説明

チューブ容器用の加圧容器およびそれを用いた加圧式チューブ製品

【課題】チューブ容器の交換が容易であり、かつ、そのチューブ容器の全量噴射を容易に行うことができるチューブ容器用の加圧容器を提供する。
【解決手段】外部容器11と、その内部に収容される内袋12と、外部容器11と内袋12との間の空間を密閉すると共に、内袋12を開口して保持し、外部容器11の口部に固定される蓋体13と、その蓋体の外周に取り付けられる吐出部材14とからなる加圧容器10。この加圧容器10の内袋12にチューブ容器Cを収容することにより加圧式チューブ製品1となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器用の加圧容器およびそれを用いた加圧式チューブ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−49254号公報
【特許文献2】特開平11−179250号公報
【0003】
近年、環境問題が提起される中、内容物を再充填して再使用するリフィル容器、あるいは、内容物を有するカートリッジを交換して再使用する製品が生産されている。
一方、チューブ製品は、使用者がチューブ容器を押しつぶして使用するが、内容物の減少と共にチューブ容器は潰しにくくなり、その使用が困難になる。特に、体の不自由な人あるいはお年寄りにとっては、内容物を全量使用することは難しい。
【0004】
特許文献1には、チューブ容器内の内容物を全量押し出し可能な押し出し容器が開示されている。このものは、上部に内容物を噴射する噴射部を備えており、下部に加圧気体を導入する導入口を備えている。この押し出し容器にチューブ容器を収容し、そして、導入口より加圧気体を導入することによって製品となる。
この製品は、噴射部を開くことだけで、チューブ容器が加圧気体に押しつぶされて内容物を噴射することができる。そのため、チューブ容器内の内容物の全量使用が簡単に行え、また、内容物が無くなれば、チューブ容器を交換し、再度加圧気体を充填することにより、何回でも使用することができる。
【0005】
一方、特許文献2には、内容物を充填することによって、繰り返し使用できるエアゾール製品が開示されている。このものは、外部容器内にピストン式の容器を収容し、外部容器とピストンとの間に加圧気体を充填し、ピストン式の容器内に内容物を充填する。これにより、外部容器の開口部に取り付けられたバルブを開放することにより、ピストン式の容器内のピストンが加圧気体によって押され、内容物が押し出されるものである。そして、ピストン式の容器の内容物を全量噴射した後は、バルブから内容物を再度充填することにより容器を何回でも再利用することができるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の場合、チューブ容器を交換する際、再度加圧気体を充填しなければならない。このような加圧気体の充填には、高圧ガスの充填装置が必要であり、家庭や店頭では難しい。一方、特許文献2の場合も、ピストンを押圧する加圧気体に逆らって内容物を充填しなければならないため、特別な充填装置が必要である。
本発明は、チューブ容器の交換が容易であり、かつ、そのチューブ容器内の内容物を容易に全量吐出することができるチューブ容器用の加圧容器およびそれを用いた加圧式チューブ製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のチューブ容器用の加圧容器は、有底筒状の外部容器と、その外部容器に収容される可撓性の内袋と、前記外部容器および内袋の間の空間を密閉すると共に、内袋を開口して保持し、前記外部容器の開口部に固定される蓋体と、前記空間に充填される加圧剤とからなることを特徴としている。
【0008】
本発明のチューブ容器用の加圧容器の第2の態様は、開口部を有する外部容器と、その外部容器に収容される弾力性を有する内袋と、その内袋を開口して保持し、外部容器の開口部に固定される蓋体とからなることを特徴としている。
【0009】
上述したいずれかの加圧容器であって、前記蓋体または外部容器に着脱自在な吐出部材を有し、前記吐出部材が、吐出口と、内袋に収容されるチューブ容器の口部と連結するチューブ装着部と、吐出口とチューブ装着部とを連通する連通路と、その連通路をシールするシール部と、そのシール部を開放する開放手段を備えているものが好ましい。また、前記蓋体または外部容器に着脱自在な連結部材を有し、前記連結部材が、吐出口を有する器具と連結する連結部と、内袋に収容されるチューブ容器の口部と連結するチューブ装着部と、連結部とチューブ装着部とを連通する連通路と、その連通路をシールするシール部とを備えているものが好ましい。
