説明

ダルナビルを含んでなる抗HIV錠剤製剤

0.1〜1.5重量%(w/w)のコロイド状二酸化ケイ素および0.4〜0.9重量%(w/w)の潤滑剤を含有するコアを含んでなり、コアの残りはダルナビル、崩壊剤および微晶質セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の噴霧乾燥混合物を含んでなる充填剤を含んでなり、コアは場合によりフィルムコーティングでコーティングされていてもよい抗HIV錠剤製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なそして有益な処理特性を提供する抗HIV薬ダルナビルを含有する改善された錠剤製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすウイルスは、Tリンパ球ウイルスIII(HTLV−III)もしくはリンパ節症関連ウイルス(LAV)もしくはエイズ関連ウイルス(ARV)もしくはヒト免疫不全ウイルス(HIV)を包含する異なる名称で知られている。現在までに、2つの異なるファミリーが同定されている、すなわち、HIV−1およびHIV−2。以下、HIVはこれらのウイルスを総称的に示すために用いられる。
【0003】
レトロウイルス生活環における重要な経路の一つは、レトロウイルスプロテアーゼによるポリタンパク質前駆体のプロセシングである。例えば、HIVウイルスの複製周期中に、gagおよびgag−pol遺伝子転写産物はタンパク質として翻訳され、それらは次にウイルスによりコードされるプロテアーゼによってプロセシングされてウイルス酵素およびウイルスコアの構造タンパク質を生成せしめる。最も一般的には、gag前駆体タンパク質はコアタンパク質にプロセシングされ、そしてpol前駆体タンパク質はウイルス酵素、例えば逆転写酵素およびレトロウイルスプロテアーゼにプロセシンングされる。レトロウイルスプロテアーゼによる前駆体タンパク質の正確なプロセシングは感染性ビリオンの集合に必要であり、従って、レトロウイルスプロテアーゼを抗ウイルス治療のための魅力的な標的にする。特にHIV処置のために、HIVプロテアーゼは魅力的な標的である。
【0004】
いくつかのプロテアーゼ阻害剤は、市販されているかもしくは開発中である。ヒドロキシエチルアミノスルホンアミドHIVプロテアーゼ阻害剤、例えば4−アミノベンゼンヒドロキシエチルアミノスルホンアミドは、野生型および突然変異体HIVウイルスに対して好ましい薬理学的および薬物動態学的特性を有すると記述されている。アンプレナビルは、プロテアーゼ阻害剤のこの4−アミノベンゼンヒドロキシエチルアミノスルホンアミドクラスの市販されている典型である。
【0005】
レトロウイルス感染の処置のためのヒト臨床用途にUSAにおいて承認されておりそして上記の構造部分を有する1つのそのようなプロテアーゼ阻害剤は、エタノラート誘導体の形態の、化学名[(1S,2R)−3−[[(4−アミノフェニル)スルホニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]−カルバミン酸(3R,3aS,6aR)ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルエステルおよび式(A):
【0006】
【化1】

【0007】
の構造を有するUSAN承認名ダルナビルを有する化合物である。
【0008】
他に特定されない限り、「ダルナビル」という用語は親化合物もしくはその誘導体、例えば水和物もしくは溶媒和物、特にアルコラート、例えばエタノラートを示すために本明細書において用いられる。
【0009】
そのエタノラートの形態のダルナビルは錠剤製剤において患者に一般に投与され、そして300mgのダルナビル親化合物を含有する錠剤製剤は、1日当たり1200mg(毎日2回2個の300mg錠剤)の推奨投薬量において処置を経験したHIV患者(すなわち、抗HIV化学療法を以前に受けたことのある)用に出願人等により開発されそして販売されている。300mg錠剤は、52.02重量%(w/w)のダルナビル(エタノラートとして)、45.74%w/wの充填剤(プロソルブ(PROSOLV)SMCC HD90として市販されている、98%w/wの微晶質セルロースと2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素の共処理噴霧乾燥混合物)、2%w/wの崩壊剤(クロスポビドン)および0.24%w/wの湿潤剤(ステアリン酸マグネシウム)を含んでなる。上記の錠剤コアは、オパドライ(Opadry)フィルムコートでフィルムコーティングされる。錠剤は上記のコア成分の乾式混合、続いて圧縮、そして次にフィルムコーティングにより製造される。
