説明

チューナ互換性スイッチモード電源構造

本発明は、第1の出力電圧を発生させて、それを、例えばAM/FMチューナ、受信機、又はスイッチング動作に敏感である幾つかの他の装置のような、第1の装置(12)へ供給する第1の電源(11)と、第2の電圧出力を発生させて、それを第2の装置(15,16,17)へ供給する第2の電源(14)とを有する電源配置(10)に関する。第2の電源は、第1の装置がオフである場合に動作する。電源配置は、第2の電源を動作させるよう配置された制御手段(18)を更に有する。通常、制御手段は、第1の装置が動作している場合に第2の電源をオフとし、第1の装置が動作していない場合に第2の電源を動作させるよう切り替わる。本発明は、EMI感受装置を伴う使用に適しており、費用効率が高く、小型で、極めて効率が良く、且つ待機電力が低い電源配置を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源配置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチモード電源(SMPS)は、民生電子(CE)製品において増加の一途をたどる範囲で用いられている。このことの主な理由は、価格、サイズ、効率、及び、特にここ数年では、待機電力であった。これの主な例外は、音響機器が一般に無線周波数信号を受信するチューナを有するという事実に起因して、音響機器アプリケーションであった。チューナは、マイクロボルトの大きさを有する信号から情報を引き出すことができる比較的高感度な装置である。SMPSによって引き起こされた電磁妨害のために、チューナを伴う使用に適したSMPSを設計することは、現在まで非常に困難であった。
【0003】
一般的に、チューナアプリケーションでは、リニア電源が使用されてきた。このような電源の主な欠点は、大きく、効率が低く(一般に、50%より低い。)、待機電力特性が悪いことである。しかし、例えばホームシネマのような音響アプリケーションの電力需要は、より小さな製品、より高い効率、及びより低い待機電力を求める市場で、急速に増えている。結果として、リニア電源の解決法が、明らかに障害であるように思われる。
【0004】
WO02/19551は、無線受信機と、例えばスイッチモード音声電力増幅器及びスイッチモード電源のような、選択されたスイッチング周波数で動作するスイッチモード回路とを有するシステムを開示する。回路は、無線受信機によって受信された信号の周波数の関数としてスイッチモード回路のスイッチング周波数を設定するために含まれている。結果として、スイッチング周波数及びその高調波によって生成された干渉は、受信された信号の周波数帯よりも上又は下に動かされる。
【0005】
しかし、WO02/19551に伴う問題は、記述されたスイッチング周波数のアプローチが、受信機がおよそ540〜1600kHzにあるAM帯で正しく受信することを可能にする一方で、このアプローチが、FM帯の周波数位置に起因して、場合によってはFM帯で使用不可能であることである。FM帯は、およそ88〜108MHzにあり、スイッチング周波数は、明らかに、極めて高くなければならないが、これは、WO02/19551に従うシステムで使用され得ない。
【特許文献1】国際公開WO02/19551
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決し、且つ、AM帯のみならずFM帯で受信するよう動作する装置を伴う使用に適しており、優れた待機電力特性を有する電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に従う電源配置によって達成される。本発明の好ましい実施例は、従属請求項によって定義される。
【0008】
本発明の第1の態様に従って、電源配置が設けられ、該配置は、電磁妨害(EMI)を抑制するよう配置された構成を有する第1の電源を有する。該第1の電源は、少なくとも1つの第1の出力電圧を発生させて、それをEMIに敏感である第1の装置へと供給する。当該配置は、少なくとも1つの第2の出力電圧を発生させるよう配置された構造を有する第2の電源を有する。前記第2の出力電圧は、第2の装置へと供給される。更に、制御手段は、前記第1の装置が作動して、前記第1の電源から電力を供給される場合に前記第2の電源が動作を停止しているように、前記第1及び第2の電源を動作させるよう配置されている。
【0009】
本発明の基本的な考えは、少なくとも2つの出力電圧を生成する電源配置を提供することである。第1の電源は、例えばAM/FMチューナ、受信機又はスイッチング動作に敏感である幾つかの他の装置のような、少なくとも1つの第1の装置への第1の出力電圧を発生させる。第2の電源は、第1の装置がオフである場合に動作して、少なくとも1つの第2の装置への第2の出力電圧を発生させる。電源配置は、第2の電源を動作させるよう、即ち、それをオン及びオフとするよう配置された制御手段を更に有する。一般的に、制御手段は、チューナが動作している場合に第2の電源をオフモードとし、チューナが動作していない場合に第2の電源を動作させるよう切り替える。
