説明

チタン板、およびその製造方法

【課題】研磨性に優れ、研磨時間を短縮できるチタン板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】チタン板は、測定荷重0.245Nでの表面のビッカース硬度Hvが150以上350以下であり、表面の凹み深さhが下記(1)式の条件を満たし、且つ表面の結晶粒径が30μm以下である。
h≦(Hv/75)+2 ・・・(1)
このチタン板の製造方法は、直径が40mm以上100mm以下の圧延ロールを用い、40℃における動粘度が7cSt以上20cSt以下の潤滑剤を使用して、1パスあたりの最大圧下率が20%以下を満足する条件で冷間圧延を行う冷間圧延工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン板、およびその製造方法に関し、特に、表面光沢が要求される眼鏡や装飾品などの材料に好適なチタン板、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン板は、強度、軽さ、耐食性、耐熱性などの優れた特性から様々な製品に用いられる。中でも、眼鏡や装飾品などに用いられる場合は、表面の光沢性が求められることがある。この場合、チタン板は、その表面を研磨することにより、要求される光沢をもたらす表面性状に仕上げられる。
【0003】
チタン板を研磨する手法としては、機械研磨、バレル研磨、電解研磨、化学研磨などがある。これらのうちで電解研磨や化学研磨は、研磨条件の設定が難しく、ふっ酸系や過塩素酸系の腐食性の強い溶液を使うため、サイズの小さい対象材を少量研磨するのに用いられる。これに対し、機械研磨は、粗い表面の対象材には砥石で粗研磨を行い、粗さの細かい表面の対象材には砥粒を供給しながら仕上げ研磨を行う方法である。バレル研磨は、研磨材の入った回転槽に対象材を装入し、回転槽を高速回転して対象材を研磨する方法である。大量に研磨処理を行う工業生産では、バレル研磨や機械研磨が用いられる。
【0004】
一般に、チタンは、粘りがあり熱伝導率が低く化学的に活性な金属であるため、表面仕上げが困難な材料である。このため、機械研磨やバレル研磨によりチタン板を研磨し、光沢のある表面に仕上げるには、時間がかかる。とりわけ、民生用製品に使用される比較的安価な工業用純チタンは、軟質であることから、光沢のある表面に仕上げるのが難しい。
【0005】
このようなチタンの表面仕上げにおける困難性に対し、機械研磨では砥石や砥粒や研磨条件を適正化し、バレル研磨では研磨材や研磨条件を適正化することにより、研磨性や研磨時間を改善する技術が種々提案されている。ここで、「研磨性」とは、所定の研磨時間で得られるチタン表面の光沢の良悪のことをいい、「研磨時間」とは、ある一定以上の光沢を得るために研磨に要する時間のことをいう。
【0006】
例えば、特許文献1には、複数枚のチタン板をそれぞれキャリアで保持しつつ、それらを同一平面内で一対の定盤により挟み、定盤とキャリアとの相対移動によってすべてのチタン板を同時に研磨する際、使用するキャリアの厚みを規定する技術が記載されている。特許文献2には、砥石を用いてチタン板を研磨する際、チタン板の表面温度を10℃以下に冷却することにより、表面硬度を大きくして研磨し易くする技術が記載されている。
【0007】
また、高強度または高硬度なチタン合金の特質に着目して、研磨性の向上や鏡面性の向上を図る技術も種々提案されている。
【0008】
例えば、特許文献3には、質量%で、0.1%を超え0.6%未満のFeを含有するとともに、0.005%を超え0.2%未満のOを含有し、両者の含有量をFe>Oに規定するチタン合金が記載されている。特許文献4には、質量%で0.5〜5%のFeを含有し、β変態温度以上から急冷することで、高硬度化により鏡面性を向上させるチタン合金が記載されている。
【0009】
ところで、チタン板の研磨性には、研磨対象のチタン板の表面特性、すなわち表面粗さや表面硬度が影響すると考えられる。これに関連する技術として、例えば、特許文献5〜7には、プレス成形性の向上のために表面特性を改善したチタン板が開示されている。
【0010】
特許文献5に記載のチタン板は、表面の凹凸を制御することにより、プレス成形時に潤滑油の保油性を向上させることを狙って、表面粗さ、表面硬度、結晶粒径などが規定されている。特許文献6に記載のチタン板は、プレス成形時に窒化層により潤滑性を向上させることを狙って、表面粗さ、表面の窒素濃度などが規定されている。特許文献7に記載のチタン板は、プレス成形時に硬化層により耐焼付き性を向上させることを狙って、表面粗さ、表面硬度などが規定されている。
