説明

チオトロピウム含有吸入可能粒子

本発明は、安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態を含有する吸入可能粒子に関する。本発明は、15から250μmの平均粒子径を有する一又は複数の粗賦形剤と混合された安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態を含有する吸入可能粒子にも関する。本発明はまた本発明の吸入可能粒子を含有する薬学的組成物、その調製のための方法、及び喘息又は慢性閉塞性疾患(COPD)の治療のための医薬の調製のためのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
チオトロピウム含有吸入可能粒子
本発明は、チオトロピウムの安定化された非結晶(無定形、アモルファス)形態を安定化剤と共に含有する吸入可能粒子、及び一又は複数の粗賦形剤と混合されていてもよいこれらの粒子に関する。本発明はまたそれらを含有する薬学的組成物、その調製のための方法、及び喘息又は慢性閉塞性疾患(COPD)の治療におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
臭化チオトロピウムは、長時間作用型気管支拡張薬として使用される非常に効果的な抗コリン作用を持つムスカリン受容体アンタゴニストである。それは、欧州特許出願公開第418716号において最初に開示されたもので、次の化学構造を有している:

臭化チオトロピウムは呼吸器疾患、特に慢性閉塞性気管支炎(COPD)及び喘息の治療に使用されている。
【0003】
この生成物の様々な塩(塩化物、臭化物、ヨウ化物など)並びにその様々な結晶型が知られている。
【0004】
喘息やCOPDといった呼吸器疾患の治療では、活性物質を吸入によって投与することが有用である。他の吸入器(インヘラー)と比較して、ドライパウダー吸入器(DPI)は、名目上の投与量範囲、つまり一回の吸入で投与できる活性物質の量に関して柔軟性をもたらし、これがそれらを投薬手段として特に興味深いものにしている。よって、DPIを用いて投与される活性物質を含む吸入可能パウダーの使用は特に重要である。
【0005】
活性化合物は、肺の中まで到達し得るためには、吸入可能でなくてはならない;つまり、それは約1から10μmの粒子径で存在していなくてはならない。この粒径の超微粒子は、適切な溶媒からのプロセスが適切に選択され、制御され、実施されるならば、例えば微粒子化、適切な溶媒からの制御された沈殿又は噴霧乾燥によって、の微粒子化によって、得ることができる。
【0006】
伝統的には、ドライパウダーは、粗賦形剤、典型的にはラクトースと混合された微粒子化された薬剤として製剤化されてきた。粗担体粒子と混合される微粒子化されたチオトロピウムのドライパウダー製剤は先行技術に開示されている。例えば、欧州特許出願公開第1292281号は、賦形剤の幾つかの混合工程を含む微粒子化を含む調製方法を開示している。しかしながら、微粒子化は再現性の低い方法であり、出発物質の小さなばらつきに大きく影響される。更に、Boehringer Ingelheimの市販医薬であるスピリーバ(Spiriva(登録商標))を含む、そのような組成物は、分散性及び微粒子フラクションについて性能が劣っていることが明らかとなっている。更に、その調製方法では、長い複数回の混合工程を必要とするため、チオトロピウム、微細な担体及び粗担体の均一な混合物を得ることが難しい。他の例では、欧州特許出願公開第1508330号は、受容可能な賦形剤と混合されたチオトロピウムを含み、好ましくは結晶性の臭化チオトロピウム一水和物を含むカプセルを開示している。しかしながら、安定化剤は、非結晶チオトロピウム粒子と機械的に混合され、これは、安定化剤と非結晶チオトロピウムの間にストレートな接触がないことを意味する。
【0007】
よって、従来技術の製剤の不都合を回避し、粉末混合物の均一性、粉末流動性及び/又は粉末の分散、及び空気力学的性質に関し改善を示す、チオトロピウムの吸入ドライパウダー組成物を改良する必要である。
【発明の概要】
【0008】
発明者等は、高い度合いの均一性を示し、分散性における変動が小さい吸入可能なパウダー組成物を生じる安定化剤で安定化したチオトロピウムの無水非結晶形態を見出した。これらの要因は、活性物質の吸入可能割合が一定量で変動の可能性が低く、再現可能に放出されることを担保するのに重要である。本発明の組成物は、実施例に示されるように、適切なドライパウダー吸入器を使用することにより、改善された流動性、高い分散性及び高い微粒子フラクション(FPF)をまた有している。
【0009】
更に、所望の形態を得るのに精確で面倒なプロセスが必要とされる結晶形態を含む吸入可能粒子を調製する場合に生じるものとは異なり、本発明の吸入可能粒子は、それらが非結晶形態であるため、簡単で速やかなプロセスによって得ることが可能である。
【0010】
従って、本発明の第一の態様は、安定化剤、特に糖誘導体で安定化されたチオトロピウムの無水非結晶形態を含有する吸入可能粒子に関する。吸入可能粒子は、チオトロピウムが分子状態で密に分散しているか、又は非結晶チオトロピウムが安定化剤の表面に分散している、つまり安定化剤の粒子が非結晶チオトロピウムの薄層によって被覆されているマトリックスを含みうる。
