説明

チュービング装置

【課題】寸法の増加や重量の増加を抑えて輸送効率を高めることができるチュービング装置を提供する。
【解決手段】チュービング装置のドライブフレームは、四隅部に配置された昇降シリンダの間に複数の前記油圧モータが上方に突出するように配置され、ドライブフレーム本体の短辺側の最大寸法が3500mmを超える長さを有するとともに、該ドライブフレーム本体の一方の長辺側を下に、他方の長辺側を上にしてドライブフレームをあらかじめ設定された角度に傾斜させたときに、ドライブフレーム本体の上面から突出した前記油圧モータを含むドライブフレームの水平方向の最大寸法及び鉛直方向の最大寸法がそれぞれ3500mm未満の長さに形成されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、建築、土木の基礎工事で地中へのケーシングの圧入や引き抜きを行うチュービング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎工事におけるオールケーシング工法において、金属製の筒体からなるケーシングチューブを地中に圧入したり、地中から引き抜いたりするために使用されるチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通して同軸上にそれぞれ設けられたケーシングチューブ挿通孔と、前記ドライブフレームのケーシングチューブ挿通孔の外周に設けられた下部回転体と、該下部回転体の内周面に設けられた下部チャックと、前記ドライブフレームに設けられた下部回転体駆動用の油圧モータと、前記チャックフレームのケーシングチューブ挿通孔の外周に設けられた上部回転体と、該上部回転体の内周面に設けられた上部チャックとを備えている。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−88755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなチュービング装置を使用して基礎工事を行う場合、地盤の状況によっては地中深くまでケーシングチューブを圧入する場合がある。この場合、大径のケーシングチューブを使用する必要があることから、チュービング装置のケーシングチューブ挿通孔も大径にする必要があり、結果的に各フレームも大型化することになる。さらに、大径のケーシングチューブを把持して回転駆動するためには、下部回転体及び上部回転体を含めた各フレームの強度向上だけでなく、下部チャック部材や上部チャック部材、油圧モータの取付強度も向上させる必要がある。
【0005】
しかし、チュービング装置は、基礎工事開始前に現地に搬入し、基礎工事終了後に現地から搬出するものであるから、一般的な道路を通って輸送可能な大きさ及び重量の範囲内に収める必要がある。このため、大型のチュービング装置は、ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームを別々にして輸送することが行われており、幅寸法が大きなフレームは、荷台上に斜めに立てかけた状態で輸送するようにしている。特に、ドライブフレームは、昇降シリンダ、チャックシリンダ及び油圧モータを配置する必要があることから寸法的な制約が大きく、また、大きな回転トルクを得るために複数の油圧モータを設ける場合は、昇降シリンダやチャックシリンダを避けた位置に配置する必要があるため、ドライブフレームの幅寸法だけでなく、油圧モータを含めた高さ寸法によっては、輸送時に一部の油圧モータを取り外す必要があった。このため、輸送前後に各フレームの組立・分解を行うだけでなく、油圧モータの着脱も必要になり、多大な手間を要するという問題があった。
【0006】
特に、外径が3000mmを超えるケーシングチューブ、例えば外径が3200mmのケーシングチューブを対象とした大型のチュービング装置におけるドライブフレームは、下部チャック部材を内周に備えた下部回転体を回動可能に設けるとともに、下部回転体を高トルクで回転駆動するための複数の油圧モータを配置しなければならないが、小型のチュービング装置と同じような構造では、幅寸法や高さ寸法の増加、重量の増加を抑えることが極めて困難であった。
【0007】
そこで本発明は、外径が3000mmを超えるケーシングチューブを対象とする大型のものにおいても、寸法の増加や重量の増加を抑えて輸送する際の作業性を向上させることができるチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に4本の昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方に4本のチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通してそれぞれ設けられたケーシングチューブ挿通孔と、前記ドライブフレームのケーシングチューブ挿通孔の内周に下部ベアリングを介して回転可能に設けられた下部回転体と、前記ドライブフレームに設けられて前記下部回転体を回転駆動するための複数の油圧モータと、前記チャックフレームのケーシングチューブ挿通孔の内周に上部ベアリングを介して回転可能に設けられた上部回転体と、該上部回転体と前記下部回転体とにそれぞれ設けられた上部チャック部材及び下部チャック部材とを備え、前記ベースフレーム、ドライブフレーム、チャックフレーム、昇降シリンダ及びチャックシリンダを分割して輸送するチュービング装置において、前記ドライブフレームは、中央部に前記ケーシングチューブ挿通孔を有する平面視長方形状に形成され、該ドライブフレームの四隅部にそれぞれ配置された前記昇降シリンダと、ドライブフレームの長辺側で前記昇降シリンダに隣接する位置にそれぞれ配置された前記チャックシリンダと、ドライブフレームの短辺側で両隅部に配置した前記昇降シリンダの間にモータ本体部が上方に突出した状態で配置された複数の前記油圧モータとを備え、前記ドライブフレーム本体の短辺側の最大寸法が3500mmを超える長さを有するとともに、該ドライブフレーム本体の一方の長辺側を下に、他方の長辺側を上にしてドライブフレームをあらかじめ設定された角度に傾斜させたときに、ドライブフレーム本体の上面から突出した前記油圧モータを含むドライブフレームの水平方向の最大寸法及び鉛直方向の最大寸法がそれぞれ3500mm未満の長さに形成されていることを特徴とし、さらに、前記油圧モータは、前記昇降シリンダの間に4台の同一仕様の油圧モータが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチュービング装置によれば、外径が3000mmを超えるケーシングチューブを対象とし、ドライブフレーム本体の短辺側の最大寸法が3500mmを超えるとともに、モータ本体部が上方に突出した複数の前記油圧モータ、特に、大径のケーシングチューブを下部回転体を介して回転駆動するのに必要な駆動力を得るために4台の同一仕様の油圧モータを配置した大型のチュービング装置であっても、ドライブフレーム本体の一方の長辺側を下にしてドライブフレームを傾斜させたときに、油圧モータの上方への突出量を加えて水平方向、鉛直方向の各最大寸法を3500mm未満の長さに設定することにより、油圧モータを含むことでチュービング装置で最大の高さとなるドライブフレームを一般的な道路を使用して輸送することが可能となる。したがって、ドライブフレームと同等のフレーム本体を有し、油圧モータを備えていないベースフレームやチャックフレームは、フレーム本体の短辺側の最大寸法が3500mmを超えていても、ドライブフレームと同じようにフレーム本体の一方の長辺側を下にして傾斜させることにより、水平方向、鉛直方向の各最大寸法が3500mm未満の長さになるので、ドライブフレームと同様に、一般的な道路を使用して輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のチュービング装置の一形態例を示す正面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】ドライブフレームの正面図である。
【図5】ドライブフレームの側面図である。
【図6】ドライブフレームの平面図である。
【図7】ドライブフレームの底面図である。
【図8】ドライブフレームの断面正面図である。
【図9】チャックフレームの平面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】要部の断面図である。
【図12】従来の大型ドライブフレームを輸送する際の状態を示す説明図である。
【図13】本発明のドライブフレームを輸送する際の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本形態例に示すチュービング装置11は、地上に据え付けられるベースフレーム12と、該ベースフレーム12の上方に4本の昇降シリンダ13を介して昇降可能に設けられたドライブフレーム14と、該ドライブフレーム14の上方に4本のチャックシリンダ15を介して昇降可能に設けられたチャックフレーム16と、前記ベースフレーム12、ドライブフレーム14及びチャックフレーム16の中央部を鉛直方向に貫通してそれぞれ設けられたケーシングチューブ挿通孔17a,17b,17cと、前記ドライブフレーム14のケーシングチューブ挿通孔17bの内周に下部ベアリング18を介して回転可能に設けられた下部回転体19と、前記ドライブフレーム14に設けられて前記下部回転体19を回転駆動するための複数の油圧モータ20と、前記チャックフレーム16のケーシングチューブ挿通孔17cの内周に上部ベアリング21を介して回転可能に設けられた上部回転体22と、該上部回転体22と前記下部回転体19とにそれぞれ設けられた上部チャック部材23及び下部チャック部材24とを備えており、チャックフレーム16の上面には、周囲に手摺25を配置した作業台26が設けられるとともに、該作業台26に昇降するための梯子27が設けられている。
【0012】
