ツーピース型の人工心臓弁アセンブリための接続システム、作製方法、および使用方法
【解決手段】心臓弁アセンブリは、プロテーゼと、生物学的弁輪内で、既存の天然心臓弁または人工心臓弁と交換するための人工弁とを含む。プロテーゼは、環状部材と、環状部材から径方向外向きに延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画定する可撓性コア部と、可撓性コア部と環状部材との間に配置されたレールリングと、可撓性コア部のそれぞれの開口部を通ってレールリングから延長する複数のガイドレールとを備える。ファブリックカバーは、プロテーゼと、ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通って延長するガイドレールとを覆う。人工弁は、それぞれのガイドレールを受容するための受容部を備えるフレームを備える。プロテーゼを生物学的弁輪内に植え込んだ後、ガイドレール上の保持要素が受容部と係合して人工弁がプロテーゼに対して固定されるまで、人工弁はガイドレールに沿って進められる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、患者に移植し得る心臓弁に関し、さらに詳細には、組立可能な多構成部品からなる心臓弁のための接続システム、係る心臓弁の作製方法、および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓弁は、患者内のヒトの破損した弁と交換することが可能である。例えば、人工弁の外側周囲に取り付けられ且つその周囲に存在するソーイングリングつまり縫合カフを備えるワンピース型の弁が提案されている。加えて、弁の構成部品とは別個のソーイングリングを備える多構成部品からなる弁もまた提案されている。いずれの種類の人工弁のソーイングリングも、標的部位内すなわち天然の心臓弁が取り除かれた心臓弁輪内に固定するのは、煩雑で時間のかかるものである。
【0003】
例えば、心臓弁輪内にソーイングリングを移植するためには、最初に、12本から20本の縫合糸が弁輪の周囲の組織に取り付けられることもある。次に、ソーイングリングおよび/または人工弁全体が、縫合糸に沿って下方の弁輪内へと進められ、つまり「パラシュート降下」されることもある。次に、ソーイングリングを弁輪内に固定するために、結節がそれらの縫合糸で結ばれ、そこにおいてそれらの縫合糸が切断されることもある。したがって、この手順は、多数の縫合糸を管理し操作することを要求する、極めて複雑なものとなる可能性がある。手順が複雑であるために、失敗の機会も大きくなり、患者は長時間にわたり心肺バイパスによって生命が維持されることを余儀なくされる。
【0004】
心臓弁輪がソーイングリングおよび/または人工弁の円形断面と一致しないこともあるため、人工弁が弁輪内に最適に適合しない場合もある。その結果、弁を通過する、または弁の周囲の、天然の血行動態が損なわれ、凝固、起こりえる血栓の形成、および/または最終的には弁構造の石灰化をもたらす。
【0005】
この問題に対処するため、多構成部品弁とともに用いられる可撓性ソーイングリングが提案されている。ソーイングリングは、例えば、上述の手順、すなわち縫合糸の配列の下方にパラシュート降下する手順を用いて、弁輪内に移植され得る。ソーイングリングは、弁輪の解剖学的構造に、形状が少なくとも部分的に合致し得る。あるいは、縫合糸を用いるかわりに、ソーイングリングを固定するために、ソーイングリングを通して周囲の組織にステープルを打ち込むことも提案されている。
【0006】
しかし、次に、機械的弁または人工弁がソーイングリングに取り付けられるとき、例えば、ソーイングリングの形状が弁輪と合致するよう変形してしまっている場合、弁およびソーイングリングが効果的に合致しないこともあり、またソーイングリングの変形により、自然の血行動態が損なわれ、漏洩が生じ、および/または別の方法で人工弁の性能が損なわれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、患者内に移植し得る心臓弁に関し、さらに詳細には、組み立て得る多構成部品からなる心臓弁アセンブリに関し、および係る心臓弁を作製し移植するための装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態によれば、洞の近傍の生物学的弁輪内における既存の天然の心臓弁または人工の心臓弁を置き換えるための人工弁を受容するプロテーゼが提供される。プロテーゼは、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、例えば環状部材の上方において環状部材から外側に延長するソーイングカフと、ソーイングカフ内におよび/または環状部材の近傍に位置するレールリングと、レールリングに結合された第1端部、および第2自由端部を備える複数のガイドレールとを備えてもよい。ガイドレールは、プロテーゼに対して人工弁を固定するための1つまたは複数の保持要素を備えてもよい。所望により、ガイドレールは、人工弁をプロテーゼに固定した後にガイドレールを切断するための弱化領域を、例えば、1つまたは複数の保持要素の上方に備えてもよい。加えて、または代替的に、プロテーゼは、例えば環状部材の平面の下方において、環状部材から外側に延長する可撓性のスカート部つまりヒゲ要素を備えてもよい。
【0009】
他の実施形態によると、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、環状部材の近傍に配置されるレールリングと、レールリングに結合された第1端部、および第2自由端部を備える複数のガイドレールと、環状部材およびレールリングを覆うファブリックとを備える人工弁を受容するためのプロテーゼが提供される。例えば、ガイドレールのそれぞれは、レールリングから、ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通って延長してもよい。ガイドレールのそれぞれは、プロテーゼに対して人工弁を固定するための1つまたは複数の保持要素を備えてもよい。所望により、プロテーゼは、例えば環状部材の平面の上方において、環状部材から外側に延長するソーイングカフを備えてもよい。ソーイングカフは、ファブリックカバーから少なくとも部分的に形成されてもよく、および/または、可撓性コア部を含んでもよい。1つの実施形態において、レールリングは、可撓性コア部と環状部材との間に配置されてもよく、可撓性コア部は、そこを通ってガイドレールを受容するための複数の開口部を備えてもよい。
【0010】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪内における移植用の心臓弁アセンブリが提供される。心臓弁アセンブリは、生物学的弁輪内に導入するための寸法を有する環状部材と、ソーイングカフと、レールリングと、レールリングに取り付けられた1つの端部を備える複数のガイドレールとを備える、環状のプロテーゼを備えてもよい。心臓弁アセンブリは、環状フレームと、例えば人工弁を環状プロテーゼに向かってガイドレールに沿ってガイドするためのガイドレールを受容するための受容部とを備え得る人工弁も備えてもよい。環状プロテーゼおよび/または人工弁は、プロテーゼに対して人工弁を固定するための1つまたは複数の連結具を備えてもよい。例えば、人工弁は、対応する保持要素または他の連結具をガイドレール上で受容するためのデテントまたは他の要素を備える複数の受容部を、環状プロテーゼに対して人工弁を固定するために、備えてもよい。
【0011】
さらに他の実施形態によると、第1プロテーゼおよび第2弁プロテーゼを備える心臓弁アセンブリが提供される。第1プロテーゼは、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、環状部材の上方から外側に延長する可撓性コア部を備えるソーイングカフと、環状部材と可撓性コア部との間に位置するレールリングと、レールリングに取り付けられた複数のガイドレールとを備えてもよい。第2弁プロテーゼは、環状フレームと、第2プロテーゼがガイドレールに沿って第1プロテーゼに向かって導かれるよう、各ガイドレールを受容するための受容部とを備えてもよい。第1プロテーゼに対して第2プロテーゼを固定するために、受容部内の各デテントと係合するための保持要素がガイドレール上に提供されてもよい。
【0012】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、レールリングと、環状部材の下部端部に沿って径方向外側に延長する可撓性スカート部つまりヒゲ要素とを備える第1プロテーゼを備える心臓弁アセンブリが提供される。複数のガイドレールがレールリングから延長してもよい。このアセンブリは、環状フレームと、第2プロテーゼがガイドレールに沿って第1プロテーゼに向かって導かれるよう、各ガイドレールを受容するための受容部とを備える第2弁プロテーゼも含んでもよい。加えて、このアセンブリは、第1プロテーゼに対して第2プロテーゼを固定するための手段を備えてもよい。
【0013】
他の実施形態によると、弁プロテーゼを移植するための環状プロテーゼを作製するための方法が提供される。なお、この方法は、レールリングから延長する複数のガイドレールを備えるレールリングを形成することと、環状部材を形成することと、レールリングおよび環状部材が中央通路を包囲するよう、レールリングおよび環状部材をファブリックカバーで実質的に包囲することとを含む。ファブリックカバーを通してレールリングからガイドレールを延長することを可能にする開口部が、ファブリックカバーに形成されてもよい。環状部材は、薄板をバンド状にロールすることにより、形成されてもよく、次に、環状部材およびレールリングが、例えば、レールリングが環状部材の近傍で同心円状に配置されるよう、互いに固定されてもよい。所望により、例えば、ファブリックカバーでレールリングを包囲する前に、可撓性コア部が形成され、レールリングの近傍に配置されてもよい。例えば、可撓性コア部は、レールリングが可撓性コア部と環状部材との間に配置されるよう、レールリングの上方に配置してもよい。可撓性コア部は、一旦ファブリックカバー内に受容されると、可撓性コア部が、環状部材から径方向に延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画成するよう、レールリングおよび環状部材よりも大きい断面を有してもよい。所望により、可撓性コア部は、可撓性コア部を通る複数の開口部を備えてもよく、ガイドレールは、レールリングおよび可撓性コア部をファブリックカバーで完全に包囲する前に、各開口部を通って延長してもよい。
【0014】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪内において人工心臓弁アセンブリを移植するための方法が提供される。環状部材と環状部材から延長する複数のガイドレールとを備える環状プロテーゼが提供される。環状プロテーゼは、例えば、環状部材が生物学的弁輪内に導入されるまで、生物学的弁輪に向かって導かれてもよい。例えば、縫合糸、クリップ等の1つまたは複数の連結具が、環状部材を生物学的弁輪内に固定するために、環状プロテーゼの1部分を通って、例えば、環状部材から径方向に延長するソーイングカフまたはスカート部を通って、導かれてもよい。例えば機械的弁または生体弁等の弁プロテーゼが、ガイドレール上で進められ、環状部材に対して固定されてもよい。例えば、弁プロテーゼは、弁プロテーゼが環状プロテーゼに向かってガイドレールの下方に進められるよう、受容部を通って各ガイドレールを受容するための複数の受容部を備えてもよい。これらのガイドレールは、受容部において受容され得る、例えばボタン、デテント、傾斜面等の1つまたは複数の保持要素を、環状プロテーゼに対してまたは環状プロテーゼの近傍に弁プロテーゼを固定するために、備えてもよい。次に、これらのガイドレールは、例えば、弁プロテーゼが生物学的弁輪の近傍で環状プロテーゼに固定された状態のまま、受容部および保持要素の上方でこれらのガイドレールを切断することにより、取り除かれてもよい。
【0015】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪に心臓弁アセンブリを移植するための方法が提供される。なお、この方法は、第1環状プロテーゼから延長する複数のガイドレールを備え且つ複数のガイドレールのそれぞれが少なくとも1つの保持要素を備える第1環状プロテーゼを、生物学的弁輪に挿入することと、生物学的弁輪の周囲の組織に第1プロテーゼを固定することと、第2弁プロテーゼ上の各受容部を通してガイドレールの自由端を導くことと、受容部のテーパ型の下部表面が保持要素のテーパ型の上部表面に係合するまで、第2プロテーゼをガイドレールに沿って第1プロテーゼに向かって進めることと、受容部のテーパ型下部表面を保持要素のテーパ型上部表面に沿って摺動させることにより、受容部のばね要素を外側に曲げることと、ばね要素を内側に戻してばね要素上のデテントを保持要素の下方の位置にロックすることにより、第2プロテーゼを第1プロテーゼに対して固定することとを含む。
【0016】
添付の図面とあわせて以下の説明を検討することにより、本発明他の態様および特徴が明らかになるであろう。
【0017】
以下の図面は本発明の例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】ツーピース型の心臓弁アセンブリ用のガスケット部材の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【図1B】ガスケット部材の内部部品を示すためにファブリックカバーが取り除かれた、図1Aに示すガスケット部材の斜視図である。
【図1C】それぞれ図1Aにおける線1C−1Cおよび線1D−1Dに沿ったガスケット部材の断面図である。
【図1D】それぞれ図1Aにおける線1C−1Cおよび線1D−1Dに沿ったガスケット部材の断面図である。
【図2A】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2B】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2C】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2D】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2E】環状リングに取り付けられたスカート部つまりヒゲ要素を有する、図1A〜図1Dに示すガスケット部材の環状リングのためのバンドの側面図である。
【図2F】図2Eに示すバンドおよびスカート部が組み合わされてその端部が組み合わされた状態の、バンドおよびスカート部の斜視図である。
【図3A】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に含まれ得るガイドレールを備えるレールリングの斜視図である。
【図3B】平たんな姿勢における、図3Aに示すレールリングおよびガイドレールの上面図である。
【図3C】ソーイングカフのコア部に近接する開口部を通してガイドレールが配置された状態にある、図3Aに示すレールリングの斜視図である。
【図3D】ソーイングカフのコア部に取り付けられ得る交連部支持体の詳細図である。
【図3E】ソーイングカフのコア部に取り付けられた、図3Dに示す交連部支持体の詳細図である。
【図3F】ガイドレールおよびソーイングカフのコア部に取り付けられた、応力拡散器の詳細である。
【図4A】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に取り付けられ得るカラーの斜視図である。
【図4B】図4Aの線4B−4Bに沿ったカラーの断面図である。
【図4C】図4Aおよび図4Bに示すカラーのコア部を提供し得る平坦なバンドの側面図である。
【図5】明瞭のためにリーフレットを取り除いた状態における、ガイドレールを受容するツーピース型の心臓弁アセンブリのための弁部材の例示的な実施形態の側面図である。
【図6A】図5に示す弁部材上に提供され得る且つトラックを通ってガイドレールを受容するためのトラックを画成する片持ちばねおよびデテントを備える、受容部の他の実施形態の詳細図である。
【図6B】図5に示す弁部材上に提供され得る且つトラックを通ってガイドレールを受容するためのトラックを画成する片持ちばねおよびデテントを備える、受容部の他の実施形態の詳細図である。
【図6C】ガイドレールを受容部を通して受容する、図6Aおよび図6Bに示す受容部の、それぞれ詳細斜視図および詳細側面図である。ただし、ここでは、片持ちばね上のデテントにより片持ちばねが外側に曲げられた結果、ガイドレール上の保持要素が受容部を通過できる状態となっている。
【図6D】ガイドレールを受容部を通して受容する、図6Aおよび図6Bに示す受容部の、それぞれ詳細斜視図および詳細側面図である。ただし、ここでは、片持ちばね上のデテントにより片持ちばねが外側に曲げられた結果、ガイドレール上の保持要素が受容部を通過できる状態となっている。
【図6E】図6A〜図6Dに示す受容部の詳細図である。ただし、ここでは、ガイドレールの保持要素が受容部のデテントと係合し、ガイドレールの上部が切断され取り除かれた状態となっている。
【図7A】図1Bに示すガスケット部材および図5に示す弁部材を生物学的弁輪内において移植するための方法を示す、生物学的弁輪の斜視図である。
【図7B】図1Bに示すガスケット部材および図5に示す弁部材を生物学的弁輪内において移植するための方法を示す、生物学的弁輪の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に戻ると、図1A〜図1Dは、中央縦軸17にほぼ沿って複数の内部環状構成部品を通る通路13を画成するために、ファブリックカバー21の内部にまたはファブリックカバー21に包囲されて実質的に受容される複数の内部環状構成部品と、内部環状構成部品から延長する複数の細長いガイドレール50とを備えるガスケット部材12の例示的な実施形態を示す。図1Bにおいてもっともよく見られるように、ガスケット部材12は、以下に説明されるように、環状リング18と、可撓性ヒゲ要素つまりスカート部30と、可撓性コア部60を備えるソーイングカフつまりリング20と、レールリング52から延長するガイドレール50を備えるレールリング52と、を一般的に備える。図1B〜図1Dに示されるように、ファブリックカバー21が、下記でさらに説明するように、例えば、環状リング18、ソーイングカフ20のコア部60、スカート部30、および/またはレールリング52上に、ガスケット部材12の1つまたは複数の構成部品上にまたはその周囲に、提供されてもよい。
【0020】
1つの実施形態において、環状リング18は、縦軸17の周囲に配置され且つ平面16に略平行となる、略円形の形状を有してもよい。所望により、環状リング18は、軸方向において平面16の上方および/または下方に延長する部分を含む、起伏する形状を備えてもよい。あるいは、環状リング18は、スカラップまたは尖頭(図示せず)により隔てられたローブを備える、多ローブ形状をその円周のまわりに有してもよい。加えて、または、あるいは、環状リング18は、手順の間に遭遇する患者内部の解剖学的構造に基づいて、直径(または、環状リング18が円形でない場合、他の断面)が調整でき得るよう、拡張可能および/または収縮可能であってもよい。1つの実施形態において、環状リング18は、所定の直径にまで拡張するよう、付勢されてもよい。したがって、環状リング18は、例えば、弁輪への送達を容易なものとしながら、しかも、弁輪の周囲の組織を整形し直すためおよび/または膨張させるために弾力的に拡張し得るよう、および/または、ガスケット部材12を弁輪内において固定することを容易にするために、より小さい直径へと径方向に収縮されてもよい。
