプレス5の外筒から排出された排水を受け入れ、ポリ塩化ナトリウム(PAC)や有機高分子系凝集剤などの適宜な1種ないし複数種の凝集剤15により凝集処理を施す。その結果、排水中に若干残存する粘土やシリカなどの細粒分が凝集沈殿するので、この沈殿を含む液体をシックナー12a下部の吐出口12bから取り出す。図示例にあっては、この液体(凝集泥水)は、濃度調整部3において生成された濃度調整泥水よりも濃度の高い泥水であり、また、シックナーの吐出口12bは高濃度泥水供給手段33に接続されていて、この凝集泥水を濃度調整部3の高濃度泥水供給手段33において供給される高濃度泥水として使用する。すなわち、貯留槽31内の泥水の濃度を濃くする場合に、当該泥水に混合する。なお、シックナー12aにおける凝集処理の残余分である上澄み液は、ダム湖Dに戻すなど適宜放流される。
【0042】
次に、このようなダム湖の堆積物の脱水処理方法について、上記脱水処理システム1を例にとって説明する。まず、ダム湖Dにおいて、採泥ステップが行われ、採泥手段により湖底の泥状堆積物が採取される。図示例にあっては、特に泥状堆積物の粒度分布に着目し、図2に丸付き数字で1→2→3と示すように、最初に砂の含有比率が高い領域Aの泥状堆積物を採取し、次に細粒分の含有比率が高い領域Cの泥状堆積物を採取するというように、砂の含有比率が高い領域Aと細粒分の含有比率が高い領域Cとから交互に採取し、最後に砂と細粒分の含有比率がともに中程度である、中流域の領域Bの泥状堆積物を採取する。
【0043】
さらに、本実施形態にあっては、最初に領域Aの泥状堆積物を全て採取してしまうのではなく、表層から深層に向けて順次行う。具体的には、まず表層の泥状堆積物につき、領域A→領域C→領域Bと採取する。その後、中層の泥状堆積物につき、やはり3領域を同順で採取し、最後に深層の泥状物につき同様に3領域を同順で採取する。本実施形態にあっては、最深層の河床礫Gは採取しない。なお、必ずしも本実施形態のように表層、中層、深層と3層に分ける分け方に限定されるわけはなく、より多くの層に分けた上で順次表層から深層に向けて採取することとしてもよい。
【0044】
ダム湖から採取された泥状堆積物は、順次、分離部2の振動ふるい21の受け入れ口22に投入されて、分離ステップが行われる。すなわち、振動ふるい21にてふるい分けされ、礫、砂、およびそれ以外の泥水とが分離される。このうち、礫と砂は、土砂ピット6の礫置き場61、砂置き場62にそれぞれ蓄積される。分離された分離泥水は、サイクロン分級機24において遠心分離され、分離された粒子が再度振動ふるい21に戻される。
【0045】
次いで、サイクロン分級機24を通過した分離泥水は、濃度調整部3の貯留槽31に投入され、あらかじめ決められた濃度に調整される。この濃度調整部3において、濃度調整ステップが行われる。すなわち、貯留槽31内の泥水の濃度が、あらかじめ決められた濃度よりも濃い場合には、希釈水供給手段32から希釈水が供給され、あらかじめ決められた濃度よりも薄い場合には、シックナー12aの吐出口12bに接続された高濃度泥水供給手段33から高濃度泥水である凝集泥水が供給される。
【0046】
このような泥水の濃度調整は、貯留槽31内の泥水の比重に基づき行われる。また、希釈水供給手段32や高濃度泥水供給手段33の動作は、第1制御部39に含まれる濃度調整制御部34により制御される。具体的には、濃度調整制御部34は、貯留槽31に接続された比重測定器36から出力された泥水比重測定値に基づいてまず現在の泥水の濃度を決定し、次いでその濃度をあらかじめ決められた濃度と比較し、現在の泥水の濃度を濃くするべきか薄くするべきかを判断する。そして濃くする場合には、高濃度泥水供給手段33のポンプP4を作動させて凝集泥水を供給し、薄くする場合には希釈水供給手段32のポンプP3を作動させて希釈水を供給する。そして現在の泥水の濃度が、あらかじめ決められた濃度と一致し、濃度調整泥水が生成されたところでそれらの供給を停止する。
【0047】
ここで、貯留槽31内の泥水量が基準値を超え、多くなりすぎてしまいそうな場合には、泥水返送手段37により適宜な量の泥水が分離部2に返送される。すなわち、第1制御部39に含まれる泥水量制御部38では、貯留槽31に接続された泥水量測定器37bから出力された泥水量測定値に基づいてまず現在の泥水の量を決定し、次いでその量をあらかじめ決められた基準値と比較し、現在の泥水の量を減少させるべきか否かを判断する。そして減少させると判断した場合には、泥水返送管37aの中途に設けられたバルブV1を開放するとともに、濃度調整泥水搬送管9a、9bの中途に設けられたバルブV2、V3を閉止させた上で、貯留槽31の吐出ポンプP2を作動させ、所定の期間が経過した後、あるいは泥水量測定値が所定の値まで低下した時点で返送を停止する。その結果、適宜な量の泥水が泥水返送管37aを介して振動ふるい21の受け入れ口22へと返送される。
