ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法
【課題】ティシュペーパー製品用の薬液塗工原反ロール製造時の断紙、皺の発生を防止する。
【解決手段】
刷版ロールとこれと対をなす圧胴ロールとを具備する印刷機により、搬送される前記一次連続シート又は積層連続シートに対して薬液を塗工するにあたり、前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度に応じて、前記印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整することにより解決される。
【解決手段】
刷版ロールとこれと対をなす圧胴ロールとを具備する印刷機により、搬送される前記一次連続シート又は積層連続シートに対して薬液を塗工するにあたり、前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度に応じて、前記印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整することにより解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
【0003】
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗工した薬液塗工タイプのものと、薬液等が塗工されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
【0004】
薬液が塗工されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
薬液塗工タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0005】
<薬液塗工タイプの製品に用いられる薬液>
薬液塗工タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きく水及びポリオールを含む水系薬液、主に非水溶性のワックス等を含み常温で半固形である油系薬液に大別される。水系薬液は取り扱い性に優れ安価であるという特徴がある。
【0006】
また、水系薬液はシートに塗工した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)に含浸し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその表面をコーティングするように作用し、表面の滑らかさを向上させるように作用する。
【0007】
そして、水系薬液は、シートに含浸することから塗工後にシートに塗工されたクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
そして、安価、大量生産に適しているのは水系薬液である。
【0008】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
【0009】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)から積層連続シートからなる二次原反ロールを製造する。
【0010】
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0011】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0012】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折畳み機構部対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成されるように構成されている。ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0013】
一方、ロータリー式インターフォルダは、一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートを先端側から裁断しつつ回転式の折りロールによって折り畳み、その裁断し折り畳まれた各二次原反ロールからのシートが順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。
【0014】
したがって、このロータリー式インターフォルダでは、連続操業の中で所定の積層枚数のところで適宜マーキングして手動で分割する、あるいは所定積層枚数のところで自動で分割するなどして積層シート束を得る操作を要する。しかも得られる積層シート束は、二次原反ロールの幅長とほぼ同じ長さの比較的短いものである。このためマルチスタンド式インターフォルダと比較すると生産性には劣る。
【0015】
具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0016】
このため、マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液塗工タイプの製造はロータリー式インターフォルダにより製造されるのが一般的である(例えば、下記特許文献1)。さらに、薬液塗工タイプの製品を製造するにあたってロータリー式インターフォルダが用いられるもう一つの大きな理由は、生産性以外にオンラインで薬液塗工が可能であることがある。
しかし、上述のとおり需要拡大による生産量増加を考慮すると、薬液塗工ティシュペーパーにおいてもマルチスタンドインターフォルダでの製造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【特許文献8】特開2000−255037公報
【特許文献9】特開平6−340056号公報
【特許文献10】特開平7−216786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、薬液塗工タイプの生産性を向上させるべくマルチスタンド式インターフォルダを採用する場合、マルチスタンド式インターフォルダでは多数の二次原反ロールをセットする必要があることから、マルチスタンド式インターフォルダにセットされた各二次原反ロールに対して薬液を塗工するのは難しい。
【0019】
そこで、オフラインで薬液が塗工された二次原反ロール(薬液塗工二次原反ロール)を製造するのが望ましい。そして、このためには、マルチスタンド式インターフォルダとは別のプリンタ設備等の薬液塗工設備や、上記マルチスタンド式インターフォルダの前段設備である一次原反ロールから二次原反ロールを製造するプライマシンに印刷機などを設けて薬液塗工を行なう必要がある。
【0020】
ここで、プライマシンは元来高速に可動する設備であるとともに、マルチスタンド式インターフォルダ用の二次原反ロールを複数一度に製造できるため、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダの生産速度に見合う二次原反ロールを製造でき、プライマシンで薬液塗工を行なうのは生産性の点で極めて有用である。
【0021】
そこで、本発明者らは、プライマシンにて、一次原反ロールから巻き出して二次原反ロールに巻取る過程で、一次連続シート或いは積層連続シートに刷版ロール及び圧胴ロールを用いる印刷機を用いて高速に薬液を印刷塗工することを検討したが、以下のような問題が存在することが知見された。
【0022】
すなわち、プライマシンにてかかる印刷機により連続シートに薬液を塗工すると、プライマシンの運転初期段階で断紙や皺が発生した。また、このようにして製造された二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダにてティシュペーパー束を製造しようとすると、二次原反ロールからマルチスタンド式インターフォルダへの二次連続シートの供給が進むにつれて、当該二次原反ロールに巻きズレ(ロールの中心部と外層部とで断層ができるようにズレが生ずる現象をいう)が生じ、これに起因して断紙等が発生した。
【0023】
そこで、本発明者らはプライマシンにて印刷機を用いて薬液塗工して製造された薬液塗工二次原反ロールにかかる薬液塗工二次連続シートを精査したところ、下記表1及び図13に示されるように、プライマシンの運転開始から所定速度に至るまでの間に巻取られた薬液二次連続シートの薬液塗工量が所望の塗工量よりも多く、プライマシンの運転初期と当該所定速度以上の時における薬液塗工量に大きな差があることが知見された。薬液塗布量が多くなると特に水系薬液ではシート内に浸透して、シートの強度を低下させることから、二次連続シートの強度が弱くなるなどの原因により速度が速くなったときに断紙や皺が生ずると思われる。
【0024】
【表1】
【0025】
そこで、二次原連続シートへの薬液塗工を、原反切り替え時の停止状態から徐々に加工速度を上げ40m/分に達した時点で、初めて二次原反シートと刷版ロールを二次連続シートに接触させ、その後、さらに加速を続け700〜1100m/分程度の高速で一定速度で運転し、所定長さを巻き取った後に減速を開始し、40m/分にまで減速した時点で刷版ロールを二次連続シートから離し塗工を終了し、さらに最後まで巻き取りを行なう方法により行なった。
【0026】
なお、40m/分としたのは、二次連続シートと刷版ロールとの接触と離脱のタイミングについては、加減速する途中で100m/分を超えた時点で行なうとシート張力の変化が大きく断紙が発生し、40m/分に満たない時点で二次連続シートと刷版ロールとを接触、離脱させると、二次連続シートと刷版ロールとの接触時間が長くなることに起因して、刷版ロールに二次連続シートが粘着することに起因する断紙が発生したことを知見したことによる。
【0027】
しかし、この方法では、二次原反ロール巻取りの加速時に相当する芯際、および減速時に相当する表層で巻きズレが生じ、また継ぎ目処理部でも同様に巻きズレが生じ、断紙が発生することが知見された。さらに、この方法で製造された二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダで折畳み加工に供すると、原反の巻きズレにより断紙したり、製品のしわが入ることも知見された。
【0028】
そこで、本発明の主たる課題は、プライマシンにて連続シートに水系薬液を塗工するにあたって、プライマシンの運転開始から所定速度に至るまでの間と所定速度以上とで薬液塗工量に差が生じないようにするとともに、プライマシンにて連続シートに薬液を塗工する際に生じていた断紙等を防止し、もってマルチスタンド式インターフォルダでの生産性に見合う薬液が塗工された二次原反ロールを効率よく生産可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
プライマシンにて一次原反ロールから繰り出した連続シートに薬液を塗工し、さらに薬液が塗工された薬液連続シートを巻取ってティシュペーパー製品用の薬液が塗工された二次原反ロールを製造する方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、
刷版ロールとこれと対をなす圧胴ロールとを具備する印刷機により、搬送される前記一次連続シート又は積層連続シートに対して薬液を塗工する薬液塗工工程とを有し、
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度に応じて、前記印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0030】
<請求項2記載の発明>
一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を速度検出手段により検出し、この検出された搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を自動調整する請求項1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0031】
<請求項3記載の発明>
連続的又は段階的に積層連続シート又は一次連続シートの搬送速度を所定速度まで速める過程の加速段階で、前記前刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0032】
<請求項4記載の発明>
前記加速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を近くする請求項3記載のティシュペーパー用二次原反ロールの製造方法
【0033】
<請求項5記載の発明>
前記加速段階が、プライマシンの運転開始からから所定速度に達するまでである請求項3又は4記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0034】
<請求項6記載の発明>
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を所定速度から遅くする減速段階で、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0035】
<請求項7記載の発明>
前記減速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を長くする請求項6記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0036】
<請求項8記載の発明>
前記減速段階が、一次連続シート又は二次連続シートの搬送速度が所定速度となっている状態から、プライマシンの可動を停止させるべく、一次連続シート又は積層連続シートの搬送を停止させるまでである請求項6又は7記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0037】
<請求項9記載の発明>
前記薬液塗工工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1〜8の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0038】
<請求項10記載の発明>
前記印刷機がフレキソ印刷機であり、薬液塗工がフレキソ印刷方式によるものである、請求項1〜9の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0039】
<請求項11記載の発明>
前記所定速度が400m/分又はそれ以上である請求項1〜10の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0040】
<請求項12記載の発明>
前記薬液がグリセリン及び水を含む水系薬液である請求項1〜11の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0041】
<請求項13記載の発明>
前記薬液の粘度が50〜300mPa・sであり、薬液塗工時の薬液温度を20〜60℃とする請求項1〜12の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0042】
<請求項14記載の発明>
前記一次連続シートの坪量が1枚当たり10.5〜26.0g/m2であり、紙厚が2枚で120〜300μmである請求項1〜13の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0043】
<請求項15記載の発明>
積層連続シートの積層数が2枚であり、坪量が2枚で20〜50g/m2であり、紙厚が2枚で80〜250μmである請求項1〜14の何れか1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0044】
<請求項16記載の発明>
刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を0.00〜0.25mmの間で調整する請求項1〜15の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0045】
<請求項17記載の発明>
薬液塗工量を両面計で1.0〜5.0g/m2とする請求項1〜16の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0046】
<請求項18記載の発明>
前記薬液塗工時の薬液温度を30〜55℃とし、その際の薬液の粘度が70〜200mPa・sである請求項1〜17の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0047】
(作用効果)
本発明においては、プライマシンにて積層連続シート或いは一次連続シートに対して薬液を塗工するにあたり、フレキソ印刷機、グラビア印刷機などの刷版ロール及び圧胴ロールを具備した印刷機を用いる。
【0048】
この種の印刷機は、刷版ロールと圧胴ロールとがそれらの軸心方向が平行であり、かつ各ロールの周面が極めて近い距離をもって対となっており、圧胴ロールと刷版ロールとの間を、前記圧胴ロールの周面上を巡るようにして搬送される積層連続シート或いは一次連続シートに対して刷版ロールの周面が接触し、その刷版ロールの周面上の付与された薬液が積層連続シート或いは一次連続シートに転写して薬液塗工が行なわれる。