【0010】
出願人等はまた、これまでいかなる抗HIV治療も受けていないいわゆる未投薬患者への投与用のダルナビルエタノラートのクリニック錠剤(clinic tablet)においても開発しそして調べている。これらの錠剤は、800mgの化合物の総毎日投薬量を与えるために1日2回の投与用の400mgのダルナビル親化合物を含有する。開発中の代替錠剤には、1日1回の投与用の800mgのダルナビル親化合物を含有するものが包含される。75mgおよび150mgのダルナビル親化合物を含有する小児用錠剤製剤もまた、子供への投与用に調べられている。
【0011】
市販の300mg錠剤製剤において使用される有効成分ダルナビルエタノラートは、微粒子状ダルナビルをトレイ上で乾燥させる乾燥工程、すなわち、静的工程を含む方法により製造されている。しかしながら、より高い製造スループットおよび作業者の改善された安全性を提供するために、静的乾燥を回転容器における乾燥を伴うタンブル乾燥操作で置き換えることが望ましい。しかしながら、乾燥操作におけるそのような変化は、ダルナビルの粒子の物理的特性への重大な影響を有する。この場合、粒子のタンブル乾燥は約80ミクロンから約35ミクロンへのdv10値(dv10は、粒子の10%(容積%)が規定値より小さい直径を有することを意味する)の減少をもたらす。より小さい粒径は、次に薬剤製品ドライブレンド(dry blend)の流動特性、特に粒子の凝固もしくは凝集への増加した傾向、従って、減少した流動特性に影響を及ぼす。パイロット規模での
試験的実行は、現在市販される製剤においてタンブル乾燥したダルナビルを用いる場合に減少した薬剤製品ブレンド流動能力、錠剤重量変動および錠剤粘着を示した。欠点のない、優れたブレンド流動および優れた錠剤特性、例えば重量均一性および適切な外観は、スループットを最大にしそして材料の一貫したそして効率の良い処理を保証するために大規模工業製造工程において必須であることが理解される。
【0012】
上記の説明から明らかであるように、現在市販されているダルナビル錠剤製剤は、有効成分の乾燥がより高速のタンブル乾燥により実施される必要がある場合に、より大規模での製造に不適当であることが見出されている。従って、タンブル乾燥工程から生成される、より小さい粒径および減少した流動性を有するダルナビルを用いて製造することができる錠剤製剤の必要性がある。粉末の流動性を最適化することの問題は、例えば非特許文献1(Maribel Ros)および非特許文献2に記述される。
【0013】
商業規模での製造のための錠剤製剤を開発する場合、従って、製造工程が経済的にそして効率よくハイスループットにおいてそして製品の優れた均一性を有して実施できると保証することが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Pharmaceutical Technology,Feb 2,2006
【非特許文献2】LabPlus International February/March 2004,Volume 18,No.1,8−10
【発明の概要】
【0015】
[発明の記述]
工業規模でその錠剤製剤を製造することができる、ダルナビルを含有する改善された錠剤製剤を提供することは本発明の目的である。
【0016】
改善された効率を有して工業規模で製造することができる、ダルナビルを含有する錠剤製剤を提供することは本発明の目的である。
【0017】
工程作業者の改善された安全性を有して工業規模で製造することができる、ダルナビルを含有する錠剤製剤を提供することは本発明の目的である。
【0018】
改善されたスループットを有して工業規模で製造することができる、ダルナビルを含有する錠剤製剤を提供することは本発明の目的である。
【0019】
タンブル乾燥工程から生成されるダルナビルを含有する錠剤製剤を提供することは本発明の目的である。
【0020】
全体的な改善された流動特性を有する錠剤製剤を提供することは本発明の目的である。
【0021】
改善されたダルナビル錠剤製剤の製造の方法を提供することは本発明の目的である。
【0022】
上記の製剤の流動特性の顕著な改善は、別個の成分としての追加のコロイド状二酸化ケイ素の使用および増加した量の潤滑剤により達成できることが見出された。これらの製剤変化は、それがより小さい粒径および減少した流動特性を有する有効成分の使用を可能にする点において、有効成分に特有の流動特性における潜在的変動に対してより堅牢である錠剤製造方法を提供する。
【0023】