【0011】
上記特許文献5〜7に記載のチタン板は、いずれもプレス成形用であることから、最も軟質のJIS1種が用いられる。このチタン板は、プレス金型との潤滑の改善を狙っているため、適正な表面粗さや表面硬度が、研磨性の適正値とは異なる。通常、研磨用のチタン板は、JIS2種以上の硬質のものが使われる。JIS1種では軟らか過ぎるので、研磨しても光沢を得ることが困難であるからである。
【0012】
また、チタン板の研磨性に関連する技術として、例えば、下記のチタン板の製造方法がある。
【0013】
特許文献8には、チタン板を製造するにあたり、冷間圧延時のオイルピットを低減するために、圧延ロールの直径とチタン板素材の結晶粒径との関係を規定する製造方法が開示されている。同文献では、直径が450mmと大きい圧延ロールを用い、動粘度が70cSt(38℃にて)と大きい潤滑剤を使用して、結晶粒径が1〜2μmと微細なチタン板素材を冷間圧延することにより、オイルピット深さを改善できるとしている。しかし、このような微細な結晶粒径を有するチタン板素材を工業的に安定して製造するのは極めて困難であり、実現性に乏しい。もっとも、同文献には、得られたチタン板の研磨性に関する記述はない。
【0014】
前記特許文献5には、チタン板を製造するにあたり、冷間圧延後のチタン板を大気雰囲気下で焼鈍し、その後に硝酸/ふっ酸比が1以上10以下の酸洗浴中で酸洗することにより、適度に凹凸のあるチタン板を得る製造方法が開示されている。同文献では、チタン板表面の凹凸を制御することにより、プレス成形時に潤滑油の保油性を向上させ、プレス成形性を改善できるとしている。もっとも、同文献には、得られたチタン板の研磨性に関する記述はなく、現実的には、チタン板表面に凹凸を設けることは研磨性の観点から逆効果である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4−372359号公報
【特許文献2】特開2003−25191号公報
【特許文献3】特開2008−106323号公報
【特許文献4】特開平7−62466号公報
【特許文献5】特開2010−255085号公報
【特許文献6】特開2004−244671号公報
【特許文献7】特開2002−3968号公報
【特許文献8】特開昭56−165502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、研磨性に優れ、研磨時間を短縮できるチタン板、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記目的を達成するため、種々の条件で製造したチタン板の表面状態(粗さ、凹凸の形態、硬度、結晶粒径)を調査し、その後に、同一の条件で一定時間のバレル研磨を行い、得られたチタン板の表面の状態および光沢を調査する試験を実施した。そして、鋭意検討を重ねた結果、下記の(1)〜(3)に示すように、研磨性を向上できるチタン板、すなわち所定時間の研磨でより表面光沢のあるチタン板を得るためには、素材であるチタン板の表面性状について、凹みの深さと硬度、さらには結晶粒径を適正に制御するのが有効であることを知見した。
【0018】
(1)チタン板の表面の凹みと硬度
図1は、研磨性が良好なチタン板の表面粗さ曲線の一例を示す図であり、同図(a)はバレル研磨前の状態を示し、同図(b)はバレル研磨後の状態を示す。図2は、研磨性が不芳な従来のチタン板の表面粗さ曲線の一例を示す図であり、同図(a)はバレル研磨前の状態を示し、同図(b)はバレル研磨後の状態を示す。これらの図は、後述する実施例の試験結果の一例を示したものである。
【0019】
研磨の前後でチタン板の表面を表面粗さ計で測定し、これと合わせて研磨後のチタン板の表面を光学顕微鏡で観察するとともに、光沢計を用いて定量的に光沢度を計測したところ、図1(b)に示すように、研磨性が良い(研磨後の光沢が良い)チタン板の表面は、平滑であり、凹みがほとんど認められなかった。この場合、光沢度は478であった。
【0020】
一方、図2(b)に示すように、研磨性が芳しくない(研磨後の光沢が良くない)チタン板の表面には、大きな凹みが多数残っていることがわかった。この場合、光沢度は380であった。
【0021】
これらの凹みは、図1(a)および図2(a)に示すように、研磨前のチタン板にも認められた。また、研磨前のチタン板には微小な凹凸が多数認められるが、それらの微小な凹凸は研磨後には認められないことから、研磨により除去されるといえる。
【0022】