【0021】
環状リング18は、ニチノール、ステンレス鋼、プラスチック等の弾性材料または超弾性材料から形成されてもよい。例えば、環状リング18は、例えば、約0.1ミリメートルから0.5ミリメートルの、環状リング18に対する所望の厚さを有する基礎材料の平坦な薄板から、例えば、レーザ切断、機械的切断等により、切り出されてもよい。したがって、図2Eにおいてもっともよく見られるように、環状リング18は、例えば、約1.5ミリメートルから2.5ミリメートルの、環状リング18の所望の幅に対応する厚さ「W」を有し、例えば、約55ミリメートルから90ミリメートルの、環状リング18の所望の円周に対応する長さ「L」を有する、長いバンドの材料として、最初、形成されてもよい。次に、バンドは、マンドレルの周りに巻かれるか、または、端部が互いに近接する状態で、略円筒形の形状に他の方法で束縛されてもよい。バンドは、熱処理が施されるか、または別の方法で略円筒形の形状が環状リング18を形成するよう処理されてもよい。あるいは、バンドは、バンドに取り付けられたスカート部30により、略円筒形の形状に保持されてもよい。その配列については、以下でさらに詳細に説明する。略円筒形の形状は、互いに重なり合った、開いた「C」字形状を提供するために互いに離間した、および/または互いに取り付けられた、端部を含み得る。
【0022】
スカート部30は、スカート部30が、環状リング18の平面の下方で、環状リング18から外側に延長するよう、基部80から延長する複数の可撓性フィンガー部82を含む環状部材であってもよい。基部80は、例えば、基部80が環状リング18の周囲に配置され得るよう、環状リング18に実質的に対応する直径を有してもよい。所望により、基部80は、締り嵌め、接着剤、超音波溶接、および縫合糸等の1つまたは複数の締結具等のうちの1つまたは複数により、環状リング18に固定されてもよい。1つの実施形態において、基部80および環状リング18は、基部80のおよび環状リング18の円周の周りに位置する1つまたは複数の締結部位において、互いに結合される。図2Eおよび図2Fに示される例示的な実施形態において、締結部位は、基部80および環状リング18における対応する孔80aおよび18aを通して固定される縫合糸84を備えてもよい。スカート部30のフィンガー部82は、基部80から外側に延長するよう、付勢されてもよい。それにより、図1Aに示すような、切頭円錐形の形状が画成される。例えば、フィンガー部82は、縦軸17に対して径方向外側に、約1度から10度の角度にまで付勢されてもよい。
【0023】
図2A〜図2Dに示すスカート部30等の、スカート部30は、細長い平坦なバンドにおいて形成されたフィンガー部82を有する細長い平坦なバンドから形成されてもよい。図2Aおよび図2Bにおいて、フィンガー部82および82’は、実質的に均一な長さを有する。一方、図2Cおよび図2Dにおいて、フィンガー部82’’および82'''は、例えば、波状起伏つまりローブを画成する、変動する長さを有し、この波状起伏つまりローブは、その内部でガスケット部材12が移植され得る生物学的弁輪の下方の形状に対応し得る。加えて、図2Bおよび図2Cにおけるフィンガー部82’および82’’は、図2Aおよび図2Dにおけるフィンガー部82および82’’’よりも厚い。それにより、外向きの付勢がより大きくなり、ファブリックカバー21の、外向きのうねりがより大きくなり得る。
【0024】
スカート部30は、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリエステルまたは他のポリマー、ニチノール等の弾性のまたは超弾性の合金等の、比較的薄いバンドから形成されてもよく、その薄いバンドから、例えば、ダイス切断、レーザ切断、機械的切断、スタンピング等により、基部80およびフィンガー部82が切り出されてもよい。例示的な実施形態において、バンド(および、その結果として、スカート部30)は、約0.002インチから0.010インチ(0.05ミリメートルから0.25ミリメートル)の厚さを有してもよい。スカート部30が形成された後、基部80は、例えば、約0.01インチから0.08インチ(0.25ミリメートルから2.0ミリメートル)の幅を有してもよく、フィンガー部82は、例えば、約0.01インチから0.08インチ(0.25ミリメートルから2.0ミリメートル)の長さと、約0.01インチから0.04インチ(0.25ミリメートルから1.0ミリメートル)の幅を有してもよい。図2A〜図2Dに示されるように、平坦なバンドは、例えば、バンドが巻かれてその両端部がともに取り付けられると、基部80および/またはフィンガー部82がテーパして、その結果、上述のように、切頭円錐形の形状が画成され得るよう、曲線を画成してもよい。バンドの両端部は、超音波溶接と、接着剤と、縫合糸等の締結具等とにより、ともに取り付けられてもよい。1つの実施形態において、バンドの両端部は、例えば、タブ80bを通して縫合糸を結ぶ(図2Eに示す)ことにより、ともに取り付けられてもよく、この両端部は、環状リング18のバンドの両端部には取り付けられない。スカート部30および環状リング18の両方が上述の材料の長いバンドから形成されると、バンドは、1つまたは複数の締結部位において、バンドの長さ(バンドの両端部の間)に沿って、ともに結合されてもよい。次に、バンドは、例えば、タブ80bにおいて基部80の両端部をともに取り付けることにより、略円筒形の形状において維持されてもよい。
【0025】
あるいは、スカート部30は、所望する切頭円錐形の形状の連続したピースとして成形または別の方法で形成され、環状リング18に取り付けられてもよい。例えば、スカート部30は、直接的に環状リング18の周囲に成形されてもよく、またはスカート部30は、環状リング18とは別個に成形され、次に、上述のように、環状リング18に取り付けられてもよい。
【0026】
図1Aおよび図1Bに戻ると、ソーイングカフ20は一般に環状リング18から、例えば、図1Aにおいてもっともよく見られるように、環状リング18の上部から、径方向外側に延長する。ソーイングカフ20は、例えば、心臓(図示せず)の大動脈弁の上方にある洞領域の交連部に対応する、3つのローブを画成する、多ローブ外表面を有する。ソーイングカフ20の可撓性コア部60は、例えば、より狭い下部直径または環状リング18近傍における他の断面を有し、縦軸17から径方向に上向きに延長し、その結果、多ローブ外形状を画成する、略切頭円錐形の形状を有する環状本体であってもよい。コア部60は、直接的に、または介在要素(以下でさらに詳述する)を用いて、環状リング18の上部に取り付けられてもよい。あるいは、コア部60が排除され、ソーイングカフ20が、例えば、環状リング18の少なくとも1部分に近接して、または環状リング18の少なくとも1部分を覆って、単に1つまたは複数の層のファブリックまたは他の材料から形成されてもよい。
【0027】
図1Bおよび図3Cに示すように、コア部60は、さらに以下で説明するように、孔を通ってガイドレール50を受容するための複数の孔64を備えてもよい。孔64は、コア部60の円周の周り、例えば、コア部60のローブ66の近傍に、離間してもよい。所望により、追加の支持パネル支持パネルが、孔64および/またはローブ66の近傍に提供されてもよい。例えば、図3Dおよび図3Eに示されているように、例えば、縫合糸67または他の連結具を用いて、接着剤を使用した接着により、超音波溶接等により、交連部支持体68が孔64の上方に取り付けられてもよい。
【0028】
コア部60、交連部支持体66、および/またはソーイングカフ20の他の構成部品の材料は、例えば、(先程説明したような)所望の環状形状で製造されながら、しかも、例えば、下向きに湾曲する、伸張する、収縮する、等の変形が容易にできるよう、実質的な可撓性を有してもよい。コア部60は、「柔軟」であるよう、すなわち、ソーイングカフ20の形状が、移植中に遭遇する特定の解剖学的構造および/または移植上の処置に基づいて、容易におよび/または実質的に、順応するよう、十分な可撓性を有してもよい。したがって、ソーイングカフ20が患者の心臓内において組織環帯の上方またはその内部に配置されたとき、コア部60は、周囲の解剖学的構造に対して形状が順応し、および/または、弁部材(以下に説明する)がガスケット部材12に固定されたとき、例えば、接触された組織に実質的な力を印加することなく、弁部材とガスケット部材12との間のシーリングを強化するために、変形してもよい。
【0029】
例えば、組環帯の内部またはその上方に移植されるとき、コア部60は、周囲の組織に対抗して配置され得る。すると、その形状が本来の略円形のまたは多ロープの形状から変化させられ、任意の波状起伏の形状が変化させられ、および/または本来のテーパの角度が変化させられることとなる。したがって、コア部60は、ローブ66が組織環帯の交連部(図示せず)に抗して配置されたとき、より垂直つまり内向きとなり得る。また、コア部60は、ローブ66間の領域が交連部(また図示せず)の上方またはその間の洞内に配置されたとき、より水平つまり外向きとなり得る。締結具(図示せず)がソーイングカフ20を通って打ち込まれると、コア部60は、弾力的に伸張または収縮し、締結具からの力をより均等に分散する。それにより、ソーイングカフ20が団子状になること、またはさもなければ漏れの原因となり得る他の歪みが低減され得る。
【0030】
コア部60および交連部支持体64のための典型的な材料は、シリコンまたは他のエラストマ材料、発泡樹脂、ファブリック、フェルト、ポリマー、その他を含む。これらの材料は、例えば、成形、押出加工、機械加工、切断、または他の製造手順を用いて、成形または他の方法でコア部60に形成されてもよい。例えば、コア部60は射出成形または他の方法で、図2Eおよび図2Fに示すようにローブ66および孔64を含む、環状の形状に形成されてもよい。可撓性コア部またはソーイングカフ20の他の構成に関する追加情報は、米国特許公報第US2006/0195184号に見出し得る。
【0031】
図1Aおよび図1Bに戻り、さらに図3Aから図3Cを参照すると、レールリング52は、環状の薄板からガイドレール50が延長する環状の薄板であり得る。レールリング52は、例えば、環状リング18の直径と類似した、略円形の形状を有してもよく、ソーイングカフ20のコア部60と類似した、多ローブ形状を有してもよく、または、この2つの間の中間的形状を有してもよい。加えて、レールリング52は、例えば、さらに以下で説明するように、レールリング52を、環状リング18におよび/またはガスケット部材12(図示せず)の他の構成部品に連結するために、複数のタブ56または他の連結具を備えてもよい。
【0032】
ガイドレール50は、例えば、ロッキングビーズ、タブ、ラチェット、デテント、その他の、1つまたは複数の一方向性のまたは二方向性の保持要素54を備えてもよい。保持要素54は、例えば、ガイドレール50の形成時にガイドレール50と一体成形されてもよく、または、所定の位置においてガイドレール50に接着、融着、または他の方法で取り付けられる、(ガイドレール50とは同一のまたは異なった材料製の)別個の要素であってもよい。あるいは、ガイドレール50は、例えば、プラスチックまたは他の材料から形成された平坦なバンドであってもよく、また、本明細書の他の箇所において説明されるように、ガイドレール50に形成されたまたはそこに取り付けられた保持要素54を有してもよい。
【0033】
図3Aから図3Cに示すように、ガイドレール50上の保持要素54は、テーパした基部側端部54aと実質的に平らな遠位側端部54bとを備えてもよい。基部側端部54aは、弁部材(以下で説明する)が保持要素54を越えて遠位側に向かって通過させられることが可能になるように、実質的に滑らかな移動を提供し得る。遠位側端部54bは、さらに下記で説明するラチェットまたはデテントと同様に、弁部材が保持要素54を越えて基部側に戻るように通過させられることを防ぐ、ロックを提供し得る。代替的な実施形態において、ガイドレール50上の保持要素54は、ガイドレール50上に結びつけられた結節(図示せず)および/またはガイドレール50上に所定の位置に形成されたビーズ(また図示せず)を備えてもよい。各ガイドレール50上にはただ1つの保持要素54が示されているが、所望により、複数の保持要素54が、各ガイドレール50にそって、互いから離間して提供されてもよい。
【0034】
所望により、ガイドレール50は、例えば、保持要素54の上方に、または他の方法で第1端部51aから所定の距離だけ隔てた位置に、弱化領域(図示せず)を備えてもよい。所定の応力がガイドレール50に印加されると、弱化領域は自動的に破断し、その結果、第1端部51aがガイドレール50の残りの部分から分離され、次に患者の体から取り除かれる。この選択肢は、ガイドレール50を切断するために、鋏または他の切断具を患者に導入する必要性を排除し得る。例えば、緊急事態状況において所望する場合、または、弁部材(図示せず)が交換される場合、ガイドレール50の残りの部分は、弁部材を解放するために、保持要素54の下方において切断され得る。その結果、弁部材をガスケット部材12からおよび/または患者の体から取り除くことが可能となる。
【0035】
弱化領域は、ガイドレール50の端部の一方または両方において、ガイドレール50上の幅全体にわたって、および/または、ガイドレール50上の長さに沿って軸方向にまたは斜めに、ノッチ、スリット、溝、切断、ネッキング、狭細化、擦り傷、および/または狭小化を含み得る。
【0036】
任意の数量のガイドレール30が、レールリング52上に提供され得る。例えば、3つの交連部を有する大動脈のためのプロテーゼに関しては、3つのガイドレールが提供されてもよい。1つの実施形態において、ガイドレール50の第1端部51aは、図3Aおよび図3Bに見られるように、レールリング52と一体的に形成されてもよく、ガイドレール50の第2端部51bは、図1Aでもっともよく見られるように、自由端にとどまってもよい。あるいは、ガイドレール50は、レールリング52とは別個に形成されてもよく、ガイドレール50の第1端部51aが、例えば、接着剤を用いた接着、超音波溶接、縫合または他の連結具の使用、その他(図示せず)により、レールリング52に取り付けられてもよい。この代替において、各ガイドレールは、例えば、互いにある間隔で離間して、ガスケット部材12に取り付けられてもよい。例えば、ガイドレールは、弁部材上の、および/またはガスケット部材12が移植される生物学的弁輪(図示せず)上の、交連部と整列するガスケット部材12の円周上に提供されてもよい。
【0037】
1つの実施形態において、ガイドレール50およびレールリング52は、例えば、PET、ポリエステル、または他のプラスチック、例えばニチノール等の弾性のまたは超弾性の合金、その他から、成形、押出加工、切断、または他の製造手順により、一体型ピースとして形成されてもよい。ガイドレール50は、ガイドレール50が実質的に自立構造を有し、例えば、自重により崩壊せず、しかも、例えば、所望時にガイドレール50を回避させる等の、使用中における操作が可能であるように十分な可撓性を有するよう、十分な支柱強度を有する材料から形成されてもよい。
【0038】
例えば、PETのまたは他のプラスチックの平坦な薄板が提供され、ガイドレール50、レールリング52、およびタブ56が、図3Cに示すように、レーザ切断、ダイス切断、スタンピング、その他により、その平坦な薄板から形成されてもよい。次に、ガイドレール50およびタブ56は、例えば、図1Aおよび図3Aに示すように、所望する方向に曲げられてもよい。以下に説明するような所望する特徴が、例えば、機械加工、打ち抜き、エッチング、機械切断またはレーザ切断、穿孔、または他の方法でガイドレール50およびレールリング52から材料を取り除くことにより、ガイドレール50およびレールリング52に形成されてもよい。あるいは、所望する特徴が、例えば射出成形により、元からガイドレール50およびレールリング52に形成されてもよい。
【0039】
ガイドレール50は、レールリング52の円周のまわりで、互いに離間してもよく、例えば、図3Aにおいてもっともよく見られる用に、縦軸17に対して略平行に、または他の方法でレールリング52により画成される平面上で上向きに、レールリング52に対して横方向に延長してもよい。例えば、ガイドレール50がレールリング52と一体的に形成されている場合、ガイドレール50は、最初はレールリング52の平面内に存在しているが、曲げられ、折られ、または、レールリング52に対して横方向に延長するよう、他の方法で変形されてもよい。
【0040】
図1Aおよび図3Bに示すように、組立の後、ガイドレール50は、ソーイングカフ20のコア部60の孔65を通って延長されてもよい。例えば、コア部60は、レールリング52の上方に、すなわち、図1Bにおいてもっともよく見られるように、レールリング52がコア部60と環状リング18との間に存在する状態で、位置してもよく、ガイドレール50は、ガイドレール50の第2自由端部51bが環状リング18の平面の上方に延長するよう、コア部60の孔64を通って挿入されてもよい。
【0041】
所望により、レールリング52および/またはガイドレール50は、例えば、安定のために、または他の方法でコア部60に対するガイドレール50の相対的位置を維持するために、コア部60に対して固定されてもよい。例えば、図3Fに示されるように、ガイドレール50がコア部60の孔64を通って挿入された後、材料のパネル55が、各ガイドレール50の第1端部51aの上方でコア部60およびレールリング52に取り付けられてもよい。パネル55は、例えば、シリコン、PET、または、レールリング52および/またはコア部60と同様の他の材料等の、比較的小さいプラスチック薄板であってもよい。パネル55は、1つまたは複数の縫合糸57またはステープル、クリップ、その他の他の連結具を用いて、接着剤を用いた接着、超音波溶接、その他により、コア部60およびレールリング52に取り付けられてもよい。図示のように、ガイドレール50は、コア部60とパネル55との間を、例えば、レールリング52または保持要素54がコア部60に当接することにより制限される上下の短距離だけ、自由に摺動し得る。
【0042】
図1Aに示すように、レールリング52および環状リング18の外径は、実質的に同一であり、レールリング52は、コア部60と環状リング18の上部端部との間に存在する介在要素として配置されてもよい。レールリング52を環状リング18に取り付けるために、レールリング52は、例えば、レールリング52の材料を軟化または溶解させることにより、環状リング18の上部端部に沿って融着されてもよく、または、縫合糸、クリップ、その他の、1つまたは複数の締結具、接着剤を用いた接着、超音波溶接、その他を用いて、他の方法で取り付けまたは固定されてもよい。あるいは、レールリング52は環状リング18に対して突き合わせられて、または、他の方法で、環状リング18の上部端部に近接して配置されて、ファブリックカバー21により相対的位置に保持されてもよい。
