説明

チタン鉱石の選鉱

本発明は、チタン鉱石を選鉱するための方法に関する。この方法は、チタン鉱石を硫酸で浸出させて浸出鉱石を形成するステップと、酸素の存在下でその浸出鉱石を焼成して焼成鉱石を形成するステップと、その焼成鉱石を硫酸、塩酸および/または硝酸で浸出させて選鉱鉱石を形成するステップとを含む。焼成の前またはその後のいずれでも、浸出鉱石は還元しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、チタン鉱石を選鉱する方法に関する。この方法は、チタン鉱石を硫酸で浸出させて(leaching)浸出鉱石を形成するステップと、その浸出鉱石(leached ore)を酸素の存在下で焼成して焼成鉱石を形成するステップと、焼成鉱石を硫酸、塩酸および/または硝酸で浸出させて選鉱鉱石を形成するステップとを含む。焼成する前またはその後のいずれでも、浸出鉱石は還元しない。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
二酸化チタン(TiO2)は商業的に硫酸塩法または塩化物法で製造される。塩化物法では、チタニア含有原料を塩素化して四塩化チタンを生成させ、次いでこれを酸化してTiO2を生成させる。この方法は、高いTiO2含量を有するチタニア含有原料から出発すると最も効率的に運転される。残念ながら、イルメナイトなどの多くの天然のチタン鉱石は40%〜65%の範囲のTiO2含量を有するが、不都合なことに、これは塩化物法のためには低いものである。
【0003】
チタン鉱石のTiO2含量を向上させるための多くの様々な選鉱方法が開発されている。例えば、スラッギング法は、炉の中で第二鉄および第一鉄の含量の大部分を還元して溶融金属鉄にすることによりイルメナイト鉱石の品質を向上させるのに用いられる。溶融鉄相の頂部に浮遊するスラグから、より密度の高い溶融鉄が分離される。このスラグは、より低い濃度の他の不純物とともに、高い割合のTiO2を含有する。次いで不純物を含む高い割合のTiO2スラグを溶融鉄から分離し、TiO2原料として処理する。
【0004】
スラッギングプロセスからの鉄副産物は、鉄鋼生産の原料として販売することができるので、スラッギング法は、比較的低濃度のTiO2を含むイルメナイトのためには経済性のあるものである。しかし、スラッギング法は前駆体イルメナイトからの鉄の分離にほとんど限られているので、イルメナイト原料からの相当なレベルの他の不純物が、スラグ中に蓄積する可能性がある。そうした不純物の例は、アルカリ土類金属塩(例えば、Ca、Mg)やアルカリ金属(例えば、Na)である。これらの不純物の塩素化合物の沸点が高いため、これらの化合物は、流動床塩素化プロセスに有害なものとなる可能性がある。その結果、特定のスラグの不純物によって、あまり好ましくない硫酸塩法を用いざるを得なくなる可能性がある。
【0005】
ベッヘル(Becher)法はイルメナイトの品質を向上させるための別の方法である。ベッヘル法は湿潤式の化学的プロセスであるが、ベッヘル法が、鉄は除去する一方で他のすべての非鉄系不純物(カルシウム、アルカリ金属等)を後に残してしまう点で、その最終生成物はスラグ法の場合と類似している。
【0006】
イルメナイト鉱石に加えて、イルメナイト中には通常見られない比較的高いレベルの不純物を含有する代替の鉱石からのプロセスを開発することに関心がもたれている。これらの材料のいくらかが高い価格で売れる場合、その不純物のいくらかを除去し再生することが商業的に重要になる可能性がある。そうした1つの代替鉱石は、ブラジルで産出する天然由来のアナターゼTiO2である。この種の鉱石、ならびにアナターゼとイルメナイトのブレンドを含む類似のアナターゼ鉱石体(bodies)は、高レベルの放射性核種、アルカリ土類金属塩、希土類金属、リン酸塩およびシリカを有する傾向がある。このことは、鉱石からこれらの不純物を除去するためのコストが高いため、その使用を限定的なものにしている。
【0007】
酸浸出法は、チタン鉱石から酸化鉄や他の不純物を除去することが教示されている。例えば、米国特許第2,811,434号、同第3,777,013号、同第5,011,666号、同第5,085,837号、同第5,181,956号、同第5,826,162号および同第6,048,505号を参照されたい。カナダ特許第1,234,990号は、鉱酸でイルメナイトを浸出させ、酸化し、次いでこの中間濃縮物を還元し、次いでその還元中間体を浸出させてイルメナイトの品質を向上させることを含む選鉱法を教示している。
【特許文献1】米国特許第2,811,434号公報
【特許文献2】米国特許第3,777,013号公報
【特許文献3】米国特許第5,011,666号公報
【特許文献4】米国特許第5,085,837号公報
【特許文献5】米国特許第5,181,956号公報
【特許文献6】米国特許第5,826,162号公報
【特許文献7】米国特許第6,048,505号公報
【特許文献8】カナダ特許第1,234,990号公報
【発明の開示】
【0008】
