説明

チオウレタン組成物ならびにそのチオウレタン組成物を製造および使用するためのプロセス

チオウレタンプレポリマー組成物、チオウレタンポリマー組成物、その組成物を製造する方法、およびそのチオウレタンポリマー組成物を用いる方法が提供される。チオウレタンポリマー組成物は、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物とを接触させて、プレポリマー組成物を生成し、次いで、そのプレポリマー組成物を硬化させて、チオウレタンポリマー組成物を生成することによって生成され得る。プレポリマー組成物はまた、変性剤を含んでもよい。一部の実施形態において、チオールエステル組成物は、チオールエステルと、ヒドロキシチオールエステルと、架橋チオールエステルとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、チオールエステル組成物とイソシアネートとの反応から製造されるチオウレタン組成物に関する。本発明はまた、かかる組成物を調製するためのプロセスおよびその組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業により、供給が潤沢なより安価な供給原料で、プレポリマー、接着剤、封止剤、肥料、被覆剤、発泡体、および燃料などの製品を製造することが努められている。化石燃料は長い間にはゆっくりと枯渇するので、代替源が、常に燃料の代わりのものとして捜し求められている。さらに、化学工業により、安全性および環境問題に関連した潜在的な危険性およびリスクを減少させるために、環境を考慮した製品を製造し、環境を考慮した供給原料を使用するよう絶え間なく努められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、チオールエステル組成物とイソシアネート組成物とを反応させることによって生成されるプレポリマー組成物を提供する。いくつかの実施形態において、チオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル組成物;あるいは、架橋チオールエステル組成物;あるいは、メルカプタン化不飽和エステル組成物;あるいは、メルカプタン化エポキシ化エステル組成物;あるいは架橋メルカプタン化不飽和エステル組成物であってもよい。本明細書に記載されるイソシアネート組成物は、ポリマー組成物を調製するために使用され得る。一態様において、プレポリマー組成物は、変性剤(property modifying agent)を含んでもよい。溶媒もまた、プレポリマー組成物を生成する際に使用してもよい。
【0004】
プレポリマー組成物は、封止剤および接着剤などの用途において有用な特性を有するポリマー組成物を生成するために硬化されてもよい。硬化は、プレポリマー組成物を湿気に曝露することにより起こり得る。他の適切な硬化手段もまた、使用してもよい。
【0005】
プレポリマーおよびポリマー組成物に加えて、それらの組成物を製造する方法もまた、本発明の実施形態として提供される。一実施形態において、チオールエステル組成物は、イソシアネート組成物と接触されて、プレポリマー組成物を形成する。次いで、プレポリマー組成物は、硬化されてポリマーを生成する。一部の実施形態において、触媒が使用されて、プレポリマー組成物を生成する。別の態様において、変性剤が使用されて、プレポリマー組成物を生成する。
【0006】
プレポリマー組成物は、一液型の湿気硬化適用において使用され得る。別の態様において、プレポリマー組成物は、多成分硬化系において使用され得る。多成分硬化系において、未反応の過剰なイソシアネートを含むチオウレタンプレポリマー組成物は、他のイソシアネート反応成分とは別に維持されて、イソシアネートが他の成分と反応することを防ぐ。多成分硬化系が使用される場合、成分は、適用される前に短時間一緒に混合されるか、または成分は、別々に適用されて、その後互いに接触させることによって手短に混合される。成分が適用する前に一緒に混合される場合、静的ミキサーなどが使用されてもよい。多成分硬化系における触媒は、別の第2の触媒であってもよいか、またはチオウレタンプレポリマー組成物を形成する際に使用された残留触媒であってもよい。充填剤などの多成分硬化系における使用に適切な他の成分は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内とみなされる。一旦、成分が適用されると、次いで、それらは硬化されて、チオウレタンポリマー組成物を生成する。一実施形態において、多成分硬化系は、ポリオールおよび必要に応じて触媒を使用して、プレポリマー組成物を硬化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において、「天然」とは、任意の方法によって、天然の果実、堅果、野菜、植物および動物から得られる材料を指す。一例として、天然原料油とは、天然の果実、堅果、野菜、植物および動物から抽出され、必要に応じて精製される原料油を指す。さらに、不飽和天然原料油とは、天然の果実、堅果、野菜、植物および動物から抽出され、必要に応じて精製される不飽和原料油を指す。別の例として、不飽和天然原料油は、遺伝子組み換え堅果、野菜、植物および動物原料から誘導され得る。さらに別の例として、不飽和天然原料油は、遺伝子組み換え堅果、野菜、植物および動物原料から誘導されるトリグリセリドを含む。
【0008】
本明細書において、「天然源原材料(natural source raw material)」とは、「天然」材料の抽出、化学分解、または化学処理によって得られる材料を指す。非限定的な例としては、天然の果実、堅果、野菜、植物および動物から抽出され得る天然原料油が挙げられる。別の非限定的な例としては、グリセロールおよび飽和あるいは不飽和のカルボン酸またはカルボン酸エステルを、天然の果実、堅実、野菜、植物、および動物から抽出されるトリグリセリドの化学処理によって生成し、単離することができる。
【0009】
本明細書において、「合成」とは、直接的に天然原料から誘導されない化学的成分から生成される材料を指す。例えば、合成不飽和エステル油は、合成エチレングリコールおよび合成カルボン酸、例えば、アクリル酸またはプロピオン酸の反応によって生成され得る。合成材料の他のタイプは、当業者には明らかで、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0010】
天然および合成の定義にかかわらず、本明細書に記載される材料は、「半合成」と称され得る天然材料および合成材料の組み合わせから生成され得る。非限定的な例として、本明細書に記載される不飽和エステル油は、合成源原材料および天然源原材料の組み合わせから得られ得るか、または生成され得る。例えば、不飽和エステル油は、合成エチレングリコールおよび天然原料油から単離されたオレイン酸の反応によって生成され得る。あるいは、不飽和エステル油は、天然原料油から単離されたグリセロールおよび合成カルボン酸、例えば、アクリル酸の反応から生成され得る。あるいは、不飽和エステル油は、天然原料油から単離されたグリセロールおよびオレイン酸から生成され得る。
【0011】
本明細書において、「チオールエステル組成物」とは、「チオールエステル分子」を含むエステル組成物を指す。チオールエステル分子は、チオールエステル分子内に少なくとも1つのチオール基および少なくとも1つのエステル基を有する。
【0012】
本明細書において、「ヒドロキシチオールエステル組成物」とは、「ヒドロキシチオールエステル分子」を含むエステル組成物を指す。ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子内に少なくとも1つのチオール基、少なくとも1つのエステル基、および少なくとも1つのヒドロキシ基またはアルコール基を有する。あるいは、アルコール基およびチオール基は、同一の基に組み合わされ得、「α−ヒドロキシチオール基」と称され得る。
【0013】
本明細書において、「不飽和エステル組成物」とは、不飽和エステル分子を含むエステル組成物を指す。不飽和エステル分子は、不飽和エステル分子内に少なくとも1つのエステル基および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する。
【0014】
本明細書において、「エポキシ化不飽和エステル組成物」とは、不飽和エステル組成物をエポキシ化することによって生成されたエステル組成物を指す。
【0015】
本明細書において、「チオウレタン」とは、少なくとも1つの以下の構造:
【化1】


を有する分子を含むウレタン組成物を指す。チオウレタン基の存在は、当業者に公知の方法によって測定され得る(例えば、赤外分光法、ラマン分光法、13C NMRなど)。
【0016】
(チオウレタンプレポリマー組成物)
一態様において、本発明のプレポリマー組成物は、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物として記載され得る。いくつかの実施形態において、プレポリマー組成物は、チオウレタンプレポリマー組成物と呼ばれ得る。チオウレタンプレポリマー組成物は、硬化され得る。一旦、チオウレタンプレポリマー組成物が硬化されると、次いで、その組成物は、チオウレタンポリマー組成物と呼ばれ得る。概して、本発明のチオウレタンプレポリマー組成物は、構造G2:
【化2】


(式中、示されていない原子価は、構造G2を有するさらなる基を含むプレポリマー分子の構造の残部を表す)を有する複数のチオウレタン基を有するチオウレタンプレポリマー分子を含む。チオウレタン基G2の存在は、当業者に公知の技術を用いて測定され得る(例えば、赤外分光法、ラマン分光法、13C NMRなど)。
【0017】
本発明のチオウレタンプレポリマー組成物は、複数の単位D2:
【化3】


(式中、示されていない原子価は、さらなる繰り返し単位D2を含むチオウレタンプレポリマー分子の構造の残部を表す)を有するチオウレタンプレポリマー分子を含むと記載され得る。いくつかの実施形態において、繰り返し単位D2を有するチオウレタンプレポリマー分子の骨格は、直鎖状であるか、あるいは、繰り返し単位D2を有するチオウレタンプレポリマー分子の骨格は、架橋されている。繰り返し単位D2を有するチオウレタンプレポリマー分子の骨格が架橋されている場合、Aおよび/またはAは、さらなる繰り返し単位D2をさらに含む。チオウレタンプレポリマー分子の繰り返し単位D2は、2つの異なる単位:U1およびU2
【化4】


から構成される。概して、チオウレタンプレポリマー分子の単位U1は、チオールエステル組成物のチオールエステルから誘導され、チオウレタンプレポリマー分子の単位U2は、イソシアネート組成物のイソシアネートから誘導される。したがって、Aは、チオールエステル分子の残部(エステル基、チオールエステル分子に存在する任意の他の基、および必要に応じてさらなる繰り返し単位D2を含む)を表し、Aは、イソシアネート分子の残部(イソシアネート分子に存在する任意の他の基、および必要に応じてさらなる繰り返し単位D2を含む)を表す。チオウレタンプレポリマーが架橋される場合、U1(Aを介して)、U2(Aを介して)のいずれか、または両方は、さらなるチオウレタン基を含んでもよい。単位U1およびU2は、2つの異なる材料から誘導されるので、これらの単位の構造は、互いに独立している。したがって、繰り返し単位D2を有するチオウレタンプレポリマー分子は、単位U1およびU2の任意の組み合わせから構成され得る。したがって、繰り返し単位D2を有するチオウレタンプレポリマー分子は、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物として記載され得、ここで、単位U1は、本明細書に記載される任意のチオールエステルから誘導され得、単位U2は、本明細書に記載される任意のイソシアネートから誘導され得る。
【0018】
チオウレタンプレポリマー組成物は、代替的に、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物として記載され得る。チオールエステル組成物、イソシアネートおよび触媒は、チオウレタンプレポリマーの独立した要素である。したがって、チオウレタンプレポリマー組成物は、本明細書に記載されるチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との任意の組み合わせのチオウレタンプレポリマー組成物の生成物として記載され得る。いくつかの態様において、チオウレタンプレポリマー組成物は、直鎖状チオウレタンプレポリマー分子を含んでもよい。他の態様において、チオウレタンプレポリマー組成物は、架橋されたチオウレタンプレポリマー分子を含んでもよい。チオウレタンプレポリマー組成物が架橋されたチオウレタンプレポリマー分子を含む場合、チオールエステル組成物は、チオールエステル分子あたり2つより多いチオール基を有するチオールエステル分子含むか、またはイソシアネート組成物は、イソシアネート分子あたり2つより多いイソシアネート基を有するイソシアネート分子を含むかのいずれかである。あるいは、チオウレタンプレポリマー組成物が架橋されたチオウレタンプレポリマー分子を含む場合、チオールエステル組成物は、チオールエステル分子あたり2つより多いチオール基を有するチオールエステル分子を含み、かつ、イソシアネート組成物は、イソシアネート分子あたり少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート分子を含む。
【0019】
概して、チオールエステル組成物は、少なくとも2つのチオール基を有するチオールエステル分子を含み、イソシアネート組成物は、少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネート分子を含む。チオールエステル組成物のチオールエステル分子に存在するチオール基の数または平均数に関するさらなる実施形態は、本明細書に記載されており、概して、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてのチオウレタンプレポリマー組成物の詳細に当てはまる。イソシアネート組成物のイソシアネート分子に存在するイソシアネート基の数または平均数に関するさらなる実施形態は、本明細書に記載されており、概して、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてのチオウレタンプレポリマー組成物の詳細に当てはまる。
【0020】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物を生成するのに利用されるチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル;あるいは、架橋チオールエステル;あるいは、メルカプタン化不飽和エステル;あるいは、メルカプタン化エポキシ化エステル;あるいは、架橋メルカプタン化不飽和エステルを含んでもよい。非限定的な実施形態において、チオールエステル組成物は、メルカプタン化天然原料油;あるいは、メルカプタン化エポキシ化天然原料油;あるいは、架橋メルカプタン化天然原料油;あるいは、架橋メルカプタン化エポキシ化天然原料油を含んでもよい。さらなる非限定的な実施形態において、チオールエステル組成物は、メルカプタン化大豆油;あるいは、メルカプタン化ヒマシ油;あるいは、メルカプタン化エポキシ化大豆油;あるいは、架橋メルカプタン化大豆油を含む。他のチオールエステルは、本明細書に記載されており、概して、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物であるチオウレタンプレポリマー組成物を規定するためのチオールエステル組成物に利用され得る。さらに、チオールエステル材料の他の態様(例えば、チオールエステル分子あたりのチオール基の平均数、チオール硫黄含有量など)は、本明細書に記載されており、チオールエステル組成物のチオールエステルをさらに説明するのに利用され得る。本明細書に記載されるチオールエステル組成物のほかに、他の適切なチオールエステル組成物は当業者に明らかであり、使用され得、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0021】
概して、イソシアネート組成物は、単体でまたは任意の組み合わせで、本明細書に記載される任意のイソシアネートを含んでもよい。いくつかの実施形態において、イソシアネート組成物は、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネートまたはそれらの混合物を含んでもよい。一部の実施形態において、イソシアネート組成物は、脂肪族イソシアネート;あるいは、脂環式イソシアネート;あるいは、芳香族イソシアネート組成物を含んでもよい。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定のイソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、イソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0022】
概して、触媒は、単体でまたは任意の組み合わせで、本明細書に記載される任意の触媒を含んでもよい。一部の実施形態において、触媒は、スズ触媒、アミン触媒、ビスマス触媒、鉄触媒、またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、触媒は、第三級アミン、有機スズ化合物、アミン開始ポリプロピレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。一部の実施形態において、触媒はアミンであってもよい。他の実施形態において、触媒はスズ化合物であってもよい。一部の実施形態において、触媒は第三級アミンである。他の実施形態において、触媒は、脂肪族アミン;あるいは、芳香族アミンであってもよい。他の実施形態において、触媒は、ポリエーテルアミン;あるいは、ポリアルキレンアミン;あるいは、第三級アミンポリオールであってもよい。さらに他の実施形態において、アミン触媒は、少なくとも2つのアミン基を含むポリアミンであってもよい。一部のアミン触媒の実施形態において、触媒は、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン[DBU−CAS番号 6674−22−2];あるいは、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン[DABCO−CAS番号 280−57−9];あるいは、トリエチルアミンであってもよい。スズ化合物触媒の実施形態において、そのスズ化合物は、ジブチルスズジラウレートであってもよい。他の適切な触媒は、当業者に明らかであろうし、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0023】