このため、積層連続シート或いは一次連続シートの搬送速度が一定の場合には、一定量の薬液が積層連続シート或いは一次連続シートに塗工される。
【0049】
そして、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を一定として、搬送速度が異なるような場合、例えば搬送速度が低速のときには刷版ロールとの接触時間が長くなり塗工量が多くなり、反対に高速の時には刷版ロールとの接触ジカンガ短くなり塗工量が低下する。上記解決すべき課題で述べた問題は、この印刷機の構成に起因するものと考えられる。
【0050】
他方、当該印刷機では、刷版ロールと圧胴ロールとの距離が近い場合には、積層連続シート或いは一次連続シートに対する刷版ロールの接触部分が広くなり、また、接触圧が高まり、反対に、刷版ロールと圧胴ロールとの距離が遠い場合には、積層連続シート或いは一次連続シートに対する刷版ロールの接触部分が小さくなり、また、接触圧も低くなる。
【0051】
従って、本発明により、搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整すれば、搬送速度に関係なく連続シートへ一定量の薬液塗工を行なうことができる。
【0052】
ここで、本発明は、特に、ティシュペーパー用の二次原反ロールを製造するプライマシンにおいて高速に薬液塗工する場合に有用である。
すなわち、プライマシンは、巻き長さが長く重量の重い一次原反ロールから巻きだした連続シートを積層して巻取るという設備であることから、プライマシンの運転速度(連続シートの流れ速度)がトップスピードに達するまでに時間がかかるため薬液塗工量差が発生しやすい、ティシュペーパー原紙は、板紙などと比較して、低坪量であり強度が元来低く、薬液塗工に伴う強度低下が発生しやすい、特に水系薬液を使用すると、紙の厚み方向に浸透するためそれが極めて顕著となる、といったティシュペーパー用の二次原反ロールをプライマシンで製造すること特有の課題を解決するからである。
【0053】
さらに、薬液塗工タイプのティシュペーパーを製造するにあたって、プライマシンではない印刷設備において薬液を塗工する場合には、一次原反ロールから巻きだした一次連続シートに薬液を塗工した後、一旦薬液塗工ロールとして巻取る。そして、改めて、プライマシンにおいて薬液が塗工された複数の薬液塗工一次原反ロールから一次連続シートを巻き出して積層する。
【0054】
この場合、印刷設備における一次連続シートの搬送速度が低速である運転開始期(加速段階)に薬液塗工がされた部分は、二次原反ロールとされたときには、巻き終わりの部分となる。これは、当該二次原反ロールからインターフォルダに二次連続シートを供給する際には、当該巻き終わり部分が巻き出し開始初期部分となることを意味する。そして、この場合には、その二次原反ロールの巻きだし開始初期部を損紙として除去し、プライマシンに供給しないようにすることができる。これにより上記に述べた巻きズレの問題や断紙の問題が回避される。
【0055】
しかし、プライマシンは、インターフォルダへ供給する二次原反ロールそのものを製造することから、プライマシンで薬液塗工する場合には、運転開始期に塗工量が多い部位があると、それが二次原反ロールの巻き芯部分に位置するため、インターフォルダへ二次連続シートを供給する前に当該部分を損紙として処理することができない。当然にインターフォルダにおいてされる二次原反ロールの回転に伴って生ずる巻きズレの問題も回避できない。
【0056】
また、そもそも薬液塗工タイプのティシュペーパーを製造するにあたって、プライマシンではない印刷設備において薬液を塗工する場合においては、連続シートの搬送速度を速めることなく製造することができるために、搬送速度による薬液塗工量差という問題が発生し難い。
【発明の効果】
【0057】
以上のとおり、本発明によれば、プライマシンにて連続シートに水系薬液を塗工するにあたって、プライマシンの運転開始から所定速度に至るまでの間と所定速度以上とで薬液塗工量に差が生じないようになり、プライマインにて連続シートに薬液を塗工する際に生じていた断紙等が防止され、もってマルチスタンド式インターフォルダでの生産性に見合う薬液が塗工された二次原反ロールを効率よく生産可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図2】二次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図3】刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離の調整を説明するため図である。
【図4】本発明にかかるフレキソ印刷を行なう形態の説明図である。
【図5】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図6】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図7】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図8】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図9】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図10】本発明にかかる2ロール転写方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図11】コンタクトエンボス加工の説明図である。
【図12】本発明の試験例を説明するためのフロー図である。
【図13】従来方法において製造された薬液二次連続シート中の薬液塗工量と搬送速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。ここでは、本発明にかかるティシュペーパー製品用の薬液塗工二次原反ロールの製造方法を説明しつつ、本発明の薬液塗工連続シート中の薬液塗工量を搬送過程で測定する方法と、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備を説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるわけではない。
【0060】
<一次原反ロールの製造方法及び製造設備〔抄紙工程〕>
本発明にかかる薬液塗工二次原反ロールを製造するには、まず、図1に示す抄紙設備例X1により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0061】
まず、ヘッドボックス31からパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト33Fに移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0062】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0063】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0064】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X1の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0065】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0066】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0067】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパーのプライと同等の坪量となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは12〜20g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とする。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパーの柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパーが硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚は2枚で120〜300μm、好ましくは130〜250μm、より好ましくは140〜200μmとするのが望ましい。なお、紙厚は、尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージにより測定し、測定値は10枚の平均値とする。
【0068】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパーとなる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパーとなりやすくなる。
【0069】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0070】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0071】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性塗工PAM等を用いることができる。
【0072】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0073】
[紙料]
ここで、一次原反ロール(一次原反シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0074】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0075】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、ローション薬液との相性がよく、塗工後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0076】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に塗工してもよい。
【0077】
<二次薬液塗工原反ロールの製造方法及び製造設備>
抄紙設備X1で製造された一次原反ロールJRは、図2に示す二次原反ロールの製造設備X2(以下、プライマシンともいう)にて二次薬液塗工原反ロールRにする。
プライマシンX2は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部51に供給されるように構成されている。ここで重ね合わせ部51は一対のニップロールで構成され、各一次連続シートS11,S12を積層するとともに所定のニップ圧をもってニップして各一次連続シートを積層一体化ならしめる。
【0078】
なお、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0079】
また、本実施形態では一次原反ロールJRを2つセットしていわゆる2プライの積層連続シートを巻取る例であるが、3セット、4セットとして3プライ、4プライの積層連続シートを巻取るようにすることも可能である。但し、背景技術の欄でも述べたように、薬液塗布タイプのティシュペーパーの生産性を向上させるべくマルチスタンド式インターフォルダを用いる本発明の趣旨を考慮すると、本発明では2プライの積層連続シートを巻取るようにするのが望ましい。2プライであれば一次原反ロールの使用量が少なく生産性の点で有利である。また、マルチスタンド式インターフォルダにおける折り適性も良好となる。
【0080】
従って、本発明では積層連続シートの積層数が2枚であり、その坪量が2枚当たり20〜50g/m2であり、紙厚が2枚で80〜250μmであり、好ましくは紙厚が2枚で100〜200μmであるのが望ましい。
【0081】
本実施形態例ではプライマシンX2の重ね合わせ部51の後段に刷版ロール94A,94B及び圧胴ロール95A,95Bを具備する印刷機90A,90Bを有し、積層連続シートS2に対して連続的に薬液を塗工する。なお、図示例の本形態では、積層連続シートS2に薬液を塗工しているが、本発明においては、積層前の各一次連続シートS11,S12に対して薬液塗工を行なうことができる。この場合、重ね合わせ部51の前段に印刷機を設ければよい。
【0082】
印刷機90A,90Bの後段には、薬液が塗工された薬液塗工積層連続シートS3を巻取って薬液塗工二次原反ロールRとするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、薬液塗工積層連続シートS3を巻き取り手段56に案内しつつ巻取るための一対のワインディングドラム56A,56Aを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが薬液塗工二次原反ロールRの外周面に接して薬液塗工積層連続シートS3を案内しつつ巻き取りを補助する。
【0083】
ここで、プライマシンX2においては巻き取り部56の前段にスリット手段55を設けて、薬液塗工積層連続シートS3を連続方向にスリットして適宜の幅とした後に、それらスリットされた薬液塗工積層連続シートS3を巻取ることで薬液塗工二次原反ロールRの幅をマルチスタンド式インターフォルダに対応する適宜の幅にする。
【0084】
ここで、本実施形態に係る薬液塗工二次原反ロールRの製造設備X2又は製造方法においては、積層連続シートS2の搬送速度は定常状態において700〜1100m/分、より好ましくは900〜1000m/分とする。この速度において20〜40分運転を行なう。この搬送速度とすれば、マルチスタンド式インターフォルダの生産性との関係により、十分な生産性となる。なお、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0085】
特に、700m/分以上、より好ましく900m/分以上であるとマルチスタンド式インターフォルダへの供給、十分なストック管理、さらに複数のマルチスタンド式インターフォルダの運用が可能になるなど生産性を高めるうえで好ましい。また、1000m/分以下とすると安定性がより優れる。
【0086】
なお、本発明の趣旨から高速塗工とは、少なくとも上記定常状態における速度が700m/分以上、好ましくは900m/分以上を意味する。
また、定常状態の搬送速度とは、プライマシン運転開始期の搬送速度の加速段階及びプライマシン運転停止期の搬送速度の減速段階を含まない意味である。
また、プライマシンにおける連続シートの搬送速度は、通常はどの位置でも大きく変わりがないので、搬送速度を決定する位置は限定されない。但し、本発明の趣旨からして少なくとも刷版ロールと圧胴ロールとの間を連続シートが通過する際の速度は少なくとも本発明における搬送速度である。
【0087】
以下、本実施の形態におけるプライマシンX2において、なされる種々の加工及び手段の詳細についてさらに説明する。
[薬液塗工工程]
本実施形態においては、プライマシンX2にて刷版ロール及び圧胴ロールを具備した印刷機90A,90Bにより、積層連続シートに対して薬液を塗工する。(以下、各印刷機90A,90Bについて同様の構成を説明するについては、刷版ロール94A(94B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。より詳細には、図3から理解されるように、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)とが軸心方向が平行に配置され、かつ各ロール94A,95A(94B,95B)の周面が極めて近い距離をもって対となっている印刷機90A(90B)の前記圧胴ロール95A(95B)と刷版ロール94A(94B)との間を、前記圧胴ロール95A(95B)の周面上を巡るようにして積層連続シートS2を搬送させ、この圧胴ロール95A(95B)上を巡る積層連続シートに対して刷版ロール94A(94B)の周面を接触させ、その刷版ロール94A(94B)の周面上の付与された薬液を積層連続シートS2に転写して薬液を塗工する。
【0088】
上記構成の代表的な印刷機は、フレキソ印刷機、グラビア印刷機であり、特に、プライマシンの高速性に対応でき、しかも刷版の柔軟性、高速対応性、薬液の飛散防止、塗工量の調整が容易である等の要件からフレキソ印刷機が適する。
【0089】
図示例では、積層連続シートS2の両面に薬液を塗工すべく2機の印刷機90A,90Bを設けているが、印刷機は、単数或いは2機以上設置することができる。図示例のように、両面に薬液が塗工された積層連続シートS2とすべく2機の印刷機を設置する場合、印刷機90A,90Bは、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。
【0090】
ここで、薬液は、水及びグリセリンを含む水系薬液であると、断紙改善など、本発明の効果がより明確に発揮される。特にグリセリンを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含む水系薬液であるのが望ましい。