【0043】
1つの実施形態において、図1B、図2E、および図3Bを参照すると、レールリング52上のタブ56が、レールリング52と環状リング18との間の結合を支援し得る。1つまたは複数のタブ56が、下方に曲げられるか、または他の方法で、例えば図1Bに示すように、ある角度でレールリング52の平面の下方に延長してもよい。例えば、1つまたは複数のタブ56が、レールリング52の平面の下方に、約60度(60°)の角度で延長してもよい。レールリング52および環状リング18は、1つまたは複数のタブ56および環状リング18を通して供給される、1つまたは複数の縫合糸59または他の締結具により、相対的位置に保持され得る。縫合糸の供給をより容易にするために、1つまたは複数の開口部56aがタブ56に提供され(図3B参照)、1つまたは複数の対応する開口部18bが、環状リング18に提供され得る(図2E参照)。図1Bに示す縫合糸59のような縫合糸59が、開口部56aおよび開口部18bの対応する組を通して供給され得る。
【0044】
図1Bから図1Dに戻ると、ファブリックカバー21が、環状リング18、スカート部30、レールリング52、および可撓性コア部60の周りに供給され得る。図示のように、ファブリックカバー21は、例えば、ダクロンまたは他のポリエステルのファブリック等の、単一枚の管状のファブリックであってもよい。なお、このファブリックは、例えば、縫合糸72、および/または接着剤、他の連結具(図示せず)、その他により、ファブリックの任意の弛んだ端部または縁部71がともに固定された状態で、ガスケット部材12の構成部品の周りに巻き付けられ得る。あるいは、所望により、複数枚のファブリックが用いられてもよい。所望により、ファブリックカバー21はガスケット部材12の構成部品の1つまたは複数の位置(例えば、環状部材18、可撓性コア部60、および/またはスカート部30)に対して、ファブリックカバーを通しておよび/または構成部品(図示せず)の1つまたは複数の開口部を通して供給される1つまたは複数の縫合糸により、固定されてもよい。
【0045】
スカート部30のフィンガー部82が外側に付勢されまたは他の方法で広げられるため、フィンガー部82は、例えば、下部端部の近傍で、ファブリックカバー21を径方向外側に環状リング18から離れる方向に導き得る。したがって、ファブリックカバー21およびフィンガー部82は、例えば、環状リング18に向かってまたは環状リング18に抗して、内側に収縮され得る。しかし、係る収縮力が解放されると、フィンガー部82は弾力的に外側に戻り得る。すると、ファブリックカバー21が外側に導かれることとなる。この特徴は、接触された組織に実質的な力を印加することなく、ファブリックカバー21と周囲の組織との間のシールを強化し得る。
【0046】
所望により、ガスケット部材12は、1つまたは複数の追加的構成部品を有してもよい。例えば、図1Bから図1Dに示すように、ガスケット部材12は、例えば、本明細書の他の箇所で説明されるように弁部材(図示せず)を受容するために、環状リング18および/またはソーイングカフ20から上方に延長するカラーつまりスタンドオフ58を備えてもよい。カラー58は、例えば、ガスケット部材18と人工弁との間のシールを強化するために、環状リング18および/またはソーイングカフ20に取り付けられ、または他の方法で環状リング18および/またはソーイングカフ20から上側に延長してもよい。
【0047】
図4Aから図4Cを参照すると、カラー58は、コア部40を備えてもよい。なお、このコア部40は、ソーイングカフ20のコア部60とは別個のものである。カラー58のコア部40およびソーイングカフ20のコア部60は、例えば、接着、融着、締り嵌め、その他により、相互に取り付けられてもよく、および/または、包囲するファブリックにより、互いに近接して維持されてもよい。あるいは、カラー58のコア部40およびソーイングカフ20のコア部60は、例えば、素材、その他から、成形、切断、および/または機械加工により、一体型ピースとして形成されてもよい。さらなる実施形態において、コア部40および包囲するファブリック37を含むカラー58は、ソーイングカフ20および環状リング18の近傍に配置され、例えば、1つまたは複数の縫合糸または他の連結具(図示せず)を用いて、ソーイングカフ20および環状リング18に取り付けられてもよい。
【0048】
カラー58のコア部40の材料は、例えば、所望の環状形状で製造され、しかも、例えば、下向きの湾曲、伸張、および/または収縮等で、容易に変形し得る、実質的な可撓性を有してもよい。カラー58のコア部40のための典型的な材料は、例えば、ソーイングカフ20のコア部60と同様に、例えば、PET、シリコン、または他のエラストマ材料等のプラスチックと、発泡樹脂と、ファブリックと、フェルトと、ポリマーと、その他を含む。これらの材料は、成形、または他の方法で、例えば、既知の成形、押出加工、切断、機械加工、または他の製造手順を用いて、コア部40に形成されてもよい。
【0049】
1つの実施形態において、図4Cに示されるように、カラー58のコア部40は、例えば、レーザ切断、機械的切断、その他により、平坦な薄板の基礎材料から切断されてもよい。このように、カラー58のコア部40は、最初は、長いバンドの材料として形成されてもよい。コア部40のためのバンドは、例えば、3つの交番する山部および谷部を含むソーイングカフ20のコア部60の多ローブ形状に対応して、起伏する形状を有してもよい。あるいは、バンドは、ソーイングカフ20のコア部60の表面が実質的に平面である場合、実質的に直線状であってもよい。バンドは、マンドレルの周りに巻かれるか、または端部が互いに近接する状態で、略円筒形の形状に他の方法で束縛されてもよい。例えば、バンドの端部40aは、縫合糸、クリップ、接着剤、その他の締結具を用いて、略円筒形の形状を維持し、カラー58のコア部40を形成するために、ともに取り付けられてもよい。あるいは、バンドは、熱処理が施されるか、または他の方法で略円筒形の形状がカラー58のコア部40を形成するよう処理されてもよい。略円筒形の形状は、互いに重なり合った、開いた「C」字形状を提供するために互いに離間した、および/または互いに取り付けられた、端部を含み得る。
【0050】
カラー58のコア部40を略円筒形状に形成した後、カラー58のコア部40は、図4Aおよび図4Bに示すように、ファブリック37に覆われてもよい。ファブリック37は、図4Bに示すように、カラー58の少なくとも1部分の周りに可撓性のスカート部42を提供するよう、形づくられてもよい。例えば、ファブリックは、カラー58から延長する、ファブリックの二重の厚さにより画成されるスカート部42を提供するために、それ自身の上に折りたたまれてもよい。スカート部42は、例えば、さらに下記で説明されるように、カラー58がガスケット部材12に取り付けられたとき、自由に、動き、および/または、合致し得る。あるいは、スカート部42は、ファブリックの単一層により、および/または、カラー58および/またはファブリック37に取り付けられるか、または他の方法でカラー58および/またはファブリック37から延長する他の可撓性材料(図示せず)の単一の層により、画成されてもよい。
【0051】
スカート部42は、縫合糸または締結具(図示せず)がスカート部42およびカフ20の両方を通して受容されるよう、十分な大きさを有してもよい。カラー58が、図1Bから図1Dに示されるように、ガスケット部材12と接触するよう導かれるとき、スカート部42は、スカート部42が直接ガスケット部材12と接触し得るよう、カラー58の底部に配置される。カラー58をソーイングカフ20に取り付けるため、縫合糸(図示せず)が、例えば、コア部40の孔40b(図4Cに示す)を通して、ソーイングカフ20を覆うファブリック21へと、スカート部42を通って縫い通されてもよい。あるいは、または加えて、例えば、クリップ、接着剤等の他の締結具が、縫合糸の代わりに、または縫合糸に加えて、用いられてもよい。
【0052】
ガスケット部材12の多数の特長は、米国特許公報第US2004/0122516号、米国特許公報第US2005/0165479号、米国特許公報第US2006/0276888号、米国特許公報第US2006/0235508号、米国特許公報第US2007/0260305号、米国特許公報第US2007/0265701号、米国特許公報第US2007/0150053号、米国特許公報第US2007/0016285号、および米国特許公報第US2006/0195184号に開示された装置と同様であってもよい。所望により、ガスケット部材12は、米国特許公報第US2007/0260305号に開示されたガイドシールド等の、他の追加的特徴を備えてもよい。
【0053】
図1Aから図1Dに示すガスケット部材12等の、ガスケット部材を作製するために、以下の手順が用いられてもよい。製造および組立のステップつまり段階が例示的な順序で以下に説明されているが、簡便、効率、および/または他の理由のために、個々のステップの順序を変化させ得ることが理解できるであろう。
【0054】
上述したように、最初に、ガスケット部材12の材料が形成される。例えば、上述した材料および方法を用いて、例えば、環状リング18のためのバンドが、ニチノールまたは他の材料の薄板から形成され、カラー58、レールリング52、およびガイドレール50のスカート部30およびコア部40のためのバンドが、PETまたは他の材料の薄板から形成され、ソーイングカフ20のためのコア部60、交連部支持体68、および応力拡散器55が、例えば、シリコンまたは他の材料から構成されてもよい。
【0055】
スカート部30は、例えば、図2Eに示すようにおよび上述したように、縫合糸84を、スカート部30およびバンド18の対応する孔80aおよび孔18aを通して導くことおよび結ぶことにより、環状リング18のためのバンドに取り付けられてもよい。図2Fに示すように、環状リング18を形成するために、スカート部30およびバンド18が巻かれ、スカート部30の端部80bが、例えば、端部80bの孔を通して縫合糸(図示せず)を導くことおよび結ぶことにより、ともに取り付けられてもよい。
【0056】
ガイドレール50の第1端部51aが、図3Aに示すように、レールリング52に対して上向きに曲げられ、ソーイングカフ20のコア部60が、図1Bに示すように、ガイドレール50がコア部60の孔64と整列する状態で、レールリング52の上方に配置されてもよい。ガイドレール50が、図3Cに示すように、それぞれの孔64を通して導かれ、次に、応力拡散器55が、図3Fに示すように、コア部60およびレールリング52に固定されてもよい。このようにして、レールリング52およびコア部60が、互いに対して動く何らかの自由を有しながら、互いに対して維持され得る。所望により、交連部支持体68が、例えば、ガイドレール50をそれらの孔を通して導き、および/または応力拡散器55を取り付ける前にまたは取り付けた後に、それぞれの孔64の近傍でコア部60に取り付けられてもよい。
【0057】
レールリング52上のタブ56が下方に曲げられ、縫合糸59が、図1Bに示す例示的な縫合糸59と同様に、タブ56および環状リング18の孔56aおよび孔18bのそれぞれの組を通して導かれてもよい。その結果、コア部60、レールリング52、環状リング18、およびスカート部50が取り付けられて、アセンブリとなり得る。アセンブリが、ファブリックカバー21内に受容されるか、またはファブリックカバー21により実質的に覆われてもよい。これは、図1Aにもっともよく見られるように他の構成部品が実質的にファブリック21内に実質的に捕らえられている一方で、開口部を通してガイドレール50を収容するための開口部をファブリック21に形成することを伴い得る。
【0058】
カラー58が、図4Aから図4Cに示されるようにファブリック37でコア部40を覆うことにより、組み立てられ得る。次に、カラー58が、覆われたアセンブリ、例えばソーイングカフ20に、取り付けられてもよい。例えば、縫合糸が、コア部40および/またはファブリック37の、およびソーイングカフ20の上方の覆われたアセンブリのファブリックカバー21の、孔を通して導かれてもよい。任意の過剰なファブリック、結節、または弛んだ縫合糸端部が、所望により、切断され取り除かれてもよい。そのようにして、図1Aに示す完全に組み立てられたガスケット部材12が提供される。
【0059】
上記で説明したガスケット部材12が、弁部材14と組み合わされると、例えば、図7Aおよび図7Bに示すように、および、さらに下記で説明するように、心臓弁アセンブリ10が提供され得る。リーフレットまたは弁部材14の他の弁要素は明瞭化のために省略されているが、弁部材14の例示的な実施形態が、図5で全般的に示される。弁部材14は一般的に、環状の形状を有する本体つまりフレーム32と、流体が弁部材14を通ることを許可するために開閉する1つまたは複数の弁要素(図示せず)とを備える。弁部材14は、例えば、フレーム32および/または弁部材14の他の構成部品を覆う、ガスケット部材12のファブリックカバーと同様の、ファブリックカバー35を備えてもよい。フレーム32は、非円形の、例えば、弁部材14が移植される生物学的弁輪の形状に対応する、多ローブ形状を有してもよい。例えば、弁部材14は、例えば、大動脈部位の上方のバルサルバ洞に対応する、尖頭つまりスカラップにより分けられる3つのローブを含む、3ローブ形状を有してもよい。1つの実施形態において、弁部材14は、例えば、複数の組織リーフレット(図示せず)を坦持する環状フレーム32等の、生体弁部材であってもよい。フレーム32は、リーフレットに取り付けられ得るおよび/または他の方法でリーフレットを坦持し得る、複数の支柱を備えてもよい(明瞭化のため、また図示せず)。例えば、これらの支材は、米国特許第6,371,983号および米国特許公報第US2006/0276888号に開示される弁と同様に、可撓性材料の2枚以上の薄板を含み得る、積層構造を有してもよい。
【0060】
あるいは、弁部材14は、弁(図示せず)が接続され得るか、または他の方法で弁部品を受容し得る、例えば、米国特許公報第US2005/0043760に示す接続アダプタ要素等の、連結装置であってもよい。他の実施形態において、弁部材14は、米国特許公報第US2005/0165479号および米国特許公報第US2007/0016285号に開示された弁等の、機械式弁または他の弁(図示せず)を含んでもよい。
【0061】
弁部材14のフレーム32は、複数の受容部または他の特徴130を備えてもよい。なお、この複数の受容部または他の特徴130は、それらを通してガイドレール50を受容するよう構成されたものである。フレーム32とともに形成された受容部130の例示的な実施形態が、図6Aから図6Eで、より詳細に示されている。各受容部130は、弁フレーム32に支持された第1端部と、1つまたは複数のデテントを備える第2自由端部とを備える片持ちばね132を備えてもよい。図6Aおよび図6Bに示すように、デテント134は、トラック、スロット、または他の通路を通してガイドレール50を受容するためのトラック、スロット、または他の通路136を少なくとも部分的に画成するために、曲げられるか、または他の方法で形成されてもよい。受容部130は、例えば、ニチノールからまたはフレーム32を形成するために使用された他の薄板からレーザ切断または他の方法で形成された、弁フレーム32とともに一体的に形成されてもよい。あるいは、他の受容部または連結具が、弁部材14上に提供されてもよい。例示的な弁および受容部が、米国特許公報第US2007/0265701号に開示されている。
【0062】
図7Aおよび図7Bに戻ると、人工心臓弁アセンブリ10を生物学的弁輪内に移植する方法が示されている。一般に、心臓弁アセンブリ10は、それぞれ図1Aおよび図5に示すように、および/または本明細書の他の箇所でまたは本明細書の他の箇所で特定される応用で説明されるように、ガスケット部材12および弁部材14を備える。生物学的弁輪90は、患者の心臓(図示せず)内の三尖弁、僧帽弁、大動脈弁、または肺動脈弁等の、既存の、天然の心臓弁をまたは以前に移植した心臓弁を交換するための部位であってもよい。
【0063】
図1Bおよび図5の心臓弁アセンブリを移植する前に、患者には、既知の方法を用いて、手順のための準備が行われる。例えば、患者は、心肺バイパス(CPB:cardiopulmonary bypass)により生命維持が行われ、患者の心臓が、例えば、胸骨切開、開胸、または他の、切開手法または侵襲的手法を最小限に抑えた手法により、露出され得る。弁輪90に達するために、切開が、交換される弁(図示せず)の上方の血管、例えば、大動脈弁交換に対しては大動脈、において形成されてもよい。次に、既存の、天然心臓弁または人工心臓弁および/またはリーフレット(また図示せず)が、既知の方法を用いて、弁輪90から取り除かれてもよい。
【0064】
ガスケット部材12および弁部材14は、例えば、生物学的弁輪90のローブと一致する複数のローブを有する、および/または、生物学的弁輪90の内側断面に対応する断面寸法を有する等の、遭遇する解剖学的構造に基づいて選択されてもよい。例えば、1つまたは複数の弁測定ツール(図示せず)が、適切なサイズを有する移植用の弁アセンブリ10を容易に特定できるようにするために、生物学的弁輪90へと導入されてもよい。所望により、生物学的弁輪90よりもサイズが大きい、ガスケット部材12および/または弁部材14が、選択されてもよい。例えば、ガスケット部材12は、移植時にガスケット部材12が生物学的弁輪90を、少なくとも部分的に、再形成させる、および/または膨張させるよう、弛緩状態では、生物学的弁輪90よりもわずかに大きい直径を有してもよい。加えて、または、あるいは、弁部材14は、例えば、より大きいサイズに適応する、僧帽弁輪より上方(supra−annular)のまたは洞内(intra−sinus)の移植のために、生物学的弁輪90よりも実質的に大きい直径または他の断面を有してもよい。
【0065】
図7Aを参照すると、ガスケット部材12は、環状リング18(図7Aに図示せず)が生物学的弁輪90内に配置されるまで、患者内へと導入されてもよい。1つの実施形態において、ガスケット部材12は、例えば送達ツール(図示せず)を用いて、ガイドレール50に張力をかけることにより、収縮状態に拘束されてもよく、ガスケット部材12は、環状リング18が少なくとも部分的に生物学的弁輪90へと伸張するまで、患者の体内に導入されてもよい。次に、ガスケット部材12は、例えば、生物学的弁輪90を再形成するために、および/または膨張させるために、または周囲の組織を他の方法で外側へ導くために、膨張してもよいか、または生物学的弁輪90内で少なくとも部分的に解放してもよい。一旦安定化すると、ガイドレール50は送達ツール(図示せず)から完全に解放されてもよい。所望により、膨張ツール(図示せず)は、ガスケット部材12へと進められ、生物学的弁輪90内の環状リング18を強制的に(例えば塑性的に)拡張させるために、拡張させられてもよい。
【0066】