【0011】
特に高い有効性を示すチオトロピウムのような薬剤においては、所望される治療効果を達成するためにほんの少量の活性物質が各単一用量において必要とされるだけである。その結果、流活性物質は、動性のある粉末を得るためには、一又は複数の薬理学的に不活性な物質(適切な賦形剤)で希釈されなければならない。該希釈は、パウダー吸入器から適用される量が正確に所望の用量を含むようになされなければならない。これらの薬理学的に不活性な賦形剤は希釈剤としてだけでなく、粉末組成物に良好な流動性を与え、よって混合プロセスを容易にするその能力からも使用される。
【0012】
粉末の流動性を向上させるために使用される一つのアプローチは、一又は複数の粗賦形剤を使用することに関する。超微粒粒子は強い付着力及び凝集性を示す傾向があり、それが次に流動性を低下させ、粉末凝集を生じせしめることから、担体として使用されるかかる粗賦形剤は、それらを吸入できないものとする粒子径を有していなければならない。よって、本発明の吸入可能粒子を、15から250μmの平均粒子径を持つ一又は複数の粗賦形剤と混合することには利点がある。
【0013】
従って、本発明の他の態様は、安定化剤、特に糖誘導体で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態を含有する吸入可能粒子に関し、ここで該粒子は15から250μmの平均粒子径を有する一又は複数の粗賦形剤と混合される。これらの粒子は、ここでは、一又は複数の粗賦形剤と混合される粒子とも称される。
【0014】
本発明の安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態は、また微細な成分のみを使用して許容可能な流動性を持つドライパウダー製剤を得ることを可能にすることが見出された。以下に更に詳しく説明するが、これは、適切な希釈でのチオトロピウムと安定化剤の溶液から出発して適切な乾燥法によって吸入可能粒子を製造することによって達成することができる。よって、如何なる粗賦形剤も使用する必要がないそのような場合では、混合工程が必要とされない。
【0015】
粗賦形剤を含まない吸入可能粒子と、一又は複数の粗賦形剤を含む吸入可能粒子を含む上述の本発明の吸入可能粒子は、適切な薬学的組成物の形態で、呼吸器疾患に冒された患者に投与されうる。従って、本発明の他の態様は、粗賦形剤を含まない吸入可能粒子と、一又は複数の粗賦形剤を含む吸入可能粒子を含む上述の本発明の吸入可能粒子を含有する薬学的組成物に関する。これらの組成物は以下に更に記載する。
【0016】
本発明の吸入可能粒子は、チオトロピウム安定化剤溶液又は懸濁液から適切な乾燥方法によって簡便に調製され得る。従って、本発明の他の態様は、
a)水を含んでいてもよい揮発性の水混和性溶媒中に安定化剤を溶解又は分散させて、溶液又は分散液を形成する工程;
b)水を含んでいてもよい揮発性の水混和性溶媒中に、チオトロピウム塩、又はその溶媒和物、又はその任意の固形形態を溶解させる工程;
c)工程b)の溶液と工程a)の溶液又は懸濁液を混合する工程;及び
d)工程c)の溶液/懸濁液を噴霧乾燥させて、所望の粒子を得る工程
を具備する吸入可能粒子を調製する方法に関する。
【0017】
上述のように、安定化剤で安定化されたチオトロピウムの粒子は一又は複数の粗賦形剤と混合されうる。従って、本発明の他の態様は、上述の工程a)からd)を含む、その調製方法であって、15から250μmの平均粒子径を有する一又は複数の粗賦形剤と共に工程d)の粒子を混合する工程を更に含む方法に関する。
【0018】
以前に記載されたように、本発明の組成物はある種の呼吸器疾患の治療に有用である。従って、本発明の他の態様は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において使用するための、先に記載された吸入可能粒子に関する。よって、この態様は、喘息又はCOPDの治療のための医薬の製造のための、先に記載された吸入可能粒子の使用に関し、また喘息又はCOPDの治療のための方法であって、それを必要とする患者において、粗賦形剤を伴わない吸入可能粒子と、一又は複数の粗賦形剤を有する吸入可能粒子を含む、本発明の先に定義された吸入可能粒子の有効量を投与することを含む方法として記載されうる。
【0019】
本発明のこれらの態様は、以下に続く詳細な説明の項において更に記載される。特段の定義をしない限り、ここで使用されるあらゆる技術的及び科学的用語は、この発明が属する分野の通常の技量を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。ここに記載されたものと同様の又は均等の方法及び材料を本発明の実施に使用することができる。明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む」なる語及びその変化形は、他の技術的特徴、添加剤、成分、又は工程を排除することを意図するものではない。本発明の更なる態様、利点及び特徴は、明細書を検討すると当業者には明らかになるか又は本発明の実施により知得されうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、未処理の臭化チオトロピウム(A)及び25℃で6ヶ月保存した後の噴霧乾燥臭化チオトロピウム(B)のPXRDパターンを示す。