【0091】
前記機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0092】
また機能性薬剤としてグリセリンの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0093】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗工を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0094】
上記薬液は、B型粘度計にて測定した粘度が40℃で50〜300mPa・sであるのが望ましい。より好ましくは70〜200mPa・s(40℃)である。50mPa・sより小さいと薬液が飛散しやすくなり、逆に300mPa・sより大きいと安定した塗工量とするコントロールがしにくくなる。なお、かかる薬液を薬液温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃として薬液塗工を行なうのが望ましい。
【0095】
薬液の塗工量は、積層連続シートS2の両面に塗工する場合、片面に塗工する場合、一次連続シートに塗工してから積層する場合のいずれの場合でも、二次原反ロールを構成する薬液二次連続シートの薬液塗工量が1.0〜5.0g/m2、好ましくは1.5〜3.9g/m2、より好ましくは2.0〜2.4g/m2となるようにする。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.0g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗工品との品質差を感じられなくなってしまう。より好ましく、2.0〜2.4g/m2とすると厚み感、しっとり感といった官能評価において極めて優れたものとなる。
【0096】
なお、本発明においては、積層連続シートS2の両面において薬液塗工量が異なるようにしてもよいし、各一次連続シートS11,S12の薬液塗工量が異なるようにしてもよい。
【0097】
(刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離の調整)
ここで、薬液塗工を行なうにあたっては、積層連続シートS2の搬送速度に応じて、前記刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lを調整する。具体的には、積層連続シートS2の搬送速度が所定速度又はそれ以上となっているときの刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lを一定距離とし、前記積層連続シートS2の搬送速度が所定速度よりも低速な場合に、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との間の距離Lを前記一定距離よりも長距離となるように調整する。
【0098】
例えば、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シートS11,S12を積層して積層連続シートS2を巻取る作業を実質的に開始したときから積層連続シートS2の搬送速度を加速させて所定速度に達するまでのプライマシンX2の運転開始期の加速段階や、プライマシンX2の運転を停止させるべく所定速度から積層連続シートS2の搬送速度を減速させるプライマシンX2の運転終了期の減速段階において、前記所定速度又はそれ以上の搬送速度のときよりも刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)とを離れさせるように調整する。この場合、加速段階、減速段階の一方のみの調整としてもよいが、巻きズレの問題を確実に回避すべく、少なくとも前記運転開始期の加速段階においては調整を行なうのが望ましい。また、ブレーキにより迅速に行える減速よりも、加速のほうが時間を要するためでもある。
【0099】
このように積層連続シートS2の搬送速度が低速なプライマシンX2の運転開始期の加速段階、プライマシンX2の運転終了期の減速段階にて、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lの調整を行なうことで、積層連続シートS2に対する薬液の過塗布が防止され、薬液塗工二次原反ロールRの巻き始めから巻き終わりに至るまで、所定の薬液塗工量の範囲、特に上記例示の薬液塗工量範囲で一定或いは所定範囲に収まるようにすることができるようになる。
【0100】
刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)の距離Lを調整するにあたっては、プライマシンX2において積層連続シートS2の搬送速度の加速、減速は連続的、段階的に行なうことができることから、その連続的な加速、減速、段階的な減速に対応させて、連続的、段階的に行なうのが望ましい。
【0101】
ここで、本発明における刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lとは、刷版ロール94A(94B)の周面と圧胴ロールの周面との最も近い位置P1の距離を意味する。従って、距離Lの調整は、刷版ロール94A(95B)の回転軸と圧胴ロール95A(95B)の回転軸の平行を維持しつつ何れかのロールを他方のロールより離れさせる或いは近づけることにより行なわれる。
【0102】
なお、この距離Lの調整は、刷版ロール94A(94B)の位置を固定し、圧胴ロール95A(95B)を移動させて行なうのが望ましい。かかる印刷機90A,90Bでは刷版ロール94A(94B)上に薬液を供給する必要性があるため、刷版ロール94A(94B)が移動すると刷版ロール94A(94B)上への薬液供給を安定かつ一定に行なえなくなるおそれが高まるからである。
【0103】
他方、前記所定速度について言及すれば、所定速度は400m/分或いはそれ以上とするのが望ましい。400m/分未満では調整なしで、運転開始期のなかでも極めて低速な搬送速度との薬液塗工差をなくすのが困難である。また、通常、プライマシンにおいて400m/分以上に加速するのには時間がかかるため400m/分以上とする場合には調整するのが望ましい。なお、400m/分以上では、刷版ロールと積層連続シートとの接触時間が極めて短いために調整の必要性が小さくなる。
【0104】
ここで、所定速度とは、上述のプライマシンの定常速度とは異なるものである。従って、プライマシンにおいて400m/分以上の速度で積層連続シートS2を搬送させることができ、定常速度を400m/分以上とする場合、400m/分を超えてから定常速度までの加速時には、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との調整を行なわないようにすることができる。
【0105】
他方、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との間の距離Lの調整範囲は0.00〜0.25mmの間で調整するのが望ましい。より、詳細には、積層連続シートS2の搬送速度が0分/m以上50分/m未満の場合に0.23±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が50分/m以上100分/m未満の場合に0.21±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が100分/m以上200分/m未満の場合に0.17±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が200分/m以上300分/m未満の場合に0.16±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が300分/m以上400分/m未満の場合に0.14±0.01mmとするのが望ましい。この調整は、上記例示の積層連続シートS2の坪量、紙厚の場合に特に効果が顕著となる。また、上記例示の薬液の組成、粘度の場合に特に効果が顕著となる。
【0106】
なお、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との間の距離Lが0.00さらにはマイナス距離であってもフレキソ印刷機等では刷版ロールに弾性があるので積層連続シートへの薬液塗工に問題はない。
【0107】
また、プライマシンX2における運転開始期における加速については、0〜1000m/分まで加速するのに250〜350秒とするのがよい。より好ましくは290〜300秒である。この加速割合であれば、運転開始期と通常速度における薬液塗工量の差を十分に小さくすることができ、断紙の発生のおそれも小さい。反対に、減速時においては、1000m/分〜0まで減速するのに70〜90秒、より好ましくは75〜85秒である。この減速割合であれば、薬液塗工量の差を十分に小さくすることができる。
【0108】
ここで、図示例の如く、印刷機を複数設ける場合には、それぞれの印刷機90A,90Bにおいて刷版ロール94A,94Bと圧胴ロール95A,95Bの調整を行なうことができる。すなわち、一つのみ又は所定数のみの印刷機の刷版ロールと圧胴ロールとの距離を調整し、その他の印刷機においては調整を行なわないようにすることができる。また、印刷機毎に調整プロファイルを異なるものとしてもよい。ここでの調整プロファイルとは、搬送速度と刷版ロールと圧胴ロールとの距離との関係を意味する。
【0109】
なお、刷版ロールと圧胴ロールとの調整は、積層連続シートの搬送速度を速度検出手段により検出し、この検出された搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を自動調整するようにするのが望ましい。
【0110】
(フレキソ印刷)
上述のとおり印刷機90A,90Bとしてはフレキソ印刷機が望ましく、この例についてより具体的に図4〜9を参照して説明する。フレキソ印刷はアニロックスロール93A(93B)を介して刷版ロール94A(94B)に薬液を供給する。樹脂性の弾力性がある刷版ロール94A(94B)を用いるため積層連続シートS2の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗工が可能であり、特に700m/分以上、更に900m/分の高速塗工を行なっても薬液塗工積層連続シートS3にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点があり、生産性向上の点でも優れる。
【0111】
ここで、プライマシンX2において上記高速にかつロール間距離Lの調整をしつつ積層連続シートS2に薬液を塗工する場合、フレキソ刷版ロール94A(94B)の線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗工ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0112】
アニロックスロール93A(93B)の線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると高速塗工時に塗工ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗工量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0113】
ここで、本発明では、薬液塗工工程において安定的に薬液が塗工できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール94A(94B)及びアニロックロール93A(93B)の線数は重要である。なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロール93A(93B)へ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を詳述する。
【0114】
〔ドクターチャンバー方式の実施形態例〕
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を図3〜図8を参照しながら説明する。各印刷機90A,90Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する圧胴ロール95A,95Bとで積層連続シートS2に薬液を転写する。
【0115】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗工装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーターを設置することができる。
【0116】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0117】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0118】
他方、図5に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えれている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0119】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール93A(93B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0120】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
【0121】
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。
【0122】
この例は、図6に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0123】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(図6に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0124】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0125】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0126】
さらに、図7に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0127】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0128】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図5に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS2)の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0129】
刷版ロール94A(94B)は、圧胴ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
【0130】
圧胴ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が塗工されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS2を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS2を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0131】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、図4においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は図4とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0132】
ここで、図5に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく図9(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その図9(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。図9(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。図9(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0133】
〔2ロール転写方式の実施形態例〕
