説明

チェーファーパッド用ゴム組成物及び空気入りラジアルタイヤ

【課題】低発熱性と加工性を同時に満足することができ、ビード部の耐久性を向上することができるチェーファーパッド用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ビードコア2の周りに巻き上げられたカーカス2と、該カーカスをタイヤ半径方向内側から包むように配設されたチェーファー5と、ホイールリムに接触するビード部外面部分を構成するリムストリップ6を備える空気入りラジアルタイヤにおいて、チェーファーのタイヤ軸方向外側部分5Bとリムストリップ6との間に介設されるチェーファーパッド8に用いられるチェーファーパッド用ゴム組成物において、天然ゴムを少なくとも80重量部含むジエン系ゴム成分100重量部に対し、カーボンブラックとシリカの少なくとも一方からなる充填剤50〜70重量部と、しゃく解剤を含有した脂肪酸金属塩の加工助剤0.5〜3.0重量部を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りラジアルタイヤのビード部に設けられるチェーファーパッドに用いられるゴム組成物、及び、該ゴム組成物を用いた空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気入りラジアルタイヤにおいては、カーカスの両端部がビード部においてビードコアの周りに巻き上げられて係止されている。そして、かかるカーカスの巻き上げ部を保護するために、ナイロン等の有機繊維材やスチールコード等をゴムで被覆してなるチェーファーをビード部に設けることがある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このようなチェーファーを有するビード部の故障には、ビードフィラーのタイヤ軸方向外側においてチェーファーとリムストリップとの間に介設されるチェーファーパッドと称されるゴム部分に起因するものがある。すなわち、チェーファーパッドが大きく変形することによってゴムがへたり、これにより、チェーファー端とそのコーティングゴムとの界面もしくはチェーファー近傍のゴム(例えば、ビードフィラー)内において、セパレーションを引き起こすことがある。また、チェーファーパッドの圧縮変形により熱が蓄積されて、ゴムの劣化を促進したり、リムストリップにおけるリムライン付近でオゾンクラックが発生するなどの問題がある。そのため、チェーファーパッドにおいては剛性や低発熱性(発熱しにくいこと)を考慮しなければならない。
【0004】
チェーファーパッドの剛性については、その近傍のビードフィラーよりも硬くなりすぎると、チェーファーパッドに応力が集中してしまい、チェーファー端でセパレーションを引き起こす可能性がある。また、ビードフィラーに対して軟らかすぎると、屈曲による発熱からオゾンクラックが発生する可能性がある。従って、チェーファーパッドについては、ビードフィラーとの剛性のバランスが重要である。
【0005】
一方、チェーファーパッドの低発熱性を改良する手法として、天然ゴムを多く配合する方法がある。しかしながら、チェーファーパッドは、その製造時における押し出しの際のゲージが薄いことから、天然ゴムを多く配合する場合、エッジ切れやゴム肌が悪いなどの加工性に問題がある。かかる加工性を改良するために加工助剤を用いることも考えらるが、一般的な加工助剤を添加した場合、加工性は改良するものの、低発熱性が悪化する問題があり、低発熱性と加工性を同時に満足することが求められる。
【0006】
なお、下記特許文献2〜4には、ビード部の耐久性を向上するために、ビード部内のゴム部材を構成するゴム組成物についての提案がなされているが、本発明の特徴とする特定の加工助剤を用いることは開示されていない。
【特許文献1】特開2008−69207号公報
【特許文献2】特開2007−23070号公報
【特許文献3】特開2005−219606号公報
【特許文献4】特開2001−261887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、低発熱性と加工性を同時に満足することができ、ビード部の耐久性を向上することができるチェーファーパッド用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ビード部に埋設されたビードコアと、前記ビードコアの周りに巻き上げられて係止されたカーカスと、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に設けられたビードフィラーと、前記ビードコアの周りで前記カーカスをタイヤ半径方向内側から包むように配設されたチェーファーと、ホイールリムに接触する部分を含むビード部外面部分を構成するリムストリップとを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ビードフィラーのタイヤ軸方向外側面に沿って配される前記チェーファーのタイヤ軸方向外側部分と前記リムストリップとの間に介設されるチェーファーパッドに用いられるチェーファーパッド用ゴム組成物において、天然ゴムを少なくとも80重量部含むジエン系ゴム成分100重量部に対し、カーボンブラックとシリカの少なくとも一方からなる充填剤50〜70重量部と、しゃく解剤を含有した脂肪酸金属塩の加工助剤0.5〜3.0重量部を配合したチェーファーパッド用ゴム組成物に関するものである。
