説明

テッダーにおける集草ロス減少装置

【課題】ジャイロ型のテッダーを走行させて、集草列に集草する作業を行う際に、圃場面の凹凸により集草枠がフレームに対し昇降したときに、集草枠とタインの回動軌跡との間の距離が一定に保持され、かつ、集草枠と地表面との間に間隔が生じないようにする。
【解決手段】テッダー1に設けた取付アーム19に、連結杆21の前端側を連結軸Pにより連結し、その連結杆21の後端側の端部を、集草枠cの枠柱20に、連結軸S1を介し連結し、連結杆21の上方に、この連結杆21より短く形成した制御リンク3を、略平行する姿勢として配位し、該制御リンク3の後端側を、前記枠柱20の上端部に設けた連結軸S3を介して、枠柱20に連結し、前端側を、前記連結軸Pより後方に偏位させて取付アーム19に設けた連結軸S2に連結し、取付アーム19には、前記連結杆21が略水平姿勢となった状態位置より以後の下降回動を阻止する規制部材K1を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロ型のテッダーにより集草作業を行う際に、フレームに縦方向の回転軸をもって旋回するよう支架せるローターに取り付けられたタインの旋回軌跡と、フレームに支架せる集草枠の前縁との間に形成される間隔空間、及び集草枠の底面と地面との間に形成される間隔空間から飛び出るようになる草のロスを減少させるための、テッダーにおける集草ロス減少装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャイロ型のテッダーは、被牽引型で2軸式のジャイロ型テッダーにより具体的にいえば、図1の平面図及び図2の側面図に示しているように、伝導機構を収蔵する機筐状に形成した主体部10に、前方に延出するビーム11の後端側を連結し、そのビーム11の先端側に、マウント12を設け、そのマウント12を3点リンクヒッチhを介しトラクタTの車体の後面側に設けた連結器に連結することで、主体部10をトラクタTに連結装着するようにし、この主体部10に左右に張り出す中空のフレーム13・13をそれぞれ設け、これら左右に張り出すフレーム13・13の各遊端側の下面側に、縦方向の回転軸14により回転するローターaをそれぞれ組付け、それらローターaの周縁に、放射方向に突出する複数本のタイン支持アーム15を設け、それらタイン支持アーム15の突出端部にそれぞれタインbを取り付け、ローターaの回転軸14は、左右の張出フレーム13内に収蔵せる伝導軸を介し主体部10内に収蔵せる伝導機構に伝導し、主体部10に軸支せる入力軸16を、ユニバーサルジョイント軸17に介し、トラクタTのPTO軸に伝導して、そのPTO軸から回転動力を入力することで、その回転動力により駆動回転するようにし、これにより、ローターaが回転して周縁に設けた支持アーム15の先端に取り付けたタインbが図1において鎖線に示す回動軌跡wをもって回動するようにする。
【0003】
そして、各ローターaの下面側には、自由車輪に構成した車輪18をそれぞれ支架し、また、主体部10から左右に張り出すフレーム13・13の張り出し端側に寄る部位には、後方に向けて突出する取付アーム19をそれぞれ設け、これら取付アーム19の突出端部に、集草枠cの枠柱20の上端側に、前方に向けて突出するよう設けた連結杆21の突出端部を、連結軸Pを介し上下に回動自在に連結して、集草枠cをフレーム13・13に取り付けることでテッダー1を構成するようにしてあり、これにより、ローターaを駆動してタインbを旋回させながらトラクタTによる牽引走行によって、牧草が刈り倒されて地干しされている草を、旋回するローターaに設けたタインbにより、一対に対向する集草枠cの間隔内に掻き送り、その一対の集草枠cにより規制される巾のウインドロウ(集草列)に形成していくようにしている。
【0004】
このジャイロ型のテッダー1は、それのフレーム13から後方に突出させた取付アーム19に、集草枠cの枠柱20に設けた連結杆21を連結して、集草枠cをフレーム13に対し取り付けるときに、連結杆21は集草枠cの枠柱20に対し固定した状態に設けておいて、この連結杆21を取付アーム19に対し連結軸P中心に上下に自在に回動するように連結し、かつ、その連結杆21の連結軸P中心とする昇降回動により昇降する集草枠cの昇降作動を、図3に示しているように、平地において、テッダー1のフレーム13の下面に設けた車輪18の底面と、集草枠cの底面とが同じ高さ位置を占める状態位置を規準として、その状態位置よりも下降側の回動を阻止するように連結杆21の動きを規制しておき、さらに、この状態において、集草枠cの枠柱20の前面側とタインbの回動軌跡wの後縁側との間に、5〜10ミリ程度の間隔距離Dが形成されるようにしている。
【0005】
このジャイロ型のテッダーには、牧草が刈り倒されている圃場が凹凸の無い平地の場合には、ウインドロウへの集草に殆どロスの無い状態で行えるが、圃場面に凹凸のある圃場の場合には、集草のロスが多く生じる問題がある。
【0006】
圃場面が凹凸のある圃場で、図4にあるように、隆起している凸の地面の、地表面GLより隆起した高さが約100ミリとすると、テッダー1の車輪18が地表面GLのレベル位置にあって、集草枠cが凸のところに位置したときは、集草枠cは地面の隆起部の高さである約100ミリ押し上げられて、テッダーのフレーム13に対し斜め後方上方に傾斜回動し、集草枠cの前面とフレーム13に軸支されて旋回するタインbの回動軌跡wとの間に形成されている間隔が、地面の隆起高さに略対応する約80ミリ程度に広がり、旋回するタインbにより後方に掻き送る草が、この間隔から飛び出すことで、形成していく集草列の側方に放出されて集草のロスとなる。
【0007】
また、図5に示しているように、テッダー1の車輪18が隆起している凸の地面の上に乗り、集草枠cが平らな地表面GLの位置を占める状態のときは、下降作動を、底面がテッダー1の車輪18の底面の高さ位置と揃う位置までに規制してある集草枠cが、車輪18が乗り上がった凸の地面の隆起高さである略100ミリだけ地表面GLから浮き上がることで、この集草枠cの底面と地面との間に、略100ミリの間隔が形成され、旋回するタインbにより後方に掻き送る草が、この間隔から側方に飛び出し集草のロスとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明において解決しようとする課題は、ジャイロ型のテッダーを走行させて、圃場面に凹凸のある圃場において、その圃場に刈り倒されて地干ししてある草を、集草列に集草する作業を行う際に、集草枠が地面の隆起部に乗り上がってフレームに対し上昇回動することで、タインの回動軌跡の後縁部位と集草枠の前縁部位との間の間隔が拡張してきて、この拡張した間隔から草が飛び出すことと、集草枠が地面の凹窪部に位置して、地面から浮き上がることで、集草枠の底面と地表面との間に生じてくる間隔から草が、飛び出すことで、集草作業を効率の悪いものとしているのを、圃場面の凹凸により集草枠がフレームに対し昇降したときに、集草枠とタインの回動軌跡との間の距離が一定に保持され、かつ、集草枠と地表面との間に間隔が生じないようにして、効率の良い集草作業が行われるようにする手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するための手段として、テッダー1のフレーム13から後方に突出させて設けた取付アーム19に、長手方向を前後方向とした連結杆21の前端側を連結軸Pにより連結し、その連結杆21の前記連結軸P中心に上下に回動する後端側の端部を、集草枠cの枠柱20の上端部に、連結軸S1を介し上下に回動自在に連結し、この連結杆21の上方に、この連結杆21より短く形成した制御リンク3を、前記連結杆21と略平行する姿勢として配位し、該制御リンク3の後端側を、前記連結軸S1の上方に配位して前記枠柱20の上端部に設けた連結軸S3を介して、枠柱20に、上下の回動自在に連結し、該制御リンク3の前端側を、前記連結軸Pより後方に偏位させて取付アーム19に設けた連結軸S2に連結し、前記取付アーム19には、前記連結杆21が略水平乃至少し下降傾斜する姿勢となった状態位置より以後の連結軸P中心とする下降回動を阻止する規制部材K1を設けたことを特徴とするテッダーにおける集草ロス減少装置を提起するものである。
そして、これに併せて、上述のテッダーにおける集草ロス減少装置において、取付アーム19に連結杆21を上下に回動自在に軸支する連結軸Pを、取付アーム19の左右の一方の側壁の外面側に配設し、制御リンク3を上下に回動自在に軸支する連結軸S2を、取付アーム19の左右の他方の側壁の外面側に配設して、連結杆21と制御リンク3とが、平面視において、それぞれ別個の空間を回動するようにしたことを特徴とするテッダーにおける集草ロス減少装置を提起するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明手段は、テッダーによる集草作業において、集草枠が圃場面の凹凸によりテッダーのフレームに対し昇降したときに、集草枠とテッダーのフレームに支架したタインの旋回軌跡との間に形成される間隔が略一定に保持され、また集草枠が圃場面の凹部に位置したときに、集草枠の底が圃場面に接するまで下降して、集草枠の底面と圃場面との間に間隔を形成しないようになるので、集草作業を集草のロスのない精度の高い状態で行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0012】
