説明

チャネル品質インジケータの独立した送信をトリガーする制御チャネルシグナリング

【課題】リソースを無駄にせず、端末によるチャネル品質インジケータの独立した送信をトリガできる制御シグナリングを実現する。
【解決手段】基地局が、移動端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーし、変調・符号化方式インデックスと、移動端末から基地局への送信に使用される示すリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を移動端末に送信し、移動端末が、チャネル品質インジケータトリガーが設定され、制御チャネル信号が、変調・符号化方式インデックスの所定の値を示し、かつ、所定のリソースブロック数と等しいかまたは小さい数のリソースブロック数を示す場合に、非周期的なチャネル品質インジケータ報告と上り共有チャネル(UL−SCH)を介して送信されるデータとを多重化せずに非周期的なチャネル品質インジケータ報告を基地局へ送信するシステムまたは方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局および移動端末を備えている通信システムにより実行される方法であって、移動端末および基地局によって実行される方法、に関する。さらに、本発明は、対応する移動端末および基地局を含むシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
パケットスケジューリングおよび共有チャネル送信の仕様
パケットスケジューリングを採用している無線通信システムにおいては、エアインタフェースリソースの少なくとも一部が複数の異なるユーザ(移動局(MS)またはユーザ機器(UE))に動的に割り当てられる。これらの動的に割り当てられるリソースは、一般には、少なくとも1つの上り共有物理チャネルまたは下り共有物理チャネル(PUSCHまたはPDSCH)にマッピングされる。PUSCHまたはPDSCHは、例えば、以下の構成設定の少なくとも1つを有する。
【0003】
− CDMA(符号分割多元接続)システムにおいては、1つまたは複数の符号が複数の移動局の間で動的に共有される。
− OFDMA(直交周波数分割多元接続)システムにおいては、1つまたは複数のサブキャリア(サブバンド)が複数の移動局の間で動的に共有される。
− OFCDMA(直交周波数符号分割多元接続)システムまたはMC−CDMA(複数搬送波符号分割多元接続)システムにおいては、上記の組合せが複数の移動局の間で動的に共有される。
【0004】
図1は、1つの共有データチャネルを有するシステムにおける共有チャネル上のパケットスケジューリング体系を示している。サブフレーム(タイムスロットとも称する)は、スケジューラ(例えば物理層またはMAC層のスケジューラ)が動的リソース割当て(DRA)を実行するうえでの最小間隔を反映している。図1においては、1つのサブフレームに等しいTTI(送信時間間隔)を想定している。一般的には、TTIは複数のサブフレームにまたがっていてもよい。
【0005】
さらには、OFDMシステムにおいて割り当てることのできる、無線リソースの最小単位(リソースブロックまたはリソース単位とも称する)は、一般には、時間領域における1つのサブフレームと、周波数領域における1つのサブキャリア/サブバンドとによって定義される。同様に、CDMAシステムにおいては、無線リソースのこの最小単位は、時間領域における1つのサブフレームと符号領域における符号とによって定義される。
【0006】
OFCDMAシステムまたはMC−CDMAシステムにおいては、この最小単位は、時間領域における1つのサブフレームと、周波数領域における1つのサブキャリア/サブバンドと、符号領域における1つの符号とによって定義される。動的リソース割当ては、時間領域においてと、符号/周波数領域において実行することができる。
【0007】
パケットスケジューリングの主たる利点は、時間領域スケジューリング(TDS)によるマルチユーザダイバーシチ利得と、ユーザレートの動的な適合化である。
【0008】
高速フェージングおよび低速フェージングに起因してユーザのチャネル条件が時間とともに変化するものと想定すると、スケジューラは、ある時点に、時間領域スケジューリングにおいて良好なチャネル条件を有するユーザに、利用可能なリソース(CDMAの場合には符号、OFDMAの場合にはサブキャリア/サブバンド)を割り当てることができる。
【0009】
OFDMAにおけるDRAと共有チャネル送信の詳細
OFDMAにおいては、時間領域スケジューリング(TDS)による時間領域におけるマルチユーザダイバーシチを利用することに加えて、周波数領域スケジューリング(FDS)によって周波数領域におけるマルチユーザダイバーシチも利用することができる。この理由は、OFDM信号が、周波数領域において、複数の異なるユーザに動的に割り当てることのできる複数の狭帯域サブキャリア(一般にはサブバンドにグループ化されている)から構成されているためである。これによって、マルチパス伝搬による周波数選択性チャネル特性を利用して、ユーザを、そのユーザのチャネル品質が良好である周波数(サブキャリア/サブバンド)上にスケジューリングすることができる(周波数領域におけるマルチユーザダイバーシチ)。
【0010】
OFDMAシステムにおいては、実用上の理由から、帯域幅が複数のサブバンドに分割されており、サブバンドは複数のサブキャリアから成る。すなわち、ユーザを割り当てることのできる最小単位は、1サブバンドの帯域幅と、1スロットまたは1サブフレームの持続時間とを有し(1つまたは複数のOFDMシンボルに対応する)、これをリソースブロック(RB)と称する。一般に、サブバンドは連続するサブキャリアから成る。しかしながら、場合によっては、分散している不連続のサブキャリアからサブバンドを形成することが望ましい。さらに、スケジューラは、複数の連続または不連続のサブバンドもしくはサブフレーム、またはその両方にユーザを割り当てることができる。
【0011】
3GPPのLTE(ロングタームエボリューション)(非特許文献1)(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照によって本文書に組み込まれている)の場合、10MHzのシステム(通常のサイクリックプレフィックス)は、15kHzのサブキャリア間隔での600個のサブキャリアから構成することができる。600個のサブキャリアを、それぞれが180kHzの帯域幅を占める50個のサブバンド(12個の隣接するサブキャリア)にグループ化することができる。1スロットの時間長が0.5msであると想定すると、1リソースブロック(RB)は、この例によると180kHz、0.5msを占める。
【0012】
マルチユーザダイバーシチを利用して周波数領域におけるスケジューリング利得を達成するためには、ユーザのデータは、ユーザのチャネル条件が良好であるリソースブロック上に割り当てるべきである。一般に、このようなリソースブロックは互いに近接しており、したがって、この送信モードは局在型モード(LM:localized mode)とも称される。しかしながら、一般的には、優勢なチャネル条件をスケジューリングエンティティが認識していると想定することはできない。したがって、チャネル品質インジケータ(CQI)をスケジューリングエンティティに(例えば端末から基地局に)送信することが必要である。このような情報は、マルチアンテナ送信に関するさらなるパラメータ(例えば、プリコーディングマトリクスインジケータ(PMI)、ランクインジケータ(RI))を備えていることができる。したがって、このようなCQI、PMI、RIは、下りリンク送信(すなわち、基地局から少なくとも1つの端末)に適用可能な条件を表しているべきである。
【0013】
図2は、局在型モードのチャネル構造の一例を示している。この例においては、隣接するリソースブロックは、時間領域および周波数領域において4つの移動局(MS1〜MS4)に割り当てられている。リソースブロックのそれぞれは、第1層もしくは第2層またはその両方の制御シグナリング(第1層/第2層制御シグナリング)を伝える部分と、移動局のユーザデータを伝える部分とから成る。
【0014】
あるいは、図3に示したように、分散型モード(DM:distributed mode)においてユーザを割り当てることができる。この構成設定においては、ユーザ(移動局)は、ある範囲のリソースブロックに分散している複数のリソースブロック上に割り当てられる。分散型モードにおいては、実施上の複数の異なるオプションが可能である。図3に示した例においては、ユーザのペア(MS1/2とMS3/4)が同じリソースブロックを共有している。いくつかの例示的なさらなる実装上のオプションは、非特許文献2(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照によって本文書に組み込まれている)に記載されている。
【0015】
なお、サブフレームの中で局在型モードと分散型モードを多重化することが可能であり、この場合、局在型モードおよび分散型モードに割り当てられるリソース(RB)の量は、固定的、準静的(数十ないし数百のサブフレームに対して一定)、または動的(サブフレームごとに異なる)とすることができることに留意されたい。
【0016】
局在型モードおよび分散型モードのいずれにおいても、1つのサブフレームの中で、1つまたは複数のデータブロック(特にトランスポートブロックと称する)を、複数の異なるリソースブロック上において同じユーザ(移動局)に個別に割り当てることができ、ユーザは、同じかまたは異なるサービスまたは同じ自動再送要求(ARQ)プロセスに属していることができる。この状況は、論理的には、異なるユーザを割り当てることと理解することができる。
【0017】
第1層/第2層制御シグナリング
