説明

ダンパー装置、ダンパーチューブアッセンブリ、及びインクジェットプリンタ

【課題】キャリッジの往復移動に伴って加減速したときにインク流路を確実に閉止することが可能な構成のダンパー装置を提供する。
【解決手段】インク流路に連通する弁室111を内部に備えキャリッジと一体的に往復移動するハウジング110と、弁室111内に移動自在に収容される球弁体130とを備え、球弁体130は、キャリッジが加減速したときに、加減速に伴う慣性力の作用を受けて、慣性力の作用方向に応じて入口ポート113又は出口ポート114のいずれかを塞ぐ位置へ選択的に相対移動してインク流路を閉止し、キャリッジが加減速していないときには、入口ポート113および出口ポート114を開口する位置へ自重によって相対移動してインク流路を開放するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクタンクとプリンタヘッドとの間を繋ぐインク流路を開閉制御するため
のダンパー装置、ダンパーチューブアッセンブリ、及びインクジェットプリンタに関する

【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、一般的に多数のノズルが形成されたプリンタヘッドを印刷
媒体に対して往復移動させながらプリンタヘッドのノズルからインク粒を印刷媒体に吐出
して印刷対象面に文字や図形、模様、写真等の情報を描画する装置である。このようなイ
ンクジェットプリンタでは、例えばカートリッジ式のインクタンクがプリンタ本体側に装
着され、このインクタンクに貯留されたインクが可撓性のインクチューブを介してプリン
タヘッドに供給されるようになっている。プリンタヘッドが印刷動作のために印刷媒体に
対して往復移動すると、このプリンタヘッドに繋がるインクチューブの一部(インクチュ
ーブの下流側)もプリンタヘッドと同じ速度で移動することになる。そのため、プリンタ
ヘッドの往復移動において、その移動方向を反転させる加減速領域では、インクチューブ
内に滞留するインク自体に進行方向もしくはその逆方向への慣性力が働くことになる。こ
の慣性力により、インクチューブ内でインクの自重に応じた圧力の変動が生じ、プリンタ
ヘッドの内圧が大きく加圧されるとプリンタヘッドのノズルからインクが噴出するボタ落
ちが発生する。一方、プリンタヘッドの内圧が大きく減圧されると、ノズルに形成される
メニスカスが破壊され、気泡がプリンタヘッド内に引き込まれてインクの吐出が不能にな
るドカ抜け現象(ノズル抜けとも称される)が生じるという問題がある。そこで従来より
、プリンタヘッド内の圧力変動を抑制するために、インクチューブの途中に設けられるダ
ンパー装置が種々提案され実用化されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−20144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のダンパー装置は、インクチューブに連通するとともに一端面が開口する矩形
箱状のハウジングと、このハウジングの開口面を覆う可撓性のダンパー膜とを備えて構成
されており、インクの圧力変動に応じてダンパー膜が外方又は内方へ撓むことで、ハウジ
ングの内部に形成されるダンパー室の容積を変化させて、上記圧力変動を吸収するように
なっている。しかしながら、このダンパー装置においては、ダンパー室の初期状態により
ダンピング機能(圧力抑制機能)が変動するという問題がある。例えば、ダンパー膜が外
方へ撓んでダンパー室が最大に膨らんでいるときに、インクの圧力が加圧側に作用しても
、ダンパー室内の容積はそれ以上に増大しないためダンピング機能が働かない。反対に、
ダンパー膜が内方へ撓んでダンパー室が収縮状態になっているときに、インクの圧力が減
圧側に作用しても、ダンパー室の容積はそれ以上に減少しないため、この場合にもダンピ
ング機能が働かないことになる。以上のように、従来構成のダンパー装置では、キャリッ
ジが往復移動に伴って加減速し、プリンタヘッド内で加圧もしくは減圧方向にインクの圧
力変動が生じたときに、ダンピング機能を十分に果たさない場合があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、キャリッジの往復移動に伴っ
て加減速したときにインク流路を確実に閉止することが可能な構成のダンパー装置、ダン
パーチューブアッセンブリ、及びインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の本発明に係るダンパー装置は、印刷媒体にインクを
吐出するプリンタヘッドを有して所定の走査方向に沿って往復移動するキャリッジを備え
たインクジェットプリンタにおいて、インクを貯留するインクタンクとプリンタヘッドと
の間を繋ぐインク流路の途中に設けられ、インク流路を開閉するダンパー装置であって、
インク流路に連通する弁室を内部に備え、キャリッジと一体的に往復移動するハウジング
と、ハウジングの一端部に形成され、インクタンク側のインク流路と弁室とを連通させる
入口ポートと、ハウジングの他端部に形成され、プリンタヘッド側のインク流路と弁室と
を連通させる出口ポートと、弁室内に移動自在に収容される弁体(例えば、実施形態にお
ける球弁体130)とを備え、弁体は、キャリッジが加減速したときに、当該加減速に伴
う慣性力の作用を受けて、当該慣性力の作用方向に応じて入口ポート又は出口ポートのい
ずれかを塞ぐ位置へ選択的に相対移動してインク流路を閉止し、キャリッジが加減速して
いないときには、入口ポート及び出口ポートを開口する位置へ自重によって相対移動して
インク流路を開放するようになっている。
【0007】
なお、上記構成のダンパー装置において、弁室の底面が、入口ポートと出口ポートとの
中間位置の下方に最深部を有するとともに、入口ポートおよび出口ポートから最深部に向
けて降下する傾斜もしくは湾曲を有しており、弁体が、底面を転動可能な回転体からなる
ことが好ましい。
【0008】
また、上記構成のダンパー装置において、弁体が弁室の天面から支持部材により揺動自
在に垂下状態で吊り下げられ、キャリッジの往復移動に伴う慣性力および重力の作用を受
けて振り子運動を行うように構成され、この振り子運動による弁体の揺動軌跡上に入口ポ
ート及び出口ポートを配置することが好ましい。
【0009】
上記目的を達成するために、第2の本発明に係るダンパーチューブアッセンブリは、上
記構成のダンパー装置と、入口ポートに接続されインクタンク側のインク流路を形成し得
る上流側チューブ及び出口ポートに接続されプリンタヘッド側のインク流路を形成し得る
下流側チューブの少なくとも一方のチューブとを備えて構成される。
【0010】
上記目的を達成するために、第3の本発明に係るインクジェットプリンタは、印刷媒体
を支持する媒体支持部(例えば、実施形態におけるプラテン20)と、インクを吐出する
プリンタヘッドを有するキャリッジと、媒体支持部に支持された印刷媒体の印刷対象面に
沿ってキャリッジを相対移動させるキャリッジ移動機構と、インクを貯留するインクタン
クと、インクタンクとプリンタヘッドとを繋ぐインク流路を形成するインクチューブと、
上記構成のダンパー装置とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明に係るダンパー装置によれば、インクタンクとプリンタヘッドとを繋ぐイ
ンク流路の途中に、キャリッジと一体的に移動するダンパー装置を設け、キャリッジの往
復移動に伴って生じる加減速をダンパー装置の弁体に感知させ、キャリッジが加減速して
