説明

テスト信号発生装置

【課題】 本発明は、テスト信号発生装置に関し、例えば放送システムの試験に適用して、ブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることができるようにする。
【解決手段】 本発明は、カラーバースト信号SBBに位相ノイズを重畳してブラックバースト信号S5を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テスト信号発生装置に関し、例えば放送システムの試験に供することができる。本発明は、カラーバースト信号に位相ノイズを重畳してブラックバースト信号を生成することにより、ブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、放送システム等においては、テスト信号発生装置を用いて各種テスト信号を発生して放送機器を試験するようになされており、このようなテスト信号発生装置に関して、例えば特開平7−26463号公報等には、カラーテレビジョン用のテスト信号発生装置が提案されている。
【0003】
これに対して放送システムでは、いわゆるブラックバースト信号を用いて局内同期を確保するようになされている。因みに、放送システムにおいては、近年、NYSC方式のみによりシステムから、EDTV方式、HDTV方式等が混在する複雑なシステムとなっており、このような複雑なシステムにおいても、その多くは、ブラックバースト信号を用いて局内同期を確立している。
【0004】
ここでブラックバースト信号S2は、図4に示すように、映像期間を黒レベルの信号レベルに設定した映像信号であり、水平同期信号HD、垂直同期信号、カラーバースト信号SBを合成して作成される。
【0005】
図5は、このブラックバースト信号S2に係る信号発生装置を示すブロック図である。この信号発生装置1において、水晶発振器2は、所定周波数の基準信号S1を生成して出力し、PLL回路3は、位相比較回路であり、この基準信号S1と基準信号発生器4から出力されるカラーバースト信号SBとを位相比較して位相比較結果を出力する。電圧制御型発振回路(VCO)5は、この位相比較結果により周波数を可変して正弦波信号を出力し、基準信号発生器4は、この電圧制御型発振回路5の出力信号を水平同期信号HDを基準にした所定期間の間、選択的に出力し、これによりカラーバースト信号SBを出力する。これによりこの信号発生装置1では、水晶発振器2から出力される基準信号S1を基準にしてカラーバースト信号SBを生成する。しかしてこのようにして生成されるカラーバースト信号SBは、図6に示すように、サイドバンドの小さな正弦波信号である。
【0006】
続くテレビ信号発生器6は、このカラーバースト信号SBと同様にして作成された水平同期信号HD、垂直同期信号とを合成してブラックバースト信号S2を生成する。
【0007】
ところでこのようにして生成されるブラックバースト信号S2は、本来、ノイズの無いいわゆる綺麗な信号である。しかしながらこのようなブラックバースト信号S2を放送システムで使用する場合、ノイズが混入する場合があり、一旦混入したノイズにあっては、除去することが難しい。
【0008】
これによりこのような放送システムに適用される各種の映像機器は、ブラックバースト信号S2に混入したノイズによっては誤動作しないことが求められる。このためこのような映像機器の開発においては、動作の検証のために、ブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることが望まれる。
【特許文献1】特開平7−26463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることができるテスト信号発生装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、カラーバースト信号を生成する信号生成回路と、前記カラーバースト信号に位相ノイズを重畳する位相ノイズ重畳回路と、前記カラーバースト信号を用いてブラックバースト信号を生成して出力する信号発生回路とを備えるようにする。
【0011】
また請求項2の発明においては、請求項1の構成において、前記信号生成回路は、基準信号を発生する水晶発振回路と、前記基準信号と前記カラーバースト信号とを位相比較して位相比較結果を出力する位相比較回路と、前記位相比較結果に基づいて正弦波信号を発生する電圧制御型発振回路と、水平同期信号を基準にしたタイミングで前記正弦波信号を選択的に出力する基準信号発生回路とを有し、前記位相ノイズ重畳回路は、ノイズ信号の加算により前記位相比較結果の信号レベルを変化させて、前記カラーバースト信号に位相ノイズを重畳する。
【0012】
請求項1の構成により、カラーバースト信号を生成する信号生成回路と、前記カラーバースト信号に位相ノイズを重畳する位相ノイズ重畳回路と、前記カラーバースト信号を用いてブラックバースト信号を生成して出力する信号発生回路とを備えるようにすれば、ノイズの混入したブラックバースト信号を生成することができ、これによりブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることができる。
【0013】
また請求項2の構成により、請求項1の構成において、前記信号生成回路は、基準信号を発生する水晶発振回路と、前記基準信号と前記カラーバースト信号とを位相比較して位相比較結果を出力する位相比較回路と、前記位相比較結果に基づいて正弦波信号を発生する電圧制御型発振回路と、水平同期信号を基準にしたタイミングで前記正弦波信号を選択的に出力する基準信号発生回路とを有し、前記位相ノイズ重畳回路は、ノイズ信号の加算により前記位相比較結果の信号レベルを変化させて、前記カラーバースト信号に位相ノイズを重畳すれば、高い精度によりカラーバースト信号を生成して位相ノイズを重畳し、位相比較結果の信号レベルの変化の大きさを可変して位相ノイズの大きさ及び周波数を変化させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0016】
(1)実施例の構成
