説明

チケットプリンタ

【課題】 本発明は、オペレータの操作により、媒体に文字情報やバーコードの印刷を行
い、チケット等を発行する発券プリンタに関し、特に券面のバーコードの印刷状態の良否
及び発券の可否を自己診断する。
【解決手段】 バーコードを印字するプリンタにおいて、バーコードを読取る装置の読み
取り方式及び、バーコードの読取り位置に応じて、バーコードの読取りを行う装置が印字
されたバーコードを確実に読めるように、プリンタで印字し、出力する時点で保証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータの操作により、媒体に文字情報やバーコードの印刷を行い、チケ
ット等を発行する発券プリンタに関し、特に券面のバーコードの印刷状態の良否及び発券
の可否を自己診断する発券プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
発券したチケットを別の装置で読取るチケットの発券を行う場合、チケットの発券は正
常に行われても、チケット印字時に紙粉や、券面の傷による印字抜けなどが発生すること
により、チケットを読取る装置側で読取りエラーとなる場合がある。特にバーコードを印
字する場合には、文字や図形などのイメージと異なり、バーの幅が印字しようとするイメ
ージと実際に印字されたイメージが異なれば、発券プリンタが意図したバーコードと異な
る情報を読取ったり、認識不可となる。
【0003】
一般的には、チケットプリンタとチケットリーダが異なる場合(バーコードの読取方式
が異なる場合)、印字したバーコードが指示通りのバーコードが印刷されているかの確認
を、チケットプリンタに搭載したバーコードリーダで印字したロール紙を読取ることによ
って行っている。装置起動時に装置の印字状態の確認を行い、装置稼動中の印字品質を保
証する例が特開2004−98499号公報「発券プリンタ」で提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−98499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明を考案するに到った装置は、チケットの情報を文字イメージで印刷すると同時に
バーコードでも情報を保存し、読取ったバーコードの情報を元に上位に問い合わせを行う
ことで、発券したチケットの情報を引き出すことが可能になっており、バーコード情報が
非常に重要となっている。
【0006】
バーコード情報をチケット券面に印字するチケットプリンタと券面のバーコード情報を
読取り、照合する読取装置(以下チケットリーダ)とでは、バーコードの読み取り方式が
異なる。プリンタ側はCCDでバーコードイメージの読取りを行い、チケットリーダは反
射型センサでバーコードの読取りを行う。また、チケットプリンタが図2aの上下方向に
搬送しながら読取りを行うのに対し、チケットリーダは図2bの左右方向に搬送しながら
読取りを行う。チケットリーダの場合は搬送の都合上、チケットのバーコードが印字され
ている部分の、ある1ラインしか読取ることができない。チケットリーダもチケットプリ
ンタと同様に図2aの上下方向に搬送し、プリンタと同じCCD方式のバーコードリーダ
で読取ることができれば同じ読取り方法であるので、あえてチケットリーダが読取る位置
のバーコードの印字を保障する必要はないが、チケットプリンタの用紙搬送が分離、印字
、イメージの確認、切断するまでは、ほとんどロール紙の状態(チケットの長さに)切断
していない状態で搬送可能であるのに対し、チケットプリンタは切断したチケットを搬送
しなくてはならないため、ローラピッチを狭くし、多くのローラを配置しないとうまく搬
送することができない。逆にチケットプリンタ側を図2bの左右方向に搬送し、チケット
リーダと同じ方式でバーコードの読取りを行う場合、バーコードの幅方向の印字が印刷送
り字の搬送速度の変動の影響を受けることとなり環境の変動や外乱がある場合に、バーコ
ードの印字品質を保つことが困難となる。上記のような背景があり、異なった方式でのバ
ーコードの読取りを行うこととなった。チケットプリンタ側で、チケットリーダがバーコ
ードの読取りを行う部分の印字品質を保証するためにバーコードの高さを3つに分け、各
エリアでバーコードの読み取りが可能であることを確認できた場合、チケットリーダで読
取り可能なチケットとして発券する。このようにした場合、バーコード読取り障害を多発
する恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
バーコードの読取り障害が発生した場合、一旦チケットロールを巻き戻し、バーコード
の印字エリア全てをバーコードリーダでスキャンし、バーコードのどの部分で、全体のど