【0009】
本発明は、また、該ゴム組成物を用いてなるチェーファーパッドを備えた空気入りラジアルタイヤに関するものであり、前記チェーファーパッドは、JIS K6253(デュロメータ タイプA)に準拠して23℃で測定したゴム硬度が、前記ビードフィラーのゴム硬度に対して+2〜−7の範囲内にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チェーファーパッドに適用するゴムにおいて、上記特定のジエン系ゴム成分及び充填剤とともに、素練り促進効果を持った特定の加工助剤を用いることにより、低発熱性と加工性を同時に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0012】
本発明のチェーファーパッド用ゴム組成物において、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)を少なくとも80重量部含むジエン系ゴム成分100重量部を用いる。すなわち、ゴム成分は、天然ゴム単独、又は、天然ゴム80重量部以上と他のジエン系ゴム20重量部以下とのブレンドからなる。このように天然ゴムを主成分とすることで、低発熱性を改良することができ、耐オゾンクラック性を向上することができる。
【0013】
天然ゴムとブレンドする他のジエン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)などが挙げられる。特には、ブタジエンゴムが好ましい。
【0014】
本発明のゴム組成物には、カーボンブラック及び/又はシリカからなる充填剤が配合される。カーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF級のカーボンブラックを用いることができる。また、シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、表面処理シリカなどが挙げられる。好ましくは、カーボンブラック単独、又は、カーボンブラックとシリカをブレンドして用いることである。
【0015】
上記充填剤は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して50〜70重量部にて配合される。充填剤の配合量が70重量部を超えると、加工性や低発熱性が悪化するとともに、チェーファーパッドがビードフィラーよりも硬くなりすぎて、チェーファー端でのセパレーションを引き起こす可能性がある。逆に、50重量部未満であると、チェーファーパッドが軟らかすぎて、屈曲による発熱から耐オゾンクラック性が損なわれたり、チェーファー端でのセパレーションの要因となる。
【0016】
本発明のゴム組成物には、しゃく解剤を含有した脂肪酸金属塩の加工助剤を配合する。このような素練り促進効果を持つ加工助剤を用いることで、後述する実施例に示すように、低発熱性と加工性を同時に改良することができる。すなわち、単なる脂肪酸金属塩の加工助剤を用いた場合には、加工性は改良されるものの、低発熱性が悪化する傾向が見られたが、しゃく解剤を含有することで、ゴム成分ポリマーの分子鎖を適度に切断した状態として、ゴム組成物の均一性を向上し、低発熱効果を発揮することができる。
【0017】
上記加工助剤の配合量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して0.5〜3.0重量部である。この配合量が0.5重量部未満では、上記本発明の効果がほとんど得られず、逆に3.0重量部を超えると、加工性には優れるものの、ゴム成分ポリマーの分子鎖切断が多くなりすぎて、モジュラスが低下し、低発熱性が却って悪化する。
【0018】