前記ベースフレーム12、ドライブフレーム14及びチャックフレーム16は、平面視が長方形状を有しており、各フレーム12,14,16の四隅部に前記昇降シリンダ13が保護筒13a内に収容された状態でそれぞれ配置されている。昇降シリンダ13の両端は、ベースフレーム12とドライブフレーム14とにそれぞれ設けられた昇降シリンダ接続部13b,13cにそれぞれ接続されており、チャックフレーム16は、保護筒13aの上部によってガイドされている。また、ドライブフレーム14及びチャックフレーム16の長辺側には、前記昇降シリンダ13に隣接する位置に前記チャックシリンダ15がそれぞれ配置され、チャックシリンダ15の両端は、ドライブフレーム14とチャックフレーム16とにそれぞれ設けられたチャックシリンダ接続部15a、15bにそれぞれ接続されている。
【0013】
前記ドライブフレーム14は、前記ケーシングチューブ挿通孔17bの外周側に、平面視長方形状の上面板31及び下面板32と、上面板31及び下面板32の外端部を接続する外板33と、前記ケーシングチューブ挿通孔17bの外周に配置されたリング状の外周壁34とによって箱状の本体部が形成され、該本体部の内部には、適宜な形状の補強板(図示せず)が所定位置に配置されている。このドライブフレーム14には、該ドライブフレーム14の両短辺側14aで、両隅部に配置された前記昇降シリンダ13同士の間に、同一仕様の4台の前記油圧モータ20が、モータ本体部20aをドライブフレーム14の上面より上方に突出させた状態でそれぞれ設けられている。
【0014】
前記ドライブフレーム14の前記ケーシングチューブ挿通孔17bの周囲には、ドライブフレーム14の高さ寸法と同じ高さ寸法を有し、かつ、軸線を鉛直方向に向けて配置されたリング状の前記外周壁34と、該外周壁34の下端に接合されて水平方向内方に突出したリング状の下部連結板35と、前記外周壁34の高さ方向中間部に接合されて水平方向内方に突出したリング状の上部連結板36と、前記下部連結板35の内周部と前記上部連結板36の内周部とを鉛直方向に連結するリング状の内周壁37とによって断面箱形でリング状に形成した箱状リング部38が設けられており、該箱状リング部38の内部には、ケーシングチューブ挿通孔17bの径方向に向けて鉛直方向に配置された複数の内部連結板39が等間隔で設けられている。
【0015】
前記上部連結板36の上面には、前記下部ベアリング18の外輪18aが、前記下部連結板35及び前記上部連結板36に下方から挿通された複数の取付ボルト40により固着されている。この外輪18aの内周には、下部ベアリング18の転動部材18bを介して下部ベアリング18の内輪に相当する前記下部回転体19が回転可能に設けられており、該下部回転体19の内面には、上方がケーシングチューブ挿通孔17bの外側方向に傾斜した状態のテーパー面24aを有する前記下部チャック部材24が周方向に等間隔で複数個設けられている。また、前記外周壁34における前記油圧モータ20の内側にそれぞれ対応する部分には、油圧モータ20の減速機20bの駆動ギア20cと、前記下部回転体19の外周面に設けられた大径ギア19aとを噛み合わせるための開口34aがそれぞれ設けられている。
【0016】
前記チャックフレーム16は、前記ドライブフレーム14と略同様の構造を有するものであって、前記ケーシングチューブ挿通孔17cの外周側に、平面視長方形状の上面板51及び下面板52と、上面板51及び下面板52の外端部を接続する外板53と、前記ケーシングチューブ挿通孔17cの外周に配置されたリング状の外周壁54とによって箱状の本体部が形成され、該本体部の内部には、適宜な形状の鉛直方向の補強板(図示せず)が所定位置に配置されている。このチャックフレーム16における昇降シリンダ13の保護筒13aの位置は、前記ドライブフレーム14から上方に突出した前記油圧モータ20の上部を避けるため、短辺側両端部から突出した状態に形成されている。
【0017】
前記チャックフレーム16の前記ケーシングチューブ挿通孔17cの周囲には、チャックフレーム16の高さ寸法と同じ高さ寸法を有し、かつ、軸線を鉛直方向に向けて配置されたリング状の前記外周壁54と、該外周壁54の高さ方向中間部に接合されて水平方向内方に突出したリング状の下部連結板55と、前記外周壁54の上端部に接合されて水平方向内方に突出したリング状の上部連結板56と、前記下部連結板55の内周部と前記上部連結板56の内周部とを鉛直方向に連結するリング状の内周壁57とによって断面箱形でリング状に形成した箱状リング部58が設けられており、該箱状リング部58の内部には、ケーシングチューブ挿通孔17cの径方向に向けて鉛直方向に配置された複数の内部連結板59が等間隔で設けられている。また、前記内周壁57の上端部には、上方が拡開した円錐面57aが設けられており、ケーシングチューブ挿通孔17cに上方からケーシングチューブを容易に挿通できるようにしている。
【0018】