ここで、チタン板の表面は研磨によって数μm除去される。研磨前のチタン板の表面に存在する凹みが、除去される量(研磨量)よりも小さい場合、凹みは除去され、光沢のある平滑な表面が得られる。
【0023】
図3は、チタン板の表面の凹み深さhと表面硬度Hvの相関を示す図である。同図は、後述する実施例の試験結果をまとめたものであり、研磨前にチタン板表面の凹み深さと硬度を計測し、さらに研磨後にチタン板表面の光沢度を計測し、光沢度が440以上の場合を光沢が良好であるとして「○」印で示し、光沢度がそれを下回る場合を光沢が不芳であるとして「×」印で示している。
【0024】
同一の条件でバレル研磨した場合、チタン板の表面硬度が大きいほど、研磨量は多くなり、図3に示すように、チタン板表面の凹み深さが多少大きくても、光沢が良くなる傾向となった。これは、研磨後に残った凹みが少なくなったり、浅くなったためである。
【0025】
以上のことから、測定荷重0.245N(25gf)でのチタン板表面のビッカース硬度Hvが150以上350以下の範囲では、チタン板表面の凹み深さh(μm)と、チタン板表面のビッカース硬度Hvが下記(1)式を満足すれば、研磨によって光沢が良好になることがわかった。
h≦(Hv/75)+2 ・・・(1)
【0026】
(2)チタン板の表面の結晶粒径
チタン板表面を研磨した後に、その表面をエッチングしてミクロ組織を現出させ、結晶の大きさ(粒径)を求めて、研磨性との関連を調査したところ、以下の理由により、粒径が大きい場合は研磨後の光沢が良くならないことがわかった。
【0027】
結晶粒別に微小な範囲の表面硬度(ビッカース硬度、測定荷重:0.049N(5gf))を求めたところ、結晶粒によって硬度が異なり、ある粒はHvが110〜116であったのに対して、別の粒はHvが176〜184であった。このような結晶粒ごとの表面硬度の差異は、その結晶粒の結晶方位が異なるためと考えられる。このため、研磨量も結晶粒ごとで微妙に異なることになる。そうすると、結晶粒が細かい場合は平均化されて認識できないが、結晶粒が大きくなると目視でもその大きさを認識できるようになるため、光沢に影響すると考えられる。
【0028】
以上のことから、チタン板表面の結晶粒径が細かいほど研磨後の光沢が良好であることがわかった。具体的には、結晶粒径が30μm以下、望ましくは20μm以下である場合に、研磨後の光沢が良好になる。
【0029】
(3)チタン板の製造方法
チタン板の製造工程について検討した結果、上記(1)に示すチタン板表面の凹みは、下記の工程で形成されることがわかった。
【0030】
1)冷間圧延工程
冷間圧延の際、圧延ロール(ワークロール)とチタン板の焼き付きを防止して、潤滑性を向上させるため、潤滑剤が使用される。このとき、潤滑剤が圧延ロールとチタン板の間に不均一な厚さで封じ込められると、チタン板に凹み状の欠陥(オイルピット)が形成される。この凹み状の欠陥が上記(1)に示す凹みの原因となる。
【0031】
この凹み状の欠陥を低減するための冷間圧延条件を検討した結果、圧延時のロールとチタン板の接触面積を小さくすることが重要であることがわかった。つまり、板形状に悪影響しない程度に直径が小さい圧延ロールを用い、1パスあたりの圧下率を小さくするのがよい。これらと合わせ、動粘度が比較的小さい潤滑剤を使用するのがよい。これらの条件を満たす冷間圧延により、潤滑剤が圧延ロールとチタン板の間に不均一な厚さで封じ込められることがなくなる。
【0032】
好適な冷間圧延の具体的な条件は次の通りである。
・圧延ロールの直径:100mm以下
・1パスあたりの最大圧下率:20%以下
・潤滑剤の40℃における動粘度:20cSt以下
【0033】
2)大気焼鈍後の酸洗工程
冷間圧延したチタン板を大気雰囲気下で焼鈍した場合、チタン板表面には酸化膜(スケール)が生成するため、その酸化膜を除去するために酸洗が行われる。生成した酸化膜の厚さは必ずしも均一ではなく、また、酸洗時の溶損速度も均一ではないため、酸化膜のみを酸洗で除去することは困難である。このため、チタン板の母材そのものも溶損させて酸化膜を除去する。ただし、酸洗をし過ぎると、チタン板母材の溶損量が多くなり所望の板厚が得られなくなる。また、局部的に溶損が進行すると、チタン板表面に凹みが発生し易くなる。この凹みも上記(1)に示す凹みの原因となる。
【0034】
このような酸洗時の凹みを低減するために酸洗条件を検討した結果、酸洗前の予備処理、すなわちチタン板を溶融塩浴に浸漬させて酸化膜を酸洗で除去しやすいように改質する処理を含め、以下の条件を満たす場合に、チタン板表面の酸化膜を除去することができ、凹みを抑制できることがわかった。
・酸洗前の予備処理で用いる溶融塩浴:NaOHを50質量%以上含有