従って、本発明によれば、0.1〜1.5重量%(w/w)のコロイド状二酸化ケイ素および0.4〜0.9重量%(w/w)の潤滑剤を含有する錠剤コアを含んでなり、コアの残りはダルナビル、崩壊剤および微晶質セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の噴霧乾燥混合物を含んでなる充填剤を含んでなり、コアは場合によりフィルムコーティングでコーティングされていてもよい錠剤製剤が提供される。
【0024】
追加の、すなわち、上記の300mg製剤において使用されるプロソルブ(98%w/wの微晶質セルロースと2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素の噴霧乾燥混合物)材料に含有されるものと別個のコロイド状二酸化ケイ素の使用は、噴霧乾燥混合物内にのみ含有されるコロイド状二酸化ケイ素の使用によって得られない利益をもたらすことが見出された。出願人等によって行われた実験から、噴霧乾燥混合物内のコロイド状二酸化ケイ素は非常に優れた圧縮性をもたらすが、提示される錠剤製剤において十分な凝固防止および流動促進特性をもたらさないと考えられる。さらに、出願人等によるさらなる実験により、別個の個々の成分としての微晶質セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素の使用もまた、最適な流動特性を有する錠剤製剤をもたらさないこともまた立証された。従って、コロイド状二酸化ケイ素と典型的に関連する利益、すなわち、薬剤製品ブレンドの増大した流動および減少した凝固傾向を得るために、噴霧乾燥した微晶質セルロース/コロイド状二酸化ケイ素混合物だけでなく、別個の成分としての追加のコロイド状二酸化ケイ素もまた錠剤製剤に含むことが必要であることが出願人等により見出された。
【0025】
追加のコロイド状二酸化ケイ素は一般に0.3〜1.1%w/w、好ましくは0.5〜1.1%w/w、例えば約0.9%w/w、特に約0.91%w/wの量において本発明の錠剤製剤に存在する。本発明の錠剤製剤において都合良く用いられるコロイド状二酸化ケイ素は、Cab−O−Sil、特にM5Pグレードとして市販されているものである。
【0026】
別個の成分としてのコロイド状二酸化ケイ素の存在に加えて、本発明の錠剤製剤は市販の300mg錠剤製剤におけるものに対して増加した量の潤滑剤を含有し、薬剤製品ブレンドが錠剤に圧縮される場合に錠剤粘着のような製造問題を防ぐ製剤を提供する。
【0027】
潤滑剤は好ましくはステアリン酸マグネシウムであり、そして一般に0.5〜0.8%w/w、特に約0.7%w/w、特に約0.74%w/wの量において存在する。
【0028】
本発明の錠剤製剤はさらに、微晶質セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の噴霧乾燥混合物を含んでなる充填剤を含有する。この充填剤は、都合良く、上記に言及される300mg錠剤製剤において用いられるように、約98%w/wの微晶質セルロースと約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素の混合物を含んでなるもの、例えばプロソルブ、特にHD90製品として市販されている混合物である。混合物は一般に40〜50%w/w、好ましくは43〜46%w/w、そして特に約44%w/w、特に約44.33%w/wの量において本発明の錠剤製剤に存在する。
【0029】
ダルナビルは一般に50〜55%w/w、好ましくは51〜53%w/w、特に約52%w/w、そして特に52.02%w/wの量において本発明の錠剤製剤に存在する。
【0030】
ダルナビルは水和物もしくは溶媒和物、例えばアルコラートのようなダルナビル親化合物の結晶性誘導体の形態で本発明の錠剤製剤において一般に用いられ、エタノラートが特に好ましい。
【0031】
前述の通り、本発明の錠剤製剤は、以前の300mg製剤で可能であったよりも小さい粒径を有するダルナビルを用いて錠剤を製造することを可能にする。従って、本発明の錠
剤におけるダルナビルは一般に12〜102ミクロンの範囲のdv10値および47〜249ミクロンの範囲のdv50値を有するダルナビルを含有する。
【0032】
錠剤製剤はまた、患者への投与の際に製剤の崩壊および溶解を促進するために崩壊剤も含有する。好ましい崩壊剤はクロスポビドン、すなわち、ポリプラスドン(Polyplasdone)XL−10として市販されている架橋N−ビニル−2−ピロリドンの合成ホモポリマーであり、そして好ましくは1〜3%w/w、特に約2%w/wの量において存在する。用いることができる他の崩壊剤には、アクジゾル(Acdisol)として市販されているクロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)が包含される。