いるときには、弁体が慣性の法則に従って入口ポートもしくは出口ポートを塞ぐ位置に選
択的に変位してインク流路を閉止するため、プリンタヘッド内の圧力変動を抑制して、イ
ンクのボタ落ち現象及びドカ抜け現象を防止することができ、ひいては印刷品質を向上さ
せることが可能になる。一方、キャリッジが加減速していないときには、弁体が重力の作
用によって入口ポートおよび出口ポートを開口する位置に変位してインク流路を開放する
ため、インクの吐出に応じてインクタンクからのインクをインク流路を通じてプリンタヘ
ッドへ滞りなく供給することが可能である。
【0012】
なお、上記構成のダンパー装置において、弁室の底面が、入口ポートと出口ポートとの
中間位置の下方に最深部を有するとともに、入口ポートおよび出口ポートから最深部に向
けて降下する傾斜もしくは湾曲を有しており、弁体が、底面を転動可能な回転体からなる
構成とすることで、キャリッジが加減速しているときには、弁体が慣性の法則に従って弁
室の底面に沿って転動し当該慣性力の方向に応じて入口ポート又は出口ポートを塞ぐ位置
に選択的に変位してインク流路を閉止する。一方、キャリッジが加減速していないときに
は、弁体が重力の作用によって弁室の底面を転動降下して入口ポートおよび出口ポートを
開口する位置に変位しインク流路を開放する。そのため、弁体を各ポートと最深部との間
を慣性力および重力の作用により転動させて各ポートを塞ぐ位置と開口する位置とに変位
させるという簡便な構成により、インク流路を開閉することができるため、部品点数の削
減、小型・軽量化および低コスト化を図ることが可能になる。
【0013】
また、上記構成のダンパー装置において、弁体が弁室の天面から支持部材により揺動自
在に垂下状態で吊り下げられ、キャリッジの往復移動に伴う慣性力および重力の作用を受
けて振り子運動を行うようにし、この振り子運動による弁体の揺動軌跡上に入口ポート及
び出口ポートを配置する構成とすることで、キャリッジが加減速しているときには、弁体
が慣性の法則に従って弁室内で振り子運動を行って当該慣性力の方向に応じて入口ポート
又は出口ポートを塞ぐ位置に選択的に変位してインク流路を閉止する。一方、キャリッジ
が加減速していないときには、弁体が重力の作用によって弁室内で垂下状態で静止して入
口ポートおよび出口ポートを開口しインク流路を開放する。そのため、弁体を各ポートの
間で慣性力および重力の作用により振り子運動させて各ポートを塞ぐ位置と開口する位置
とに変位させるという簡便な構成により、インク流路を開閉することができるため、部品
点数の削減、小型・軽量化および低コスト化を図ることが可能になる。さらに、弁体を底
面上で転動させる必要がないため、弁体に底面との接触による磨耗が生じることがなく、
弁体の経年磨耗による変形によって、弁体と各ポートの周囲に形成される座面とがシート
当たり不良を起こすのを防止できる。
【0014】
第2の本発明に係るダンパーチューブアッセンブリによれば、上記構成のダンパー装置
と、入口ポートに接続されインクタンク側のインク流路を形成し得る上流側チューブ及び
出口ポートに接続されプリンタヘッド側のインク流路を形成し得る下流側チューブの少な
くとも一方のチューブとを備えて構成されるので、例えば上記と同様の作用効果が得られ
るだけでなく、インクジェットプリンタにおけるダンパー装置とインクチューブとの組み
付け作業性を向上させることが可能になる。
【0015】
第3の本発明に係るインクジェットプリンタによれば、印刷媒体を支持する媒体支持部
と、インクを吐出するプリンタヘッドを有するキャリッジと、媒体支持部に支持された印
刷媒体の印刷対象面に沿ってキャリッジを相対移動させるキャリッジ移動機構と、インク
を貯留するインクタンクと、インクタンクとプリンタヘッドとを繋ぐインク流路を形成す
るインクチューブと、上記構成のダンパー装置とを備えて構成されるので、例えば上記と
同様の作用効果が得られるだけでなく、加減速度を高くするほど大きな慣性力が働いて、
弁体の応答性が向上するとともに各ポートを強固に塞ぐことができるため、キャリッジの
往復移動の更なる高速化、すなわち印刷の高速化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用したプリンタ装置を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】上記プリンタ装置を斜め後方から見た斜視図である。
【図3】上記プリンタ装置を構成する装置本体の要部構成を示す正面図である。
【図4】キャリッジの動作線図である。
【図5】プリンタヘッドの移動に伴うインクチューブの状態を説明するための模式図である。
【図6】上記プリンタ装置におけるダンパー装置の配置を示す模式図である。
【図7】第1実施形態に係るダンパー装置の側断面図であり、(a)は等速移動等の状態、(b)は右方向への加速移動等の状態、(c)は左方向への加速移動等の状態を示している。
【図8】第2実施形態に係るダンパー装置の側断面図である。
【図9】第3実施形態に係るダンパー装置を示し、(a)はダンパー装置の側断面図、(b)は矢印A−Aに沿った断面図である。
【図10】第3実施形態のダンパー装置の変形例を示す側断面図である。
【図11】第4実施形態に係るダンパー装置の側断面図である。
【図12】上記プリンタ装置におけるダンパー装置の異なる配置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明を適用
したインクジェットプリンタ(以下、プリンタ装置と称する)の一例として、印刷対象面
に沿った直交2軸のうち、一軸を印刷媒体移動、他の一軸をプリンタヘッド移動としたタ
イプのプリンタ装置Pを斜め前方から見た斜視図を図1に示し、斜め後方から見た斜視図
を図2に示すとともに、このプリンタ装置Pにおける装置本体1の要部構成を図3に示し
ており、まず、これらの図面を参照してプリンタ装置Pの全体構成について概要説明する
。なお、以降の説明では、図1中に付記する矢印F,R,Uの指す方向を、それぞれ前方
、右方、上方と称して説明する。
【0018】
プリンタ装置Pは、大別的には、メディアと称される塩ビシート等のシート状の印刷媒
体Mの印刷対象面に対して文字や図形等の印刷加工を行う横長矩形箱状の装置本体1、こ
の装置本体1を作業容易な高さ位置に支持する支持部2、支持部2の後側に設けられロー
ル状に巻かれた未加工状態の印刷媒体Mを装置本体1に送り出す送り出し機構3、及び支
持部2の前側に設けられ印刷が終了した印刷媒体Mを巻き取る巻き取り機構4などから構
成される。
【0019】
装置本体1は、躯体を形成するフレーム10の上下中間部に印刷媒体Mを前後に挿通さ
せる横長窓状のメディア挿通部15が形成され、このメディア挿通部15の下側に位置す
る下部フレーム10Lに、印刷媒体Mを支持するプラテン20、及びプラテン20に支持
された印刷媒体Mを前後に移動させるメディア移動機構30が設けられ、メディア挿通部
15の上側に位置する上部フレーム10Uに、プリンタヘッド60を保持するキャリッジ
40、及びキャリッジ40を左右に移動させるキャリッジ移動機構50が設けられている
。装置本体1には、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動、キャリッジ移動
機構50によるキャリッジ40の左右移動、プリンタヘッド60によるインクの吐出など
、プリンタ装置Pの各部の作動を制御するコントロールユニット80が設けられ、操作パ
ネル88が装置本体1の前面に配設されている。
【0020】
プラテン20は、メディア挿通部15下側を前後に延びて下部フレーム10Lに設けら