鉱石、特に高レベルの非鉄系不純物を有する鉱石から不純物を除去する方法の開発が必要とされている。本発明はそうした改良された方法を提供する。
【0009】
発明の概要
本発明は、チタン鉱石を選鉱するための方法である。この方法は、チタン鉱石を硫酸で浸出させて浸出鉱石および液相を形成するステップ;酸素の存在下で浸出鉱石を焼成して焼成鉱石を形成するステップ(焼成の前またはその後に、その浸出鉱石を還元することはない);および、焼成鉱石を、硫酸、塩酸および硝酸からなる群から選択される酸で浸出させて選鉱鉱石を形成するステップを含む。本発明の方法は、選鉱鉱石中の不純物レベルを著しく低減させる結果をもたらす。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、中間焼成段階を含む2つの浸出段階を用いることによってチタン鉱石を選鉱する方法である。本発明の方法に有用なチタン鉱石には、鉄および他の不純物を含有するチタニア含有鉱石が含まれる。特に好ましい鉱石には、0.2〜4重量%の全アルカリ土類金属濃度を有するチタン鉱石;120ppm〜1000ppmの放射性核種(特に、ウラニウム+トリウム)濃度を有するチタン鉱石;0.3〜3重量%の希土類金属濃度を有するチタン鉱石;1〜10重量%のリン酸塩濃度を有するチタン鉱石;1〜10重量%のシリカ濃度を有するチタン鉱石;40〜75重量TiO2の低いTiO2濃度を有するチタン原料;ならびに75〜87重量%のTiO2を有するスラグが含まれる。
【0011】
1つのそうしたチタン鉱石は天然由来のアナターゼTiO2である。具体的には、ブラジルで産出するアナターゼ鉱石ならびにアナターゼとイルメナイトのブレンドを含む類似のアナターゼ鉱石体は、高レベルの放射性核種、アルカリ土類金属、希土類金属、リン酸塩およびシリカを有する傾向がある。その他の種類の鉱石には、これらに限定されないが、例えばノルウェー、スウェーデン、カナダおよび中国で産出される高レベルのカルシウムやマグネシウムを含有するものなどのスラグ;例えばカナダのアルバータ州(Alberta,Canada)で産出される比較的高レベルのアルカリ土類およびSiO2を含有するものなどのタールサンド;ならびによく知られているイルメナイトデポジット(deposits)などの他の種類の天然由来のチタン鉱石が含まれる。好ましいチタン鉱石には、アナターゼ鉱石、イルメナイト、ならびにアナターゼとイルメナイトのブレンドが含まれる。アナターゼ/イルメナイトのブレンドを用いる場合、そのブレンドは一般に70〜90重量%のアナターゼと30〜10重量%のイルメナイトを含む。
【0012】
第1の浸出段階の前に、チタン鉱石に熱的または化学的な前処理を施すことができる。例えば、チタン鉱石は、鉱石を酸化して酸化された鉱石を生成させ、次いで酸化された鉱石を還元することによって前処理することができる。酸化ステップは、空気などの酸素含有ガスの存在下、高温で実施することができる。酸化温度は250℃超、最も好ましくは400℃超であることが好ましい。還元ステップは還元剤、好ましくは水素の存在下、高温で実施することができる。還元温度は50℃超、最も好ましくは150℃超であることが好ましい。イルメナイトの場合、第1の浸出段階の前に、イルメナイトを酸化して擬板チタン石(pseudobrookite)をベースとした材料を形成させ次いで還元することができる。この方法の例は、同一所有者による特許出願である2002年、4月19日出願の米国特許出願第10/126,241号、2003年10月23日公開の米国特許公開第2003/0198591号に記載されている。酸化/還元前処理の後、実質的にすべての鉱石の鉄は+2の酸化状態にある。酸化/還元前処理によって、残留する+3の酸化状態の鉄はほとんどなくなり、金属鉄は最大で1重量%にしかならないことが好ましい。
【0013】
酸化/還元前処理に加えて、チタン鉱石を還元して還元鉱石を生成させ、次いでその還元鉱石を磁気分離および/または弱い酸化にかけることによって、第1の浸出段階の前に、チタン鉱石を前処理することもできる。この手順の例は欧州特許第0243725A2号に記載されている。鉄の除去は、最初の還元ステップにより改善することができる。還元ステップは、水素などの還元剤の存在下、高温で実施することができる。還元温度は50℃超、最も好ましくは150℃超であることが好ましい。次いで還元鉱石を、磁気分離および/または弱い酸化にかけることができる。磁気分離は約500ガウス〜20,000ガウスで実施することができる。磁気分離ステップは固相還元物質、例えば石炭チャー等を除去するのに有用である。弱い酸化は、空気などの酸素含有ガスの存在下、穏やかな温度で実施することができる。酸化温度は600℃未満、より好ましくは500℃未満であることが好ましい。
【0014】