あらかじめ決められた濃度と一致する濃度の泥水、すなわち濃度調整泥水が生成された場合には、濃度調整泥水搬送管9a、9bを介し、混合部4の混合槽41a、41bに搬送される。その際、泥水量制御部38は、濃度調整泥水搬送管9a、9bの中途に設けられたバルブV2、V3を開放するとともに、泥水返送管37aの中途に設けられたバルブV1を閉止させた上で、貯留槽31の吐出ポンプP2を作動させる。その結果、貯留槽31で生成された濃度調整泥水が混合部4へと送られる。
【0048】
次いで、混合部4では混合ステップが行われる。すなわち、混合部4の混合槽41a、41bに投入された濃度調整泥水に、分離部2において分離された砂があらかじめ決められた割合でベルトコンベアー42から投入されて混合され、調整脱水原液が生成される。
【0049】
このような調整脱水原液の生成は、各混合槽41a、41b内における砂と泥水との混合物の比重に基づき行われる。また、ベルトコンベアー42の動作は、第2制御部43により制御される。具体的には、第2制御部43は、各混合槽41a、41bに接続された比重測定器44a、44bから出力された混合物比重測定値に基づき、まず各混合槽41a、41bにおける現在の混合物中の砂の含有割合を判断し、次いでその含有割合をあらかじめ決められた砂の含有割合と比較して、現在の含有割合をさらに高くするべきか否かを判断する。そして高くすると判断した場合には、ベルトコンベアー42を作動させて砂を各混合槽41a、41bに投入する。そして各混合槽41a、41bにおける混合物中の砂の含有割合が、あらかじめ決められた含有割合と一致し、調整脱水原液が生成されたところで砂の投入を停止する。
【0050】
次いで、調整脱水原液はパドル型反応器10に投入される。パドル型反応器10では、調整脱水原液を凝集剤11と反応させ、フロックを生成させる。
【0051】
次いで、フロックが生成された調整脱水原液を、スクリュウプレス5に投入し、脱水ステップが行われる。すなわち、スクリュウプレス5では、投入された調整脱水原液が、スクリュウ軸の回転により圧搾されつつケーキ出口52側に送られ、ケーキ出口52から脱水ケーキが排出される。
【0052】
また、脱水ステップにおいて、スクリュウプレス5の外筒から排出された排水は、凝集泥水生成部12としてのシックナー12aに送られる。シックナー12aでは凝集分離ステップが行われる。すなわち、シックナー12aでは、上述の排水に凝集剤15を添加混合し凝集処理を施す。その結果、排水中に残存していた細粒分が凝集沈殿し、この沈殿を含む液体(凝集泥水)がシックナー12aの吐出口12bから取り出され、吐出口12bに接続された高濃度泥水供給手段33により、濃度調整部3に送られる。濃度調整部3では、貯留槽31に貯留された分離泥水を高濃度化する際に、この凝集泥水を高濃度泥水として使用し、貯留槽31内の泥水に混合する。
【0053】
以上説明した本実施形態にかかるダム湖の堆積物の脱水処理方法およびそのシステムにあっては、採泥ステップで、採泥手段100により、ダム湖底の泥状堆積物を採取し、分離部2での分離ステップで泥状堆積物を砂と泥水とに分離し、濃度調整部3での濃度調整ステップで、分離ステップで分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し、濃度調整泥水を生成した上で、さらに混合部4での混合ステップで、分離された砂と濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成した上で、スクリュウプレス5での脱水ステップで脱水することとしたので、スクリュウプレス5の仕様と回転速度に相応した、最適な泥水濃度および砂の含有割合を有するよう調整された調整脱水原液を脱水処理することによって、スクリュウプレス5で目詰まりが発生したり、脱水が不完全となったりすることなく、安定的かつ効率的に脱水処理を行うことができる。
【0054】
また、採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、砂の含有比率が高い領域Aと細粒分の含有比率が高い領域Cの泥状堆積物とを交互に採取することとしたので、混合部4での混合ステップには、砂と泥水の量が常に偏ることなく、ともに適度な量で投入されてくるため、調整脱水原液の生成も滞ることなくスムーズに行われる。その結果、混合部4の前段に位置する砂置き場62と濃度調整部3からは、それぞれ砂と濃度調整泥水がスムーズに混合ステップへと送られる。従って、貯留槽31および貯留槽31に接続される配管、並びに各混合槽41a、41bなど脱水処理システム各部の構成要素を、比較的小さいサイズに設計することが可能となり、コスト、設置場所の面積の点などにおいて有利となる。また、砂置き場62も比較的小さい面積で済む上に、砂置き場62における砂の取り扱いも容易となる。
【0055】
