説明

チューブポンプ及び画像形成装置

【課題】長期使用によって弾性チューブと支持板とが擦れてチューブが損傷、破損する。
【解決手段】ポンプハウジング101の支持板104とコロ106を介して反対側の内壁部には磁力発生手段としての永久磁石111を設けるとともに、弾性チューブ102を磁性体で形成することで、支持体104と対向する側のハウジング101の内壁面101a側に弾性チューブ102を引き付け、弾性チューブ102と支持板104とを磁力によって離間させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブポンプ及び液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば記録液の液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドから記録液、例えばインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、液体とは記録液、インクに限るものではなく、画像形成を行うことができる液体であれば特に限定されるものではない。また、液体吐出装置とは、液体吐出ヘッドから液体を吐出する装置を意味する。
【0004】
このような液体吐出装置を備えて画像を形成する画像形成装置においては、液体(以下「インク」という。)を吐出する記録ヘッドの性能を維持回復する維持回復機構が備えられ、記録ヘッドのノズル面(ノズルが形成された面)をキャップ部材で密封し、キャップ部材に接続したチューブポンプで構成した吸引ポンプを駆動して、記録ヘッドのノズルからインクを強制排出することが行われる。
【0005】
チューブポンプに関して、従来、特許文献1、2に記載されているように弾性チューブを押圧する押圧部材であるコロの形状をテーパ状やつづみ形状にして、弾性チューブがポンプ軸方向にずれるのを防止することで、弾性チューブとコロ支持板との接触を回避しチューブの寿命を延ばすようにしたものがある。
【特許文献1】特開2006−212901号公報
【特許文献2】特開2001−304138号公報
【0006】
また、特許文献3に記載されているようにポンプの出口側と入口側にある弾性チューブの固定部に傾斜を付けて弾性チューブがずれにくくし、弾性チューブのコロ支持板との接触を回避しチューブの寿命を延ばすものがある。
【特許文献3】特開2003−21081号公報
【0007】
また、特許文献3、4に記載されているようにチューブがポンプ軸方向にずれるのを防止し、中央に位置規制するチューブ位置規制用突起を、チューブを押圧するローラの前後に取り付けたものがある。
【特許文献4】特開2004−124812号公報
【特許文献5】特開2000−015830号公報
【0008】
また、特許文献6に記載されているように押圧部材に永久磁石を使用しチューブを磁性体とすることでチューブの弾性力のみならず磁力でチューブを復元させるものがある。
【特許文献6】特開2005−36738号公報
【0009】
その他、特許文献7に記載されているようにハウジングのチューブ押圧部にチューブの嵌入溝を設けて、チューブの動きを規制し、チューブ押圧部材とハウジングを磁力吸引し両者が確実に密着するようにしたものもある。
【特許文献7】特開昭62−024067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
チューブポンプは、支持板に回転自在に保持された押圧部材で弾性チューブを押圧することによってポンプ機能を持たせるものであるが、長期使用によって弾性チューブと支持板とが擦れてチューブが損傷、破損するという問題がある。そこで、上述したように種々の対策が講じられているのであるが、未だ解決を見ていない。
【0011】
つまり、引用文献1、2に記載のようにコロをテーパ形状やつづみ形状にする場合、テーパ量などが少ないと効果が生じないことから、コロを大径にしなければならず、ポンプが大型化することになる。したがって、画像形成装置に適用した場合に装置が大型化することになる。また、チューブを押圧する圧力がチューブの位置によって差が生じ、負荷が高いところのチューブは逆に寿命が短くなるという課題がある。
【0012】
特許文献3に記載のように傾斜をつけてチューブのずれを抑えるには非常に大きな傾斜が必要であり、上述した同様にポンプが大型化することになる。したがって、画像形成装置に適用した場合に装置が大型化することになる。また、チューブをポンプハウジングに組付けるときにチューブが正常は位置に組みつけられなかったとき、効果がないという課題もある。
【0013】
特許文献4、5に記載のようにチューブ位置規制用突起を設けた場合、長時間ポンプを使用するとズレ防止のためのローラとチューブとの接触によりチューブが徐々に破損し、最終的にその部分からチューブが裂けてポンプとして機能しなくなるという課題がある。
【0014】
特許文献6に記載のように押圧部材に永久磁石を使用しチューブを磁性体とすることでチューブの弾性力のみならず磁力でチューブを復元させるというだけでは、チューブの位置を規制することはできないため、チューブの破損を防止することはできないという課題がある。
【0015】
特許文献7に記載のものにあっては、ハウジングのチューブ押圧部にチューブの嵌入溝を設けて、チューブの動きを規制するとしているが、実際は溝が浅いとチューブを固定することができず、深いとチューブを押圧部材で十分に押圧できなくなりポンプとして機能しないという課題がある。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、チューブポンプやこれを備える画像形成装置においてポンプを大型化することなく寿命を延ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記に課題を解決するため、本発明に係るチューブポンプは、ハウジングの壁面に沿って弾性チューブが配置され、この弾性チューブを押圧する押圧部材を回転可能に支持する支持板がハウジングに対して回転自在に装着されるチューブポンプにおいて、弾性チューブと支持板とが磁力によって離間している構成とした。