チタン鉱石は、第1の浸出段階の前に前処理することができるが、浸出の前に、熱処理または化学処理のいずれもチタン鉱石に施さない方が好都合であることがしばしばある。実際、アナターゼとアナターゼ/イルメナイトのブレンドの両方とも、前処理無しで、ほとんどの不純物をより良く浸出させることが分かっている。さらに、還元ステップにより鉱石を前処理する場合は鉄を除去する方がよいが、放射性核種、アルカリ土類およびリン酸塩の除去や希土類金属の除去と比べて、これらの種類の鉱石からの鉄除去の改善は商業的にそれほど重要ではない。実際、鉄の含量が高ければ、非前処理アナターゼをベースとした鉱石からの鉄の除去は驚くほど効率的である。
【0015】
第1の浸出段階では、チタン鉱石を硫酸で浸出させて浸出鉱石と液相を形成させる。浸出ステップでは、どのような供給源の硫酸も用いることができる。しかし、硫酸は、より好ましくは未使用硫酸、廃硫酸および/または回収硫酸である。硫酸濃度は好ましくは5〜65重量%H2SO4の範囲である。
【0016】
浸出は周囲圧力下でも高圧下でも行うことができる。チタン鉱石は、鉱石を少なくとも10psig(69kPaG)、より好ましくは少なくとも20psig(140kPaG)、最も好ましくは少なくとも30psig(210kPaG)の高圧で硫酸と接触させることによって浸出させることが好ましい。浸出プロセスを実施する場合、当業者は、その圧力が、温度と用いる酸の濃度に依存することを理解されよう。圧力を増大させるためには、温度を上昇させるか、かつ/または酸濃度を低下させることができる。
【0017】
浸出は、周囲温度でも高温でも行うことができる。チタン鉱石は、鉱石を、少なくとも110℃の温度で接触させることによって浸出させることが好ましい。浸出は、好ましくは10分間〜5時間の反応時間実施する。無水酸/鉱石重量比は0.5を超えることが好ましい。無水酸/鉱石比は、鉱石の量に対する酸の重量(酸が溶解している溶液の量ではない)を表す重量ベースの比である。
【0018】
第1の浸出ステップの生成物は第1の液相と第1の浸出鉱石である。第1の液相中には、溶液中の第1の固相を形成する微粒物質(fines)が存在することになる。この微粒物質は、(i)選鉱から選鉱TiO2が溶解し、続いて溶液中で加水分解物として沈澱することによって形成される、TiO(OH)2や他の形態の水和した(または硫酸化した)TiO2を典型的には含む加水分解物TiO2;(ii)溶液中でその飽和濃度に達し続いて沈殿物を形成した、鉱石から浸出したこれらの不純物の金属塩;ならびに(iii)鉱石から浸出したこれらの不純物の金属水酸化物などの金属水和物を含む。この方法の驚くべき特徴の1つは、硫酸でアナターゼベースの鉱石から浸出することが分かった不純物の数である。
【0019】
浸出鉱石は、分離および洗浄工程によって微粒物質および母液から分離することが好ましい(水および/または他の工程ステップからの希釈洗浄液の存在下で実施することが好ましい)。母液および微粒物質から浸出鉱石を分離する方法は当業者によく知られており、これに限定されないが、液体サイクロン(hydrocyclones)の使用が含まれる。分離後、焼成ステップの前に、粗浸出鉱石を洗浄して溶解性不純物を除去することができる。過剰の洗浄液は中和工程へ送るか、またはプロセスの他の部分へ再循環することができる。
【0020】
微粒物質と母液の混合物は、母液から微粒物質を除去可能な分離プロセスに送ることができる。ろ過または沈降が分離のための可能な選択肢であるが、当業者に既知であるかまたは当業者が知り得る他の技術を用いることができる。微粒物質は、米国特許第2003/0198591号に記載されているのと同様のプロセスへ送ることができる。この特許は、イルメナイトの浸出に続いて、溶解性金属塩からのTiO2微粒物質の分離法を記載している。
【0021】
アナターゼ鉱石を含むいくつかのチタン鉱石中に存在する希土類金属やアルカリ土類金属の種類およびそのレベルのため、上記微粒物質の処理は、不純物からTiO2を除去するための追加の処理ステップ(例えば、TiO2の温浸(digestion))を必要とする可能性がある。例えば、加水分解物TiO2および金属硫酸塩に、洗浄液体処理を施して金属硫酸塩を溶解し、洗浄された加水分解物TiO2を作製することができる。洗浄された加水分解物を、「そのまま」用いるかまたは下流で酸の中で温浸して、温浸不可能な不純物からTiO2成分をさらに分離することができる。
【0022】
上記母液は、「第1の母液」と称することができ、硫酸ならびに金属塩などのある種の他の不純物を含む。この第1の母液を、冷却または真空蒸発/結晶化等による結晶化を含む任意の形の結晶化ステップにかけて、その母液から金属塩を除去し、酸を再濃縮することができる。この酸に還元剤処理を施し、次いで第1の浸出段階に再循環することができる。さらに、上記金属塩の「塩析」による結晶化を支援するために、結晶化工程で補給未使用酸を加えることが好ましい。
【0023】
上記の再循環酸は硫酸第二鉄と硫酸第一鉄の両方を含む。上記再循環ストリームにおいて第二鉄を還元して第一鉄にすることによって、続く、放射性核種の浸出が従来の方法より改善される可能性がある。浸出物に還元剤をさらに加えることによって、例えば再循環ストリームにTi+3を加えることによって、従来技術の方法より、放射性核種の除去がさらに高められる。硫酸第二鉄の硫酸第一鉄への還元は、金属鉄添加、電解、あるいは、当業者に既知であるかまたは当業者が知り得る任意の他の方法によって実施することもできる。加える還元剤の量は、主に再循環酸の中の第二鉄の量によって決まる。すべての第二鉄を第一鉄に転換させ、かつ、再循環ストリーム中の相当な量(すべてではないとしても)の残留する可溶化Ti+4をTi+3に転換させるために、十分な還元剤を加えなければならない。