概して、チオールエステル組成物、イソシアネート組成物、および触媒は、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物として記載されるチオウレタンプレポリマー組成物の独立した要素である。したがって、チオウレタンプレポリマー組成物は、本明細書に記載されるチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との任意の組み合わせの反応生成物として記載され得る。いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、チオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、チオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、チオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数)は、本明細書に記載されており、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、ヒドロキシチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、ヒドロキシチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、ヒドロキシチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、ヒドロキシチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋チオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋チオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、架橋チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、架橋チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物さらに説明するのに利用され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化エポキシ化エステルを含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化エポキシ化エステルを含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化エポキシ化エステルを含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、メルカプタン化エポキシ化エステルを含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、架橋メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、架橋メルカプタン化不飽和エステルを含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化エポキシ化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化エポキシ化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化エポキシ化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、メルカプタン化エポキシ化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、架橋メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、架橋メルカプタン化天然原料油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化ヒマシ油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化ヒマシ油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化ヒマシ油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、メルカプタン化ヒマシ油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化エポキシ化大豆油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、メルカプタン化エポキシ化大豆油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、メルカプタン化エポキシ化大豆油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、メルカプタン化エポキシ化大豆油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネート、またはそれらの混合物を含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物は、触媒と、架橋メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂環式イソシアネート;あるいは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する芳香族イソシアネートを含むイソシアネート組成物との反応生成物として記載され得る。少なくとも2つのイソシアネート基を有する特定の脂肪族、脂環式、および芳香族イソシアネートは、本明細書に記載されており、概して、触媒と、架橋メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定しているイソシアネート組成物に利用され得る。さらに、イソシアネート材料の他の態様(例えば、イソシアネート分子あたりのイソシアネート基の数または平均数など)は、本明細書に記載されており、触媒と、架橋メルカプタン化大豆油を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに利用されるイソシアネート組成物をさらに説明するのに利用され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明のチオウレタンプレポリマーは、チオウレタンプレポリマー組成物を生成することができる本明細書に記載される任意のプロセスによって生成される生成物として記載され得、さらに、本明細書に記載されるプロセスの任意の実施形態を用いて生成されると記載され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明のチオウレタンプレポリマー組成物は、さらに、その特性によって記載され得る。一部の実施形態において、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒との反応生成物として記載されるチオウレタンプレポリマー組成物は、120°F(49℃)の温度において2500センチポアズ(cp)(2500mPa・s)〜10,000cp(10,000mPa・s)の範囲の見かけ粘度を有してもよい。他の実施形態において、本発明のチオウレタンプレポリマー組成物は、120°F(49℃)において3,000cp(3,000mPa・s)〜9,000cp(9,000mPa・s)の範囲;あるいは、120°F(49℃)において3,500cp(3,500mPa・s)〜8,000cp(8,000mPa・s)の範囲;あるいは、120°F(49℃)において4,000cp(4,000mPa・s)〜7,000cp(7,000mPa・s)の範囲;あるいは、120°F(49℃)において4,500cp(4,500mPa・s)〜6,000cp(6,000mPa・s)の範囲の見かけ粘度を有する。見かけ粘度は、Brookfield(登録商標)粘度計を用いて測定され得る。
【0038】
チオウレタンプレポリマー組成物の特性は、その組成物に他の成分を加えることによって調整され得る。例えば、合成の間、またはその後、溶媒をチオウレタンプレポリマー組成物に加えてもよい。溶媒は、チオウレタンプレポリマー組成物の粘度を調整するのに有用であり得る。一部の溶媒は、チオウレタンプレポリマー組成物をより容易に適用することができるように、その組成物の粘度を低くしてもよい。
【0039】
一実施形態において、溶媒は、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、ケトン溶媒、カーボネート溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。一部の実施形態において、溶媒は、炭化水素溶媒;あるいは、ハロゲン化炭化水素溶媒;あるいは、ケトン溶媒;あるいは、カーボネート溶媒;あるいは、エステル溶媒;あるいは、エーテル溶媒であってもよい。
【0040】
一実施形態において、溶媒は、C〜C20の飽和炭化水素;またはC〜C10の飽和炭化水素を含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。一部の実施形態において、溶媒は、C〜C20の芳香族炭化水素;またはC〜C20の芳香族炭化水素を含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。一実施形態において、溶媒は、C〜C15のハロゲン化炭化水素;またはC〜C10のハロゲン化炭化水素;またはC〜Cのハロゲン化炭化水素を含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。一部の実施形態において、溶媒は、C〜C10のケトン;またはC〜Cのケトンを含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。一部の実施形態において、溶媒は、C〜C10のカーボネート;またはC〜Cのカーボネートを含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。一部の実施形態において、溶媒は、C〜C10のエステル;またはC〜C10のエステルを含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。一部の実施形態において、溶媒は、C〜C10のエーテル;またはC〜C10のエーテルを含んでもよいか、あるいは本質的にそれらからなってもよい。
【0041】
単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切な飽和炭化水素溶媒としては、ペンタン、n−ヘキサン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ヘプタン、n−オクタン、および石油留分が挙げられるが、これらに限定されない。単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切な芳香族炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、混合キシレン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、およびエチルベンゼンが挙げられるが、これらに限定されない。単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切なハロゲン化溶媒としては、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、およびジクロロベンゼンが挙げられるが、これらに限定されない。単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切なケトン溶媒としては、アセトン、およびメチルエチルケトンが挙げられるが、これらに限定されない。単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切なカーボネート溶媒としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、および炭酸グリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切なエステル溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、および酢酸ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。単独、または任意の組み合わせのいずれかで利用され得る適切なエーテル溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、グリコールのジエーテル(例えば、ジメチルグリコールエーテル)、フラン、ジヒドロフラン、置換ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、および1,4−ジオキサンが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、溶媒は、メチルエチルケトン、炭酸グリセロール、アセトン、ヘキサン、石油留分、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼンまたはそれらの組み合わせであってもよい。他の適切な溶媒は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0042】
別の例において、チオウレタンプレポリマー組成物の特性は、チオウレタンプレポリマー組成物を生成するのに使用される組成物の1つの中に、またはチオウレタンプレポリマーを製造するのに使用される別の組成物として、変性剤を含むことによって修飾されてもよい。したがって、チオウレタンプレポリマー組成物は、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒と、変性剤組成物との反応生成物として記載され得る。適用可能な変性剤は、本明細書に記載されており、反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに限定されずに使用されてもよい。一実施形態において、変性剤は、活性水素基を有する化合物であってもよい。変性剤に存在し得る適用可能な活性水素基は、本明細書に記載されており、反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに限定されずに使用されてもよい。さらに、活性水素基を含む特定の化合物は、本明細書に記載されており、反応生成物としてチオウレタンプレポリマー組成物を規定するのに限定されずに使用されてもよい。
【0043】
本明細書に記載されるチオウレタンプレポリマー組成物は、硬化系に使用する前に長期間、保存されてもよく、その特性に関する負の影響は実質的に存在しない。すなわち、その特性は、保存期間の間、実質的に変化しないままである。一態様において、チオウレタンプレポリマー組成物は、少なくとも6ヶ月の保存期間を有することができる。
【0044】
チオウレタンプレポリマー組成物は、多数の用途に使用されてもよい。一例として、チオウレタンプレポリマー組成物は、一液型の湿気硬化系に使用されてもよい。かかる一液型システムにおいて、湿気は、典型的に、約2時間〜約24時間に及び得る時間、チオウレタンプレポリマー組成物を硬化するのに使用される。より速い硬化が望まれる場合、硬化を促進させるために熱が使用されてもよい。他の適切な硬化プロファイルが、当業者に明らかであるように使用されてもよい。
【0045】
別の例として、チオウレタンプレポリマー組成物は、多成分硬化系に使用されてもよい。多成分硬化系は、典型的に、チオウレタンプレポリマー組成物における過剰なイソシアネートと反応し得るさらなる化合物を含む。一例として、チオウレタンプレポリマー組成物は、チオウレタンプレポリマー組成物と、活性水素剤と、必要に応じてチオウレタンプレポリマー組成物を硬化するための第2の触媒とを含む多成分硬化系に使用されてもよい。本明細書に記載される任意の活性水素剤が、硬化されたチオウレタンポリマー組成物を生成するのに使用されてもよい。例えば、一部の実施形態において、活性水素剤は、ヒマシ油などのポリオールである。多成分硬化系において、未反応の過剰なイソシアネートを含むチオウレタンプレポリマー組成物は、他の活性水素成分とは別に維持されて、イソシアネートが他の活性水素成分と反応することを防ぐ。一部の実施形態において、第2の触媒は、チオウレタンプレポリマー組成物に残っている残留触媒であってもよい。他の実施形態において、異なる触媒が使用されてもよい。触媒の種類および成分に対する触媒の配置は、所望の結果に基づいて選択されてもよい。例えば、一部の触媒は、水に触媒作用を及ぼしやすいため、触媒が任意の成分に配置されてもよい。他の触媒は、アルコールにより触媒作用を及ぼしやすい。充填剤などの多成分硬化系に使用するのに適切な他の成分は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。一旦、成分が適用されると、次いで、それらは硬化されて、チオウレタンポリマー組成物を生成する。
【0046】
多成分硬化系が使用される場合、成分は、適用される前に短時間一緒に混合されるか、または成分は、別々に適用されて、その後互いに接触させることによって手短に混合されるかのいずれかである。成分が適用する前に一緒に混合される場合、静的ミキサーなどが使用されてもよい。
【0047】
本明細書に記載される湿気硬化系のほかに、チオウレタンプレポリマー組成物についての他の適切な使用または適用は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0048】
(チオウレタンポリマー組成物)
本明細書に記載されるチオウレタンプレポリマー組成物は、チオウレタンポリマー組成物を生成するために使用され得る。チオウレタンプレポリマー組成物は、チオウレタンポリマー組成物を生成するために硬化され得る。チオウレタンプレポリマー組成物を生成および規定するために使用された成分はまた、チオウレタンポリマー組成物を生成および規定するために使用され得る。最低限、チオウレタンポリマー組成物は、上記の構造G2を有する複数のチオウレタン基を含むポリマー分子を含む。本発明のチオウレタンポリマー組成物はまた、上記の単位U1およびU2からなる上記の複数の単位D2を有するチオウレタン分子を含むと記載され得る。チオウレタン組成物は、チオウレタンプレポリマー組成物から生成されるため、チオウレタンポリマー組成物は、本明細書に記載されるチオウレタンプレポリマーの態様を用いてさらに記載され得る。チオウレタンプレポリマー組成物から生成された特定のチオウレタンポリマーに依存して、チオウレタンポリマー分子は、チオウレタンプレポリマー分子よりも必ずしもチオウレタン基が増えなくてもよい。例えば、チオウレタンプレポリマー組成物の湿気硬化は、実質的に1つもさらなるチオウレタン基をポリマーに加えない。しかしながら、多成分システムが、活性水素剤としてチオール化合物を利用する場合、さらなるチオウレタン基が形成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明のチオウレタンポリマー組成物は、その特性によってさらに記載され得る。例えば、一部の実施形態において、チオウレタンポリマー組成物は、ASTM D1002に従って、オーク基板間(oak−to−oak substrate)で、約300psi(2068kPa)〜約1500psi(10340kPa);あるいは、350psi(2413kPa)〜1400psi(9653kPa);あるいは、約400psi(2758kPa)〜約1300psi(8963kPa);あるいは、450psi(3103kPa)〜1200psi(8274kPa);あるいは、500psi(3447kPa)〜1100psi(7584kPa);あるいは、550psi(3792kPa)〜1000psi(6895kPa);あるいは、600psi(4137kPa)〜900psi(6205kPa);あるいは、650psi(4482kPa)〜800psi(5516kPa)の範囲における完全硬化ラップ剪断強度を有する。完全硬化値は、外気にさらされる前の完全硬化強度として記載される。ラップ剪断強度はまた、ASTM D 1151−84に記載される方法に従って、外気にさらした後の強度として記載され得る。一般的に、ラップ剪断強度は、外気にさらされると減少する。一実施形態において、外気にさらすと、ラップ剪断強度の50%未満の減少;あるいは、ラップ剪断強度の40%未満の減少;あるいは、ラップ剪断強度の35%未満の減少;あるいは、ラップ剪断強度の30%未満の減少;あるいは、ラップ剪断強度の25%未満の減少を生じる。
【0050】