【0018】
ここで、ハウジングの壁面側に磁力を発生する磁力発生手段が設けられ、弾性チューブに磁性体が設けられて、磁力発生手段で発生する磁力で弾性チューブが壁面側に引き付けられる構成とすることができる。この場合、磁力発生手段は壁面の弾性チューブが対向する領域の全域に設けられている構成、あるいは、磁力発生手段は壁面の弾性チューブが対向する領域の一部に設けられている構成とすることができる。また、磁性体は弾性チューブの壁面に対向する領域の全域に取り付けられている構成、あるいは、磁性体は弾性チューブの壁面に対向する領域の一部に取り付けられている構成とすることができる。
【0019】
また、支持板に磁力を発生する磁力発生手段が設けられ、弾性チューブに支持板の磁力発生手段で発生する磁力に対して反発する極の磁力発生手段を有する構成とすることができる。また、磁力発生手段が永久磁石である構成、あるいは、磁力発生手段が電磁石である構成とすることができる。また、磁力発生手段は着脱自在である構成とすることができる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係るチューブポンプを備えたものである。
【0021】
ここで、前記電磁石を有するチューブポンプを備えている場合、電源投入状態では常時電磁石に給電する構成とすることができる。あるいは、電磁石に給電するタイミングが可変である構成とすることができ、このばあい、チューブポンプを駆動しているときに電磁石に給電する構成、予め定められた時間ごとに電磁石に給電する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るチューブポンプ及び本発明に係る画像形成装置によれば、チューブポンプの支持板と弾性チューブとは磁力によって離間するので、接触が回避されて弾性チューブの損傷、破損が防止されて、大型化することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成図、図2は図1の右側面説明図、図3は同装置の記録部の斜視説明図、図4は同装置のキャリッジの底面から見た斜視説明図である。
【0024】
この画像形成装置は複写装置であり、装置本体1は原稿画像を読取るスキャナなどの画像読み取り部2と、被記録媒体(以下「用紙」という。)Pに画像を形成する記録部3と、記録部3に用紙Pを給紙する給紙カセット部4とを備えている。そして、給紙カセット部4に収納された用紙Pが給紙コロ5及び分離パッドで1枚ずつ分離されて給送され、搬送路7を通じて印字部10に搬送されて所要の画像が記録され、画像が形成された用紙Pは排紙経路8を通って排紙スタック部9に排紙されてスタックされる。
【0025】
ここで、印字部10は、図3にも示すように、キャリッジガイド(ガイドロッド)21と図示しないガイドステーで、キャリッジ23を主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28と従動プーリ29間に架け渡したタイミングベルト30を介して主走査方向に移動走査する。
【0026】
そして、このキャリッジ23上には、それぞれブラック(K)インクを吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24kと、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するそれぞれ1個の液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24c、24m、24y(色を区別しないとき及び総称するときは「記録ヘッド24」という。)を搭載している。
【0027】
各記録ヘッド24は、図4にも示すように、液滴を吐出する複数のノズル31が列状に並べられたノズル列32を2列有し、ノズル列32が主走査方向(キャリッジ23の移動方向)と直交する方向になるようにキャリッジ23にノズル31が形成された面(ノズルノズル面31aという。)を下方に向けて搭載されている。また、各記録ヘッド24にはインクカートリッジ26から所要の色のインクが供給される。
【0028】
なお、記録ヘッド24としては、インク流路内(圧力発生室)のインクを加圧する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどを用いることができる。
【0029】
また、キャリッジ23の下方には、用紙Pを静電吸着などして搬送する無端状の搬送ベルト35が配置されている。この搬送ベルト35は駆動ローラ36と従動ローラ37との間に掛け回されて周回移動することで用紙Pを主走査方向と直交する方向に搬送する。
【0030】
さらに、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、図2及び図3に示すように、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(装置)38を配置し、走査方向他方側の非印字領域には空吐出を行うための空吐出受け部材39を配置している。
【0031】
維持回復機構38は、記録ヘッド24の各ノズル面31aをキャッピングする複数のキャップ部材41(吸引キャップ41aと3個の保湿キャップ42b)と、記録ヘッド24のノズル面31aをワイピングするためのワイピング部材であるワイパーブレード42と、空吐出受け43とが配置されている。吸引キャップ41aには本発明に係るチューブポンプを用いた吸引ポンプ45を接続し、吸引ポンプ45から排出チューブ46を介して下側に配置される廃棄インクを収容する廃液容器40に排出するようにしている。また、空吐出受け部材39には4つの開口部39aが形成されている。