【図2】図2は、噴霧乾燥直後(A)及び25℃で6ヶ月保存した後(B)のエタノール−水の溶液から得た噴霧乾燥された臭化チオトロピウム−ラクトース粉末のPXRDパターンを示す。
【図3】図3は、溶液中のチオトロピウム−ラクトースから得た噴霧乾燥粉末の様々な倍率でのSEM画像を示す。
【図4】図4は、懸濁液中のチオトロピウム−ラクトースから得た噴霧乾燥粉末の様々な倍率でのSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によれば、第一の態様は、上述の安定化剤で安定化されたチオトロピウムの無水非結晶形態を含む吸入可能粒子に関する。
【0022】
チオトロピウムなる用語は、遊離のアンモニウムカチオンとしてチオトロピウムを、対イオンとしてアニオンを含む任意の薬学的に許容可能な塩を意味する。本発明の範囲内で使用されうる非限定的なチオトロピウム塩は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホネート、パラ−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート又はメチルサルフェートを含む化合物である。本発明によれば、安定化された非結晶形態で存在するチオトロピウムは無水である。好ましい実施態様では、本発明の吸入可能粒子は、安定化剤で安定化されたチオトロピウム塩の非結晶形態を含む。より好ましい実施態様では、チオトロピウム塩は臭化チオトロピウムである。チオトロピウム塩基なる用語は遊離のアンモニウムカチオンとしてのチオトロピウムを意味する。
【0023】
ここに記載される安定化剤は、活性物質を安定化することができなくてはならない。これは、チオトロピウムの物理的転換(非結晶から結晶形態へ)及び/又は化学的分解(例えば加水分解、酸化又は任意の他の分解メカニズムによる)を防止するか又は遅延させるために本発明に係る組成物に使用することができる任意の薬学的に許容可能な不活性成分(つまり、任意の薬学的賦形剤)を意味する。それは、保存中(例えば25℃/60%RH、30℃/65%RH又は40℃/75%RH)の非結晶チオトロピウムの物理的転換又はその化学的分解が、吸入可能な粒子がその組成中に安定化剤及び非結晶チオトロピウムの双方を含むとき、非結晶のみを含有チオトロピウムのみを含む吸入可能粒子と比較して遅いことを意味する。
【0024】
本発明の一実施態様では、安定化剤は糖誘導体でありうる。糖誘導体の非限定的な例は、例えば、グルコース又はアラビノースのような単糖類、ラクトース、サッカロース、マルトース又はトレハロースのような二糖類、デキストランのようなオリゴ糖及び多糖類、及びソルビトール、マンニトール、又はグリセロールのような多価アルコールである。好ましい実施態様では、安定化剤はラクトース(無水又は一水和物)である。
【0025】
本発明の範囲内では、「非結晶(アモルファス)」なる用語は、粉末製剤が10%未満の結晶性フラクションを含むことを意味する。
【0026】
「吸入可能な」なる用語は、粒子が肺投与に適していることを意味する。吸入可能粒子は、粒子が肺に入り、場合によっては肺胞を通して全身性作用を発することができるように、吸入器によって分散され、吸入されうる。本発明の一実施態様では、チオトロピウムの非結晶マトリックス及び安定化剤を含む吸入可能な粒子は、10μmまでの平均空気力学的粒子径を有する。好ましい実施態様では、平均空気力学的粒子径は0.5−6μmの範囲にある。
【0027】
好ましい実施態様では、臭化チオトロピウム及び安定化剤の重量に対する臭化チオトロピウム重量%は、0.1−10%の間、好ましくは4−8%の間からなる。
【0028】
本発明において、吸入可能粒子は安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態を含む。本発明において記載される「チオトロピウムの安定化された非結晶形態」は、安定化剤及び非結晶チオトロピウムを含む吸入可能粒子を得るために本発明の範囲で使用sざれる製造方法によって得られる組成物を意味する。
【0029】
「安定化された非結晶形態」なる用語は、ここで安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態が、a)チオトロピウムが分子状態で密に分散しているマトリックスを含む粒子、つまり、吸入可能粒子が安定化剤とチオトロピウムの双方を含む溶液を乾燥させることによって得られるもの;及びb)安定化剤の表面に分散した非結晶チオトロピウムを含む粒子、つまり安定化剤が非結晶チオトロピウムの薄層で被覆されている粒子で、その場合、吸入可能粒子が溶液中にチオトロピウムを含む安定化剤の懸濁液を乾燥させることによって得られるものを含む。