【0033】
新規錠剤製剤は、処方されるダルナビルの投薬量によって決まる錠剤の投与を容易にする目的で有効成分ダルナビルの異なる量を含有する錠剤を製造するために用量に比例した形で用いることができる。従って、例えば錠剤当たり75および150mg(小児用途用)、400および800mg(以前に抗HIV処置を受けていない患者用)ならびに600mg(以前に抗HIV処置を受けたことがある患者用)のダルナビルを含有する錠剤を製造することができ;錠剤コアにおけるダルナビルの量は、親ダルナビル化合物の重量に基づく。
【0034】
説明の目的のために、600mg、75mgおよび400mg錠剤コア製剤の具体例を以下に示す:
【0035】
【表1】

【0036】
味覚マスキングおよび審美的理由で、本発明の錠剤コアには、錠剤コアに基づいて約4%w/wの量において一般に使用されるフィルムコーティング、例えばオパドライ(Opadry)フィルムコーティングが一般に与えられる。錠剤強度を区別するために異なる着色剤をフィルムコーティングに用いることができる。
【0037】
上記の錠剤製剤は常法において、例えばダルナビル、噴霧乾燥した微晶質セルロース/コロイド状二酸化ケイ素混合物、追加のコロイド状二酸化ケイ素および崩壊剤(これらの成分は好ましくはふるいにかけられている)を最初に乾式混合し、そして次に全錠剤コアブレンドの最終乾式混合用に乾式混合した混合物に潤滑剤(これもまた好ましくはふるいにかけられている)を加え、それを次に所望のサイズおよび重量を有する錠剤に圧縮することにより錠剤コアを製造するために用いることができる。
【0038】
上記のような錠剤コアの製造後に、コアを常法において、例えばコーティング懸濁液において、例えば精製水においてコアに適用することができるオパドライのようなフィルムコーティング剤でのフィルムコーティングによりフィルムコーティングすることができ、続いてコーティングしたコアを乾燥させる。
【0039】
上記に示されるように、本発明の錠剤製剤はHIV感染の処置において用いることができる。
【0040】
本発明のさらなる特徴によれば、例えばHIV感染の処置用の薬剤における使用のための本発明の錠剤製剤が提供される。
【0041】
本発明のさらなる特徴によれば、本発明の錠剤製剤の有効量を患者に投与することを含んでなる患者におけるHIV感染の処置の方法が提供される。
【0042】
本発明によれば、錠剤製剤は、患者の年齢および臨床状態により様々な投薬量においてHIV感染の処置に用いることができる。従って、例えば、これまでいかなる抗HIV治療も受けていない患者への投与には、800mgの総毎日投薬量を与えるために400mgのダルナビル(親化合物)を含有する錠剤を1日2回投与することができる。以前に抗HIV治療を受けたことのある患者への投与には、1200mgの総毎日投薬量を与えるために600mgのダルナビル(親化合物)を含有する錠剤を1日2回投与することができる。
【0043】
ダルナビルは、例えばヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)もしくは他のプロテアーゼ阻害剤のような他の抗HIV化合物と組み合わせてHIV患者に投与することができる。
【0044】
ある抗レトロウイルス薬および特にダルナビルのようなあるHIVプロテアーゼ阻害剤はシトクロムP450により代謝され、次善の薬物動態プロフィールをもたらし、より頻繁なそしてより高い用量の望ましくない必要性を招く。従って、ダルナビルはシトクロムP450の阻害剤と組み合わせて投与することが望ましい。HIVプロテアーゼ阻害剤でもあるシトクロムP450の阻害剤の例には、例えばリトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アンプレナビル、ロピナビル、ラシナビル、パリナビル、テリナビル、チプラナビル、モゼナビル、アタザナビルならびにその製薬学的に許容しうる塩およびエステルが包含される。さらに特に、シトクロムP450阻害剤はリトナビル、アンプレナビル、ネルフィナビルまたはその製薬学的に許容しうる塩もしくはエステルを含んでなる群から選択され、リトナビルが特に好ましい。ダルナビルのようなプロテアーゼ阻害剤およびリトナビルのようなシトクロムP450阻害剤の組み合わせは、特許明細書WO03/049746に記述されそして請求され、その内容は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0045】
リトナビルのようなシトクロムP450阻害剤は、1日2回100mgの投薬量においてダルナビルと組み合わせて一般に投与される。