【0024】
酸再循環ストリームに対する上記改変と同様に、放射性核種の除去の改善は、金属鉄添加、Ti+3添加、電解、または当業界で周知の任意の他の方法による還元状態の発生によって、第1の硫酸浸出の際に実施することが好ましい。加える還元剤の量は、可溶化第二鉄の第一鉄への転換率と、トリウムの浸出に好都合な還元状態を発生させるための、浸出の際のTi+3の存在によって決定される。
【0025】
上記の浸出鉱石は、焼成の前に洗浄し乾燥することが好ましい。焼成段階では、浸出鉱石を、酸素の存在下で焼成して焼成鉱石を形成させる。焼成の前かまたは後に、この浸出鉱石を還元することはない。浸出鉱石は、酸素含有ガス(空気、純酸素、および窒素または他のそうしたガス中の酸素を含む)の存在下、好ましくは800℃を超える温度で焼成する。浸出鉱石は900℃〜1100℃の温度で焼成することがより好ましい。典型的には、浸出鉱石は焼成温度で0.5時間超加熱する。
【0026】
焼成工程の間に温度プロファイルを操作するという方法で、浸出鉱石を焼成することが好ましい。温度操作は、好ましくは800℃を超える第1の温度で加熱し、次いで焼成の最後に、好ましくは0.5時間未満の間、温度プロファイルを第2の温度に急速に上昇させることによって実施する。
【0027】
焼成ステップの際の温度プロファイルの操作は、不純物の浸出をさらに向上させることができる。長時間焼成された化合物は焼きなまされ、より均一な結晶構造/形態を獲得し、それによってその化合物をより浸出しにくいものにする傾向がある。焼成温度プロファイルの変動は、結晶構造/形態を崩壊させ、粒子中の結晶欠陥、非晶相および亀裂のレベルを増進させる可能性がある。他のすべての要素が同じである場合、そうした崩壊は、不純物の除去を著しく高めることができる。焼成の際の温度操作の1つの例は、試料温度を950℃に上昇させて30分間一定に保持し、続いて、冷却する前に温度をさらに10分間、1000℃に短時間上昇させることである。ポスト焼成温度プロファイル操作の例は、炉での温度設定を徐々に下げることによる材料の徐冷である。
【0028】
温度プロファイルの最後に若干上昇させると、例えば初期温度900℃〜1050℃で30分間、続いて30分間温度を50℃高くすると、放射性核種の浸出結果に大幅な改善がもたらされる。上記温度は炉の設定温度であることに留意されたい。条件によっては、鉱石の実際温度は、炉の設定点に対しておおよそ5〜25分間遅れることになる。
【0029】
温度操作に加えて、焼成ステップの前に、浸出鉱石を少なくとも1種の化学添加剤と組み合わせることも好ましい。多くの場合、焼成の前に化学添加剤を浸出鉱石に加えると、鉱石中の不純物と反応することによってより多くの不純物が除去されて、続く浸出ステップの際に、より溶解性の高い化合物を提供することが可能になる。
【0030】
化学添加剤は、典型的には上記不純物と反応して溶解性の酸化物または塩を生成する。この方法に有用な化学添加剤の例には、これらに限定されないが、NaCl、NaOH、Na2CO3、KCl、KOHおよびK2CO3、ならびにアルカリ金属の他の塩および上記化合物の混合物が含まれる。鉱石粒子中への浸透を確実にするために、化学添加剤は、浸出鉱石に溶液として加えることが好ましい。化学添加剤と混合する焼成鉱石は、焼成の前に乾燥することが好ましい。例えば、キルンの高温部で焼成する前に、工業用の回転式か焼炉の低温部で材料を乾燥することができる。
【0031】
浸出鉱石と混合する化学添加剤の量は実験に基づいて決定されるが、それは基本的には鉱石中の選択された不純物の全カチオン電荷の、加えられた塩の全カチオン電荷に対する比である。不純物のレベルにもよるが、加えられる塩の重量は、典型的には鉱石重量の0.1〜15重量%である。いくつかの場合、アルカリ塩を加え過ぎると、続く生成物の塩素化プロセスの性能に有害な恐れのあるアルカリ金属チタン酸塩の生成をもたらす可能性がある。
【0032】
焼成ステップに続いて、浸出鉱石を水と接触させることが好ましい。焼成の後で、かつ第2の浸出段階の前に水との接触ステップを用いることによって、不純物の総合除去率を大幅に向上させることができる。焼成鉱石を水と接触させる任意の方法で、水との接触ステップを実施することができる。例えば、焼成に続いて焼成鉱石を水で洗浄するか、または焼成に続いて焼成鉱石を直ぐに水中に直接放出することができる。鉱石からナトリウム塩などの溶解性塩を第2段階の浸出ステップの前に除去することが望ましいので、焼成後での洗浄接触ステップの使用も好ましい。再循環ストリームからの高いレベルのブリード(bleed)を必要とするので、ナトリウムの増大は、酸の再循環に対抗して作用する。第2の浸出段階の前にナトリウムを除去すると、酸再循環ブリードストリームが最小となり、したがってプロセスの経済性が向上する。