上記脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、炭素数6〜28の飽和又は不飽和脂肪酸で、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ネルボン酸等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。好ましくは、炭素数14〜20の飽和脂肪酸を用いることである。また、これらの脂肪酸の塩を形成する金属としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、ニッケル、モリブデン等が挙げられ、特に亜鉛が好ましい。これらの脂肪酸金属塩は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
上記しゃく解剤としては、切断されたゴム成分ポリマーの分子鎖ラジカルと反応して再結合を抑制することができるものであれば使用でき、例えば、2,2’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(DBD)、2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩、キシリルメルカプタン、β−ナフチルメルカプタン等が挙げられ、特にDBDが好ましい。
【0020】
上記加工助剤は、しゃく解剤を5〜10重量%含有することが好ましい。しゃく解剤の含有量が5重量%未満では、ゴム組成物の均一性が不十分で低発熱性効果を発揮させることが難しく、また、10重量%を超えると、ゴム成分ポリマーの分子鎖切断が多くなりすぎて、低発熱性の点で不利となる。
【0021】
このようなDBDを5〜10重量%含有した脂肪酸亜鉛塩の加工助剤としては、ラインケミー社製「アクチプラストMS」が好適なものとして例示され、使用することができる。
【0022】
本発明のゴム組成物には、上記各成分の他に、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、オイル等の軟化剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤などの各種添加剤を配合することができる。該ゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム用混練機を用いて、常法に従い混練することで調製される。
【0023】
以上よりなるゴム組成物は、空気入りラジアルタイヤのビード部に設けられるチェーファーパッドに用いられる。図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのビード部周りを拡大して示す断面図であり、以下、該実施形態のタイヤをこの図面に基づいて説明する。
【0024】
左右一対のビード部(1)には、ビードワイヤーをタイヤ周方向に巻回してなる環状のビードコア(2)が埋設されている。上記一対のビード部(1)間にまたがって延びるカーカス(3)が設けられ、該カーカス(3)は、ナイロンコードやスチールコード等の繊維コードをタイヤ径方向に配列し、コーティングゴムで被覆してなる層の少なくとも一層からなるものであり、両端部がビード部(1)においてビードコア(2)の周りにタイヤ軸方向内側から外側に巻き上げられることで係止されている。
【0025】
ビードコア(2)のタイヤ半径方向外側にはビードフィラー(4)が設けられている。ビードフィラー(4)は、カーカス(3)の本体部(3A)のタイヤ軸方向外側面に沿って、タイヤ半径方向外方に先細状に延びるゴム製部材である。この例では、ビードフィラー(4)は、カーカス(3)の本体部(3A)と巻き上げ部(3B)との間でタイヤ半径方向外方に延びる第1ゴム部(4A)と、カーカス巻き上げ部(3B)のタイヤ軸方向外側面に当接配置されて第1ゴム部(4A)のタイヤ半径方向外側でカーカス本体部(3A)のタイヤ軸方向外側面に当接配置される第2ゴム部(4B)とからなる。
【0026】
ビードコア(2)の周りには、カーカス(3)をタイヤ半径方向内側から包むようにチェーファー(5)が配設されている。チェーファー(5)は、ナイロンやポリエステル、アラミド、スチール等からなる繊維材の両面をゴム被覆してなるシート状の補強部材である。この例では、カーカス本体部(3A)のタイヤ軸方向内側面に沿って配された内側部分(5A)と、ビードフィラー(4)の第2ゴム部(4B)のタイヤ軸方向外側面に沿って配されタイヤ半径方向外方に延びる外側部分(5B)とを備えてなる。
【0027】
ビード部(1)は、ホイールリム(R)に接触する部分の外面部分を構成するゴム部として、リムストリップ(6)を備える。リムストリップ(6)は、ホイールリム(R)に接触する部分においてチェーファー(5)のタイヤ半径方向内側面を覆うように設けられており、そこからタイヤ半径方向外方に延設されて、ビード部(1)のタイヤ軸方向外側面を形成しており、リムライン(6A)を形成した後、終端している。なお、符号(7)は、サイドウォールゴムを示している。