【0046】
本発明の組み合わせの個々の成分、すなわち、ダルナビルおよびシトクロムP450阻害剤は、治療の経過中に異なる時間で別個にまたは分離したもしくは単一の組み合わせ形態において同時に投与することができる。
【0047】
以下の実施例は、本発明を説明するものとする。これらの実施例は本発明を例示するために提示され、そして本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【実施例】
【0048】
A)600mg錠剤製剤
本発明の600mg錠剤の典型的な115.5kgバッチの製造のために以下の段階を実施する:
1.115.5kgの総重量を有するバッチを与えるためにエタノラートとしてのダルナビル:60.08kg、プロソルブHD90:51.20kg;コロイド状二酸化ケイ素(Cab−O−Sil):1.05kg;クロスポビドン(ポリプラスドンXL−10):2.31kg;およびステアリン酸マグネシウム:0.86kgを量り分ける。
2.ステアリン酸マグネシウムを除いて、段階1からの量り分けた材料をビンに入れる。
3.適当なふるい装置において11〜16メッシュスクリーンに通すことによりビン中のダルナビル、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドンおよびプロソルブを解砕し(delumped)、そして解砕した混合物を第二のビンに集める。
4.ビンをビンブレンダーに移動させ、そこで乾燥混合物を6rpm(毎分回転数)で10分間混合する。
5.ステアリン酸マグネシウムを適当なふるい装置において18〜20メッシュスクリーンを通してふるいにかけ、そして次に段階4からのビン中の混合材料の上部に加える。
6.ステアリン酸マグネシウムの添加後に混合物の最終混合を6rpmで5分間行う。
7.得られるブレンドを通常の錠剤プレス機において錠剤に圧縮して1250.4mgのコア重量を有する92,370の錠剤コアのバッチを与える。
8.得られる錠剤コアを5.78kgのオパドライIIオレンジおよび23.10kgの精製水を含んでなる合計28.88kgのコーティング懸濁液でフィルムコーティング機においてフィルムコーティングして1300.4mgの総錠剤重量を有しそして650.46mgのダルナビルエタノラート、親化合物として600mgを含有するコート錠を与える。
【0049】
B)400mg錠剤製剤
パートA)の段階1〜6に記載の方法を繰り返し、そして得られる共通ブレンドを次に通常の錠剤プレス機において圧縮して833.6mgのコア重量を有する138,555の錠剤コアのバッチを与える。次に、錠剤コアをパートA)における段階8に記載の方法と同様にしてフィルムコーティングして866.9mgの総錠剤重量を有しそして433.64mgのダルナビルエタノラート、親化合物として400mgを含有するフィルムコート錠を与える。
【0050】
C)75mg錠剤製剤
パートA)の段階1〜6に記載の方法を繰り返し、そして得られる共通ブレンドを次に通常の錠剤プレス機において圧縮して156.3mgのコア重量を有する738,963の錠剤のバッチを与える。次に、錠剤コアをパートA)における段階8に記載の方法に従ってフィルムコーティングして162.6mgの総錠剤重量を有しそして81.31mgのダルナビルエタノラート、親化合物として75mgを含有するフィルムコート錠を与える。
【0051】
上記の錠剤製剤を工業規模での製造の容易さについて評価し、そしてブレンド流動、すなわち、約45°の安息角、Guraboビンにおける質量流特性(垂直から30°のビン角度を有する)および約16の低いカール指数、ならびに錠剤特性、すなわち、相対標準偏差について1%未満の錠剤重量変動、滑らかな輝く錠剤表面および約0.1%の低い摩損度(friability)の両方に関して優れた性質を有することが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜1.5重量%(w/w)のコロイド状二酸化ケイ素および0.4〜0.9重量%(w/w)の潤滑剤を含有するコアを含んでなり、コアの残りはダルナビル、崩壊剤および微晶質セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の噴霧乾燥混合物を含んでなる充填剤を含んでなり、コアは場合によりフィルムコーティングでコーティングされていてもよい錠剤製剤。
【請求項2】
コアが50〜55%w/wのダルナビルを含んでなる請求項1に記載の錠剤製剤。
【請求項3】
コアが51〜53%w/wのダルナビルを含んでなる請求項1に記載の錠剤製剤。
【請求項4】
コアが約52%w/wのダルナビルを含んでなる請求項1に記載の錠剤製剤。