【0033】
一実施形態では、焼成から排出された鉱石を冷却し、水かまたは浸出プロセスの他の部分からの希釈酸洗浄液で洗浄する。他の実施形態では、焼成から排出された鉱石を、水かまたは浸出プロセスの他の部分からの希釈酸洗浄液と直接接触させる(すなわち、事前の冷却ステップなしで)。水接触ステップを用いると、以下の不純物:(i)放射性核種(U+Th);(ii)アルカリ土類金属;(iii)希土類金属;(iv)総リン酸塩含量;および(v)SiO2について、第2の浸出段階の結果に対するステップ変更による改善をもたらす。水接触に続いて、接触液は通常焼成鉱石から分離され、中和工程へ送られる。
【0034】
焼成段階に続いて、焼成鉱石を硫酸、塩酸および/または硝酸で浸出させて選鉱鉱石を形成させる。硫酸および塩酸が好ましい。第1の段階の硫酸浸出と比較して還元性酸として存在すること、およびアルカリ土類金属に対してその溶解性が高いレベルにあることにより塩酸が有利である。第2の浸出段階に対するアルカリ金属汚染が最小限に保たれるのであれば、硫酸は、第1段階の浸出酸の再循環系へ廃液を再循環できる利点を有している。高度に酸化性の条件が不純物除去に好都合であり、かつ不純物除去の改善効果がHNO3のコスト増を上回る場合、硝酸は好ましい浸出剤である。
【0035】
第2の浸出段階は周囲圧力下でも高圧下でも行うことができる。硫酸を浸出剤として用いる場合、チタン鉱石は、少なくとも10psig(69kPaG)、より好ましくは少なくとも20psig(140kPaG)、最も好ましくは少なくとも30psig(210kPaG)の高圧下で、鉱石を硫酸と接触させることによって浸出させることが好ましい。当業者に知られているように、浸出プロセスを実施する場合、その圧力は温度と用いる酸の濃度に依存する。圧力を増大させるためには、温度を上昇させるか、かつ/または酸濃度を低下させることができる。塩酸を浸出剤として用いる場合、チタン鉱石は、鉱石を周囲圧力下で塩酸と接触させることによって浸出させることが好ましい。
【0036】
第2の浸出段階は周囲温度でも高温でも行うことができる。チタン鉱石は、少なくとも110℃の温度で鉱石を接触させることによって浸出させることが好ましい。浸出は10分間〜5時間の反応時間行うことが好ましい。
【0037】
酸が塩酸である場合、以下のプロセス条件、すなわち、(1)10〜32重量%のHCl濃度;(2)10分間〜5時間の滞留時間;および(3)0.3を超える無水酸/鉱石比のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上、最も好ましくはそのすべてを用いる。
【0038】
同様に、硫酸が浸出剤である場合、第2の浸出段階は、考えられる以下のプロセス条件、すなわち、(1)5〜75重量%のH2SO4濃度(高温高圧で運転する場合は5〜70重量%);(2)10分間〜5時間の滞留時間;および(3)0.3を超える無水酸/鉱石比のうちの好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは2つ以上、最も好ましくはそのすべてを用いて実施する。
【0039】
さらに、第2の浸出段階は、望まない不純物の除去を容易にするNaFまたはHNO3などの他の薬剤の存在下で実施することができる。この選択は商業的運転には必要と思われないが、少量のNaFを第2の段階の浸出ステップに加えて、放射性核種、鉄およびアルミニウムの除去をさらに改善することができる。同様に、ウラニウムの除去を支援するために少量のHNO3を加えることができる。NaFを用いる場合、それは、鉱石の重量に対して最大で10重量%、より好ましくは最大で5重量%、最も好ましくは最大で0.5重量%の量が好ましい。放射性核種の除去も改善されるがその効果が小さい。NaFの代わりに、KFおよびLiFなどの他の溶解性フッ化アルカリならびにHFを加えることができる。さらに、これらの物質の任意の混合物を用いることができる。
【0040】
第2の浸出段階の際に少量の微粒物質が発生する。第1の浸出段階と同様に、微粒物質は主として加水分解物TiO2および金属塩からなる。
【0041】
第2の浸出段階の後、粗浸出鉱石、微粒物質および母液の混合物は、例えば水を用いて分離ステップおよび洗浄ステップにかけて、粗材料から微粒物質および母液を除去することができる。第1の浸出段階と同様に、当業者に知られているどの手段も分離に使用することができる(例えば、液体サイクロン等)。この段階からの洗浄液は、第1の浸出段階の洗浄または焼成に続く洗浄段階に送って、プラント水の消費を最少にすることができる。微粒物質および母液は、ろ過、沈降、または当業者に周知の他の可能な手段で分離する。この段階からの母液は「第2の母液」と称することができる。
【0042】
上記微粒物質は、第1の浸出段階からの微粒物質を精製するために用いるプロセスと同様のプロセスに送ることができる。したがって、第2の液相を分離にかけ、再スラリー化して、酸を含む母液を加水分解物TiO2および金属塩から分離することができる。洗浄液処理を施して微粒物質を洗浄し、溶解性金属塩から加水分解物を分離することができる。