パケットスケジューリングを採用しているシステムにおいてデータを正しく受信または送信するための十分な副情報を提供する目的で、いわゆる第1層/第2層制御シグナリング(下り物理制御チャネル:PDCCH)を送信する必要がある。以下では、上りリンクデータ送信および下りリンクデータ送信のための一般的な動作メカニズムについて説明する。
【0018】
下りリンクデータ送信
下り共有チャネルを使用する既存の実装形態(例えば、3GPPベースの高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA))においては、下りリンクパケットデータ送信に加えて第1層/第2層制御シグナリングが、一般には個別の物理(制御)チャネル上で送信される。
【0019】
この第1層/第2層制御シグナリングは、一般には、下りリンクデータの送信に使用される(1つまたは複数の)物理リソース(例えば、OFDMの場合における1つまたは複数のサブキャリア、CDMAの場合における符号)に関する情報を含んでいる。移動局(受信者)は、データの送信に使用されているリソースをこの情報によって識別することができる。制御シグナリングにおけるもう1つのパラメータは、下りリンクデータの送信に使用されるトランスポートフォーマット(transport format)である。
【0020】
一般には、トランスポートフォーマットを示すための可能な方法がいくつか存在する。例えば、データのトランスポートブロック(TB)サイズ(ペイロードサイズ、情報ビットサイズ)、変調・符号化方式(MCS)レベル、スペクトル効率、符号化率などをシグナリングすることで、トランスポートフォーマット(TF)を示すことができる。移動局(受信者)は、復調、デ・レートマッチング(de-rate-matching)、および復号化プロセスを開始する目的で、情報ビットの数、変調方式、および符号化率を、この情報(通常はリソース割当て情報と組み合わせる)によって識別することができる。場合によっては、変調方式を明示的にシグナリングすることができる。
【0021】
さらには、ハイブリッドARQ(HARQ)を採用しているシステムにおいては、HARQ情報も第1層/第2層制御シグナリングに含めることができる。このHARQ情報は、一般には、HARQプロセス番号(移動局は、データがマッピングされているハイブリッドARQプロセスをこの番号によって識別することができる)と、シーケンス番号(sequence number)または新規データインジケータ(new data indicator)(移動局は、送信が新しいパケットなのか再送信されたパケットなのかをこれらによって識別できる)と、冗長バージョンあるいはコンステレーションバージョンまたはその両方と、を示している。冗長バージョンおよびコンステレーションバージョンは、それぞれ、使用されているHARQ冗長バージョン(デ・レートマッチングに必要である)、および、使用されている変調コンステレーションバージョン(復調に必要である)を、移動局に知らせる。
【0022】
HARQ情報におけるさらなるパラメータは、一般には、第1層/第2層制御シグナリングを受信する移動局を識別するUE識別情報(UE ID)である。一般的な実装形態においては、この情報は、別の移動局に読まれないように第1層/第2層制御シグナリングのCRC(巡回冗長検査)をマスクするために使用される。
【0023】
次の表(表1)は、非特許文献1(第7.1.1.2.3節(未確認)を参照)から公知である、下りリンクスケジューリングのための第1層/第2層制御チャネル信号の構造の例を示している。
【0024】
【表1】

【0025】
上りリンクデータ送信
同様に、上りリンク送信についても、上りリンク送信のパラメータを送信者に知らせる目的で、第1層/第2層シグナリングが下りリンク上で送信者に提供される。本質的に、この第1層/第2層制御チャネル信号は、下りリンク送信における第1層/第2層制御チャネル信号と部分的に類似している。上りリンクの第1層/第2層制御チャネル信号は、一般には、UEがデータを送信するのに使用するべき(1つまたは複数の)物理リソース(例えば、OFDMの場合にはサブキャリアまたはサブキャリアブロック、CDMAの場合には符号)と、上りリンク送信用に移動局が使用するべきトランスポートフォーマットとを示す。さらには、第1層/第2層制御情報は、ハイブリッドARQ情報(HARQプロセス番号と、シーケンス番号もしくは新規データインジケータまたはその両方と、冗長バージョンもしくはコンステレーションバージョンまたはその両方とを示す)を備えていることもできる。これに加えて、UE識別情報(UE ID)を制御シグナリングに含めることもできる。
【0026】
バリエーション
上述したさまざまな情報を正確に送信する方法には、いくつか異なるバリエーションが存在する。さらには、第1層/第2層制御情報は、さらなる情報を含んでいることもでき、あるいは、いくつかの情報を省くことができる。例えば、HARQプロトコルを使用しない、または同期HARQプロトコルを使用する場合、HARQプロセス番号が必要ないことがある。同様に、例えば、チェィス合成(Chase Combining)を使用する(すなわち、つねに同じ冗長バージョンあるいはコンステレーションバージョンが送信される)場合や、冗長バージョンあるいはコンステレーションバージョンのシーケンスが事前に定義されている場合には、冗長バージョンあるいはコンステレーションバージョンが必要ないことがある。
【0027】
別のバリエーションとして、電力制御情報、あるいはMIMO(多入力−多出力)に関連する制御情報(例えばプリコーディング情報)を制御シグナリングにさらに含めることができる。複数の符号語によるMIMO送信の場合には、複数の符号語のためのトランスポートフォーマットもしくはHARQ情報、またはその両方を含めることができる。
【0028】
上りリンクデータ送信の場合、上に挙げた情報の一部またはすべてを、下りリンク上ではなく上りリンク上でシグナリングすることができる。例えば、基地局は、移動局が送信に使用する(1つまたは複数の)物理リソースを定義するのみとすることができる。したがって、移動局は、トランスポートフォーマット、変調方式、HARQパラメータのうちの少なくとも1つを選択して、上りリンク上でシグナリングすることができる。第1層/第2層制御情報のうちどの部分を上りリンク上でシグナリングし、どの部分を下りリンク上でシグナリングするかは、一般には設計上の問題であり、ネットワークがどの程度の制御を行い、どの程度の自主性を移動局に残すべきかに関するコンセプトに依存する。
【0029】
次の表(表2)は、非特許文献1から公知である、上りリンクスケジューリングにおける第1層/第2層制御チャネル信号構造の例を示している(第7.1.1.2.3節(未確認)を参照)。
【0030】
【表2】

【0031】
上りリンク送信および下りリンク送信のための第1層/第2層制御シグナリング構造の、より最近の別の提案は、非特許文献3(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能であり、参照によって本文書に組み込まれている)に記載されている。
【0032】
上に示したように、さまざまな国においてすでに配備されているシステム(例えば3GPP HSDPA)のための第1層/第2層制御シグナリングが定義されている。3GPP HSDPAの詳細については、非特許文献4(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能)と、非特許文献5とを参照されたい。
【0033】
非特許文献6の第4.6節に記載されているように、HSDPAにおいては、「トランスポートフォーマット」(TF)(トランスポートブロックサイズ情報(6ビット))と、「冗長バージョンおよびコンステレーションバージョン」(RV/CV)(2ビット)と、「新規データインジケータ」(NDI)(1ビット)とが、合計9ビットによって個別にシグナリングされる。なお、NDIは実際には1ビットのHARQシーケンス番号(SN)としての役割を果たす(すなわち、新しいトランスポートブロックが送信されるたびに値が切り替わる)。
【0034】
チャネル品質インジケータ(CQI)
非特許文献7(http://www.3gpp.orgにおいて入手可能)の第7.2節には、チャネル品質インジケータの報告について定義されている。
【0035】
UEがCQI、PMI、およびRIを報告するために使用できる時間リソースおよび周波数リソースは、eNodeBによって制御される。空間多重化の場合、非特許文献8に記載されているように、UEは、有用な送信層の数に対応するRIを決定する。上述した技術仕様書に記載されているように、送信ダイバーシチのためには、RIは1である。
【0036】
CQI、PMI、およびRIの報告は、周期的または非周期的である。UEは、上り共有物理チャネル(PUSCH)が割り当てられていないサブフレームにおいては、CQI、PMI、およびRIの報告を上り物理制御チャネル(PUCCH)上で送信する。以下を目的としてPUSCHが割り当てられているサブフレームにおいては、UEは、CQI、PMI、およびRIの報告をPUSCH上で送信する。
a)スケジューリング対象のPUSCH送信(関連付けられるスケジューリンググラントあり、またはなし)
b)UL−SCH(上り共有チャネル)が存在しないPUSCH送信
【0037】
次の表3は、さまざまなスケジューリングモードにおけるPUCCHおよびPUSCH上でのCQIの送信についてまとめてあり、非周期的または周期的にCQIを報告するための物理チャネルを示している。
【0038】
【表3】

【0039】
周期的報告および非周期的報告の両方が同じサブフレームにおいて起こる場合、UEは、そのサブフレームにおいて非周期的報告のみを送信する。
【0040】
PUSCHを使用しての非周期的/周期的なCQI/PMI/RIの報告