他の特性もまた、本発明のチオウレタンポリマー組成物を記載するために使用され得る。一部の実施形態において、チオウレタンポリマー組成物は、40%〜110%;あるいは、50%〜100%;あるいは、60%〜90%;あるいは、70%〜80%の範囲の伸び値を有する。伸びは、ASTM D412に従って測定した。一態様において、チオウレタンポリマー組成物は、25A〜60A;あるいは、30A〜50A;あるいは、35A〜40Aの範囲の平均ショア硬さAを有する。ショア硬さAは、ASTM D2240に従って測定した。別の例として、チオウレタンポリマー組成物は、25%伸びで、350psi(2413kPa)〜1175psi(8101kPa);あるいは、400psi(2758kPa)〜1100psi(7584kPa);あるいは、500psi(3447kPa)〜1000psi(6895kPa);あるいは、600psi(4137kPa)〜900psi(6205kPa);あるいは、700psi(4826kPa)〜800psi(5516kPa)の範囲の平均モジュラスを有する。別の態様において、チオウレタンポリマー組成物は、50%伸びで、250psi(1724kPa)〜850psi(5861kPa);あるいは、300psi(2068kPa)〜800psi(5516kPa);あるいは、400psi(2758kPa)〜700psi(4826kPa);あるいは、500psi(3447kPa)〜600psi(4137kPa)の範囲の平均モジュラスを有する。さらに別の例において、チオウレタンポリマー組成物は、200psi(1379kPa)〜700psi(4826kPa);あるいは、300psi(2068kPa)〜600psi(4137kPa);あるいは、400psi(2758kPa)〜500psi(3447kPa)の範囲の平均引張強度を有する。引張弾性率は、ASTM D412に従って測定した。別の態様において、チオウレタンポリマー組成物は、−45%〜+45%;あるいは、−25%〜+25%の範囲の結合可動性の試験結果を有すると考えられる。
【0051】
チオウレタンプレポリマー組成物が調製される場合、チオウレタンポリマー組成物の特性は、変性剤などの他の成分を加えることによって調整されてもよい。変性剤は、チオウレタンプレポリマー組成物およびチオウレタンポリマー組成物内の種々の特性を修飾するために加えられてもよい。例えば、材料(複数も含む)が、チオウレタンポリマー組成物の柔軟性を向上させるために加えられてもよい。一実施形態において、変性剤は、活性水素基を有する化合物であってもよい。変性剤に存在し得る適用可能な活性水素基は、本明細書に記載されており、チオウレタンプレポリマーおよび/またはチオウレタンポリマー組成物に関して限定されずに使用されてもよい。さらに、活性水素基を含む特定の化合物は、本明細書に記載されており、チオウレタンプレポリマーおよび/またはチオウレタンポリマー組成物を記載するために限定されずに使用されてもよい。例えば、一実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物が調製される場合、ポリオールが、変性剤としてチオウレタンプレポリマー組成物に加えられてもよい。一部の実施形態において、ポリオールは、ポリプロピレングリコールであってもよい。チオウレタンポリマー組成物が接着剤または封止剤として使用される場合など、柔軟性が必要とされるいくつかの実施形態において、オリゴマー試薬が使用されてもよい。一部の実施形態において、オリゴマー試薬は、オリゴマーポリオール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリエーテルエステル、およびそれらの組み合わせであってもよい。変性剤は、本発明の実施形態に従って生成されるポリマーに強度および接着性などの他の特性を提供するために使用されてもよい。一態様において、変性剤は、活性水素基を含む。適切な変性剤は、三官能性オリゴマー、タッキファイヤー、ポリブタジエン、ポリエーテルアミン(例えば、ジェファミン(Jeffamine)(登録商標)ポリマー)、エーテル、尿素、ジ(ヒドロキシエチル)ジスルフィド(DIHEDS)などを含んでもよい。変性剤は、チオウレタンプレポリマーの合成の間に加えられてもよいか、あるいは多成分システムにおけるチオウレタンポリマーの硬化直前、または硬化の間に加えられてもよいかのいずれかである。変性剤が活性水素基を含み、合成の間に加えられる場合、活性水素基を含む変性剤が後に加えられる場合より、得られるプレポリマー組成物はわずかに異なる特性を有すると考えられる。
【0052】
一態様において、種類に関わらず、オリゴマー変性剤は、1000〜10,000;あるいは、1100〜9,000;あるいは、1200〜8,000;あるいは、1300〜7,000;あるいは、1400〜6,000;あるいは、1500〜5,000;あるいは、1600〜4,000;あるいは、1700〜3,000;あるいは、1800〜2,000の範囲のMを有し得る。他の適切な変性剤は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0053】
(チオウレタンポリマー組成物を製造するプロセス)
本発明の一実施形態において、チオウレタンポリマー組成物を生成する方法は、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒とを接触させて、チオウレタンプレポリマー組成物を生成し、そのチオウレタンプレポリマー組成物を硬化して、チオウレタンポリマーを生成する工程を含む。本明細書に記載される任意のチオールエステル組成物、イソシアネート組成物、および触媒は、本発明のチオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用され得る。チオウレタンプレポリマー組成物は、チオウレタンポリマー組成物を生成するために硬化される。一部の実施形態において、硬化は、チオウレタンプレポリマー組成物を湿気に曝露することによって生じる。
【0054】
一態様において、本発明のチオウレタンポリマー組成物を製造する方法は、チオウレタンプレポリマー組成物と、活性水素剤と、必要に応じて第2の触媒とを接触させる工程を含む。一実施形態において、硬化は、アルコール基、チオール基、カルボン酸基、アミン基、およびアミド基からなる群より選択される少なくとも2種の活性水素基を含む活性水素剤の存在下で生じる。一部の実施形態において、活性水素剤は、アルコール基、チオール基、およびアミン基からなる群より選択されるか、あるいはアルコール基およびチオール基からなる群より選択される少なくとも2種の活性水素基を含む。一部の実施形態において、活性水素剤は、ポリオール;あるいは、ポリチオール;あるいは、ポリカルボン酸を含む。一部の実施形態において、活性水素剤は、湿気(例えば、水)である。活性水素剤が湿気である一実施形態において、その湿気は大気水分であってもよい。上記のように、チオウレタンポリマー組成物を生成する方法は、多成分硬化系において使用され得る。例えば、活性水素剤および必要に応じて第2の触媒は、過剰な反応性イソシアネート基を含むチオウレタンプレポリマー組成物とは別に保存されてもよい。チオウレタンプレポリマー組成物は、活性水素剤および任意の第2の触媒と別々または一緒に適用されて、一旦成分が硬化すると、チオウレタンポリマー組成物が生成し得る。第2の触媒は、本明細書に記載される任意の触媒であってもよい。第2の触媒は、チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される同じ触媒であってもよい。第2の触媒は、チオウレタンプレポリマー組成物が生成される反応由来の残留触媒であってもよいか、またはチオウレタンプレポリマー組成物を生成する工程から独立して加えられてもよい。
【0055】
チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される成分が混合または添加される順序は、得られるチオウレタンプレポリマー組成物の特性にも、最終的に生成されたチオウレタンポリマー組成物の特性にも有意な影響を与えない。例えば、一部の実施形態において、成分は、同時にリアクターに添加される。他の実施形態において、成分は、任意の順序で個々に供給される。
【0056】
チオウレタンポリマー組成物は、チオウレタンプレポリマー組成物を形成し、次いで、硬化することによって生成され得る。チオウレタンプレポリマー組成物は、本明細書に記載される任意のチオウレタンプレポリマー組成物であってもよい。あるいは、チオウレタンプレポリマー組成物は、本明細書に記載される反応生成物として規定される任意のチオウレタンプレポリマー組成物であってもよい。例えば、チオウレタンプレポリマー組成物は、本明細書に記載される触媒と、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物との任意の反応生成物;あるいは、本明細書に記載されるチオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒と、変性剤組成物との任意の反応生成物として記載され得る。触媒、チオールエステル組成物、イソシアネート組成物、および必要に応じて変性剤(または変性剤組成物)は、チオウレタンポリマーを生成するために利用されるチオウレタンプレポリマー組成物とは独立した要素であるため、触媒と、チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、必要に応じて変性剤(または変性剤組成物)との反応生成物として記載されるチオウレタンプレポリマー組成物は、本明細書に記載される任意の触媒、本明細書に記載される任意のチオールエステル組成物、本明細書に記載される任意のイソシアネート組成物、および必要に応じて本明細書に記載される任意の変性剤(または変性剤組成物)を用いて記載され得る。
【0057】
一般的に、チオールエステル組成物およびイソシアネート組成物は、チオウレタンプレポリマー組成物を生成できる任意の官能基当量比で混合され得る。官能基当量比は、イソシアネート組成物のイソシアネート基と反応して、チオウレタン基を形成し得るチオールエステル組成物における官能基の数と、イソシアネート組成物におけるイソシアネート基の数との比に関係する。官能基当量比は、「イソシアネート指標」または「NCO:XH当量比」という用語によって与えられ、ここで、NCOは、チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用されるイソシアネート基の当量を表し、XHは、チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される活性水素基の当量を表す。活性水素基としては、チオール基、アルコール基、アミン基、アミド基、カルボン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。一実施形態において、活性水素基としては、アルコール基、チオール基、およびアミン基が挙げられ得るか;あるいは、アルコール基およびチオール基が挙げられ得るか;あるいは、チオール基を含むか;あるいは、アルコール基およびチオール基からなるか;あるいは、本質的にチオール基からなる。他の適切な活性水素基は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。一実施形態において、チオウレタンプレポリマーを調製するために使用されるNCO:XH当量比におけるXHは、本質的にチオール基およびアルコール基からなる。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマーを調製するために使用されるNCO:XH当量比におけるXHは、本質的にチオール基からなる。一態様において、実質的に全ての活性水素基は、イソシアネート基によってキャップ(cap)されている。当業者はさらに、どのチオールエステル組成物がチオール基のみを含み、どのチオールエステル組成物がチオール基およびアルコール基を含むことを理解するだろう。一部の実施形態において、チオウレタンプレポリマーを調製するために使用されるNCO:XH当量比における実質的に全てのXHは、チオールエステル組成物に由来する。他の実施形態において、チオウレタンプレポリマーを調製するために使用されるNCO:XH当量比におけるXHの一部は、添加剤(例えば、ポリオールなどの変性剤または本明細書に記載される活性水素基を有する任意の他の化合物)に由来し得る。活性水素基の一部が、チオールエステル以外の化合物に由来する場合、チオールエステル以外の化合物に由来する活性水素基の一部は、YHと指定され、本明細書に記載される任意の活性水素基、または活性水素基の任意の組み合わせを表し得る。一部の実施形態において、YHは、アルコール基を表す。いくつかの実施形態において、官能基当量比(NCO:XH)は、少なくとも2.1であってよい。一部の実施形態において、NCO:XH当量比は、2.1〜10:1;あるいは、2.1〜6.0;あるいは、2.1〜4.0の範囲であってよい。一部の実施形態において、NCO:XH当量比は、2.5〜3.5の範囲であってよい。チオウレタンプレポリマーが変性剤を用いて生成される一部の実施形態において、変性剤は、本明細書に開示される任意の値を有するNCO:XH比を維持しながら、特定のYH:SHモル比を達成する量で加えられてもよい。一部の実施形態において、YH:SHモル比は、0.01:1〜5:1の範囲;あるいは、0.05:1〜3:1の範囲;あるいは、0.1:1〜2:1の範囲;あるいは、0.15:1〜1.6:1の範囲であってよい。
【0058】
一態様において、チオウレタンポリマー組成物を製造する方法はさらに、湿気を用いてチオウレタンプレポリマー組成物を硬化する工程を含む。熱もまた、本発明のチオウレタンプレポリマー組成物を硬化するために使用されてもよい。他の適切な硬化プロファイルは、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0059】
いくつかの実施形態において、チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される触媒は、第三級アミン、有機スズ化合物、アミン開始ポリプロピレングリコール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。一部の実施形態において、触媒はアミンであってよい。他の実施形態において、触媒はスズ化合物であってよい。一部の実施形態において、触媒は第三級アミンである。他の実施形態において、触媒は、脂肪族アミン;あるいは、芳香族アミンであってよい。他の実施形態において、触媒は、ポリエーテルアミン;あるいは、ポリアルキレンアミン;あるいは、第三級アミンポリオールであってよい。さらに他の実施形態において、アミン触媒は、少なくとも2つのアミン基を含むポリアミンであってよい。一部のアミン触媒の実施形態において、触媒は、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン[DBU−CAS番号 6674−22−2];あるいは、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン[DABCO−CAS番号 280−57−9];あるいは、トリエチルアミンであってよい。スズ化合物触媒の実施形態において、スズ化合物は、ジブチルスズジラウレートであってよい。これらの触媒のいずれかも、多成分硬化系においてなどで、チオウレタンポリマー組成物を生成するために第2の触媒として使用され得る。
【0060】
一般的に、触媒は、チオールエステル組成物と、イソシアネートとを含むチオウレタンプレポリマー組成物が、所望の条件下で硬化しない場合に利用される。いくつかの実施形態において、触媒は、チオウレタンプレポリマー組成物の10重量%未満を構成してもよい。他の実施形態において、触媒は、チオウレタンプレポリマー組成物の0.01重量%〜9.0重量%;あるいは、チオウレタンプレポリマー組成物の0.1重量%〜7.0重量%;あるいは、チオウレタンプレポリマー組成物の0.5重量%〜3.0重量%を構成する。
【0061】
本明細書に記載されるプロセスは、本明細書に記載されるチオウレタンポリマー組成物のいずれかを生成するために使用され得る。プロセス工程の順序は、本明細書に開示されるものと変わってもよい。
【0062】
(供給原料)
(チオールエステル組成物)
本明細書に記載されるポリマーを生成するための供給原料として使用されるチオールエステル組成物は、多くの異なる方法を用いて記載され得る。機能的に、チオールエステルは、そのチオールエステルに存在する官能基の種類によって記載され得る。この機能的な記載において、チオールエステル組成物は、少なくとも1つのエステル基および少なくとも1つのチオール基を有する分子を最低限含む。他の実施形態において、チオールエステル組成物は、ヒドロキシ基および/またはポリスルフィド結合−S−(式中、xは1より大きい整数である)などのさらなる基を有するチオールエステル、およびそれらを有さないチオールエステルを含んでもよい。チオールエステルがヒドロキシ基を含む場合、そのチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステルと称される。チオールエステルがポリスルフィド結合−S−(式中、xは1より大きい整数である)を有する場合、そのチオールエステルは、架橋チオールエステルと称され得る。チオールエステルが、ヒドロキシ基およびポリスルフィド基−S−(式中、xは1より大きい整数である)を有する場合、そのチオールエステルは、架橋ヒドロキシチオールエステルと称され得る。
【0063】
あるいは、チオールエステルは、それが形成された方法を示す名称を用いて記載され得る。例えば、メルカプタン化不飽和エステルと称されるチオールエステルは、硫化水素と不飽和エステルとを反応することによって生成されるチオールエステルを指す。メルカプタン化不飽和エステルはさらに、そのメルカプタン化不飽和エステルに存在するチオールエステルの官能基の記述子(functional descriptor)を利用して記載され得る。例えば、2つの非限定的な例において、メルカプタン化大豆油は、そのメルカプタン化大豆油に存在する他のチオールエステルの態様の中で、エステル基の数と、チオール基の数との組み合わせによってさらに記載され得るが、メルカプタン化ヒマシ油は、そのメルカプタン化ヒマシ油に存在する他のチオールエステルの態様の中で、エステル基の数と、チオール基の数と、ヒドロキシ基の数との組み合わせによってさらに記載され得る。
【0064】
一態様において、本発明のチオールエステル組成物は、米国特許出願番号第11/060,675号;同第11/060,696号;同第11/059,792号;および同第11/059,647号(本明細書で以下「675出願」)(この開示はその全体を参照により援用される)に記載されるように、任意の不飽和エステルと硫化水素とを反応させることによって生成され得る。チオールエステル組成物が、不飽和エステルと硫化水素とを反応させることによって生成される場合、生成される物質は、メルカプタン化不飽和エステルと称され得る。不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり複数の炭素−炭素二重結合を含むことができるため、炭素−炭素二重結合反応性および統計的確率により、不飽和エステル組成物から生成される供給原料チオールエステル組成物の各チオールエステル分子が、同一のチオール基の数、未反応の炭素−炭素二重結合の数、環状スルフィドの数、炭素−炭素二重結合とチオール基とのモル比、環状スルフィドとチオール基とのモル比、および/または不飽和エステルとして本明細書に開示される官能基の数およびモル比の他の量を有さないことが明らかである。さらに、不飽和エステルはまた、異なる炭素−炭素二重結合および/またはエステル基の数を有する個々の不飽和エステルの混合物も含んでもよい。したがって、これらの性質の多くは、チオールエステル組成物内のチオールエステル分子あたりの基の平均数、またはチオールエステル組成物内のチオールエステル分子あたりの平均比として記載される。他の実施形態において、チオールエステルに存在するチオール硫黄含有量を制御することが望ましい。硫化水素が、不飽和エステル内の全ての炭素−炭素二重結合と反応するのを確実にすることは難しいため、チオールエステルの特定の分子は、他の分子より多いまたは少ないチオール基を有することがある。したがって、チオール基の重量%は、チオールエステル組成物の全チオールエステル分子にわたる平均値として示される。
【0065】
チオールエステルが架橋されている場合、そのチオールエステルは、架橋チオールエステルを生成するのに使用される組成物に依存して、架橋チオールエステルまたは架橋ヒドロキシチオールエステルと称される。チオールエステル組成物のこれらの種類の各々は、本明細書に記載されている。ヒドロキシチオールエステル、架橋ヒドロキシチオールエステル、メルカプタン化不飽和エステル、メルカプタン化エポキシ化エステル、架橋メルカプタン化不飽和エステル、および架橋メルカプタン化エポキシ化エステルは、全て、チオールエステル組成物であるとみなされる。モル比などのチオールエステル組成物を記載するのに使用される同じ特性、および本明細書に記載される他の独立の記述要素の多くは、本明細書に記載されるチオールエステル組成物の多くの異なる種類に等しく適用できる。