【0032】
次に、維持回復機構38におけるヘッド吸引(ノズルから強制的にインクを排出する動作)を行う部分について図5を参照して説明する。
記録ヘッド24のノズル31内のインクが増粘などして正常にインク滴吐出が行えなくなった場合や所定のタイミングで、記録ヘッド24のノズル面31aを吸引キャップ41aで密封して、吸引ポンプ45をモータ47で回転駆動することによって、ノズル面31aと吸引キャップ41aで形成される内部空間を負圧にすることによって、ノズル31からインクを吸引排出させる。このとき生じる排出されたインクは廃液として吸引ポンプ45から廃液容器40に排出される。
【0033】
そこで、吸引ポンプ45を構成している本発明の第1実施形態に係るチューブポンプについて図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は同チュービングポンプの正面説明図、図7は同じく断面説明図である。
このチュービングポンプ100は、円弧型のポンプハウジング101に弾性チューブ102を這い回し、その内側に回転軸(ポンプ軸)103を支点としてポンプホイル(支持板)104が回転する。支持板104には支軸105に支えられたコロ(ローラ)106が回動自在に取り付けられ、コロ106がチューブ102を押しつぶすように設置されている。ポンプ軸103が回転することでコロ106が弾性チューブ102を押しつぶしながら支持板104に従って回転することで、弾性チューブ102内部の液体などが支持板104の回転方向に排出される。
【0034】
そして、この実施形態では、ポンプハウジング101の支持板104とコロ106を介して反対側の内壁部には磁力発生手段としての永久磁石111を設けるとともに、弾性チューブ102を磁性体で形成する(若しくは磁性体を混入、貼り付けなどでもよい。)ことで、支持体104と対向する側のハウジング101の内壁面101a側に弾性チューブ102を引き付け、弾性チューブ102と支持板104とを磁力によって離間させている。
【0035】
これにより、弾性チューブ102を磁力によって支持体104から離間させているので、弾性チューブ102と支持体104との接触が低減して、弾性チューブ102の損傷、破損が防止される。そして、磁力によって引き付けるので、ポンプ自体が大型化することも抑えられる。
【0036】
このように、磁力によって弾性チューブと押圧部材(コロ)支持板との接触を回避することによって弾性チューブの破損を防ぎ、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。そして、ポンプハウジングに磁力発生手段を配置し、弾性チューブを磁性体にする(磁性体を組み込むことも含む。)ことで弾性チューブの押圧部材支持板との接触を回避してチューブポンプの寿命を延ばすとともに、弾性チューブをハウジングに対して確実に取り付けることが可能となるため、吸引量の安定にもつながる。
【0037】
この点について図8に示す比較例との対比で説明すると、チューブポンプは弾性チューブを押圧部材(コロ)によって押圧しその位置を徐々に変化させていくことによって送液を行うものであるが、チューブポンプの構成上、押圧を繰り返すことによる弾性チューブの弛み等によって、比較例の構成では弾性チューブ102は図8に仮想線で示すように右方向にずれることがある。このずれが大きくなると弾性チューブ102が回転している押圧部材支持板104に接触し、弾性チューブ102は擦れて削れ、最終的に削れがチューブ肉厚分まで進むと正常な負圧を形成することができなくなり、ポンプとして機能しなくなる。
【0038】
そこで、上述したように弾性チューブ102と支持板104とを磁力によって離間させることで、弾性チューブ102と支持体104との接触を防止することができる。
【0039】
ここで、ポンプハウジング101側での磁石111は、図9に示すように弾性チューブ102が対向する壁面101aの領域の全域に設けられていてもよいし、あるいは、図10に示すように弾性チューブ102が対向する壁面101aの領域の一部に断片的に設けられていてもよい。また、弾性チューブ102の磁性体とする領域は、図11に示すように壁面101aに対向する領域の全域に磁性体112が取付けられていてもよいし、あるいは、図12に示すように壁面101aに対向する領域の一部に断片的に磁性体112が取付けられていてもよい。
【0040】
このように、ポンプハウジングに搭載する磁力発生手段を弾性チューブとの接触面全域に対応して配置することによって、磁力を強くし、より確実に弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避しチューブポンプの寿命を延ばすことができる。また、ポンプハウジングに搭載する磁力発生手段を弾性チューブとの接触面に断片的に対応して配置することにより、磁力発生手段の部品コストを下げることができ、低コストで、弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避しチューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0041】
また、弾性チューブに取付ける磁性体をチューブ全域に配置することで、磁力を強くし、より確実に弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。また、弾性チューブに取付ける磁性体を弾性チューブに断片的に配置することで、磁性体の部品コストを下げることができ、低コストで、弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0042】