代替的な実施形態において、ガスケット部材12を収縮状態に維持するためのツール(図示せず)が用いられてもよく、一旦環状リング18が生物学的弁輪90内に配置されると、ガスケット部材12は解放されてもよい。ここで、ガスケット部材12は弾力的に拡張し、例えば、弁輪90を包囲する組織に接触するか、および/またはその組織を膨張させてもよい。係る送達ツールは、ガスケット部材12の送達の間、例えば、ガイドレール50を実質的に視界の外部に置くために、ガイドレール50の動きを制約または制限してもよい。ガスケット部材12を送達するための例示的な装置および方法が、米国特許公報第US2007/0225801号、米国特許公報第US2007/0260305号、および米国特許公報第US2007/0265701号に開示されている。
【0067】
ガスケット部材12が生物学的弁輪90内に配置された状態で、ソーイングカフ20(図7Aおよび図7Bでは図示せず)は、生物学的弁輪90の上方の、僧帽弁輪より上方(supra−annular)の空間を包囲する組織に接触してもよい。例えば、クリップまたは縫合糸(図示せず)等の、1つまたは複数の締結具が、ガスケット部材12を通って、生物学的弁輪90の上方の、および/または生物学的弁輪90を包囲する、組織へと導かれてもよい。例示的な締結具と、ガスケット部材12を固定するためにそれらを使用するための方法とが、米国特許公報第US2004/0122516号、米国特許公報第US2005/0043760号、米国特許公報第US2005/0080454号、および米国特許公報第US2006/0122634号に見出し得る。
【0068】
次に、生物学的弁輪90内のガスケット部材12を用いて、弁部材14が、生物学的弁輪90に向かって、患者の体内へと進められてもよい。図示する実施形態において、弁部材14は、ガイドレール50に沿い、ガスケット部材12に向かって進められてもよい。ガイドレール50がガスケット部材12を送達するために使われた場合、弁部材14を進める前に、ガイドレール50は任意の送達ツール(図示せず)から完全に解放され、取り除かれてもよい。ガイドレール50を送達ツールから解放した後、弁部材14の受容部130は、弁輪90からおよび/または患者の体内から突き出したガイドレール50の自由端51bと整列してもよい。したがって、ガイドレール50は、弁部材14がレール50に沿いガスケット12に向かって動くよう、受容部130を通して上向きに通過させられてもよい。所望により、弁部材14は、ガイドレール50の端部51bを受容部130に容易に装着できるようにするための、ガイドまたは他の特徴(図示せず)を備えてもよい。例えば、弁部材14を覆うファブリック(図示せず)は、ガイドレール50の自由端部51bを受容し且つガイドレール50を受容部130へと導き得る、スロットまたは他の開口部を備えてもよい。加えて、または、あるいは、可視標識が、受容部130を通してガイドレール50が容易に挿入できるよう、弁部材14上、例えば、受容部130の上方またはその周囲に、提供されてもよい。
【0069】
弁部材14の受容部130を通して受容されたガイドレール50を用いて、弁部材14は、弁部材14がガスケット部材12と係合するまで、またはガスケット部材12と他の方法で接触するまで、ガスケット部材12に向かってガイドレール50を越えて遠位側に進められてもよい。所望により、弁部材13は、弁ホルダまたは他の送達ツール(図示せず)を用いて、および/または、米国特許公報第US2007/0288089号に開示された方法等の、方法を用いて、送達され得る。弁部材14は、受容部130が保持要素54と確実に係合するまで、例えば、保持要素54の遠位側端部54bが受容部130のデテント134の上方に配置されるまで、進められてもよい。このプロセスは、図6Cから図6Eに示されている。弁部材14がガスケット部材(図6Cから図6Eには図示せず。図7Aおよび図7B参照)の直接近傍に配置されると、ガイドレール50上の保持要素54は、片持ちばね132上のデテント134と遭遇し得る。
【0070】
図6Cから図6Eに示すように、保持要素54はテーパした上部端54aを備えてもよく、デテント134はテーパした下部端部を有してもよい。したがって、弁部材14が下方に導かれると、テーパした端部は互いに対して摺動し、その結果、図6Cおよび図6Dに示すように、片持ちばね132は弾力的に外に向かって曲げられることとなる。一旦、デテント134が保持要素54の下方に通過すると、片持ちばね132は内側に戻り、それにより、デテント134が保持要素54の下方で捕らえられることとなる。デテント134は、実質的に平らな上部端部を備え、保持要素54は、実質的に平らな下部端部54bを備え得る。その結果、弁部材14が保持要素54を越えて引き戻されることが防がれる。このように、保持要素54は、弁部材14の一方向性の、すなわちガスケット部材12に向かう、進行を許可し得る。
【0071】
弁部材14とガスケット部材12との間の結合を容易にするために、ユーザは、デテント134および保持要素54が係合したことを確認する、「クリック」音または他の可聴性および/または触知性のフィードバックが提供されるまで、弁部材14を進める一方で、ガイドレール50を引っ張るか、または他の方法でガイドレール50を基部方向応力の影響下に置いてもよい。デテント134および保持要素54の各組は、逐次的にまたは同時に、係合されてもよい。その結果、図7Bに示すように、保持要素54(図6Eに示される)により、弁部材14がガスケット部材12から離れるように移動することが妨げられた状態で、弁部材14はガスケット部材12に対して確実に配置される。
【0072】
例示的な実施形態において、保持要素54は、ガイドレール50の第1端部51aから所定の距離に配置されてもよい。それにより、弁部材14は、ガスケット部材12に抗してまたはガスケット部材12と直ちに近接して、固定されることとなる。所定の距離は、例えば、コア部60を少なくとも部分的に圧縮するために、弁部材14のフレーム32が実質的にソーイングカフ20と接触するよう、設定されてもよい。それにより、弁部材14とガスケット部材12との間のシールが強化され得る。加えて、弁部材14が、カラー58内に受容されてもよい。このこともまた、弁部材14とガスケット部材12との間のシールを強化する。
【0073】
図6Eに戻ると、次に、受容部130の上方のガイドレール50の過剰部分が、取り除かれてもよい。例えば、ガイドレール50の自由端部51bが十分な引張力で引っ張られると、その結果、ガイドレール50上の弱化部分において切断が生じる。あるいは、ガイドレール50は、単に切られるか、または他の方法で保持要素54の上方で切断されてもよい。
【0074】
本明細書において任意の実施形態とともに示された要素または構成部品は特定の実施形態に対する例示であり、本明細書において開示された他の実施形態に対してまたはそれらと組み合わせて用いられ得ることが、理解されるであろう。例えば、受容部および/またはガイドレールは、その組合せにおいて図面で示されたものであっても、本明細書において説明された任意の実施形態に基づいて提供され得る。受容部および保持要素が本明細書に説明された弁およびガスケット部材上で提供される場合、ガイドレールが単に案内のために用いられ、受容器および保持要素がガスケット部材に対して弁を固定するために提供されているならば、所望により、ガイドレール上の保持要素は排除されてもよい。
【0075】
本発明は、様々な変更例および代替形態に対して余地がある一方で、それらの特定の例が、図面に示され、本明細書において詳細に説明されてきた。しかし、本発明は、特定の開示された形態または方法に限定されるものではなく、むしろ逆に、本発明は、添付の請求項の範囲に属するすべての変更例、等価物、代替物を含むことを理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、患者に移植し得る心臓弁に関し、さらに詳細には、組立可能な多構成部品からなる心臓弁のための接続システム、係る心臓弁の作製方法、および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓弁は、患者内のヒトの破損した弁と交換することが可能である。例えば、人工弁の外側周囲に取り付けられ且つその周囲に存在するソーイングリングつまり縫合カフを備えるワンピース型の弁が提案されている。加えて、弁の構成部品とは別個のソーイングリングを備える多構成部品からなる弁もまた提案されている。いずれの種類の人工弁のソーイングリングも、標的部位内すなわち天然の心臓弁が取り除かれた心臓弁輪内に固定するのは、煩雑で時間のかかるものである。
【0003】
例えば、心臓弁輪内にソーイングリングを移植するためには、最初に、12本から20本の縫合糸が弁輪の周囲の組織に取り付けられることもある。次に、ソーイングリングおよび/または人工弁全体が、縫合糸に沿って下方の弁輪内へと進められ、つまり「パラシュート降下」されることもある。次に、ソーイングリングを弁輪内に固定するために、結節がそれらの縫合糸で結ばれ、そこにおいてそれらの縫合糸が切断されることもある。したがって、この手順は、多数の縫合糸を管理し操作することを要求する、極めて複雑なものとなる可能性がある。手順が複雑であるために、失敗の機会も大きくなり、患者は長時間にわたり心肺バイパスによって生命が維持されることを余儀なくされる。
【0004】
心臓弁輪がソーイングリングおよび/または人工弁の円形断面と一致しないこともあるため、人工弁が弁輪内に最適に適合しない場合もある。その結果、弁を通過する、または弁の周囲の、天然の血行動態が損なわれ、凝固、起こりえる血栓の形成、および/または最終的には弁構造の石灰化をもたらす。
【0005】
この問題に対処するため、多構成部品弁とともに用いられる可撓性ソーイングリングが提案されている。ソーイングリングは、例えば、上述の手順、すなわち縫合糸の配列の下方にパラシュート降下する手順を用いて、弁輪内に移植され得る。ソーイングリングは、弁輪の解剖学的構造に、形状が少なくとも部分的に合致し得る。あるいは、縫合糸を用いるかわりに、ソーイングリングを固定するために、ソーイングリングを通して周囲の組織にステープルを打ち込むことも提案されている。
【0006】
しかし、次に、機械的弁または人工弁がソーイングリングに取り付けられるとき、例えば、ソーイングリングの形状が弁輪と合致するよう変形してしまっている場合、弁およびソーイングリングが効果的に合致しないこともあり、またソーイングリングの変形により、自然の血行動態が損なわれ、漏洩が生じ、および/または別の方法で人工弁の性能が損なわれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、患者内に移植し得る心臓弁に関し、さらに詳細には、組み立て得る多構成部品からなる心臓弁アセンブリに関し、および係る心臓弁を作製し移植するための装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態によれば、洞の近傍の生物学的弁輪内における既存の天然の心臓弁または人工の心臓弁を置き換えるための人工弁を受容するプロテーゼが提供される。プロテーゼは、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、例えば環状部材の上方において環状部材から外側に延長するソーイングカフと、ソーイングカフ内におよび/または環状部材の近傍に位置するレールリングと、レールリングに結合された第1端部、および第2自由端部を備える複数のガイドレールとを備えてもよい。ガイドレールは、プロテーゼに対して人工弁を固定するための1つまたは複数の保持要素を備えてもよい。所望により、ガイドレールは、人工弁をプロテーゼに固定した後にガイドレールを切断するための弱化領域を、例えば、1つまたは複数の保持要素の上方に備えてもよい。加えて、または代替的に、プロテーゼは、例えば環状部材の平面の下方において、環状部材から外側に延長する可撓性のスカート部つまりヒゲ要素を備えてもよい。
【0009】
他の実施形態によると、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、環状部材の近傍に配置されるレールリングと、レールリングに結合された第1端部、および第2自由端部を備える複数のガイドレールと、環状部材およびレールリングを覆うファブリックとを備える人工弁を受容するためのプロテーゼが提供される。例えば、ガイドレールのそれぞれは、レールリングから、ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通って延長してもよい。ガイドレールのそれぞれは、プロテーゼに対して人工弁を固定するための1つまたは複数の保持要素を備えてもよい。所望により、プロテーゼは、例えば環状部材の平面の上方において、環状部材から外側に延長するソーイングカフを備えてもよい。ソーイングカフは、ファブリックカバーから少なくとも部分的に形成されてもよく、および/または、可撓性コア部を含んでもよい。1つの実施形態において、レールリングは、可撓性コア部と環状部材との間に配置されてもよく、可撓性コア部は、そこを通ってガイドレールを受容するための複数の開口部を備えてもよい。
【0010】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪内における移植用の心臓弁アセンブリが提供される。心臓弁アセンブリは、生物学的弁輪内に導入するための寸法を有する環状部材と、ソーイングカフと、レールリングと、レールリングに取り付けられた1つの端部を備える複数のガイドレールとを備える、環状のプロテーゼを備えてもよい。心臓弁アセンブリは、環状フレームと、例えば人工弁を環状プロテーゼに向かってガイドレールに沿ってガイドするためのガイドレールを受容するための受容部とを備え得る人工弁も備えてもよい。環状プロテーゼおよび/または人工弁は、プロテーゼに対して人工弁を固定するための1つまたは複数の連結具を備えてもよい。例えば、人工弁は、対応する保持要素または他の連結具をガイドレール上で受容するためのデテントまたは他の要素を備える複数の受容部を、環状プロテーゼに対して人工弁を固定するために、備えてもよい。
【0011】
さらに他の実施形態によると、第1プロテーゼおよび第2弁プロテーゼを備える心臓弁アセンブリが提供される。第1プロテーゼは、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、環状部材の上方から外側に延長する可撓性コア部を備えるソーイングカフと、環状部材と可撓性コア部との間に位置するレールリングと、レールリングに取り付けられた複数のガイドレールとを備えてもよい。第2弁プロテーゼは、環状フレームと、第2プロテーゼがガイドレールに沿って第1プロテーゼに向かって導かれるよう、各ガイドレールを受容するための受容部とを備えてもよい。第1プロテーゼに対して第2プロテーゼを固定するために、受容部内の各デテントと係合するための保持要素がガイドレール上に提供されてもよい。
【0012】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪内において移植可能な環状部材と、レールリングと、環状部材の下部端部に沿って径方向外側に延長する可撓性スカート部つまりヒゲ要素とを備える第1プロテーゼを備える心臓弁アセンブリが提供される。複数のガイドレールがレールリングから延長してもよい。このアセンブリは、環状フレームと、第2プロテーゼがガイドレールに沿って第1プロテーゼに向かって導かれるよう、各ガイドレールを受容するための受容部とを備える第2弁プロテーゼも含んでもよい。加えて、このアセンブリは、第1プロテーゼに対して第2プロテーゼを固定するための手段を備えてもよい。
【0013】
他の実施形態によると、弁プロテーゼを移植するための環状プロテーゼを作製するための方法が提供される。なお、この方法は、レールリングから延長する複数のガイドレールを備えるレールリングを形成することと、環状部材を形成することと、レールリングおよび環状部材が中央通路を包囲するよう、レールリングおよび環状部材をファブリックカバーで実質的に包囲することとを含む。ファブリックカバーを通してレールリングからガイドレールを延長することを可能にする開口部が、ファブリックカバーに形成されてもよい。環状部材は、薄板をバンド状にロールすることにより、形成されてもよく、次に、環状部材およびレールリングが、例えば、レールリングが環状部材の近傍で同心円状に配置されるよう、互いに固定されてもよい。所望により、例えば、ファブリックカバーでレールリングを包囲する前に、可撓性コア部が形成され、レールリングの近傍に配置されてもよい。例えば、可撓性コア部は、レールリングが可撓性コア部と環状部材との間に配置されるよう、レールリングの上方に配置してもよい。可撓性コア部は、一旦ファブリックカバー内に受容されると、可撓性コア部が、環状部材から径方向に延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画成するよう、レールリングおよび環状部材よりも大きい断面を有してもよい。所望により、可撓性コア部は、可撓性コア部を通る複数の開口部を備えてもよく、ガイドレールは、レールリングおよび可撓性コア部をファブリックカバーで完全に包囲する前に、各開口部を通って延長してもよい。
【0014】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪内において人工心臓弁アセンブリを移植するための方法が提供される。環状部材と環状部材から延長する複数のガイドレールとを備える環状プロテーゼが提供される。環状プロテーゼは、例えば、環状部材が生物学的弁輪内に導入されるまで、生物学的弁輪に向かって導かれてもよい。例えば、縫合糸、クリップ等の1つまたは複数の連結具が、環状部材を生物学的弁輪内に固定するために、環状プロテーゼの1部分を通って、例えば、環状部材から径方向に延長するソーイングカフまたはスカート部を通って、導かれてもよい。例えば機械的弁または生体弁等の弁プロテーゼが、ガイドレール上で進められ、環状部材に対して固定されてもよい。例えば、弁プロテーゼは、弁プロテーゼが環状プロテーゼに向かってガイドレールの下方に進められるよう、受容部を通って各ガイドレールを受容するための複数の受容部を備えてもよい。これらのガイドレールは、受容部において受容され得る、例えばボタン、デテント、傾斜面等の1つまたは複数の保持要素を、環状プロテーゼに対してまたは環状プロテーゼの近傍に弁プロテーゼを固定するために、備えてもよい。次に、これらのガイドレールは、例えば、弁プロテーゼが生物学的弁輪の近傍で環状プロテーゼに固定された状態のまま、受容部および保持要素の上方でこれらのガイドレールを切断することにより、取り除かれてもよい。
【0015】
さらに他の実施形態によると、生物学的弁輪に心臓弁アセンブリを移植するための方法が提供される。なお、この方法は、第1環状プロテーゼから延長する複数のガイドレールを備え且つ複数のガイドレールのそれぞれが少なくとも1つの保持要素を備える第1環状プロテーゼを、生物学的弁輪に挿入することと、生物学的弁輪の周囲の組織に第1プロテーゼを固定することと、第2弁プロテーゼ上の各受容部を通してガイドレールの自由端を導くことと、受容部のテーパ型の下部表面が保持要素のテーパ型の上部表面に係合するまで、第2プロテーゼをガイドレールに沿って第1プロテーゼに向かって進めることと、受容部のテーパ型下部表面を保持要素のテーパ型上部表面に沿って摺動させることにより、受容部のばね要素を外側に曲げることと、ばね要素を内側に戻してばね要素上のデテントを保持要素の下方の位置にロックすることにより、第2プロテーゼを第1プロテーゼに対して固定することとを含む。
【0016】