【0066】
一般的に、チオールエステル組成物は、チオールエステル分子および/またはチオールエステル組成物の1つ以上の別のまたは別個の官能基を含むものと記載され得る。これらの独立した官能基は、チオールエステル分子あたりのエステル基の数(または平均数)、チオールエステル分子あたりのチオール基の数(または平均数)、チオールエステル分子あたりの未反応の炭素−炭素二重結合の数(または平均数)、チオールエステル組成物の平均チオール硫黄含有量、チオールエステル分子あたりのスルフィド結合の百分率(または平均百分率)、ならびにチオールエステル分子あたりの環状スルフィド基の百分率(または平均百分率)を含むことができる。さらに、チオールエステル組成物は、二重結合とチオール基との比、環状スルフィドとメルカプタン基との比などを含む比を個別にまたは組み合わせを用いて記載され得る。別々の要素として、チオール組成物のこれらの官能基は、別々に記載される。
【0067】
最低限、チオールエステルは、チオールエステル分子あたり少なくとも1つのエステル基および1つのチオール基を有するチオールエステル分子を含む。いくつかの実施形態において、チオールエステルは、不飽和エステルから調製され得る。したがって、一部の実施形態において、チオールエステルは、本明細書に記載するように、それから調製される不飽和エステルと同じ数のエステル基を含むことができる。一実施形態において、チオールエステル分子は、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のエステル基を有することができる。あるいは、チオールエステル分子は、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のエステル基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のエステル基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも3個のエステル基を有することができる。他の実施形態において、チオールエステルは、チオールエステル分子あたり平均1.5個から8個のエステル基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均2個から7個のエステル基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均2.5個から5個のエステル基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均3個から4個のエステル基を有することができる。さらに他の実施形態において、チオールエステルは、チオールエステル分子あたり平均して約3個のエステル基、あるいは、チオールエステル分子あたり平均して約4個のエステル基を含むことができる。
【0068】
最低限、チオールエステルは、チオールエステル分子あたり1個または平均して少なくとも1個のチオール基を含む。一実施形態において、チオールエステル分子は、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも3個のチオール基を有することができる。他の実施形態において、チオールエステル分子は、チオールエステル分子あたり平均1.5個から9個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均3個から8個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均2個から4個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり平均4個から8個のチオール基を有することができる。
【0069】
一態様において、チオールエステルは、チオールエステルに存在するチオール基の数を用いて記載され得る。例えば、トリメルカプタンチオールエステルと称されるチオールエステルは、チオールエステル分子あたり平均2.5個から3.5個のチオール基を含むチオールエステルであってよい。あるいは、トリメルカプタンチオールエステルは、チオールエステル分子あたり平均2.75個から3.25個のチオール基を含むことができる。別の例として、ジメルカプタンチオールエステルと称されるチオールエステルは、チオールエステル分子あたり平均1.5個から2.5個のチオール基;あるいは、チオールエステル分子あたり1.75個から2.25個のチオール基を含むチオールエステルであってよい。
【0070】
他の実施形態において、チオールエステルは、さらに、チオールエステルに存在するチオール硫黄の平均量によって記載され得る。一実施形態において、チオールエステル分子は、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも5重量%のチオール硫黄;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して少なくとも10重量%のチオール硫黄;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して15重量%より多いチオール硫黄を有する。一実施形態において、チオールエステル分子は、チオールエステル分子あたり平均して5から25重量%のチオール硫黄;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して5から20重量%のチオール硫黄;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して6から15重量%のチオール硫黄;あるいは、チオールエステル分子あたり平均して8から10重量%のチオール硫黄を有する。
【0071】
一般的に、チオールエステルのチオール基の位置は、特に重要ではなく、チオールエステルを生成するのに使用される方法によって決定される。チオールエステルが、不飽和エステルと硫化水素とを接触させることによって生成される実施形態(メルカプタン化不飽和エステル)において、チオール基の位置は、炭素−炭素二重結合の位置によって決定される。炭素−炭素二重結合が、内部の炭素−炭素二重結合である場合、チオールエステルの生成方法は、第二級チオール基をもたらす。しかしながら、二重結合が、末端位置にある場合、第一級チオール基または第二級チオール基のいずれかを含むチオールエステルを生成するための反応条件を選択することが可能である。
【0072】
チオールエステル組成物を生成する方法のいくつかは、さらに、チオール基以外の硫黄含有官能基を生成し得る。例えば、一部のチオールエステル生成方法において、導入されるチオール基は、同じ不飽和エステル内の炭素−炭素二重結合と反応してスルフィド結合を生成することができる。反応が第2の不飽和エステルの二重結合とのものである場合、単純なスルフィド結合が生成される。しかしながら、一部の場合において、第2の炭素−炭素二重結合は、同じ不飽和エステル分子中に位置している。チオール基が、同じ不飽和エステル分子内の第2の炭素−炭素二重結合と反応する場合、スルフィド結合が生成される。一部の場合において、炭素−炭素二重結合は、不飽和エステル分子の第2のエステル基の中にあってよい。一方、他の場合において、炭素−炭素二重結合は、不飽和エステル分子の同じエステル基の中にあってよい。
【0073】
チオール基が、同じ不飽和エステル分子の第2のエステル基中の炭素−炭素二重結合と反応する場合、スルフィドは、環構造内に少なくとも1つのエステル基を含む。一部の実施形態において、チオール基が、同じ不飽和エステル分子の第2のエステル基中の炭素−炭素二重結合と反応する場合、スルフィドは、環構造内に2つのエステル基を含む。本明細書において、環構造内のエステル基を含む第1の種類のスルフィドは、単純なスルフィドと称される。チオール基が、同じエステル基内の炭素−炭素二重結合と反応する場合、スルフィドは、環構造内にエステル基を含まない。本明細書において、スルフィドのこの第2の種類は、環状スルフィドと称される。環状スルフィドの場合において、スルフィド結合は、チオールエステルの単一のエステル基内に環状スルフィド官能性を生成する。生成され得る環状スルフィド環としては、テトラヒドロチオピラン環、チエタン環、またはチオファン環(テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
【0074】
一部の実施形態において、チオールエステル中に環状スルフィドとして存在する硫黄の平均量を制御することが望ましい。一実施形態において、チオールエステル分子中に環状スルフィドとして存在する硫黄の平均量は、30モル%未満を構成する。あるいは、チオールエステル中に環状スルフィドとして存在する硫黄の平均量は、20モル%未満;あるいは、10モル%未満;あるいは、5モル%未満;あるいは、2モル%未満を構成することができる。他の実施形態において、環状スルフィドとチオール基とのモル比を制御することが望ましい。一実施形態において、チオールエステルあたりの環状スルフィド基とチオール基との平均モル比は、1.5未満であってよい。あるいは、チオールエステルあたりの環状スルフィド基とチオール基との平均モル比は、1未満;あるいは、0.5未満;あるいは、0.25未満;あるいは、0.1未満であってよい。一部の実施形態において、チオールエステルあたりの環状スルフィド基とチオール基との比は、0から1の範囲であり得るか;あるいは、チオールエステルあたりの環状スルフィド基とチオール基との平均モル比は、0.05から1の範囲であり得る。
【0075】
一部の場合において、チオールエステル組成物中に存在する炭素−炭素二重結合を有することが望ましいが、他の実施形態において、チオールエステル組成物中に存在する炭素−炭素二重結合の数を最小化することが望ましいことがある。チオールエステル中の炭素−炭素二重結合の存在は、炭素−炭素二重結合とチオール硫黄との平均モル比として示され得る。一実施形態において、チオールエステル組成物中の残存する未反応の炭素−炭素二重結合と、チオール硫黄との平均比は、チオールエステル分子あたり1.5未満であってよい。あるいは、炭素−炭素二重結合と、チオール硫黄との平均比は、チオールエステル分子あたり1.2未満;あるいは、チオールエステル分子あたり1.0未満;あるいは、チオールエステル分子あたり0.75未満;あるいは、チオールエステル分子あたり0.5未満;あるいは、チオールエステル分子あたり0.2未満;あるいは、チオールエステル分子あたり0.1未満であってよい。
【0076】
特定の実施形態において、チオールエステルは、不飽和エステル組成物から生成される(メルカプタン化不飽和エステル)。不飽和エステルは、存在する特定の数のエステル基を有する特定の組成を有するため、その生成物のチオールエステル組成物は、チオールエステル分子あたりその不飽和エステルとほぼ同数のエステル基を有するであろう。他の独立したチオールエステルの性質は、本明細書に記載されており、チオールエステル組成物をさらに記載するのに使用され得る。
【0077】
一態様において、チオールエステルは、メルカプタン化不飽和エステルと称され得る。これらの実施形態において、本明細書に記載される不飽和エステルおよび/または本明細書に記載される不飽和エステルの機能上の記載は、特定のメルカプタン化エステルをさらに示すのに、および/または特定のメルカプタン化エステルをさらに記載するのに利用され得る。少数の非限定的な例において、天然原料油と硫化水素とを接触させることによって生成されるチオールエステルは、メルカプタン化天然原料油と称され得、大豆油と硫化水素とを接触させることによって生成されるチオールエステルは、メルカプタン化大豆油と称され得、ヒマシ油と硫化水素とを接触させることによって生成されるチオールエステルは、メルカプタン化ヒマシ油と称され得る。本明細書に記載される不飽和エステル油のさらなる性質は、不飽和エステル油およびメルカプタン化エステル油をさらに記載するのにも利用され得る。
【0078】
一部の実施形態において、チオールエステル分子は、本明細書に記載されるように、平均して25重量%未満のメチレンを挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖を有する不飽和エステルから生成される。一部の実施形態において、チオールエステル分子の全側鎖の40%より多くは、硫黄を含むことができる。一部の実施形態において、チオールエステル分子の全側鎖の60%より多くは、硫黄を含むことができる。他の実施形態において、チオールエステル分子の全側鎖の50%、70%、または80%より多くは、硫黄を含むことができる。
【0079】
一実施形態において、チオールエステルは、本明細書に記載されるように、チオール含有天然原料油である。チオールエステルが、チオール含有天然原料油である場合、チオール含有天然原料油中に存在する官能基は、「チオールエステル分子あたり」の基準で、または「トリグリセリドあたり」の基準で記載され得る。チオール含有天然原料油は、モル比および本明細書に記載される他の独立した記載要素などの、チオールエステル組成物と実質的に同じ性質を有することができる。
【0080】
チオール含有天然原料油中のトリグリセリドあたりのチオール基の平均数は、約1.5個より多い。一部の実施形態において、トリグリセリドあたりのチオール基の平均数は、約1.5個から約9個の範囲であり得る。
【0081】
メルカプタン化不飽和エステル組成物はまた、硫化水素と不飽和エステル組成物とを接触させる工程を含むプロセスによって生成される生成物として記載され得る。言い換えれば、不飽和エステル組成物は、メルカプタン化されてメルカプタン化不飽和エステル組成物が形成される。メルカプタン化不飽和エステル組成物はまた、側鎖の分子量または平均分子量を用いて記載され得る。チオールエステル組成物を記載するのに使用される属性の全ては、メルカプタン化不飽和エステル組成物を記載するのに使用され得る。
【0082】
(ヒドロキシチオールエステル組成物)
一態様において、本明細書に記載されるポリマーを生成するための供給原料として使用されるチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステルであってよい。ヒドロキシチオールエステルは、多くの方法を用いて記載され得る。機能的に、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル中に存在する官能基の種類によって記載され得る。この機能的記載において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、最低限に、少なくとも1つのエステル基、少なくとも1つのチオール基、および少なくとも1つのヒドロキシ基を有する分子を含む。他の実施形態において、チオールエステル組成物は、さらなる基であるポリスルフィド結合−S−(式中、xは1より大きい整数である)を有するチオールエステルおよびそれらを有さないチオールエステルを含むことができる。チオールエステルがヒドロキシ基およびポリスルフィド基−S−(式中、xは1より大きい整数である)を有する場合、そのチオールエステルは、架橋ヒドロキシチオールエステルと称され得る。
【0083】
あるいは、ヒドロキシチオールエステルは、それが形成された方法を示す名称を用いて記載され得る。例えば、メルカプタン化エポキシ化エステルと呼ばれるヒドロキシチオールエステルは、硫化水素とエポキシ化不飽和エステルとを反応させることによって生成されるヒドロキシチオールエステルを指す。メルカプタン化エポキシ化エステルは、メルカプタン化エポキシ化エステル中に存在するヒドロキシチオールエステルの官能基の記述子を利用してさらに記載され得る。ヒドロキシチオールエステル組成物の記載に合致する化合物は、メルカプタン化エポキシ化エステルの記載と必ずしも合致しない。例えば、メルカプタン化ヒマシ油は、ヒドロキシチオールエステルの定義のいくつかを用いて記載され得るが、それは、少なくとも1つのエステル基、少なくとも1つのチオール基、および少なくとも1つのヒドロキシ基を有するためである。しかしながら、メルカプタン化ヒマシ油は、それがヒマシ油と硫化水素とを接触させることによって生成されるので、メルカプタン化エポキシ化エステルではない。しかしながら、メルカプタン化エポキシ化ヒマシ油は、硫化水素とエポキシ化ヒマシ油とを接触させることによるその形成のために、メルカプタン化エポキシ化エステル油である。
【0084】
供給原料チオールエステル組成物は、ヒドロキシまたはアルコール基を含むこともできる。チオールエステル組成物が、ヒドロキシ基を含む場合、そのチオールエステル組成物は、本明細書では、ヒドロキシチオールエステル組成物と称される。ヒドロキシチオールエステル組成物中に存在するアルコール基の量または数は、ヒドロキシチオールエステル組成物中に存在する他の官能基(すなわち、チオール基、エステル基、スルフィド、環状スルフィド)の量と無関係であってよい。さらに、チオール硫黄の重量%および官能基比(すなわち、環状スルフィドとチオール基とのモル比、エポキシド基とチオール基とのモル比、エポキシド基とα−ヒドロキシチオール基とのモル比、ならびに他の開示された官能基の量およびチオール基とのそのモル比)は、ヒドロキシチオールエステル組成物を記載するのに使用され得る別のまたは別個の要素である。ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル組成物の本明細書に記載される別の官能基または比の任意の組合せを用いて記載され得る。
【0085】
一実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、‘675出願に記載されるように、硫化水素とエポキシ化不飽和エステル組成物とを反応させることによって生成され得る。チオールエステル組成物が、硫化水素とエポキシ化不飽和エステルとを反応させることによって生成される場合、その生成される物質は、メルカプタン化エポキシ化エステルと呼ばれ得る。エポキシ化不飽和エステルは、多数のエポキシド基を含むことができるので、エポキシド基反応性および統計的確率により、ヒドロキシチオールエステル組成物の全てのヒドロキシチオールエステル分子は、エポキシ化不飽和エステル組成物と同一数のヒドロキシ基、チオール基、α−ヒドロキシチオール基、スルフィド、環状スルフィド、環状スルフィドとチオール基とのモル比、エポキシド基とチオール基とのモル比、エポキシド基とα−ヒドロキシチオール基とのモル比、チオール硫黄の重量%、ならびに/あるいは他の開示された官能基の量およびそのモル比を有するとは限らないことが明らかである。したがって、これらの性質の多くは、ヒドロキシチオールエステル分子あたりの平均数または比として論じられる。他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル中に存在するチオール硫黄の含有量を制御することが望ましい。硫化水素が、エポキシ化不飽和エステル内の全てのエポキシド基と反応することを確実にすることは難しいので、特定のヒドロキシチオールエステル分子は、そのヒドロキシチオールエステル組成物内の他の分子より多くのチオール基または少ないチオール基を有することができる。したがって、チオール基の重量%は、全てのヒドロキシチオールエステル分子にわたる平均重量%として示され得る。
【0086】
本発明の一実施形態として、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して少なくとも1個のエステル基、および平均して少なくとも1個のα−ヒドロキシチオール基を有するヒドロキシチオールエステル分子を含む。本発明の一実施形態として、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して少なくとも1.5個のエステル基、および平均して少なくとも1.5個のα−ヒドロキシチオール基を有するヒドロキシチオールエステル分子を含む。
【0087】