【0010】
このような加圧容器であって、内袋が蓋体に保持される断面円形の首部と、断面楕円形の胴部を有しているものがよい。また、内袋は、その胴部から底部にかけて断面積が小さくなっているものが好ましい。
【0011】
本発明の加圧式チューブ製品は、本発明のチューブ容器用の加圧容器と、開口した内袋に挿入されるチューブ容器とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のチューブ容器用の加圧容器は、内袋にチューブ容器を挿入することによって使用する。これにより、外部容器と内袋との間の空間(内袋の周囲空間)に充填される加圧剤により内袋が押圧され、使用者はチューブ容器を絞ることなく内容物を吐出させることができる。また、チューブ容器の交換も内袋から取り出し、新しいチューブ容器を内袋の開口に挿入するだけでよく、その交換作業も簡単である。さらに、加圧剤を充填する外部容器と内袋の間の空間を蓋体によって密閉するため、加圧容器を繰り返し使用することができ、使用者はチューブ容器の交換時に、加圧剤の充填を行う必要がない。
【0013】
本発明のチューブ容器用の加圧容器の第2の態様は、内袋自身が弾力性を有しているため、内袋にチューブ容器を挿入することによってチューブ容器が内袋の収縮力を受け、内容物を吐出させることができる。また、チューブ容器の交換が簡単である。
【0014】
上述したいずれかの加圧容器であって、蓋体または外部容器に着脱自在な前述の吐出部材を有するものは、吐出部材を備えることによって、加圧容器からのチューブ容器の飛び出しを防止することができる。また、吐出部材の操作手段を操作するだけで、チューブ容器内の内容物を吐出口から吐出させることができるため、その使用が容易である。さらに、チューブ容器の交換も、吐出部材をチューブ容器と共に取り外し、チューブ装着部に新しいチューブ容器を取り付けるだけでよく、簡単である。また、チューブ容器を内袋に挿入するとき、チューブ容器は加圧剤や内袋の収縮力を受けるため、内容物が漏出しやすくなるが、吐出部材に連通路をシールするシール部を設けているため、漏出を防止することができる。
さらに、蓋体または外部容器に着脱自在な前述の連結部材を有する加圧容器は、吐出口を有する器具(ブラシなどの塗布具)等に連結部材の連結部を取り付けるカートリッジとして使用することができる。
【0015】
このような加圧容器であって、内袋が、蓋体に保持される断面円形の首部と、断面楕円形の胴部を有する場合、内袋の胴部は、内袋の周囲空間の内圧により短軸方向の決まった形状に変形するため、内袋にチューブ容器を挿入する開口部分が安定した形状になり、チューブ容器を挿入しやすい。さらに、内袋の首部に蓋体を挿入して保持し、加圧剤を充填するとき、断面円形の首部が、蓋体に対して均等に圧縮し、高いシール性が得られる。
さらに、内袋が、胴部から底部にかけて断面積が小さくなる場合、チューブ容器は底部から圧縮されることになるため、チューブ容器内の内容物を全量吐出することができる。なお、断面積が小さくなる部分は胴部の上端から底部の間で任意に設けることができる。
【0016】
本発明の加圧式チューブ製品は、チューブ容器を潰す操作をしなくても容易にチューブ容器内の内容物を吐出することができ、全量吐出後のチューブ容器の交換が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品を図面を用いて説明する。図1は、本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品の一実施形態を示す側面断面図;図2a、b、cは、図1の内袋を示す斜視図、X−X線断面図、Y−Y線断面図;図3は、図1の蓋体を示す側面断面図;図4aは、図1の吐出部材の操作部材を示す側面断面図、図4bは、図1の吐出部材の装着部材を示す側面断面図;図5a、b、cは、図1の加圧容器の製造工程を示す工程図;図6は、本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品の他の実施形態を示す側面断面図;図7は、本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図;図8a、bは、図7の加圧容器の製造工程を示す工程図;図9は、本発明のチューブ容器用の加圧容器のさらに他の実施形態を示す側面断面図;図10aは、図9の加圧容器を用いた加圧式チューブ製品を示す側面断面図、図10bは、その加圧式チューブ製品の挿入部を示す側面断面図;図11a、bは、図10の加圧式チューブ製品の組み立て工程を示す工程図;図12は、本発明のチューブ容器用の加圧容器のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【0018】