また、磁力発生手段に永久磁石を用いることで、簡単な構成で、弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態に係るチュービングポンプについて図13を参照して説明する。なお、図13は同チュービングポンプの断面説明図である。
ここでは、支持板104内に弾性チューブ102側がN極となる磁石113を配置し、弾性チューブ102な支持板104側がN極となる磁石部材114を設けている。これにより、弾性チューブ102は支持板104との間で反発して離間する。
【0044】
このように、弾性チューブと押圧部材支持板との間に反発する磁石を配置することによって、より確実に弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0045】
次に、本発明の第3実施形態にかかる画像形成装置の制御部について図14のブロック図を参照して説明する。
ここでは、チュービングポンプ100に弾性チューブ102を支持板104から磁力で離間させる磁力発生手段として電磁石121を備えている。磁力発生手段に電磁石を使用することで、安価に弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避しチューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0046】
そして、メイン制御部120は、キャリッジ24を駆動する主走査モータ27、記録ヘッド24、維持回復機構(メンテナンスユニット)38の図示しない昇降用モータ(吸引ポンプ45のモータ47を兼ねることもできる。)、吸引ポンプ45(チューブポンプ100)のモータ47、吸引ポンプ45の電磁石121の駆動制御を行う。
【0047】
そこで、電磁石121の駆動制御の第1例について図15のフロー図を参照して説明する。
ここでは、マシン(画像形成装置)の電源がオン状態になったときには電磁石121に給電(電流投入)し、電源がオフ状態になったときには処理を終了する。これにより、装置の電源が投入されている間は常時電磁石121に給電されて弾性チューブ102は支持板104から離間した状態になる。このように構成することで、複雑な制御を行うことなく、簡単な構成で、弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0048】
次に、電磁石121の駆動制御の第2例について図16のフロー図を参照して説明する。
ここでは、チューブポンプ100に動作指令が入力されたときには電磁石121に給電(電流投入)し、ポンプ100が停止したときには処理を終了する。これにより、吸引ポンプ45(チューブポンプ100)が駆動されている間は電磁石121に給電されて弾性チューブ102は支持板104から離間した状態になる。
【0049】
このように電磁石に常時給電しないで給電するタイミングを可変とすることによって電磁石による消費電力を抑えつつ弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0050】
また、弾性チューブが押圧部材支持板と接触して破損するのはポンプが駆動されているときであるので、ポンプが駆動されているときのみ電磁石に給電することによって、消費電力を抑えつつ弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0051】
次に、電磁石121の駆動制御の第3例について図17のフロー図を参照して説明する。
ここでは、マシン稼働時間t1、電磁石電流投入時間(給電時間)t2をリセット(t1、t2=0)した後、マシン稼働時間t1が予め定めた電磁石121に電流を投入する間隔の時間T1になった(t1=T1)か否かを判別し、t1=T1になったときには電磁石121に給電(電流投入)し、次いで、電磁石電流投入時間(給電時間)t2が予め定めた給電時間T2になった(t2=T2)か否かを判別し、t2=T2になったときには電磁石121への給電を停止し、マシンの電源がOFF状態になれば、この処理を抜ける。これにより、電磁石には所定時間毎に所定時間給電されて、弾性チューブ102が支持体104から離間する方向に移動される。
【0052】
つまり、弾性チューブがずれて押圧部材支持板と接触するのはポンプ駆動中毎回起きることではなく、ある程度の時間が経過すると生じる現象である。したがって、予め実験などで弾性チューブがずれて押圧部材支持板と接触し始める時間を計測しておき、それよりも短い時間間隔で電磁石に給電することで、消費電力を抑えつつ弾性チューブと押圧部材支持板との接触を回避し、チューブポンプの寿命を延ばすことができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施形態に係るチューブポンプについて図18を参照して説明する。なお、図16は同チュービングポンプの断面説明図である。
ここでは、ポンプハウジング101に磁石挿入口部131を設けて、磁石111を着脱自在に装着している。なお、磁石挿入口部131には磁石111の脱落を防止するための弾性変形可能な脱落防止部132を設けている。
【0054】
このように、磁力発生手段をチューブポンプから着脱可能な形状にすることにより、磁力が劣化したときには磁力発生手段のみを簡単に取り替えることができ、リサイクル性をよくすることができ、環境にやさしいチューブポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図1の左側面説明図である、
【図3】同装置の印字部の斜視説明図である。
【図4】同装置のキャリッジの底面から見た斜視説明図である。
【図5】ヘッド吸引の説明に供する説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るチューブポンプの正面説明図である。
【図7】同じく断面説明図である。
【図8】比較例のチューブポンプの断面説明図である。