添付の図面とあわせて以下の説明を検討することにより、本発明他の態様および特徴が明らかになるであろう。
【0017】
以下の図面は本発明の例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】ツーピース型の心臓弁アセンブリ用のガスケット部材の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【図1B】ガスケット部材の内部部品を示すためにファブリックカバーが取り除かれた、図1Aに示すガスケット部材の斜視図である。
【図1C】それぞれ図1Aにおける線1C−1Cおよび線1D−1Dに沿ったガスケット部材の断面図である。
【図1D】それぞれ図1Aにおける線1C−1Cおよび線1D−1Dに沿ったガスケット部材の断面図である。
【図2A】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2B】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2C】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2D】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に備えられ得るスカート部つまりヒゲ要素の例示的な実施形態の上面図である。
【図2E】環状リングに取り付けられたスカート部つまりヒゲ要素を有する、図1A〜図1Dに示すガスケット部材の環状リングのためのバンドの側面図である。
【図2F】図2Eに示すバンドおよびスカート部が組み合わされてその端部が組み合わされた状態の、バンドおよびスカート部の斜視図である。
【図3A】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に含まれ得るガイドレールを備えるレールリングの斜視図である。
【図3B】平たんな姿勢における、図3Aに示すレールリングおよびガイドレールの上面図である。
【図3C】ソーイングカフのコア部に近接する開口部を通してガイドレールが配置された状態にある、図3Aに示すレールリングの斜視図である。
【図3D】ソーイングカフのコア部に取り付けられ得る交連部支持体の詳細図である。
【図3E】ソーイングカフのコア部に取り付けられた、図3Dに示す交連部支持体の詳細図である。
【図3F】ガイドレールおよびソーイングカフのコア部に取り付けられた、応力拡散器の詳細である。
【図4A】図1A〜図1Dに示すガスケット部材に取り付けられ得るカラーの斜視図である。
【図4B】図4Aの線4B−4Bに沿ったカラーの断面図である。
【図4C】図4Aおよび図4Bに示すカラーのコア部を提供し得る平坦なバンドの側面図である。
【図5】明瞭のためにリーフレットを取り除いた状態における、ガイドレールを受容するツーピース型の心臓弁アセンブリのための弁部材の例示的な実施形態の側面図である。
【図6A】図5に示す弁部材上に提供され得る且つトラックを通ってガイドレールを受容するためのトラックを画成する片持ちばねおよびデテントを備える、受容部の他の実施形態の詳細図である。
【図6B】図5に示す弁部材上に提供され得る且つトラックを通ってガイドレールを受容するためのトラックを画成する片持ちばねおよびデテントを備える、受容部の他の実施形態の詳細図である。
【図6C】ガイドレールを受容部を通して受容する、図6Aおよび図6Bに示す受容部の、それぞれ詳細斜視図および詳細側面図である。ただし、ここでは、片持ちばね上のデテントにより片持ちばねが外側に曲げられた結果、ガイドレール上の保持要素が受容部を通過できる状態となっている。
【図6D】ガイドレールを受容部を通して受容する、図6Aおよび図6Bに示す受容部の、それぞれ詳細斜視図および詳細側面図である。ただし、ここでは、片持ちばね上のデテントにより片持ちばねが外側に曲げられた結果、ガイドレール上の保持要素が受容部を通過できる状態となっている。
【図6E】図6A〜図6Dに示す受容部の詳細図である。ただし、ここでは、ガイドレールの保持要素が受容部のデテントと係合し、ガイドレールの上部が切断され取り除かれた状態となっている。
【図7A】図1Bに示すガスケット部材および図5に示す弁部材を生物学的弁輪内において移植するための方法を示す、生物学的弁輪の斜視図である。
【図7B】図1Bに示すガスケット部材および図5に示す弁部材を生物学的弁輪内において移植するための方法を示す、生物学的弁輪の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に戻ると、図1A〜図1Dは、中央縦軸17にほぼ沿って複数の内部環状構成部品を通る通路13を画成するために、ファブリックカバー21の内部にまたはファブリックカバー21に包囲されて実質的に受容される複数の内部環状構成部品と、内部環状構成部品から延長する複数の細長いガイドレール50とを備えるガスケット部材12の例示的な実施形態を示す。図1Bにおいてもっともよく見られるように、ガスケット部材12は、以下に説明されるように、環状リング18と、可撓性ヒゲ要素つまりスカート部30と、可撓性コア部60を備えるソーイングカフつまりリング20と、レールリング52から延長するガイドレール50を備えるレールリング52と、を一般的に備える。図1B〜図1Dに示されるように、ファブリックカバー21が、下記でさらに説明するように、例えば、環状リング18、ソーイングカフ20のコア部60、スカート部30、および/またはレールリング52上に、ガスケット部材12の1つまたは複数の構成部品上にまたはその周囲に、提供されてもよい。
【0020】
1つの実施形態において、環状リング18は、縦軸17の周囲に配置され且つ平面16に略平行となる、略円形の形状を有してもよい。所望により、環状リング18は、軸方向において平面16の上方および/または下方に延長する部分を含む、起伏する形状を備えてもよい。あるいは、環状リング18は、スカラップまたは尖頭(図示せず)により隔てられたローブを備える、多ローブ形状をその円周のまわりに有してもよい。加えて、または、あるいは、環状リング18は、手順の間に遭遇する患者内部の解剖学的構造に基づいて、直径(または、環状リング18が円形でない場合、他の断面)が調整でき得るよう、拡張可能および/または収縮可能であってもよい。1つの実施形態において、環状リング18は、所定の直径にまで拡張するよう、付勢されてもよい。したがって、環状リング18は、例えば、弁輪への送達を容易なものとしながら、しかも、弁輪の周囲の組織を整形し直すためおよび/または膨張させるために弾力的に拡張し得るよう、および/または、ガスケット部材12を弁輪内において固定することを容易にするために、より小さい直径へと径方向に収縮されてもよい。
【0021】
環状リング18は、ニチノール、ステンレス鋼、プラスチック等の弾性材料または超弾性材料から形成されてもよい。例えば、環状リング18は、例えば、約0.1ミリメートルから0.5ミリメートルの、環状リング18に対する所望の厚さを有する基礎材料の平坦な薄板から、例えば、レーザ切断、機械的切断等により、切り出されてもよい。したがって、図2Eにおいてもっともよく見られるように、環状リング18は、例えば、約1.5ミリメートルから2.5ミリメートルの、環状リング18の所望の幅に対応する厚さ「W」を有し、例えば、約55ミリメートルから90ミリメートルの、環状リング18の所望の円周に対応する長さ「L」を有する、長いバンドの材料として、最初、形成されてもよい。次に、バンドは、マンドレルの周りに巻かれるか、または、端部が互いに近接する状態で、略円筒形の形状に他の方法で束縛されてもよい。バンドは、熱処理が施されるか、または別の方法で略円筒形の形状が環状リング18を形成するよう処理されてもよい。あるいは、バンドは、バンドに取り付けられたスカート部30により、略円筒形の形状に保持されてもよい。その配列については、以下でさらに詳細に説明する。略円筒形の形状は、互いに重なり合った、開いた「C」字形状を提供するために互いに離間した、および/または互いに取り付けられた、端部を含み得る。
【0022】
スカート部30は、スカート部30が、環状リング18の平面の下方で、環状リング18から外側に延長するよう、基部80から延長する複数の可撓性フィンガー部82を含む環状部材であってもよい。基部80は、例えば、基部80が環状リング18の周囲に配置され得るよう、環状リング18に実質的に対応する直径を有してもよい。所望により、基部80は、締り嵌め、接着剤、超音波溶接、および縫合糸等の1つまたは複数の締結具等のうちの1つまたは複数により、環状リング18に固定されてもよい。1つの実施形態において、基部80および環状リング18は、基部80のおよび環状リング18の円周の周りに位置する1つまたは複数の締結部位において、互いに結合される。図2Eおよび図2Fに示される例示的な実施形態において、締結部位は、基部80および環状リング18における対応する孔80aおよび18aを通して固定される縫合糸84を備えてもよい。スカート部30のフィンガー部82は、基部80から外側に延長するよう、付勢されてもよい。それにより、図1Aに示すような、切頭円錐形の形状が画成される。例えば、フィンガー部82は、縦軸17に対して径方向外側に、約1度から10度の角度にまで付勢されてもよい。
【0023】
図2A〜図2Dに示すスカート部30等の、スカート部30は、細長い平坦なバンドにおいて形成されたフィンガー部82を有する細長い平坦なバンドから形成されてもよい。図2Aおよび図2Bにおいて、フィンガー部82および82’は、実質的に均一な長さを有する。一方、図2Cおよび図2Dにおいて、フィンガー部82’’および82'''は、例えば、波状起伏つまりローブを画成する、変動する長さを有し、この波状起伏つまりローブは、その内部でガスケット部材12が移植され得る生物学的弁輪の下方の形状に対応し得る。加えて、図2Bおよび図2Cにおけるフィンガー部82’および82’’は、図2Aおよび図2Dにおけるフィンガー部82および82’’’よりも厚い。それにより、外向きの付勢がより大きくなり、ファブリックカバー21の、外向きのうねりがより大きくなり得る。
【0024】
スカート部30は、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリエステルまたは他のポリマー、ニチノール等の弾性のまたは超弾性の合金等の、比較的薄いバンドから形成されてもよく、その薄いバンドから、例えば、ダイス切断、レーザ切断、機械的切断、スタンピング等により、基部80およびフィンガー部82が切り出されてもよい。例示的な実施形態において、バンド(および、その結果として、スカート部30)は、約0.002インチから0.010インチ(0.05ミリメートルから0.25ミリメートル)の厚さを有してもよい。スカート部30が形成された後、基部80は、例えば、約0.01インチから0.08インチ(0.25ミリメートルから2.0ミリメートル)の幅を有してもよく、フィンガー部82は、例えば、約0.01インチから0.08インチ(0.25ミリメートルから2.0ミリメートル)の長さと、約0.01インチから0.04インチ(0.25ミリメートルから1.0ミリメートル)の幅を有してもよい。図2A〜図2Dに示されるように、平坦なバンドは、例えば、バンドが巻かれてその両端部がともに取り付けられると、基部80および/またはフィンガー部82がテーパして、その結果、上述のように、切頭円錐形の形状が画成され得るよう、曲線を画成してもよい。バンドの両端部は、超音波溶接と、接着剤と、縫合糸等の締結具等とにより、ともに取り付けられてもよい。1つの実施形態において、バンドの両端部は、例えば、タブ80bを通して縫合糸を結ぶ(図2Eに示す)ことにより、ともに取り付けられてもよく、この両端部は、環状リング18のバンドの両端部には取り付けられない。スカート部30および環状リング18の両方が上述の材料の長いバンドから形成されると、バンドは、1つまたは複数の締結部位において、バンドの長さ(バンドの両端部の間)に沿って、ともに結合されてもよい。次に、バンドは、例えば、タブ80bにおいて基部80の両端部をともに取り付けることにより、略円筒形の形状において維持されてもよい。
【0025】
あるいは、スカート部30は、所望する切頭円錐形の形状の連続したピースとして成形または別の方法で形成され、環状リング18に取り付けられてもよい。例えば、スカート部30は、直接的に環状リング18の周囲に成形されてもよく、またはスカート部30は、環状リング18とは別個に成形され、次に、上述のように、環状リング18に取り付けられてもよい。
【0026】
図1Aおよび図1Bに戻ると、ソーイングカフ20は一般に環状リング18から、例えば、図1Aにおいてもっともよく見られるように、環状リング18の上部から、径方向外側に延長する。ソーイングカフ20は、例えば、心臓(図示せず)の大動脈弁の上方にある洞領域の交連部に対応する、3つのローブを画成する、多ローブ外表面を有する。ソーイングカフ20の可撓性コア部60は、例えば、より狭い下部直径または環状リング18近傍における他の断面を有し、縦軸17から径方向に上向きに延長し、その結果、多ローブ外形状を画成する、略切頭円錐形の形状を有する環状本体であってもよい。コア部60は、直接的に、または介在要素(以下でさらに詳述する)を用いて、環状リング18の上部に取り付けられてもよい。あるいは、コア部60が排除され、ソーイングカフ20が、例えば、環状リング18の少なくとも1部分に近接して、または環状リング18の少なくとも1部分を覆って、単に1つまたは複数の層のファブリックまたは他の材料から形成されてもよい。
【0027】
図1Bおよび図3Cに示すように、コア部60は、さらに以下で説明するように、孔を通ってガイドレール50を受容するための複数の孔64を備えてもよい。孔64は、コア部60の円周の周り、例えば、コア部60のローブ66の近傍に、離間してもよい。所望により、追加の支持パネル支持パネルが、孔64および/またはローブ66の近傍に提供されてもよい。例えば、図3Dおよび図3Eに示されているように、例えば、縫合糸67または他の連結具を用いて、接着剤を使用した接着により、超音波溶接等により、交連部支持体68が孔64の上方に取り付けられてもよい。
【0028】
コア部60、交連部支持体66、および/またはソーイングカフ20の他の構成部品の材料は、例えば、(先程説明したような)所望の環状形状で製造されながら、しかも、例えば、下向きに湾曲する、伸張する、収縮する、等の変形が容易にできるよう、実質的な可撓性を有してもよい。コア部60は、「柔軟」であるよう、すなわち、ソーイングカフ20の形状が、移植中に遭遇する特定の解剖学的構造および/または移植上の処置に基づいて、容易におよび/または実質的に、順応するよう、十分な可撓性を有してもよい。したがって、ソーイングカフ20が患者の心臓内において組織環帯の上方またはその内部に配置されたとき、コア部60は、周囲の解剖学的構造に対して形状が順応し、および/または、弁部材(以下に説明する)がガスケット部材12に固定されたとき、例えば、接触された組織に実質的な力を印加することなく、弁部材とガスケット部材12との間のシーリングを強化するために、変形してもよい。
【0029】
例えば、組環帯の内部またはその上方に移植されるとき、コア部60は、周囲の組織に対抗して配置され得る。すると、その形状が本来の略円形のまたは多ロープの形状から変化させられ、任意の波状起伏の形状が変化させられ、および/または本来のテーパの角度が変化させられることとなる。したがって、コア部60は、ローブ66が組織環帯の交連部(図示せず)に抗して配置されたとき、より垂直つまり内向きとなり得る。また、コア部60は、ローブ66間の領域が交連部(また図示せず)の上方またはその間の洞内に配置されたとき、より水平つまり外向きとなり得る。締結具(図示せず)がソーイングカフ20を通って打ち込まれると、コア部60は、弾力的に伸張または収縮し、締結具からの力をより均等に分散する。それにより、ソーイングカフ20が団子状になること、またはさもなければ漏れの原因となり得る他の歪みが低減され得る。
【0030】
コア部60および交連部支持体64のための典型的な材料は、シリコンまたは他のエラストマ材料、発泡樹脂、ファブリック、フェルト、ポリマー、その他を含む。これらの材料は、例えば、成形、押出加工、機械加工、切断、または他の製造手順を用いて、成形または他の方法でコア部60に形成されてもよい。例えば、コア部60は射出成形または他の方法で、図2Eおよび図2Fに示すようにローブ66および孔64を含む、環状の形状に形成されてもよい。可撓性コア部またはソーイングカフ20の他の構成に関する追加情報は、米国特許公報第US2006/0195184号に見出し得る。
【0031】
図1Aおよび図1Bに戻り、さらに図3Aから図3Cを参照すると、レールリング52は、環状の薄板からガイドレール50が延長する環状の薄板であり得る。レールリング52は、例えば、環状リング18の直径と類似した、略円形の形状を有してもよく、ソーイングカフ20のコア部60と類似した、多ローブ形状を有してもよく、または、この2つの間の中間的形状を有してもよい。加えて、レールリング52は、例えば、さらに以下で説明するように、レールリング52を、環状リング18におよび/またはガスケット部材12(図示せず)の他の構成部品に連結するために、複数のタブ56または他の連結具を備えてもよい。
【0032】
ガイドレール50は、例えば、ロッキングビーズ、タブ、ラチェット、デテント、その他の、1つまたは複数の一方向性のまたは二方向性の保持要素54を備えてもよい。保持要素54は、例えば、ガイドレール50の形成時にガイドレール50と一体成形されてもよく、または、所定の位置においてガイドレール50に接着、融着、または他の方法で取り付けられる、(ガイドレール50とは同一のまたは異なった材料製の)別個の要素であってもよい。あるいは、ガイドレール50は、例えば、プラスチックまたは他の材料から形成された平坦なバンドであってもよく、また、本明細書の他の箇所において説明されるように、ガイドレール50に形成されたまたはそこに取り付けられた保持要素54を有してもよい。
【0033】
図3Aから図3Cに示すように、ガイドレール50上の保持要素54は、テーパした基部側端部54aと実質的に平らな遠位側端部54bとを備えてもよい。基部側端部54aは、弁部材(以下で説明する)が保持要素54を越えて遠位側に向かって通過させられることが可能になるように、実質的に滑らかな移動を提供し得る。遠位側端部54bは、さらに下記で説明するラチェットまたはデテントと同様に、弁部材が保持要素54を越えて基部側に戻るように通過させられることを防ぐ、ロックを提供し得る。代替的な実施形態において、ガイドレール50上の保持要素54は、ガイドレール50上に結びつけられた結節(図示せず)および/またはガイドレール50上に所定の位置に形成されたビーズ(また図示せず)を備えてもよい。各ガイドレール50上にはただ1つの保持要素54が示されているが、所望により、複数の保持要素54が、各ガイドレール50にそって、互いから離間して提供されてもよい。
【0034】