図1のチューブ容器用の加圧容器10は、外部容器11と、その内部に収容される内袋12と、外部容器11の開口部に固定される蓋体13と、その蓋体の外周に取り付けられる吐出部材14とからなる。そして、この加圧容器10の内袋12にチューブ容器Cを収容して加圧式チューブ製品1となる。
【0019】
外部容器11は、アルミニウム、ブリキなどの金属板を絞りしごき加工またはインパクト加工により底部16および円筒状の胴部17を備えた有底筒状に形成し、ついで、その胴部上端にネッキング加工を施して肩部18を形成し、肩部上端にカーリング加工を施してビード部19を形成したものである。なお、合成樹脂や耐圧ガラスなど、耐圧性を有する他の材質のものを用いてもよい。
【0020】
内袋12は、図2a、b、cに示すように、ブロー成形などによって有底筒状に成形される薄肉の合成樹脂製の一体成形品であり、断面が楕円形の胴部21と、上端において断面が円形となるように、かつ、断面積が縮小するように胴部の上端から上方に延びる肩部22と、その肩部から上方に伸びる断面が円形の首部23と、その首部の上端に形成されるフランジ部24と、胴部21の下端に形成され、胴部21よりも断面積が次第に小さくなる底部25とからなる。断面積が次第に小さくなる部分は胴部の下端から底部の間に限定されず、胴部の上端から底部の間で任意に設けることができる。また、胴部21は長軸方向の面を平面としてもよい。また、底部25は、ブロー成形時に胴部の下端(底部)を密閉するピンチオフ部26を備えている。なお、内袋は、外部容器と内袋の間に充填される加圧剤が透過して外部に漏れないように、ガス透過性の低い合成樹脂を用いてガスバリア層を備えることが好ましい。ガス透過性の低い合成樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリアミドなどが挙げられる。そして、このガス透過性の低い合成樹脂と、ポリエチレンやフッ素樹脂などの耐薬品性に優れた合成樹脂を用いて積層構造にした内袋を用いることが好ましい。
【0021】
蓋体13は、図3aに示すように、上端にカール部32を備えた円筒状の被せ部31と、円筒状の挿入部33と、その被せ部31の下端と挿入部33の下端とを連結する連結部34とからなる。
この蓋体13は、図5b、cに示すように、カール部32を内袋のフランジ部24およびシール部材18aを介して外部容器のビード部19に被せ、蓋体13を外部容器11に対して下方に押さえながらクリンプ爪を用いて、被せ部31の中部13aを押し拡げる。このように蓋体13を外部容器11に対してカシメて、取り付けることにより、外部容器11と内袋12の間の空間Sを密閉する。
一方、蓋体13を外部容器11に取り付けることにより、挿入部33がチューブ容器Cを挿入する開口部となり、チューブ容器Cの内袋12への挿入を可能としている。この挿入部33の内径をチューブ容器Cの外径と同じ、もしくは若干小さくなるように設計することにより、チューブ容器Cの保持ができる。
【0022】
吐出部材14は、図1に示すように、蓋体13の外周に着脱自在に装着される装着部材41と、その装着部材に取り付けられる操作部材42とからなる。
【0023】
装着部材41は、図4bに示すように、円板状の基部46と、その基部周縁から下方に延びて、蓋体のカール部31の外周とクリップ嵌合する容器装着部47と、基部の下面中心から突出して形成され、内袋に収容されるチューブ容器Cの口部外周と係合する円筒状のチューブ装着部48と、基部の上面中心から突出して形成され、上底49aを有する円筒状の連結部49とからなる。チューブ装着部の内面48aには、市販のチューブ容器の口部外周に形成された雄ネジとネジ嵌合ができるように、雌ネジが形成されている。さらに、チューブ装着部の内面上端には、ガスケット39が取り付けられている。
【0024】