【図9】ポンプハウジング側の磁石の配置例の説明に供する説明図である。
【図10】ポンプハウジング側の磁石の配置の他の例の説明に供する説明図である。
【図11】弾性チューブの磁性体の配置例の説明に供する説明図である。
【図12】弾性チューブの磁性体の配置の他の例の説明に供する説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るチューブポンプの断面説明図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の制御部の説明に供するブロック説明図である。
【図15】同制御部による電磁石の制御の第1例の説明に供するフロー図である。
【図16】同制御部による電磁石の制御の第2例の説明に供するフロー図である。
【図17】同制御部による電磁石の制御の第3例の説明に供するフロー図である。
【図18】本発明の第4実施形態に係るチューブポンプの断面説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1…装置本体
2…画像読取部
3…記録部
4…給紙カセット部
P…用紙(被記録媒体)
10…印字部(エンジンユニット)
23…キャリッジ
24…記録ヘッド
31…ノズル
31a…ノズル面
32…ノズル列
35…搬送ベルト
38…維持回復機構部
41…キャップ部材
42…ワイパ部材
43…空吐出受け
45…吸引ポンプ
100…チューブポンプ
101…ポンプハウジング
102…弾性チューブ
103…ポンプ軸
104…支持板(押圧部材支持板)
106…コロ(押圧部材)
111、113、114…永久磁石
112…磁性体
121…電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの壁面に沿って弾性チューブが配置され、この弾性チューブを押圧する押圧部材を回転可能に支持する支持板がハウジングに対して回転自在に装着されるチューブポンプにおいて、前記弾性チューブと前記支持板とが磁力によって離間していることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記ハウジングの壁面側に磁力を発生する磁力発生手段が設けられ、前記弾性チューブに磁性体が設けられて、前記磁力発生手段で発生する磁力で前記弾性チューブが前記壁面側に引き付けられることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載のチューブポンプにおいて、前記磁力発生手段は前記壁面の前記弾性チューブが対向する領域の全域に設けられていることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項4】
請求項2に記載のチューブポンプにおいて、前記磁力発生手段は前記壁面の前記弾性チューブが対向する領域の一部に設けられていることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記磁性体は前記弾性チューブの前記壁面に対向する領域の全域に取り付けられていることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項6】
請求項2ないし4のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記磁性体は前記弾性チューブの前記壁面に対向する領域の一部に取り付けられていることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項7】
請求項1に記載のチューブポンプにおいて、前記支持板に磁力を発生する磁力発生手段が設けられ、前記弾性チューブに前記支持板の磁力発生手段で発生する磁力に対して反発する極の磁力発生手段を有することを特徴とするチューブポンプ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記磁力発生手段が永久磁石であることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記磁力発生手段が電磁石であることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のチューブポンプにおいて、前記磁力発生手段は着脱自在であることを特徴とするチューブポンプ。
【請求項11】
液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置において、請求項1ないし10のいずれかに記載のチューブポンプを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置において、請求項9に記載のチューブポンプを備え、電源投入状態では常時前記電磁石に給電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置において、請求項9に記載のチューブポンプを備え、前記電磁石に給電するタイミングが可変であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成装置において、前記チューブポンプを駆動しているときに前記電磁石に給電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項13に記載の画像形成装置において、予め定められた時間ごとに前記電磁石に給電することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−223608(P2008−223608A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63247(P2007−63247)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】