【0030】
双方の場合、安定化剤と非結晶チオトロピウムとの間のストレートな接触(すなわち、安定化剤とチオトロピウムの分子間の密接な接触、又は安定化剤粒子と非結晶チオトロピウム被覆層の間の密接な接触)はチオトロピウムの安定化された非結晶形態を得るのに必要である。それは、非結晶チオトロピウムの良好な安定性が、安定化剤が非結晶チオトロピウム粒子と機械的に(つまり薬学的粉末の混合のために適切なミキサーを使用して)混合される混合工程の使用に基づく製造方法と比較して、吸入可能な粒子がこの発明に記載された製造方法を使用して得られるときに得られることを意味する。
【0031】
良好な流動性を持つ吸入組成物を得るためには、チオトロピウムの安定化された非結晶形態を含む吸入可能粒子と一又は複数の粗賦形剤を有する安定化剤を混合させることが必要となりうる。
【0032】
よって、チオトロピウム−安定化剤の比に応じて、安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態が、チオトロピウムが分子状態で密に分散しているマトリックスを含む場合、発明の薬学的組成物は、a)適切な乾燥方法を適用した後に得られる粒子から;又はb)適切な乾燥方法を適用した後に得られ、平均粒子径が15から250μmである一又は複数の粗賦形剤と簡便に混合された粒子の何れかから調製されうる。
【0033】
安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態が安定化剤の表面に分散した非結晶チオトロピウムを含む場合、本発明の薬学的組成物は、適切な乾燥方法を適用した後に得られ、平均粒子径が15から250μmである一又は複数の粗賦形剤と簡便に混合された粒子から調製されなければならない。
【0034】
本発明の好ましい実施態様では、一種類の粗賦形剤のみが使用され、それは好ましくは50−150μmの平均粒子径を有している。
【0035】
安定化剤及び粗賦形剤は化学的に同一な又は異なった物質に基づいてもよい。特定の実施態様では、安定化剤及び粗賦形剤は同じ化学的化合物を含む。好ましい実施態様では、安定化剤、並びに粗賦形剤は、場合によっては一水和物の形態でもよいラクトースを含む。
【0036】
発明の薬学的組成物は、好ましくは0.02から0.8%のチオトロピウム塩基を含む。
【0037】
ここに別の記述をしない限り、本発明の範囲に与えられたパーセントは常に重量パーセントである。
【0038】
好ましくは、本発明の組成物は吸入用のカプセルの形態である。カプセルは、ゼラチン、セルロース誘導体、デンプン、デンプン誘導体、キトサン及び合成プラスチックのような様々な物質から形成されうる。好ましい実施態様では、カプセルはセルロース誘導体から形成される。このような誘導体の非限定的な例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースである。本発明のより好ましい実施態様では、吸入カプセルはHPMCを含む。最も好ましい実施態様では、HPMCカプセルは残余湿度が低い(含水量4%以下)。
【0039】
本発明の吸入可能粒子は、適切な溶媒中の安定化剤の溶液又は懸濁液の何れかから出発して調製されうる。本方法の利点は、水に溶解した後に本発明の薬学的組成物が中性のpH値を生じる点である。これは、肺の中性のpH値は吸入後においても変化されるべきではないので肺の寛容という観点では非常に興味深い。
安定化剤の溶液から出発した場合、安定化剤を、水を含む水混和性溶媒に溶解させ(工程aの溶液)、この溶液を同じ溶媒中のチオトロピウムから得た溶液と混合する(工程bの溶液)。この場合、当業者には明らかなように、これらの工程は、チオトロピウムと安定化剤を含む溶液を得るために、任意の順で実施されうる。適切な乾燥方法を適用した後、非結晶形態での活性に効率的な安定化効果を得るために、得られた結果の粒子は、安定化剤中に分子状態でチオトロピウムが密に分散しているマトリックス(つまり、チオトロピウムを含むラクトースのマトリックスが形成される)を含む。
【0040】
先に記載されたように、使用されるチオトロピウム及び安定化剤の相対量に応じて、良好な流動性を持った組成物を得るために、得られた粒子を一又は複数の粗賦形剤と混合する必要はない。従って、好ましくはチオトロピウム/チオトロピウム及び安定化剤が0.02から0.8%の、適切な希釈では、粗賦形剤をそれ以上加えることがなく、混合工程も必要とされないため、良好な粉末の均一性が達成される。
【0041】
発明の吸入可能粒子が安定化剤の懸濁液から出発して調製される場合、工程a)及びb)は好ましくは別個に実施され、より好ましくは、安定化剤が、均一な安定化剤の懸濁液を得るため、活性成分の溶液(工程bの溶液)を加える前に最初に分散され、均質化される(例えば高速又は高圧ホモジナイザーを使用)。この場合、適切な乾燥方法の適用後、得られた粒子は、非結晶チオトロピウムを安定化剤の粒子の表面で分散せしめて含有する。この場合、安定化剤は好ましくは1−9μMの平均粒子径を有している粒子の形態である。
【0042】