の程度が読取り障害となったのかを調査し、その調査結果から、該当チケットがチケット
リーダで読取りを行った場合、チケットの読取が可能でチケットとしての機能を果たすか
どうかを判断し、読取可能と判断した場合は発行する。このように、印字抜けなどによっ
て、バーコードを認識できない部分があっても中央の部分バーコード読取可能であれば、
チケットとして発行することにより、損券及び障害を減少させる。また、印字の障害度合
いから装置の保守部位及び、保守の要不要を判断し、必要に応じて清掃等のガイダンスの
表示を行い、障害を未然に防止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明を実施することにより、発券後に外乱やチケットリーダ側に問題がなければ、チ
ケットリーダで、読取障害とならないチケットの発券が可能で、また、読取の基準を高く
した場合でも印字抜けなどによる損券や、障害を減少でき、また、バーコードを再読み込
みしたときの情報をチケットプリンタ内部及び上位で解析した結果で、保守のガイダンス
をチケットプリンタ側で表示し、保守を促すことで、障害を未然に防止することが可能と
なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例を説明する。このチケットプリンタ9はロール状に巻かれた感熱用紙1
(以下ロール紙)に印字を行い、必要な長さに切断して券を発行する発券プリンタである
(以下発券プリンタ)。この発券プリンタは、ロールを搬送する搬送ローラ5、ロール紙
裏面のプレ印刷された情報を読み取る裏面バーコードリーダ3、サーマルヘッド2によっ
てロール紙に必要な印字を行う印字部、印字したイメージの読み取りを行う表面バーコー
ドリーダ4、所望の長さにロール紙を切断するチケットカッタユニット6、切断した券を
搬送し、発券されたチケットをスタックするスタッカ8、これらを制御するプリンタ制御
部7で構成される。表面バーコードリーダにはCCD方式のバーコードリーダが実装され
ており、バーコード22を読取る。読取り方向は図2aの通りである。これに対し、本発
券プリンタで発券したチケットの読取を行うチケットリーダのバーコードリーダは、チケ
ットの長手方向に搬送を行うため、バーコードの読取は図2bの通りであり、6mmの高
さのバーコードの中央部分の読取を行う(図2c)。
【0010】
発券手順としては、ロール紙の裏面のバーコードの読取を行う。ロール紙裏面のバーコ
ードの情報からロール紙の何枚目であるか、どの用紙メーカー製のロール紙であるかの情
報を得る。次にロール紙に、文字情報及び、バーコードが印字される。印字した直後表面
バーコードリーダで表面のバーコードの読取を行い、表面のバーコードが印字指示通りの
バーコードであることを確認する。読取時、バーコード高さ6mmに対し、2mm高さで
エリアを分割し、上からAエリア、Bエリア、Cエリアとすると、A、B、C各エリアで
読取を行う(図2c)。通常1つのバーコードに対して、バーコードとして正常に認識で
きた回数が2〜3スキャン分程度確保できた段階で、バーコードを正常に読み取りできた
と判断し、バーコードの読取りを終了する。これを本発明のプリンタではA、B、Cの各
エリアで実施し、各エリアで2回認識できた時点で該当エリアのバーコードは読取可能、
正常に印刷されていると判断する。これにより、チケットリーダのバーコード読取部分の
バーコードの印字品質を保証することが可能である。エリアBだけでなくバーコード全体
のスキャンを実施するのは、エリアBのみの判定では、前後(エリアAまたは、C)にち
ょっとしたスポット印字抜けなどがあった場合でも正常と判断されてしまうため、印字抜
けなどの初期の障害を発見し易くするためにバーコード全域のスキャンを実施する(ステ
ップ301〜304)。
【0011】
A、B、Cのいずれかのエリアで読取障害となった場合、バーコードの再読み込みを行
う。ロール紙をバーコード読取開始位置まで巻き戻し、再度バーコードリードを行う。こ
の場合、バーコード全体の読取りを行う。バーコードのスキャン間隔で、認識の成否に関
わらずバーコードの読取りを行い、A、B、Cどのエリアで印字障害が発生したか、とい
う情報と再バーコード読取りの際に全スキャン回数の内、何回バーコードとして認識でき
たかという情報取得する。
【0012】
本発明では、再バーコード読取りの際に障害となった部位を特定する。本発明のプリン
タの場合、バーコードの印字開始位置はチケットの種類に関わらず一定で、チケットの印
字開始位置はチケット裏面のカットマークとの相対位置で決められており、カットマーク
検知タイミングと搬送量からスキャン中のバーコードが、バーコード全体のどの部分を読