れており、プリンタヘッド60による左右帯状の描画領域には、印刷媒体Mを水平に支持
するメディア支持部21が形成されている。
【0021】
メディア移動機構30は、上部周面がプラテン20に露出して配設され左右に延びる円
筒状の送りローラ31と、この送りローラ31をタイミングベルト32を介して回転駆動
させるローラ駆動モータ33などからなり、送りローラ31の上方には、各々前後に回動
自在なピンチローラ36を有するローラアッセンブリ35が左右に並んで複数設けられて
いる。ローラアッセンブリ35は、ピンチローラ36を送りローラ31に押し付けるクラ
ンプ位置と、送りローラ31から離隔させたアンクランプ位置とに変位設定可能に構成さ
れており、ローラアッセンブリ35をクランプ位置に設定して印刷媒体Mをピンチローラ
36と送りローラ31との間に挟み込んだ状態でローラ駆動モータ33を回転駆動するこ
とにより、印刷媒体Mが送りローラ31の回転角度(コントロールユニット80から出力
される駆動制御値)に応じた送り量で前後に搬送される。なお、図3では、ローラアッセ
ンブリ35をクランプ位置に設定した状態とアンクランプ位置に設定した状態の両方を併
記している。
【0022】
キャリッジ40は、送りローラ31と平行に延びて上部フレーム10Uに取り付けられ
たガイドレール45に、図示省略するスライドブロックを介して左右に移動自在に支持さ
れており、次述するキャリッジ移動機構50により駆動される。キャリッジ40には、プ
リンタヘッド60及びダンパー装置100が搭載されており、キャリッジ40と一体とな
って左右に移動する。
【0023】
キャリッジ移動機構50は、ガイドレール45を挟んでフレーム10の左右側部に設け
られた駆動プーリ51及び従動プーリ52と、駆動プーリ51を回転駆動するキャリッジ
駆動モータ53と、駆動プーリ51と従動プーリ52との間に巻き掛けられた無端ベルト
状のタイミングベルト55とを備えて構成される。キャリッジ40はタイミングベルト5
5に連結固定されており、キャリッジ駆動モータ53を回転駆動することにより、ガイド
レール45に支持されたキャリッジ40が、キャリッジ駆動モータ53の回転角度(コン
トロールユニット80から出力される駆動制御値)に応じた移動量でプラテン20の上方
を左右に移動される。キャリッジ40は、コントロールユニット80による駆動制御に基
づいて、プラテン20上の走査領域を左右に往復移動して、この走査領域の左右端(折り
返し点)において加減速され、その中間の描画領域において等速度で駆動される(なお、
詳細については図面を用いて下記で詳述する)。
【0024】
プリンタヘッド60は、一般的には、プリンタ装置Pで用いるインクの数量に応じた数
のプリンタヘッドが左右に並んで配設され、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イ
エロー(Y)、ブラック(K)の基本4色の各インクに対応した4つのプリンタヘッド6
0から構成されており、各プリンタヘッド60がキャリッジ40の走査方向(左右方向)
に沿って等間隔一列となって配設されている。プリンタヘッド60の下面には、インクを
下方に向けて吐出可能なノズル面(図示せず)が形成されており、このノズル面がプラテ
ン20のメディア支持部21と所定ギャップを隔てて対向配置される。プリンタヘッド6
0において、ノズル先端にはインクの表面張力によって凹面状のメニスカス(meniscus)
が形成されることで、プリンタヘッドの内圧と大気圧とのバランスが保たれ、インクを正
常に吐出可能な状態としている。なお、プリンタヘッド60の駆動形態(インク微粒子の
吐出方式)は、サーマル方式またはピエゾ方式のいずれであってもよい。
【0025】
フレーム10の後面側には、このプリンタ装置Pにおける単位時間当たりのインク消費
量に応じた容量のインクを貯留するインクタンク70が着脱自在に装着されており、色単
位でインクタンク70とプリンタヘッド60とがインクチューブ71および輸液ポンプ(
図示せず)を介して連通している。インクタンク70に貯留されたインクは輸液ポンプに
より吸入されインクチューブ71を介してプリンタヘッド60に供給されるようになって
いる。インクタンク70からインクが供給されると、プリンタヘッド60は、コントロー
ルユニット80から出力される駆動信号(吐出波形)に応じた粒径および速度などでイン
クをノズルから吐出する。
【0026】
コントロールユニット80は、プリンタ装置Pの各部の作動を制御する制御プログラム
が書き込まれたROM、印刷媒体Mに描画する印刷プログラム等を一時記憶するRAM、
RAMから読み込まれた印刷プログラムや操作パネル88から入力された操作信号等に基
づいて演算処理を行い、制御プログラムに従って各部の作動を制御するCPU(演算処理
部)、プリンタ装置Pの作動状態等を表示する表示パネル及び各種操作スイッチが設けら
れた操作パネル88などを備え、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動、キ
ャリッジ移動機構50によるキャリッジ40の左右移動、インクタンク70によるインク
の供給、プリンタヘッド60の各ノズルからのインク吐出などを制御する。
【0027】
例えば、コントロールユニット80に読み込まれた印刷プログラムに基づいて印刷媒体
Mに描画を行う場合において、メディア移動機構30による印刷媒体Mの前後移動と、キ
ャリッジ移動機構50によるキャリッジ40の左右移動(往復移動)とを組み合わせて印
刷媒体Mとプリンタヘッド60とを相対移動させるとともに、各プリンタヘッド60から
印刷媒体Mにインクを吐出させて、印刷プログラムに応じた情報を描画するようになって
いる。
【0028】
このときのキャリッジ40の動作について、図4に示す動作線図を追加参照しながら説
明する。なお、図中において、縦軸がキャリッジ40の移動速度を表し、横軸が時間経過
を表すとともに、グラフの傾きがキャリッジ40の加減速度を表している。
【0029】
キャリッジ40の走査領域は、図4に示すように、大別的には加速領域、等速領域、お
よび減速領域の3つの領域に区分される。加速領域は、キャリッジ40が移動(加速)を
開始したときから、キャリッジ40の移動速度がプリンタヘッド60による印刷動作のた
めの基準速度に到達するまでの領域である。等速領域は、キャリッジ40が一定の基準速
度(等速度)で移動しながらプリンタヘッド60により印刷プログラムに応じた情報を印
刷媒体Mに描画するための領域である。なお、このようにキャリッジ40を等速度で移動
させるのは、プリンタヘッド60の各ノズルから印刷媒体Mに吐出させるインク粒の飛翔
軌跡を安定させることにより、インク粒を印刷媒体Mの所望の位置に正確に着弾させるこ
とができるからである。減速領域は、プリンタヘッド60による印刷動作が終了し、キャ
リッジ40の移動速度を減速させてから、一時的に動作を停止する(逆方向への加速を開
始する)までの領域である。なお、この図4ではキャリッジ40の片道の走査移動に関す
る速度変化のみを示しているが、実際には移動方向を左右に順次切り替えながらこのよう
なキャリッジ40の移動が連続的に繰り返されて、キャリッジ40の往復移動がなされて
いる。よって、走査領域の左右の端部がキャリッジ40の折り返し点であり、この折り返
し点の前後でキャリッジ40が加減速することになる。
【0030】
このような走査領域で往復移動するキャリッジ40にプリンタヘッド60が一体的に保
持されており、プリンタヘッド60と、このプリンタヘッド60に繋がるインクチューブ