連結部49には、上部外周に形成された環状凹部51と、その環状凹部51に形成された連通孔52と、環状凹部の下方外周に環状に形成された係合突起53とが形成されている。そして、チューブ装着部48の上方に形成された連結部49の内面は、連通孔52とチューブ装着部48とを連通する内通路50を構成している。また、環状凹部51には、シールリング54が取り付けられており、連通孔52は、通常の状態では、シールリング54によってシールされている。
【0025】
操作部材42は、図4aに示すように、上底を有する円筒部56と、その下端から半径方向外側に突出している操作部57と、前記上底中心に形成された吐出孔58とからなる。
円筒部56の内面上部には、下方を向く段部59が環状に形成されており、円筒部56の中部内面には、前述した連結部の係合突起53と係合する環状突起55が形成されている。
【0026】
吐出部材14は、操作部材の円筒部56に装着部材の連結部49を挿入して構成される(図1参照)。このとき連結部の係合突起53が、円筒部の環状突起55を乗り越えて挿入されるため、操作部材42が装着部材41から容易に外れることがない。また、装着部材のシールリング54の上面と、操作部材の段部59とは当接している。つまり、この状態において、連通孔52はシールリング54によってシールされている。一方、この操作部材の操作部57を装着部材41に対して下方に押し下げることにより、操作部材の段部59がシールリング54を押圧変形させて、連通孔52のシールを開放する。
ここで、チューブ装着部48、内通路50、連通孔52および吐出孔58が特許請求の範囲の文言の連通路を構成する。そして、シールリング54、段部59、および、操作部57の関係が特許請求の範囲の文言の開放手段を構成する。
【0027】
次に図5を参照して、この加圧容器10の製造方法を説明する。初めに、外部容器11に内袋12を挿入する(図5a、参照)。次に、内袋のフランジ部24に、シール部材18aを介して蓋体13を被せ、内袋の首部23の内面と蓋体の被せ部31の円筒部分の外周面とを気密に嵌合させる。そして、外部容器のビード部19と内袋のフランジ部24との間から加圧剤(矢印方向)を充填すると同時に、(アンダーカップ充填)(図5b、参照)蓋体13を内側から外部容器の肩部18に向けて(矢印方向)カシメ付けてカシメ部13aを形成し、外部容器11と内袋12との間の空間Sを密閉(図5c、参照)して製造される。これにより、内袋12は、常時、空間Sに充填された加圧剤により収縮するように押圧される。なお、加圧容器の状態で輸送あるいは販売するときは、内袋を保護するためキャップを蓋体に装着しておくことが好ましい。
【0028】
この加圧容器10を用いた加圧式チューブ製品1の組み立て方法は、初めに市販のチューブ容器Cのキャップを外し、吐出部材のチューブ装着部48と連結させる。次に、加圧容器の蓋体の挿入部33から内袋12にチューブ容器Cを挿入する。このとき、チューブ容器Cは、内袋の胴部21が断面楕円形であり、胴部21の下端から底部25にかけて段々断面積が小さくなるように構成されているため、その挿入がしやすい。そして、チューブ容器Cを装着した吐出部材14を蓋体13に装着する。このように吐出部材14を蓋体13に装着することにより、チューブ容器の飛び出しを防止する。チューブ容器の形状は特に限定されず、たとえば、円筒状の胴部の一端に円筒状の口部を備え、他端を溶着などによりシールしたものや、先端に円筒状の口部を備え有底筒状に成型されたものなど、市販されているものを用いることができる。
【0029】
次に、加圧式チューブ製品1の使用方法は、上述したように吐出部材の操作部41を下方に押すようにして操作することにより、吐出部材14のシールを開放させ、チューブ容器Cの内容物が吐出部材の吐出孔58から吐出される。ここでチューブ容器Cは内袋12によって常時収縮するように押圧されているため、内容物が無くなるまでチューブ容器Cを押圧することができる。また、内袋が胴部21から底部25にかけてその断面積が小さくなるように構成されているため、チューブ容器Cを底部側から圧縮変形することができる。さらに、内袋の胴部21が楕円形の断面形状を有しているため、長軸方向の面が短軸方向に縮むように変形し、チューブ容器を平らに潰し、内容物を全量吐出しやすい。
【0030】