UEは、スケジューリンググラントにおいて送られた指示情報(以下ではチャネル品質インジケータトリガー信号とも称する)を受信した時点で、CQI、PMI、およびRIの非周期的な報告をPUSCHを使用して実行する。非周期的なCQI報告のサイズおよびメッセージフォーマットは、RRC(無線リソース制御プロトコル)によって指定される。CQI、PMI、およびRIの非周期的な報告の最小報告間隔は、1サブフレームである。CQIのサブバンドサイズは、送信者−受信者の構成設定(プリコーディングあり、またはなし)において同じである。
【0041】
UEは、CQIおよびPMIと、対応するRIとを、次の表4に示した報告モード(後述する)のうちの1つを使用して同じPUSCH上でフィードバックするように、上位層によって半静的に構成されている。
【0042】
【表4】

【0043】
チャネル品質インジケータ(CQI)の定義
1本の送信アンテナの場合のCQIテーブルのエントリ数は、次の表5(4ビットのCQIを示している)に示したように、16である。1つのCQIインデックスは、CQIテーブル内の値を指すインデックスである。CQIインデックスは、チャネルの符号化率の値と変調方式とに基づいて定義されている。
【0044】
時間的および周波数的に制限のない観察間隔に基づいて、UEは、表中のCQIインデックスのうち、1つのPDSCHサブフレームを2スロットの下りリンクサブフレーム(整列されている基準期間は、報告するCQIインデックスが送信される最初のスロットの先頭よりzスロットだけ前で終わる)で受信することができ、かつトランスポートブロックの誤りの確率が0.1を超えないような最も高いCQIインデックスを報告する。
【0045】
【表5】

【0046】
プリコーディングマトリクスインジケータ(PMI)の定義
閉ループの空間多重化送信の場合、チャネルに依存するコードブックに基づくプリコーディングを行うためプリコーディングフィードバックが使用され、UEは、プリコーディングマトリクスインジケータ(PMI)を報告する。UEは、上述したフィードバックモードに基づいてPMIを報告する。各PMI値は、非特許文献8の表6.3.4.2.3−1または表6.3.4.2.3−2に記載されているコードブックインデックスに対応する。開ループの空間多重化送信の場合、PMI報告はサポートされない。
【0047】
上述したように、非周期的なCQI報告は、下り物理制御チャネル(PDCCH)のグラントにおける特殊ビット(CQIトリガー)によってトリガーすることができ、上り共有物理チャネル(PUSCH)を使用して送信することができる。通常、UEのデータバッファが空でない場合、ユーザデータおよびCQIは互いに多重化される。
【0048】
PDCCHには、変調・符号化方式(MCS:Modulation Code Scheme)レベルのフィールドが含まれており、レベルの範囲は、下の表6に示したように例示的に0〜31であり、各レベルは、MCS/トランスポートブロックセット(TBS)テーブルの行を指す。以下の説明は、この例に基づいて進める。結果としてのTBSおよび符号化率は、MCSテーブルのエントリと、許可されるリソースブロック(RB)の数とから計算することができる。割当てサイズ(すなわち、割り当てられるリソースブロックの数)に依存して使用される修正については、説明を単純にするため省いてある。
【0049】
【表6】

【0050】
上に示した表6において、MCSインデックス0〜28では、下りリンク(DL)における冗長バージョン(RV)を符号化するためのさらなる2ビットが要求される。上りリンク(UL)の場合、値が0であるパラメータRV(RV0)が暗黙的に使用される。
【0051】
制御シグナリング方式として、非周期的なCQI報告を基地局に送信するように端末に要求することができ、たとえ端末のデータバッファが空でない場合にも、報告がCQI情報のみを含んでいる(すなわち、CQI情報と上り共有チャネルデータとが多重化されない)制御シグナリング方式、を定義することが望まれる。このようにすることで、非周期的なCQI報告の内容および誤り耐性に関する基地局側の制御性が向上する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0052】
【非特許文献1】3GPP TR 25.814: “Physical Layer Aspects for Evolved UTRA”, Release 7, v. 7.1.0, October 2006
【非特許文献2】3GPP RAN WG#1 Tdoc R1-062089, “Comparison between RB-level and Sub-carrier-level Distributed Transmission for Shared Data Channel in E-UTRA Downlink”, August 2006
【非特許文献3】3GPP TSG-RAN WG1 #50 Tdoc. R1-073870, “Notes from offline discussions on PDCCH contents”, August 2007
【非特許文献4】3GPP TS 25.308, “High Speed Downlink Packet Access (HSDPA); Overall description; Stage 2”, version 7.4.0, September 2007
【非特許文献5】Harri Holma and Antti Toskala, “WCDMA for UMTS, Radio Access For Third Generation Mobile Communications”, Third Edition, John Wiley & Sons, Ltd., 2004, chapters 11.1 to 11.5
【非特許文献6】3GPP TS 25.212, “Multiplexing and Channel Coding (FDD”), version 7.6.0, September 2007
【非特許文献7】3GPP TS 36.213 “UE procedure for reporting channel quality indication (CQI), precoding matrix indicator (PMI) and rank indication (RI)” Version 8.2.0, March 2008
【非特許文献8】3GPP TS 36.211: “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA)
【非特許文献9】3GPP RAN1 meeting 49bis R1-073105, “Downlink Link Adaptation and Related Control Signalling”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0053】
本発明の1つの目的は、リソースを無駄にすることなく、端末によるチャネル品質インジケータの独立した送信をトリガーすることのできる、通信システムにおける制御シグナリング、を提案することである。さらには、対応する基地局および端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0054】
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0055】
本発明の一態様は、移動端末及び基地局を含むシステムにより実行される次のステップを含む方法であって、前記基地局が、前記移動端末による前記基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーするチャネル品質インジケータトリガーと、変調・符号化方式インデックスと、前記移動端末から基地局への送信に使用される示すリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を生成し、生成された前記制御チャネル信号を前記移動端末に送信するステップと、前記移動端末が、前記制御チャネル信号を、前記基地局から受信するステップと、前記移動端末が、前記チャネル品質インジケータトリガーが設定され、前記制御チャネル信号が、前記変調・符号化方式インデックスの所定の値を示し、かつ、所定のリソースブロック数と等しいかまたは小さい数のリソースブロック数を示す場合に、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告と上り共有チャネル(UL−SCH)を介して送信されるデータとを多重化せずに前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を前記基地局へ送信するステップと、を含む方法である。
この方法では、前記所定の変調・符号化方式インデックスの値は29であってもよい。
この方法では、前記移動端末は、複数の報告モードの1つに基づいて、上り物理共有チャネル(PUSCH)上で前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告をフィードバックするように構成される、方法であってもよい。
この方法では、前記上り物理共有チャネルは、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を送信するのに使用される、方法であってもよい。
この方法では、前記チャネル品質インジケータトリガーは、チャネル品質インジケータ要求ビットである、方法であってもよい。
この方法では、前記所定の変調・符号化方式インデックスは、冗長バージョンの値が1であることを示す方法であってもよい。
この方法では、値が1の前記冗長バージョンは、データ再送に使用される頻度が低い冗長バージョンである方法であってもよい。