あるいは、一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルは、少なくとも1個のエステル、少なくとも1個のチオール基、および少なくとも1個のヒドロキシ基を含む。したがって、一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオール分子あたり、平均して少なくとも1.5個のエステル基、平均して少なくとも1個のチオール基、および平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基を有するヒドロキシチオールエステル分子を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、ヒドロキシチオールエステルは、エポキシ化不飽和エステルまたは不飽和エステルから調製され得る。したがって、ヒドロキシチオールエステルは、エポキシ化不飽和エステルまたは不飽和エステルと同じ数のエステル基を含むことができる。一実施形態において、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して少なくとも1.5個のエステル基を有する。あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のエステル基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のエステル基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも3個のエステル基を有する。他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して1.5個から8個のエステル基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2個から7個のエステル基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2.5個から5個のエステル基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して3個から4個のエステル基を有する。さらに他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均3個のエステル基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均4個のエステル基を含む。
【0089】
一部の実施形態において、ヒドロキシ基及びチオール基は、同一の基に組み合わされ(例えば、ヒドロキシチオールエステルがエポキシ化不飽和エステルから生成される場合)、その基は、α−ヒドロキシチオール基と称され得る。他の実施形態において、チオール基およびヒドロキシまたはアルコール基は、同一の基にはない。この場合において、アルコール基の存在は、チオール基の形成に依存しない。例えば、本発明の別の実施形態として、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子を含む。ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して少なくとも1.5個のエステル基、平均して少なくとも1.5個のチオール基、および平均して少なくとも1.5個のアルコール基を有する。
【0090】
最低限に、一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり少なくとも1個のチオール基を含む。一実施形態において、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも3個のチオール基を有することができる。他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して1.5個から9個のチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して3個から8個のチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2個から4個のチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステルあたり平均して4個から8個のチオール基を有することができる。
【0091】
最低限に、一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して少なくとも1個のヒドロキシまたはアルコール基を含む。一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のヒドロキシ基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のヒドロキシ基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも3個のヒドロキシ基を有することができる。他の実施形態において、チオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して1.5個から9個のヒドロキシ基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して3個から8個のヒドロキシ基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2個から4個のヒドロキシ基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して4個から8個のヒドロキシ基を有することができる。
【0092】
さらに他の実施形態において、ヒドロキシ基の数は、ヒドロキシ基とチオール基との平均モル比として示され得る。最低限に、一部の実施形態において、ヒドロキシ基とチオール基とのモル比は、少なくとも0.25であってよい。一部の実施形態において、ヒドロキシ基とチオール基とのモル比は、少なくとも0.5;あるいは、少なくとも0.75;あるいは、少なくとも1.0;あるいは、少なくとも1.25;あるいは、少なくとも1.5であってよい。別の実施形態において、ヒドロキシ基とチオール基とのモル比は、0.25から2.0;あるいは、0.5から1.5;あるいは、0.75から1.25の範囲であってよい。
【0093】
ヒドロキシチオールエステルが、エポキシ化不飽和エステルから生成される実施形態において、そのヒドロキシチオールエステルは、エステル基およびα−ヒドロキシチオール基を含むものとして記載され得る。この場合において、エステル基およびα−ヒドロキシチオール基を含むヒドロキシチオールエステルは、メルカプタン化エポキシ化エステルと称され得る。エステル基の数およびα−ヒドロキシチオール基の数は、独立した要素であり、したがって、ヒドロキシチオールエステルは、本明細書に記載されるエステル基およびα−ヒドロキシチオール基の任意の組合せを有するものとして記載され得る。最低限に、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも1個のα−ヒドロキシチオール基を有することができる。一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも3個のα−ヒドロキシチオール基を有することができる。他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して1.5個から9個のα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して3個から8個のα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2個から4個のα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して4個から8個のα−ヒドロキシチオール基を有することができる。
【0094】
一態様において、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル中に存在するチオール基またはα−ヒドロキシチオール基の数を用いて記載され得る。例えば、トリメルカプタンヒドロキシチオールエステルと称されるヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2.5個から3.5個の間のチオールまたはα−ヒドロキシチオール基を含むヒドロキシチオールエステルであってよい。あるいは、トリメルカプタンヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2.75個から3.25個の間のチオールまたはα−ヒドロキシチオール基を含むことができる。別の例として、ジメルカプタンヒドロキシチオールエステルと称されるヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して1.5個から2.5個の間のチオールまたはα−ヒドロキシチオール基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、1.75個から2.25個の間のチオールまたはα−ヒドロキシチオール基を含むヒドロキシチオールエステルであってよい。
【0095】
別の態様において、ヒドロキシチオールエステルは、そのヒドロキシチオールエステル中に存在するアルコール、α−ヒドロキシチオール、または他の官能基の数を用いて記載され得る。例えば、三官能性ヒドロキシチオールエステルと称されるヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して2.5個から3.5個の間のアルコール、α−ヒドロキシチオール、または他の官能基を含むヒドロキシチオールエステルであってよい。あるいは、三官能性ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して2.75個から3.25個の間のアルコール、α−ヒドロキシチオール、または他の官能基を含むことができる。別の例として、二官能性ヒドロキシチオールエステルと称されるヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、平均して1.5個から2.5個の間のアルコール、α−ヒドロキシチオール、または他の官能基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり、1.75個から2.25個の間のアルコール、α−ヒドロキシチオール、または他の官能基を含むヒドロキシチオールエステルであってよい。
【0096】
ヒドロキシチオールエステルは、本明細書に記載されるように、不飽和エステルから誘導されるエポキシ化エステル(すなわち、エポキシ化不飽和エステル)と硫化水素とを接触させることによって生成され得る。ある場合において、ヒドロキシチオールエステル組成物中に存在するエポキシド基を有することが望ましい。一方、他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物中に存在するエポキシ基の数を最小化することが望ましいことがある。したがって、残りのエポキシド基の存在は、ヒドロキシチオールエステルを記載するのに使用されるもう一つの別の官能基であってよい。ヒドロキシチオールエステルは、トリグリセリドあたり平均して0より大きく約4個までのエポキシド基を含むことができる。チオール組成物はまた、トリグリセリドあたり平均して1.5より大きく約9個までのエポキシド基を含むこともできる。
【0097】
ヒドロキシチオールエステル中のエポキシド基の存在は、ヒドロキシチオールエステルあたりのエポキシド基の平均数、エポキシド基とチオール基とのモル比、エポキシド基とα−ヒドロキシチオール基とのモル比、またはそれらの任意の組合せとして独立に記載され得る。一部の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して2個未満のエポキシド基を有することができる。すなわち、ヒドロキシチオールエステル分子は、2未満のエポキシド基とα−ヒドロキシチオール基とのモル比を有する。あるいは、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して1.5個未満のエポキシド基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して1個未満のエポキシド基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して0.75個未満のエポキシド基;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して0.5個未満のエポキシド基を有することができる。他の実施形態において、エポキシド基とチオール基とのモル比は、平均して1.5未満であってよい。あるいは、エポキシド基とチオール基とのモル比は、平均して1未満;あるいは、平均して0.75未満;あるいは、平均して0.5未満;あるいは、平均して0.25未満;あるいは、平均して0.1未満であってよい。さらに他の実施形態において、エポキシド基とα−ヒドロキシチオール基とのモル比は、平均して1.5未満であってよい。あるいは、エポキシド基とα−ヒドロキシチオール基とのモル比は、平均して1未満;あるいは、平均して0.75未満;あるいは、平均して0.5未満;あるいは、平均して0.25未満;あるいは、平均して0.1未満であってよい。さらに他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステル組成物は、実質的にエポキシド基を含まない。
【0098】
他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルは、ヒドロキシチオールエステル中に存在するチオール硫黄の平均量によって記載され得る。一実施形態において、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも2.5重量%のチオール硫黄;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも5重量%のチオール硫黄;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して少なくとも10重量%のチオール硫黄;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して15重量%より多いチオール硫黄を有することができる。一実施形態において、ヒドロキシチオールエステル分子は、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して5から25重量%のチオール硫黄;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して5から20重量%のチオール硫黄;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して6から15重量%のチオール硫黄;あるいは、ヒドロキシチオールエステル分子あたり平均して8から10重量%のチオール硫黄を有することができる。
【0099】
一部の実施形態において、全側鎖の少なくとも20%は、α−ヒドロキシチオール基を含む。一部の実施形態において、全側鎖の少なくとも40%は、α−ヒドロキシチオール基を含む。一部の実施形態において、全側鎖の少なくとも60%は、α−ヒドロキシチオール基を含むか;あるいは、全側鎖の少なくとも70%は、α−ヒドロキシチオール基を含む。さらに他の実施形態において、全側鎖の少なくとも80%は、α−ヒドロキシチオール基を含む。
【0100】
一部の態様において、ヒドロキシチオールエステル分子の全側鎖の20%より多くは硫黄を含む。一部の態様において、ヒドロキシチオールエステル分子の全側鎖の40%より多くは硫黄を含む。一部の態様において、ヒドロキシチオールエステル分子の全側鎖の60%より多くは硫黄を含むか;あるいは、全側鎖の70%より多くは硫黄を含むか;あるいは、全側鎖の80%より多くは硫黄を含む。
【0101】
特定の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルの合成に使用されるエポキシ化不飽和エステルは、エポキシ化天然原料油を含むエポキシ化不飽和エステル組成物から生成される。天然原料油は、存在するエステル基の数に関する特定の組成を有するので、ヒドロキシチオールエステルは、天然原料油とほぼ同数のエステル基を有する。本明細書に記載される他の独立した性質は、ヒドロキシチオールエステルをさらに記載するのに使用され得る。
【0102】
他の実施形態において、ヒドロキシチオールエステルを生成するのに使用されるエポキシ化不飽和エステルは、合成(または半合成)不飽和エステル油から生成される。合成エステル油は、存在するエステル基の数に関する特定の組成を有することができるので、ヒドロキシチオールエステルは、その合成エステル油とほぼ同数のエステル基を有する。不飽和エステルの他の独立した性質は、その不飽和エステルが天然原料油を含むか合成油を含むかにかかわらず、ヒドロキシチオールエステル組成物をさらに記載するのに使用され得る。
【0103】
適切なヒドロキシチオールエステルの例としては、メルカプタン化エポキシ化植物油、メルカプタン化エポキシ化大豆油、およびメルカプタン化エポキシ化ヒマシ油が挙げられるが、それらに限定されない。他の適切なメルカプタン化エポキシ化エステルは、‘675号出願に記載されており、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0104】
(架橋チオールエステル組成物)
一態様において、供給原料チオールエステル組成物は、架橋チオールエステル組成物を含む。一般的に、架橋チオールエステル分子は、ポリスルフィド結合−S−(式中、xは1より大きい整数である)によって一緒に連結されさるチオールエステルのオリゴマーである。架橋チオールエステルは、チオールエステルのオリゴマーとして記載されるので、チオールエスエルは、それから架橋チオールエステルが生成されるモノマーとして記載され得る。いくつかの実施形態において、架橋チオールエステルは、メルカプタン化不飽和エステルから生成され、架橋メルカプタン化不飽和エステルと呼ばれ得る。他の実施形態において、架橋チオールエステルは、ヒドロキシチオールエステルから生成され得、架橋ヒドロキシチオールエステルと呼ばれ得る。さらに他の実施形態において、架橋チオールエステルは、メルカプタン化エポキシ化エステルから生成され得、架橋メルカプタン化エポキシ化チオールエステルと呼ばれ得る。
【0105】
一態様において、架橋チオールエステル組成物は、構造−S−(式中、Qは1より大きい整数である)を有するポリスルフィド結合によって連結される少なくとも2個のチオールエステルモノマーを有するチオールエステルオリゴマーを含む。一態様において、ポリスルフィド結合は、Qが2、3、4であるポリスルフィド結合−S−またはその混合であってよい。他の実施形態において、Qは、2;あるいは、3;あるいは、4であってよい。
【0106】
一態様において、架橋チオールエステル組成物は、ポリスルフィド結合によって連結される少なくとも3個のチオールエステルモノマー;あるいは、ポリスルフィド結合によって連結される少なくとも5個のチオールエステルモノマー;あるいは、ポリスルフィド結合によって連結される少なくとも7個のチオールエステルモノマー;あるいは、ポリスルフィド結合によって連結される少なくとも10個のチオールエステルモノマーを有するチオールエステルオリゴマーを含む。さらに他の実施形態において、架橋チオールエステル組成物は、ポリスルフィド結合によって連結される3個から20個のチオールエステルモノマー;あるいは、ポリスルフィド結合によって連結される5個から15個のチオールエステルモノマー;あるいは、ポリスルフィド結合によって連結される7個から12個のチオールエステルモノマーを有するチオールエステルオリゴマーを含む。
【0107】
一態様において、架橋チオールエステル組成物は、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーを含む。一部の実施形態において、架橋チオールエステル組成物は、混合したチオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーの2,000より大きい平均分子量を有する。他の実施形態において、架橋チオールエステル組成物は、混合したチオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーの5,000より大きいか;あるいは、10,000より大きい平均分子量を有する。さらに他の実施形態において、架橋チオールエステル組成物は、混合したチオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーの2,000から20,000まで;あるいは、3,000から15,000まで;あるいは、7,500から12,500までの範囲の平均分子量を有する。