・酸洗液:ふっ酸を1質量%以上3質量%以下、および硝酸を5質量%以上10質量%以下含む水溶液
・酸洗液の温度:20℃以上70℃以下
【0035】
本発明は、以上の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(I)のチタン板、および下記(II)のチタン板の製造方法にある。
【0036】
(I)測定荷重0.245Nでの表面のビッカース硬度Hvが150以上350以下のチタン板であって、表面の凹み深さhが下記(1)式の条件を満たし、且つ表面の結晶粒径が30μm以下であることを特徴とするチタン板である。
h≦(Hv/75)+2 ・・・(1)
【0037】
(II)上記(I)に示すチタン板の製造方法であって、直径が40mm以上100mm以下の圧延ロールを用い、40℃における動粘度が7cSt以上20cSt以下の潤滑剤を使用して、1パスあたりの最大圧下率が20%以下を満足する条件で冷間圧延を行う冷間圧延工程を含むことを特徴とするチタン板の製造方法である。
【0038】
上記(II)のチタン板の製造方法では、冷間圧延工程後のチタン板を大気雰囲気下で焼鈍し、そのチタン板表面の結晶粒径を2μm以上30μm以下に調整する焼鈍工程と、NaOHを50質量%以上含有する溶融塩浴に焼鈍工程後のチタン板を浸漬させ、焼鈍工程でチタン板表面に生成した酸化膜を改質する予備処理工程と、予備処理工程後のチタン板をふっ酸が1質量%以上3質量%以下および硝酸が5質量%以上10質量%以下の水溶液で酸洗し、そのチタン板表面の酸化膜を除去する酸洗工程と、を含む構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明のチタン板は、表面の凹みの深さ、硬度および結晶粒径が適正に規定されているため、研磨によって光沢が良好となり、研磨性に優れると同時に、研磨時間を短縮することが可能となる。また、本発明のチタン板の製造方法は、冷間圧延時に、直径が小さい圧延ロールを用い、動粘度が比較的小さい潤滑剤を使用して、1パスあたりの圧下率を小さくすることにより、研磨性に優れたチタン板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】研磨性が良好なチタン板の表面粗さ曲線の一例を示す図であり、同図(a)はバレル研磨前の状態を示し、同図(b)はバレル研磨後の状態を示す。
【図2】研磨性が不芳な従来のチタン板の表面粗さ曲線の一例を示す図であり、同図(a)はバレル研磨前の状態を示し、同図(b)はバレル研磨後の状態を示す。
【図3】チタン板の表面の凹み深さhと表面硬度Hvの相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明のチタン板およびその製造方法を上記のように規定した理由および好ましい態様について説明する。
【0042】
1.チタン板の表面粗さ(凹み深さ)
チタン板表面の凹み深さは、次のような手順で求める。
【0043】
(1)触針式表面粗さ計を用い、JIS B 0601に準拠して、チタン板表面の粗さ曲線を求める。測定条件は、評価長さを4.0mm、カットオフを0.8mmとする。
【0044】
(2)粗さ曲線の基準となる平均線を決める。
【0045】
(3)粗さ曲線において、平均線を基準(ゼロ)とし、最も高い凸(山)から高い順に5番目までの凸の高さを求め、その5つの平均を求める。研磨の初期に、凸は比較的容易に研磨除去されるため、5つの山の平均とする。これは、最も高い凸が非常に高くても(例えば、最も高い凸が2番目以降の凸よりもかなり高くても)、1つの凸のみでは容易に研磨されるため研磨性の評価としては好ましくないからである。
【0046】
(4)粗さ曲線において、平均線を基準(ゼロ)とし、最も深い凹みの深さを求める。浅い凹みは研磨で除去され易く、深い凹みは研磨後も残り易い。研磨後に凹みがすべて無くなると非常に光沢の良いチタン板が得られるため、最も深い凹みを評価の対象にするのが適切といえるからである。
【0047】
(5)凹み深さとして、上記(3)で求めた5つの山の平均高さと、上記(4)で求めた最も深い凹みの深さの和を求める。
【0048】
(6)上記(1)〜(5)の手順をチタン板の表面の5ヶ所で行い、それらの凹み深さの平均値を求め、その値をチタン板の凹み深さhとする。
【0049】
チタン板表面の凹み深さhは小さいほど、研磨量が少なくても研磨後の光沢が得られることから、研磨性が良好になる。このとき、研磨量は後述する表面硬度Hvによって異なるため、適正な凹み深さhは、前記図3に示す結果に基づき、下記(1)式で表される範囲である。