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式の形態例を図10を参照しながら説明する。本形態例でも、積層連続シートS2の表裏面に薬液Lを塗工すべく二つのフレキソ印刷機90A,90Bを用いた例で説明する。本形態例では各印刷機90A,90Bにおいて、薬液Lの入っている薬液タンク98A,98Bに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92A,92Bが浸され、このディップロール92A,92Bが薬液タンク98A,98A外で回転可能なアニロックスロール93A,93Bに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93A,93Bに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93A,93Bに受け渡すに、ディップロール92A,92Aを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92A,92Aは薬液タンク98A,98Bから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93A,93Bに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0134】
アニロックスロール93A,93Bは刷版ロール94A,94Bに接しており、ディップロール92A,92Bから転写された薬液Lを刷版ロール94A,94Bに受け渡す。刷版ロール94A,94Bは回転可能に設置され、アニロックスロール93A,93Bと接しているとともに、積層連続シートS2の一面とも接しており、積層連続シートS2を挟んで対向する圧胴ロール95A,95Bとで積層連続シートS2に薬液Lを塗工する。
【0135】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93A、93Bに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗工できる、アニロックスロール93A、93Bから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、高速塗工ではドクターブレードを手入れしたり交換したりする頻度が高まるというデメリットはある。
【0136】
なお、薬液タンク98A,98Bには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、薬液塗工積層連続シートの幅方向の水分率で塗工量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0137】
〔1ロール転写形式の実施形態〕
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式の形態例を説明する。この例は、前述の2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0138】
[カレンダー加工]
他方、プライマシンX2においては、重ね合わせ部51から巻き取り部56までの間にカレンダー部52を一つ以上設けて積層連続シートS2、あるいは薬液塗工積層連続シートS3をカレンダー加工することができる。
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0139】
カレンダー部の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0140】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0141】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0142】
[コンタクトエンボス工程]
次にコンタクトエンボス工程について述べる。図2及び図11に示すように、本発明の薬液塗工二次原反ロールRを製造するにあたっては、薬液塗工積層連続シートS3に対してコンタクトエンボスを付与することができる。コンタクトエンボスは、二枚の連続シート(プライ)の剥離をし難くするエンボス加工の一種である。
【0143】
コンタクトエンボスは、スリット工程の前段であって上記薬液塗工量測定工程の後段で行なうのが望ましい。スリット前であるほうがシートのばたつきがなく操業トラブルのおそれが小さいからである。また、コンタクトエンボスが存在すると薬液塗工量の測定が正確に得られなくなる可能性があるからである。
【0144】
ここで、コンタクトエンボスを塗工するためのコンタクトエンボス手段54は、本形態では図11に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール54Bと表面に細かい凸部154Cを有する金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、薬液塗工積層連続シートS3におけるティシュペーパーの幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと、受けロール54Bとの間で薬液塗工積層連続シートS3を挟みつつ搬送することで、薬液塗工積層連続シートS3に対して、薬液塗工積層連続シートS3の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
【0145】
このようにコンタクトエンボスCEを塗工することによって、複数の一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層して成る薬液塗工積層連続シートS3の層間剥離が効果的に防止される。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパーの端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパーの幅を考慮して、すなわち後段のスリット幅を考慮して両側部に位置するように形成するのが望ましい。
【0146】
コンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスCEを塗工する場合、薬液塗工積層連続シートS3に対して薬液を塗工した後、0.3〜2.5秒、好ましくは0.3〜1.0秒以内にコンタクトエンボスCEを塗工するのがよい。0.3秒未満であると薬液が原紙に十分吸収されないため、受けロール54Bやコロ54Aに薬液が付着して断紙したり、受けロール54Bやコロ54Aに汚れが付着したりする。2.5秒を超えると、薬液を塗工した薬液塗工積層連続シートS3のクレープが伸びきるため、その後で工程シワが生じにくくなり、嵩高なティシュペーパー製品を得づらくなる。また、薬液塗工積層連続シートS3が伸びきるとドロー変動に対応できる伸びが無くなり、また吸湿、吸水により引張強度が低下しているため、断紙し易くなり操業性が落ちるという問題もある。
【0147】
また、このコンタクトエンボス工程において、本実施形態ではコロ54Aとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロを用いたが、薬液塗工積層連続シートS3に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
【0148】
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部54Cの先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
【0149】
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して塗工する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列塗工するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を塗工するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0150】
[スリット工程及び巻き取り工程]
本実施形態における薬液塗工二次原反ロールRの製造設備(プライマシンX2)では、図2に示すようにコンタクトエンボス後には薬液塗工積層連続シートS3をティシュペーパー製品の製品幅にスリットするスリット工程を有する。
【0151】
スリット加工を行なうスリット手段55は、薬液塗工積層連続シートS3の幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各薬液塗工積層連続シートS3は同軸に巻取ってマルチスタンド式インターフォルダ用の薬液塗工二次原反ロールRとする。
【実施例1】
【0152】
次いで、本発明の実施例1について以下に詳述する。
図2に示す態様のプライマシンを用い、坪量13.0g/m2、2枚での紙厚150μm、積層数2枚の積層連続シートの両面に2機の印刷機で薬液塗工を行なうこととして試験を行なった。
用いた一次原反ロールは、幅2,000mm、巻き長さ80,000mである。
薬液は組成、グリセリンを85%、界面活性剤と油剤を合わせて3%、水分を12%配合したものを用いた。薬液塗工時の薬液温度は40℃とし、このときの薬液の粘度は130mPa・sであった。
【0153】
本発明にかかる実施例については、下記表2及び図12に示される条件において行なった。比較例は表1に示しており、刷版ロールと圧胴ロールとの距離の調整を行なっていない。
なお、加速時間は0m/分から1000m/分まで300秒、減速時間は1000m/分から0m/分までが80秒である。
【0154】
結果は、下記表4のとおりである。
【表4】
【0155】
表4より、比較例では低速時の塗工量が多くなり巻きズレや皺が発生したが、本願発明の実施例は、搬送速度に関係なく塗工量が一定で巻きズレや皺の発生がないことが確認できる。
【実施例2】
【0156】
次いで、本発明の実施例2について以下に詳述する。
実施例1と同様に図2に示す態様のプライマシンを用い、坪量13.0g/m2、2枚での紙厚150μm、積層数2枚の積層連続シートの両面に2機の印刷機で薬液塗工を行なうこととして試験を行なった。用いた一次原反ロール、薬液組成、薬液塗工時の薬液温度、薬液粘度、加速時間、減速時間についても、上記実施例1と同様である。
【0157】
本発明にかかる実施例2については、下記表3及び図12に示される条件において行なった。比較例は、実施例1と同じものである。
【0158】
実施例2では、0m/分以上50m/分未満まで、前段印刷機における塗工を行なわず、後段印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離と50m/分以上における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離よりも近くして行なったものである。
【0159】
結果は、下記表5のとおりである。
【表5】
【0160】
表5より、比較例では低速時の塗工量が多くなり巻きズレや皺が発生したが、本願発明の実施例は、搬送速度に関係なく塗工量が一定で巻きズレや皺の発生がないことが確認できる。
以上より、本発明によれば、搬送速度に関係なく薬液塗工量を一定にすることができ、皺の発生、断紙の発生、巻きズレの発生が防止される。
【符号の説明】
【0161】
X1…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム。
X2…プライマシン、S11 ,S12…一次連続シート、S2…積層連続シート、S3…薬液塗工積層連続シート、51…重ね合わせ部、55…スリット手段、56…巻き取り手段、90A,90B…印刷機、94A,94B…刷版ロール、95A,95B…圧胴ロール、L…薬液、92A,92B…ドクターチャンバー、91A,91B…ディップロール(絞りロール)、93A,93B…アニロックスロール、96…供給ホース、97…返送ホース、98…貯留タンク、98A,98B…薬液タンク、99…供給ポンプ、100…調整弁、101…吸引ポンプ、102…チャンバー部、103,104…ブレード、105…供給ホースとチャンバー部との接続部、106…返送ホースとチャンバー部との接続部、106a…孔部、106b…判別手段(チューブ)、106c…円筒状部、106d…センサ、106e…報知部、106…調整部、CE…コンタクトエンボス、54…コンタクトエンボス手段、54A…コロ(エンボスロール)、54B…受けロール、54C…エンボス凸部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
【0003】
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗工した薬液塗工タイプのものと、薬液等が塗工されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
【0004】
薬液が塗工されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
薬液塗工タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0005】
<薬液塗工タイプの製品に用いられる薬液>
薬液塗工タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きく水及びポリオールを含む水系薬液、主に非水溶性のワックス等を含み常温で半固形である油系薬液に大別される。水系薬液は取り扱い性に優れ安価であるという特徴がある。
【0006】
また、水系薬液はシートに塗工した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)に含浸し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその表面をコーティングするように作用し、表面の滑らかさを向上させるように作用する。
【0007】
そして、水系薬液は、シートに含浸することから塗工後にシートに塗工されたクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
そして、安価、大量生産に適しているのは水系薬液である。
【0008】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
【0009】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)から積層連続シートからなる二次原反ロールを製造する。
【0010】
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0011】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0012】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折畳み機構部対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成されるように構成されている。ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0013】
一方、ロータリー式インターフォルダは、一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートを先端側から裁断しつつ回転式の折りロールによって折り畳み、その裁断し折り畳まれた各二次原反ロールからのシートが順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。
【0014】
したがって、このロータリー式インターフォルダでは、連続操業の中で所定の積層枚数のところで適宜マーキングして手動で分割する、あるいは所定積層枚数のところで自動で分割するなどして積層シート束を得る操作を要する。しかも得られる積層シート束は、二次原反ロールの幅長とほぼ同じ長さの比較的短いものである。このためマルチスタンド式インターフォルダと比較すると生産性には劣る。
【0015】
具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0016】
このため、マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液塗工タイプの製造はロータリー式インターフォルダにより製造されるのが一般的である(例えば、下記特許文献1)。さらに、薬液塗工タイプの製品を製造するにあたってロータリー式インターフォルダが用いられるもう一つの大きな理由は、生産性以外にオンラインで薬液塗工が可能であることがある。
しかし、上述のとおり需要拡大による生産量増加を考慮すると、薬液塗工ティシュペーパーにおいてもマルチスタンドインターフォルダでの製造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【特許文献8】特開2000−255037公報
【特許文献9】特開平6−340056号公報