【0043】
アナターゼ鉱石中に高レベルの希土類金属やアルカリ土類金属が存在するので、不純物からTiO2を除くために、上記微粒物質の処理は追加の処理ステップ(例えば、TiO2の温浸)を必要とすることがある。
【0044】
微粒物質分離からの母液に未使用酸を加えることができ、補給された溶液を第2の浸出段階に再循環することができる。第2の浸出段階の仕上げ的な特性(polishing nature)のため、酸補給は比較的少ない。必要なら、酸補給の前でブリードストリームを取り、中和または酸再生工程へ送ることができる。
【0045】
上記再循環酸は第二鉄塩と第一鉄塩の両方を含む。上記に論じたように、例えばTi+3を再循環ストリームに加えることによって、浸出に還元剤をさらに加えると、放射性核種の除去を増進させることができる。
【0046】
選鉱鉱石は出荷前に乾燥させることが好ましい。選鉱鉱石生成物を空気の存在下で焼成し、加熱して結合水を除去し、残留する塩と酸を分解させ、それによって最終的な合成ルチルを生成させることが好ましい。
【0047】
次いで上記合成ルチルを、流動床塩素化器への供給物として用いることができる。副生微粒物質は、硫酸塩顔料プラントまたは触媒プロセスへの原料として用いることができる。チタンベースのもの以外の金属塩を酸再循環またはブリードストリーム中で濃縮した場合、より貴重な金属塩を選択的沈澱または結晶化させる機会がある可能性がある。
【0048】
以下の実施例は単に本発明を例示するためだけのものである。当業者は、本発明の趣旨と特許請求の範囲の範囲内での多くの変更形態を理解されよう。
【0049】
実施例では、アナターゼかまたはアナターゼとイルメナイトのブレンド(80%のアナターゼと20%のイルメナイトを含む)を用いる。これらの鉱石の含量の分析を表1に示す。
【0050】
実施例1:H2SO4浸出、焼成、HCl浸出
選鉱1A:アナターゼ(400g)を、水性の合成浸出酸(2057g、酸再循環プロセスからの残留硫酸鉄をシミュレートして35%H2SO4および2.5%FeSO4の組成を有する)を収容するオートクレーブに入れる。その混合物を160℃、50psig(340kPaG)で、攪拌下で5時間加熱し、次いで減圧し、冷却し、内容物をオートクレーブの底部から三角フラスコ中に放出する。
【0051】
デカンテーションにより粗選鉱材料を微粒物質および母液から分離し、洗浄と残留微粒物質および母液のデカンテーションによりさらに精製し、最終洗浄し、ブフナー漏斗でろ過する。洗浄した粗選鉱をオーブン中、105℃で終夜かけて乾燥し、集めて(220.5g)選鉱1Aを得る。
【0052】
選鉱1B:選鉱1A(20g)を空気中950℃で1時間焼成し、次いで、沸騰HCl(20%、100g)中で還流下5時間浸出させ、次いで冷却する。1Aと同様にして粗選鉱材料をデカントし、ろ過、乾燥して、集めて(18.4g)選鉱1Bを得る。材料を900℃で焼成する。
【0053】
選鉱1C:選鉱1A(20.0g)をNaCl(8.0gの25重量%水溶液)と混合し、103℃で終夜かけて乾燥する。次いでその混合物を空気中950℃で1時間焼成する。次いで得られた焼成材料(15g)を、沸騰HCl(20%、100g)中で還流下5時間浸出させ、続いて冷却する。選鉱1Aについて述べたと同様にして、粗選鉱材料をデカントし、ろ過、乾燥して、集めて(12.5g)選鉱1Cを得る。材料を900℃で焼成する。
【0054】
結果(表2)は、本発明の2段階浸出プロセスを施された選鉱について、TiO2含量の著しい増大と、それに対応した鉄、アルミニウムおよびリン酸塩含量の著しい減少を示している。焼成前に前処理用の薬剤として塩化ナトリウムを用いると、放射性核種、カルシウム、リン酸塩、アルミナおよびシリカ化合物が劇的に減少する。
【0055】
実施例2:焼成温度プロファイル
選鉱2A:アナターゼ(400g)を、水性の合成浸出酸(1800g、30%H2SO4、3.5%FeSO4および5.6%Fe2(SO43の組成を有する)を収容するオートクレーブに入れる。その混合物を160℃、50psig(340kPaG)で、攪拌下で5時間加熱し、次いで減圧し、冷却し、内容物をオートクレーブの底部から三角フラスコ中に放出する。
【0056】
選鉱1Aについて述べたと同様にして粗選鉱材料をデカントし、ろ過、乾燥して、集めて選鉱2Aを得る。
【0057】
選鉱2B、2Cおよび2D:選鉱2Aを、10%の無水塩/選鉱比でNaCl(25重量%水溶液)と混合し、103℃で終夜かけて乾燥する。次いでその材料を個別試料に分割し、以下の温度プロファイルにしたがって空気中で焼成する。すなわち、材料2Bは900℃で30分間、続いて950℃でさらに30分間焼成する;材料2Cは950℃で30分間、続いて1000℃でさらに30分間焼成する;材料2Dは950℃で1時間焼成する。
【0058】