【請求項5】
コアが約52.02%w/wのダルナビルを含んでなる請求項1に記載の錠剤製剤。
【請求項6】
ダルナビルがそのエタノラートの形態で存在する前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項7】
コアが該充填剤に含有されるものに加えて0.3〜1.1%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含んでなる前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項8】
コアが該充填剤に含有されるものに加えて0.5〜1.1%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含んでなる請求項7に記載の錠剤製剤。
【請求項9】
コアが該充填剤に含有されるものに加えて約0.9%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含んでなる請求項8に記載の錠剤製剤。
【請求項10】
コアが該充填剤に含有されるものに加えて約0.91%w/wのコロイド状二酸化ケイ素を含んでなる請求項9に記載の錠剤製剤。
【請求項11】
コアが0.5〜0.8%w/wの潤滑剤を含んでなる前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項12】
コアが約0.7%w/wの潤滑剤を含んでなる請求項11に記載の錠剤製剤。
【請求項13】
コアが約0.74%w/wの潤滑剤を含んでなる請求項12に記載の錠剤製剤。
【請求項14】
潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項15】
充填剤が約98%w/wの微晶質セルロースと約2%w/wのコロイド状二酸化ケイ素の混合物を含んでなる前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項16】
コアが40〜50%w/wの充填剤を含んでなる前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項17】
コアが約44%w/wの充填剤を含んでなる請求項16に記載の錠剤製剤。
【請求項18】
コアが約44.33%w/wの充填剤を含んでなる請求項17に記載の錠剤製剤。
【請求項19】
コアが1〜3%w/wの崩壊剤を含んでなる前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項20】
コアが約2%w/wの崩壊剤を含んでなる請求項19に記載の錠剤製剤。
【請求項21】
崩壊剤がクロスポビドンである前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項22】
コアにおけるダルナビルが12〜102ミクロンの範囲のdv10粒径値を有する前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項23】
コアにおけるダルナビルが21〜77ミクロンの範囲のdv10粒径値を有する請求項22に記載の錠剤製剤。
【請求項24】
コアにおけるダルナビルが21〜59ミクロンの範囲のdv10粒径値を有する請求項23に記載の錠剤製剤。
【請求項25】
ダルナビル、噴霧乾燥した微晶質セルロース/コロイド状二酸化ケイ素混合物、追加のコロイド状二酸化ケイ素および崩壊剤の混合物を乾式混合し、全コア組成物の最終乾式混合用に乾式混合した混合物に潤滑剤を加え、それを次に圧縮して錠剤コアを与え、該コアを次に場合によりフィルムコーティングしてもよいことを含んでなる前記請求項のいずれかに記載の錠剤製剤を製造する方法。
【請求項26】
薬剤における使用のための請求項1〜24のいずれかに記載の錠剤製剤。
【請求項27】
HIV感染の処置における使用のための請求項26に記載の錠剤製剤。
【請求項28】
請求項1〜24のいずれかに記載の錠剤製剤の有効量を患者に投与することを含んでなる患者におけるHIV感染の処置の方法。

【公表番号】特表2010−534222(P2010−534222A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517413(P2010−517413)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059802
【国際公開番号】WO2009/013356
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(509350217)
【Fターム(参考)】