説明

チャイルドシート及びその製造方法

【課題】弾性及び緩衝特性が改善され、軽量かつ削減した材料費で製造できるチャイルドシートを提供すること。
【解決手段】チャイルドシート100は、座った姿勢の子供を支えるようになっており、複数の穴あき部110を含む上面102と、前記上面102に接続された上部を有し、前記上面102に一体的に形成され、前記上面102とともに上面102の下部に内部キャビティ109を少なくとも部分的に画定する囲み側壁104とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助椅子などのチャイルドシート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車両は、フロント座席及び後部座席に設けられたシートベルトを有する。一般的にシートベルトは、車両のアンカーポイントに固定されて、車両の衝突や緊急停止時に乗員を拘束して保護するショルダーストラップ及びラップストラップを含む。しかしながら、車両シートベルトの使用は、体が小さくシートベルトにより加わる圧力を支えることができない幼い子供には適さない。その結果、安全法では、幼い子供を車両に座らせるための子供用安全シートの使用が要求されている。車両のシートベルトを用いて子供用安全シートを固定することができるため、幼い子供の保護により適している。
【0003】
しかしながら、子供が成長するにつれ、子供用安全シートのスペースが、もはや大きくなった子供の体を支えるには適さなくなってしまう場合がある。年長の子供に対しては、補助椅子を車両の乗員席に配置して子供が座るシートの高さを高くしてもよい。子供が補助椅子に座ってから車両のシートベルトを用いて、子供を拘束することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、多くの補助椅子は、弾性及び緩衝特性に欠ける硬質プラスチックによって形成されている。そのため、弾性及び緩衝特性が改善され、少なくとも上記の問題に対処することができるチャイルドシートの設計の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、弾性及び緩衝特性が改善され、軽量かつ削減した材料費で製造できるチャイルドシートを説明するものである。チャイルドシートは、座った姿勢の子供を支えるようになっており、複数の穴あき部を含む上面と、前記上面に接続された上部を有し、前記上面と一体的に形成され、前記上面とともに前記上面の下部に少なくとも部分的に内部キャビティを画定する囲み側壁とを含む。
【0006】
また、前記チャイルドシートの製造方法も説明する。製造方法には、プラスチック材料を鋳型に注入して前記チャイルドシートの形状を形成するステップと、前記囲み側壁の材料厚の中に少なくとも1つの中空部分を形成するように空気を前記鋳型に注入するステップとが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、チャイルドシートの一実施形態を説明する斜視図である。
【図2】図2は、チャイルドシートの底部を説明する概略図である。
【図3】図3は、図1に示したチャイルドシートの一部分の部分断面図である。
【図4】図4は、チャイルドシートの他の実施形態を説明する概略図である。
【図5】図5は、背もたれを備えるチャイルドシートを説明する概略図である。
【図6】図6は、アームレスト及びカップホルダーを備えるチャイルドシートを説明する概略図である。
【図7】図7は、チャイルドシートの例示的製造方法の工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、チャイルドシート100の一実施形態を説明する斜視図である。図2は、チャイルドシート100の底部を説明する概略図である。図3は、チャイルドシート100の一部分の部分断面図である。チャイルドシート100は、上面102、囲み側壁104、2つのソケット106及び、それぞれがT字型セクションを有する2つの取り付けリブ108を含むことができる。
一実施形態において、上面102、囲み側壁104、ソケット106及び取り付けリブ108は、プラスチック成形によってチャイルドシート100と一体的に形成することができる。上面102は、囲み側壁104の上部に接合することができる。上面102及び囲み側壁104は、上面102によって上方が限定され、囲み側壁104によって囲まれ、下方が開口する少なくとも部分的な内部キャビティ109を画定することができる。囲み側壁104の下端は、チャイルドシート100が配置されている面に接触する支持部を提供することができる。
【0009】