次いで得られた焼成材料(典型的には18g)を別々に、沸騰HCl(20%、100g)中で還流下5時間浸出させ、続いて冷却する。選鉱1Aについて述べたと同様にして、粗選鉱材料をデカントし、ろ過、乾燥し、集めて選鉱2B、2Cおよび2Dを得る。これらの材料を900℃で焼成する。
【0059】
アナターゼ−イルメナイト原料を用いて、一連の同様の実験を実施して選鉱2E(2Aと同様にして作製)、2F(2Bと同様にして作製)、2G(2Cと同様にして作製)および2H(2Dと同様にして作製)を得た。
【0060】
結果(表3)は、安定した焼成温度を保持した選鉱2Dおよび2Hと比較して、温度プロファイル操作を行った選鉱2B、2C、2Fおよび2Gでは、ウラニウム、トリウムおよび希土類の浸出能力が著しく改善されていることを示している。
【0061】
実施例3:焼成に続く洗浄ステップの効果
選鉱3:アナターゼ/イルメナイト鉱石ブレンド(350g)を、水性の合成浸出酸(2100g、35%H2SO4、3.2%Fe2(SO43および2.0%FeSO4の組成を有する)を収容するオートクレーブに入れる。その混合物を140℃、32psig(220kPaG)で、攪拌下で5時間加熱し、次いで減圧し、冷却し、内容物をオートクレーブの底部から三角フラスコ中に放出する。選鉱1Aについて述べたと同様にして粗選鉱材料をデカントし、ろ過、乾燥して、集める(150g)。上記手順により、アナターゼ/イルメナイト鉱石の5つの追加の第1段階H2SO4浸出物を作製する。続く前処理の間、6つの第1段階浸出物のそれぞれは別個に保持する。
【0062】
次いで、第1段階選鉱を、8%の無水塩/選鉱比で、NaClの20%溶液で別々に前処理し、次いでオーブン中、103℃で終夜かけて乾燥する。次いで材料を、975℃で30分間、1025℃で30分間焼成する
3つの焼成試料を焼成後徐冷し、次いで、デカンテーション溶液が透明になるまでデカンテーション洗浄する(水で洗浄し、直ちにデカントさせる)。洗浄した試料をブフナー漏斗に集め、103℃で終夜乾燥する。その(3)洗浄鉱石バッチのそれぞれを6つのロット(各約20g)に分割し、次いで20%HCl(100g)中、還流下で5時間浸出させる。選鉱1Aについて述べたと同様にして、粗材料をデカントし、ろ過、乾燥し、次いで空気中、900℃で焼成する。
【0063】
選鉱材料(選鉱3と合わせて)の組成を別々に分析し、選鉱試料の平均組成を表4に示す。
【0064】
実施例4:第2段階硫酸浸出
選鉱4A:アナターゼ/イルメナイト鉱石(300g)を、水性の合成浸出酸(1800g、30%H2SO4、3.5%FeSO4および5.6%Fe2(S043の組成を有する)を収容するオートクレーブに入れる。その混合物を160℃、50psig(340kPaG)で、攪拌下で5時間加熱し、次いで減圧し、冷却し、内容物をオートクレーブの底部から三角フラスコ中に放出する。選鉱1Aについて述べたと同様にして粗選鉱材料をデカントし、ろ過、乾燥する。上記手順を18回繰り返し、次いで得られた第1段階選鉱を、さらに使用するためにブレンドする。
【0065】
選鉱4B:選鉱4A(172g)を、7%の無水水酸化物/選鉱比で、NaOHの17.5%溶液で前処理し、103℃で終夜かけて乾燥する。次いで材料を、1050℃で30分間、続いて1100℃で30分間焼成し、徐冷し、デカンテーション洗浄する。試料をブフナー漏斗で集め、103℃で終夜かけて乾燥する。
【0066】
洗浄した試料を(160g)を、合成浸出酸(1350g、25%H2SO4、5.0%FeSO4および8.0%Fe2(SO43を含む)と一緒にオートクレーブに入れる。その混合物を140℃、30psig(210kPaG)で、攪拌下で5時間加熱し、次いで減圧し、冷却し、内容物をオートクレーブの底から放出する。選鉱1Aについて述べたと同様にしてその粗材料をデカントし、ろ過、乾燥し、空気中、900℃で焼成する。
【0067】
結果(表4)は、第2段階硫酸浸出(HCl第2段階浸出と同様)が、放射性核種、カルシウム、ストロンチウム、希土類、リン酸塩、マンガン、バナジウムおよびジルコニアの劇的な減少をもたらすことを示している。
【0068】
選鉱4C:選鉱4Aと同様にして作製した材料の試料(67g)を、10%の無水クロリド/選鉱比で、NaClの25%溶液で前処理し、103℃で終夜かけて乾燥する。次いでその材料を、950℃で30分間、続いて1000℃で30分間焼成し、次いで徐々に冷却する。
【0069】
次いで得られた焼成材料(10g)を、大気圧下、沸騰H2SO4(60.0%、100g)中、還流下で5時間浸出させ、続いて冷却する。選鉱1Aについて述べたと同様にしてその粗材料をデカントし、ろ過、乾燥し、空気中、900℃で焼成する。
【0070】
結果(表4)は、大気圧下の第2段階硫酸浸出(HCl第2段階浸出と同様)は、放射性核種、カルシウム、ストロンチウム、希土類、リン酸塩、マンガン、鉄およびアルミニウムの劇的な減少をもたらすことを示している。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン鉱石を選鉱するための方法であって、
(a)前記チタン鉱石を硫酸で浸出させて浸出鉱石と液相を形成するステップと、