h≦(Hv/75)+2 ・・・(1)
ここで、Hvは、荷重0.245N(25gf)で測定したチタン板表面のビッカース硬度を示し、hは、上記(1)〜(6)の手順に従って得られるチタン板表面の凹み深さ(μm)を示す。
【0050】
もっとも、研磨時間を長くすれば、研磨量が増加することから、大きな凹みもやがては削除できる。しかし、研磨時間を長くすることは、研磨性を悪化させることを意味し、研磨による生産効率を阻害する。
【0051】
2.チタン板の表面硬度
チタン板の表面硬度は、JIS Z 2244に準拠したビッカース硬さ試験により測定する。測定箇所は、光沢性が求められているチタン板の表面である。このとき、測定荷重は0.245N(25gf)とする。測定荷重が小さ過ぎると(例えば、0.098N(10gf))、チタン板表面の凹凸に対して圧痕が小さくなり過ぎて、不明瞭あるいは形状がいびつになり、正確な硬度を測定することができない。逆に、測定荷重が大き過ぎると(例えば、9.8N(1kgf))、チタン板の表面に加えて内部の硬度も評価してしまう。
【0052】
表面硬度の望ましい範囲は、Hv≧150である。Hvが150未満ではチタン板表面が軟質で粘りがあるため、機械研磨やバレル研磨で研磨され難くなり研磨性に劣るからである。表面硬度の望ましい上限は350である。Hvが350より大きくなると、曲げやプレス等の加工性に劣り、加工時に割れ易くなるからである。
【0053】
なお、研磨前にチタン板を表面処理(酸化や窒化、ショットピーニングなどの処理)することにより、その表面に硬度が上記の範囲内の硬質層を設けてもよい。
【0054】
3.チタン板表面の結晶粒径
ここでの結晶はα粒である。結晶粒径は、JIS G 0551に準拠し、直線交差線分法より求める。測定対象箇所は、研磨したチタン板の表面である。研磨性で評価の対象となるのはチタン板の表面であるため、研磨した表面のミクロ組織写真を用いて評価する。その際、研磨したチタン板表面をふっ硝酸でエッチングして、ミクロ組織を現出させた後、光学顕微鏡で観察する。
【0055】
結晶粒径は、30μm以下がよい。望ましくは20μm以下である。結晶粒ごとに表面硬度が異なるのに伴って、研磨量も結晶粒ごとに異なるため、結晶粒が大きいと研磨後の光沢に悪影響するからである。結晶粒径の下限は特に規定しないが、通常の工業規模での製造において得られるのは2μm以上である。
【0056】
結晶粒径は、冷間圧延後の焼鈍時の温度や保持時間で調整することができる。温度が高いほど、また、保持時間が長いほど、粒径は大きくなる。
【0057】
4.チタン板の成分組成
以下の記述において、成分含有量の「%」は「質量%」を意味する。本発明のチタン板は、JIS2種、3種、4種、12種、13種相当の工業用純チタンである。プレス成形に用いられるJIS1種や11種は軟質であり、表面硬度が低いため好ましくない。しかし、表面処理を行い所望の表面硬度が得られればJIS1種や11種でもよい。
【0058】
成分は、特に規定するものではなく一般的な工業用純チタンである。すなわち、本発明のチタン板は、酸素を0.02%以上0.50%以下、Feを0.01%以上0.50%以下含有する。酸素やFeは、チタン板の用途に応じて適正な強度や伸びなどの機械的性質を得るために添加される。また、CやNやHは主に不可避不純物(C:0.05%以下、N:0.05%以下、H:0.013%以下)であるが、必要な量を添加しても構わない。
【0059】
酸素は、0.02%より少なくするためには高価な高純度の原料(スポンジチタン)を用いる必要があるため、0.02%以上が望ましい。酸素を0.50%より多く含むチタンは、強度が高くなる反面脆くなり、実用上使い難くなるため、酸素は0.50%以下とする。研磨性に優れたチタン板として、より望ましくは0.05%以上0.40%以下である。
【0060】
Feは、不可避不純物として少なくても0.01%は含まれる。0.50%より多く含まれると、α相以外に硬度の異なるβ相も多量に析出するため研磨性に好ましくない。
【0061】
その他、JIS11種、12種、13種では、耐食性を向上させるためにPdを0.12%以上0.25%以下含む。また、これらの工業用純チタンにNi、Cr、Cuなどを微量(3%以下)添加したチタン板でもよい。
【0062】
5.研磨後の光沢の評価
研磨後にチタン板の光沢感は目視で評価できるが、定量的な評価を行うためには、光沢計(スガ試験機製HG246)を用いて光沢度を測定し、この光沢度で評価することができる。光沢度の測定は、JIS Z 8741に準拠して行い、入射角Gは60°とする。その際、チタン板の表面を5ヶ所で測定して各々光沢度を求め、その平均値をそのチタン板の光沢度とする。目視での光沢感のあるチタン板は、光沢度が440以上である。さらに、光沢度が470以上ではかなり光沢のある良好な板といえる。