このシステムは、移動端末及び基地局を含むシステムであって、前記基地局は、前記基地局が、前記移動端末による前記基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーするチャネル品質インジケータトリガーと、変調・符号化方式インデックスと、前記移動端末から基地局への送信に使用されるリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を生成し、生成された前記制御チャネル信号を前記移動端末に送信する送信部を備え、前記移動端末は、前記移動端末が前記制御チャネル信号を前記基地局から受信する受信部と、前記移動端末が、前記チャネル品質インジケータトリガーが設定され、前記制御チャネル信号が、前記変調・符号化方式インデックスの所定の値を示し、かつ、所定のリソースブロック数と等しいかまたは小さい数のリソースブロック数を示す場合に、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告と上り共有チャネル(UL−SCH)を介して送信されるデータとを多重化せずに前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を前記基地局へ送信する送信部と、を含む、システムである。
このシステムでは、前記所定の変調・符号化方式インデックスの値は29である、システムであってもよい。
このシステムでは、複数の報告モードの1つに基づいて、上り物理共有チャネル(PUSCH)上で前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告をフィードバックするように構成される、システムであってもよい。
このシステムでは、前記送信部は、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を送信するのに前記上り物理共有チャネルを使用するようにされる、システムであってもよい。
このシステムでは、前記所定の変調・符号化方式インデックスは、冗長バージョンの値が1であることを示す、システムであってもよい。
このシステムでは、値が1の前記冗長バージョンは、データ再送に使用される頻度が低い冗長バージョンである、システムであってもよい。
このシステムは、移動端末及び基地局を含むシステムにより実行される次のステップを含む方法であって、前記基地局が、前記移動端末による前記基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーするチャネル品質インジケータトリガーと、所定の値を示す変調・符号化方式インデックスと、前記移動端末から基地局への送信に使用されるリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を生成し、生成された前記制御チャネル信号を前記移動端末に送信するステップと、前記移動端末が、前記制御チャネル信号を、前記基地局から受信するステップと、を含む方法であってもよい。
本発明の主たる一態様は、選択された条件時のみに所定の報告モードでCQIが報告されるようにする目的で、選択されたトランスポートフォーマットを使用することである。より一般的には、基地局から端末への制御チャネル信号であって、ユーザデータを基地局に送信するのに端末が使用するべき選択されたトランスポートフォーマットを備えている制御チャネル信号、を定義する。トランスポートフォーマットは、システムに対する影響が最小であるように選択される。選択されたトランスポートフォーマットの、端末による解釈は、制御チャネル信号に含まれているCQIトリガー信号に依存する。
【0056】
本発明の一実施形態は、通信システムにおいて制御シグナリングを提供する方法であって、通信システムの基地局によって実行されるステップとして、少なくとも1つの端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信、をトリガーするチャネル品質インジケータトリガー信号と、トランスポートフォーマットと、を備えている制御チャネル信号、を生成するステップと、生成された制御チャネル信号を少なくとも1つの端末に送信するステップと、を含んでおり、トランスポートフォーマットが、少なくとも1つの端末がユーザデータを基地局に送信するための所定のフォーマットであり、制御チャネル信号が、チャネル品質インジケータを基地局に報告するための所定のモードを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、チャネル品質インジケータトリガー信号に基づいて少なくとも1つの端末によってトリガーされる、方法、を提供する。
【0057】
本発明の別の実施形態は、通信システムにおいて使用する方法であって、通信システムの端末によって実行されるステップとして、端末を宛先とする制御チャネル信号を備えている物理無線リソースのフレームを、通信システムの基地局から受信するステップと、示された所定のモードを使用してチャネル品質インジケータを基地局に送信するステップと、を含んでおり、制御チャネル信号が、端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信、をトリガーするチャネル品質インジケータトリガー信号と、所定のトランスポートフォーマットと、を備えており、トランスポートフォーマットが、少なくとも1つの端末がユーザデータを基地局に送信するための所定のフォーマットであり、制御チャネル信号が、チャネル品質インジケータを基地局に報告するための所定のモードを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、チャネル品質インジケータトリガー信号に基づいてトリガーされる、方法、を提供する。
【0058】
本発明の実施形態によると、データが端末から基地局に送信される場合、端末は、制御チャネル信号の受信時にデータをバッファリングし、データの送信を再開する前に基地局からの信号を待機する。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によると、チャネル品質インジケータを報告するための、示される所定のモードは、非周期的なチャネル品質インジケータの報告モードであり、非周期的なチャネル品質インジケータは、ユーザデータと多重化されずに少なくとも1つの端末によって基地局に送信される。
【0060】
本発明の実施形態によると、所定のトランスポートフォーマットは、少なくとも1つの端末によるユーザデータの再送信の冗長バージョンパラメータを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、冗長バージョンパラメータの所定の値に対して少なくとも1つの端末によってトリガーされる。
【0061】
冗長バージョンパラメータの所定の値は、データの再送信において使用頻度の低い冗長バージョンに対応していることが好ましい。
【0062】
本発明の別の実施形態によると、所定のトランスポートフォーマットは、同じ空間効率を有する複数のトランスポートフォーマットの中から選択される。
【0063】
本発明のさらに別の実施形態によると、選択される所定のトランスポートフォーマットが所定の符号化率に等しいかそれより大きい符号化率に関連付けられるように、所定のトランスポートフォーマットが複数のトランスポートフォーマットの中から選択される。
【0064】
本発明の実施形態によると、制御チャネル信号は、少なくとも1つの端末から基地局への送信に使用されるリソースブロックに関する情報を含んでおり、リソースブロックに関する情報が、所定のリソースブロック数に等しいかそれより小さいリソースブロック数を示している場合にのみ、所定のモードを使用してのチャネル品質インジケータの送信がトリガーされる。
【0065】
本発明の別の実施形態は、基地局であって、少なくとも1つの端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信、をトリガーするチャネル品質インジケータトリガー信号と、トランスポートフォーマットと、を備えている制御チャネル信号、を生成する生成手段と、生成された制御チャネル信号を少なくとも1つの端末に送信する送信手段と、を備えており、トランスポートフォーマットが、少なくとも1つの端末がユーザデータを基地局に送信するための所定のフォーマットであり、制御チャネル信号が、チャネル品質インジケータを基地局に報告するための所定のモードを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、チャネル品質インジケータトリガー信号に基づいて少なくとも1つの端末によってトリガーされる、基地局、を提供する。
【0066】
本発明の別の実施形態は、端末であって、端末を宛先とする制御チャネル信号を備えている物理無線リソースのフレームを基地局から受信する受信手段と、示された所定のモードを使用してチャネル品質インジケータを基地局に送信する送信手段と、を備えており、制御チャネル信号が、端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信、をトリガーするチャネル品質インジケータトリガー信号と、所定のトランスポートフォーマットと、を備えており、トランスポートフォーマットが、少なくとも1つの端末がユーザデータを基地局に送信するための所定のフォーマットであり、制御チャネル信号が、チャネル品質インジケータを基地局に報告するための所定のモードを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、チャネル品質インジケータトリガー信号に基づいてトリガーされる、端末、を提供する。
【0067】