(b)酸素の存在下で前記浸出鉱石を焼成して焼成鉱石を形成するステップと、ただし焼成の前または後のいずれでも前記浸出鉱石を還元せず、
(c)前記焼成鉱石を、硫酸、塩酸、硝酸およびその混合物からなる群から選択される酸で浸出させて選鉱鉱石を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記チタン鉱石が、スラグ、アナターゼ鉱石、イルメナイトおよびその混合物からなる群から選択される鉱石を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チタン鉱石を浸出させる前に、前記チタン鉱石に熱的前処理または化学的前処理のいずれも施さない請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チタン鉱石を酸化、および続く還元によって前処理する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チタン鉱石を、還元、および続く磁気分離および/または弱い酸化によって前処理する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)の硫酸を主に廃ストリームおよび/または再循環ストリームから得る請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チタン鉱石の浸出を、少なくとも10psig(69kPaG)の圧力で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チタン鉱石の浸出を、少なくとも110℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記焼成鉱石の浸出を、硫酸を用いて少なくとも10psig(69kPaG)の圧力で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記焼成鉱石の浸出を、少なくとも110℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(a)の硫酸が5重量%〜65重量%の濃度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
液相から浸出鉱石を分離するステップをさらに含む方法であって、前記液相が、硫酸および金属塩を含む母液、ならびにTiO(OH)2、金属塩および金属水和物を含む微粒物質を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記微粒物質から母液を分離するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記母液から金属塩を結晶化させるステップと、硫酸を再濃縮するステップをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
再濃縮した酸を前記浸出ステップ(a)へ再循環させるステップをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記浸出鉱石を900℃〜1100℃の温度で焼成するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記浸出鉱石を、800℃を超える第1の温度で焼成し、次いで第1の温度を超える第2の温度に加熱するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記焼成ステップの前に、前記浸出鉱石を少なくとも1種の化学添加剤と混合するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記化学添加剤がNaCl、Na2CO3、NaOH、KCl、K2CO3、KOHおよびその混合物からなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
浸出ステップ(c)の前に、前記焼成鉱石を水と接触させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−511755(P2009−511755A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536581(P2008−536581)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/035255
【国際公開番号】WO2007/046975
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506036493)ミレニアム インオーガニック ケミカルズ、 インコーポレイテッド (11)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM INORGANIC CHEMICALS, INC.
【Fターム(参考)】