前記下部連結板55の下面には、前記上部ベアリング21の外輪21aが、前記上部連結板56及び前記下部連結板55に上方から挿通された複数の取付ボルト60により固着されている。この外輪21aの内周には、転動部材21bを介して上部ベアリング21の内輪21cに連結された前記上部回転体22が回転可能に設けられている。上部回転体22の下部には、リンク61を介して前記上部チャック部材23が吊り下げられている。この上部チャック部材23は、前記リンク61によってケーシングチューブ挿通孔17bの径方向に移動可能に設けられており、上部チャック部材23の内面は、ケーシングチューブ挿通孔17b内に保持するケーシングチューブの外径に対応した曲面に形成され、上部チャック部材23の外面には、前記下部チャック部材24のテーパー面24aに対応して下方がケーシングチューブ挿通孔内側方向に傾斜したテーパー面23aが形成されている。
【0019】
このように、上面板31,51、下面板32,52、外板33,53及び外周壁34,54とによってドライブフレーム14及びチャックフレーム16の本体部をそれぞれ箱状に形成するとともに、ケーシングチューブ挿通孔17b、17cの周囲に外周壁34,54、下部連結板35,55、上部連結板36,56及び内周壁37,57とによって断面箱形でリング状に形成した箱状リング部38,58をそれぞれ形成し、さらに、各箱状の本体部及び箱状リング部38,58の内部に鉛直方向の補強板や内部連結板39,59をそれぞれ設けることにより、ドライブフレーム14及びチャックフレーム16における本体部を従来よりも薄肉の金属板を使用して軽量化を図りながら、十分な剛性を確保することが可能となり、上部チャック部材23及び下部チャック部材24の取付強度も十分なものとすることができる。
【0020】
したがって、ケーシングチューブ挿通孔17a,17b,17cの内径を、外径が3000mmを超えるケーシングチューブ、例えば、外径が3200mmのケーシングチューブを挿通可能な大きさに形成しても、各フレーム12,14,16の短辺側寸法や高さ寸法が大きくなること及び重量が増加することを抑えることができ、輸送制限範囲内に収めることが可能となる。
【0021】
特に、油圧モータ20を備えたドライブフレーム14では、油圧モータ20を取り付ける部分の強度を向上させることができるので、従来よりも大容量の油圧モータ20を取り付けることが可能となり、油圧モータ20の必要数を少なくすることができる。これにより、従来は外径が3000mmのケーシングチューブを対象とした大型のチュービング装置では、計10台の油圧モータ20を必要としていたのに対し、大容量の8台の油圧モータ20で、外径が3200mmのケーシングチューブを確実に回転駆動させることが可能となる。さらに、油圧モータ20を片側に4台ずつとすることにより、ドライブフレーム14の両短辺側14aで、両隅部に配置された昇降シリンダ13同士の間に4台の油圧モータ20を全て配置することが可能となることにより、ドライブフレーム14の輸送時に油圧モータ20の一部を取り外す必要がなくなり、油圧モータ20を取り付けたままの状態でドライブフレーム14を輸送することができる。
【0022】
すなわち、図12に示すように、ドライブフレーム14に10台の油圧モータ20d,20eを配置する場合には、ドライブフレーム14の本体部における短辺側寸法の輸送時の制約から、昇降シリンダ13同士の間に5台の油圧モータ20d,20eを配置するスペースを確保できず、3台の油圧モータ20dを昇降シリンダ13同士の間にそれぞれ配置し、昇降シリンダ13に隣接する本体部の長辺側に両端側2台の油圧モータ20eをそれぞれ配置しなければならなかった。このため、図12(a)に示すように、輸送時にドライブフレーム14を輸送車両(低床トレーラ)70の荷台に支持具71を介して約45度に傾斜させた状態で載置したときに、両端側2台の油圧モータ20eの上部が幅方向及び高さ方向に突出して輸送時の障害になるため、図12(b)に示すように、輸送時には両端側2台の油圧モータ20eをドライブフレーム14から取り外す必要があり、輸送の前後に両端側2台、計4台の油圧モータ20eを着脱する作業を行わなければならなかった。
【0023】
これに対し、図13に示すように、昇降シリンダ13同士の間の両短辺側14aに、各4台の油圧モータ20をそれぞれ配置した場合は、ドライブフレーム14を輸送車両70の荷台に支持具71を介して約45度に傾斜させて載置したときに、油圧モータ20の上部がドライブフレーム14の本体部の幅方向及び高さ方向に突出しないようにすることができる。したがって、外径が3200mmのケーシングチューブを挿通可能な径のケーシングチューブ挿通孔17a,17b,17cを有するチュービング装置11であって、ドライブフレーム14の本体部の短辺側14aの最大寸法が3500mmを超える長さを有する場合であっても、支持具71によってドライブフレーム14の一方の長辺側を下に、他方の長辺側を上にしてあらかじめ設定された角度、通常は約45度に傾けた状態とすることにより、油圧モータ20の上部がドライブフレーム14の上端16hから突出せず、かつ、ドライブフレーム14の側端16wからも突出しない状態とすることができる。
【0024】