また、採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、砂の含有比率が高い領域Aから開始することとしたので、混合ステップにおける調整脱水原液の生成に必要な砂と濃度調整泥水のうち、砂が先行して蓄積され、準備されることとなる。その結果、濃度調整泥水の方は、採泥開始当初から、スムーズに貯留槽31から混合ステップへと送られてゆくため、貯留槽31に泥水があまり大量に蓄積されることがなく、貯留槽31や貯留槽31に接続される配管などを比較的小さいサイズに設計することが可能となる。仮にその際、砂が大量に先行して蓄積されてしまっても、砂は泥水と異なり、特段専用の設備を要するものではなく(泥水は専用に設計される貯留槽31や配管を要する)、その取り扱いも汎用のバックホー7などによるだけなので、問題はない。
【0056】
また、採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、泥状堆積物を表層→中層→深層というように、表層から深層に向けて順次行うこととしたので、ある領域から泥状堆積物を採取した時点で他の領域が崩落してしまい、湖底の堆積物全体の粒度分布が変化してしまうことによって、それ以降の採取箇所を適切に位置決めすることができなくなるようなおそれがない。その結果、一定の粒度分布を有する泥状堆積物を計画的に採取することが可能となり、より一層、混合部4における調整脱水原液の生成がスムーズに行われるとともに、より一層、貯留槽31および貯留槽31に接続される配管、並びに各混合槽41a、41bなど脱水処理システム各部の構成要素を、比較的小さいサイズに設計することが可能となり、コスト、設置場所の面積の点などにおいて有利となる。また、砂置き場62も比較的小さい面積で済む上に、砂置き場62における砂の取り扱いも容易となる。
【0057】
また、濃度調整部3での濃度調整ステップでは、濃度調整泥水の生成を、分離泥水の比重に基づいて行うこととしたので、貯留槽31内の泥水の量に基づいて濃度調整を行う場合に比して、当該泥水の全量を測定する必要もないため、泥水の濃度判断および濃度調整を容易に行うことができる。
【0058】
また、混合部4での混合ステップでは、調整脱水原液の生成を、分離ステップで分離された砂と濃度調整泥水との混合物の比重に基づき行うこととしたので、混合槽41a、41bに投入される砂および濃度調整泥水の量に基づいて混合を行う場合に比して、砂や濃度調整泥水の全量を測定する必要もなく、混合物の砂の含有割合の判断およびその調整を容易に行うことができる。
【0059】
また、凝集泥水生成部12での凝集分離ステップでは、スクリュウプレス5から排出された排水を凝集沈殿させ凝集泥水を取り出し、当該凝集泥水を分離泥水に混合することとした、より具体的には濃度調整部3での濃度調整ステップで、濃度調整泥水を生成するために高濃度泥水として使用することとしたので、スクリュウプレス5からの排水を再度、本脱水処理システム1内に循環させることによって、排水中に若干残存する粒子分をより確実に、かつ効率よく除去することができるとともに、高濃度泥水を外部から調達する場合に比して、本脱水処理システム1の構成の簡単化、低コスト化を図ることができる。
【0060】
また、濃度調整部3は、分離部2で分離された分離泥水を受け入れる貯留槽31と、貯留槽31に希釈水を供給する希釈水供給手段32と、貯留槽31に高濃度泥水を供給する高濃度泥水供給手段33と、貯留槽31内の泥水の濃度に応じあらかじめ決められた濃度となるよう希釈水供給手段32および高濃度泥水供給手段33を制御する濃度調整制御部34とを有する構成としたので、簡単な構成によって確実に貯留槽31内の泥水の濃度調整を行うことができる。
【0061】
また、濃度調整部3は、貯留槽31内の泥水を分離部2に返送する泥水返送手段37と、貯留槽31内の泥水量に応じて、泥水返送手段37を制御する泥水量制御部38とを有する構成としたので、貯留槽31内の泥水が溢れたりすることはなく、適切に一定量以内に抑えられるとともに、貯留槽31内の泥水を再度、本脱水処理システム1内に循環させることによって、返送された泥水中に若干残存する砂や礫をより確実に、かつ効率よく除去することができる。
【0062】
なお、ダム湖の湖底の泥状堆積物を構成する粒子の性状、特にその粒度は、必ずしも上記実施形態のような3領域に分かれて分布するものではなく、また必ずしも河川の上流、中流、下流に単純に対応して分布するものでもないが、泥状堆積物の粒度分布が本実施形態と異なる場合であっても、砂や細粒分などがある一定の粒度分布を示す場合であれば、本発明の脱水処理方法および脱水処理システムは同様に適用可能であり、上記実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明にかかるダム湖の堆積物の脱水処理方法を実施するための脱水処理システムの好適な一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1の脱水処理システムの、ダム湖における泥状堆積物の状態およびその採取を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 脱水処理システム
2 分離部
3 濃度調整部
4 混合部
5 スクリュウプレス
12 凝集泥水生成部
31 貯留槽
32 希釈水供給手段
33 高濃度泥水供給手段
34 濃度調整制御部
37 泥水返送手段
38 泥水量制御部