【0108】
一態様において、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーは、0.5重量%より大きい合計チオール硫黄含有量を有する。他の実施形態において、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーは、1重量%より大きいか;あるいは、2重量%より大きいか;あるいは、4重量%より大きい合計チオール硫黄含有量を有する。さらに他の実施形態において、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーは、0.5重量%から8重量%;あるいは、4重量%から8重量%まで;あるいは、0.5重量%から4重量%の合計チオール硫黄含有量を有する。
【0109】
一態様において、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーは、8重量%より大きい合計硫黄含有量を有する。一部の実施形態において、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーは、10重量%より大きいか;あるいは、12重量%より大きい合計硫黄含有量を有する。さらに他の実施形態において、チオールエステルモノマーおよびチオールエステルオリゴマーは、8重量%から15重量%;あるいは、9重量%から14重量%;あるいは、10重量%から13重量%の範囲の合計硫黄含有量を有する。
【0110】
一態様において、架橋チオールエステル組成物の架橋チオールエステルは、高密度に架橋された、中密度に架橋された、又は低密度に架橋されたものとして記載され得る。一般的に、架橋チオールエステル中の架橋の量は、架橋チオールエステルの生成に利用される硫黄の量によって制御され得る。すなわち、架橋チオールエステルの生成に利用される硫黄の量が高ければ高いほど、架橋チオールエステル組成物中の架橋が多い。硫黄元素は、チオールエステル組成物のチオール基と反応するので、架橋の量は、チオールエステル組成物中の残りの残存チオール硫黄含有量を測定することによって決定され得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、低密度の架橋チオールエステル組成物は、平均して4.5から7.5重量%のチオール硫黄;あるいは、5.0から7.0重量%のチオール硫黄;あるいは、5.5から6.5重量%のチオール硫黄を有することができる。いくつかの実施形態において、中密度の架橋チオールエステル組成物は、平均して2.5から3.5重量%のチオール硫黄;あるいは、2.25から2.75重量%のチオール硫黄を有することができる。いくつかの実施形態において、高密度の架橋チオールエステル組成物は、平均して0.75から2.25重量%のチオール硫黄;あるいは、1.0から2.0重量%のチオール硫黄;あるいは、1.25から1.75重量%のチオール硫黄を有することができる。
【0112】
(不飽和エステル)
本明細書に記載されるチオールエステル組成物のいくつかを生成するための供給原料として使用される不飽和エステルは、多くの異なる方法を使用して記載され得る。不飽和エステル供給原料を記載する1つの方法は、各々の不飽和エステル油分子を構成するエステル基の数および炭素−炭素二重結合の数によるものである。本明細書に記載されるチオールエステル組成物を生成するための供給原料として使用される適切な不飽和エステルは、最低限に、少なくとも1個のエステル基および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む。しかしながら、この要件を超えて、不飽和エステルを構成するエステル基および炭素−炭素二重結合の数は、独立した要素であり、互いに独立して変えることができる。したがって、不飽和エステルは、本明細書に別々に記載されるエステル基の数および炭素−炭素二重結合の数の任意の組合せを有することができる。適切な不飽和エステルはまた、アルコール、アルデヒド、ケトン、エポキシ、エーテル、芳香族基、およびそれらの組合せなどのさらなる官能基を含むこともできる。一例として、不飽和エステルはまた、ヒドロキシ基を含むこともできる。ヒドロキシ基を含む不飽和エステルの一例は、ヒマシ油である。他の適切な不飽和エステルは、当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。
【0113】
最低限に、不飽和エステルは、少なくとも1個のエステル基を含む。他の実施形態において、不飽和エステルは、少なくとも2個のエステル基を含む。あるいは、不飽和エステルは、3個のエステル基を含む。あるいは、不飽和エステルは、4個のエステル基を含む。あるいは、不飽和エステルは、2個から8個のエステル基を含む。あるいは、不飽和エステルは、2個から7個のエステル基を含む。あるいは、不飽和エステルは、3個から5個のエステル基を含む。別の代替として、不飽和エステルは、3個から4個のエステル基を含む。
【0114】
他の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステルの混合物を含む。これらの状況において、エステル基の数は、不飽和エステル組成物を構成する不飽和エステル分子あたりのエステル基の平均数として最もよく記載される。一部の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のエステル基:あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2個のエステル基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のエステル基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも3個のエステル基を有する。他の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して1.5個から8個のエステル基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して2個から7個のエステル基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して2.5個から5個のエステル基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して3個から4個のエステル基を有する。別の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して約3個のエステル基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して約4個のエステル基を有する。
【0115】
最低限に、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む。一実施形態において、不飽和エステルは、少なくとも2個の炭素−炭素二重結合;あるいは、少なくとも3個の炭素−炭素二重結合;あるいは、少なくとも4個の炭素−炭素二重結合を含む。他の実施形態において、不飽和エステルは、2個から9個の炭素−炭素二重結合;あるいは、2個から4個の炭素−炭素二重結合;あるいは、3個から8個の炭素−炭素二重結合;あるいは、4個から8個までの炭素−炭素二重結合を含む。
【0116】
一部の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステルの混合物を含む。この態様において、不飽和エステルの混合物中の炭素−炭素二重結合の数は、不飽和エステル油分子あたりの炭素−炭素二重結合の平均数として最もよく記載される。一部の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2個の炭素−炭素二重結合;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2.5個の炭素−炭素二重結合;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも3個の炭素−炭素二重結合を有する。他の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して1.5個から9個の炭素−炭素二重結合;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して3個から8個の炭素−炭素二重結合;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して2個から4個の炭素−炭素二重結合;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して4個から8個の炭素−炭素二重結合を有する。
【0117】
エステル基の数(または平均数)および二重結合の数(または平均数)は、不飽和エステルの独立した要素であるが、特定の実施形態が、例示目的で記載される。一実施形態において、不飽和エステル分子は、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のエステル基を有し、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を有する。あるいは、不飽和エステル分子は、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも3個のエステル基を有し、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個の炭素−炭素二重結合を有する。あるいは、不飽和エステル分子は、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも3個のエステル基を有し、不飽和エステル分子あたり平均して1.5個から9個の炭素−炭素二重結合を有する。別の代替として、不飽和エステル分子は、不飽和エステル分子あたり平均して2個から8個のエステル基を有し、不飽和エステル油あたり平均して1.5個から9個の炭素−炭素二重結合を有する。
【0118】
不飽和エステル分子中に存在するエステル基の数(または平均数)および炭素−炭素二重結合の数(または平均数)に加えて、2個以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和エステル分子中の炭素−炭素二重結合の配置は、考慮すべき事柄となり得る。不飽和エステル分子が2個以上の炭素−炭素二重結合を有する一部の実施形態において、その炭素−炭素二重結合は共役化され得る。他の実施形態において、炭素−炭素二重結合は、1個だけの炭素原子によって互いに隔てられ得る。2個の炭素−炭素二重結合が、それに結合している2個の水素原子を有する炭素原子、例えば、メチレン基によって隔てられる場合、これらの炭素−炭素二重結合は、メチレン基を挟んだ二重結合と称され得る。さらに他の実施形態において、炭素−炭素二重結合は、孤立させられ、例えば、炭素−炭素二重結合は、2個以上の炭素原子によって互いに隔てられる。さらなる実施形態において、炭素−炭素二重結合は、カルボニル基で共役化され得る。
【0119】
一部の態様において、不飽和エステルは、ポリオールおよび不飽和カルボン酸のエステルとして記載され得る。本明細書においては、不飽和エステルの不飽和カルボン酸部分は、ポリオール側鎖(または単に側鎖)と呼ばれ得る。一部の実施形態において、不飽和エステルは、側鎖のうち30%未満は、メチレン基を挟んだ二重結合を含む。他の実施形態において、不飽和エステルは、メチレン基を挟んだ二重結合を含む側鎖の30%より多くを含む。さらに他の実施形態において、不飽和エステルは、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の25%未満を含む。さらなる実施形態において、不飽和エステルは、25%未満のリノレン酸の側鎖を含む。さらなる実施形態において、不飽和エステルは、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の25%より多くを含む。さらなる実施形態において、不飽和エステルは、25%より多いリノレン酸の側鎖を含む。さらなる実施形態において、不飽和エステルは、メチレン基を挟んで連続する2個の炭素−炭素二重結合を有する少なくとも30%の側鎖およびメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の25%未満を含む。
【0120】
さらなる官能基もまた、不飽和エステル中に存在してよい。官能基の非限定的な例としては、とりわけ、ヒドロキシ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、アミン基、カルボン酸基、およびそれらの組合せが挙げられる。一態様において、不飽和エステルは、ヒドロキシ基を含んでもよい。一部の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2個のヒドロキシ基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のヒドロキシ基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも3個のヒドロキシ基を有する。他の実施形態において、不飽和エステルは、不飽和エステル分子あたり平均して1.5個から9個のヒドロキシ基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して3個から8個のヒドロキシ基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して2個から4個のヒドロキシ基;あるいは、不飽和エステル分子あたり平均して4個から8個のヒドロキシ基を有する。一実施形態において、不飽和エステルは、少なくとも2個のヒドロキシ基;あるいは、少なくとも3個のヒドロキシ基;あるいは、少なくとも4個のヒドロキシ基を含む。他の実施形態において、不飽和エステルは、2個から9個のヒドロキシ基;あるいは、2個から4個のヒドロキシ基;あるいは、3個から8個のヒドロキシ基;あるいは、4個から8個のヒドロキシ基を含む。
【0121】
本発明の態様に利用されるチオールエステルを生成するのに利用される不飽和エステルは、本明細書に記載される不飽和エステルあたりのエステル基および炭素−炭素二重結合の数を有する任意の不飽和エステルであってよい。不飽和エステルは、天然原料から誘導され得るか、天然源原材料から合成的に生成され得るか、合成原材料から生成され得るか、天然および合成材料の混合物から生成され得るか、又はそれらの組合せであってよい。
【0122】
(不飽和天然原料油)
一実施形態において、不飽和エステルは、不飽和天然原料油である。不飽和天然原料油は、天然の堅果、野菜、植物、および動物原料から誘導され得る。一実施形態において、不飽和エステルは、天然の堅果、野菜、植物、および動物原料から誘導されるトリグリセリドを含む。一実施形態において、不飽和エステルは、遺伝子組換え堅果、野菜、植物、および動物原料から誘導され得る。一実施形態において、不飽和エステル油は、遺伝子組換え堅果、野菜、植物、および動物原料から誘導されるトリグリセリドを含む。
【0123】
一態様において、不飽和天然原料油は、獣脂、オリーブ油、ラッカセイ油、トウゴマ油、ヒマワリ油、ゴマ油、ケシ油、種油、ヤシ油、アーモンドの種油、ヘーゼルナッツ油、菜種油、カノーラ油、大豆油、トウモロコシ油、サフラワー油、カノーラ油、綿実油、カメリナ油、アマニ油、またはクルミ油であってよい。一部の実施形態において、不飽和天然原料油は、大豆油、トウモロコシ油、トウゴマ油、サフラワー油、カノーラ油、綿実油、カメリナ油、アマニ油、またはクルミ油であってよい。さらなる実施形態において、不飽和天然原料油は、大豆油;あるいは、トウモロコシ油;あるいは、トウゴマ油;あるいは、カノーラ油であってよい。
【0124】
不飽和天然原料油は、グリセロールおよび不飽和カルボン酸のエステルとして記載され得るトリグリセリドからなる。本明細書においては、トリグリセリドの不飽和カルボン酸部分は、グリセロール側鎖(または単に側鎖)と呼ばれ得る。一部の実施形態において、トリグリセリドは、側鎖のうち30%未満は、メチレン基を挟んだ二重結合を含む。他の実施形態において、トリグリセリドは、メチレン基を挟んだ二重結合を含む側鎖の30%より多くを含む。さらに他の実施形態において、トリグリセリドは、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の25%未満を含む。さらなる実施形態において、トリグリセリドは、25%未満のリノレン酸の側鎖を含む。さらなる実施形態において、トリグリセリドは、メチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の25%より多くを含む。さらなる実施形態において、トリグリセリドは、25%より多くリノレン酸の側鎖を含む。さらなる実施形態において、トリグリセリドは、メチレン基を挟んで連続する2個の炭素−炭素二重結合を有する少なくとも30%の側鎖およびメチレン基を挟んで連続する3個の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の25%未満を含む。
【0125】
別の実施形態において、不飽和天然エステル油は、不飽和天然原料油から誘導される「天然」トリグリセリドを含む。一実施形態において、不飽和エステル油は、合成である。一実施形態において、不飽和エステル油は、合成原材料および天然原材料の両方を含む。一実施形態において、不飽和エステル油は、合成トリグリセリドを含む。
【0126】
(合成不飽和エステル)
本発明の態様の供給原料として使用される合成不飽和エステルは、当業者に公知のエステル基の生成方法を使用して生成され得る。「エステル基」という用語は、ヒドロキシ基とカルボン酸またはカルボン酸誘導体との反応から形成される部分を意味する。典型的に、エステルは、アルコールとカルボン酸とを反応させること、カルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換、アルコールと無水カルボン酸とを反応させること、またはアルコールとカルボン酸ハロゲン化物とを反応させることによって生成され得る。これらの方法のいずれも、本発明の一態様における供給原料として使用される合成不飽和エステル油を生成するのに使用され得る。不飽和エステル油の生成のための、アルコール、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸無水物原材料は、天然原料、合成原料、遺伝子組換え原料(genetic source)、または天然原料、遺伝子組換え原料、および合成原料の任意の組合せから誘導され得る。
【0127】
本発明の種々の態様において供給原料として使用される不飽和エステルを生成するのに使用されるポリオールおよび不飽和カルボン酸、単純な不飽和カルボン酸エステル、または不飽和カルボン酸無水物は、独立した要素である。すなわち、これらの要素は、互いに独立して変えることができ、したがって、本明細書に記載される組成物を生成するための供給原料として、または本明細書に記載されるプロセスのための供給原料として利用される不飽和エステルを生成するために任意の組み合わせで使用され得る。
【0128】
(合成不飽和エステル油−ポリオール成分)
不飽和エステル油を生成するのに使用されるポリオールは、当業者に明らかな反応条件下で、不飽和カルボン酸、不飽和単純カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、またはカルボン酸ハロゲン化物と反応することができる任意のポリオールまたはポリオールの混合物であってよい。
【0129】
ポリオール中の炭素原子の数は変えてもよい。一態様において、不飽和エステルを生成するのに使用されるポリオールは、2個から20個の炭素原子を含んでもよい。他の実施形態において、ポリオールは、2個から10個の炭素原子;あるいは、2個から7個の炭素原子;あるいは、2個から5個の炭素原子を含む。さらなる実施形態において、ポリオールは、平均して2個から20個の炭素原子;あるいは、平均して2個から10個の炭素原子;あるいは、平均して2個から7個の炭素原子;あるいは、平均して2個から5個の炭素原子を有するポリオールの混合物であってよい。
【0130】
別の態様において、不飽和エステルを生成するのに使用されるポリオールは、本明細書に記載される不飽和エステルを生成するのに必要な任意の数のヒドロキシ基を有してもよい。一部の実施形態において、ポリオールは、2個のヒドロキシ基;あるいは、3個のヒドロキシ基;あるいは、4個のヒドロキシ基;あるいは、5個のヒドロキシ基;あるいは、6個のヒドロキシ基を有する。他の実施形態において、ポリオールは、少なくとも2個のヒドロキシ基;あるいは、少なくとも3個のヒドロキシ基;あるいは、少なくとも4個のヒドロキシ基;あるいは、少なくとも5個のヒドロキシ基;あるいは、少なくとも6個のヒドロキシ基を含む。さらに他の実施形態において、ポリオールは、2個から8個のヒドロキシ基;あるいは、2個から4個のヒドロキシ基;あるいは、4個から8個のヒドロキシ基を含む。
【0131】
さらなる態様において、不飽和エステルを生成するのに使用されるポリオールは、ポリオールの混合物である。一実施形態において、ポリオールの混合物は、ポリオール分子あたり平均して少なくとも1.5個のヒドロキシ基を有する。他の実施形態において、ポリオールの混合物は、ポリオール分子あたり平均して少なくとも2個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して少なくとも2.5個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して少なくとも3.0個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して少なくとも4個のヒドロキシ基を有する。さらに別の実施形態において、ポリオールの混合物は、ポリオール分子あたり平均して1.5個から8個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して2個から6個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して2.5個から5個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して3個から4個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して2.5個から3.5個のヒドロキシ基;あるいは、ポリオール分子あたり平均して2.5個から4.5個のヒドロキシ基を有する。
【0132】
さらに別の態様において、不飽和チオールエステルを生成するのに使用されるポリオールまたはポリオールの混合物は、1000未満の分子量または平均分子量を有する。他の実施形態において、ポリオールまたはポリオールの混合物は、500未満;あるいは、300未満;あるいは、200未満;あるいは、150未満;あるいは、100未満の分子量または平均分子量を有する。
【0133】
一部の実施形態において、適切なポリオールとしては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。さらなる実施形態において、ポリオールは、グリセロール、ペンタエリトリトール、またはそれらの混合物である。他の実施形態において、ポリオールは、グリセロール;あるいは、ペンタエリトリトールである。一態様において、ポリオールは、ヒマシ油である。
【0134】
(合成不飽和エステル−カルボン酸またはカルボン酸等価成分)
不飽和エステル油のカルボン酸成分は、炭素−炭素二重結合を含む任意のカルボン酸またはカルボン酸の混合物であってよい。カルボン酸成分は、平均して1.5個より多いヒドロキシ基または本明細書に記載される任意の他の数のヒドロキシ基を含むポリオールまたはポリオール混合物と結合されるので、カルボン酸成分は、本明細書に記載される供給原料の要件に合致する不飽和エステル油を生成する不飽和カルボン酸を含む任意の混合物であってよい。一部の実施形態において、カルボン酸成分は、本明細書に記載される供給原料の要件に合致する不飽和エステル油を生成する飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の任意の混合物であってよい。したがって、合成不飽和エステル油を生成するのに使用されるカルボン酸またはカルボン酸混合物は、カルボン酸あたりの平均数の特定の要素を有するものとして記載され得る。
【0135】
カルボン酸の独立した要素としては、カルボン酸分子あたりのカルボン酸基の平均数、カルボン酸中に存在する炭素原子の平均数、およびカルボン酸あたりの炭素−炭素二重結合の平均数が挙げられる。さらなる独立した要素としては、炭素鎖中の二重結合の位置、および複数の二重結合がある場合、二重結合の互いに対する相対位置が挙げられる。
【0136】
不飽和エステル油を生成するのに使用されるカルボン酸組成物の成分として使用される特定のカルボン酸は、カルボン酸分子あたり3個から30個の炭素原子を有してもよい。一部の実施形態において、カルボン酸は直鎖である。一部の実施形態において、カルボン酸は分枝である。一部の実施形態において、カルボン酸は、直鎖および分枝カルボン酸の混合物である。一部の実施形態において、カルボン酸はまた、とりわけ、アルコール、アルデヒド、ケトン、およびエポキシドを含めたさらなる官能基を含んでもよい。
【0137】
不飽和カルボン酸組成物の成分として使用され得る適切なカルボン酸は、約3個から約30個の炭素原子;あるいは、8個から25個の炭素原子;あるいは、12個から20個の炭素原子を有してもよい。他の実施形態において、不飽和カルボン酸組成物を構成するカルボン酸は、平均して2個から30個の炭素原子;あるいは、平均して8個から25個の炭素原子;あるいは、平均して12個から20個の炭素原子を含む。
【0138】
炭素−炭素二重結合は、炭素−炭素鎖の長さに沿った任意の場所に位置され得る。一実施形態において、二重結合は、末端位置に位置され得る。別の実施形態において、炭素−炭素二重結合は、内部の位置に位置され得る。さらに別の実施形態において、カルボン酸またはカルボン酸の混合物は、末端および内部炭素−炭素二重結合の両方を含んでもよい。二重結合は、炭素−炭素二重結合に結合される置換基の数を示すことによって記載され得る。一部の実施形態において、炭素−炭素二重結合は、一置換、二置換、三置換、四置換されていてよいか、または一置換、二置換、三置換および四置換された炭素−炭素二重結合の任意の組合せを有することができる不飽和カルボン酸の混合物であってよい。
【0139】
適切な不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、アゴナンドイン酸(agonandoic)、アゴナンドリン酸(agonandric)、アルコルノイン酸(alchornoic)、アンブレトリン酸(ambrettolic)、アンゲリカ酸、アスクレピン酸、オーリコリン酸(auricolic)、アベノレイン酸(avenoleic)、アクシラレン酸(axillarenic)、ブラシジン酸、カプロレイン酸、セテラジン酸(cetelaidic)、セトレイン酸、シベチン酸(civetic)、コリオル酸(coriolic)、コロナリン酸(coronaric)、クレペニニン酸(crepenynic)、デンシポリン酸(densipolic)、ジホモリノレイン酸(dihomolinoleic)、ジホモタクソレイン酸(dihomotaxoleic)、ジモルフェコリン酸(dimorphecolic)、エライジン酸、エフェドレイン酸(ephedrenic)、エルシン酸、ガデライジン酸(gadelaidic)、ガドレイン酸、ガイジン酸、ゴンドロ酸(gondolo)、ゴンドレイン酸、ゴルリン酸、ヘレニノリン酸(helenynolic)、ヒドロソルビン酸、イソリシノレイン酸(isoricinoleic)、ケテレエロニン酸(keteleeronic)、ラベレン酸(labellenic)、ラウロレイン酸、レスキロリン酸(lesquerolic)、リネライジン酸(linelaidic)、リンデリン酸、リノール酸、ルメキン酸(lumequic)、マルバリン酸、マンゴールド酸(mangold’s acid)、マルガロリン酸(margarolic)、メガトミン酸(megatomic)、ミクッシュ酸(mikusch’s acid)、ミコリペニン酸(mycolipenic)、ミリステライジン酸(myristelaidic)、ネルボイン酸(nervoic)、オブツシリン酸(obtusilic)、オレイン酸、パルミテライジン酸、ペトロセライジン酸、ペトロセリニン酸、ホロミン酸(phlomic)、フィセテリン酸、フィテノイン酸(phytenoic)、ピルリン酸(pyrulic)、リシネライジン酸、ルメニン酸(rumenic)、セラコレイン酸、ソルビン酸、ステアロリン酸(stearolic)、ステルクリン酸、ステルクリニン酸、スチリンジン酸(stillingic)、ストロファンツス酸(strophanthus)、タリリン酸、タキソール酸(taxoleic)、トラウマチン酸、ツドイン酸(tsuduic)、ツズイン酸、ウンデシレン酸、バセニン酸、ベルノリン酸、キシメン酸、キシメニン酸(ximenynic)、キシメニノリン酸(ximenynolic)およびそれらの組合せが挙げられる。さらなる実施形態において、適切な不飽和カルボン酸としては、オレイン酸、パルミトレイン酸、リシノール酸、リノール酸、またはそれらの組合せが挙げられる。他の適切な不飽和カルボン酸は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内およびそれらの組み合わせであるとみなされるべきである。
【0140】
一部の実施形態において、不飽和エステルは、本明細書に記載されるカルボン酸またはカルボン酸の混合物の単純エステルと、本明細書に記載されるポリオール組成物とのエステル交換によって生成され得る。一部の実施形態において、単純エステルは、カルボン酸またはカルボン酸の混合物のメチルまたはエチルエステルである。さらなる実施形態において、単純カルボン酸エステルは、本明細書に記載されるカルボン酸のメチルエステルである。
【0141】
(エポキシ化不飽和エステル)
一態様において、エポキシ化不飽和エステルは、本明細書に記載される材料を生成するための供給原料として、および本明細書に記載される材料を生成するためのプロセスのために使用される。一般的に、エポキシ化不飽和エステルは、本明細書に記載される任意の不飽和エステルをエポキシ化することによって誘導され得る。不飽和エステル油は、天然原料から誘導され得るか、天然源原材料から合成的に生成され得るか、合成原材料から生成され得るか、天然および合成材料の混合物から生成され得るか、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0142】
最低限に、エポキシ化不飽和エステルは、少なくとも1個のエポキシド基を含む。一実施形態において、エポキシ化不飽和エステルは、少なくとも2個のエポキシド基;あるいは、少なくとも3個のエポキシド基;あるいは、少なくとも4個のエポキシド基を含む。他の実施形態において、エポキシ化不飽和エステルは、2個から9個のエポキシド基;あるいは、2個から4個のエポキシド基;あるいは、3個から8個のエポキシド基;あるいは、4個から8個のエポキシド基を含む。
【0143】
一部の実施形態において、不飽和エステルは、エポキシ化不飽和エステルの混合物を含む。この態様において、エポキシ化不飽和エステル中のエポキシド基の数は、エポキシ化不飽和エステル分子あたりのエポキシド基の平均数として記載され得る。一部の実施形態において、エポキシ化不飽和エステルは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも1.5個のエポキシド基;あるいは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2個のエポキシド基;あるいは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも2.5個のエポキシド基;あるいは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して少なくとも3個のエポキシド基を有する。他の実施形態において、エポキシ化不飽和エステルは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して1.5個から9個のエポキシド基;あるいは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して3個から8個のエポキシド基;あるいは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して2個から4個のエポキシド基;あるいは、エポキシ化不飽和エステル分子あたり平均して4個から8個のエポキシド基を有する。
【0144】
一態様において、エポキシ化不飽和エステルは、エポキシ化不飽和天然原料油であってよい。不飽和天然原料油は、天然の堅果、野菜、植物および動物原料から誘導され得る。一実施形態において、不飽和エステル油は、遺伝子組換え堅果、野菜、植物、および動物原料から誘導される。一実施形態において、不飽和エステル油は、遺伝子組換え堅果、野菜、植物、および動物原料から誘導されるトリグリセリドを含む。
【0145】
一態様において、エポキシ化天然原料油は、獣脂、オリーブ油、ラッカセイ油、トウゴマ油、ヒマワリ油、ゴマ油、ケシ油、種油、ヤシ油、アーモンドの種油、ヘーゼルナッツ油、菜種油、カノーラ油、大豆油、トウモロコシ油、サフラワー油、カノーラ油、綿実油、カメリナ油、アマニ油、またはクルミ油であってよい。一部の実施形態において、エポキシ化天然原料油は、大豆油、トウモロコシ油、トウゴマ油、サフラワー油、カノーラ油、綿実油、カメリナ油、アマニ油、またはクルミ油であってよい。さらなる実施形態において、エポキシ化天然原料油は、大豆油;あるいは、トウモロコシ油;あるいは、トウゴマ油;あるいは、カノーラ油であってよい。
【0146】
(イソシアネート)
一態様において、本発明のチオウレタン組成物は、チオールエステル組成物とイソシアネート組成物とを接触させることによって生成され得る。一般的に、イソシアネート組成物は、少なくとも1つのイソシアネート基を有するイソシアネートを含む。いくつかの実施形態において、イソシアネート組成物は、複数のイソシアネート基を有する分子からなる。一部の実施形態において、イソシアネート組成物は、イソシアネート分子の混合物を含む。イソシアネート組成物が、イソシアネート分子の混合物を含む場合、イソシアネート分子は、イソシアネート分子あたり平均して少なくとも1.5個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して少なくとも2個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して少なくとも2.5個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して少なくとも3個のイソシアネート基を有してもよい。いくつかの実施形態において、イソシアネート分子は、イソシアネート分子あたり平均して1.5個から12個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して1.5個から9個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して2個から7個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して2個から5個のイソシアネート基;あるいは、イソシアネート分子あたり平均して2個から4個のイソシアネート基を有してもよい。いくつかの実施形態において、イシソアネート組成物は、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。一部の実施形態において、イソシアネート組成物は、脂肪族イソシアネート;あるいは、脂環式イソシアネート;あるいは、芳香族イソシアネートを含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、イソシアネート組成物の脂肪族イソシアネートは、エチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,7−ヘプタメチレンイソシアネート、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,11−ウンデカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−(イソシアナートメチル)オクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナート−5−(イソシアナートメチル)オクタン、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。一部の実施形態において、イソシアネート組成物の脂肪族イソシアネートは、エチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。他の実施形態において、イソシアネート組成物の脂肪族イソシアネートは、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。さらに他の実施形態において、イソシアネート組成物の脂肪族イソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、イソシアネート組成物の脂環式イソシアネートは、1−イソシアナート−2−イソシアナートメチルシクロペンタン、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1−イソシアナート−1−メチル−4(3)−イソシアナートメチルシクロヘキサン、1,3−ビス−(イソシアナート−メチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナート−メチル)シクロヘキサン、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI、HMDI)、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ビス(3−メチルシクロヘキシル)メタンジイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。一部の実施形態において、イソシアネート組成物の環状脂肪族イソシアネートは、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。他の実施形態において、イソシアネート組成物の環状脂肪族イソシアネートは、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート;あるいは、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート;あるいは、2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;あるいは、2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;あるいは、イソホロンジイソシアネート;あるいは、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;あるいは、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、イソシアネート組成物の芳香族イソシアネートは、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,5−トルエンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリレン−α,4−ジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレンジイソシアネート、メシチレントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、1,5−ジイソシアナートナフタレン、メチルナフタレンジイソシアネート、ビス(イソシアナートメチル)ナフタレン、ビフェニルジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリマー状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(ポリマー状MDI、PMDI)、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナートフェニル)エチレン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(イソシアナートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートプロピル)ベンゼン、ビス(イソシアナートブチル)ベンゼン、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチルジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。一部の実施形態において、イソシアネート組成物の芳香族イソシアネートは、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマー状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリマー状MDI、ナフタレントリイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。他の実施形態において、イソシアネート組成物の脂肪族イソシアネートは、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマー状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリマー状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、またはそれらの任意の組合せを含む。さらに他の実施形態において、イソシアネート組成物の脂肪族イソシアネートは、2,4−トリレンジイソシアネート;あるいは、2,6−トリレンジイソシアネート;あるいは、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート;あるいは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;あるいは、ポリマー状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;あるいは、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を含む。
【実施例】
【0150】
(実施例1−チオウレタンプレポリマー組成物の調製およびその後のチオウレタンポリマーの形成)
硬化されると、接着剤として有用であり得る、メルカプタン化大豆油ベースのチオウレタンプレポリマー組成物のサンプルを調製した。表1に、チオウレタンプレポリマーサンプルを調製するのに使用したパラメーター、およびチオウレタンプレポリマーから生成された湿気硬化されたチオウレタンポリマーの接着性を提供する。0.05重量%のDBTDL(ジブチルスズジラウレート)を、一部のサンプルにおける触媒として使用した。他のサンプルにおいて、0.5重量%のDMDEE(ジモルホリノジエチルエーテル)を触媒として使用した。一旦、チオウレタンプレポリマー組成物を調製すると、チオウレタンプレポリマーについての反応可変物を観測した(初期および5日後の見かけ粘度)。次いで、チオウレタンプレポリマーを湿気硬化して、得られたチオウレタンポリマー組成物の種々の基板に対する接着性を測定した。硬化されたチオウレタンポリマー組成物の接着性を測定する場合、1〜5の等級を使用した。この等級において、5は優良(excellent)、4は優(very good)、3は良(good)、2は可(fair)、および1は不可(poor)である。反応可変物の観測結果を実施例2に記載する。
【0151】
【表1】

【0152】
(実施例2−実施例1からの反応可変物の観測)
8個の異なる350gのチオウレタンプレポリマー組成物のサンプルを、表1に示したパラメーターに従って、メルカプタン化大豆油、MDI、および数平均分子量(Mn)約1000を有するポリプロピレングリコールを用いて調製した。各々のチオウレタンプレポリマー組成物のサンプルを4’’×4’’プレートに付与して、一晩(湿気硬化によって)硬化させた。組成物を付与した上に基板に対する各々のチオウレタンポリマー組成物の相対的接着性を評価して、ASTMスタンダードD3808に従って、材料が基板にどれくらいよく接着するかを決定した。各々のプレポリマー組成物を、直径約2cmの滴径で60ccシリンジから所望の基板に付与した。基板は、コンクリートシンダーブロック、冷延鋼鉄Q−Panel(登録商標)プレート、アルミニウムQ−Panel(登録商標)、およびオークの厚板を含んだ。プレポリマー組成物を、24時間、室内条件で(チオウレタンポリマー組成物を生成するために)硬化させた。その後、硬化した液滴を、薄いブレードのついたステンレスへらを用いて引き離して、各々の硬化したプレポリマー組成物の基板からの相対的な分離しやすさおよび破壊のタイプを評価した。1〜5の相対的接着性の等級を、硬化したプレポリマー組成物を比較する際に使用し、5は優良(excellent)、4は優(very good)、3は良(good)、2は可(fair)、および1は不可(poor)とした。結果を表2に示す。
【0153】
【表2】

【0154】
(実施例3−2.0イソシアネート指標のチオウレタンプレポリマー組成物から調製したチオウレタンポリマー組成物の調製)
チオウレタンポリマーのサンプルを、表3に含まれる一定物および制御可変物を用いて2.0イソシアネート指標を有するチオウレタンプレポリマー組成物を用いて調製した。チオウレタンプレポリマーの制御可変物を変更した場合、チオウレタンポリマー組成物の反応可変物を観測した。観測結果を実施例4に記載する。
【0155】
【表3】

【0156】
(実施例4−実施例3からの反応可変物の観測)
チオウレタンポリマーのサンプルを、表3に記載した可変物に従って、2.0イソシアネート指標(NCO:SH+OH基の比および1.2:1のOH:SHモル比)のチオウレタンプレポリマーを用いて調製して、Bostikからの市販の封止剤を用いて調製したサンプルと比較した。本発明の実施形態に従って調製したチオウレタンポリマーのサンプル、およびBostik(登録商標)接着剤を用いて調製した対照サンプルのショア硬さA、25%伸びでのモジュラス、50%伸びでのモジュラス、引張強度、および伸びを表4に示す。
【0157】
【表4】

【0158】
(実施例5−種々のイソシアネート指標のチオウレタンプレポリマー組成物)
4.0〜6.0の範囲のイソシアネート指標を有する数個のチオウレタンプレポリマー組成物を調製した。初期見かけ粘度および5日後の見かけ粘度を測定し、その結果を表5に示す。実施1、2、3および8において、初期および5日後のサンプルの粘度を、100°F(38℃)で測定した。実施4、6、9、13および17において、初期および5日後のサンプルの粘度を、120°F(49℃)で測定した。実施5において、初期見かけ粘度を100°F(38℃)で測定して、5日後の見かけ粘度を120°F(49℃)で測定した。実施7において、初期見かけ粘度を120°F(49℃)で測定して、5日後の見かけ粘度を140°F(60℃)で測定した。実施16において、初期および5日後のサンプルの粘度を140°F(60℃)で測定した。
【0159】
【表5】

【0160】
(実施例6−4.0イソシアネート指標を有するチオウレタンプレポリマー組成物)
6個のチオウレタンプレポリマー組成物のサンプルを、4.0のイソシアネート指標を用いて調製した。チオウレタンプレポリマーのサンプルの初期見かけ粘度を測定して、表6に示す。
【0161】
【表6】

【0162】
(用途)
本明細書に記載される使用に加えて、本発明の実施形態は、他の多くの用途において有用である。例えば、本発明の実施形態は、チオウレタン、発泡体、接着剤、および封止剤が挙げられるが、これらに限定されない種々のポリマー用途に有用である。本明細書に記載される組成物はまた、エポキシ硬化剤、塗料およびポリエステル樹脂のためのポリアクリレートおよびポリメタクリレート型板、印刷インキのバインダーポリマー、アルキド樹脂架橋剤、硫黄系塗料型板、放射線硬化ポリマー、鉱山および掘削薬品、特殊な連鎖移動剤、ゴム改質剤などとして使用され得ると考えられる。供給原料材料が、経済的で容易に入手可能であるので、本発明の実施形態は、このような用途などにおいて有用であると考えられる。
【0163】
本発明は、例示的な実施形態および実施例を参照して記載されてきたが、この記載は、限定的な意味に解釈されることを意図していない。したがって、例示的な実施形態の種々の変更、および本発明の他の実施形態は、この記載を参照して当術者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のこのような変更または実施形態を含むと企図される。
【0164】
本明細書に参照される全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれ個別の刊行物、特許または特許出願が、参照によりその全体が援用されるように具体的かつ個別に示されるのと同程度に、参照によりその全体が援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.チオールエステル分子あたり平均して少なくとも2個のチオール基を含むチオールエステル組成物と、
b.イソシアネート分子あたり平均して少なくとも2個のイソシアネート基を含むイソシアネート組成物と、
c.触媒と、
を含む混合物の反応生成物を含むチオウレタンプレポリマー組成物であって、
前記チオールエステル組成物および前記イソシアネート組成物は、2.1:1より大きいNCO:XH当量比を有し、ここで、NCOは、前記チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される前記イソシアネート基を表し、XHは、前記チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される活性水素基を表し、前記活性水素基は、前記チオール基、アルコール基、アミン基、アミド基、カルボン酸基、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、チオウレタンプレポリマー組成物。
【請求項2】
前記チオールエステル組成物が、メルカプタン化不飽和天然原料油、メルカプタン化エポキシ化天然原料油、架橋メルカプタン化天然原料油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記チオールエステル組成物が、メルカプタン化大豆油、メルカプタン化エポキシ化大豆油、架橋メルカプタン化大豆油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記触媒が、スズ触媒、アミン触媒、ビスマス触媒、鉄触媒、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒が、メチルエチルケトン、炭酸グリセロール、アセトン、ヘキセン、石油留分、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、またはそれらの組み合わせである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
変性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記変性剤が、ポリプロピレングリコールを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記NCO:XH当量比が、2.1:1〜10:1の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
120°F(49℃)の温度で2500センチポアズ(2500mPa・s)〜10000センチポアズ(10000mPa・s)の範囲である見かけ粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
チオールエステル組成物と、イソシアネート組成物と、触媒とを含む混合物の硬化反応生成物を含む、チオウレタンポリマー組成物であって、前記チオウレタンポリマー組成物は、ASTM D1002に従って、オーク基板間で、300psi(2068kPa)〜1500psi(10340kPa)の範囲の完全硬化ラップ剪断強度を有する、チオウレタンポリマー組成物。
【請求項12】
前記チオールエステル組成物が、メルカプタン化不飽和天然原料油、メルカプタン化エポキシ化天然原料油、架橋メルカプタン化天然原料油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項13】
前記チオールエステル組成物が、メルカプタン化大豆油、メルカプタン化エポキシ化大豆油、架橋メルカプタン化大豆油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項14】
50%〜100%の範囲である平均伸び値を有する、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項15】
−45%と45%との間の範囲である結合可動性の試験結果を有する、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項16】
25〜60の範囲である平均ショア硬さA値を有する、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項17】
25%伸びで、350psi(2413kPa)〜1175psi(8101kPa)の範囲である平均モジュラスを有する、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項18】
50%伸びで、250psi(1724kPa)〜850psi(5861kPa)の範囲である平均モジュラスを有する、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項19】
200psi(1379kPa)〜700psi(4826kPa)の範囲である平均引張強度を有する、請求項11に記載のチオウレタンポリマー組成物。
【請求項20】
a.チオエステル分子あたり平均して少なくとも2個のチオール基を含むチオールエステル組成物と、イソシアネート分子あたり平均して少なくとも2個のイソシアネート基を含むイソシアネート組成物と、触媒とを接触させて、チオウレタンプレポリマー組成物を形成する工程であって、前記チオールエステル組成物および前記イソシアネート組成物は、2.1:1より大きいNCO:XH当量比を有し、ここで、NCOは、前記チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される前記イソシアネート基を表し、XHは、前記チオウレタンプレポリマー組成物を生成するために使用される活性水素基を表し、前記活性水素基は、前記チオール基、アルコール基、アミン基、アミド基、カルボン酸基、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、工程と、
b.前記チオウレタンプレポリマー組成物を硬化させて、ASTM D1002に従って、オーク基板間で、300psi(2068kPa)〜1500psi(10340kPa)の範囲の完全硬化ラップ剪断強度を有するチオウレタンポリマー組成物を生成する工程と、
を含む、チオウレタンポリマー組成物を調製する方法。
【請求項21】
前記チオールエステル組成物が、メルカプタン化不飽和天然原料油、メルカプタン化エポキシ化天然原料油、架橋メルカプタン化天然原料油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記チオールエステル組成物が、メルカプタン化大豆油、メルカプタン化エポキシ化大豆油、架橋メルカプタン化大豆油、またはそれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記触媒が、スズ触媒、アミン触媒、ビスマス触媒、鉄触媒、またはそれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記NCO:XH当量比が、2.1:1〜10:1の範囲である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記チオールエステル組成物と、前記イソシアネート組成物と、前記触媒とを接触させる工程が、変性剤と接触させる工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記変性剤が、ポリプロピレングリコールを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記チオールエステル組成物と、前記イソシアネート組成物と、前記触媒とを接触させる工程が、溶媒と接触させる工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒が、メチルエチルケトン、炭酸グリセロール、アセトン、ヘキセン、石油留分、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、またはそれらの組み合わせである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記チオウレタンポリマー組成物が、50%〜100%の範囲である平均伸び値を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記チオウレタンポリマー組成物が、−45%と45%との間の範囲である結合可動性の試験結果を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記チオウレタンポリマー組成物が、25〜60の範囲である平均ショア硬さA値を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記チオウレタンポリマー組成物が、25%伸びで、350psi(2413kPa)〜1175psi(8101kPa)の範囲である平均モジュラスを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記チオウレタンポリマー組成物が、50%伸びで、250psi(1724kPa)〜850psi(5861kPa)の範囲である平均モジュラスを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記チオウレタンポリマー組成物が、200psi(1379kPa)〜700psi(4826kPa)の範囲である平均引張強度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記チオウレタンプレポリマー組成物を硬化させる工程が、多成分硬化系を用いる工程を含み、前記チオウレタンプレポリマー組成物が、活性水素剤、および必要に応じて第2の触媒と接触される、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2010−520332(P2010−520332A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551870(P2009−551870)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/055455
【国際公開番号】WO2008/106637
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】