【0063】
このため、所定の時間かけて研磨した後の光沢度が440以上となるチタン板を、研磨性が良好なチタン板とする。すなわち、研磨後の光沢度が440未満のチタン板は、研磨性が悪いと判断する。
【0064】
6.チタン板の製造方法
冷間圧延前までの工程は、チタン板の表面に大きな影響を及ぼさないため、慣用の工程を適用できる。すなわち、チタンインゴットを鍛造し、さらに熱間圧延、焼鈍、酸洗を行って、表面に酸化層のない熱間圧延板を製造する。厚さは3〜6mm程度である。
【0065】
(1)冷間圧延工程
冷間圧延では、圧延ロール(ワークロール)を用い、所望の厚さのチタン板が得られるまで繰り返し圧延を行う。その際、厳密には、後の工程で板厚が多少減少するため、その分を考慮してやや厚めに仕上げる。
【0066】
冷間圧延時に、潤滑剤が捕捉されてチタン板に不用意な凹みを形成しないように、下記のような条件で圧延を行う。
【0067】
圧延ロールと冷延板の接触弧長を短くして潤滑剤が捕捉されないようにするため、ロールの直径は100mm以下、できれば70mm以下とし、1パスあたりの圧下率は最大で20%以下とする。ロール直径は小さ過ぎると、ロールがたわみ、冷延板の形状が悪化するため、40mm以上とするのが望ましい。また、1パスあたりの圧下率が小さ過ぎると、所定の厚さの冷延板を得るために何パスも冷間圧延を繰り返さなければならないため、生産効率が悪くなる。このため、1パスあたりの最大圧下率は8%以上とするのが望ましい。
【0068】
潤滑剤は流動を良くして、ロールと冷延板の間に余分な潤滑剤が残らないように、40℃における動粘度を20cSt以下とする。ただし、動粘度が小さ過ぎると、ロールと冷延板の間に潤滑に必要な量の潤滑剤が残らなくなり、焼き付きなどの問題が発生する。このため、潤滑剤の40℃における動粘度は7cSt以上とするのが望ましい。
【0069】
(2)焼鈍工程
冷間圧延後の焼鈍方法には、大きく2つの方法がある。その1つは大気雰囲気下で連続的に焼鈍する方法であり、もう1つは減圧または不活性ガス雰囲気下でコイル焼鈍する方法である。
【0070】
1)大気焼鈍
大気焼鈍の場合、チタン板を連続的に焼鈍炉に通板して加熱するため、加熱温度は高く加熱時間は短い。この場合、加熱温度は600℃以上800℃以下とする。加工組織を再結晶して等軸粒にするためには、600℃以上の加熱温度が必要だからである。一方、加熱温度が800℃を超えて高くなると、結晶粒が成長し易くなり、適正な粒径より大きくなるからである。
【0071】
大気焼鈍の場合の加熱時間は、10秒間以上5分間以下とする。加工組織を再結晶して等軸粒にするためには、10秒間以上の加熱時間が必要だからである。一方、加熱時間が5分間を超えて長くなると、結晶粒が成長し易くなり、適正な粒径より大きくなるからである。
【0072】
適正な焼鈍条件は、チタン板の厚さや冷間圧延条件などに応じて異なるが、チタン板表面の結晶粒径が30μm以下、望ましくは20μm以下になるように焼鈍を行う。
【0073】
2)減圧または不活性ガス焼鈍
減圧/不活性ガス焼鈍の場合、チタン板をコイルのまま焼鈍炉に入れて加熱するため、加熱温度は低く加熱時間は長い。この場合、雰囲気は、ArもしくはHeガス、または減圧(1×10-3Pa以下)とする。
【0074】
減圧/不活性ガス焼鈍の場合の加熱温度は、500℃以上650℃以下とする。加工組織を再結晶して等軸粒にするためには、500℃以上の加熱温度が必要だからである。一方、加熱温度が650℃を超えて高くなると、結晶粒が成長し易くなり、適正な粒径より大きくなるからである。
【0075】
減圧/不活性ガス焼鈍の場合の加熱時間は、1時間以上50時間以下とする。コイル全体の温度を上げるためには、1時間以上の時間を要するからである。一方、加熱時間が50時間を超えて長くなると、製造時間がかかり過ぎるので好ましくないからである。
【0076】
適正な焼鈍条件は、チタン板のコイルの大きさや冷間圧延条件などに応じて異なるが、チタン板表面の結晶粒径が30μm以下、望ましくは20μm以下になるように焼鈍を行う。
【0077】
(3)酸洗工程(大気焼鈍の場合のみ)
大気焼鈍を行った場合は、チタン板表面が酸化されるため、この酸化膜(スケール)を取り除くために酸洗を行う。通常は連続設備で行い、焼鈍工程に続いて行われる。その際、酸洗をし過ぎると、チタン板表面にピット状の凹みが形成される。この凹みがあると研磨性を悪化させるため好ましくない。また、チタン板母材の溶損量も多くなり、所定の板厚が得られず、また、生産量が低下するという問題も生じる。