さらに、別の例示的な実施形態による本発明は、本文書に記載した方法をソフトウェアおよびハードウェアに実装することに関する。したがって、本発明の別の実施形態は、命令を格納しているコンピュータ可読媒体であって、命令が基地局のプロセッサによって実行されたとき、それに起因して、基地局が、少なくとも1つの端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信、をトリガーするチャネル品質インジケータトリガー信号と、トランスポートフォーマットと、を備えている制御チャネル信号を生成し、生成された制御チャネル信号を少なくとも1つの端末に送信し、トランスポートフォーマットが、少なくとも1つの端末がユーザデータを基地局に送信するための所定のフォーマットであり、制御チャネル信号が、チャネル品質インジケータを基地局に報告するための所定のモードを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、チャネル品質インジケータトリガー信号に基づいて少なくとも1つの端末によってトリガーされる、コンピュータ可読媒体、を提供する。
【0068】
さらなる実施形態は、命令を格納しているコンピュータ可読媒体であって、命令が端末のプロセッサによって実行されたとき、それに起因して、移動端末が、端末を宛先とする制御チャネル信号を備えている物理無線リソースのフレームを基地局から受信し、示された所定のモードを使用してチャネル品質インジケータを基地局に送信し、制御チャネル信号が、端末による基地局へのチャネル品質インジケータの送信、をトリガーするチャネル品質インジケータトリガー信号と、所定のトランスポートフォーマットと、を備えており、トランスポートフォーマットが、少なくとも1つの端末がユーザデータを基地局に送信するための所定のフォーマットであり、制御チャネル信号が、チャネル品質インジケータを基地局に報告するための所定のモードを示しており、チャネル品質インジケータの送信が、チャネル品質インジケータトリガー信号に基づいてトリガーされる、コンピュータ可読媒体、に関する。
【0069】
以下では、本発明について、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。図面において、類似するかまたは対応する細部には、同じ参照数字を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】OFDMAシステムにおける、ユーザへの例示的なデータ送信を示している。
【図2】OFDMAシステムにおける、第1層/第2層制御シグナリングの分散型マッピングを有する局在型モード(LM)でのユーザへの例示的なデータ送信を示している。
【図3】OFDMAシステムにおける、第1層/第2層制御シグナリングの分散型マッピングを有する分散型モード(DM)でのユーザへの例示的なデータ送信を示している。
【図4】トランスポートブロック/プロトコルデータユニットと、その異なる冗長バージョンと、トランスポートブロックサイズ/プロトコルデータユニットサイズとの間の相互関係を、例示的に示している。
【図5】本発明の発想を実施することのできる、本発明の一実施形態による移動通信システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下では、本発明のさまざまな実施形態について説明する。例示のみを目的として、実施形態のほとんどは、上の [背景技術]において説明したSAE/LTEに従った(E−)UMTS通信システムに関連して概説してある。本発明は、例えば、移動通信システム(例えば前述したSAE/LTE通信システム)と組み合わせて、あるいは多搬送波システム(例えばOFDMベースのシステム)と組み合わせて有利に使用できるが、本発明はこれらの特定の例示的な通信ネットワークにおける使用に制限されないことに留意されたい。特に、本発明は、基地局および端末(必ずしも移動端末でなくてもよい)を備えている任意のタイプの通信システムにおいて実施することができる。例えば、UMTS/LTEカードを有するデスクトップPCが端末の役割を果たすことができる。あるいは、UMTS/LTE以外のシステムを使用しての「ラストワンマイル」の送信用のアクセスステーション(非移動)内に端末を配置することができる。
【0072】
本発明のさまざまな実施形態について以下にさらに詳しく説明する前に、本文書において頻繁に使用しているいくつかの用語の意味と、それらの相互関係および依存性について、以下に簡潔に説明しておく。
【0073】
3GPPにおけるトランスポートフォーマット(TF)は、一般的には、トランスポートブロックの送信に適用される変調・符号化方式(MCS)もしくはトランスポートブロック(TB)サイズまたはその両方(適切な変調(復調)および符号化(復号化)を行ううえで要求される)を定義する。
【0074】
上述したこの関係のため、第1層/第2層制御シグナリングでは、トランスポートブロックサイズまたは変調・符号化方式のいずれかを示すのみでよい。変調・符号化方式をシグナリングするべきである場合、このシグナリングを実施する方法としていくつかのオプションが存在する。例えば、変調および符号化それぞれのための個別のフィールド、または変調パラメータおよび符号化パラメータの両方のための共用フィールド(joint field)を予測することができる。トランスポートブロックサイズ(TBS)をシグナリングするべきである場合には、一般には、トランスポートブロックサイズを明示的にシグナリングするのではなく、TBSインデックスとしてシグナリングする。実際のトランスポートブロックサイズを求めるためのTBSインデックスの解釈方法は、例えば、リソース割当てサイズに依存させることができる。
【0075】
以下では、第1層/第2層制御シグナリングにおけるトランスポートフォーマットフィールドが、変調・符号化方式またはトランスポートブロックサイズのいずれかを示しているものと想定する。この場合、トランスポートブロックのトランスポートブロックサイズは、一般には送信中に変化しない。しかしながら、トランスポートブロックサイズが変化しない場合でも、例えばリソース割当てサイズが変化すると、個々の送信の変調・符号化方式が変化しうる(上述した関係において明らかである)。
【0076】
さらに、本発明のいくつかの実施形態においては、再送信において、トランスポートブロックサイズは一般に最初の送信から既知であることに留意されたい。したがって、トランスポートフォーマット(MCSもしくはTBSまたはその両方)情報は、(たとえ送信間で変調・符号化方式が変更される場合であっても)再送信においてシグナリングする必要はなく、なぜなら、変調・符号化方式は、トランスポートブロックサイズとリソース割当てサイズ(リソース割当てフィールドから求めることができる)から求めることができるためである。
【0077】
冗長バージョンは、図4に示したように、与えられたトランスポートブロックから生成される一連の符号化されたビットを表す。データ送信の符号化率が固定レートの符号器およびレートマッチングユニット(例えば、UMTSシステムまたはLTEシステムのHSDPAにおけるユニット)によって生成されるシステムにおいては、利用可能な符号化されたビットの異なるセットを選択することによって、1つのトランスポートブロック(またはプロトコルデータユニット)に対して異なる冗長バージョンが生成され、セットのサイズ(選択されるビットの数)は、データ送信における実際の符号化率(CR)に依存する。送信(または再送信)における実際の符号化率が符号器のレートより高い場合、冗長バージョンは、符号化されたビットのサブセットから構築される。送信(または再送信)における実際の符号化率が符号器のレートより低い場合、冗長バージョンは、一般に、符号化されたビットすべて(選択されるビットが繰り返される)から構築される。なお、図は、理解を容易にするため単純化してある。冗長バージョンの実際の内容は、図示した場合とは異なっていてもよい。例えば、RV0は、システマティックビットのすべてまたは一部のみと、パリティビットのすべてまたは一部のみとを含んでいることができる。同様に、RV1およびそれ以外のRVが、非システマティックビットのみを含んでいるように制約されることはない。
【0078】
なお、本文書におけるほとんどの例では、説明を単純にする目的で、トランスポートフォーマットおよび冗長バージョンと記載している。しかしながら、本発明のすべての実施形態において、用語「トランスポートフォーマット」は、「トランスポートフォーマット」、「トランスポートブロックサイズ」、「ペイロードサイズ」、「変調・符号化方式」のいずれか1つを意味する。同様に、本発明のすべての実施形態において、用語「冗長バージョン」は、「冗長バージョンもしくはコンステレーションバージョンまたはその両方」に置き換えることができる。
【0079】
本発明は、リソース割当てのスケーラビリティと、他の制御パラメータのシグナリングに対して大きな影響を与えることなしに、チャネル品質インジケータ(CQI)の報告モードをシグナリングすることのできる方法および装置を提供することを目的としている。具体的には、このCQI報告モードは、CQIを非周期的に報告するモードであり、たとえバッファが空でない場合でもCQIをユーザデータと多重化しない。このモードを以下では「CQIのみモード」(“CQI-only mode”)とも称する。
【0080】
特定の観点では、PMIはCQIとまったく異なるものではない。PMIは、基本的には、物理リソースが良好に利用されるように使用するプリコーディングを提示し、CQIは、基本的には、同じ目的で、前述したMCSまたはTBSを提示する。したがって、CQIに関連しての本発明の以下の説明は、PMIを対象として、またはCQIとPMIの組合せを対象として、または別の情報との組合せとして使用できるように、容易に適合させ得ることが、当業者には明らかであろう。
【0081】