上面102は、子供が座ることができる支持面を提供することができる。上面102は、内部キャビティ109と連通する複数の穴あき部110を含むことができる。この構成により、上面102の弾性及び緩衝特性が高まり、上面102を通した空気循環及び通気性を促進させ、使用時の快適さが増す。一実施形態において、穴あき部110の領域は、その周辺部を除いて、上面102の表面全体を実質的に占めることができる。例えば、穴あき部110の領域(穴あき部110自体と、穴あき部110同士の間の面積を含む)は、上面102の表面積の少なくとも50%よりも大きく、及び/又は、子供が上面102に座る有効表面積を占めることができる。
【0010】
図1〜図3に示したように、囲み側壁104は、構造的に中空であることができる。例えば、囲み側壁104の材料は、互いに相隔たる第1の中空部分105A、第2の中空部分105B及び第3の中空部分105Cを画定することができる(図2において細線で示す)。これらの中空部分は、側壁104の内部キャビティ109に近接した内面と側壁104の反対側の外面との間の囲み側壁104の材料厚の中に実質的に密閉することができる。
中空部分により囲み側壁104の弾性が増し、チャイルドシート100を形成するために用いられる材料の量を削減することができる。囲み側壁104は、前壁部104A、後壁部104B、左壁部104C及び右壁部104Dを含むことができる。前壁部104A及び後壁部104Bは、それぞれ左壁部104Cと右壁部104Dとの間を接続することができる。第1の中空部分105Aは、前壁部104A、左壁部104C及び右壁部104Dの内部に沿って連続的に延在することができる。第2の中空部分105B及び第3の中空部分105Cはそれぞれ、後壁部104Bの内部に沿って互いに隔てられて延在することができる。
【0011】
2つのソケット106はそれぞれ、左壁部104C及び右壁部104Dの後壁部104B近くの位置に配置される。各ソケット106は、ソケットの上部から底部に延び、上部及び底部で開口された貫通孔116を含むことができる。ソケット106は、必要に応じて、それぞれアームレスト組立体を受けることができる。
【0012】
取り付けリブ108はそれぞれ、左壁部104C及び右壁部104Dの前壁部104A近くの位置に接続することができる。必要に応じて、1つの取り付けリブ108によって固定することでカップホルダーをチャイルドシート100に設置することができる。カップホルダーを用いて、飲料用容器又は任意の付属品を置くことができる。
【0013】
チャイルドシート100は、補助椅子として用いて子供が座る高さを高くすることができる。必要に応じて、別の便利な付属品をチャイルドシート100に実装してもよい。
【0014】
図4は、チャイルドシート100の他の実施形態を説明する概略図である。図4に示した実施形態は、上述した実施形態と非常に類似しているが、囲み側壁104における中空部分の構成において1カ所異なる。第1の中空部分105Aは、前壁部104A、左壁部104C、右壁部104D及び、ソケット106の前壁部106Aの内部に沿って延在することができる。第2の中空部分105B及び第3の中空部分105Cは、互いに連通して、後壁部104B及びソケット106の後壁部106Bの内部に沿って延在することができる。
【0015】
図5は、背もたれ118を備えるチャイルドシート100を説明する概略図である。背もたれ118は、折れ曲がった形状の2つのラッチ構造118Aを備える下端部を有することができる。上面102は、後壁部104Bに近接した2つの係合スロット119を含むことができる。ラッチ構造118Aはそれぞれ、係合スロット119と嵌まり合い背もたれ118をチャイルドシート100に固定させる。
【0016】
図6は、アームレスト120及びカップホルダー122を備えるチャイルドシート100を説明する概略図である。アームレスト120は、アームレスト120が、アームレスト120の上部から外に向かって適切に延び、ソケット106と嵌まり合って固定されるまで、ソケット106の底部又は上部からそれぞれ挿入することができる。各カップホルダー122は、取り付けリブ108がそこを通って取り外し可能に嵌まり合ってカップホルダー122をチャイルドシート100の左側及び/又は右側に固定することができる係合スロット(図示せず)を含むことができる。
【0017】
アームレスト120及びカップホルダー122は、使用するためにチャイルドシート100に設置しない場合、上面102の下部の内部キャビティ109(図2に示す)に都合よく収納して、チャイルドシート100が占有する体積を減らすことができる。
【0018】
図7は、チャイルドシート100の例示的製造方法の工程のフローチャートである。チャイルドシート100に関連した鋳型は、まずステップS701において組み立てることができる。
ステップS702では、プラスチック材料を鋳型に注入して、穴あき部110を含む上面102及び上面102に上方で接続されている囲み側壁104を含むチャイルドシート100の形状を形成する。
ステップS703では、空気を鋳型に注入して、チャイルドシート100に、第1の中空部分105A、第2の中空部分105B及び第3の中空部分105Cなどの中空部分を囲み側壁104の中に形成することができる。上述したように、第1の中空部分105Aは、前壁部104A、左壁部104C及び右壁部104Dの内部に沿って延在することができる。一方、第2の中空部分105B及び第3の中空部分105Cはそれぞれ、後壁部104Bの内部に沿って延在することができる。