チューブ容器Cの内容物が無くなったときは、吐出部材14を蓋体13から外し、チューブ容器Cを内袋12から取り出す。さらにチューブ容器Cを吐出部材14から外し、新しいチューブ容器Cと交換することができる。このように加圧容器10は、市販のチューブ容器Cの内容物を効率よく容易に吐出することができ、その後のチューブ容器の交換も容易にできる。
【0031】
図6の加圧容器60は、吐出部材61の操作部材62を回転させることによってシールを解除するものである。他の構成は、図1の加圧容器10と実質的に同じものであり、チューブ容器Cを内袋12に挿入することにより加圧式チューブ製品となる。
装着部材63は、基部46と、容器装着部47と、チューブ装着部48と、外周に雄ネジ64aが形成されている円筒状の連結部64とからなる。
連結部64は、上端に形成された縮径した閉止部66と、その閉止部の下方側面に形成された連通孔67と、その連通孔よりも下方側面に形成された雄ネジ64aとからなり、連結部の内面は、連通孔67とチューブ装着部48とを連通する内通路50を構成している。
【0032】
操作部材62は、有底筒状のものであり、上端に前述した閉止部66と嵌合する吐出孔68と、側面から突出したつまみ片65とを備え、内面に雄ネジ64aとネジ嵌合する雌ネジ69を備えている。
【0033】
この吐出部材61は、装着部材63と操作部材62とをネジ嵌合させたとき、閉止部66が吐出孔68に挿入され、吐出孔68をシールするように構成されている。そして、操作部材62を回転させ、上方に移動させることにより、吐出孔68の閉止部66によるシールが開放される。
そのため、この加圧容器60を用いた加圧式チューブ製品は、操作部材62を回転させることにより、加圧剤の圧力によりチューブ容器Cを押圧させ、チューブ容器Cの内容物が吐出孔より吐出される。
【0034】
図7の加圧容器70は、外部容器71、内袋72、蓋体73の固着方法が異なるものであり、他の構成は、図1の加圧容器10と実質的に同じものである。また、吐出部材74の操作部材42の吐出孔75が側面を向いており、吐出部材の上面74aが操作部となる。
【0035】
外部容器71は、図8aに示すように、底部76、胴部77、肩部78、首部79を備えており、首部に環状の係合溝80が形成されている。
内袋72は、胴部21、肩部22、拡径した円筒状の首部23、底部25およびピンチオフ部26を備えており、フランジ部を備えていない。なお、胴部は断面が円形でもよく、楕円形でもよい。また胴部の上端から底部の間で、断面積が次第に小さくなるテーパー部を設けても良い。楕円形にする場合、肩部は上端において断面が円形になるように、かつ、断面積が拡大するように胴部上端から上方に延びる。
蓋体73は、円筒状の栓体81と、その栓体を覆うカバー82とからなる。
【0036】
栓体81は、胴部83と、その胴部上端に形成された半径方向外側に延びる外フランジ部84と、胴部下端に形成された半径方向内側に延びる内フランジ部85とからなる。また、胴部外周の外フランジ部の下には、環状の溝86が形成されており、その溝86には、ドーナッツ状のシール部材87aが嵌合される。なお、内フランジ85はチューブ容器を挿入していないときや、チューブ容器内の内容物が少なくなり、内袋が大きく収縮したときに、内袋が破れないように保護する作用がある。
【0037】
カバー82は、栓体の内面、内フランジ部の上面および外フランジ部の上面と当接する基部87と、その基部下端から上方に立ち上がる円筒状の挿入部88と、基部上端から下方に延びる外枠89とからなる。
【0038】
この加圧容器70は次のように製造される。初めに、図8aに示すように外部容器71内に内袋72を挿入する。次に、蓋体73の栓体81の外周とカバー外枠89内周との間に外部容器の首部79と内袋の首部23を挿入し、栓体81の外周面と内袋の首部23の内面を嵌合する。外部容器71と内袋72との間の隙間S内にアンダーカップ充填により加圧剤を充填する。このとき首部79の上端がシール部材87aに食い込むように押し付け、カバーの外枠89の下端89aを外部容器の係合溝80に対してカシメつける(図8b参照)。
【0039】
この加圧容器70も、図1の加圧容器10と同様に、市販のチューブ容器Cに吐出部材74を取り付け、チューブ容器Cを内袋72内に挿入し、吐出部材74を蓋体73に取り付けることにより加圧式チューブ製品となる。そして、吐出部材の上面74aを押し下げることにより、吐出部材74のシールを開放し、吐出口75からチューブ容器の内容物が吐出される。
