説明

ティシュペーパー用紙容器

【課題】
使用済みのティシュペーパー用紙容器において、該容器の組立時の接着部分が原形を破損することなしにミシン目に沿って容易に開箱させて全体が平板状に折り畳み廃棄できるようにすることを目的とする。
【解決手段】
左右の側面部の端部にそれぞれ連結した前後各一対の内フラップと上記頂面部および底面部の各端部にそれぞれ連結した前後各一対の外フラップを備え、組み立て状態で上記の前後各一対の内フラップ上に、上下に部分貼合する前後各一対の外フラップを重合する方体形状の紙容器において、上記の下側の外フラップに、上側の外フラップとの非貼合部分に位置しかつ開封始端を形成する凸部から上記の上側の外フラップとの貼合部に位置しかつ上記開封始端に連続する直線部に跨る凸状の側面開封用ミシン目を施し、上記の凸部と直線部の接点角度を複数連式の90度より大きい鈍角状としたことを特徴とするティシュペーパー用紙容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はティシュペーパー用紙容器の易分解廃棄構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フェイシャルティシュ、トイレットペーパー、ペーパータオル等のティシュペーパーに用いられる長方体又は立方体の紙容器は、使用後そのままでは嵩張るため、適宜押し潰した形で廃棄されることが望ましい。
しかし、紙容器の側面は内容物保護の面から、4枚の側面フラップが比較的強固に接着されている為剛性が強く、簡単には押し潰すことができなかった。
この為、前記端フラップの一部にミシン目や罫線を施し、このミシン目や罫線を利用して側面を開口し、押し潰しを容易にしたものがある。
しかし、従来のミシン目等では、ミシン目の途中でフラップが裂けてしまい、側面がうまく開口しないという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】実開昭59−147018号公報
【特許文献2】特開平8−258877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用済みのティシュペーパー用紙容器において、該容器の組立時の接着部分が原形を破損することなしにミシン目に沿って容易に開箱させて全体が平板状に折り畳み廃棄できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はテュシュペーパーの取り出し口を有する頂面部およびこれに対向する底面部並びにこれら頂面部と底面部を連結する左右の側面部からなり、上記左右の側面部の端部にそれぞれ連結した前後各一対の内フラップと上記頂面部および底面部の各端部にそれぞれ連結した前後各一対の外フラップを備え、組み立て状態で上記の前後各一対の内フラップ上に、上下に部分貼合する前後各一対の外フラップを重合する方体形状の紙容器において、上記の下側の外フラップに、上側の外フラップとの非貼合部分に位置しかつ開封始端を形成する凸部から上記の上側の外フラップとの貼合部に位置しかつ上記開封始端に連続する直線部に跨る凸状の側面開封用ミシン目を施し、上記の凸部と直線部の接点角度を複数連式の90度より大きい鈍角状としたことを特徴とするティシュペーパー用紙容器に係わる。
【0006】
また本発明は上記において直線部が凸部の左右に連続し、上記直線部のミシン目連結部の幅がそれぞれ少なくとも0.5〜1mmであるものに係わる。
【0007】
また本発明は上記において外側の外フラップに、内側の外フラップとの重合部分に補強部材を設けたものに係わる。
【0008】
また本発明は上記においてフラップの破損無しにフラップが開放でき、容易に紙容器を押し潰すことができるものに係わる。
【0009】
また本発明は上記において紙容器の原紙坪量が300g/m〜400g/mであり、外フラップ同士の接着強度が下記式を満足する請求項4記載の紙容器。
Y≦2X/5−62 Y:フラップ接着強度(g/cm
X:紙容器原紙の坪量(g/m