所望により、ガイドレール50は、例えば、保持要素54の上方に、または他の方法で第1端部51aから所定の距離だけ隔てた位置に、弱化領域(図示せず)を備えてもよい。所定の応力がガイドレール50に印加されると、弱化領域は自動的に破断し、その結果、第1端部51aがガイドレール50の残りの部分から分離され、次に患者の体から取り除かれる。この選択肢は、ガイドレール50を切断するために、鋏または他の切断具を患者に導入する必要性を排除し得る。例えば、緊急事態状況において所望する場合、または、弁部材(図示せず)が交換される場合、ガイドレール50の残りの部分は、弁部材を解放するために、保持要素54の下方において切断され得る。その結果、弁部材をガスケット部材12からおよび/または患者の体から取り除くことが可能となる。
【0035】
弱化領域は、ガイドレール50の端部の一方または両方において、ガイドレール50上の幅全体にわたって、および/または、ガイドレール50上の長さに沿って軸方向にまたは斜めに、ノッチ、スリット、溝、切断、ネッキング、狭細化、擦り傷、および/または狭小化を含み得る。
【0036】
任意の数量のガイドレール30が、レールリング52上に提供され得る。例えば、3つの交連部を有する大動脈のためのプロテーゼに関しては、3つのガイドレールが提供されてもよい。1つの実施形態において、ガイドレール50の第1端部51aは、図3Aおよび図3Bに見られるように、レールリング52と一体的に形成されてもよく、ガイドレール50の第2端部51bは、図1Aでもっともよく見られるように、自由端にとどまってもよい。あるいは、ガイドレール50は、レールリング52とは別個に形成されてもよく、ガイドレール50の第1端部51aが、例えば、接着剤を用いた接着、超音波溶接、縫合または他の連結具の使用、その他(図示せず)により、レールリング52に取り付けられてもよい。この代替において、各ガイドレールは、例えば、互いにある間隔で離間して、ガスケット部材12に取り付けられてもよい。例えば、ガイドレールは、弁部材上の、および/またはガスケット部材12が移植される生物学的弁輪(図示せず)上の、交連部と整列するガスケット部材12の円周上に提供されてもよい。
【0037】
1つの実施形態において、ガイドレール50およびレールリング52は、例えば、PET、ポリエステル、または他のプラスチック、例えばニチノール等の弾性のまたは超弾性の合金、その他から、成形、押出加工、切断、または他の製造手順により、一体型ピースとして形成されてもよい。ガイドレール50は、ガイドレール50が実質的に自立構造を有し、例えば、自重により崩壊せず、しかも、例えば、所望時にガイドレール50を回避させる等の、使用中における操作が可能であるように十分な可撓性を有するよう、十分な支柱強度を有する材料から形成されてもよい。
【0038】
例えば、PETのまたは他のプラスチックの平坦な薄板が提供され、ガイドレール50、レールリング52、およびタブ56が、図3Cに示すように、レーザ切断、ダイス切断、スタンピング、その他により、その平坦な薄板から形成されてもよい。次に、ガイドレール50およびタブ56は、例えば、図1Aおよび図3Aに示すように、所望する方向に曲げられてもよい。以下に説明するような所望する特徴が、例えば、機械加工、打ち抜き、エッチング、機械切断またはレーザ切断、穿孔、または他の方法でガイドレール50およびレールリング52から材料を取り除くことにより、ガイドレール50およびレールリング52に形成されてもよい。あるいは、所望する特徴が、例えば射出成形により、元からガイドレール50およびレールリング52に形成されてもよい。
【0039】
ガイドレール50は、レールリング52の円周のまわりで、互いに離間してもよく、例えば、図3Aにおいてもっともよく見られる用に、縦軸17に対して略平行に、または他の方法でレールリング52により画成される平面上で上向きに、レールリング52に対して横方向に延長してもよい。例えば、ガイドレール50がレールリング52と一体的に形成されている場合、ガイドレール50は、最初はレールリング52の平面内に存在しているが、曲げられ、折られ、または、レールリング52に対して横方向に延長するよう、他の方法で変形されてもよい。
【0040】
図1Aおよび図3Bに示すように、組立の後、ガイドレール50は、ソーイングカフ20のコア部60の孔65を通って延長されてもよい。例えば、コア部60は、レールリング52の上方に、すなわち、図1Bにおいてもっともよく見られるように、レールリング52がコア部60と環状リング18との間に存在する状態で、位置してもよく、ガイドレール50は、ガイドレール50の第2自由端部51bが環状リング18の平面の上方に延長するよう、コア部60の孔64を通って挿入されてもよい。
【0041】
所望により、レールリング52および/またはガイドレール50は、例えば、安定のために、または他の方法でコア部60に対するガイドレール50の相対的位置を維持するために、コア部60に対して固定されてもよい。例えば、図3Fに示されるように、ガイドレール50がコア部60の孔64を通って挿入された後、材料のパネル55が、各ガイドレール50の第1端部51aの上方でコア部60およびレールリング52に取り付けられてもよい。パネル55は、例えば、シリコン、PET、または、レールリング52および/またはコア部60と同様の他の材料等の、比較的小さいプラスチック薄板であってもよい。パネル55は、1つまたは複数の縫合糸57またはステープル、クリップ、その他の他の連結具を用いて、接着剤を用いた接着、超音波溶接、その他により、コア部60およびレールリング52に取り付けられてもよい。図示のように、ガイドレール50は、コア部60とパネル55との間を、例えば、レールリング52または保持要素54がコア部60に当接することにより制限される上下の短距離だけ、自由に摺動し得る。
【0042】
図1Aに示すように、レールリング52および環状リング18の外径は、実質的に同一であり、レールリング52は、コア部60と環状リング18の上部端部との間に存在する介在要素として配置されてもよい。レールリング52を環状リング18に取り付けるために、レールリング52は、例えば、レールリング52の材料を軟化または溶解させることにより、環状リング18の上部端部に沿って融着されてもよく、または、縫合糸、クリップ、その他の、1つまたは複数の締結具、接着剤を用いた接着、超音波溶接、その他を用いて、他の方法で取り付けまたは固定されてもよい。あるいは、レールリング52は環状リング18に対して突き合わせられて、または、他の方法で、環状リング18の上部端部に近接して配置されて、ファブリックカバー21により相対的位置に保持されてもよい。
【0043】
1つの実施形態において、図1B、図2E、および図3Bを参照すると、レールリング52上のタブ56が、レールリング52と環状リング18との間の結合を支援し得る。1つまたは複数のタブ56が、下方に曲げられるか、または他の方法で、例えば図1Bに示すように、ある角度でレールリング52の平面の下方に延長してもよい。例えば、1つまたは複数のタブ56が、レールリング52の平面の下方に、約60度(60°)の角度で延長してもよい。レールリング52および環状リング18は、1つまたは複数のタブ56および環状リング18を通して供給される、1つまたは複数の縫合糸59または他の締結具により、相対的位置に保持され得る。縫合糸の供給をより容易にするために、1つまたは複数の開口部56aがタブ56に提供され(図3B参照)、1つまたは複数の対応する開口部18bが、環状リング18に提供され得る(図2E参照)。図1Bに示す縫合糸59のような縫合糸59が、開口部56aおよび開口部18bの対応する組を通して供給され得る。
【0044】
図1Bから図1Dに戻ると、ファブリックカバー21が、環状リング18、スカート部30、レールリング52、および可撓性コア部60の周りに供給され得る。図示のように、ファブリックカバー21は、例えば、ダクロンまたは他のポリエステルのファブリック等の、単一枚の管状のファブリックであってもよい。なお、このファブリックは、例えば、縫合糸72、および/または接着剤、他の連結具(図示せず)、その他により、ファブリックの任意の弛んだ端部または縁部71がともに固定された状態で、ガスケット部材12の構成部品の周りに巻き付けられ得る。あるいは、所望により、複数枚のファブリックが用いられてもよい。所望により、ファブリックカバー21はガスケット部材12の構成部品の1つまたは複数の位置(例えば、環状部材18、可撓性コア部60、および/またはスカート部30)に対して、ファブリックカバーを通しておよび/または構成部品(図示せず)の1つまたは複数の開口部を通して供給される1つまたは複数の縫合糸により、固定されてもよい。
【0045】
スカート部30のフィンガー部82が外側に付勢されまたは他の方法で広げられるため、フィンガー部82は、例えば、下部端部の近傍で、ファブリックカバー21を径方向外側に環状リング18から離れる方向に導き得る。したがって、ファブリックカバー21およびフィンガー部82は、例えば、環状リング18に向かってまたは環状リング18に抗して、内側に収縮され得る。しかし、係る収縮力が解放されると、フィンガー部82は弾力的に外側に戻り得る。すると、ファブリックカバー21が外側に導かれることとなる。この特徴は、接触された組織に実質的な力を印加することなく、ファブリックカバー21と周囲の組織との間のシールを強化し得る。
【0046】
所望により、ガスケット部材12は、1つまたは複数の追加的構成部品を有してもよい。例えば、図1Bから図1Dに示すように、ガスケット部材12は、例えば、本明細書の他の箇所で説明されるように弁部材(図示せず)を受容するために、環状リング18および/またはソーイングカフ20から上方に延長するカラーつまりスタンドオフ58を備えてもよい。カラー58は、例えば、ガスケット部材18と人工弁との間のシールを強化するために、環状リング18および/またはソーイングカフ20に取り付けられ、または他の方法で環状リング18および/またはソーイングカフ20から上側に延長してもよい。
【0047】
図4Aから図4Cを参照すると、カラー58は、コア部40を備えてもよい。なお、このコア部40は、ソーイングカフ20のコア部60とは別個のものである。カラー58のコア部40およびソーイングカフ20のコア部60は、例えば、接着、融着、締り嵌め、その他により、相互に取り付けられてもよく、および/または、包囲するファブリックにより、互いに近接して維持されてもよい。あるいは、カラー58のコア部40およびソーイングカフ20のコア部60は、例えば、素材、その他から、成形、切断、および/または機械加工により、一体型ピースとして形成されてもよい。さらなる実施形態において、コア部40および包囲するファブリック37を含むカラー58は、ソーイングカフ20および環状リング18の近傍に配置され、例えば、1つまたは複数の縫合糸または他の連結具(図示せず)を用いて、ソーイングカフ20および環状リング18に取り付けられてもよい。
【0048】
カラー58のコア部40の材料は、例えば、所望の環状形状で製造され、しかも、例えば、下向きの湾曲、伸張、および/または収縮等で、容易に変形し得る、実質的な可撓性を有してもよい。カラー58のコア部40のための典型的な材料は、例えば、ソーイングカフ20のコア部60と同様に、例えば、PET、シリコン、または他のエラストマ材料等のプラスチックと、発泡樹脂と、ファブリックと、フェルトと、ポリマーと、その他を含む。これらの材料は、成形、または他の方法で、例えば、既知の成形、押出加工、切断、機械加工、または他の製造手順を用いて、コア部40に形成されてもよい。
【0049】
1つの実施形態において、図4Cに示されるように、カラー58のコア部40は、例えば、レーザ切断、機械的切断、その他により、平坦な薄板の基礎材料から切断されてもよい。このように、カラー58のコア部40は、最初は、長いバンドの材料として形成されてもよい。コア部40のためのバンドは、例えば、3つの交番する山部および谷部を含むソーイングカフ20のコア部60の多ローブ形状に対応して、起伏する形状を有してもよい。あるいは、バンドは、ソーイングカフ20のコア部60の表面が実質的に平面である場合、実質的に直線状であってもよい。バンドは、マンドレルの周りに巻かれるか、または端部が互いに近接する状態で、略円筒形の形状に他の方法で束縛されてもよい。例えば、バンドの端部40aは、縫合糸、クリップ、接着剤、その他の締結具を用いて、略円筒形の形状を維持し、カラー58のコア部40を形成するために、ともに取り付けられてもよい。あるいは、バンドは、熱処理が施されるか、または他の方法で略円筒形の形状がカラー58のコア部40を形成するよう処理されてもよい。略円筒形の形状は、互いに重なり合った、開いた「C」字形状を提供するために互いに離間した、および/または互いに取り付けられた、端部を含み得る。
【0050】
カラー58のコア部40を略円筒形状に形成した後、カラー58のコア部40は、図4Aおよび図4Bに示すように、ファブリック37に覆われてもよい。ファブリック37は、図4Bに示すように、カラー58の少なくとも1部分の周りに可撓性のスカート部42を提供するよう、形づくられてもよい。例えば、ファブリックは、カラー58から延長する、ファブリックの二重の厚さにより画成されるスカート部42を提供するために、それ自身の上に折りたたまれてもよい。スカート部42は、例えば、さらに下記で説明されるように、カラー58がガスケット部材12に取り付けられたとき、自由に、動き、および/または、合致し得る。あるいは、スカート部42は、ファブリックの単一層により、および/または、カラー58および/またはファブリック37に取り付けられるか、または他の方法でカラー58および/またはファブリック37から延長する他の可撓性材料(図示せず)の単一の層により、画成されてもよい。
【0051】
スカート部42は、縫合糸または締結具(図示せず)がスカート部42およびカフ20の両方を通して受容されるよう、十分な大きさを有してもよい。カラー58が、図1Bから図1Dに示されるように、ガスケット部材12と接触するよう導かれるとき、スカート部42は、スカート部42が直接ガスケット部材12と接触し得るよう、カラー58の底部に配置される。カラー58をソーイングカフ20に取り付けるため、縫合糸(図示せず)が、例えば、コア部40の孔40b(図4Cに示す)を通して、ソーイングカフ20を覆うファブリック21へと、スカート部42を通って縫い通されてもよい。あるいは、または加えて、例えば、クリップ、接着剤等の他の締結具が、縫合糸の代わりに、または縫合糸に加えて、用いられてもよい。
【0052】
ガスケット部材12の多数の特長は、米国特許公報第US2004/0122516号、米国特許公報第US2005/0165479号、米国特許公報第US2006/0276888号、米国特許公報第US2006/0235508号、米国特許公報第US2007/0260305号、米国特許公報第US2007/0265701号、米国特許公報第US2007/0150053号、米国特許公報第US2007/0016285号、および米国特許公報第US2006/0195184号に開示された装置と同様であってもよい。所望により、ガスケット部材12は、米国特許公報第US2007/0260305号に開示されたガイドシールド等の、他の追加的特徴を備えてもよい。
【0053】
図1Aから図1Dに示すガスケット部材12等の、ガスケット部材を作製するために、以下の手順が用いられてもよい。製造および組立のステップつまり段階が例示的な順序で以下に説明されているが、簡便、効率、および/または他の理由のために、個々のステップの順序を変化させ得ることが理解できるであろう。
【0054】
上述したように、最初に、ガスケット部材12の材料が形成される。例えば、上述した材料および方法を用いて、例えば、環状リング18のためのバンドが、ニチノールまたは他の材料の薄板から形成され、カラー58、レールリング52、およびガイドレール50のスカート部30およびコア部40のためのバンドが、PETまたは他の材料の薄板から形成され、ソーイングカフ20のためのコア部60、交連部支持体68、および応力拡散器55が、例えば、シリコンまたは他の材料から構成されてもよい。
【0055】
スカート部30は、例えば、図2Eに示すようにおよび上述したように、縫合糸84を、スカート部30およびバンド18の対応する孔80aおよび孔18aを通して導くことおよび結ぶことにより、環状リング18のためのバンドに取り付けられてもよい。図2Fに示すように、環状リング18を形成するために、スカート部30およびバンド18が巻かれ、スカート部30の端部80bが、例えば、端部80bの孔を通して縫合糸(図示せず)を導くことおよび結ぶことにより、ともに取り付けられてもよい。
【0056】
ガイドレール50の第1端部51aが、図3Aに示すように、レールリング52に対して上向きに曲げられ、ソーイングカフ20のコア部60が、図1Bに示すように、ガイドレール50がコア部60の孔64と整列する状態で、レールリング52の上方に配置されてもよい。ガイドレール50が、図3Cに示すように、それぞれの孔64を通して導かれ、次に、応力拡散器55が、図3Fに示すように、コア部60およびレールリング52に固定されてもよい。このようにして、レールリング52およびコア部60が、互いに対して動く何らかの自由を有しながら、互いに対して維持され得る。所望により、交連部支持体68が、例えば、ガイドレール50をそれらの孔を通して導き、および/または応力拡散器55を取り付ける前にまたは取り付けた後に、それぞれの孔64の近傍でコア部60に取り付けられてもよい。
【0057】
レールリング52上のタブ56が下方に曲げられ、縫合糸59が、図1Bに示す例示的な縫合糸59と同様に、タブ56および環状リング18の孔56aおよび孔18bのそれぞれの組を通して導かれてもよい。その結果、コア部60、レールリング52、環状リング18、およびスカート部50が取り付けられて、アセンブリとなり得る。アセンブリが、ファブリックカバー21内に受容されるか、またはファブリックカバー21により実質的に覆われてもよい。これは、図1Aにもっともよく見られるように他の構成部品が実質的にファブリック21内に実質的に捕らえられている一方で、開口部を通してガイドレール50を収容するための開口部をファブリック21に形成することを伴い得る。
【0058】
カラー58が、図4Aから図4Cに示されるようにファブリック37でコア部40を覆うことにより、組み立てられ得る。次に、カラー58が、覆われたアセンブリ、例えばソーイングカフ20に、取り付けられてもよい。例えば、縫合糸が、コア部40および/またはファブリック37の、およびソーイングカフ20の上方の覆われたアセンブリのファブリックカバー21の、孔を通して導かれてもよい。任意の過剰なファブリック、結節、または弛んだ縫合糸端部が、所望により、切断され取り除かれてもよい。そのようにして、図1Aに示す完全に組み立てられたガスケット部材12が提供される。
【0059】