また、図1の加圧式チューブ製品1と同様に、チューブ容器Cの内容物が無くなったら、吐出部材74を外部容器71から外してチューブ容器Cを内袋72から取り出し、吐出部材74と連結したチューブ容器Cを容易に新しいものに交換することができる。そして、吐出部材74を加圧容器71に装着することで、繰り返し使用することができる。
【0040】
図9に示す加圧容器90は、底部に加圧剤充填用のバルブを備えた外部容器91と、その外部容器に挿入される内袋92と、その内袋の開口部に挿入されるハウジング93と、前記内袋とハウジングとを外部容器に固定するカバーキャップ94とからなる。
【0041】
外部容器91は、中心に加圧充填用バルブ95が取り付けられた底部96と、その周縁から上方に延びる円筒状の胴部97と、胴部上端から縮径するように形成されたテーパー状の肩部98と、肩部上端から上方に延びる円筒状の首部99と、首部上端から拡径した口部100とを有する。つまり、首部99が環状凹部を形成している。また、首部99と口部100の内径は同じであり、口部100は厚みを有している。このような外部容器91は、合成樹脂や耐圧ガラスなどにより一体成形される。外部容器をポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂や耐圧ガラスなどの透光性を有する材料により成型をする場合、チューブ容器の変形具合を目視で確認することができ、チューブ容器の交換時期がわかりやすい。しかし、金属板から形成してもよい。
【0042】
内袋92は、円筒状の胴部102と、その上端に形成されたフランジ部103とを有する。他の構成は、図1の内袋12と実質的に同じものである。なお、断面が楕円形の胴部を用いてもよく、この場合、図1の内袋と同様に胴部とフランジ部の間に肩部と首部を設けることが好ましい。また胴部の上端から底部の間で、断面積が次第に小さくなるようにテーパー部を設けても良い。
【0043】
ハウジング93は、ポリアセタールやポリアミドなどの合成樹脂により成型され、円筒状の本体104と、その上端に形成された外方に突出した上フランジ部105と、その下端に形成された内方に突出した下フランジ部106とからなる。下フランジ106により、内袋が大きく収縮したときに、破れないように保護されている。
【0044】
カバーキャップ94は、アルミニウムやブリキなどの金属板から成型され、内筒107と、外筒108と、その内筒と外筒とを上端で連結する連結部109とからなる。内筒107がチューブ容器を挿入するための挿入部として作用する。
【0045】
この加圧容器90の組み立て方法は、初めに、外部容器91の口部上面に内袋92のフランジ部103を係合させて、内袋92を外部容器91内に挿入する。次いで、ハウジングの上フランジ部105が内袋のフランジ部103の上になるように外部容器91内に挿入する。さらに、カバーキャップ94の内筒107と外筒108が、外部容器の口部100、内袋の胴部102上端、内袋のフランジ部103およびハウジング93を挟むように、カバーキャップ94を外部容器91の口部に取り付ける。そして、外筒108の下端を、外部容器の首部99(環状凹部)に対してカシメ付けて固定する。これにより、外部容器91と内袋92との間の隙間Sが密閉される。最後に、外部容器の充填用バルブ95から加圧剤を充填することにより完成する。
この加圧容器90は、ハウジング93とカバーキャップ94によって特許請求の範囲の文言の「蓋体」を構成する。
【0046】
図10に加圧容器90にチューブ容器Cを取り付けた連結部材111を装着した加圧式チューブ製品を示す。
連結部材111は、円筒状の外周壁112と、円筒状の内周壁113と、それらの外周壁と内周壁とを上端で連結する円板状の基部114と、基部114の下面中心から下方に突出した筒状の先鋭突起115と、基部の上面中心から上方に突出した筒状の連結部116とからなり、先鋭突起115と連結部116とは内通路117によって連通している。
【0047】
外周壁112の下端には、内側に突出した係合突起118が形成されており、加圧容器の環状凹部と嵌合する。
先鋭突起115の下端は、鋭く尖っており、密閉されたチューブ容器Cの口部を穿刺できるように構成されている。
連結部116は、上部外周に形成された環状凹部119と、その環状凹部に形成された連通孔120と、環状凹部に取り付けられたシールリング121とからなる。つまり、連通孔120は、通常の状態では、シールリング121によってシールされている。