上述した吸入可能粒子の調製に使用される溶媒系は、水を含んでいてもよい揮発性の水混和性溶媒を含む。上で説明したように、水の存在は安定化剤の溶液を生じせしめる一方、水が存在しないと上記安定化剤の懸濁液を生じせしめる。安定化剤の溶液が使用される場合、使用される安定化剤の量に応じて、適切な水混和性溶媒が安定化剤を全体的に可溶化するために加えられなければならない。他方、活性成分は常に溶解している。好ましくは、揮発性の水混和性溶媒は(C-C)-アルコールである。「(C-C)-アルコール」なる用語は、1から4の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状アルキル鎖と一又は複数のヒドロキシル基を意味する。この用語は、限定しないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールを含む。発明の好ましい実施態様では、使用されるアルコール溶媒はエタノール又はイソプロパノールである。
【0043】
乾燥方法は噴霧乾燥である。この方法は、平均粒子径及び粒度分布の正確な制御と、流動性や分散性のような巨視的な粉末特性の改善の達成に寄与する。典型的な噴霧乾燥機は0.5から30μmの範囲の粒子径の回収を可能にする。下限値は使用されるサイクロンの分離によって与えられる:これより小さい粒子はこれ以上分離することができず、フィルターに入る。
【0044】
吸入可能粒子の調製のための記載した方法は、微粉化が再現性に乏しい方法で、出発材料の物理的性質に大きく依存するので、より再現性のある方法を使用することによって微粉化を回避するという利点を有する。本発明の場合、出発物質(チオトロピウム化合物)は、最初に溶解されるので、如何なる物理的形態であってもよい。よって、出発チオトロピウム化合物は、ラセミ体又はその任意のエナンチオマー又はその混合物を含む、任意のチオトロピウム塩又はその溶媒和物、又はその任意の固形形態であってもよい。
【0045】
上述のように、本発明の吸入可能粒子は、向上した微粒子フラクションを示す。「微粒子フラクション(fine particle fraction)(FPF)」は粉末の吸入可能部を表す。FPFは、名目上の用量との関係で5μmに至らない空気力学的直径を有する粒子の用量(重量%で示す)である(微粒子用量/負荷用量×100)。微粒子用量(FPD)は、微粒子の空気力学的な評価に対する米国薬局方及び欧州薬局方に示された方法に記載された方法によって決定されうる。良好な分散性を持つ粉末では、FPFは20%より大きく、好ましくは30%より大きい。質量空気動力学的中央粒子径(MMAD)としても知られている「平均空気力学的粒径」なる用語は、粉末の粒子の50%がより小さな空気力学的径を有する空気力学的粒子径を示す。
【実施例】
【0046】
次の実施例は例示の手段として提供するもので、本発明を限定するものではない。
【0047】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
噴霧乾燥製剤及び最終のチオトロピウム−ラクトース混合物中のチオトロピウム含有量の決定をHPLCによって実施した。
HPLCシステムは、定量ポンプ、自動サンプラー及び238nmに設定されたダイオードアレイUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HP1200シリーズ、Agilent technologies, Belgium)から構成された。分離システムは、125mm×4mmのステンレス鋼製(粒子径5μm)逆相C18カラムである(Alltima, Alltech, Belgium)であった。体積100μlの試料を注入した。温度は35℃に設定し、流量は0.8ml/分であった。全操作時間は10分であった。
【0048】
−緩衝液:o−リン酸でpH4に調節した100mMのKHPO
−移動相:80volのリン酸緩衝液:20volのアセトニトリル
−希釈相:75volの水:25volのメタノール
【0049】
チオトロピウムを含む標準液を表1に示す。
【0050】
標準溶液
S1:10mlメタノール中の2.5mg臭化チオトロピウム一水和物(=200μg/mlのチオトロピウム塩基)
S2:希釈相25ml中に1.0mlのS1溶液(=8μg/ml)

【0051】
噴霧乾燥による安定なチオトロピウム製剤の調製
a)臭化チオトロピウム及び超微粒ラクトース(Lactochem, Borculo;平均粒子径約8μm)を含有する吸入可能粒子の調製
製剤を、Buchi Mini Spray Dryer B-191a (Buchi laboratory-Techniques, Switzerland)を使用する噴霧乾燥により、研究室規模で調製した。異なった溶液及び懸濁液を、様々な量の水を含むか又は含まないエタノール又はイソプロパノール中で調製した。
【0052】
先ず、溶液(十分な量の水の存在下)又は懸濁液(水の不在下)を得るためにラクトースを溶媒媒体中に溶解又は分散させた。ついで、臭化チオトロピウムを溶媒媒体に溶解させ、得られた溶液又は懸濁液と溶液を混合した。水の不存在下で、チオトロピウムの溶液を加える前に、均質懸濁液を得るために、ラクトースを先ず分散し、均質化した(例えば高速又は高圧均質化を使用)。