に係わる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は下記の(1)〜(4)のいずれかを特徴とするものであり、(1)紙容器側面の下側外フラップに設けた側面開封用ミシン目の形状において、凸部と直線部の接点角度が90°より大きくする。(2)少なくとも直線部ミシン目連結部の巾は0.5〜1mmとする。(3)側面の上側外フラップの下側外フラップとの重なり部分に、補強部材を設ける。(4)紙容器の原紙坪量が300g/m2〜400g/mの場合、側面外フラップの接着強度が下記式の値以下であれば、フラップの破損無しにフラップが開放でき、容易に紙容器を押し潰すことができる。
前記手段を単独又は2つ以上組み合わせることにより、紙容器廃棄時に簡単に側面のフラップの接着部分を開封することができ、押し潰しが容易に行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を図面に示す実施例によって説明するが、本発明はこれによって制約されるものではない。
【0012】
図1はフェイシャルティシュ紙容器の全体斜視図で、(1)はフェイシャルティシュの紙容器、(2)はティシュペーパー、(3)は紙容器の頂面部に連結した上側外フラップ、(4)は紙容器の底面部に連結した下側外フラップ、(5)は下側外フラップ(5)に施した易開封用ミシン目を示す。
図2は従来の紙容器の展開平面図で(5)は易開封用ミシン目、(6)はティシュペーパーの取り出し口(7)(7’)は紙容器の側面部に連結された内フラップ、(8)はティシュペーパー取り出し口用プラスチックフィルムである。
【実施例1】
【0013】
図3は底面部に連結された下側外フラップ(4)に用いた易開封用ミシン目(5)の改良された形状を示したもので、このミシン目(5)は紙箱組立時に上側外フラップ(3)と貼合しない凸部(5−a)と凸部(5−a)の裾部から左右に連結し、かつ上側外フラップ(3)と貼合される直線部(5−b)(5−b)とからなっており、紙箱組立時には凸部(5−a)は上側の外フラップ(3)に近接ししかも貼合しない部分に位置しているので、ここに親指等を入れて開封する開封始端に相当する。また、直線部(5−b)は上側の外フラップ(3)と貼合する部分に位置し、凸部(5−a)の開封に引続いて連結して開封される個所に相当する。凸部(5−a)と直線部(5−b)との接点角は従来では単純な直角状をなしていたので、ミシン目のこの接点角部で裂けてしまい、側面がうまく開口しなかった。これに対して本発明ではこの接点角(9)を90°より大きい鈍角(α)(α)の2連式のものとしてフラップの接着部分を簡単に開封できるようにしてる。尚、この鈍角(α)は2連式より多い多連式、更には無限連式の一連の連続したR状のものとしてもよい。直線部(5−b)のミシン目の連結部の幅は0.5〜1mmの範囲が好ましい。
【実施例2】
【0014】
図4は上側外フラップ端部に補強材を設けた例の展開平面図である。補強材(10)は紙箱と同質の原紙製であって上側外フラップ(3)の端線に沿って細幅状に接着固定されるが、外観の見地から同フラップ(3)の裏面側端線に沿って裏打ち状に固定される。かくすることにより紙箱組立時には上側外フラップ(3)の補強材(10)が下側外フラップ(4)の易開封用ミシン目(5)の直線部(5−b)から同フラップの端線部(5−c)までの区域に幅および長さ共に重合貼着され上下両側の外フラップ(3)(4)の端線に一体的構造を与えている。即ち補強材(10)の幅はミシン目(5)の直線部(5−b)と端線部(5−c)までの間隔に対応して、また補強材(10)の長さは端線部(5−c)の長さに対応している。そのため、組立紙箱の分解開封時に先ず凸部(5−a)に親指等を入れてこれを内側に押し落し引続いてこの親指で上側外フラップ(3)を外側に剥がすように持ち上げれば上記のように上下両側の外フラップ(3)(4)の端線は一体的構造となっているのでフラップ(4)のは端線では易開封用ミシン目(5)の凸部(5−a)から直線部(5−b)を経て端線部(5−c)に至るまでミシン目に沿って円滑に剥離されることになる。
【実施例3】
【0015】
この実施例は外フラップ(3)(4)の接着強度とフラップ(3)(4)の破損などにフラップ(3)(4)の貼合とフラップ(4)の易開封用ミシン目(5)に沿って開箱できる紙箱分解時の開封容易性との関係を調べたものである。
【0016】
【表1】