【0078】
一方、酸洗が十分でないと、酸化膜を完全に取り除くことができず、チタン板表面に酸化膜が残存する。酸化膜が残存すると、研磨時に酸化層が残っている部分と除去できた部分で研磨量が異なることから、光沢に差が生じた模様が現われる。このため、完全に酸化膜を除去する必要がある。
【0079】
適正な酸洗条件は、焼鈍条件やチタン板の厚さに応じて異なるが、以下の条件を満たすものとする。
【0080】
酸洗液は、ふっ酸を1質量%以上3質量%以下、および硝酸を5質量%以上10質量%以下含む水溶液とする。ふっ酸や硝酸の割合が小さいと、チタン板の酸化膜を完全に落とすことができず、表面むらのある板になってしまうからである。また、ふっ酸が3質量%を超えると、チタン板母材の溶損量が多くなり、所定の板厚が得られず、また、生産量が低下するからである。さらに、硝酸が10質量%を超えると、チタン板の表面が部分的に溶損されて凹みが多量に発生するからである。
【0081】
酸洗液の温度は、20℃以上70℃以下とする。液温が20℃未満では、酸化膜を完全に落とすことができず、表面むらのあるチタン板になるからである。一方、液温が70℃を超えると、反応が速く進み過ぎて、チタン板に凹みが発生したり、母材の溶損量が多くなり過ぎるからである。
【0082】
(4)酸洗前の予備処理工程
酸洗前の予備処理として、焼鈍後のチタン板を溶融塩浴に浸漬させることにより、酸洗時に酸化膜を落とし易くするように改質する。
【0083】
酸洗前の予備処理の適正な条件は、焼鈍条件やチタン板の厚さに応じて異なるが、以下の条件を満たすものとする。
【0084】
溶融塩浴は、NaOHを50質量%以上、望ましくは65〜85質量%含有するものとする。NaOHが50質量%未満では、酸化膜の改質が十分に進行しないので、次工程の酸洗で酸化膜を完全に落とすために長時間酸洗しなければならず、チタン板表面に凹みが発生するからである。一方、NaOHが85質量%を超えて多いと、適正な溶融塩浴の溶融開始温度や粘度を調整できなくなるからである。
【0085】
溶融塩浴の温度は、400〜600℃とする。塩浴の温度が400℃未満では、酸化膜を改質する反応が進まないからである。一方、塩浴の温度が600℃を超えると、反応が進み過ぎると同時に、チタン板の結晶粒が成長して粗大になるからである。
【0086】
浸漬時間は、10秒以上30秒未満とする。浸漬時間が10秒未満では、改質反応が進まないからである。浸漬時間が30秒以上では、酸化膜の改質が進み過ぎて、次工程の酸洗を適正な条件で行っても過酸洗となり、チタン板に凹みが発生するからである。
【0087】
(5)その他
焼鈍した後に、または焼鈍して酸洗した後に、スキンパス圧延を行って、板の形状を修正するとともに、表面の凸部を平滑化してもよい。これにより、凹み深さを小さくできてさらに研磨性に優れた板を得ることができる。
【実施例】
【0088】
本発明の効果を確認するため、熱間圧延後に酸洗して酸化膜を除去した厚さ5mmのチタン板(熱延板)を供試材とし、下記の通りに製造条件を種々変更した試験を実施した。供試材のチタン板は、JIS2種相当であり、酸素:0.08%、Fe:0.06%、C:0.002%、N:0.002%、およびH:0.001%を含有し、残部がTiおよび不純物からなるものとした。
【0089】
冷間圧延には、ダイス鋼製で直径が50〜200mmのロールを用いた。潤滑剤には鉱油を用い、この鉱油に牛脂を添加して動粘度を調整した。供試材である熱延板を、冷間圧延により1パスあたりの圧下率を制御しながら厚さ1.5mmの冷延板に仕上げた。
【0090】
焼鈍は、大気雰囲気下で加熱する大気焼鈍と、Ar雰囲気下で焼鈍するAr焼鈍の2種類を行った。
【0091】
大気焼鈍の場合、680〜800℃に加熱した焼鈍炉を用い、冷延板表面の結晶粒径が8〜35μmとなるように調整した。焼鈍炉から取り出した冷延板は、表面が酸化しているため、酸洗前に予備処理を行った。予備処理では、NaOH:42〜81質量%を含み、その他NaNO3、Na2CO3などからなる溶融塩浴を用いた。塩浴の温度は450〜510℃とし、浸漬時間は13〜70秒間とした。なお、比較のため、一部の冷延板は溶融塩浴に浸漬させなかった。予備処理を施した冷延板は、続けて酸洗を行った。酸洗では、酸洗液として、ふっ酸:0.5〜3質量%、硝酸:4〜15質量%を含む水溶液を用い、その液温度を50〜80℃とした。酸洗槽から取り出した冷延板は洗浄し、研磨用のチタン板として評価に供した。
【0092】