ステップS704では、チャイルドシート100を冷却して、鋳型から取り出すことができる。
【0019】
本明細書に説明したチャイルドシート100は、プラスチック成形によって一体的に形成することができ材料費を削減することができる。鋳型の間に空気を注入することで、中空部分をシート側壁の材料厚の中に形成することができる。その結果、チャイルドシートは、軽量化され、その弾性及び緩衝特性が改善される。チャイルドシートの小型形状も、製品の梱包及び輸送を容易にするという利点がある。さらに、上面全体に穴あき部を設けることで、通気性が高まり快適さを提供することができる。
【0020】
チャイルドシートの実現について特定の実施形態の文脈においてのみ説明してきた。これらの実施形態は、説明することを意味するものであり、制限することを意味するものではない。多くの変形例、修正、追加、改善が可能である。従って、本明細書に単一の例として説明した構成要素に対して、複数の例を提供してもよい。例示的な構成において別々の構成要素として表した構造及び機能を、組み合わせた構造又は構成要素として実施してもよい。これら及び他の変形例、修正、追加、改善を、以下の請求項において定義されるように本発明の範囲に含んでもよい。
【符号の説明】
【0021】
100 チャイルドシート
102 上面
104 囲み側壁
105 中空部分
106 ソケット
108 取り付けリブ
109 内部キャビティ
110 穴あき部
116 貫通孔
118 背もたれ
120 アームレスト
122 カップホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座った姿勢の子供を支えるようになっており、複数の穴あき部を含む上面と、
前記上面に接続された上部を有し、前記上面に一体的に形成され、前記上面とともに前記上面の下部に内部キャビティを少なくとも部分的に画定する囲み側壁と、を備えることを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記囲み側壁は、その材料厚の中に実質的に密閉された少なくとも1つの中空部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記材料厚は、前記側壁の内部キャビティに近接する内面から前記側壁の反対側の外面までであることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記穴あき部は、前記上面のおよそ50%よりも多くを占める領域において分散していることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記穴あき部は、前記内部キャビティと連通することを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
アームレストの設置を受けるように構成されたソケットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記ソケットは、前記アームレストが前記チャイルドシートに組み立てられる際に、そこを通って嵌まり合う貫通孔を含むことを特徴とする請求項6に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記貫通孔は、前記ソケットの上部から底部に向かって延びることを特徴とする請求項7に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
前記囲み側壁は、カップホルダーと嵌まり合うようになっている取り付けリブを含むことを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項10】
座った姿勢の子供を支えるようになっており、複数の穴あき部を含む上面と前記上面に接続された上部を有し、前記上面とともに前記上面の下部に内部キャビティを少なくとも部分的に画定する囲み側壁と、を含むチャイルドシートの形状を形成するためにプラスチック材料を鋳型に注入するステップと、
前記囲み側壁の材料厚の中に少なくとも1つの中空部分を形成するように空気を前記鋳型に注入するステップと、を含むことを特徴とするチャイルドシートの製造方法。
【請求項11】
前記材料厚は、前記側壁の内部キャビティに近接する内面から前記側壁の反対側の外面までであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記穴あき部は、前記上面のおよそ50%よりも多くを占める領域において分散していることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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