上記で説明したガスケット部材12が、弁部材14と組み合わされると、例えば、図7Aおよび図7Bに示すように、および、さらに下記で説明するように、心臓弁アセンブリ10が提供され得る。リーフレットまたは弁部材14の他の弁要素は明瞭化のために省略されているが、弁部材14の例示的な実施形態が、図5で全般的に示される。弁部材14は一般的に、環状の形状を有する本体つまりフレーム32と、流体が弁部材14を通ることを許可するために開閉する1つまたは複数の弁要素(図示せず)とを備える。弁部材14は、例えば、フレーム32および/または弁部材14の他の構成部品を覆う、ガスケット部材12のファブリックカバーと同様の、ファブリックカバー35を備えてもよい。フレーム32は、非円形の、例えば、弁部材14が移植される生物学的弁輪の形状に対応する、多ローブ形状を有してもよい。例えば、弁部材14は、例えば、大動脈部位の上方のバルサルバ洞に対応する、尖頭つまりスカラップにより分けられる3つのローブを含む、3ローブ形状を有してもよい。1つの実施形態において、弁部材14は、例えば、複数の組織リーフレット(図示せず)を坦持する環状フレーム32等の、生体弁部材であってもよい。フレーム32は、リーフレットに取り付けられ得るおよび/または他の方法でリーフレットを坦持し得る、複数の支柱を備えてもよい(明瞭化のため、また図示せず)。例えば、これらの支材は、米国特許第6,371,983号および米国特許公報第US2006/0276888号に開示される弁と同様に、可撓性材料の2枚以上の薄板を含み得る、積層構造を有してもよい。
【0060】
あるいは、弁部材14は、弁(図示せず)が接続され得るか、または他の方法で弁部品を受容し得る、例えば、米国特許公報第US2005/0043760に示す接続アダプタ要素等の、連結装置であってもよい。他の実施形態において、弁部材14は、米国特許公報第US2005/0165479号および米国特許公報第US2007/0016285号に開示された弁等の、機械式弁または他の弁(図示せず)を含んでもよい。
【0061】
弁部材14のフレーム32は、複数の受容部または他の特徴130を備えてもよい。なお、この複数の受容部または他の特徴130は、それらを通してガイドレール50を受容するよう構成されたものである。フレーム32とともに形成された受容部130の例示的な実施形態が、図6Aから図6Eで、より詳細に示されている。各受容部130は、弁フレーム32に支持された第1端部と、1つまたは複数のデテントを備える第2自由端部とを備える片持ちばね132を備えてもよい。図6Aおよび図6Bに示すように、デテント134は、トラック、スロット、または他の通路を通してガイドレール50を受容するためのトラック、スロット、または他の通路136を少なくとも部分的に画成するために、曲げられるか、または他の方法で形成されてもよい。受容部130は、例えば、ニチノールからまたはフレーム32を形成するために使用された他の薄板からレーザ切断または他の方法で形成された、弁フレーム32とともに一体的に形成されてもよい。あるいは、他の受容部または連結具が、弁部材14上に提供されてもよい。例示的な弁および受容部が、米国特許公報第US2007/0265701号に開示されている。
【0062】
図7Aおよび図7Bに戻ると、人工心臓弁アセンブリ10を生物学的弁輪内に移植する方法が示されている。一般に、心臓弁アセンブリ10は、それぞれ図1Aおよび図5に示すように、および/または本明細書の他の箇所でまたは本明細書の他の箇所で特定される応用で説明されるように、ガスケット部材12および弁部材14を備える。生物学的弁輪90は、患者の心臓(図示せず)内の三尖弁、僧帽弁、大動脈弁、または肺動脈弁等の、既存の、天然の心臓弁をまたは以前に移植した心臓弁を交換するための部位であってもよい。
【0063】
図1Bおよび図5の心臓弁アセンブリを移植する前に、患者には、既知の方法を用いて、手順のための準備が行われる。例えば、患者は、心肺バイパス(CPB:cardiopulmonary bypass)により生命維持が行われ、患者の心臓が、例えば、胸骨切開、開胸、または他の、切開手法または侵襲的手法を最小限に抑えた手法により、露出され得る。弁輪90に達するために、切開が、交換される弁(図示せず)の上方の血管、例えば、大動脈弁交換に対しては大動脈、において形成されてもよい。次に、既存の、天然心臓弁または人工心臓弁および/またはリーフレット(また図示せず)が、既知の方法を用いて、弁輪90から取り除かれてもよい。
【0064】
ガスケット部材12および弁部材14は、例えば、生物学的弁輪90のローブと一致する複数のローブを有する、および/または、生物学的弁輪90の内側断面に対応する断面寸法を有する等の、遭遇する解剖学的構造に基づいて選択されてもよい。例えば、1つまたは複数の弁測定ツール(図示せず)が、適切なサイズを有する移植用の弁アセンブリ10を容易に特定できるようにするために、生物学的弁輪90へと導入されてもよい。所望により、生物学的弁輪90よりもサイズが大きい、ガスケット部材12および/または弁部材14が、選択されてもよい。例えば、ガスケット部材12は、移植時にガスケット部材12が生物学的弁輪90を、少なくとも部分的に、再形成させる、および/または膨張させるよう、弛緩状態では、生物学的弁輪90よりもわずかに大きい直径を有してもよい。加えて、または、あるいは、弁部材14は、例えば、より大きいサイズに適応する、僧帽弁輪より上方(supra−annular)のまたは洞内(intra−sinus)の移植のために、生物学的弁輪90よりも実質的に大きい直径または他の断面を有してもよい。
【0065】
図7Aを参照すると、ガスケット部材12は、環状リング18(図7Aに図示せず)が生物学的弁輪90内に配置されるまで、患者内へと導入されてもよい。1つの実施形態において、ガスケット部材12は、例えば送達ツール(図示せず)を用いて、ガイドレール50に張力をかけることにより、収縮状態に拘束されてもよく、ガスケット部材12は、環状リング18が少なくとも部分的に生物学的弁輪90へと伸張するまで、患者の体内に導入されてもよい。次に、ガスケット部材12は、例えば、生物学的弁輪90を再形成するために、および/または膨張させるために、または周囲の組織を他の方法で外側へ導くために、膨張してもよいか、または生物学的弁輪90内で少なくとも部分的に解放してもよい。一旦安定化すると、ガイドレール50は送達ツール(図示せず)から完全に解放されてもよい。所望により、膨張ツール(図示せず)は、ガスケット部材12へと進められ、生物学的弁輪90内の環状リング18を強制的に(例えば塑性的に)拡張させるために、拡張させられてもよい。
【0066】
代替的な実施形態において、ガスケット部材12を収縮状態に維持するためのツール(図示せず)が用いられてもよく、一旦環状リング18が生物学的弁輪90内に配置されると、ガスケット部材12は解放されてもよい。ここで、ガスケット部材12は弾力的に拡張し、例えば、弁輪90を包囲する組織に接触するか、および/またはその組織を膨張させてもよい。係る送達ツールは、ガスケット部材12の送達の間、例えば、ガイドレール50を実質的に視界の外部に置くために、ガイドレール50の動きを制約または制限してもよい。ガスケット部材12を送達するための例示的な装置および方法が、米国特許公報第US2007/0225801号、米国特許公報第US2007/0260305号、および米国特許公報第US2007/0265701号に開示されている。
【0067】
ガスケット部材12が生物学的弁輪90内に配置された状態で、ソーイングカフ20(図7Aおよび図7Bでは図示せず)は、生物学的弁輪90の上方の、僧帽弁輪より上方(supra−annular)の空間を包囲する組織に接触してもよい。例えば、クリップまたは縫合糸(図示せず)等の、1つまたは複数の締結具が、ガスケット部材12を通って、生物学的弁輪90の上方の、および/または生物学的弁輪90を包囲する、組織へと導かれてもよい。例示的な締結具と、ガスケット部材12を固定するためにそれらを使用するための方法とが、米国特許公報第US2004/0122516号、米国特許公報第US2005/0043760号、米国特許公報第US2005/0080454号、および米国特許公報第US2006/0122634号に見出し得る。
【0068】
次に、生物学的弁輪90内のガスケット部材12を用いて、弁部材14が、生物学的弁輪90に向かって、患者の体内へと進められてもよい。図示する実施形態において、弁部材14は、ガイドレール50に沿い、ガスケット部材12に向かって進められてもよい。ガイドレール50がガスケット部材12を送達するために使われた場合、弁部材14を進める前に、ガイドレール50は任意の送達ツール(図示せず)から完全に解放され、取り除かれてもよい。ガイドレール50を送達ツールから解放した後、弁部材14の受容部130は、弁輪90からおよび/または患者の体内から突き出したガイドレール50の自由端51bと整列してもよい。したがって、ガイドレール50は、弁部材14がレール50に沿いガスケット12に向かって動くよう、受容部130を通して上向きに通過させられてもよい。所望により、弁部材14は、ガイドレール50の端部51bを受容部130に容易に装着できるようにするための、ガイドまたは他の特徴(図示せず)を備えてもよい。例えば、弁部材14を覆うファブリック(図示せず)は、ガイドレール50の自由端部51bを受容し且つガイドレール50を受容部130へと導き得る、スロットまたは他の開口部を備えてもよい。加えて、または、あるいは、可視標識が、受容部130を通してガイドレール50が容易に挿入できるよう、弁部材14上、例えば、受容部130の上方またはその周囲に、提供されてもよい。
【0069】
弁部材14の受容部130を通して受容されたガイドレール50を用いて、弁部材14は、弁部材14がガスケット部材12と係合するまで、またはガスケット部材12と他の方法で接触するまで、ガスケット部材12に向かってガイドレール50を越えて遠位側に進められてもよい。所望により、弁部材13は、弁ホルダまたは他の送達ツール(図示せず)を用いて、および/または、米国特許公報第US2007/0288089号に開示された方法等の、方法を用いて、送達され得る。弁部材14は、受容部130が保持要素54と確実に係合するまで、例えば、保持要素54の遠位側端部54bが受容部130のデテント134の上方に配置されるまで、進められてもよい。このプロセスは、図6Cから図6Eに示されている。弁部材14がガスケット部材(図6Cから図6Eには図示せず。図7Aおよび図7B参照)の直接近傍に配置されると、ガイドレール50上の保持要素54は、片持ちばね132上のデテント134と遭遇し得る。
【0070】
図6Cから図6Eに示すように、保持要素54はテーパした上部端54aを備えてもよく、デテント134はテーパした下部端部を有してもよい。したがって、弁部材14が下方に導かれると、テーパした端部は互いに対して摺動し、その結果、図6Cおよび図6Dに示すように、片持ちばね132は弾力的に外に向かって曲げられることとなる。一旦、デテント134が保持要素54の下方に通過すると、片持ちばね132は内側に戻り、それにより、デテント134が保持要素54の下方で捕らえられることとなる。デテント134は、実質的に平らな上部端部を備え、保持要素54は、実質的に平らな下部端部54bを備え得る。その結果、弁部材14が保持要素54を越えて引き戻されることが防がれる。このように、保持要素54は、弁部材14の一方向性の、すなわちガスケット部材12に向かう、進行を許可し得る。
【0071】
弁部材14とガスケット部材12との間の結合を容易にするために、ユーザは、デテント134および保持要素54が係合したことを確認する、「クリック」音または他の可聴性および/または触知性のフィードバックが提供されるまで、弁部材14を進める一方で、ガイドレール50を引っ張るか、または他の方法でガイドレール50を基部方向応力の影響下に置いてもよい。デテント134および保持要素54の各組は、逐次的にまたは同時に、係合されてもよい。その結果、図7Bに示すように、保持要素54(図6Eに示される)により、弁部材14がガスケット部材12から離れるように移動することが妨げられた状態で、弁部材14はガスケット部材12に対して確実に配置される。
【0072】
例示的な実施形態において、保持要素54は、ガイドレール50の第1端部51aから所定の距離に配置されてもよい。それにより、弁部材14は、ガスケット部材12に抗してまたはガスケット部材12と直ちに近接して、固定されることとなる。所定の距離は、例えば、コア部60を少なくとも部分的に圧縮するために、弁部材14のフレーム32が実質的にソーイングカフ20と接触するよう、設定されてもよい。それにより、弁部材14とガスケット部材12との間のシールが強化され得る。加えて、弁部材14が、カラー58内に受容されてもよい。このこともまた、弁部材14とガスケット部材12との間のシールを強化する。
【0073】
図6Eに戻ると、次に、受容部130の上方のガイドレール50の過剰部分が、取り除かれてもよい。例えば、ガイドレール50の自由端部51bが十分な引張力で引っ張られると、その結果、ガイドレール50上の弱化部分において切断が生じる。あるいは、ガイドレール50は、単に切られるか、または他の方法で保持要素54の上方で切断されてもよい。
【0074】
本明細書において任意の実施形態とともに示された要素または構成部品は特定の実施形態に対する例示であり、本明細書において開示された他の実施形態に対してまたはそれらと組み合わせて用いられ得ることが、理解されるであろう。例えば、受容部および/またはガイドレールは、その組合せにおいて図面で示されたものであっても、本明細書において説明された任意の実施形態に基づいて提供され得る。受容部および保持要素が本明細書に説明された弁およびガスケット部材上で提供される場合、ガイドレールが単に案内のために用いられ、受容器および保持要素がガスケット部材に対して弁を固定するために提供されているならば、所望により、ガイドレール上の保持要素は排除されてもよい。
【0075】
本発明は、様々な変更例および代替形態に対して余地がある一方で、それらの特定の例が、図面に示され、本明細書において詳細に説明されてきた。しかし、本発明は、特定の開示された形態または方法に限定されるものではなく、むしろ逆に、本発明は、添付の請求項の範囲に属するすべての変更例、等価物、代替物を含むことを理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的弁輪内で受容されるための寸法を有する環状部材と、
前記環状部材の近傍に配置されるレールリングと、
前記レールリングにより画定される平面に対して横向きに延長する複数のガイドレールと、
前記環状部材およびレールリングと、ファブリックカバーにおけるそれぞれの開口部を通して前記レールリングから延長する前記ガイドレールと、を実質的に覆う前記ファブリックカバーと、
を備える、既存の天然心臓弁または人工心臓弁を生物学的弁輪内で交換するための人工弁を受容するプロテーゼ。
【請求項2】
前記ガイドレールのそれぞれが、前記プロテーゼに対して人工弁を固定するための、1つまたは複数の保持要素を備える、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記レールリングの近傍において前記環状部材と対向して配置され、且つ、前記環状部材から外向きに延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画定するための前記ファブリックカバーに実質的に覆われた、可撓性コア部をさらに備える請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記環状部材、レールリング、および可撓性コア部は、前記ファブリックカバーにより覆われたとき、流体流通路が前記プロテーゼを通して画定されるよう、互いに同心円状に整列する、請求項3に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
レールリングの円周の周りで離間し、且つ、前記円周から延長する、複数の細長いガイドレールを備える前記レールリングを提供することと、
前記円周のまわりの1つまたは複数の位置において、前記レールリングを環状部材に連結することと、
前記プロテーゼを通る流体流通路を画定するために、前記レールリングおよび環状部材を、前記ガイドレールが前記ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通して延長する状態で、ファブリックカバーを用いて実質的に覆うことと、
を含む、既存の天然心臓弁または人工心臓弁を生物学的弁輪内で交換するための人工弁を受容するプロテーゼを作製する方法。
【請求項6】
前記ファブリックカバーを、前記環状部材から外向きに延長させるために、前記環状部材の下部端部から横方向に延長するよう付勢されたスカート部を、前記環状部材の周りに取り付けること、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スカート部および環状部材は、実質的な平坦なバンドとして形成され、前記バンドは、前記スカート部を前記環状部材の周りに取り付けた後、巻かれ、前記流体流通路を少なくとも部分的に画定する実質的な密閉構造に、前記スカート部および環状部材を維持するために、前記スカート部の端部はともに固定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記レールリングおよびガイドレールは、前記平面内に配置された単一薄板の材料から一体的に形成され、前記ガイドレールは、前記単一薄板から形成された後で、前記平面に対して横方向に曲げられる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
可撓性コア部を、前記環状部材に対向する前記レールリングの近傍に配置することをさらに含み、前記レールリングおよび環状部材をファブリックカバーを用いて覆うことは、前記環状部材から径方向に延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画定するために、前記可撓性コア部を前記ファブリックカバーを用いて実質的に覆うことをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記ガイドレールを、前記可撓性コア部のそれぞれの孔を通して導くことと、
前記ガイドレールが前記可撓性コア部に対して動くことを許可する一方で、前記可撓性コア部およびレールリングを互いに対して実質的に維持するために、応力拡散器を、前記ガイドレールの近傍の前記可撓性コア部およびレールリングに固定することと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
人工心臓弁を受容するために形作られたカラーを、前記ソーイングカフと前記人工心臓弁との間のシールを強化するために、前記環状部材に対向する前記ソーイングカフに取り付けることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
生物学的弁輪内で受容されるための寸法を有する環状部材と、
前記環状部材の平面の上方で前記環状部材から外向きに延長するソーイングカフと、
前記環状部材の下方で、前記環状部材から外向きに延長する環状スカート部と、
ほぼ平面内で、前記ソーイングカフと前記環状部材との間に配置されたレールリングと、
前記平面に対して横向きに前記レールリングから延長する、複数のガイドレールと、
を備える、既存の天然心臓弁または人工心臓弁を生物学的弁輪内で交換するための人工弁を受容するプロテーゼ。
【請求項13】
前記プロテーゼに対して人工弁を固定するために、前記ガイドレールのそれぞれに配置された、1つまたは複数の保持要素をさらに備える、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記保持要素は、実質的に平らな下部表面と、テーパした上部表面とを備える、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記ソーイングカフ内に可撓性コア部をさらに備える、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