Ar焼鈍の場合は、冷延板を焼鈍炉内に挿入後、炉内を減圧(1×10-4〜6×10-4Pa)にして加熱し、炉温が500℃に到達した時点でArガスを炉内に供給してAr雰囲気にし、その後530℃〜670℃の温度まで加熱した。このとき、チタン板表面の結晶粒径が5〜45μmとなるように焼鈍温度を調整した。Ar焼鈍の場合、冷延板表面には酸化膜が生成しないため、この後に予備処理を含めて酸洗は行わず、研磨用のチタン板として評価に供した。
【0093】
得られたチタン板の表面について、表面粗さ計を用いて粗さ曲線を測定し、凹み深さを求めた。さらに、ビッカース硬度計を用いて、荷重0.245N(25kgf)でチタン板表面のビッカース硬度を測定した。
【0094】
続いて、チタン板の研磨性を評価した。研磨方法はすべてのチタン板で共通し、回転式のバレル研磨であり、平均粒径が100μmのアルミナ砥粒を用いて粗研磨を10時間行った後、平均粒径が40μmアルミナ砥粒で仕上げ研磨を4時間行った。
【0095】
研磨後のチタン板は、目視で光沢感(光沢の良し悪し)を評価した。さらに、定量的な評価を行うために、光沢計を用いてチタン板表面の光沢度を測定した。
【0096】
その後、表面の光沢が優れるチタン板はそのままの状態で、光沢の悪いチタン板は表面をバフ研磨した後に、ふっ酸と硝酸の混合液でエッチングしてミクロ組織を現出させた。そして、光学顕微鏡でミクロ組織を観察し、その組織写真から結晶粒径を求めた。
【0097】
下記の表1に、チタン板の製造条件、チタン板表面の評価結果(凹み深さ、表面硬度、結晶粒径)、およびバレル研磨後の評価結果(光沢感、光沢度)を示す。同表中の「光沢感」の欄で、「○」印は、光沢度が440以上であり光沢が良好であることを示し、「×」印は、光沢度がそれを下回り光沢が不芳であることを示している。
【0098】
【表1】

【0099】
試験番号1〜9では、本発明で規定する条件を満足することから、研磨後のチタン板表面の光沢が良好となった。一方、本発明で規定する条件を満足しない試験番号10〜24では、研磨条件が上記試験番号1〜9と同一であるにもかかわらず、研磨後のチタン板表面の光沢が劣悪となった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のチタン板は、表面の凹みの深さ、硬度および結晶粒径が適正に規定されているため、研磨によって光沢が良好となり、研磨性に優れると同時に、研磨時間を短縮することが可能となる。また、本発明のチタン板の製造方法は、冷間圧延時に、直径が小さい圧延ロールを用い、動粘度が比較的小さい潤滑剤を使用して、1パスあたりの圧下率を小さくすることにより、研磨性に優れたチタン板を得ることができる。したがって、本発明は、表面光沢が要求される眼鏡や装飾品などの材料に好適なチタン板の製造に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定荷重0.245Nでの表面のビッカース硬度Hvが150以上350以下のチタン板であって、
表面の凹み深さhが下記(1)式の条件を満たし、且つ表面の結晶粒径が30μm以下であることを特徴とするチタン板。
h≦(Hv/75)+2 ・・・(1)
【請求項2】
請求項1に記載のチタン板の製造方法であって、
直径が40mm以上100mm以下の圧延ロールを用い、40℃における動粘度が7cSt以上20cSt以下の潤滑剤を使用して、1パスあたりの最大圧下率が20%以下を満足する条件で冷間圧延を行う冷間圧延工程を含むことを特徴とするチタン板の製造方法。
【請求項3】
冷間圧延工程後のチタン板を大気雰囲気下で焼鈍し、そのチタン板表面の結晶粒径を2μm以上30μm以下に調整する焼鈍工程と、
NaOHを50質量%以上含有する溶融塩浴に焼鈍工程後のチタン板を浸漬させ、焼鈍工程でチタン板表面に生成した酸化膜を改質する予備処理工程と、
予備処理工程後のチタン板をふっ酸が1質量%以上3質量%以下および硝酸が5質量%以上10質量%以下の水溶液で酸洗し、そのチタン板表面の酸化膜を除去する酸洗工程と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のチタン板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−10115(P2013−10115A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144072(P2011−144072)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】