フラップ接着強度の単位 g/cm

上記結果より、通常ティシュペーパーの紙容器に使用される原紙の坪量が300g/m〜400g/mにおいては、紙容器のフラップ接着強度が、下記式で求められる数値以下であれば、フラップの破損無しにフラップを開放できる。

Y≦2X/5−62 Y:フラップ接着強度(g/cm
X:紙容器原紙の坪量(g/m
【0017】
〈テスト方法〉
図2の展開図の紙容器の原紙坪量が300,340,380g/mのものを用意し、フラップの接着剤としてはホットメルトを使用して、紙容器を成型する。
ホットメルトの量により、フラップの接着強度が異なる紙容器を各坪量で2種類作成した。これを下記の方法にてフラップ接着強度を測定した。

条件: TENCIRON (引張り速度=1000mm/min(最大))(図5に示す)
固定位置は紙容器下部を手で固定
図5において A:TENCIRON引張り試験機
B:接着強度測定用冶具(真鍮板2枚を輪ゴムで括り、真鍮板の間に上側外フラップを挟み、引っ張り試験機にて上方に引っ張り、フラップが剥がれた強度を接着強度とした。(90°剥離)
C:紙容器 D:紙容器の上側外フラップ
d:上側外フラップの巾
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】フェイシャルティシュ紙容器の全体斜視図
【図2】従来の紙容器の展開平面図
【図3】本発明の一実施例の側面下側外フラップに用いた易開封用ミシン目形状
【図4】本発明一実施例(側面上側外フラップ端部に補強部材を設けた)の展開平面図
【図5】紙容器側面フラップの接着強度測定方法概略図
【符号の説明】
【0019】
1…フェイシャルティシュの紙容器
2…ティシュペーパー
3…紙容器側面上側外フラップ
4…紙容器側面下側外フラップ
5…易開封用ミシン目
5−a…凸部
5−b…直線部
5−c…端線部
6…ティシュペーパー取り出し口
7、7’…紙容器側面左右内フラップ
8…ティシュペーパー取り出し口用プラスチックフィルム
9…易開封用ミシン目の凸部と直線部の接点部分
10…紙容器側面上側外フラップ端部の補強部
A:TENCIRON引張り試験機
B:接着強度測定用冶具(真鍮2枚板を輪ゴムで括り、真鍮板の間に上側外フラップを挟み、引っ張り試験機にて上方に引っ張り、フラップが剥がれた強度を接着強度とした。(90°剥離)
C:紙容器 D:紙容器の上側外フラップ
d:上側外フラップの巾
α…鈍角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティシュペーパーの取り出し口を有する頂面部およびこれに対向する底面部並びにこれら頂面部と底面部を連結する左右の側面部からなり、上記左右の側面部の端部にそれぞれ連結した前後各一対の内フラップと上記頂面部および底面部の各端部にそれぞれ連結した前後各一対の外フラップを備え、組み立て状態で上記の前後各一対の内フラップ上に、上下に部分貼合する前後各一対の外フラップを重合する方体形状の紙容器において、上記の下側の外フラップに、上側の外フラップとの非貼合部分に位置しかつ開封始端を形成する凸部から上記の上側の外フラップとの貼合部に位置しかつ上記開封始端に連続する直線部に跨る凸状の側面開封用ミシン目を施し、上記の凸部と直線部の接点角度を複数連式の90度より大きい鈍角状としたことを特徴とするティシュペーパー用紙容器。
【請求項2】
直線部が凸部の左右に連続し、上記直線部のミシン目連結部の幅がそれぞれ少なくとも0.5〜1mmである請求項1記載の紙容器。
【請求項3】
外側の外フラップに、内側の外フラップとの重合部分に補強部材を設けた請求項1または2記載の紙容器。
【請求項4】
フラップの破損無しにフラップが開放でき、容易に紙容器を押し潰すことができる請求項1から3までのいずれか1項記載の紙容器。
【請求項5】
紙容器の原紙坪量が300g/m〜400g/mであり、外フラップ同士の接着強度が下記式を満足する請求項4記載の紙容器。
Y≦2X/5−62 Y:フラップ接着強度(g/cm
X:紙容器原紙の坪量(g/m

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−44662(P2006−44662A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223785(P2004−223785)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000183462)株式会社クレシア (112)
【Fターム(参考)】