【0028】
上記チェーファー(5)の外側部分(5B)とリムストリップ(6)との間には、比較的薄肉のゴム層からなるチェーファーパッド(8)が介設されており、このチェーファーパッド(8)が上記ゴム組成物を用いて形成されている。チェーファーパッド(8)は、この例では、上記外側部分(5B)のタイヤ軸方向外側面の全体を覆うとともに、更に、そのタイヤ半径方向外側端においてビードフィラー(4)の第2ゴム部(4B)のタイヤ軸方向外側面の一部を覆うように設けられている。また、チェーファーパッド(8)は、そのタイヤ軸方向外側では、リムストリップ(6)とともにサイドウォームゴム(7)により覆われている。従って、チェーファーパッド(8)は、より詳細には、チェーファー(5)の外側部分(5B)及びビードフィラー(4)の第2ゴム部(4B)とリムストリップ(6)及びサイドウォームゴム(7)との間に介設されている。
【0029】
チェーファーパッド(8)は、JIS K6253(デュロメータ タイプA)に準拠して23℃で測定したゴム硬度が、ビードフィラー(4)のゴム硬度に対して+2〜−7の範囲内にあることが好ましい。チェーファーパッド(8)の硬度がビードフィラー(4)の硬度よりも2ポイントを超えて高いと、チェーファーパッド(8)に応力が集中してしまい、チェーファー(5)の端部にセパレーションを引き起こす可能性がある。逆に、チェーファーパッド(8)の硬度がビードフィラー(4)の硬度よりも7ポイントを超えて低いと、屈曲による発熱からリムストリップ(6)でオゾンクラックが発生したり、チェーファー(5)の端部にセパレーションを引き起こす可能性がある。なお、ビードフィラー(4)のゴム硬度は、特に限定するものではないが、A65〜A75であることが好ましい。また、チェーファーパッド(8)のゴム硬度は、特に限定するものではないが、A60〜A70であることが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、チェーファーパッド用ゴム組成物を調製した。表1中の各配合物の詳細は以下の通りである。
【0032】
・天然ゴム:RSS#3、
・ブタジエンゴム:宇部興産株式会社製「BR150B」、
・カーボンブラック:N326、東海カーボン株式会社製「シースト300」、
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」、
・亜鉛華:三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華3号」、
・ステアリン酸:花王株式会社製「ルナックS20」、
・老化防止剤:住友化学工業株式会社製「アンチゲン6C」、
・加工助剤1:しゃく解剤としてDBDを5〜10重量%含有する脂肪酸亜鉛塩(構成脂肪酸は炭素数18の飽和脂肪酸を主成分とする。)、ラインケミー社製「アクチプラストMS」、
・加工助剤2:飽和脂肪酸亜鉛塩、ラインケミー社製「アクチプラストPP」、
・オイル:(株)ジャパンエナジー製「JOMOプロセスNC−140」、
・硫黄:鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」、
・加硫促進剤:住友化学工業株式会社製「ソクシールCZ」。
【0033】
各ゴム組成物について、未加硫状態での加工性を評価するとともに、150℃×30分で加硫した所定形状の試験片を用いて、ゴム硬度と低発熱性を評価した。また、各ゴム組成物をチェーファーパッドに用いた図1に示すビード部断面構造を持つ空気入りラジアルタイヤ(タイヤサイズ:11R22.5 14PR)を作製し、耐オゾンクラック性と、耐セパレーション性(チェーファー端でのセパレーション発生の有無)を評価した。なお、ビードフィラーにはゴム硬度がA70のゴム組成物を用いた。各評価方法は以下の通りである。
【0034】
・ゴム硬度:JIS K6253(デュロメータ タイプA)に準拠して、常温(23℃)で測定した。
【0035】
・加工性:JIS K6300に準拠して、100℃でのムーニー粘度を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。値が小さいほど、ムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
【0036】
・低発熱性:東洋精機製スペクトロメーターを用い、温度60℃、周波数50Hz、初期歪み10%、動的歪み2%で損失係数tanδを測定し、比較例1を100としたときの指数で表示した。値が小さいほど、発熱しにくく、低発熱性に優れることを示す。
【0037】