【0010】
2つの電源を用いることにより、夫々の電源の有利な特性を組み合わせて、チューナ又は幾つの他のEMI感受装置を伴う使用に適した電源配置を作り出すことが可能である。このような電源配置は、費用効率が高く、小型で、極めて効率が良く、且つ、待機電力が低い。これは、第1の電源が、その特性が第1の電源負荷に伴う使用に適しているように、例えば、EMIを抑制するその能力が強くなければならないように、選択されるという事実に起因する。第2の電源は、同様に、その特性が第2の電源の負荷に適合するように選択される。例えば、それは、多数の異なる電源電圧を発生させることができなければならない。一般的な音響アプリケーション、即ち、電源配置が少なくとも1つの第1の装置及び少なくとも1つの第2の装置と共に音響機器に含まれているアプリケーションに関して、10又はそれ以上の異なる出力電圧が必要とされても良い。更に、第2の電源の待機電力は低くなりうる。
【0011】
本発明の実施例に従って、前記第1の出力電圧は、例えば共振ハーフブリッジのようなチューナを伴う使用に適した第1の電源によって供給される。通常、前記第1の電源は、音声増幅器、チューナ自体及び制御手段に電力を供給する。これは、たとえ音声増幅器及び制御手段がEMIに敏感でないとしても、それらは、第2の電源が動作していない場合に依然として動作することができなければならないという事実に起因する。共振ハーフブリッジの選択は、共振ハーフブリッジのトポロジー(即ち、構成)が比較的わずかなEMIしか引き起こさないので、有利である。
【0012】
本発明の他の実施例に従って、前記第2の出力電圧は、例えば、フライバック・コンバータのような、必ずしもチューナに適合しないが、簡単な方法で第2の出力及び望ましくは更なる出力電圧を発生させる能力を有し、非常に低い待機電力を有する第2の電源によって供給される。通常、第2の出力電圧は、例えばCDプレーヤー、DVDプレーヤー、VCR等のように、スイッチング動作にそれほど敏感ではない装置に電力を供給する。
【0013】
本発明の更なる他の実施例に従って、前記制御手段は、アプリケーション・ソフトウェアを実行する前記マイクロプロセッサの形で実施される。前記アプリケーション・ソフトウェアは、前記第2の電源を動作させる方法を前記マイクロプロセッサに指示する。これは、電源の動作が変形又は変更をなされなければならない場合に、これが前記アプリケーションによって実行可能であるという利点を有する。結果として、実際の電源ハードウェアでは、如何なる変更もなされる必要がない。
【0014】
本発明の更なる特徴及び利点について、添付の特許請求の範囲及び以下の記述を検証することにより明らかにする。当業者にとって、本発明の異なった特徴が、後述する以外の実施例を作るよう組み合わされることは明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例に従う電源配置10の概略図を示す。当該配置は、例えば、ハーフブリッジ・コンバータの形をした、チューナ12を伴う使用に適した第1の電源11を有する。通常、第1の電源は、また、音声増幅器13と、電子機器に、即ち、一般的には、当該配置が用いられる幾つかの形式の音響機器に含まれうる他の装置とに電力を供給する。ハーフブリッジ・コンバータの主たる説明は、以下で述べる。他の適切な形式の電源は、それらが比較的わずかなEMIしか引き起こさないならば、第1の電源として使用され得る。当該配置は、例えば、複数の出力電圧を発生させることに適しており、低い待機電力を有するフライバック・コンバータ又は他の適切な電源の形をした、第2の電源14を有する。一般的なフライバック・コンバータについては以下で述べる。通常、第2の電源は、例えば、CDプレーヤー15、DVDプレーヤー16及びターンテーブル17のような、スイッチング動作にそれ程敏感ではない装置に電力を供給する。望ましくは、第1及び第2の電源は、いずれも、主要入力Vinから電力を供給される。制御手段18は、例えばアプリケーション・ソフトウェア19によって制御されるCPU18の形で実施されて、第2の電源14の動作を制御する。チューナ12が作動している場合に、第2の電源は、チューナが第2の電源のスイッチング動作に敏感であるので、動作すべきでない。チューナが定性的に無線信号を受信するよう、スイッチング動作は、一時的に停止されなければならない。チューナが作動していない場合には、チューナ12は、第2の電源14を作動させるよう制御手段18へ信号を送る。
【0017】
留意すべきは、電力増幅器13及び制御手段18は、たとえ第2の電源が作動していないとしても、それらの要素は作動すべきであるので、第1の電源11から電力を供給される必要がある。
【0018】