100
D ダム湖

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダム湖底の泥状堆積物を採取して脱水処理する方法であって、
上記泥状堆積物を採取する採泥ステップと、
上記採取された泥状堆積物を砂と、砂より小径の細粒分と水との混合物である泥水とに分離する分離ステップと、
該分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し濃度調整泥水を生成する濃度調整ステップと、
上記分離された砂と上記濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成する混合ステップと、
該調整脱水原液をスクリュウプレスにより脱水する脱水ステップと有することを特徴とするダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項2】
前記採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、砂の含有比率が高い領域の泥状堆積物と、細粒分の含有比率が高い領域の泥状堆積物とを、交互に採取することを特徴とする請求項1に記載のダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項3】
前記採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、砂の含有比率が高い領域の泥状堆積物の採取から開始することを特徴とする請求項1または2に記載のダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項4】
前記採泥ステップにおける泥状堆積物の採取は、表層から深層に向けて順次行うことを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載のダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項5】
前記濃度調整ステップにおける前記濃度調整泥水の生成は、泥水の比重に基づき行うことを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に記載のダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項6】
前記混合ステップにおける前記調整脱水原液の生成は、前記分離された砂と前記濃度調整泥水との混合物の比重に基づき行うことを特徴とする請求項1〜5いずれかの項に記載のダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項7】
前記脱水ステップにおいて排出された排水を凝集沈殿させ凝集泥水を取り出す凝集分離ステップを有し、上記凝集泥水を前記分離泥水に混合することを特徴とする請求項1〜6いずれかの項に記載のダム湖の堆積物の脱水処理方法。
【請求項8】
ダム湖底の泥状堆積物を採取して脱水処理するシステムであって、ダム湖内に移動可能に設けられダム湖底の泥状堆積物を採取する採泥手段と、該採泥手段からの泥状堆積物を砂と、砂より小径の細粒分と水との混合物である泥水とに分離する分離部と、該分離部で分離された分離泥水をあらかじめ決められた濃度に調整し濃度調整泥水を生成する濃度調整部と、上記分離部で分離された砂と上記濃度調整泥水とをあらかじめ決められた割合で混合し調整脱水原液を生成する混合部と、該調整脱水原液を脱水するスクリュウプレスとを有することを特徴とするダム湖の堆積物の脱水処理システム。
【請求項9】
前記濃度調整部は、前記分離部で分離された分離泥水を受け入れる貯留槽と、該貯留槽に希釈水を供給する希釈水供給手段と、当該貯留槽に高濃度泥水を供給する高濃度泥水供給手段と、当該貯留槽内の泥水の濃度に応じ、該泥水があらかじめ決められた濃度となるよう上記希釈水供給手段および上記高濃度泥水供給手段を制御する濃度調整制御部とを有することを特徴とする請求項8に記載のダム湖の堆積物の脱水処理システム。
【請求項10】
前記スクリュウプレスにおける前記調整脱水原液の脱水時に排出された排水を凝集沈殿させ凝集泥水を取り出す凝集泥水生成部を有し、該凝集泥水が前記高濃度泥水であることを特徴とする請求項9に記載のダム湖の堆積物の脱水処理システム。
【請求項11】
前記濃度調整部は、前記貯留槽内の泥水を前記分離部に返送する泥水返送手段と、上記貯留槽内の泥水量に応じ、上記泥水返送手段を制御する泥水量制御部とを有することを特徴とする請求項9または10に記載のダム湖の堆積物の脱水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−181560(P2006−181560A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381458(P2004−381458)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】