71とが走査領域においてキャリッジ40とともに加減速される場合を、図5を追加参照
しながら説明する。なお、この図5では、走査領域においてプリンタヘッド60が左端の
折り返し点にある場合、中央にある場合、右端の折り返し点にある場合を図示している。
【0031】
インクチューブ71は、例えば図示省略するケーブル保持部材に覆われた状態で保持さ
れており、インクタンク70から左方へ延びてU字状に折り返された上でプリンタヘッド
60内のインク供給室(図示せず)に接続されている。そのため、キャリッジ40がガイ
ドレール45に沿って往復移動する際に、インクチューブ71がガイドレール45等の構
成部材と接触しないようになっている。このように配設されるインクチューブ71の全長
自体は常に一定であるが、このインクチューブ71のうち、プリンタヘッド60とともに
左右に移動する部分の長さLは、プリンタヘッド60の位置に応じて変化する。ここで、
上述した走査領域の全長がプリンタヘッド60の片道移動距離(最大移動幅)Wであり、
プリンタヘッド60が走査領域において左端、中央、右端に位置するときのインクチュー
ブ71の長さLl,Lm,Lrは簡略的に次式(1)〜(3)で表すことができる。
【0032】
Ll=K …(1)
Lm=W/4+K …(2)
Lr=W/2+K …(3)
【0033】
このインクチューブ71の長さLに当該インクチューブ71の内径の大きさを乗算する
ことで、プリンタヘッド60とともに往復移動を行うインクチューブ71の部分(長さL
の部分)に滞留するインクの量が求められる。ここでキャリッジ40が走査領域を右方へ
移動しているときに減速する場合、このインクチューブ71内に滞留するインクは、慣性
の法則に従って(自身に作用する慣性力によって)右方への移動を継続しようとする。こ
れにより、インクチューブ71内をインクがプリンタヘッド60側(図5での右方向)へ
多量に流れるため、プリンタヘッド60の内圧が加圧方向に変動し、プリンタヘッド60
のノズル位置に形成されるインクのメニスカスが破壊されて、インクがノズルから噴出し
て印刷媒体上に滴下する現象(いわゆる「インクのボタ落ち現象」)が発生する。
【0034】
さらに、キャリッジ40が左方向へ加速している場合には、インクが取り残される方向
(右方向)へ慣性力が働くため、このとき加速度が所定値を超えると、上記と同様にイン
クがノズルから噴出するボタ落ち現象が発生する。
【0035】
一方、図5においてキャリッジ40が左方へ移動しているときに減速する場合、もしく
は右方向へ加速している場合には、インクに働く慣性力の方向はいずれもインクがノズル
から引き込まれる方向(インクが逆流する左方向)であるため、プリンタヘッド60の内
圧が減圧方向に変動し、ノズル位置に形成されるインクのメニスカスが破壊されると、気
泡がノズルの内部に侵入し、インクの吐出が不能となる現象(いわゆる「インクのドカ抜
け現象」)が発生する。
【0036】
そこで、このような不具合を是正するために、本実施形態に係るプリンタ装置Pにおい
ては、インクタンク70とプリンタヘッド60とを繋ぐインク流路(インクチューブ71
)の途中にダンパー装置が設けられている。このダンパー装置は、各色のインクチューブ
71ごとに1個ずつ配設されているので、本実施形態では計4個のダンパー装置が配設さ
れており、その各々の構成は全て同様である。それでは、プリンタ装置Pに搭載されるダ
ンパー装置について以下説明する。
【0037】
まず、第1の実施形態に係るダンパー装置100について、図6および図7を参照して
説明する。ここで、図6はプリンタ装置Pにおけるダンパー装置100の配置図、図7は
ダンパー装置100の側断面図である。なお、図6では、計4個のダンパー装置100の
うち1個のみを図示しているとともに、キャリッジ40を、二点鎖線を用いて仮想的に図
示している。
【0038】
ダンパー装置100は、インクチューブ71の途中に水平姿勢で介設されたハウジング
110と、このハウジング110内に収容された球弁体130とを備えて構成されており
、プリンタヘッド60と共にキャリッジ40に一体的に保持されている。なお、以降の説
明においては、図7におけるダンパー装置100の左側をインクタンク70へ通じる「上
流側」と称し、右側をプリンタヘッド60に通じる「下流側」と称して説明する。
【0039】
ハウジング110は、インク流路ともなる弁室111を有して中空状に形成されている
。弁室111は、ハウジング110の内周壁によって区画されてインクの流通する方向を
長軸方向とする楕円球形状を呈しており、この弁室111の底面112よりも上方に位置
して、上流側に入口ポート113が穿設され、この入口ポート113に対向する下流側に
出口ポート114が穿設されている。入口ポート111には接続管121を介してインク
タンク70に繋がる上流側のインクチューブ71(上流側チューブ71a)が接続され、
出口ポート114には接続管122を介してプリンタヘッド60に繋がる下流側のインク
チューブ71(下流側チューブ71b)が接続されており、これによりハウジング110
内にもインク流路が形成される。弁室111の底面112には、入口ポート113および
出口ポート114から当該底面112の中央(最深部119)に向けて円弧状に降下する
湾曲が形成されており、各ポート113,114の周縁部には、球弁体130が着座する
ための座面115,116が形成されている。
【0040】
球弁体130は、例えばステンレス等の鋼球からなる弁体であり、弁室111内におい
て任意の方向へ移動自在(転動自在)となるように自由状態で設けられている。そのため
、球弁体130が座面115,116から離間したときには、この球弁体130は自重に
よって弁室111の底面112(中央の最深部119)上で静止した状態になる。球弁体
130の材質については鋼材に限定されないが、インクよりも比重が大きく(例えばイン
クの比重の2倍程度に)設定されていることが好ましい。これは、弁室111内をインク
が流通する際に球弁体130がインクに浮揚して、インクの流通を阻害するのを防止する
ためであるととともに、後述するように慣性力や重力の作用によって球弁体130の移動
を制御し易くするためである。球弁体130は、入口ポート113および出口ポート11
4を通過不能な直径を有し(すなわち、各ポート113,114の内径よりも大径に形成
され)、球弁体130がハウジング110に対して(底面112に沿って)相対移動した
ときに、入口ポート113又は出口ポート114の周縁に形成された座面115,116
に着座してそのポートを閉止し得るようになっている。
【0041】
なお、図7に示すように、ダンパー装置100の両ポート113,114に接続管12
1,122を介してインクチューブ71(上流側チューブ71a,下流側チューブ71b
)が接続されることで、ダンパーチューブアッセンブリが構成されている(後述する他の
実施形態のダンパー装置においても同様とする)。
【0042】
以上ここまでは、プリンタ装置Pの各構成部材について説明したが、以下において、印
刷時におけるダンパー装置100の作動原理について説明する。
【0043】
まず、キャリッジ40が停止しているときは、キャリッジ40と一体的に移動するダン
パー装置100も停止状態であり、このダンパー装置100においては、ハウジング11
0の弁室111内で球弁体130が楕円球面状の底面112の中央位置(最深部119)
に静止している。また、キャリッジ40が等速領域を一定の基準速度で移動しているとき
、すなわちプリンタヘッド60により印刷動作が実行されているときには、球弁体130
はハウジング110と一体的に同じ速度で移動し、この球弁体130にはハウジング11
0に対して相対的に移動するような力は働かないため、この場合にも球弁体130は弁室
111内の底面112で静止している。このように球弁体130が静止している状態では
、弁室111の各ポート113,114は開放されインクの流れが何ら妨げられないため
、上流側のインクチューブ71からのインクをプリンタヘッド60へ滞りなく供給するこ
とが可能である。
【0044】
キャリッジ40の往復移動においてキャリッジ40が右方向へ加速もしくは左方向へ減
速し、このキャリッジ40に一体的に取り付けられたダンパー装置100にも当該方向へ
の加減速度が生じると、ダンパー装置100の弁室111内において球弁体130には入
口ポート113側(左方向)に慣性力が作用する。このとき球弁体130は慣性の法則に
従って自身の位置を維持しようとするため、この状態をハウジング110の外部から観察
すると、球弁体130が底面112に沿って高さhだけ上方にある入口ポート113の座
面115の位置まで相対的に移動して、入口ポート113を閉止するように見える。
【0045】
ここで、球弁体130に作用する慣性力Fについては、球弁体130の質量をm、キャ
リッジ40の加減速度をαとすると次式(4)で表すことができる。
F=m×α …(4)
【0046】
このようにキャリッジ40が右方向へ加速もしくは左方向へ減速する場合、インクチュ
ーブ71のインクに対しても上流側(左方向)への慣性力が働いて、プリンタヘッド60
内の圧力状態を減圧させる方向にインクが流れようとするが、球弁体130によって入口
ポート113は閉止されるため、プリンタヘッド60内の圧力変動が抑制され、インクの
ドカ抜け現象が防止される。
【0047】
一方、キャリッジ40の往復移動においてキャリッジ40が左方向へ加速もしくは右方
向へ減速し、このキャリッジ40に一体的に取り付けられたダンパー装置100にも当該
方向への加減速度が生じると、ダンパー装置100の弁室111内において球弁体130
には出口ポート114側(右方向)に慣性力が作用することになる。このときも球弁体1
30は慣性の法則に従って自身の位置を維持しようとして、底面112に沿って高さhだ
け上方にある出口ポート114の座面116の位置まで相対的に移動し、出口ポート11
4を閉止することになる。
【0048】
このようにキャリッジ40が左方向へ加速もしくは右方向へ減速する場合、インクチュ
ーブ71内のインクに対しても下流側(右方向)への慣性力が働いて、プリンタヘッド6
0内の圧力状態を加圧させる方向にインクが流れようとするが、球弁体130によって出
口ポート114は閉止されるため、プリンタヘッド60内の圧力変動が抑制され、インク
のボタ落ち現象が防止される。
【0049】
そして、キャリッジ40が上記のような加減速領域から等速領域に移行して球弁体13
0に慣性力が働かなくなると(或いは、慣性力が所定値以下になると)、球弁体130は
自重により座面115,116から離間し、弁室111の底面112に沿って転動降下し
、左右に何度か減衰運動をした後、最終的には底面112の中央位置(最深部119)で
静止することになる。そのため、プリンタヘッド60による印刷動作時において、ハウジ
ング110内で球弁体130がインクの流れを阻害することがなく、インクタンク70か
らのインクをプリンタヘッド60内へ適正に供給することができる。なお、キャリッジ4
0が等速領域を移動しているときに、球弁体130は完全に底面上で静止している必要は
なく、各ポート113,114を閉止しない程度(インクの流れを阻害しない程度)にお
いて底面112上で減衰運動(左右方向に反復運動)を行っていてもよい。
【0050】
また、プリンタ装置Pの作動停止や印刷終了の際にキャリッジ40を停止させるときに
も、その停止に伴う減速によって球弁体130には慣性力が働くため、この場合にもイン
ク流路を適正に閉止させることができる。
【0051】
そのため、以上説明した本実施形態に係るプリンタ装置Pによれば、インクタンク70
とプリンタヘッド60とを繋ぐインクチューブ71の途中に、これらプリンタヘッド60
やインクチューブ71と共にキャリッジ40と一体的に移動するダンパー装置100を介
装し、キャリッジ40の往復移動に伴って生じる加減速度をダンパー装置100の球弁体
130に感知させ、キャリッジ40が加減速しているときには、球弁体130が慣性の法
則に従って弁室111の底面112に沿って転動し当該慣性力の方向に応じて入口ポート
113又は出口ポート114の座面115,116に選択的に着座してインク流路を閉止
するため、プリンタヘッド60内の圧力変動を抑制して、インクのボタ落ち現象及びドカ
抜け現象を防止することが可能になる。
【0052】
一方、プリンタヘッド60により印刷動作が行われているとき、すなわちキャリッジ4
0が等速移動している(加減速していない)ときには、球弁体130が重力の作用によっ
て弁室111の底面112を転動降下して入口ポート113および出口ポート114を塞
さがない位置に変位しインク流路を開放するため、インクの吐出に応じてインクタンク7
0からのインクをプリンタヘッド60へ滞りなく供給することが可能である。
【0053】
また、球弁体130を各ポート113,114と最深部119との間を慣性力もしくは
自重により転動させて座面115,116に着座もしくは離間させるという簡便な構成に
より、インク流路を開閉することができるため、部品点数の削減、小型・軽量化および低
コスト化を図ることが可能になる。
【0054】
ところで、キャリッジ40の加減速に伴って球弁体130に作用する慣性力により、こ
の球弁体130を弁室111内で相対的に上昇させ得る最大高さHmaxは、キャリッジ4
0の移動速度をVとし、キャリッジ40の加減速度をαとすると、球弁体130に潜在す
る位置エネルギーと運動エネルギーとの関係より、次式(5)で求めることができる。
Hmax=V2/2α …(5)
ここで、加減速度αを1G(=9.8[m/sec2])程度とし、キャリッジ40の移動速度V
を1[m/sec]とすると、式(5)より、
Hmax=0.05m=50mm
となる。
【0055】
つまり、上記のキャリッジ40の走査条件で球弁体130は弁室111内を最大50mm位
まで相対的に上昇できることを示している。なお、実際の運用においては、インクの流れ
に対する抵抗や球弁体130の応答性(反応時間)の遅延を低下させるために、球弁体1
30の直径は小さいほうが好ましく、誤動作防止のためには上記走査条件の下で、最大高
さHmaxを0.5〜5.0[mm]程度に設定して、ハウジング110(弁室111)の形状寸法
を構築することが好ましい。
【0056】
なお、このように球弁体130に慣性力が働くことで、当該球弁体130が各ポート1
13,114の座面115,116に着座してインク流路を閉止することになるが、上述
のようにインクチューブ71およびハウジング110内に滞留するインク自体にも慣性力
が働いているため、球弁体130は自身の慣性力のみならず、インクの流体力(インクに
働く慣性力)も背圧として併せて受けて、座面115もしくは座面116の側へ移動して
いる。更に、当該インクの流れに伴って、球弁体130によって閉止しようとするポート
113,114近傍に負圧が発生することで、球弁体130はポート113,114側に
引き込まれるように移動しており、これらの相乗効果により球弁体130が座面115,
116に正確に着座するようになっている。
【0057】
次に、第2実施形態に係るダンパー装置200について図8を参照して説明する。なお
、以下の説明において、上記のプリンタ装置Pの構成部材と同一の構成部材には同一の部
材番号を付してそれらの説明を省略する。ここで、図8はダンパー装置200の側断面図
である。
【0058】
ダンパー装置200は、左右の接続管221,222を介してインクチューブ71に介
設された略中空円筒状のハウジング210と、このハウジング210内に収容された球弁
体230とを備えて構成される。なお、この第2実施形態のダンパー装置200において
は、第1実施形態のダンパー装置100に対して、主にハウジング210の構成が異なっ
ている。
【0059】
ハウジング210は、このハウジング210の内周壁によって区画されてインク流路と
もなる弁室211を有している。この弁室211は、略円形断面の通路となって中央の円
筒面211aから各ポート213,214に向かって徐々に内径が小さくなる円錐面21
1bを有しており、この円錐面211bが球弁体130を着座させるための座面215,
216ともなっている。
【0060】
このダンパー装置200においては、キャリッジ40が加減速していないときは、球弁
体230が底面212上で一定の幅を持つ最深部219(円筒面211a上)に静止して
おり、キャリッジ40が加減速して慣性力が働くと球弁体230は円錐面211bの傾斜
を上って座面215,216に着座し、インク流路を閉止するようになっている。
【0061】
このように構成される第2実施形態のダンパー装置200においても、キャリッジ40
が加減速しているときには、球弁体230が慣性の法則に従って弁室211の底面212
に沿って転動し当該慣性力の方向に応じて入口ポート213又は出口ポート214の座面
215,216に選択的に着座してインク流路を閉止するため、プリンタヘッド60内の
圧力変動を抑制して、インクのボタ落ち現象及びドカ抜け現象を防止することが可能にな
る。一方、キャリッジ40が加減速していないときには、球弁体230が重力の作用によ
って弁室211の底面212を転動降下して入口ポート213および出口ポート214を
塞さがない位置に変位しインク流路を開放するため、インクの吐出に応じてインクタンク
70からのインクをプリンタヘッド60へ滞りなく供給することが可能である。また、球
弁体130を各ポート213,214と最深部219との間を慣性力もしくは自重により
転動させて座面215,216に着座もしくは離間させるという簡便な構成により、イン
ク流路を開閉することができるため、部品点数の削減、小型・軽量化および低コスト化を
図ることが可能になる。
【0062】
よって、前述の第1実施形態に係るダンパー装置100と同様の効果が得られるのであ
るが、この第2実施形態に係るダンパー装置200では、球弁体230を底面212の最
深部219から各ポート213,214に導くための円錐面211bが座面としても機能
するため、ポート213,214近傍に到達した球弁体230がスムーズにより安定して
座面215,216に着座することができるという点で特徴的である。
【0063】
次に、第3実施形態に係るダンパー装置300について図9を参照して説明する。なお
、以下の説明において、上記のプリンタ装置Pの構成部材と同一の構成部材には同一の部
材番号を付してそれらの説明を省略する。ここで、図9(a)はダンパー装置300の側
断面図、図9(b)は矢印A−Aに沿った断面図である。
【0064】
ダンパー装置300は、斜め上方に延びる左右の接続管321,322を介してインク
チューブ71に介設されたハウジング310と、このハウジング310内に収容された球
弁体330とを備えて構成される。なお、この第3実施形態のダンパー装置300におい
ては、第1実施形態のダンパー装置100に対して、主にハウジング310の構成が異な
っている。
【0065】
ハウジング310は、U字型に屈曲した略矩形管形状を呈しており、このハウジング3
10の内周壁によって区画されてインク流路ともなる弁室311が形成されている。この
弁室311にあっては、入口ポート313と出口ポート314との間の中央部が最深部3
19となり、底面312はこの最深部319から各ポート313,314に向かって円弧
状に上昇する湾曲を有している。弁室311の両端には、各ポート313,314に向か
って徐々に内径が小さくなる円錐面状の座面315,316が形成されている。なお、こ
の座面315,316と底面312との間には段差317,318が形成され、所定のし
きい値以上の慣性力(およびインクからの流体力)が球弁体310に作用しなかった場合
に、球弁体330がこの段差317,318に突き当たって移動が規制されるため、球弁
体330が誤作動によってインク流路を閉止するような不具合が防止されるようになって
いる。また、弁室311の底面312は、図9(b)に示すように、上方に向かってV字
状に開いた溝部を有しており、球弁体330と底面312との接触面積を減少させるとと
もに、球弁体330の側方(紙面に対して直交する方向)への振れを防止している。
【0066】
このダンパー装置300においては、キャリッジ40が加減速していないときは、球弁
体330が底面312の最深部319に静止しており、キャリッジ40が加減速して慣性
力が働くと球弁体330は円弧状の湾曲を上って座面315,316に着座し、インク流
路を閉止するようになっている。
【0067】
このように構成される第3実施形態のダンパー装置においても、キャリッジ40が加減
速しているときには、球弁体330が慣性の法則に従って弁室311の底面312に沿っ
て転動し当該慣性力の方向に応じて入口ポート313又は出口ポート314の座面315
,316に選択的に着座してインク流路を閉止するため、プリンタヘッド60内の圧力変
動を抑制して、インクのボタ落ち現象及びドカ抜け現象を防止することが可能になる。一
方、キャリッジ40が加減速していないときには、球弁体330が重力の作用によって弁
室311の底面312を転動降下して入口ポート313および出口ポート314を塞さが
ない位置に変位しインク流路を開放するため、インクの吐出に応じてインクタンク70か
らのインクをプリンタヘッド60へ滞りなく供給することが可能である。また、球弁体3
30を各ポート313,314と最深部319との間を慣性力もしくは自重により転動さ
せて座面315,316に着座もしくは離間させるという簡便な構成により、インク流路
を開閉することができるため、部品点数の削減、小型・軽量化および低コスト化を図るこ
とが可能になる。
【0068】
よって、前述の第1実施形態に係るダンパー装置100と同様の効果が得られるのであ
るが、この第3実施形態に係るダンパー装置300では、球弁体330の動作開始位置が
常に一定であり、底面312のV字状の溝部により横振れも抑制されているため、球弁体
330の動作時間のばらつきが低減されるという点で特徴的である。また、座面315,
316と底面312との境界に設けられた段差317,318により、球弁体330の誤
作動が防止されるため、ダンパー装置300においてダンピング機能(圧力抑制機能)の
信頼性をより向上させることが可能になる。
【0069】
ここで、第3実施形態のダンパー装置300の変形例を図10に示している。このダン
パー装置300′は、上述のダンパー装置300に対して、ハウジング310内に球弁体
330が二個収容されている点、底面312の中央部に仕切部340が突出形成されてい
る点で異なっている。このダンパー装置300′では、弁室311が仕切部340によっ
て左右に略二分されて入口側弁室311aおよび出口側弁室311bを形成し、入口側弁
室311aおよび出口側弁室311bに球弁体330が各1個ずつ収容されている。弁室
311内において仕切部340の上方は開口されて、入口側弁室311aと出口側弁室3
11bとの連通路となっているため、この仕切部340を形成したことによってインクの
流れが阻害されるおそれはない。従って、このような構成のダンパー装置300′によれ
ば、各弁室311a,311bで球弁体330を各々独立して作動させることができるた
め、インク流路の開閉のための応答性をより向上させることができるという点で特徴的で
ある。また、球弁体330が座面315もしくは座面316に着座したときにハウジング
310内部のインクから受ける流体圧(背圧)が入口側と出口側とで異なる場合などに、
この入口側と出口側とで座面315,316の形状を異ならしめて、球弁体330と座面
315,316とがそれぞれ適当な圧力でシート当たりするようにしてもよい。
【0070】
次に、第4実施形態に係るダンパー装置400について図11を参照して説明する。な
お、以下の説明において、上記のプリンタ装置Pの構成部材と同一の構成部材には同一の
部材番号を付してそれらの説明を省略する。ここで、図11はダンパー装置400の側断
面図である。
【0071】
ダンパー装置400は、鉛直方向に延びる左右の接続管421,422を介してインク
チューブ71に介設された密閉容器状のハウジング410と、ハウジング410の弁室4
11の天面中央から支持軸432を介して垂下された支持部材431によって任意の方向
に揺動自在に吊り下げられた球弁体430とを備えており、球弁体430および支持部材
431により振り子が構成されている。球弁体430を支持する支持部材431としては
、例えばワイヤー等の可撓性を有する線状部材であっても、非可撓性のロッド状部材であ
ってもよい。
【0072】
各接続管421,422はハウジング410に直立姿勢で保持されており、この接続管
421,422の末端には各ポート413,414を有する略円筒状の受球部材423,
424が一体的に設けられている。この受球部材423,424の内周壁には、球弁体3
30を着座させるための円錐面状の座面415,416が形成されている。弁室411の
底面412は、振り子(球弁体430)の揺動軌跡に倣って円弧状に湾曲している。
【0073】
このダンパー装置400においては、キャリッジ40が加減速していないときは、球弁
体430が垂下状態で静止しており、キャリッジ40が加減速して慣性力が働くと、この
慣性力により球弁体430が入口ポート413と出口ポート414との間で振り子運動を
行って座面415,416に着座し、インク流路を閉止するようになっている。
【0074】
このように構成される第4実施形態のダンパー装置400によれば、キャリッジ40が
加減速しているときには、球弁体430が慣性の法則に従って弁室411内で振り子運動
を行い、当該慣性力の方向に応じて入口ポート413又は出口ポート414の座面415
,416に選択的に着座してインク流路を閉止するため、プリンタヘッド60内の圧力変
動を抑制して、インクのボタ落ち現象及びドカ抜け現象を防止することが可能になる。一
方、キャリッジ40が加減速していないときには、球弁体430が重力の作用によって弁
室311内で垂下状態で静止してインク流路を開放するため、インクの吐出に応じてイン
クタンク70からのインクをプリンタヘッド60へ滞りなく供給することが可能である。
また、球弁体430を各ポート413,414の間で振り子運動させて座面415,41
6に着座もしくは離間させるという簡便な構成により、インク流路を開閉することができ
るため、部品点数の削減、小型・軽量化および低コスト化を図ることが可能になる。
【0075】
よって、前述の第1実施形態に係るダンパー装置100と同様の効果が得られるのであ
るが、この第4実施形態に係るダンパー装置400では、球弁体430を底面412上で
転動させる必要がないため、球弁体430に底面412との接触による磨耗が生じること
がなく、球弁体430の経年磨耗による変形によって、球弁体430と座面415,41
6とがシート当たり不良を起こすのを防止できるという点で特徴的である。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係るダンパー装置100〜400、ダンパーチュー
ブアッセンブリ、およびプリンタ装置Pによれば、プリンタヘッド60内の圧力変動を抑
制して、インクのボタ落ち現象及びドカ抜け現象を防止することが可能になる。また、加
減速度を高くするほど大きな慣性力が働いて、球弁体の応答性が向上するとともに各ポー
トを強固に塞ぐことができるため、キャリッジ40の往復移動の更なる高速化、すなわち
印刷の高速化を図ることも可能である。
【0077】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれに限
定されるものではない。例えば図12に示すように、インクチューブ71(インク流路)
の途中に、上述の実施形態に係るダンパー装置100等と、他の方式のダンパー装置50
0とを併設して構成してもよい。他の方式のダンパー装置500としては、種々の公知の
形態を採用することができ、例えば、本出願人に係る、特開2009−178889号公
報に開示した構成などが例示される。なおこのとき、他の方式のダンパー装置500に対
して、本実施形態のダンパー装置100等を、図12(a)に示すように上流側に配置し
ても、図12(b)に示すように下流側に配置してもよい。
【0078】
また、弁体を開放方向(開弁方向)に常時付勢する付勢手段を取り付け、キャリッジ4
0が加減速していないときには弁体を付勢力の作用によりポートを開放する位置に移動さ
せ、キャリッジ40が加減速したときには弁体を慣性力の作用によりポートを閉止する位
置に移動させるように構成してもよい。付勢手段としては、例えば、コイルバネ、捩りバ
ネ、板バネ、皿バネなどのバネ部材が例示される。
【0079】
また、弁体を磁性部材により形成して、弁室内又は弁室外に配設した磁石(例えば、電
磁石、永久磁石)により、キャリッジ40が加減速していないときには電磁石をオンにし
て弁体を磁石の磁力(吸着力)によりポートを開放する位置に移動させ、キャリッジ40
が加減速したときには、電磁石をオフにして弁体を慣性力の作用によりポートを閉止する
位置に移動させるように構成してもよい。
【0080】
また、キャリッジ40の加速度を検出する加速度検出器(加速度センサ)を取り付けて
、キャリッジ40の加速度が所定の閾値を超えたときにアクチュエータを作動させ、慣性
力とともにアクチュエータの付勢力を弁体に付加するようにしてもよい。また、ハウジン
グの弁室内に開閉部材を別途設けて、加速度検出器において検出した加速度に応じて、こ
の開閉部材を作動させて、弁体によって各ポートを開閉するとともに、これと同期して、
開閉部材によって弁室を開閉するように構成してもよい。
【0081】
また、上述したように、キャリッジ40が加減速したときにインクチューブ71内のイ
ンクにも慣性力が働いて、これに伴うインク自体の流れによって弁体を各ポートの側へ押
し流すこともできるため、インク流路中のいずれの場所にダンパー装置を配置してもよく
、これにより所定のダンピング効果が得られる。但し、弁体自身に働く慣性力を利用した
方が、その相乗効果によって応答性も向上するため、ダンパー装置をキャリッジ40上の
何れかの位置に配置するのが好ましい。
【0082】
また、上述の実施形態において、球弁体を鋼球として形成した構成を例示しているが、
これに限定されるものではなく、例えば、鋼球(金属)とインクとの接触を回避するため
に、鋼球をポリエチレンやフッ素樹脂等のプラスチックで被覆してもよい。また、球弁体
は金属と樹脂を混合した成形品であってもよい。さらに、慣性の作用に従ってインク流路
を閉止する目的に適えば、必ずしも弁体が球体である必要はなく、楕円球体や円筒体等の
回転体であっても、多角柱や多角錐等であってもよい。
【0083】
また、弁体を着座させるための座面の形状については、上述の実施形態で例示したよう
な楕円球面、円錐面等に限定されず、各ポートを閉止し得る形状であればよく、例えば、
球弁体の外形に倣った形状などが挙げられる。なお、弁体によって各ポートが完全に閉止
される必要はなく、プリンタヘッドの内圧を変動させない程度にリークしていてもよい。
【0084】
また、弁室の断面形状については、円形や楕円形、方形等に限定されず、弁体の移動を
妨げない構造であれば、種々の形状が適用される。例えば、円形の場合は、楕円形に比べ
て各ポート口の開放時の応答を速くするときに有効である。また、入口ポート側と出口ポ
ート側とで異なる形状で形成してもよい。例えば、入口ポート側の形状を楕円形状とし、
出口ポート側の形状を円形状としてもよい。また、ハウジングの下側に曲面やテーパ面が
形成されていればよいので、ハウジングにおいて上側半分の形状を立方体形状とし、下側
半分の形状を球形状としてもよい。
【0085】
また、上述の実施形態では、図7及び図8に例示したダンパー装置の場合、左右方向に
入口ポート及び出口ポートが配置された場合を示しているが、加速度変化に伴う急激なイ
ンクの流れを防ぐ必要があるポートを塞げるのであれば、各ポートの取付位置は上記実施
形態に示したものに限定されない。例えば、入口ポートを左側に位置させ、出口ポートを
上側に位置させて、インクの流れを略90度方向転換させてもよい。
【0086】
また、インクの種類については、水性インク、油性インク、ソルベントインク、UV硬
化性インク、熱硬化性インク等、特に限定されるものではない。なお、このようなインク
の特性に応じて、弁体の形状・材質を選定することが好ましく、これによりインクと弁体
との接触によって、インクが変質する(インクの物性値が変化する)のを防止することが
できる。また、インク色ごとの特性に応じて、弁体の形状や材質を変更してもよい。
【0087】
また、上述の実施形態において、インクタンク70の形態は、円筒容器状や柔軟性のあ
る袋状など他の形態であってもよく、インクタンク70の配設位置は、装置本体1の前面
側や上部、あるいは装置本体1とは別置きなど、適宜に配設することができる。また、イ
ンタタンク70(メインタンク)とプリンタヘッド60との間に、インクのサブタンクを
設けてもよい。
【0088】
また、インクタンク70とプリンタヘッド60との位置関係(水頭差)についても特に
限定されず、適宜な水頭値に設定された状態でダンパー装置は適用される。特に、ノズル
面にメニスカスを良好に形成するためには、プリンタヘッド60よりもインクタンク70
を低い姿勢に配置(例えば、5〜10[cm]程度低く)して水頭差を発生させることで、
プリンタヘッド60のノズル面よりも内側の圧力を大気圧より低下させていることが好ま
しい。
【0089】
なお、上述の実施形態では、本発明を適用したインクジェットプリンタの一例として、
一軸印刷媒体移動、一軸プリンタヘッド移動タイプのプリンタ装置を示したが、本発明は
他の形態のインクジェットプリンタ、例えば、二軸プリンタヘッド移動タイプのインクジ
ェットプリンタ等に適用することも可能である。二軸プリンタヘッド移動タイプの場合、
対応する軸方向ごとに本発明のダンパー装置の向きを合わせて配置するのが好ましい。
【符号の説明】
【0090】
P プリンタ装置(インクジェットプリンタ)
M 印刷媒体
20 プラテン(媒体支持部)
40 キャリッジ
50 キャリッジ移動機構
60 プリンタヘッド
70 インクタンク
71 インクチューブ
71a 上流側チューブ
71b 下流側チューブ
100 ダンパー装置(第1実施形態)
110 ハウジング
111 弁室
112 底面
113 入口ポート
114 出口ポート
119 最深部
130 球弁体(弁体)
200 ダンパー装置(第2実施形態)
300 ダンパー装置(第3実施形態)
300′ ダンパー装置(第3実施形態の変形例)
400 ダンパー装置(第4実施形態)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体にインクを吐出するプリンタヘッドを有して所定の走査方向に沿って往復移動
するキャリッジを備えたインクジェットプリンタにおいて、
インクを貯留するインクタンクと前記プリンタヘッドとの間を繋ぐインク流路の途中に
設けられ、前記インク流路を開閉するダンパー装置であって、
前記インク流路に連通する弁室を内部に備え、前記キャリッジと一体的に往復移動する
ハウジングと、
前記ハウジングの一端部に形成され、前記インクタンク側の前記インク流路と前記弁室
とを連通させる入口ポートと、
前記ハウジングの他端部に形成され、前記プリンタヘッド側の前記インク流路と前記弁
室とを連通させる出口ポートと、
前記弁室内に相対移動自在に収容される弁体とを備え、
前記弁体は、
前記キャリッジが加減速したときに、当該加減速に伴う慣性力の作用を受けて、当該慣
性力の作用方向に応じて前記入口ポート又は前記出口ポートのいずれかを塞ぐ位置へ選択
的に相対移動して前記インク流路を閉止し、
前記キャリッジが加減速していないときには、前記入口ポート及び前記出口ポートを開
口する位置へ自重によって相対移動して前記インク流路を開放することを特徴とするダン
パー装置。
【請求項2】
前記弁室の底面が、前記入口ポートと前記出口ポートとの中間位置の下方に最深部を有
するとともに、前記入口ポートおよび前記出口ポートから前記最深部に向けて降下する傾
斜もしくは湾曲を有しており、
前記弁体が、前記底面を転動可能な回転体からなることを特徴とする請求項1に記載の
ダンパー装置。
【請求項3】
前記弁体が、前記弁室の天面から支持部材により揺動自在に垂下状態で吊り下げられ、
前記キャリッジの往復移動に伴う慣性力および重力の作用を受けて振り子運動を行うよう
に構成され、
前記振り子運動による前記弁体の揺動軌跡上に前記入口ポート及び前記出口ポートを配
置したことを特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれに記載のダンパー装置と、
前記入口ポートに接続され前記インクタンク側の前記インク流路を形成し得る上流側チ
ューブ及び前記出口ポートに接続され前記プリンタヘッド側の前記インク流路を形成し得
る下流側チューブの少なくとも一方のチューブとを備えて構成されることを特徴とするダ
ンパーチューブアッセンブリ。
【請求項5】
印刷媒体を支持する媒体支持部と、
インクを吐出するプリンタヘッドを有するキャリッジと、
前記媒体支持部に支持された前記印刷媒体の印刷対象面に沿って前記キャリッジを相対
移動させるキャリッジ移動機構と、
インクを貯留するインクタンクと、
前記インクタンクと前記プリンタヘッドとを繋ぐインク流路を形成するインクチューブ
と、
請求項1〜3のいずれかに記載のダンパー装置とを備えて構成されることを特徴とする
インクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−250406(P2012−250406A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124006(P2011−124006)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】