取っているか検知可能である。
【0013】
A、B、Cのいずれかのエリアでバーコード読取障害が発生した場合、バーコード再読
取を開始する。ロール紙を巻き戻し、バーコード読取開始位置まで戻した後にバーコード
リーダで再読取を開始する(ステップ401〜410)。
【0014】
チケットリーダの特性上バーコードの中央部分の印字が保証されていれば、正しいチケ
ットとしてチケットリーダ側で識別可能であるため、極端に言えば、A、Cエリアの印字
が抜けた状態でも問題とならない。バーコード印字の問題部位を特定し、その部位がチケ
ットリーダに悪影響を及ぼさないかどうかの判断を行い、問題がなければ正しいチケット
として発券する。本発明のプリンタの場合、6mmの高さのバーコードを最大限スキャン
可能な回数は24回で、1エリアに付き8回である。よって、チケットとして発券できる
と判断する基準はAエリアCエリアでのバーコード認識率が50%以上であること。次に
Bエリアのバーコード認識率が80%以上(実質 認識回数7/8以上)の場合発券可能
とし、バーコード再読取り終了後ロール紙をチケットの長さにカットして発券する。
【0015】
これによって、チケットの役割を果たすことが可能である程度であればチケットとして
発券可能なため、障害や損券を少なくすることが可能である(ステップ411〜421)

【0016】
上記の基準を満たさない場合は、バーコード部分の再印字を行う。バーコードの印字が
印字抜け等により欠ける場合の原因にロール紙表面の傷や、サーマルヘッドの発熱体とチ
ケット表面の感熱面の間に紙粉などのゴミが入り込み、発熱体の熱がチケットの感熱面に
効率よく伝わらずその部分の印字が欠けることがある。傷の場合、1回目の印字でサーマ
ルヘッドの熱とプラテンローラの圧力でチケットにアイロンが掛かることにより、券面の
傷による凹みがなくなり傷部分にも再印字可能となる場合がある。ゴミの場合もリトライ
することで、発熱体の上の紙粉が除去され、最印字で抜けが消える場合もある。再印字の
後、初回の読取方式ではなく、バーコードの再読取時と同様にバーコード成否に関わらず
バーコードリーダのスキャン間隔でバーコードの読み取りを行い、チケット発券可能であ
るかどうか判断する(ステップ501〜510)。
【0017】
この段階においてもチケットとして発券できない場合には、ロール紙を印字開始位置ま
で巻き戻し、チケットに無効券印字を実施した後、無効券として発券する。
【0018】
バーコードの読取障害が発生しなかった場合には通常通り発券するが、バーコードに障
害が発生した場合には、そのチケットが発券できるかどうか自己診断すると同時に装置自
体の障害部位の自己診断も行う。
【0019】
1回目のバーコード再読取の結果が、バーコード認識率0〜50%であった場合には再
印字後の2回目のバーコード再読取の結果を待って判断する。51%〜90%以上の場合
には、バーコードの認識率を上位に報告し、経過を監視する。経過監視後、2000枚(
1ロール分)発券してバーコード読取障害が発生しなければ経過監視を終了する。200
0枚発券するまでの間にバーコード読取障害が発生した場合には上位に報告して即座に、
ロール紙プリンタ側でサーマルヘッド表面及びバーコードリーダのガラス面の清掃を促す
ガイダンスを表示し、オペレータに清掃させる。清掃のガイダンスには清掃確認のための
発券モードがあり、清掃後に確認発券を行わないと上位に清掃確認の情報が行われないた
め、上位は定期的に清掃を促すガイダンスを表示する。
【0020】
清掃確認の発券を行うと、バーコードの再読取時と同様にバーコード成否に関わらずバ
ーコードの読み取りを行い、バーコード認識率で、復旧の度合いを自己診断する。バーコ
ード認識率が清掃前と変化していない、または、低下している場合には、上位に報告し、
上位は保守センターに報告する。報告を受け、保守員が該当装置を保守、点検する。
【0021】
91%以上の場合には搬送バラツキ、センサ検知位置バラツキなど一時的な外乱による
影響の可能が高いため上位に報告しない(ステップ411〜421)。
【0022】
再印字後、2回目のバーコード再読取の結果がバーコード認識率0〜50%であった場
合には上位は保守センターに報告し、保守員は保守点検を実施する。81%〜90%以上
の場合には、バーコードの認識率を上位に報告し、経過を監視する。また、1回目のバー
コード再読取のときと同様にして経過監視後、2000枚(1ロール分)発券してバーコ
ード読取障害が発生しなければ経過監視を終了する。
【0023】
91%以上の場合には搬送バラツキ、センサ検知位置バラツキなど一時的な外乱による
影響の可能が高いため上位に報告しない。再印字後の結果が51〜80%の場合には、リ