これにより、輸送時の状態における油圧モータ20を含むドライブフレーム14の水平方向の最大寸法W及び鉛直方向の最大寸法Hをそれぞれ3500mm未満の長さに収めることができ、輸送時の輸送車両70を含めた全高を所定高さ以下、例えば、標準的な横断歩道橋の高さの4700mm未満、電車線のレール面からの高さの5000mm未満にすることができるので、外径が3200mmのケーシングチューブを対象とした大型のチュービング装置11であっても、各フレーム12,14,16に分割することにより、油圧モータ20をドライブフレーム14に取り付けた状態のままで、一般的な道路を使用してチュービング装置11を輸送することができる。
【0025】
したがって、チュービング装置11を輸送する際の作業性を向上させることができ、チュービング装置11の輸送効率を大幅に向上させることができる。なお、油圧モータ20を装着することによってチュービング装置11を輸送する際の各部の中で最大の大きさ及び重量となるドライブフレーム14を輸送可能な範囲で形成することにより、他のベースフレーム12やチャックフレーム16は、ドライブフレーム14と同じような構造で形成することで、問題なく輸送することができる。
【0026】
なお、チュービング装置の全体的な構成や施工作業内容は、従来のチュービング装置と同等であり、上部チャック部材の内周側にアタッチメントを装着することによって外径が細いケーシングチューブの施工を行うこともできる。
【符号の説明】
【0027】
11…チュービング装置、12…ベースフレーム、13…昇降シリンダ、13a…保護筒、13b,13c…昇降シリンダ接続部、14…ドライブフレーム、14a…短辺側、15…チャックシリンダ、15a、15b…チャックシリンダ接続部、16…チャックフレーム、17a,17b,17c…ケーシングチューブ挿通孔、18…下部ベアリング、18a…外輪、18b…転動部材、19…下部回転体、19a…大径ギア、20…油圧モータ、20a…モータ本体部、20b…減速機、20c…駆動ギア、20d,20e…油圧モータ、21…上部ベアリング、21a…外輪、21b…転動部材、21c…内輪、22…上部回転体、23…上部チャック部材、23a…テーパー面、24…下部チャック部材、24a…テーパー面、25…手摺、26…作業台、27…梯子、31…上面板、32…下面板、33…外板、34…外周壁、34a…開口、35…下部連結板、36…上部連結板、37…内周壁、38…箱状リング部、39…内部連結板、40…取付ボルト、51…上面板、52…下面板、53…外板、54…外周壁、55…下部連結板、56…上部連結板、57…内周壁、57a…円錐面、58…箱状リング部、59…内部連結板、60…取付ボルト、61…リンク、70…輸送車両、71…支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に4本の昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方に4本のチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通してそれぞれ設けられたケーシングチューブ挿通孔と、前記ドライブフレームのケーシングチューブ挿通孔の内周に下部ベアリングを介して回転可能に設けられた下部回転体と、前記ドライブフレームに設けられて前記下部回転体を回転駆動するための複数の油圧モータと、前記チャックフレームのケーシングチューブ挿通孔の内周に上部ベアリングを介して回転可能に設けられた上部回転体と、該上部回転体と前記下部回転体とにそれぞれ設けられた上部チャック部材及び下部チャック部材とを備え、前記ベースフレーム、ドライブフレーム、チャックフレーム、昇降シリンダ及びチャックシリンダを分割して輸送するチュービング装置において、前記ドライブフレームは、中央部に前記ケーシングチューブ挿通孔を有する平面視長方形状に形成され、該ドライブフレームの四隅部にそれぞれ配置された前記昇降シリンダと、ドライブフレームの長辺側で前記昇降シリンダに隣接する位置にそれぞれ配置された前記チャックシリンダと、ドライブフレームの短辺側で両隅部に配置した前記昇降シリンダの間にモータ本体部が上方に突出した状態で配置された複数の前記油圧モータとを備え、前記ドライブフレーム本体の短辺側の最大寸法が3500mmを超える長さを有するとともに、該ドライブフレーム本体の一方の長辺側を下に、他方の長辺側を上にしてドライブフレームをあらかじめ設定された角度に傾斜させたときに、ドライブフレーム本体の上面から突出した前記油圧モータを含むドライブフレームの水平方向の最大寸法及び鉛直方向の最大寸法がそれぞれ3500mm未満の長さに形成されていることを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
前記油圧モータは、前記昇降シリンダの間に4台の同一仕様の油圧モータが設けられていることを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−117251(P2012−117251A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266692(P2010−266692)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】