【0048】
このように連結部材111は構成されているため、図11aに示すようにキャップDを備えたチューブ容器Cを連結部材111に直接連結させることができる。つまり、キャップDの上部壁D1を先鋭突起115で破りながら、チューブ容器のキャップDを内周壁113の内部に挿入することにより、連結させることができる(図11b参照)。そして、このチューブ容器Cを連結した連結部材111を加圧容器90に挿入し、装着することにより、加圧式チューブ製品が完成する。なお、この連結部材は、図1、図6、図7の加圧容器に用いても良い。
【0049】
このような加圧式チューブ製品は、たとえば、図10bに示すように、上底を有する円筒状の挿入部126であって、その内面上部に下方を向く段部127を有する器具(たとえば、ブラシなどの塗布具)あるいは自動吐出装置等に連結部材の連結部116を挿入することにより使用できる。つまり、チューブ容器Cの内容物のカートリッジとして使用できる。
【0050】
図12に示す加圧容器130は、内袋として合成ゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、エラストマーなどの弾性体を用いたものであり、外部容器131と、その外部容器に挿入される内袋132と、内袋が取り付けられ、外部容器と連結する蓋体133とからなる。
外部容器131は、合成樹脂や耐圧ガラスなどを用いて有底筒状に成型され、口部134の外周に雄ねじが形成されている。
内袋132は、円筒状の胴部136と、その上端に形成されたフランジ部137とを備えている。また胴部は断面が楕円形のものを用いてもよく、さらに胴部の上部から底部にかけて断面積が次第に小さくなるテーパー部を設けても良い。
蓋体133は、外筒138と、内筒139と、それらを上端で連結する連結部140とからなり、外筒138の内面には、口部の雄ねじと螺合する雌ネジが形成されており、内筒139の下部141の内径が縮径している。この下部141が、チューブ容器の挿入部となる。
【0051】
この加圧容器130の組み立て方法は、初めに内袋のフランジ部137が連結部140と当接するように、内袋132に蓋体の内筒139を挿入させる。その後、蓋体133の雌ネジと、外部容器131の雄ねじとを連結させることにより完成される。このとき、内袋のフランジ部137が外部容器131と蓋体133との間に挟まれるため、内袋132が蓋体133から外れることがない。
そして、内筒139の下部141からチューブ容器Cを挿入して、チューブ容器Cの加圧式チューブ製品が完成する。この加圧容器130に図1の吐出部材14あるいは図10の連結部材111のいずれを用いても良い。
この実施形態において、内袋132は、弾力性を有するので、加圧剤は不要である。しかし、加圧剤を充填してもよい。その場合、内袋が弾力性を有するため、フランジ137がシール材の作用もする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図2a、b、cは、図1の内袋を示す斜視図、X−X線断面図、Y−Y線断面図である。
【図3】図3aは、図1の蓋体を示す側面断面図である。
【図4】図4aは、図1の吐出部材の操作部材を示す側面断面図であり、図4bは、図1の吐出部材の装着部材を示す側面断面図である。
【図5】図5a、b、cは、図1の加圧容器の製造工程を示す工程図である。
【図6】本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品の他の実施形態を示す側面断面図である。
【図7】本発明のチューブ容器用の加圧容器および加圧式チューブ製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図8】図8a、bは、図7の加圧容器の製造工程を示す工程図である。
【図9】本発明のチューブ容器用の加圧容器のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図10】図10aは、図9の加圧容器を用いた加圧式チューブ製品を示す側面断面図であり、図10bは、その加圧式チューブ製品の挿入部を示す側面断面図である。
【図11】図11a、bは、図10の加圧式チューブ製品の組み立て工程を示す工程図である。
【図12】本発明のチューブ容器用の加圧容器のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0053】