・耐オゾンクラック性:上記タイヤをリム組みして大型車両に装着し、1年6月実車走行した後、回収し、リムストリップでのオゾンクラック状態を、比較例1を基準として3段階で評価した。比較例1と同等であれば「△」、それより優れれば「○」、劣れば「×」と表示した。
【0038】
・耐セパレーション性:ドラム試験にて7万km走行後のタイヤを解体し、チェーファー端部に亀裂が生じていないかを確認した。亀裂がない場合を「○」、亀裂が0.1mm以上1mm未満の場合を「△」、亀裂が1mm以上の場合を「×」と表示した。
【表1】

【0039】
結果は表1に示す通りであり、コントロールである比較例1に対し、比較例2では、脂肪酸金属塩からなる加工助剤2を添加することにより、加工性は向上したが、低発熱性が損なわれていた。
【0040】
これに対し、しゃく解剤を含有した脂肪酸金属塩の加工助剤1を配合した実施例1〜4であると、比較例1に対し、加工性が改良されるとともに、低発熱性も改良されていた。また、耐オゾンクラック性と耐セパレーション性にも優れていた。
【0041】
一方、カーボンブラックの配合量が多すぎる比較例3では、加工性及び低発熱性が悪化するとともに、チェーファーパッドがビードフィラーよりも硬くなりすぎて、耐セパレーション性が悪化しており、また、低発熱性に劣ることから耐オゾンクラック性も実施例1に対して悪化していた。また、カーボンブラックの配合量が少なすぎる比較例4では、チェーファーパッドがビードフィラーよりも軟らかすぎて、耐セパレーション性が悪化していた。
【0042】
また、比較例5では、上記加工助剤1の配合量が多すぎたため、実施例1に対して低発熱性が損なわれており、耐オゾンクラック性が悪化していた。また、比較例6では、ゴム成分中での天然ゴムの比率が低いため、低発熱性に劣っており、耐オゾンクラック性が悪化していた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のチェーファーパッド用ゴム組成物は、乗用車、トラック・バス等の各種空気入りラジアルタイヤに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのビード部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ビード部、2…ビードコア、3…カーカス、4…ビードフィラー、5…チェーファー、5B…チェーファーの外側部分、6…リムストリップ、8…チェーファーパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビード部に埋設されたビードコアと、前記ビードコアの周りに巻き上げられて係止されたカーカスと、前記ビードコアのタイヤ半径方向外側に設けられたビードフィラーと、前記ビードコアの周りで前記カーカスをタイヤ半径方向内側から包むように配設されたチェーファーと、ホイールリムに接触する部分を含むビード部外面部分を構成するリムストリップとを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ビードフィラーのタイヤ軸方向外側面に沿って配される前記チェーファーのタイヤ軸方向外側部分と前記リムストリップとの間に介設されるチェーファーパッドに用いられるチェーファーパッド用ゴム組成物であって、
天然ゴムを少なくとも80重量部含むジエン系ゴム成分100重量部に対し、カーボンブラックとシリカの少なくとも一方からなる充填剤50〜70重量部と、しゃく解剤を含有した脂肪酸金属塩の加工助剤0.5〜3.0重量部を配合した
ことを特徴とするチェーファーパッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記しゃく解剤が2,2’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィドであり、前記加工助剤が該しゃく解剤を5〜10重量%含有したものである、請求項1記載のチェーファーパッド用ゴム組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のゴム組成物を用いてなるチェーファーパッドを備えた空気入りラジアルタイヤであって、
前記チェーファーパッドは、JIS K6253(デュロメータ タイプA)に準拠して23℃で測定したゴム硬度が、前記ビードフィラーのゴム硬度に対して+2〜−7の範囲内にあることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2009−292309(P2009−292309A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147863(P2008−147863)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】