トライ動作で1回余分に動作しているため、紙粉などの一時的な外乱である可能性が低く
なるため、すぐに清掃し復旧させるため上位に報告してロール紙プリンタ側でサーマルヘ
ッド表面及びバーコードリーダのガラス面の清掃を促すガイダンスを表示し、オペレータ
に清掃させる。清掃後の確認印字及び、経過監視は経過監視中にバーコード読取り障害と
なった場合と同じ処理を行う(ステップ501〜510)。
【0024】
上位は各端末の状況を把握するとともに、総発券枚数に対する障害率等を調査し、発券
枚数が少ない店舗にもかかわらず、障害が多発しているような場合には、上位が保守セン
タに情報を提供し、定期点検などの周期によらず、事前に保守点検することで、完全にチ
ケットプリンタの機能が損なわれる前に装置を復旧することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のサーマル発券プリンタのユニット構成を示す図。
【図2】本発明のサーマル発券プリンタとチケットリーダによるバーコード読取方式を示す図。
【図3】本発明のバーコード読取から発券のシーケンスを示す図。
【図4】本発明のバーコード再読取時と発券可否を判断する自己診断シーケンスを示す図。
【図5】本発明のバーコード再印字と再読取時のシーケンスを示す図。
【符号の説明】
【0026】
1…ロール紙、2…サーマルヘッド、3…裏面バーコードリーダユニット、4…表面バ
ーコードリーダユニット、5…搬送ローラ、6…チケットカッタユニット、7…プリンタ
制御部、8…スタッカ、9…チケットプリンタ、20…チケット(チケットプリンタ発券
時)、21…チケット(チケットリーダ読取時)、22…バーコード。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを印字するプリンタにおいて、バーコードを読取る装置の読み取り方式及び
、バーコードの読取り位置に応じて、バーコードの読取りを行う装置が印字されたバーコ
ードを確実に読めるように、プリンタで印字し、出力する時点で、保証することを特徴と
するチケットプリンタ。
【請求項2】
ロール紙と、ロール紙を回転可能な状態で保持し、ロール紙の先端をロール紙外周から
分離し、搬送路に誘導する分離部と、ロール紙を必要な長さを繰り出して搬送する搬送部
と、搬送部によって繰り出されたロール紙に印字を行う印字部、印字したバーコードの読
み取りを行う読み取り部、ロール紙を所定の長さに切断するカッタ部と、カットしたロー
ル紙をスタッカに搬送する排出部を備えたロール紙用プリンタにおいて、バーコードの読
み取りに障害が生じた場合、チケットロールを巻取り、再度バーコードの読取を行ないチ
ケットの印字状態を自己診断することを特徴としたチケットプリンタ。
【請求項3】
前記ロール紙用プリンタにおいて、バーコード再読取時にバーコードリーダで通常の読
取より精密にバーコード印字エリア全域を再調査し、照合成功率等からバーコードの印字
状態を自己診断し、正常券か異常券であるかを再判断することを特徴とするチケットプリ
ンタ。
【請求項4】
前記ロール紙用プリンタにおいて、バーコード再読取時にバーコードリーダで通常の読
取より精密にバーコードを再調査し、照合成功率等からバーコードの印字状態を自己診断
し、正常券か異常券であるかを再判断した結果、異常券であった場合バーコード部分の再
印字を行い、再度照合を行い、印字障害等による無効券の発券枚数を減少させることを特
徴とするチケットプリンタ。
【請求項5】
前記ロール紙用プリンタにおいて、通常読取に失敗した場合の再読取時や、再判断後正
常券とした場合、再判断後再印字した場合の読取結果から、装置の状態を診断し、必要に
応じて、清掃などの予防保守のガイダンスの表示等を行い、障害率の減少を可能とするチ
ケットプリンタ。
【請求項6】
前記ロール紙用プリンタにおいて、通常読取に失敗した場合の再読取時や、再判断後正
常券とした場合、再判断後再印字した場合の読取結果から、装置の状態を診断、ホストは
その診断結果を受け、診断結果の履歴等から障害原因を推測し、必要に応じて、チケット
プリンタ側にガイダンスの表示命令を行い、さらにその後の診断結果、及び照合成功率を
ホストが解析し、復旧の成否及び、保守の必要性を自動的に判断する事を特徴とするチケ
ットプリンタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−168086(P2006−168086A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362179(P2004−362179)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】