本発明の主たる発想は、選択された条件時に限られるCQIのみの報告モードを、所定のトランスポートフォーマットを使用してシグナリングすることに基づく。したがって、基地局から端末への制御チャネル信号として、所定のトランスポートフォーマットを備えている信号を定義する。
【0082】
制御チャネル信号は、端末によるCQIの送信をトリガーするCQIトリガー信号をさらに備えている。選択されたトランスポートフォーマットの、端末による解釈は、制御チャネル信号に含まれているCQIトリガー信号における1つまたは複数のCQIトリガービットのステータスに依存する。端末がCQI報告を送信するべきであることをCQIトリガー信号が示しており、かつトランスポートフォーマットパラメータの値が所定の値に一致する場合、端末は、この組合せを、そのようなCQIを所定のモード(本文書においてはCQIのみモード)で基地局に送信するべき命令として解釈する。それに対して、トランスポートフォーマットパラメータの値が所定の値に一致しない場合、たとえCQIトリガーが設定されていても、端末は、CQIトリガーおよびトランスポートフォーマットパラメータをそれぞれの通常の意味に解釈する。通常の意味とは、上りリンク送信においてCQIをユーザデータと多重化することであることが、当業者には認識されるであろう。
【0083】
本発明の主たる利点は、上りリンクおよび下りリンクにおけるMCS/TBSテーブルの全体的な構造および内容が変更されないことである。CQI報告モードをシグナリングする目的に1つのMCSレベルが完全に占有されるわけではない。下りリンクにおける柔軟性はそのまま維持され、上りリンクのデータのみ(すなわちCQIが多重化されない)送信における柔軟性もそのまま維持される。さらには、本発明によると、1つのMCSレベル全体、またはMCSレベル以外の何らかのパラメータの何らかの別の無条件値を無駄に使用することなく、CQIのみの報告モードを実施することができる。これにより、上りリンクスケジューラにおける柔軟性が高まり、結果として空間効率が向上する。
【0084】
本発明の好ましい実施形態によると、チャネル品質インジケータを報告するための、示される所定のモードは、非周期的なチャネル品質インジケータの報告モードであり、非周期的なチャネル品質インジケータは、ユーザデータと多重化されずに端末によって基地局に送信される。このようにして、いわゆる「CQIのみ」報告を基地局に送信するように端末にシグナリングすることができる。
【0085】
以下では、表6の例に示したMCSエントリを参照することによって、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0086】
CQI報告は上りリンクにのみ存在するため、表6に示したMCSテーブルエントリ29〜31は、再送信の冗長バージョン(RV)をシグナリングするために使用される。通常、再送信のためのグラントを使用することなく、最小の送信回数を使用して最良の復号化パフォーマンスが達成されるように、送信のためのRVパラメータの順序が確立されている。LTE/SAEにおいては、この順序は、RV={0,2,3,1}として確立されており、なぜなら、RVパラメータ1を使用する前にRVパラメータ2およびRVパラメータ3を使用することが、良好なパフォーマンスであるためである。結果として、RVパラメータ1は、通常では使用頻度が最低のRV値であり、したがって、RV1は使用頻度が最低の冗長バージョンである。
【0087】
したがって、本発明の好ましい実施形態によると、CQIトリガー信号および所定のMCSインデックス(トランスポートフォーマットパラメータ値)と一緒に所定のRV値(好ましくはRV値1)をシグナリングする制御チャネル信号を受信したときにのみ、端末は、CQIのみの報告をPUSCH上で基地局に送信するべきである意味として解釈する。RVパラメータ1をシグナリングする制御チャネル信号を受信したがCQIトリガー信号が存在しない場合、端末は、RVパラメータ1を使用して送信を実行するべきである意味として解釈する。
【0088】
このことは次の表7にまとめてあり、選択された所定のトランスポートフォーマットは、MCSエントリ29である。
【0089】
【表7】

【0090】
本発明の基本的な発想は、トランスポートフォーマット(例えばMCSインデックス)およびCQIトリガーに加えて他の条件パラメータ値を使用することによって、さらに拡張することができる。これによって、リソースの利用効率をさらに高めることができる。
【0091】
以下では、本発明のさらなる実施形態について説明する。
【0092】
制御チャネル信号は、PUCCH上での端末から基地局への送信に使用されるリソースブロックに関する情報を含んでいる。上に定義した所定のモードを使用してのチャネル品質インジケータCQIの送信は、リソースブロックに関する情報が、所定のリソースブロック数に等しいかそれより小さいリソースブロック数を示している場合にのみ、端末によってトリガーされる。
【0093】
実際に、リソースブロックの割当てが少ない場合にCQIのみモードをシグナリングすることは有利であり、なぜなら、リソースブロックの割当てが多い場合、CQIのみでは符号化率が不必要に低くなるためである。したがって、本発明のこの実施形態によると、端末は、リソースブロックの割当て数が少ない場合にのみ、ユーザデータと多重化せずにCQIを送信する。
【0094】
以下では、表8を参照することによって、説明を目的として一例を提示する。この例においては、上述したようにRVパラメータを1として選択する。この例では10個のリソースブロックが選択されているが、これは例示を目的とするのみであり、任意の別の値を代わりに選択することができる。
【0095】
【表8】

【0096】
表8から明らかであるように、CQIトリガー信号がシグナリングされ、RVが1に設定されており(MCSインデックス値29に対応する)、割り当てられるリソースブロック数が10に等しいかそれより小さい場合にのみ、CQIのみの送信が端末によってトリガーされる。割り当てられるリソースブロック数が10より大きい場合、たとえCQIトリガー信号がシグナリングされても、端末はCQIのみを送信するのではなく、例えば、値1を有する冗長バージョンパラメータを使用して、多重化されたデータとともにCQI報告を送信する。
【0097】
さらには、チャネル条件が良好である(すなわち大きなMCSが割り当てられている)UEは、多くのリソースブロックが割り当てられる可能性が高く、したがって、このような場合、CQIトリガー信号がCQIのみを意味するものと解釈することによって、柔軟性が失われないようにすることが好ましい。したがって、リソースブロック数の所定のしきい値よりも大きい数のリソースブロックが端末に割り当てられ、MCSまたは空間効率の所定のしきい値よりも小さい空間効率を表すMCS値の場合に、CQIのみ送信をシグナリングすることが好ましい。
【0098】
以下では、表9を参照することによって、本発明の代替実施形態を提示する。この実施形態では、所定のRVパラメータ値(好ましくはRV1エントリ)を使用する代わりに、2つのトランスポートフォーマットのうちの1つ(すなわち、表9の例においては、同じ空間効率を有する変調・符号化の組合せをシグナリングするMCSインデックス)を使用することを提案する。
【0099】
【表9】

【0100】
表9から明らかであるように、MCSエントリ9および10は、同じ空間効率1.3262を有する。さらには、MCSエントリ16および17は、それぞれ同じ空間効率2.5684を有する。このような(空間効率に関して)重複するエントリが予測され、なぜなら、周波数選択性環境では変調方式が高次であるほど有利であるためである(詳細については非特許文献9を参照)。
【0101】
データが多重化されない独立したCQI報告は、リソースブロックの割当てが少ない(チャネルが比較的フラットである)場合に送信することが、より有利である。したがって、空間効率が同じであるMCSエントリのうち、より高次の変調方式を表すMCSエントリをトリガー目的に置き換えるべきである。例えば、表6において、「上位の」MCSエントリ(すなわち10または17)を置き換えるべきである。
【0102】
データが多重化されたCQI報告を送信することによって、上りリンクデータの冗長性が減少する。データとCQIを多重化するためには、順方向誤り訂正符号化によってデータ部に加えられる冗長性の一部を取り除いて、CQIのためのスペースを作らなければならない。明らかに、多くの冗長性が加えられているほど、多重化するCQIのために数ビットを取り除くのが容易であり影響が小さい。「上位の」エントリの方が「下位」よりも多くの冗長性を提供し、したがって、「下位の」エントリの方が、CQI報告とデータとの効率的な多重化をサポートできる可能性が低い。極端な場合、データに加えられる冗長性が、CQIに必要なビットよりも小さいことがある。このような場合、CQIを多重化すると、結果としてのデータの符号化率が1を超えることがあり、なぜなら、加えられた冗長性を取り除くだけでは足りず、システマティック情報を取り除かなければならないためである。この結果として、受信者は受信した情報からデータ全体を再構築できないため、データの自動的な送信が正常に行われない。したがって、より多くの冗長性を提供する方のMCSエントリを、CQIのみの送信用に置き換えて使用することが好ましい。結果として、表6においては、「下位の」MCSエントリ9またはMCSエントリ16を、データを多重化せずにCQI報告を送信する目的に置き換えて使用することができ、これは有利である。
【0103】
さらには、表8に関連して説明した実施形態を、表9に関連して説明した実施形態と組み合わせて適用および使用することができる。
【0104】