【特許文献10】特開平7−216786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、薬液塗工タイプの生産性を向上させるべくマルチスタンド式インターフォルダを採用する場合、マルチスタンド式インターフォルダでは多数の二次原反ロールをセットする必要があることから、マルチスタンド式インターフォルダにセットされた各二次原反ロールに対して薬液を塗工するのは難しい。
【0019】
そこで、オフラインで薬液が塗工された二次原反ロール(薬液塗工二次原反ロール)を製造するのが望ましい。そして、このためには、マルチスタンド式インターフォルダとは別のプリンタ設備等の薬液塗工設備や、上記マルチスタンド式インターフォルダの前段設備である一次原反ロールから二次原反ロールを製造するプライマシンに印刷機などを設けて薬液塗工を行なう必要がある。
【0020】
ここで、プライマシンは元来高速に可動する設備であるとともに、マルチスタンド式インターフォルダ用の二次原反ロールを複数一度に製造できるため、生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダの生産速度に見合う二次原反ロールを製造でき、プライマシンで薬液塗工を行なうのは生産性の点で極めて有用である。
【0021】
そこで、本発明者らは、プライマシンにて、一次原反ロールから巻き出して二次原反ロールに巻取る過程で、一次連続シート或いは積層連続シートに刷版ロール及び圧胴ロールを用いる印刷機を用いて高速に薬液を印刷塗工することを検討したが、以下のような問題が存在することが知見された。
【0022】
すなわち、プライマシンにてかかる印刷機により連続シートに薬液を塗工すると、プライマシンの運転初期段階で断紙や皺が発生した。また、このようにして製造された二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダにてティシュペーパー束を製造しようとすると、二次原反ロールからマルチスタンド式インターフォルダへの二次連続シートの供給が進むにつれて、当該二次原反ロールに巻きズレ(ロールの中心部と外層部とで断層ができるようにズレが生ずる現象をいう)が生じ、これに起因して断紙等が発生した。
【0023】
そこで、本発明者らはプライマシンにて印刷機を用いて薬液塗工して製造された薬液塗工二次原反ロールにかかる薬液塗工二次連続シートを精査したところ、下記表1及び図13に示されるように、プライマシンの運転開始から所定速度に至るまでの間に巻取られた薬液二次連続シートの薬液塗工量が所望の塗工量よりも多く、プライマシンの運転初期と当該所定速度以上の時における薬液塗工量に大きな差があることが知見された。薬液塗布量が多くなると特に水系薬液ではシート内に浸透して、シートの強度を低下させることから、二次連続シートの強度が弱くなるなどの原因により速度が速くなったときに断紙や皺が生ずると思われる。
【0024】
【表1】
【0025】
そこで、二次原連続シートへの薬液塗工を、原反切り替え時の停止状態から徐々に加工速度を上げ40m/分に達した時点で、初めて二次原反シートと刷版ロールを二次連続シートに接触させ、その後、さらに加速を続け700〜1100m/分程度の高速で一定速度で運転し、所定長さを巻き取った後に減速を開始し、40m/分にまで減速した時点で刷版ロールを二次連続シートから離し塗工を終了し、さらに最後まで巻き取りを行なう方法により行なった。
【0026】
なお、40m/分としたのは、二次連続シートと刷版ロールとの接触と離脱のタイミングについては、加減速する途中で100m/分を超えた時点で行なうとシート張力の変化が大きく断紙が発生し、40m/分に満たない時点で二次連続シートと刷版ロールとを接触、離脱させると、二次連続シートと刷版ロールとの接触時間が長くなることに起因して、刷版ロールに二次連続シートが粘着することに起因する断紙が発生したことを知見したことによる。
【0027】
しかし、この方法では、二次原反ロール巻取りの加速時に相当する芯際、および減速時に相当する表層で巻きズレが生じ、また継ぎ目処理部でも同様に巻きズレが生じ、断紙が発生することが知見された。さらに、この方法で製造された二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダで折畳み加工に供すると、原反の巻きズレにより断紙したり、製品のしわが入ることも知見された。
【0028】
そこで、本発明の主たる課題は、プライマシンにて連続シートに水系薬液を塗工するにあたって、プライマシンの運転開始から所定速度に至るまでの間と所定速度以上とで薬液塗工量に差が生じないようにするとともに、プライマシンにて連続シートに薬液を塗工する際に生じていた断紙等を防止し、もってマルチスタンド式インターフォルダでの生産性に見合う薬液が塗工された二次原反ロールを効率よく生産可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
プライマシンにて一次原反ロールから繰り出した連続シートに薬液を塗工し、さらに薬液が塗工された薬液連続シートを巻取ってティシュペーパー製品用の薬液が塗工された二次原反ロールを製造する方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、
刷版ロールとこれと対をなす圧胴ロールとを具備する印刷機により、搬送される前記一次連続シート又は積層連続シートに対して薬液を塗工する薬液塗工工程とを有し、
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度に応じて、前記印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0030】
<請求項2記載の発明>
一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を速度検出手段により検出し、この検出された搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を自動調整する請求項1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0031】
<請求項3記載の発明>
連続的又は段階的に積層連続シート又は一次連続シートの搬送速度を所定速度まで速める過程の加速段階で、前記前刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0032】
<請求項4記載の発明>
前記加速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を近くする請求項3記載のティシュペーパー用二次原反ロールの製造方法
【0033】
<請求項5記載の発明>
前記加速段階が、プライマシンの運転開始からから所定速度に達するまでである請求項3又は4記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0034】
<請求項6記載の発明>
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を所定速度から遅くする減速段階で、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0035】
<請求項7記載の発明>
前記減速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を長くする請求項6記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0036】
<請求項8記載の発明>
前記減速段階が、一次連続シート又は二次連続シートの搬送速度が所定速度となっている状態から、プライマシンの可動を停止させるべく、一次連続シート又は積層連続シートの搬送を停止させるまでである請求項6又は7記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0037】
<請求項9記載の発明>
前記薬液塗工工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1〜8の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0038】
<請求項10記載の発明>
前記印刷機がフレキソ印刷機であり、薬液塗工がフレキソ印刷方式によるものである、請求項1〜9の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0039】
<請求項11記載の発明>
前記所定速度が400m/分又はそれ以上である請求項1〜10の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0040】
<請求項12記載の発明>
前記薬液がグリセリン及び水を含む水系薬液である請求項1〜11の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0041】
<請求項13記載の発明>
前記薬液の粘度が50〜300mPa・sであり、薬液塗工時の薬液温度を20〜60℃とする請求項1〜12の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0042】
<請求項14記載の発明>
前記一次連続シートの坪量が1枚当たり10.5〜26.0g/m2であり、紙厚が2枚で120〜300μmである請求項1〜13の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0043】
<請求項15記載の発明>
積層連続シートの積層数が2枚であり、坪量が2枚で20〜50g/m2であり、紙厚が2枚で80〜250μmである請求項1〜14の何れか1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0044】
<請求項16記載の発明>
刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を0.00〜0.25mmの間で調整する請求項1〜15の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0045】
<請求項17記載の発明>
薬液塗工量を両面計で1.0〜5.0g/m2とする請求項1〜16の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0046】
<請求項18記載の発明>
前記薬液塗工時の薬液温度を30〜55℃とし、その際の薬液の粘度が70〜200mPa・sである請求項1〜17の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0047】
(作用効果)
本発明においては、プライマシンにて積層連続シート或いは一次連続シートに対して薬液を塗工するにあたり、フレキソ印刷機、グラビア印刷機などの刷版ロール及び圧胴ロールを具備した印刷機を用いる。
【0048】
この種の印刷機は、刷版ロールと圧胴ロールとがそれらの軸心方向が平行であり、かつ各ロールの周面が極めて近い距離をもって対となっており、圧胴ロールと刷版ロールとの間を、前記圧胴ロールの周面上を巡るようにして搬送される積層連続シート或いは一次連続シートに対して刷版ロールの周面が接触し、その刷版ロールの周面上の付与された薬液が積層連続シート或いは一次連続シートに転写して薬液塗工が行なわれる。
このため、積層連続シート或いは一次連続シートの搬送速度が一定の場合には、一定量の薬液が積層連続シート或いは一次連続シートに塗工される。
【0049】
そして、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を一定として、搬送速度が異なるような場合、例えば搬送速度が低速のときには刷版ロールとの接触時間が長くなり塗工量が多くなり、反対に高速の時には刷版ロールとの接触ジカンガ短くなり塗工量が低下する。上記解決すべき課題で述べた問題は、この印刷機の構成に起因するものと考えられる。
【0050】
他方、当該印刷機では、刷版ロールと圧胴ロールとの距離が近い場合には、積層連続シート或いは一次連続シートに対する刷版ロールの接触部分が広くなり、また、接触圧が高まり、反対に、刷版ロールと圧胴ロールとの距離が遠い場合には、積層連続シート或いは一次連続シートに対する刷版ロールの接触部分が小さくなり、また、接触圧も低くなる。
【0051】
従って、本発明により、搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整すれば、搬送速度に関係なく連続シートへ一定量の薬液塗工を行なうことができる。
【0052】
ここで、本発明は、特に、ティシュペーパー用の二次原反ロールを製造するプライマシンにおいて高速に薬液塗工する場合に有用である。
すなわち、プライマシンは、巻き長さが長く重量の重い一次原反ロールから巻きだした連続シートを積層して巻取るという設備であることから、プライマシンの運転速度(連続シートの流れ速度)がトップスピードに達するまでに時間がかかるため薬液塗工量差が発生しやすい、ティシュペーパー原紙は、板紙などと比較して、低坪量であり強度が元来低く、薬液塗工に伴う強度低下が発生しやすい、特に水系薬液を使用すると、紙の厚み方向に浸透するためそれが極めて顕著となる、といったティシュペーパー用の二次原反ロールをプライマシンで製造すること特有の課題を解決するからである。
【0053】
さらに、薬液塗工タイプのティシュペーパーを製造するにあたって、プライマシンではない印刷設備において薬液を塗工する場合には、一次原反ロールから巻きだした一次連続シートに薬液を塗工した後、一旦薬液塗工ロールとして巻取る。そして、改めて、プライマシンにおいて薬液が塗工された複数の薬液塗工一次原反ロールから一次連続シートを巻き出して積層する。
【0054】
この場合、印刷設備における一次連続シートの搬送速度が低速である運転開始期(加速段階)に薬液塗工がされた部分は、二次原反ロールとされたときには、巻き終わりの部分となる。これは、当該二次原反ロールからインターフォルダに二次連続シートを供給する際には、当該巻き終わり部分が巻き出し開始初期部分となることを意味する。そして、この場合には、その二次原反ロールの巻きだし開始初期部を損紙として除去し、プライマシンに供給しないようにすることができる。これにより上記に述べた巻きズレの問題や断紙の問題が回避される。
【0055】
しかし、プライマシンは、インターフォルダへ供給する二次原反ロールそのものを製造することから、プライマシンで薬液塗工する場合には、運転開始期に塗工量が多い部位があると、それが二次原反ロールの巻き芯部分に位置するため、インターフォルダへ二次連続シートを供給する前に当該部分を損紙として処理することができない。当然にインターフォルダにおいてされる二次原反ロールの回転に伴って生ずる巻きズレの問題も回避できない。
【0056】
また、そもそも薬液塗工タイプのティシュペーパーを製造するにあたって、プライマシンではない印刷設備において薬液を塗工する場合においては、連続シートの搬送速度を速めることなく製造することができるために、搬送速度による薬液塗工量差という問題が発生し難い。
【発明の効果】
【0057】
以上のとおり、本発明によれば、プライマシンにて連続シートに水系薬液を塗工するにあたって、プライマシンの運転開始から所定速度に至るまでの間と所定速度以上とで薬液塗工量に差が生じないようになり、プライマインにて連続シートに薬液を塗工する際に生じていた断紙等が防止され、もってマルチスタンド式インターフォルダでの生産性に見合う薬液が塗工された二次原反ロールを効率よく生産可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図2】二次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図3】刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離の調整を説明するため図である。
【図4】本発明にかかるフレキソ印刷を行なう形態の説明図である。
【図5】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図6】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図7】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図8】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図9】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図10】本発明にかかる2ロール転写方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図11】コンタクトエンボス加工の説明図である。
【図12】本発明の試験例を説明するためのフロー図である。
【図13】従来方法において製造された薬液二次連続シート中の薬液塗工量と搬送速度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。ここでは、本発明にかかるティシュペーパー製品用の薬液塗工二次原反ロールの製造方法を説明しつつ、本発明の薬液塗工連続シート中の薬液塗工量を搬送過程で測定する方法と、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備を説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されるわけではない。