【0053】
調製物をついで絶えず攪拌しながら噴霧乾燥した。次の条件を噴霧乾燥中に使用した:噴霧空気流、800l/h;乾燥空気流、35m/h;懸濁液供給速度、3.5−4.0g/分;ノズルサイズ、0.5mm。入口の温度は70℃又は120℃(水がある状態で)で確定され、これらの条件で、出口温度は44℃から46℃の間か又は65℃から68℃の間で変動した。得られた粉末をサイクロンに通し、容器に集めた。粉末を様々な温度条件(25℃、40℃及び60℃)でデシケーターに保存した。
【0054】
この方法に従って、次の実施例を得た:
【0055】
実施例1:エタノール−水中のチオトロピウム−ラクトース溶液
エタノール 100g
水 100g
超微粒ラクトース 4.480g
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0056】
実施例2:イソプロパノール−水中のチオトロピウム−ラクトース溶液
イソプロパノール 100g
水 100g
超微粒ラクトース 4.480g
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0057】
実施例3:エタノール中のチオトロピウム−ラクトース懸濁剤
エタノール 200g
超微粒ラクトース 4.480g
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0058】
実施例4: イソプロパノール中のチオトロピウム−ラクトース懸濁液
イソプロパノール 200g
超微粒ラクトース 4.480g
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0059】
実施例5:エタノール−水中のチオトロピウム−ラクトース溶液
エタノール 100g
水 100g 100g
メッシュ200 ラクトース一水和物 4.480g
(平均粒子径74μm)
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0060】
実施例6:イソプロパノール−水中のチオトロピウム−ラクトース溶液
イソプロパノール 100g
水 100g
200メッシュのラクトース一水和物 4.480g
(約74μmの平均粒子径)
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0061】
実施例7:エタノール−水中のチオトロピウム−ラクトース溶液
エタノール 500g
水 500g
超微粒ラクトース 88.02g
臭化チオトロピウム一水和物 0.360g
【0062】
b)粗賦形剤と混合した工程a)で得られた吸入可能粒子の調製:ラクトース一水和物200メッシュ(約74μmの平均粒子径)又はローラー乾燥無水ラクトース(約120μmの平均粒子径)
【0063】
この目的に対して、研究室規模のよく知られている三次元運動ミキサー:Turbula 2C (Bachofen AG, Switzerland)を使用した。50mLの非架橋ポリエチレンプラスチック容器を内容積50%まで満たし、46.2rpmの混合速度で混合(約20g)を実施した。
【0064】
約25%のラクトースを、更なる薬剤の付着を減じるために先ずミキサーボウル壁に沿うようにして加えた。工程a)で得られた噴霧乾燥粉末をついで加え、ラクトースと手作業で混合した。ついで、残りのラクトースを加え、混合を約30分間実施した。
【0065】
実施例1は、粗賦形剤と混合され(一水和物ラクトース及び無水ラクトース)、バッチ1A(実施例8)及び1B(実施例9)をそれぞれ得た。
実施例3は、粗賦形剤(一水和物ラクトース及び無水ラクトース)と混合してバッチ3A(実施例10)及び3B(実施例11)をそれぞれ得た。
【0066】
実施例8:混合操作(Turbula)−一水和物ラクトース
実施例1から工程a)のようにして得た噴霧乾燥粉末 1.200g
ラクトース一水和物(74μm、DMV) 20.810g
全重量 22.010g
【0067】
実施例9:混合操作(Turbula)−無水ラクトース
実施例1の工程a)のようにして得た噴霧乾燥粉末 1.200g
無水ラクトース(120μm、DMV) 20.810g
全重量 22.010g
【0068】
実施例10:混合操作(Turbula)−一水和物ラクトース
実施例3からの工程a)のようにして得た噴霧乾燥粉末 1.200g
ラクトース一水和物(74μm、DMV) 20.810g
全重量 22.010g
【0069】
実施例11:混合操作(Turbula)−無水ラクトース
実施例3からの工程a)のようにして得た噴霧乾燥粉末 1.200g
無水ラクトース(120μm、DMV) 20.810g
全重量 22.010g
【0070】
先の実施例の単位最終組成物
チオトロピウム(塩基) 18μg
ラクトース一水和物(安定化剤) 0.2775mg
ラクトース一水和物又は無水物(粗賦形剤) 5.2025mg
【0071】
これらの実施例では、臭化チオトロピウムの最終含有量は、全組成物に対して約0.39重量%(チオトロピウム塩基では約0.33%)であった。
【0072】