図1は、本発明の実施例に係るテスト信号発生装置を示すブロック図である。このテスト信号発生装置11において、図4について上述した信号発生装置1と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。これによりこのテスト信号発生装置11は、水晶発振器2、PLL回路3、基準信号発生器4、電圧制御型発振回路5によりカラーバースト信号SBBを生成し、テレビ信号発生器6によりこのカラーバースト信号SBBを水平同期信号HD、垂直同期信号と合成してブラックバースト信号S5を生成する。
【0017】
テスト信号発生装置11は、このカラーバースト信号SBBの生成に供するフィールドバックループにおいて、PLL回路3から出力される位相誤差信号S6を位相ノイズ重畳回路12により変動させることにより、カラーバースト信号SBBに位相ノイズを重畳する。すなわちテスト信号発生装置11において、信号発生器15は、図示しない操作子の操作によりオペレータが位相ノイズの重畳を指示すると、中央処理ユニット13の制御によりノイズ信号S7を生成して出力し、加算回路14は、この加算信号S7をPLL回路3から出力される位相比較結果に加算する。
【0018】
この実施例において、このノイズ信号S7は、例えば水平走査周期毎に、0〔V〕を中心にして信号レベルがランダムに切り換わるように生成され、これによりカラーバースト信号SBBは、図2に示すように、メインキャリアに対して水平走査周波数によるサイドバンドが形成された周波数特性により形成される。またこれにより図3に示すように、ブラックバースト信号S5は、このノイズ信号S7により位相ノイズが重畳されて形成される。
【0019】
中央処理ユニット13は、所定の処理手順の実行により、位相ノイズの重畳を指示する操作子が操作されると、ノイズ信号S7の信号レベルの設定を指示する制御信号を水平走査周期毎に出力する。また基準信号発生器4から出力されるカラーバースト信号SBBの監視により、位相ノイズの大きさを検出して図示しない表示手段に表示する。またこれらの指示によりカラーバースト信号SBBに重畳される位相ノイズの大きさがユーザーにより指示された大きさになるように、信号発生器15により生成されるノイズ信号S7の信号レベルを制御する。
【0020】
(2)実施例の動作
以上の構成において、このテスト信号発生装置11では、水晶発振器2で生成される基準信号S1と基準信号発生器4で生成されるカラーバースト信号SBBとがPLL回路3により位相比較され、この位相比較による位相比較結果により電圧制御型発振回路5の動作が制御され、これにより基準信号S1を基準にしてカラーバースト信号SBBの周波数による正弦波信号が生成される。このテスト信号発生装置11では、この正弦波信号が水平同期信号HDを基準にした所定期間の間、基準信号発生器4を介して出力され、これによりカラーバースト信号SBBが生成される。またこのカラーバースト信号SBBが、テレビ信号発生器6により水平同期信号HD、垂直同期信号と合成されてブラックバースト信号S5が生成される。
【0021】
テスト信号発生装置11では、このようにしてカラーバースト信号SBB、ブラックバースト信号S5を生成するようにして、ユーザーによる指示に応じて信号発生器15でノイズ信号S7が生成され、このノイズ信号S7が加算回路14によるPLL回路3の位相比較結果に重畳される。これによりカラーバースト信号SBBは、このノイズ信号S7の信号レベルに応じて、本来の周波数から偏位して生成され、位相ノイズが重畳される。
【0022】
またユーザーによる指示により、このノイズ信号S7の信号レベルが可変され、これによりカラーバースト信号SBBにおける周波数偏位の大きさが制御され、位相ノイズの大きさ及び周波数がユーザーにより指示された大きさ及び値に設定される。
【0023】
これによりこのテスト信号発生装置11では、テレビ信号発生器6から出力されるブラックバースト信号S5を試験対象の映像機器に入力して、また放送システムの局内同期信号として出力して、映像機器、放送システムのノイズ耐性を種々に検証することができる。
【0024】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、カラーバースト信号に位相ノイズを重畳してブラックバースト信号を生成することにより、ブラックバースト信号に混入するノイズを定量的にシミュレートすることができる。これにより放送システム全体の安定度を簡易かつ確実に検証することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、テスト信号発生装置に関し、例えば放送システムの試験に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係るテスト信号発生装置を示すブロック図である。
【図2】図1のテスト信号発生装置によるカラーバースト信号の周波数特性を示す特性曲線図である。
【図3】図1のテスト信号発生装置によるブラックバースト信号を示す信号波形図である。
【図4】従来の信号発生装置によるブラックバースト信号を示す信号波形図である。
【図5】従来の信号発生装置を示すブロック図である。
【図6】従来のブラックバースト信号におけるカラーバースト信号を示す特性曲線図である。
【符号の説明】
【0027】
1……信号発生装置、2……水晶発振器、3……PLL回路、4……基準信号発生器、5……電圧制御型発振回路、6……テレビ信号発生器、12……位相ノイズ重畳回路、13……中央処理ユニット、114……加算回路、15……信号発生器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーバースト信号を生成する信号生成回路と、
前記カラーバースト信号に位相ノイズを重畳する位相ノイズ重畳回路と、
前記カラーバースト信号を用いてブラックバースト信号を生成して出力する信号発生回路と
を備えることを特徴とするテスト信号発生装置。
【請求項2】
前記信号生成回路は、
基準信号を発生する水晶発振回路と、
前記基準信号と前記カラーバースト信号とを位相比較して位相比較結果を出力する位相比較回路と、
前記位相比較結果に基づいて正弦波信号を発生する電圧制御型発振回路と、
水平同期信号を基準にして前記正弦波信号を選択的に出力する基準信号発生回路とを有し、
前記位相ノイズ重畳回路は、
ノイズ信号の加算により前記位相比較結果の信号レベルを変化させて、前記カラーバースト信号に位相ノイズを重畳する
ことを特徴とする請求項1に記載のテスト信号発生装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate