説明

チアジアゾール誘導体の安定な製剤

本発明は、活性の低いS鏡像異性体形態への望ましくないキラル変換を最小化するN−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含む安定な医薬組成物のための製剤パラメーターおよび製造条件を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チアジアゾール誘導体を含む安定な医薬組成物のための製剤パラメーターおよび製造条件を提供する。特に、本発明は、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含むキラルに安定な医薬組成物を提供する。この化合物および中間体のための安定な製造条件もまた提供する。
【背景技術】
【0002】
化合物N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドは最初に、特許文献1に記載された。化合物N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含む製剤は、特許文献2に記載された。化合物N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含む製剤は、特許文献3に記載された。この化合物は、例えば、ヒトの悪性腫瘍の治療的処置に有用である。
【0003】
活性の低いS鏡像異性体形態へのキラル変換を最小化する化合物N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドの安定な製剤は、再生産可能および効果的な製造ならびに工業規模での調製、凍結乾燥形態の長期間の保存、ならびに凍結乾燥形態が再構成されて患者に送達される場合の安定性のために望まれる。驚くべきことに、製剤パラメーターおよび製造条件により、活性の低いS鏡像異性体形態への望ましくないキラル変換を最小化するN−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含む安定な医薬組成物を提供することが発見された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第03/051854号
【特許文献2】国際公開第2004/092147号
【特許文献3】国際公開第2006/101102号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を溶液中に含む、医薬組成物であって、前記組成物のpHは6.4未満でありかつ2.0より大きい、6.2未満でありかつ2.0より大きい、5.4未満でありかつ2.0より大きい、または4.2未満でありかつ2.0より大きい、医薬組成物を提供する。
【0006】
本発明はさらに、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、凍結乾燥医薬組成物であって、水性希釈剤で希釈した場合、前記組成物のpHは6.4未満でありかつ2.0より大きい、6.2未満でありかつ2.0より大きい、5.4未満でありかつ2.0より大きい、または4.2未満でありかつ2.0より大きい、凍結乾燥医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、凍結乾燥医薬組成物であって、前記組成物のpHは6.4未満でありかつ2.0より大きい、6.2未満でありかつ2.0より大きい、5.4未満でありかつ2.0より大きい、または4.2未満でありかつ2.0より大きい、凍結乾燥医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明は、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および溶液中の薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物であって、前記組成物のpHは6.2未満でありかつ2.0より大きく、5.4未満でありかつ2.0より大きく、または4.2未満でありかつ2.0より大きく、そして前記組成物の温度は40℃未満でありかつ25℃より大きい、医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明はまた、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および溶液中の薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物であって、前記組成物のpHは8.4未満でありかつ2.0より大きく、そして前記組成物の温度は25℃未満でありかつ5℃より大きいかまたは5℃に等しい、医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、凍結乾燥医薬組成物であって、水性希釈剤で希釈した場合、前記組成物のpHは6.2未満でありかつ2.0より大きく、5.4未満でありかつ2.0より大きく、または4.2未満でありかつ2.0より大きく、そして前記組成物の温度は40℃未満でありかつ25℃より大きい、凍結乾燥医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、S鏡像異性体形態への変換を減少させるか、または変換させないN−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含むキラルに安定な医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、凍結乾燥形態および溶液形態の両方を含む。溶液形態の例は、凍結乾燥される状態にある溶液形態、および凍結乾燥後に再構成され、患者に投与する状態にある溶液形態を含む。
【0012】
本明細書で使用する「薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤」は、患者への生物学的に活性な薬剤の送達のための当該分野において一般に許容される媒体である。そのような担体、希釈剤、または賦形剤は一般に、十分当業者の決定範囲内にある多くの要因に従って処方される。製剤を調製する当業者は容易に、本発明において提供される医薬組成物を調製するための適切なプロセスを選択できる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A.Gennaroら、編、第19版、Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「患者」とは、例えば、悪性腫瘍で苦しんでいる哺乳動物をいう。最も好ましい患者はヒトである。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「安定な」とは、S鏡像異性体形態への変換を減少させるか、または変換させず、市販品として、この化合物に規定された、規制上の保存有効期間の規格を満たすN−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含む医薬製剤をいう。
【0015】
本発明の化合物は、全身的、例えば静脈内に投与されてもよい。
【0016】
N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドのキラル安定性を改良するため、好ましい医薬組成物は、特定のpHおよび/または温度条件を含む、特定の製剤パラメーターを要する。好ましくは、本発明の一実施形態は、約6.4未満で約2.0より大きいpH範囲である。より好ましくは、pH範囲は、約6.2未満で約2.0より大きい。さらにより好ましくは、pH範囲は約5.4未満で約2.0より大きい。さらにより好ましくは、pH範囲は、約4.2未満で約2.0より大きい。種々の緩衝液および/または塩は、pH範囲を維持または制御するのに利用可能である。かかる緩衝液および/または塩は、好ましくは、酒石酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メシラート、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。このような好ましい緩衝液および/または塩の1つはリン酸塩である。より好ましくは、この緩衝液および/または塩はリン酸ナトリウム、酒石酸塩、およびクエン酸塩である。さらにより好ましくは、この緩衝液および/または塩はリン酸ナトリウムである。なおより好ましくは、この緩衝液および/または塩は酒石酸塩である。これらのpH範囲、緩衝液および/または塩を用いる場合、温度は好ましくは、40℃未満でありかつ25℃より大きい。
【0017】
好ましくは、本発明の医薬組成物のpH範囲が約8.4未満で約2.0より大きい場合、温度は約25℃未満で約5℃より高い。より好ましくは、約8.4未満で約2.0より大きいpH範囲を有する医薬組成物の温度は約5℃である。
【0018】
N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドを含む、凍結乾燥前の溶液中の医薬組成物、凍結乾燥医薬組成物、および/または凍結乾燥後に水性希釈剤で希釈した医薬組成物は、好ましくは、2.0%以下の活性の低いS鏡像異性体を含む。より好ましくは、医薬組成物は1.5%以下のS鏡像異性体を含む。さらにより好ましくは、医薬組成物は1.0%以下のS鏡像異性体を含む。なおより好ましくは、医薬組成物は0.5%以下のS鏡像異性体を含む。さらになおより好ましくは、医薬組成物は0.3%以下のS鏡像異性体を含む。最も好ましくは、医薬組成物は0.2%以下のS鏡像異性体を含む。
【実施例】
【0019】
(製剤実施例)
以下の製剤実施例は例示であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0020】
1つのバイアルに、10mgのN−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、6.0mgの酒石酸、および30mgのマンニトールを混合した。注入のために適量〜5.0mLの水を用いた。製剤を凍結乾燥した。使用時、注入のために5.0mLの水を含むバイアルの内容物を再構成する。この製剤は、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドの濃度が、2mg/mLである。製剤のpHは、凍結乾燥前は約3.0であり、凍結乾燥後は約3.1〜3.2である。
【0021】
(医薬組成物および製造研究)
【化1】

N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドは、例えば、国際公開第2006/101102号に提供されるようにして、または以下に示すキラルHPLCアッセイを利用することによって単離される。
【0022】
N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド(化合物)の安定性を、0.1mg/mLにて、種々のpH調整剤(例えば0.1および1NのHCl;0.1、1および5NのNaOH)を用いてpHを2〜8に調整した種々の緩衝液中、および異なる保存条件(例えば75%の相対湿度において5℃、25℃、および40℃)で評価する。以下、75%の相対湿度における40℃の保存条件を、40℃と称する。これらの緩衝液は、10mMおよび50mMの酒石酸塩(40℃)、10mMのリン酸塩(25および40℃)、50mMのリン酸塩(40℃)、ならびに10mMのクエン酸塩(25および40℃)を含む。さらなる溶液安定性の研究は、10mMのクエン酸塩(pH8;5℃、25℃および40℃)ならびに10mMのNaCl、10mMの硫酸ナトリウム、10mMのメシラート、10mMの酒石酸塩、10mMのリン酸塩、および10mMのクエン酸塩(pH8、40℃)を含む。N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドについての凍結乾燥安定性の研究は、凍結乾燥されて、5℃、25℃および40℃で1、3および6ヶ月間、保存に供されるpH3で10mMの酒石酸塩緩衝液を含む溶液に関する。最終的に、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドについての鏡像異性体の安定性を、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチルおよび50%エタノール/50%水(全て25℃および40℃で)を含む、種々の有機溶媒および水性/溶媒混合物、ならびに1−オクタノール(25℃)に溶解させて評価する。
【0023】
化合物のアキラル安定性を、標準的な逆相HPLCアッセイを用いて測定する。アキラル安定性分析の分析的操作条件は、以下のとおりである:カラム:Waters XTerra C18カラム、150×4.6mm、3.5ミクロン;検出器:UV、290nm;流量:0.75mL/分;注入:10μL;カラム温度:50℃;移動相:0.1%TFAを含む50%水/0.1%TFAを含む50%アセトニトリル。
【0024】
鏡像異性体の安定性を、極性イオン分離条件を用いてキラルHPLCアッセイで測定する。これらの条件は、カラム:Chirobiotic T、150×4.6mm;検出器:UV、290nm;流量:0.225−0.35mL/分、キラル分離を最適化するために調整;注入:2μL−10μL;カラム温度:45℃;移動相:0.01%TEA、1.0%HOAc、メタノール中の1.0%の水(DIW)を含む。エナンチオ選択性は、移動相の組成、特に酸:塩基の割合に非常に影響を受け易い。この理由のために、TEAおよびHOAc添加剤が正確に測定され、次いで攪拌しながら移動相の中にピペットで移される。
【0025】
10mMおよび50mMの酒石酸塩緩衝液において、化合物のキラル変換は、pH4.1、3.1および2.1において40℃で少なくとも96時間、ならびにpH3.9、2.9および2.0において40℃で少なくとも120時間は、それぞれ観測されない。さらに、この研究では、10mMの酒石酸塩緩衝液において、40℃で96時間、pH6.2の条件後に97.5%の化合物が残っており、40℃で96時間、pH8.7の条件後に60.3%の化合物が残っている。
【0026】
10mMのリン酸ナトリウム緩衝液において、化合物のキラル変換は、pH5.4、3.4および2.3において40℃で少なくとも120時間、ならびにpH5.4、3.4および2.3において25℃で少なくとも120時間は観測されない。50mMのリン酸塩緩衝液において、化合物のキラル変換は、pH5.0、3.3、および2.2において40℃で少なくとも96時間は観測されない。
【0027】
10mMのクエン酸塩緩衝液において、化合物のキラル変換は、pH4.2、3.3および2.1において、40℃で少なくとも96時間、および25℃で少なくとも120時間は観測されない。pH6.2におけるクエン酸塩緩衝液において、40℃で96時間後に98.2%の化合物が残っており、25℃で120時間後に99.9%の化合物が残っている。
【0028】
pH8.4における10mMのクエン酸緩衝液において、25℃で24時間後に95.8%の化合物が残っており、5℃で120時間後に99.3%の化合物が残っている。
【0029】
pH3.0における凍結乾燥製剤に関して、化合物のキラル変換は、5℃、25℃、または40℃、1、3および6ヶ月間の保存条件で観測されない。
【0030】
一般に、N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミドは安定性が低く、従って、試験される他の溶媒中よりも、アセトニトリル、酢酸エチル、および50%エタノール/50%水中で、容易にS鏡像異性体形態に変換される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を溶液中に含む、医薬組成物であって、前記組成物のpHは6.4未満でありかつ2.0より大きい、医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物のpHが6.2未満でありかつ2.0より大きい、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物のpHが5.4未満でありかつ2.0より大きい、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物のpHが4.2未満でありかつ2.0より大きい、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、凍結乾燥医薬組成物であって、水性希釈剤で希釈した場合の組成物のpHが6.4未満でありかつ2.0より大きい、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項6】
水性希釈剤で希釈した場合の組成物のpHが6.2未満でありかつ2.0より大きい、請求項5に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項7】
水性希釈剤で希釈した場合の組成物のpHが5.4未満でありかつ2.0より大きい、請求項6に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項8】
水性希釈剤で希釈した場合の組成物のpHが4.2未満でありかつ2.0より大きい、請求項6に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項9】
N−{4−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−(5R)−5−[(2−エチルアミノ−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル}−2,2−ジメチル−プロピオンアミド、および薬理学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤を含む、凍結乾燥医薬組成物であって、組成物のpHが6.4未満でありかつ2.0より大きい、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物のpHが6.2未満でありかつ2.0より大きい、請求項9に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項11】
前記組成物のpHが5.4未満でありかつ2.0より大きい、請求項10に記載の凍結乾燥医薬組成物。
【請求項12】
前記組成物のpHが4.2未満でありかつ2.0より大きい、請求項11に記載の凍結乾燥医薬組成物。

【公表番号】特表2010−533190(P2010−533190A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516173(P2010−516173)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/069301
【国際公開番号】WO2009/009470
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【出願人】(000001029)協和発酵キリン株式会社 (276)
【Fターム(参考)】