一般的には、任意のMCSインデックス値をCQIトリガーと組み合わせて使用して、CQIのみの報告モードをシグナリングすることができる。別の例として、設定されたCQIトリガー信号との組合せとして、極めて低い空間効率に関連付けられるMCSエントリ(例えば表6におけるMCSインデックス0)を、CQIのみの報告をトリガーする目的に置き換えることができ、これは有利である。このような場合、置き換えられるのは極めて低い空間効率であるため、送信されないデータの量に関するシステムにおける損失は無視することができる(データがCQIと多重化されないため)。
【0105】
以下では、表10を参照することによって、本発明の別の代替実施形態を提示し、この実施形態では、所定のRVパラメータ(好ましくはRV1エントリ)を使用する代わりに、高い符号化率に関連付けられる所定のトランスポートフォーマットを選択することを提案する。
【0106】
【表10】

【0107】
この実施形態によると、上の実施形態において説明したように所定のRVパラメータ(好ましくはRV1エントリ)を使用する代わりに、高い符号化率に関連付けられるMCSエントリを使用して、CQI報告のみを報告させる。表10から明らかであるように、選択されたMCSエントリ28は、所定の符号化率に等しいかそれより大きい符号化率に関連付けられている。
【0108】
実際に、多重化されたCQIでは、上りリンクデータの冗長性が減少する。高い符号化率を提供するMCSエントリでは、提供される冗長性が極めて小さいため、そのような高い符号化率でCQI報告をデータと多重化することは、本明細書においてすでに前述したように、比較的代償が大きい。結果として、本発明のこの実施形態によると、高い符号化率に関連付けられるMCSエントリ(例えば表6におけるMCSエントリ28)を、データを多重化せずにCQI報告のみを送信させる目的に置き換えて使用することができ、これは有利である。
【0109】
さらには、表8に関連して説明した実施形態を、表10に関連して説明した実施形態と組み合わせて適用および使用することができる。
【0110】
本発明によると、望ましいCQI報告モードをシグナリングする(好ましくは独立したCQI報告をシグナリングする)ために、さらなる別のパラメータを追加して設定することもできる。他の可能なパラメータの例として、特に、アンテナパラメータ(MIMO)、HARQプロセス番号、変調のコンステレーション番号などのパラメータが挙げられる。
【0111】
別の実施形態においては、例えば時間領域あるいは周波数領域における複数の信号を使用することによって、CQIのみの報告をシグナリングすることができる。例えば、2つの連続するサブフレームにおいてCQIトリガーを設定することによって、CQIのみの報告をトリガーすることができる。別の例として、低い空間効率に関連付けられるMCSエントリを、連続するサブフレームにおいて端末に割り当てることによって、CQIのみの報告をトリガーすることができる。
【0112】
別の実施形態においては、設定されたCQIトリガー信号と組み合わせて、CQIのみの報告をトリガーする目的に置き換えられるMCSエントリを、端末の異なる能力クラスに応じて選択する。通信システムでは、一般的に、端末能力の複数の異なるクラスがサポートされる。例えば、端末によっては、上りリンクにおける64−QAMの送信がサポートされない。結果として、そのような端末においては、64−QAMの変調方式に関連付けられるMCSは、通常では意味がない。したがって、このような端末においては、端末の能力の範囲内ではないMCSエントリと組み合わせて、設定されたCQIトリガー信号を使用することで、CQIのみの報告をトリガーすることができる。全範囲をサポートする端末は、本文書に記載した他の実施形態のいずれかを採用することが好ましい。
【0113】
上述した実施形態においては、用語「所定の」は、例えば通信リンクの両側に既知である特殊な意味を持つ値を表すために使用している。この値は、規格における固定値、あるいは例えば他の制御シグナリングによってリンクの両端間で交渉される値とすることができる。
【0114】
以下では、本発明による制御チャネルシグナリングの定義によって生じる、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)の動作の修正について説明しておく。
【0115】
CQIのみの報告をトリガーすることによって、PUSCHが通常のようにデータ送信に使用されることが阻止されるため、HARQの動作も影響を受ける。最初に、上りリンクにおけるHARQの動作を規定する原理についてまとめておく。その後に、本発明によって修正されるHARQプロトコル動作について説明する。
【0116】
上りリンクデータ送信に対するACK/NACKメッセージを伝える物理HARQインジケータチャネル(PHICH)を、同じ端末への下り物理制御チャネルPDCCHと同時に送信することができる。このように同時に送信された場合、端末は、PHICHの内容には関係なく、PDCCHが端末に指示する動作に従い、すなわち、送信または再送信を実行する(適応再送信と称する)。端末に対するPDCCHが検出されないときには、PHICHの内容が端末のHARQ挙動を指示し、HARQ挙動は以下のとおりである。
【0117】
NACK:端末は、非適応再送信、すなわち、同じプロセスによって前に使用されたのと同じ上りリンクリソース上で再送信を実行する。
ACK:端末は、上りリンク(再)送信を実行せず、そのHARQプロセス用のHARQバッファにデータを維持する。そのHARQプロセスにおけるさらなる送信は、PDCCHによる次のグラントによって明示的にスケジューリングする必要がある。端末は、そのようなグラントを受信するまで「一時停止状態」にある。
【0118】
次の表11は、この挙動を示している。
【0119】
【表11】

【0120】
以下では、「CQIのみ」を要求するPDCCHが受信される場合の、本発明によって修正される上りリンクHARQプロトコルの挙動について説明する。
【0121】
端末は、独立したCQI報告の送信を要求する制御チャネル信号を受信すると、「CQIのみ」を伝える受信したPDCCHをACKとみなし、「一時停止状態」に入る。端末は、MACの観点において何らの上りリンク(再)送信を実行せず、再送信待ちのデータが存在する場合、データをHARQバッファに維持する。HARQプロセスの次の発生時、PDCCHが再送信または最初の送信を実行する必要があり、すなわち、非適応再送信を行うことはできない。このようにすることで、UEは、PDCCH上の「CQIのみ」の挙動を、PDCCHが存在しないときのPHICH上のACKと同じように扱う。
【0122】
次の表12は、端末における、修正されたHARQプロトコルの動作をまとめてある。
【0123】
【表12】

【0124】
次に、本文書に記載したさまざまな実施形態のうちの1つによる制御チャネル信号の送信者および受信者の動作について、さらに詳しく説明する。以下の説明は、例示として、下りリンクデータを送信する場合に関連する。例示を目的として、図5に例示した移動ネットワークを想定する。図5の移動通信システムは、少なくとも1つのアクセス・コアゲートウェイ(ACGW:Access and Core Gateway)とNodeBとから成る「2ノードアーキテクチャ」を有すると考えられる。ACGWは、コアネットワークの機能(例えば、呼のルーティング、外部ネットワークとのデータ接続)を処理することができ、さらに、RAN(無線アクセスネットワーク)のいくつかの機能を実施することができる。したがって、ACGWは、最近の3GネットワークにおいてGGSN(ゲートウェイGPRSサポートノード)およびSGSN(サービングGPRSサポートノード)によって実行される機能と、RANの機能(例えば、無線リソース制御(RRC)、ヘッダー圧縮、暗号化/整合性保護)とを兼ね備えているものと考えることができる。
【0125】
基地局(NodeBまたはエンハンスドノードB(eNodeB)とも称する)は、例えば、データの分割/連結、リソースのスケジューリングおよび割当て、多重化、物理層の機能といった機能のみならず、RRC機能(例えば外部ARQ)を処理することができる。例示のみを目的として、eNodeBは1つのみの無線セルを制御するように図示してある。当然ながら、ビーム形成アンテナもしくは他の技術、またはその両方を使用することにより、eNodeBがいくつかの無線セルあるいは論理無線セルを制御することもできる。
【0126】
この例示的なネットワークアーキテクチャにおいては、移動局(UE)と基地局(eNodeB)との間のエアインタフェース上の上りリンクもしくは下りリンクまたはその両方において、(プロトコルデータユニットの形における)ユーザデータを伝えるために共有データチャネルを使用することができる。この共有チャネルは、例えば、LTEシステムにおいて公知である上り共有物理チャネルまたは下り共有物理チャネル(PUSCHまたはPDSCH)とすることができる。しかしながら、共有データチャネルおよび関連する制御チャネルを、図2または図3に示したように物理層リソースにマッピングすることも可能である。
【0127】
制御チャネル信号/情報は、関連するユーザデータ(プロトコルデータユニット)がマッピングされているのと同じサブフレームにマッピングされる個別の(物理)制御チャネル上で送信することができ、あるいは、関連する情報を含んでいるサブフレームよりも先行するサブフレームにおいて送ることができる。一例においては、移動通信システムは3GPP LTEシステムであり、制御チャネル信号は第1層/第2層制御チャネル情報(例えば、下り物理制御チャネル(PDCCH)上の情報)である。複数の異なるユーザ(またはユーザのグループ)の第1層/第2層制御チャネル情報それぞれを、図2および図3に例示的に示したように、上り共有チャネルまたは下り共有チャネルの特定の部分にマッピングすることができ、これらの図においては、複数の異なるユーザの制御チャネル情報が下りリンクサブフレームの最初の部分(「制御」)にマッピングされている。
【0128】
本発明の別の実施形態は、上述したさまざまな実施形態をハードウェアおよびソフトウェアを使用して実施することに関する。本発明のさまざまな実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行できることが認識される。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはその他のプログラマブルロジックデバイスとすることができる。本発明のさまざまな実施形態は、これらのデバイスの組合せによって実行あるいは具体化することもできる。
【0129】
さらに、本発明のさまざまな実施形態は、ソフトウェアモジュールによって実施することもでき、これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行される、あるいはハードウェアにおいて直接実行される。さらに、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装とを組み合わせることも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなどに格納することができる。
【0130】
さらには、端末、移動端末、MS、および移動局という用語は、本文書においては同義語として使用していることに留意されたい。ユーザ機器(UE)は、移動局の一例と考えることができ、3GPPベースのネットワーク(例えばLTE)において使用するための移動端末を意味する。さらに、端末は、移動局に限定されず、例えば、PCカードあるいは別のシステムの固定アクセスポイントとすることができる。
【0131】
ここまで、本発明のさまざまな実施形態およびそれらのバリエーションについて説明してきた。具体的な実施形態において示した本発明には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく膨大なバリエーションもしくは変更形態を創案できることが、当業者には理解されるであろう。
【0132】
さらには、実施形態のほとんどは、3GPPベースの通信システムに関連して概説してあり、ここまでの説明で使用している用語は主として3GPPの用語に関連している。しかしながら、用語と、さまざまな実施形態の説明とが、3GPPベースのアーキテクチャに関連していることは、本発明の原理および発想がそのようなシステムに限定されることを意図するものではない。
【0133】
さらに、上の [背景技術]における詳しい説明は、本明細書に記載されている、ほとんどが3GPPに固有な例示的な実施形態を深く理解することを目的としており、移動通信ネットワークにおけるプロセスおよび機能の、説明した特定の実装形態に本発明を制限するものではないことを理解されたい。しかしながら、本文書に提案した改良・改善は、 [背景技術]に記載したアーキテクチャにおいてただちに適用することができる。さらには、本発明のコンセプトは、3GPPによって現在議論されているLTE RANにおいてもただちに使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末及び基地局を含むシステムにより実行される次のステップを含む方法であって、
前記基地局が、前記移動端末による前記基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーするチャネル品質インジケータトリガーと、変調・符号化方式インデックスと、前記移動端末から基地局への送信に使用される示すリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を生成し、生成された前記制御チャネル信号を前記移動端末に送信するステップと、
前記移動端末が、前記制御チャネル信号を、前記基地局から受信するステップと、
前記移動端末が、前記チャネル品質インジケータトリガーが設定され、前記制御チャネル信号が、前記変調・符号化方式インデックスの所定の値を示し、かつ、所定のリソースブロック数と等しいかまたは小さい数のリソースブロック数を示す場合に、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告と上り共有チャネル(UL−SCH)を介して送信されるデータとを多重化せずに前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を前記基地局へ送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記所定の変調・符号化方式インデックスの値は29である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記移動端末は、複数の報告モードの1つに基づいて、上り物理共有チャネル(PUSCH)上で前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告をフィードバックするように構成される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記上り物理共有チャネルは、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を送信するのに使用される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記チャネル品質インジケータトリガーは、チャネル品質インジケータ要求ビットである、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記所定の変調・符号化方式インデックスは、冗長バージョンの値が1であることを示す、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
値が1の前記冗長バージョンは、データ再送に使用される頻度が低い冗長バージョンである、請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
移動端末及び基地局を含むシステムであって、
前記基地局は、
前記基地局が、前記移動端末による前記基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーするチャネル品質インジケータトリガーと、変調・符号化方式インデックスと、前記移動端末から基地局への送信に使用されるリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を生成し、生成された前記制御チャネル信号を前記移動端末に送信する送信部を備え、
前記移動端末は、
前記移動端末が前記制御チャネル信号を前記基地局から受信する受信部と、
前記移動端末が、前記チャネル品質インジケータトリガーが設定され、前記制御チャネル信号が、前記変調・符号化方式インデックスの所定の値を示し、かつ、所定のリソースブロック数と等しいかまたは小さい数のリソースブロック数を示す場合に、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告と上り共有チャネル(UL−SCH)を介して送信されるデータとを多重化せずに前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を前記基地局へ送信する送信部と、
を含む、
システム。
【請求項9】
前記所定の変調・符号化方式インデックスの値は29である、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
複数の報告モードの1つに基づいて、上り物理共有チャネル(PUSCH)上で前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告をフィードバックするように構成される、請求項8または請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記送信部は、前記非周期的なチャネル品質インジケータ報告を送信するのに前記上り物理共有チャネルを使用するようにされる、請求項8から請求項10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記所定の変調・符号化方式インデックスは、冗長バージョンの値が1であることを示す、請求項8から請求項11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
値が1の前記冗長バージョンは、データ再送に使用される頻度が低い冗長バージョンである、請求項8から請求項12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
移動端末及び基地局を含むシステムにより実行される次のステップを含む方法であって、
前記基地局が、前記移動端末による前記基地局へのチャネル品質インジケータの送信をトリガーするチャネル品質インジケータトリガーと、所定の値を示す変調・符号化方式インデックスと、前記移動端末から基地局への送信に使用されるリソースブロックに関する情報と、を含む制御チャネル信号を生成し、生成された前記制御チャネル信号を前記移動端末に送信するステップと、
前記移動端末が、前記制御チャネル信号を、前記基地局から受信するステップと、
を含む方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−59098(P2013−59098A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251349(P2012−251349)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2011−507801(P2011−507801)の分割
【原出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】