前記ガイドレールのそれぞれは、前記ガイドレールの下位部分から上位部分を取り外すために、前記1つまたは複数の保持要素の上方に弱化部分を備える、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項17】
前記ガイドレールは、前記レールリングの円周の周りで、互いに離間する、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項18】
前記ガイドレールは、前記レールリングの前記平面から実質的に垂直に延長する、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項19】
前記レールリングは、タブと前記環状部材との間の縫合糸により、前記レールリングを前記環状部材に連結する前記タブを備える、請求項18に記載のプロテーゼ。
【請求項20】
前記レールリングは前記可撓性コア部の下方に配置され、前記ガイドレールの第2端部は、前記ガイドレールの前記第2端部が前記レールリングの前記平面の上方に延長するよう、前記可撓性コア部のそれぞれの開口部を通過する、請求項15に記載のプロテーゼ。
【請求項21】
生物学的弁輪内に移植可能な環状部材と、前記環状部材から径方向外向きに延長する可撓性コア部を備えるソーイングカフと、前記環状部材と前記可撓性コア部との間に配置されたレールリングと、前記レールリングから延長する複数のガイドレールと、を備える第1プロテーゼと、
環状フレームと、それぞれのガイドレールを受容するための受容部とを備える第2弁プロテーゼであって、前記第2プロテーゼが、前記ガイドレールに沿って、前記第1プロテーゼに向かって導かれ得る、第2プロテーゼと、
前記第2プロテーゼを前記第1プロテーゼに対して固定するために、前記受容部と係合する、前記ガイドレール上の保持要素と、
を備える、生物学的弁輪内に移植可能な心臓弁アセンブリ。
【請求項22】
前記保持要素は、実質的に平らな下部表面と、テーパした上部表面とを備える、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項23】
前記受容部は、前記第2プロテーゼを前記第1プロテーゼに対して固定するために、前記保持要素と係合するための、ばね要素上のデテントを含む、請求項22に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項24】
前記デテントは、実質的に平らな上部表面と、テーパした下部表面とを備える、請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項25】
前記環状部材の下部端部から径方向外向きに延長するヒゲ要素をさらに備える、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項26】
前記複数のガイドレールは、前記レールリングから上向きに延長する、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項27】
前記ガイドレールのそれぞれは、前記ガイドレールの上位部分を下位部分から取り外すために、前記保持要素の上方に弱化部分を備える、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項28】
前記ガイドレールは、前記レールリングの円周の周りにおいて互いに離間する、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項29】
前記ガイドレールは、自立構造を有するよう十分に剛性である、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項30】
前記ガイドレールは、ユーザによりガイドレールの第2自由端部を、互いに向かうようまたは互いから離れるよう、導くために、操作できるよう十分に柔軟である、請求項29に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項31】
前記ガイドレールは前記レールリングの平面から実質的に垂直に延長する、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項32】
前記レールリングは、前記レールリングを前記環状部材に連結するためのタブを備える、請求項31に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項33】
前記受容部の前記デテントは、それぞれのガイドレールを受容するためのトラックを備える、請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項34】
生物学的弁輪内に移植可能な環状部材と、レールリングと、前記環状部材の下部端部に沿って、半径外向きに延長するヒゲ要素と、前記環状部材、前記レールリング、および前記ヒゲ要素を実質的に覆うファブリックカバーと、を備える第1プロテーゼと、
前記ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通って前記レールリングから延長する複数のガイドレールと、
第2プロテーゼが、前記ガイドレールに沿って、前記第1プロテーゼに向かって導かれ得るように、環状フレームと、それぞれのガイドレールを受容するための受容部とを備える前記第2プロテーゼと、
一旦前記第2プロテーゼが前記ガイドレールに沿って前記第1プロテーゼに向かって導かれると、前記第2プロテーゼを前記第1プロテーゼに対して固定するための手段と、
を備える、生物学的弁輪内に移植可能な心臓弁アセンブリ。
【請求項35】
レールリングから延長する複数のガイドレールを備える第1環状プロテーゼを、生物学的弁輪に挿入することと、
前記生物学的弁輪を包囲する組織に、前記第1プロテーゼを固定することと、
前記ガイドレールの自由端部を、第2弁プロテーゼ上のそれぞれの受容部を通して導くことと、
前記受容部が前記ガイドレール上の保持要素と実質的に係合し、それにより、前記第2プロテーゼが前記第1プロテーゼに対して固定されるようになるまで、前記第2プロテーゼを前記ガイドレールに沿って、前記第1プロテーゼに向かって進めることと、
を含む、前記生物学的弁輪に心臓弁アセンブリを移植するための方法。
【請求項1】
生物学的弁輪内で受容されるための寸法を有する環状部材と、
前記環状部材の近傍に配置されるレールリングと、
前記レールリングにより画定される平面に対して横向きに延長する複数のガイドレールと、
前記環状部材およびレールリングと、ファブリックカバーにおけるそれぞれの開口部を通して前記レールリングから延長する前記ガイドレールと、を実質的に覆う前記ファブリックカバーと、
を備える、既存の天然心臓弁または人工心臓弁を生物学的弁輪内で交換するための人工弁を受容するプロテーゼ。
【請求項2】
前記ガイドレールのそれぞれが、前記プロテーゼに対して人工弁を固定するための、1つまたは複数の保持要素を備える、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記レールリングの近傍において前記環状部材と対向して配置され、且つ、前記環状部材から外向きに延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画定するための前記ファブリックカバーに実質的に覆われた、可撓性コア部をさらに備える請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記環状部材、レールリング、および可撓性コア部は、前記ファブリックカバーにより覆われたとき、流体流通路が前記プロテーゼを通して画定されるよう、互いに同心円状に整列する、請求項3に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
レールリングの円周の周りで離間し、且つ、前記円周から延長する、複数の細長いガイドレールを備える前記レールリングを提供することと、
前記円周のまわりの1つまたは複数の位置において、前記レールリングを環状部材に連結することと、
前記プロテーゼを通る流体流通路を画定するために、前記レールリングおよび環状部材を、前記ガイドレールが前記ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通して延長する状態で、ファブリックカバーを用いて実質的に覆うことと、
を含む、既存の天然心臓弁または人工心臓弁を生物学的弁輪内で交換するための人工弁を受容するプロテーゼを作製する方法。
【請求項6】
前記ファブリックカバーを、前記環状部材から外向きに延長させるために、前記環状部材の下部端部から横方向に延長するよう付勢されたスカート部を、前記環状部材の周りに取り付けること、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スカート部および環状部材は、実質的な平坦なバンドとして形成され、前記バンドは、前記スカート部を前記環状部材の周りに取り付けた後、巻かれ、前記流体流通路を少なくとも部分的に画定する実質的な密閉構造に、前記スカート部および環状部材を維持するために、前記スカート部の端部はともに固定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記レールリングおよびガイドレールは、前記平面内に配置された単一薄板の材料から一体的に形成され、前記ガイドレールは、前記単一薄板から形成された後で、前記平面に対して横方向に曲げられる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
可撓性コア部を、前記環状部材に対向する前記レールリングの近傍に配置することをさらに含み、前記レールリングおよび環状部材をファブリックカバーを用いて覆うことは、前記環状部材から径方向に延長するソーイングカフを少なくとも部分的に画定するために、前記可撓性コア部を前記ファブリックカバーを用いて実質的に覆うことをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記ガイドレールを、前記可撓性コア部のそれぞれの孔を通して導くことと、
前記ガイドレールが前記可撓性コア部に対して動くことを許可する一方で、前記可撓性コア部およびレールリングを互いに対して実質的に維持するために、応力拡散器を、前記ガイドレールの近傍の前記可撓性コア部およびレールリングに固定することと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
人工心臓弁を受容するために形作られたカラーを、前記ソーイングカフと前記人工心臓弁との間のシールを強化するために、前記環状部材に対向する前記ソーイングカフに取り付けることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
生物学的弁輪内で受容されるための寸法を有する環状部材と、
前記環状部材の平面の上方で前記環状部材から外向きに延長するソーイングカフと、
前記環状部材の下方で、前記環状部材から外向きに延長する環状スカート部と、
ほぼ平面内で、前記ソーイングカフと前記環状部材との間に配置されたレールリングと、
前記平面に対して横向きに前記レールリングから延長する、複数のガイドレールと、
を備える、既存の天然心臓弁または人工心臓弁を生物学的弁輪内で交換するための人工弁を受容するプロテーゼ。
【請求項13】
前記プロテーゼに対して人工弁を固定するために、前記ガイドレールのそれぞれに配置された、1つまたは複数の保持要素をさらに備える、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記保持要素は、実質的に平らな下部表面と、テーパした上部表面とを備える、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記ソーイングカフ内に可撓性コア部をさらに備える、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
前記ガイドレールのそれぞれは、前記ガイドレールの下位部分から上位部分を取り外すために、前記1つまたは複数の保持要素の上方に弱化部分を備える、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項17】
前記ガイドレールは、前記レールリングの円周の周りで、互いに離間する、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項18】
前記ガイドレールは、前記レールリングの前記平面から実質的に垂直に延長する、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項19】
前記レールリングは、タブと前記環状部材との間の縫合糸により、前記レールリングを前記環状部材に連結する前記タブを備える、請求項18に記載のプロテーゼ。
【請求項20】
前記レールリングは前記可撓性コア部の下方に配置され、前記ガイドレールの第2端部は、前記ガイドレールの前記第2端部が前記レールリングの前記平面の上方に延長するよう、前記可撓性コア部のそれぞれの開口部を通過する、請求項15に記載のプロテーゼ。
【請求項21】
生物学的弁輪内に移植可能な環状部材と、前記環状部材から径方向外向きに延長する可撓性コア部を備えるソーイングカフと、前記環状部材と前記可撓性コア部との間に配置されたレールリングと、前記レールリングから延長する複数のガイドレールと、を備える第1プロテーゼと、
環状フレームと、それぞれのガイドレールを受容するための受容部とを備える第2弁プロテーゼであって、前記第2プロテーゼが、前記ガイドレールに沿って、前記第1プロテーゼに向かって導かれ得る、第2プロテーゼと、
前記第2プロテーゼを前記第1プロテーゼに対して固定するために、前記受容部と係合する、前記ガイドレール上の保持要素と、
を備える、生物学的弁輪内に移植可能な心臓弁アセンブリ。
【請求項22】
前記保持要素は、実質的に平らな下部表面と、テーパした上部表面とを備える、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項23】
前記受容部は、前記第2プロテーゼを前記第1プロテーゼに対して固定するために、前記保持要素と係合するための、ばね要素上のデテントを含む、請求項22に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項24】
前記デテントは、実質的に平らな上部表面と、テーパした下部表面とを備える、請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項25】
前記環状部材の下部端部から径方向外向きに延長するヒゲ要素をさらに備える、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項26】
前記複数のガイドレールは、前記レールリングから上向きに延長する、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項27】
前記ガイドレールのそれぞれは、前記ガイドレールの上位部分を下位部分から取り外すために、前記保持要素の上方に弱化部分を備える、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項28】
前記ガイドレールは、前記レールリングの円周の周りにおいて互いに離間する、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項29】
前記ガイドレールは、自立構造を有するよう十分に剛性である、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項30】
前記ガイドレールは、ユーザによりガイドレールの第2自由端部を、互いに向かうようまたは互いから離れるよう、導くために、操作できるよう十分に柔軟である、請求項29に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項31】
前記ガイドレールは前記レールリングの平面から実質的に垂直に延長する、請求項21に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項32】
前記レールリングは、前記レールリングを前記環状部材に連結するためのタブを備える、請求項31に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項33】
前記受容部の前記デテントは、それぞれのガイドレールを受容するためのトラックを備える、請求項23に記載の心臓弁アセンブリ。
【請求項34】
生物学的弁輪内に移植可能な環状部材と、レールリングと、前記環状部材の下部端部に沿って、半径外向きに延長するヒゲ要素と、前記環状部材、前記レールリング、および前記ヒゲ要素を実質的に覆うファブリックカバーと、を備える第1プロテーゼと、
前記ファブリックカバーのそれぞれの開口部を通って前記レールリングから延長する複数のガイドレールと、
第2プロテーゼが、前記ガイドレールに沿って、前記第1プロテーゼに向かって導かれ得るように、環状フレームと、それぞれのガイドレールを受容するための受容部とを備える前記第2プロテーゼと、
一旦前記第2プロテーゼが前記ガイドレールに沿って前記第1プロテーゼに向かって導かれると、前記第2プロテーゼを前記第1プロテーゼに対して固定するための手段と、
を備える、生物学的弁輪内に移植可能な心臓弁アセンブリ。
【請求項35】
レールリングから延長する複数のガイドレールを備える第1環状プロテーゼを、生物学的弁輪に挿入することと、
前記生物学的弁輪を包囲する組織に、前記第1プロテーゼを固定することと、
前記ガイドレールの自由端部を、第2弁プロテーゼ上のそれぞれの受容部を通して導くことと、
前記受容部が前記ガイドレール上の保持要素と実質的に係合し、それにより、前記第2プロテーゼが前記第1プロテーゼに対して固定されるようになるまで、前記第2プロテーゼを前記ガイドレールに沿って、前記第1プロテーゼに向かって進めることと、
を含む、前記生物学的弁輪に心臓弁アセンブリを移植するための方法。
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図1A】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図1A】
【公表番号】特表2011−522604(P2011−522604A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512626(P2011−512626)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/046178
【国際公開番号】WO2009/149215
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/046178
【国際公開番号】WO2009/149215
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]