【0060】
<一次原反ロールの製造方法及び製造設備〔抄紙工程〕>
本発明にかかる薬液塗工二次原反ロールを製造するには、まず、図1に示す抄紙設備例X1により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0061】
まず、ヘッドボックス31からパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト33Fに移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0062】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0063】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0064】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X1の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0065】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0066】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0067】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパーのプライと同等の坪量となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは12〜20g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とする。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパーの柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパーが硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚は2枚で120〜300μm、好ましくは130〜250μm、より好ましくは140〜200μmとするのが望ましい。なお、紙厚は、尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージにより測定し、測定値は10枚の平均値とする。
【0068】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパーとなる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパーとなりやすくなる。
【0069】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0070】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0071】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性塗工PAM等を用いることができる。
【0072】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0073】
[紙料]
ここで、一次原反ロール(一次原反シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0074】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0075】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、ローション薬液との相性がよく、塗工後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0076】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に塗工してもよい。
【0077】
<二次薬液塗工原反ロールの製造方法及び製造設備>
抄紙設備X1で製造された一次原反ロールJRは、図2に示す二次原反ロールの製造設備X2(以下、プライマシンともいう)にて二次薬液塗工原反ロールRにする。
プライマシンX2は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部51に供給されるように構成されている。ここで重ね合わせ部51は一対のニップロールで構成され、各一次連続シートS11,S12を積層するとともに所定のニップ圧をもってニップして各一次連続シートを積層一体化ならしめる。
【0078】
なお、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0079】
また、本実施形態では一次原反ロールJRを2つセットしていわゆる2プライの積層連続シートを巻取る例であるが、3セット、4セットとして3プライ、4プライの積層連続シートを巻取るようにすることも可能である。但し、背景技術の欄でも述べたように、薬液塗布タイプのティシュペーパーの生産性を向上させるべくマルチスタンド式インターフォルダを用いる本発明の趣旨を考慮すると、本発明では2プライの積層連続シートを巻取るようにするのが望ましい。2プライであれば一次原反ロールの使用量が少なく生産性の点で有利である。また、マルチスタンド式インターフォルダにおける折り適性も良好となる。
【0080】
従って、本発明では積層連続シートの積層数が2枚であり、その坪量が2枚当たり20〜50g/m2であり、紙厚が2枚で80〜250μmであり、好ましくは紙厚が2枚で100〜200μmであるのが望ましい。
【0081】
本実施形態例ではプライマシンX2の重ね合わせ部51の後段に刷版ロール94A,94B及び圧胴ロール95A,95Bを具備する印刷機90A,90Bを有し、積層連続シートS2に対して連続的に薬液を塗工する。なお、図示例の本形態では、積層連続シートS2に薬液を塗工しているが、本発明においては、積層前の各一次連続シートS11,S12に対して薬液塗工を行なうことができる。この場合、重ね合わせ部51の前段に印刷機を設ければよい。
【0082】
印刷機90A,90Bの後段には、薬液が塗工された薬液塗工積層連続シートS3を巻取って薬液塗工二次原反ロールRとするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、薬液塗工積層連続シートS3を巻き取り手段56に案内しつつ巻取るための一対のワインディングドラム56A,56Aを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが薬液塗工二次原反ロールRの外周面に接して薬液塗工積層連続シートS3を案内しつつ巻き取りを補助する。
【0083】
ここで、プライマシンX2においては巻き取り部56の前段にスリット手段55を設けて、薬液塗工積層連続シートS3を連続方向にスリットして適宜の幅とした後に、それらスリットされた薬液塗工積層連続シートS3を巻取ることで薬液塗工二次原反ロールRの幅をマルチスタンド式インターフォルダに対応する適宜の幅にする。
【0084】
ここで、本実施形態に係る薬液塗工二次原反ロールRの製造設備X2又は製造方法においては、積層連続シートS2の搬送速度は定常状態において700〜1100m/分、より好ましくは900〜1000m/分とする。この速度において20〜40分運転を行なう。この搬送速度とすれば、マルチスタンド式インターフォルダの生産性との関係により、十分な生産性となる。なお、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0085】
特に、700m/分以上、より好ましく900m/分以上であるとマルチスタンド式インターフォルダへの供給、十分なストック管理、さらに複数のマルチスタンド式インターフォルダの運用が可能になるなど生産性を高めるうえで好ましい。また、1000m/分以下とすると安定性がより優れる。
【0086】
なお、本発明の趣旨から高速塗工とは、少なくとも上記定常状態における速度が700m/分以上、好ましくは900m/分以上を意味する。
また、定常状態の搬送速度とは、プライマシン運転開始期の搬送速度の加速段階及びプライマシン運転停止期の搬送速度の減速段階を含まない意味である。
また、プライマシンにおける連続シートの搬送速度は、通常はどの位置でも大きく変わりがないので、搬送速度を決定する位置は限定されない。但し、本発明の趣旨からして少なくとも刷版ロールと圧胴ロールとの間を連続シートが通過する際の速度は少なくとも本発明における搬送速度である。
【0087】
以下、本実施の形態におけるプライマシンX2において、なされる種々の加工及び手段の詳細についてさらに説明する。
[薬液塗工工程]
本実施形態においては、プライマシンX2にて刷版ロール及び圧胴ロールを具備した印刷機90A,90Bにより、積層連続シートに対して薬液を塗工する。(以下、各印刷機90A,90Bについて同様の構成を説明するについては、刷版ロール94A(94B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。より詳細には、図3から理解されるように、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)とが軸心方向が平行に配置され、かつ各ロール94A,95A(94B,95B)の周面が極めて近い距離をもって対となっている印刷機90A(90B)の前記圧胴ロール95A(95B)と刷版ロール94A(94B)との間を、前記圧胴ロール95A(95B)の周面上を巡るようにして積層連続シートS2を搬送させ、この圧胴ロール95A(95B)上を巡る積層連続シートに対して刷版ロール94A(94B)の周面を接触させ、その刷版ロール94A(94B)の周面上の付与された薬液を積層連続シートS2に転写して薬液を塗工する。
【0088】
上記構成の代表的な印刷機は、フレキソ印刷機、グラビア印刷機であり、特に、プライマシンの高速性に対応でき、しかも刷版の柔軟性、高速対応性、薬液の飛散防止、塗工量の調整が容易である等の要件からフレキソ印刷機が適する。
【0089】
図示例では、積層連続シートS2の両面に薬液を塗工すべく2機の印刷機90A,90Bを設けているが、印刷機は、単数或いは2機以上設置することができる。図示例のように、両面に薬液が塗工された積層連続シートS2とすべく2機の印刷機を設置する場合、印刷機90A,90Bは、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。
【0090】
ここで、薬液は、水及びグリセリンを含む水系薬液であると、断紙改善など、本発明の効果がより明確に発揮される。特にグリセリンを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含む水系薬液であるのが望ましい。
【0091】
前記機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0092】
また機能性薬剤としてグリセリンの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0093】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗工を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0094】
上記薬液は、B型粘度計にて測定した粘度が40℃で50〜300mPa・sであるのが望ましい。より好ましくは70〜200mPa・s(40℃)である。50mPa・sより小さいと薬液が飛散しやすくなり、逆に300mPa・sより大きいと安定した塗工量とするコントロールがしにくくなる。なお、かかる薬液を薬液温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃として薬液塗工を行なうのが望ましい。
【0095】
薬液の塗工量は、積層連続シートS2の両面に塗工する場合、片面に塗工する場合、一次連続シートに塗工してから積層する場合のいずれの場合でも、二次原反ロールを構成する薬液二次連続シートの薬液塗工量が1.0〜5.0g/m2、好ましくは1.5〜3.9g/m2、より好ましくは2.0〜2.4g/m2となるようにする。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.0g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗工品との品質差を感じられなくなってしまう。より好ましく、2.0〜2.4g/m2とすると厚み感、しっとり感といった官能評価において極めて優れたものとなる。
【0096】
なお、本発明においては、積層連続シートS2の両面において薬液塗工量が異なるようにしてもよいし、各一次連続シートS11,S12の薬液塗工量が異なるようにしてもよい。
【0097】
(刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離の調整)
ここで、薬液塗工を行なうにあたっては、積層連続シートS2の搬送速度に応じて、前記刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lを調整する。具体的には、積層連続シートS2の搬送速度が所定速度又はそれ以上となっているときの刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lを一定距離とし、前記積層連続シートS2の搬送速度が所定速度よりも低速な場合に、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との間の距離Lを前記一定距離よりも長距離となるように調整する。
【0098】
例えば、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シートS11,S12を積層して積層連続シートS2を巻取る作業を実質的に開始したときから積層連続シートS2の搬送速度を加速させて所定速度に達するまでのプライマシンX2の運転開始期の加速段階や、プライマシンX2の運転を停止させるべく所定速度から積層連続シートS2の搬送速度を減速させるプライマシンX2の運転終了期の減速段階において、前記所定速度又はそれ以上の搬送速度のときよりも刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)とを離れさせるように調整する。この場合、加速段階、減速段階の一方のみの調整としてもよいが、巻きズレの問題を確実に回避すべく、少なくとも前記運転開始期の加速段階においては調整を行なうのが望ましい。また、ブレーキにより迅速に行える減速よりも、加速のほうが時間を要するためでもある。
【0099】
このように積層連続シートS2の搬送速度が低速なプライマシンX2の運転開始期の加速段階、プライマシンX2の運転終了期の減速段階にて、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lの調整を行なうことで、積層連続シートS2に対する薬液の過塗布が防止され、薬液塗工二次原反ロールRの巻き始めから巻き終わりに至るまで、所定の薬液塗工量の範囲、特に上記例示の薬液塗工量範囲で一定或いは所定範囲に収まるようにすることができるようになる。
【0100】
刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)の距離Lを調整するにあたっては、プライマシンX2において積層連続シートS2の搬送速度の加速、減速は連続的、段階的に行なうことができることから、その連続的な加速、減速、段階的な減速に対応させて、連続的、段階的に行なうのが望ましい。
【0101】
ここで、本発明における刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との距離Lとは、刷版ロール94A(94B)の周面と圧胴ロールの周面との最も近い位置P1の距離を意味する。従って、距離Lの調整は、刷版ロール94A(95B)の回転軸と圧胴ロール95A(95B)の回転軸の平行を維持しつつ何れかのロールを他方のロールより離れさせる或いは近づけることにより行なわれる。
【0102】
なお、この距離Lの調整は、刷版ロール94A(94B)の位置を固定し、圧胴ロール95A(95B)を移動させて行なうのが望ましい。かかる印刷機90A,90Bでは刷版ロール94A(94B)上に薬液を供給する必要性があるため、刷版ロール94A(94B)が移動すると刷版ロール94A(94B)上への薬液供給を安定かつ一定に行なえなくなるおそれが高まるからである。
【0103】