図2は、本発明の実施例に従う電源配置に含まれる周知のフライバック・コンバータ20の概略図を示す。フライバック変圧器21の両端のコンバータの入力電圧Vinを主要出力Voutへ切り替えるよう、トランジスタ22がオンとされ、それによって電流が一次巻線で徐々に増大し、エネルギーが変圧器のコアに蓄えられる。次に、このエネルギーは、トランジスタがオフとされる場合に、二次巻線を介して変圧器の二次側へと整流する。変圧器巻線の極性は、トランジスタがその導通状態にある場合に出力ダイオード23が遮断されるように、配置される。トランジスタがオフとなると、二次電圧は反転して、二次電流をダイオードを介して出力負荷へと流す。二次巻線のインダクタンスは、電流が負荷へと伝達される場合には出力ダイオードに直列である。これは、フィルタインダクタが出力において必要とされないことを意味し、結果として、夫々の出力は、1つのダイオード及び1つの出力フィルタキャパシタしか必要としない。従って、フライバック・コンバータは、費用を下げ、複数の出力供給を発生させることに適している。
【0019】
図3は、本発明の他の実施例に従う電源配置に含まれる周知のハーフブリッジ・コンバータ30の概略図を示す。2つのキャパシタ31、32は直列に接続されており、人為的な入力電圧中点33が設けられている。2つのトランジスタ34、35の交互駆動が用いられ、これは、夫々の半周期で一次巻線の両端に夫々のキャパシタを接続する。ダイオード36、37は、夫々の半周期の間に、遮断及び導通の夫々を行う。これらのダイオードを流れる電流は、出力インダクタ38でのエネルギーの増大を引き起こし、それによって、電力が夫々のトランジスタ導通時間において直接的に出力Voutへと伝送される。ハーフブリッジは、極めて効率が良く、出力リップルが非常に低く、チューナと共に使用することに非常に適している。
【0020】
たとえ本発明がその特定の実施例を参照して記述されているとしても、多種多様な変更及び変形等が当業者には明らかであろう。従って、記述された実施例は、添付の特許請求の範囲により定められている本発明の適用範囲を限定するものではない
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例に従う電源配置の概略図を示す。
【図2】本発明の実施例に従う電源配置に含まれるフライバック・コンバータの概略図を示す。
【図3】本発明の他の実施例に従う電源配置に含まれるハーフブリッジ・コンバータの概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁妨害を抑制するよう配置された構成を有し、少なくとも1つの第1の出力電圧を発生させて、それを電磁妨害に敏感である第1の装置へと供給する第1の電源;
少なくとも1つの第2の出力電圧を発生させるよう配置された構造を有し、前記少なくとも1つの第2の出力電圧を発生させて、それを第2の装置へと供給する第2の電源;及び
前記第1の装置が作動して、前記第1の電源から電力を供給される場合に動作を停止している前記第2の電源を動作させるよう配置された制御手段;
を有する電源配置。
【請求項2】
前記第1の装置は、AM/FM帯で受信するよう動作するチューナを有する、ことを特徴とする請求項1記載の電源配置。
【請求項3】
前記第1及び第2の電源は、同じ電源主要入力から電力を供給される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の電源配置。
【請求項4】
前記第1の電源は、共振ハーフブリッジ・コンバータを有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の電源配置。
【請求項5】
前記第2の電源は、フライバック・コンバータを有する、ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の電源配置。
【請求項6】
前記第1の装置及び前記第2の装置と共に音響機器に含まれる、ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の電源配置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記音響機器によって制御される、ことを特徴とする請求項6記載の電源配置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第2の電源を動作させる方法をマイクロプロセッサに指示するアプリケーション・ソフトウェアを実行する前記マイクロプロセッサを有する、ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の電源配置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−511994(P2007−511994A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539040(P2006−539040)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052330
【国際公開番号】WO2005/048441
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】