粉末X線回折(XRPD)
【0073】
粉末X線回折(XRPD)パターンを、放射線源(WL1=1.5406A、WL2=1.54439A)としてCu線を用い、40kVの電位、40mAの電流及び0.02°/分のスキャン速度で2°から70°の2θ範囲を使用する標準的操作で、シーメンス回折計D5000(Siemens, Germany)を使用して運転した。
【0074】
図1A及び2Aにおいて、PXRD分析は、実施例1に記載された組成物に従って、噴霧乾燥方法が、臭化チオトロピウム単独の溶液と臭化チオトロピウム−ラクトース溶液の両方を非結晶形態に転換させることを可能にすることを示している。しかしながら、図1Bに示されるように、非結晶形態は保存中に結晶性チオトロピウムに転換したので、非結晶噴霧乾燥臭化チオトロピウムは安定ではなかった。これに対して、図2Bに示されるように、噴霧乾燥粉末中にラクトースがある場合、貯蔵後であってもチオトロピウム−ラクトース非結晶形態としてチオトロピウムを安定化することが可能であった。
【0075】
粒子径分析
粒子径をレーザー光散乱に基づく技術によって測定した。体積粒度分布を、適切なSOP(標準操作手順)と共に乾燥サンプリングシステム(Scirocco 2000, Malvern, UK)を使用してMalvern Mastersizer 2000(登録商標)レーザー回折計で測定した。
粒度分布は、質量−体積中央直径(d(0,5))、すなわち50%の試料が小さく、50%が大きいミクロンサイズ、及び質量−体積平均直径は(D[4,3])によって特徴づけられる。提供される値は少なくとも3回の測定の平均である。
【0076】
粒子径分析によって、溶液(実施例1)中及び懸濁液(実施例3)中のラクトースから得られた噴霧乾燥製剤の両方が、肺の深部への投与に適した粒径特性を提供した。
【0077】
実際、溶液及び懸濁液タイプの直径中央値d(0,5)は各々2.9μm及び3.0μmであり、同じ製剤の平均体積直径D[4,3]は各々10.3μm及び10.5μmであった。更に、粒子の70%以上が、良好な肺浸透のサイズの限界と一般的に考えられている5.0μm以下の粒子径を示した。
【0078】
走査型電子顕微鏡(SEM)
粒子径と形態の評価を、JSM−610顕微鏡(Jeol, Japan)を使用して、走査型電子顕微鏡(SEM)によって達成した。試料は二成分型エポキシ樹脂の薄膜上に散乱され、白金層で被覆された。観察中の加速は25kVであった。
【0079】
図3は、実施例1に記載された組成に従って、様々な倍率で、溶液中のチオトロピウム−ラクトースから得た噴霧乾燥粉末のSEM画像を示す。
【0080】
図4は、実施例3に記載された組成に従って、様々な倍率で、懸濁液中のチオトロピウム−ラクトースから得た噴霧乾燥粉末のSEM画像を示す。
【0081】
SEMによって分析された製剤の形態及び表面構造は、噴霧乾燥された粉末が、ばらばらの凝集物から構成されていることを示している。凝集体のサイズは約100−500μmまでの範囲であった。倍率が高いと、これらの凝集体がおよそミクロン範囲の小さな粒子から構成され、懸濁液からよりむしろ溶液から得られた粉末の場合により均一な球状形状を有していることが観察できる。
【0082】
噴霧乾燥粉末中及び最終チオトロピウム−ラクトース混合物中の薬剤分布均質性の評価
薬剤分布均一性を、上述の方法を用いて、HPLCから評価した。
【0083】
表2に示された結果は、加重試料と称されるデータ(カプセル単位用量)、HPLC分析からの注入溶液中のチオトロピウム量、噴霧乾燥製剤中のチオトロピウム量(mg/g及びパーセンテージで示す)を示す。これらのデータは、2つの噴霧乾燥バッチに対する相対的に均一な薬剤分布を示し、エタノール−水及びイソプロパノール−水を含む噴霧乾燥溶液に対して約7%及び6.7%の適切な薬物含有量を示す。
【0084】

【0085】
インビトロ空気力学的評価
新しいチオトロピウム製剤に対する空気力学的粒度分布を、マルチステージ液体インピンジャー(MsLI)を用いて決定した。ドライパウダー吸入装置(Fantasmino(登録商標))は第3HPMCカプセルを備えている(Capsugel, France)。流量は、患者による吸気に対して典型的である4kPaの圧力低下に調節し、2.4秒の間、100l/分の流量を生じた。5.5mgの粉末(18μgのチオトロピウム)を充填した5つのカプセルを各試験に用いた。装置、喉、4つのステージ及びフィルター(ステージ5)中の薬剤沈着を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって決定した。精度を上げるために、各試験は3回繰り返した。
【0086】
参照製品スピリーバ(Spiriva(登録商標))に対する空気力学的粒度分布を、ハンディハーラー(Handihaler(登録商標))装置と共にMsLIを使用しゼラチンカプセルを含めて、決定した。
【0087】