C チューブ容器
D キャップ
D1 上部壁
1 加圧式チューブ製品
10 加圧容器
11 外部容器
12 内袋
13 蓋体
13a 中部
14 吐出部材
16 底部
17 胴部
18 肩部
18a シール部材
19 ビード部
21 胴部
22 肩部
23 首部
24 フランジ部
25 底部
26 ピンチオフ部
31 被せ部
32 カール部
33 挿入部
34 連結部
39 ガスケット
41 装着部材
42 操作部材
46 基部
47 容器装着部
48 チューブ装着部
48a 内面
49 連結部
49a 上底
50 内通路
51 環状凹部
52 連通孔
53 係合突起
54 シールリング
55 環状突起
56 円筒部
57 操作部
58 吐出孔
59 段部
60 加圧容器
61 吐出部材
62 操作部材
63 装着部材
64 連結部
64a 雄ネジ
65 つまみ片
66 閉止部
67 連通孔
68 吐出孔
69 雌ネジ
70 加圧容器
71 外部容器
72 内袋
73 蓋体
74 吐出部材
74a 上面
75 吐出孔
76 底部
77 胴部
78 肩部
79 首部
80 係合溝
81 栓体
82 カバー
83 胴部
84 外フランジ部
85 内フランジ部
86 溝
87 基部
87a シール部材
88 挿入部
89 外枠
90 加圧容器
91 外部容器
92 内袋
93 ハウジング
94 カバーキャップ
95 加圧充填用バルブ
96 底部
97 胴部
98 肩部
99 首部
100 口部
102 胴部
103 フランジ部
104 本体
105 上フランジ部
106 下フランジ部
107 内筒
108 外筒
109 連結部
111 連結部材
112 外周壁
113 内周壁
114 基部
115 先鋭突起
116 連結部
117 内通路
118 係合突起
119 環状凹部
120 連通孔
121 シールリング
126 挿入部
127 段部
130 加圧容器
131 外部容器
132 内袋
133 蓋体
134 口部
136 胴部
137 フランジ部
138 外筒
139 内筒
140 連結部
141 下部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の外部容器と、
その外部容器に収容される可撓性の内袋と、
前記外部容器と内袋との間の空間を密閉すると共に、内袋を開口して保持し、前記外部容器の開口部に固定される蓋体と、
前記空間に充填される加圧剤とからなる、チューブ容器用の加圧容器。
【請求項2】
開口部を有する外部容器と、
その外部容器に収容される弾力性を有する内袋と、
その内袋を開口して保持し、外部容器の開口部に固定される蓋体とからなる、チューブ容器用の加圧容器。
【請求項3】
前記蓋体または外部容器に着脱自在な吐出部材を有し、
前記吐出部材が、吐出口と、内袋に収容されるチューブ容器の口部と連結するチューブ装着部と、吐出口とチューブ装着部とを連通する連通路と、その連通路をシールするシール部と、そのシール部を開放する開放手段とを備えている、請求項1または2記載のチューブ容器用の加圧容器。
【請求項4】
前記蓋体または外部容器に着脱自在な連結部材を有し、
前記連結部材が、吐出口を有する器具と連結する連結部と、内袋に収容されるチューブ容器の口部と連結するチューブ装着部と、連結部とチューブ装着部とを連通する連通路と、その連通路をシールするシール部とを備えている、請求項1または2記載のチューブ容器用の加圧容器。
【請求項5】
前記内袋が、前記蓋体に保持される断面円形の首部と、断面楕円形の胴部を有する請求項1または2記載のチューブ容器用の加圧容器。
【請求項6】
前記内袋の胴部から底部にかけて断面積が小さくなっている請求項1または2記載のチューブ容器用の加圧容器。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載の加圧容器と、開口した内袋に挿入されるチューブ容器とからなる加圧式チューブ製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−222251(P2008−222251A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60632(P2007−60632)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】