他方、前記所定速度について言及すれば、所定速度は400m/分或いはそれ以上とするのが望ましい。400m/分未満では調整なしで、運転開始期のなかでも極めて低速な搬送速度との薬液塗工差をなくすのが困難である。また、通常、プライマシンにおいて400m/分以上に加速するのには時間がかかるため400m/分以上とする場合には調整するのが望ましい。なお、400m/分以上では、刷版ロールと積層連続シートとの接触時間が極めて短いために調整の必要性が小さくなる。
【0104】
ここで、所定速度とは、上述のプライマシンの定常速度とは異なるものである。従って、プライマシンにおいて400m/分以上の速度で積層連続シートS2を搬送させることができ、定常速度を400m/分以上とする場合、400m/分を超えてから定常速度までの加速時には、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との調整を行なわないようにすることができる。
【0105】
他方、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との間の距離Lの調整範囲は0.00〜0.25mmの間で調整するのが望ましい。より、詳細には、積層連続シートS2の搬送速度が0分/m以上50分/m未満の場合に0.23±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が50分/m以上100分/m未満の場合に0.21±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が100分/m以上200分/m未満の場合に0.17±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が200分/m以上300分/m未満の場合に0.16±0.01mm、積層連続シートS2の搬送速度が300分/m以上400分/m未満の場合に0.14±0.01mmとするのが望ましい。この調整は、上記例示の積層連続シートS2の坪量、紙厚の場合に特に効果が顕著となる。また、上記例示の薬液の組成、粘度の場合に特に効果が顕著となる。
【0106】
なお、刷版ロール94A(94B)と圧胴ロール95A(95B)との間の距離Lが0.00さらにはマイナス距離であってもフレキソ印刷機等では刷版ロールに弾性があるので積層連続シートへの薬液塗工に問題はない。
【0107】
また、プライマシンX2における運転開始期における加速については、0〜1000m/分まで加速するのに250〜350秒とするのがよい。より好ましくは290〜300秒である。この加速割合であれば、運転開始期と通常速度における薬液塗工量の差を十分に小さくすることができ、断紙の発生のおそれも小さい。反対に、減速時においては、1000m/分〜0まで減速するのに70〜90秒、より好ましくは75〜85秒である。この減速割合であれば、薬液塗工量の差を十分に小さくすることができる。
【0108】
ここで、図示例の如く、印刷機を複数設ける場合には、それぞれの印刷機90A,90Bにおいて刷版ロール94A,94Bと圧胴ロール95A,95Bの調整を行なうことができる。すなわち、一つのみ又は所定数のみの印刷機の刷版ロールと圧胴ロールとの距離を調整し、その他の印刷機においては調整を行なわないようにすることができる。また、印刷機毎に調整プロファイルを異なるものとしてもよい。ここでの調整プロファイルとは、搬送速度と刷版ロールと圧胴ロールとの距離との関係を意味する。
【0109】
なお、刷版ロールと圧胴ロールとの調整は、積層連続シートの搬送速度を速度検出手段により検出し、この検出された搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を自動調整するようにするのが望ましい。
【0110】
(フレキソ印刷)
上述のとおり印刷機90A,90Bとしてはフレキソ印刷機が望ましく、この例についてより具体的に図4〜9を参照して説明する。フレキソ印刷はアニロックスロール93A(93B)を介して刷版ロール94A(94B)に薬液を供給する。樹脂性の弾力性がある刷版ロール94A(94B)を用いるため積層連続シートS2の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗工が可能であり、特に700m/分以上、更に900m/分の高速塗工を行なっても薬液塗工積層連続シートS3にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点があり、生産性向上の点でも優れる。
【0111】
ここで、プライマシンX2において上記高速にかつロール間距離Lの調整をしつつ積層連続シートS2に薬液を塗工する場合、フレキソ刷版ロール94A(94B)の線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗工ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0112】
アニロックスロール93A(93B)の線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると高速塗工時に塗工ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗工量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0113】
ここで、本発明では、薬液塗工工程において安定的に薬液が塗工できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール94A(94B)及びアニロックロール93A(93B)の線数は重要である。なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロール93A(93B)へ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を詳述する。
【0114】
〔ドクターチャンバー方式の実施形態例〕
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を図3〜図8を参照しながら説明する。各印刷機90A,90Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する圧胴ロール95A,95Bとで積層連続シートS2に薬液を転写する。
【0115】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗工装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーターを設置することができる。
【0116】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0117】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0118】
他方、図5に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えれている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0119】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール93A(93B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0120】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
【0121】
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。
【0122】
この例は、図6に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0123】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(図6に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0124】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0125】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0126】
さらに、図7に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0127】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0128】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図5に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS2)の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0129】
刷版ロール94A(94B)は、圧胴ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
【0130】
圧胴ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が塗工されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS2を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS2を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0131】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、図4においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は図4とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0132】
ここで、図5に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく図9(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その図9(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。図9(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。図9(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0133】
〔2ロール転写方式の実施形態例〕
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式の形態例を図10を参照しながら説明する。本形態例でも、積層連続シートS2の表裏面に薬液Lを塗工すべく二つのフレキソ印刷機90A,90Bを用いた例で説明する。本形態例では各印刷機90A,90Bにおいて、薬液Lの入っている薬液タンク98A,98Bに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92A,92Bが浸され、このディップロール92A,92Bが薬液タンク98A,98A外で回転可能なアニロックスロール93A,93Bに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93A,93Bに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93A,93Bに受け渡すに、ディップロール92A,92Aを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92A,92Aは薬液タンク98A,98Bから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93A,93Bに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0134】
アニロックスロール93A,93Bは刷版ロール94A,94Bに接しており、ディップロール92A,92Bから転写された薬液Lを刷版ロール94A,94Bに受け渡す。刷版ロール94A,94Bは回転可能に設置され、アニロックスロール93A,93Bと接しているとともに、積層連続シートS2の一面とも接しており、積層連続シートS2を挟んで対向する圧胴ロール95A,95Bとで積層連続シートS2に薬液Lを塗工する。
【0135】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93A、93Bに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗工できる、アニロックスロール93A、93Bから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、高速塗工ではドクターブレードを手入れしたり交換したりする頻度が高まるというデメリットはある。
【0136】
なお、薬液タンク98A,98Bには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、薬液塗工積層連続シートの幅方向の水分率で塗工量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0137】
〔1ロール転写形式の実施形態〕
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式の形態例を説明する。この例は、前述の2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0138】
[カレンダー加工]
他方、プライマシンX2においては、重ね合わせ部51から巻き取り部56までの間にカレンダー部52を一つ以上設けて積層連続シートS2、あるいは薬液塗工積層連続シートS3をカレンダー加工することができる。
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0139】
カレンダー部の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0140】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0141】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0142】
[コンタクトエンボス工程]
次にコンタクトエンボス工程について述べる。図2及び図11に示すように、本発明の薬液塗工二次原反ロールRを製造するにあたっては、薬液塗工積層連続シートS3に対してコンタクトエンボスを付与することができる。コンタクトエンボスは、二枚の連続シート(プライ)の剥離をし難くするエンボス加工の一種である。
【0143】
コンタクトエンボスは、スリット工程の前段であって上記薬液塗工量測定工程の後段で行なうのが望ましい。スリット前であるほうがシートのばたつきがなく操業トラブルのおそれが小さいからである。また、コンタクトエンボスが存在すると薬液塗工量の測定が正確に得られなくなる可能性があるからである。
【0144】
ここで、コンタクトエンボスを塗工するためのコンタクトエンボス手段54は、本形態では図11に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール54Bと表面に細かい凸部154Cを有する金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、薬液塗工積層連続シートS3におけるティシュペーパーの幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと、受けロール54Bとの間で薬液塗工積層連続シートS3を挟みつつ搬送することで、薬液塗工積層連続シートS3に対して、薬液塗工積層連続シートS3の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
【0145】
このようにコンタクトエンボスCEを塗工することによって、複数の一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層して成る薬液塗工積層連続シートS3の層間剥離が効果的に防止される。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパーの端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパーの幅を考慮して、すなわち後段のスリット幅を考慮して両側部に位置するように形成するのが望ましい。
【0146】