結果は、ステージ3、4及びフィルター(それぞれ5.27μm、2.40μm及び1.32μmのカットオフ直径)に対応するFPDが、開発された製剤に対して4.9μg(27%のFPF)及び6.4μg(35%のFPF)の範囲内で変動することを示している。これらの結果は、参照製品と比較して有意に高いFPD値を示している。実際、スピリーバ(登録商標)に対して得られたFPD値は、8.9%のFPFに相当する1.6μgであった。

【0088】
新しい製剤の安定性の予備的評価
均一性を呈する3種の混合した粗一水和物ラクトース−チオトロピウム製剤、すなわち実施例8、9及び10を、しっかりと密閉した容器中に配し、25℃(室温)、40℃及び60℃で15日及び1ヶ月、保存した。異なった試料のチオトロピウム含有量を、異なった保存時間で、以下に記載するHPLC分析によって評価し、参照製品スピリーバ(登録商標)のものと比較した。
【0089】
得られた結果は、3バッチが3通りの保存温度で30日の保存時間まで許容可能な安定性を呈することを示している。新しい製剤のチオトロピウム含有量は参照製品のものに匹敵した。
【0090】
表4に、30日間及び25℃、40℃及び60℃における異なった製剤の安定性の値を示す。特に、と同様に、HPLCによって決定されたチオトロピウム含有量のパーセンテージ並びに標準偏差(S.D.)値に表示がなされる。
【0091】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖誘導体である安定化剤で安定化されたチオトロピウムの無水非結晶形態を含有する吸入可能粒子。
【請求項2】
チオトロピウムが臭化チオトロピウムを含んでなる請求項1に記載の吸入可能粒子。
【請求項3】
糖誘導体がラクトースである請求項1又は2に記載の吸入可能粒子。
【請求項4】
10μm以下の平均空気力学的粒子径を有する請求項1から3の何れか一項に記載の吸入可能粒子。
【請求項5】
安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態が、チオトロピウムが分子状態で分散しているマトリックスを含む請求項1から4の何れか一項に記載の吸入可能粒子。
【請求項6】
安定化剤で安定化されたチオトロピウムの非結晶形態が、安定化剤の表面に分散された非結晶チオトロピウムを含む請求項1から4の何れか一項に記載の吸入可能粒子。
【請求項7】
粒子が、15から250μmの平均粒子径を有する一又は複数の粗賦形剤と混合されている請求項1から6の何れか一項に記載の吸入可能粒子。
【請求項8】
粗賦形剤がラクトースである請求項7に記載の吸入可能粒子。
【請求項9】
請求項5、7又8の何れか一項に記載の吸入可能粒子を含有する薬学的組成物。
【請求項10】
チオトロピウム塩基含有量が0.02から0.8%である請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
吸入のためのカプセルの形態である請求項9又は10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
カプセルがヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでなる請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
請求項1から6の何れか一項に記載の吸入可能粒子を調製する方法であって、
a)水を含んでいてもよい揮発性の水混和性溶媒中に安定化剤を溶解又は分散させて、溶液又は分散液を形成する工程;
b)水を含んでいてもよい揮発性の水混和性溶媒中に、チオトロピウム塩、又はその溶媒和物、又はその任意の固形形態を溶解させる工程;
c)工程b)の溶液と工程a)の溶液又は懸濁液を混合する工程;及び
d)工程c)の溶液/懸濁液を噴霧乾燥させて、所望の粒子を得る工程
を具備する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の工程a)からd)を含む、請求項7又は8に記載の吸入可能粒子を調製する方法であって、15から250μmの平均粒子径を有する一又は複数の粗賦形剤と共に工程d)の粒子を混合する工程を更に含む方法。
【請求項15】
工程a)において懸濁液が形成される場合、使用される溶媒は水を含まず、安定化剤は1−9μmの平均粒子径を有する粒子の形態である請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
喘息又は慢性閉塞性肺疾患の治療に使用される請求項1から8の何れか一項に記載の吸入可能粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−504580(P2012−504580A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529566(P2011−529566)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062821
【国際公開番号】WO2010/037845
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(507045122)ラボラトリオス リコンサ,エス.エー. (2)
【Fターム(参考)】