コンタクトエンボス手段54でコンタクトエンボスCEを塗工する場合、薬液塗工積層連続シートS3に対して薬液を塗工した後、0.3〜2.5秒、好ましくは0.3〜1.0秒以内にコンタクトエンボスCEを塗工するのがよい。0.3秒未満であると薬液が原紙に十分吸収されないため、受けロール54Bやコロ54Aに薬液が付着して断紙したり、受けロール54Bやコロ54Aに汚れが付着したりする。2.5秒を超えると、薬液を塗工した薬液塗工積層連続シートS3のクレープが伸びきるため、その後で工程シワが生じにくくなり、嵩高なティシュペーパー製品を得づらくなる。また、薬液塗工積層連続シートS3が伸びきるとドロー変動に対応できる伸びが無くなり、また吸湿、吸水により引張強度が低下しているため、断紙し易くなり操業性が落ちるという問題もある。
【0147】
また、このコンタクトエンボス工程において、本実施形態ではコロ54Aとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロを用いたが、薬液塗工積層連続シートS3に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
【0148】
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部54Cの先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
【0149】
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して塗工する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列塗工するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を塗工するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0150】
[スリット工程及び巻き取り工程]
本実施形態における薬液塗工二次原反ロールRの製造設備(プライマシンX2)では、図2に示すようにコンタクトエンボス後には薬液塗工積層連続シートS3をティシュペーパー製品の製品幅にスリットするスリット工程を有する。
【0151】
スリット加工を行なうスリット手段55は、薬液塗工積層連続シートS3の幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各薬液塗工積層連続シートS3は同軸に巻取ってマルチスタンド式インターフォルダ用の薬液塗工二次原反ロールRとする。
【実施例1】
【0152】
次いで、本発明の実施例1について以下に詳述する。
図2に示す態様のプライマシンを用い、坪量13.0g/m2、2枚での紙厚150μm、積層数2枚の積層連続シートの両面に2機の印刷機で薬液塗工を行なうこととして試験を行なった。
用いた一次原反ロールは、幅2,000mm、巻き長さ80,000mである。
薬液は組成、グリセリンを85%、界面活性剤と油剤を合わせて3%、水分を12%配合したものを用いた。薬液塗工時の薬液温度は40℃とし、このときの薬液の粘度は130mPa・sであった。
【0153】
本発明にかかる実施例については、下記表2及び図12に示される条件において行なった。比較例は表1に示しており、刷版ロールと圧胴ロールとの距離の調整を行なっていない。
なお、加速時間は0m/分から1000m/分まで300秒、減速時間は1000m/分から0m/分までが80秒である。
【0154】
結果は、下記表4のとおりである。
【表4】
【0155】
表4より、比較例では低速時の塗工量が多くなり巻きズレや皺が発生したが、本願発明の実施例は、搬送速度に関係なく塗工量が一定で巻きズレや皺の発生がないことが確認できる。
【実施例2】
【0156】
次いで、本発明の実施例2について以下に詳述する。
実施例1と同様に図2に示す態様のプライマシンを用い、坪量13.0g/m2、2枚での紙厚150μm、積層数2枚の積層連続シートの両面に2機の印刷機で薬液塗工を行なうこととして試験を行なった。用いた一次原反ロール、薬液組成、薬液塗工時の薬液温度、薬液粘度、加速時間、減速時間についても、上記実施例1と同様である。
【0157】
本発明にかかる実施例2については、下記表3及び図12に示される条件において行なった。比較例は、実施例1と同じものである。
【0158】
実施例2では、0m/分以上50m/分未満まで、前段印刷機における塗工を行なわず、後段印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離と50m/分以上における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離よりも近くして行なったものである。
【0159】
結果は、下記表5のとおりである。
【表5】
【0160】
表5より、比較例では低速時の塗工量が多くなり巻きズレや皺が発生したが、本願発明の実施例は、搬送速度に関係なく塗工量が一定で巻きズレや皺の発生がないことが確認できる。
以上より、本発明によれば、搬送速度に関係なく薬液塗工量を一定にすることができ、皺の発生、断紙の発生、巻きズレの発生が防止される。
【符号の説明】
【0161】
X1…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム。
X2…プライマシン、S11 ,S12…一次連続シート、S2…積層連続シート、S3…薬液塗工積層連続シート、51…重ね合わせ部、55…スリット手段、56…巻き取り手段、90A,90B…印刷機、94A,94B…刷版ロール、95A,95B…圧胴ロール、L…薬液、92A,92B…ドクターチャンバー、91A,91B…ディップロール(絞りロール)、93A,93B…アニロックスロール、96…供給ホース、97…返送ホース、98…貯留タンク、98A,98B…薬液タンク、99…供給ポンプ、100…調整弁、101…吸引ポンプ、102…チャンバー部、103,104…ブレード、105…供給ホースとチャンバー部との接続部、106…返送ホースとチャンバー部との接続部、106a…孔部、106b…判別手段(チューブ)、106c…円筒状部、106d…センサ、106e…報知部、106…調整部、CE…コンタクトエンボス、54…コンタクトエンボス手段、54A…コロ(エンボスロール)、54B…受けロール、54C…エンボス凸部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマシンにて一次原反ロールから繰り出した連続シートに薬液を塗工し、さらに薬液が塗工された薬液連続シートを巻取ってティシュペーパー製品用の薬液が塗工された二次原反ロールを製造する方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、
刷版ロールとこれと対をなす圧胴ロールとを具備する印刷機により、搬送される前記一次連続シート又は積層連続シートに対して薬液を塗工する薬液塗工工程とを有し、
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度に応じて、前記印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項2】
一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を速度検出手段により検出し、この検出された搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を自動調整する請求項1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項3】
連続的又は段階的に積層連続シート又は一次連続シートの搬送速度を所定速度まで速める過程の加速段階で、前記前刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項4】
前記加速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を近くする請求項3記載のティシュペーパー用二次原反ロールの製造方法
【請求項5】
前記加速段階が、プライマシンの運転開始からから所定速度に達するまでである請求項3又は4記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項6】
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を所定速度から遅くする減速段階で、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項7】
前記減速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を長くする請求項6記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項8】
前記減速段階が、一次連続シート又は二次連続シートの搬送速度が所定速度となっている状態から、プライマシンの可動を停止させるべく、一次連続シート又は積層連続シートの搬送を停止させるまでである請求項6又は7記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項9】
前記薬液塗工工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1〜8の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項10】
前記印刷機がフレキソ印刷機であり、薬液塗工がフレキソ印刷方式によるものである、請求項1〜9の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項11】
前記所定速度が400m/分又はそれ以上である請求項1〜10の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項12】
前記薬液がグリセリン及び水を含む水系薬液である請求項1〜11の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項13】
前記薬液の粘度が50〜300mPa・sであり、薬液塗工時の薬液温度を20〜60℃とする請求項1〜12の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項14】
前記一次連続シートの坪量が1枚当たり10.5〜26g/m2であり、紙厚が2枚で120〜300μmである請求項1〜13の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項15】
積層連続シートの積層数が2枚であり、坪量が2枚で20〜50g/m2であり、紙厚が2枚で80〜250μmである請求項1〜14の何れか1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項16】
刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を0.00〜0.25mmの間で調整する請求項1〜15の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項17】
薬液塗工量を両面計で1.0〜5.0g/m2とする請求項1〜16の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項18】
前記薬液塗工時の薬液温度を30〜55℃とし、その際の薬液の粘度が70〜200mPa・sである請求項1〜17の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項1】
プライマシンにて一次原反ロールから繰り出した連続シートに薬液を塗工し、さらに薬液が塗工された薬液連続シートを巻取ってティシュペーパー製品用の薬液が塗工された二次原反ロールを製造する方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを形成する巻取り工程と、
刷版ロールとこれと対をなす圧胴ロールとを具備する印刷機により、搬送される前記一次連続シート又は積層連続シートに対して薬液を塗工する薬液塗工工程とを有し、
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度に応じて、前記印刷機における刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項2】
一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を速度検出手段により検出し、この検出された搬送速度に応じて刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を自動調整する請求項1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項3】
連続的又は段階的に積層連続シート又は一次連続シートの搬送速度を所定速度まで速める過程の加速段階で、前記前刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項4】
前記加速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を近くする請求項3記載のティシュペーパー用二次原反ロールの製造方法
【請求項5】
前記加速段階が、プライマシンの運転開始からから所定速度に達するまでである請求項3又は4記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項6】
前記一次連続シート又は積層連続シートの搬送速度を所定速度から遅くする減速段階で、刷版ロールと圧胴ロールとの距離を調整する請求項1又は2記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項7】
前記減速段階では、刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を長くする請求項6記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項8】
前記減速段階が、一次連続シート又は二次連続シートの搬送速度が所定速度となっている状態から、プライマシンの可動を停止させるべく、一次連続シート又は積層連続シートの搬送を停止させるまでである請求項6又は7記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項9】
前記薬液塗工工程が、前記積層工程の後であって、且つ、前記スリット工程の前に行われる、請求項1〜8の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項10】
前記印刷機がフレキソ印刷機であり、薬液塗工がフレキソ印刷方式によるものである、請求項1〜9の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項11】
前記所定速度が400m/分又はそれ以上である請求項1〜10の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項12】
前記薬液がグリセリン及び水を含む水系薬液である請求項1〜11の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項13】
前記薬液の粘度が50〜300mPa・sであり、薬液塗工時の薬液温度を20〜60℃とする請求項1〜12の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項14】
前記一次連続シートの坪量が1枚当たり10.5〜26g/m2であり、紙厚が2枚で120〜300μmである請求項1〜13の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項15】
積層連続シートの積層数が2枚であり、坪量が2枚で20〜50g/m2であり、紙厚が2枚で80〜250μmである請求項1〜14の何れか1記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項16】
刷版ロールと圧胴ロールとの間の距離を0.00〜0.25mmの間で調整する請求項1〜15の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項17】
薬液塗工量を両面計で1.0〜5.0g/m2とする請求項1〜16の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項18】
前記薬液塗工時の薬液温度を30〜55℃とし、その際の薬液の粘度が70〜200mPa・sである請求項1〜17の何れか1項に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−71073(P2012−71073A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220290(P2010−220290)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]