図6及び図7は、本発明を実施せるテッダーのトラクタから取り外した単体の状態の集草作業時の側面図、及び平面図、図8は同上テッダーの集草枠を格納した状態の側面図、図9及び図10ならびに図11は同上テッダーの要部の拡大した側面図及び平面図ならびに後面図で、これら図において、1はテッダー、aはテッダー1の主体部10から左右に張り出す左右のフレーム13の下面側に設けたローター、bはそのローターaに設けたタイン、cはテッダー1のフレーム13の後面側に設けた集草枠の取付アーム19に取り付けた集草枠を示す。
【0013】
テッダー1は、この例においては、トラクタT(図1、図2参照)等の牽引車に連結して、被牽引により走行する形態のもので、かつ、ローターaにより旋回するタインbを2連に装備せる2軸式のジャイロ型のテッダーに作られている。
【0014】
テッダー1は、それの機体の主体部10が、伝導機構を収蔵する機筐状に形成され、それの前面側には、前方に延びるビーム11の基端部が一体的に連結し、そのビーム11の前端部には、トラクタ(図示省略)の車体の後面側に設けられた連結器に対し、3点リンクヒッチを介し連結するための、マウント12が設けてある。
【0015】
機筐状に形成した主体部10の左右の側面には、それぞれ、左右方向に張り出す中空のフレーム13が連結し、それら左右のフレーム13の各張り出し端部の下面側には、縦方向の回転軸14により回転するローターaがそれぞれ軸支され、これらローターaの周面には、放射方向に突出する複数本のタイン支持アーム15が周方向に等配した位置に設けられ、それらタイン支持アーム15の突出端部に、それぞれタインbを取り付けている。
【0016】
ローターaは、それの回転軸14が、中空の左右の張出フレーム13内に収蔵せる伝導軸を介し、機筐状の主体部10内に収蔵せる伝導機構と伝導し、その伝導機構には、主体部10に前方に突出するよう設けた入力軸16が伝導していて、その入力軸16を、ユニバーサルジョイント軸17を介してトラクタのPTO軸に伝導し、トラクタ側から回転動力を伝達することで、回転軸14中心に旋回するようにしてある。
【0017】
そして、これらローターaの各下面側には、ブラケット180が前記回転軸14の軸芯線中心に自在に旋回回動するよう設けられ、これに、自由車輪に構成した車輪18が支架されている。
【0018】
また、主体部10から左右に張り出す左右のフレーム13・13の張り出し端部に寄る部位には、前記ローターaの後方に向けて突出する取付アーム19がそれぞれ設けられ、これに、集草枠cがそれぞれ取り付けてある。
【0019】
このテッダー1のフレーム13に設けた取付アーム19に対する集草枠cの取り付けは、図9・図10・図11にあるように集草枠cの枠柱20の上端部に前方に突出するように設ける連結杆21の突出端側を、テッダー1のフレーム13に固定支架した取付アーム19に連結軸Pにより上下に自在に回動するよう連結することで行い、この連結杆21の連結軸P中心とする上下の回動により集草枠cが、テッダー1のフレーム13に対し上下に昇降するようにし、この連結杆21の連結軸P中心とする回動範囲を、連結杆21が略水平な姿勢となった以後の下降回動を阻止するように、取付アーム19に設けておく規制部材K1と、上方に回動させたときに、連結軸Pを越した後方回動を阻止するよう取付アーム19に設けておく規制部材K2により規制して、この連結杆21の連結軸P中心の回動により、連結杆21に取り付け支持せしめた集草枠cが、図8にあるようにテッダー1のフレーム13の上面側に格納された状態と、図6にあるようにフレーム13に設けた取付アーム19に所定の高さ位置に吊り下げられた状態とに切り換え自在になるようにすることについては、図1、図2に示している従来のテッダーの集草枠の取り付け手段と変わりがない。
【0020】
しかし、本発明手段においては、この連結杆21は、集草枠cの枠柱20に連結する側の端部も、連結軸S1による回動自在の連結としてあり、これにより、この連結杆21が連結軸P中心に上方回動した状態及び下方回動した各状態位置において、集草枠cが連結杆21に対し連結軸S1中心に自在に回動して、該集草枠cの連結杆21に対する姿勢が変更されるようにしてある。
【0021】
そして、この集草枠cの枠柱20の上端部と取付アーム19との間には、連結杆21と略平行させて該連結杆21の上方に配設した制御リンク3を渡架連結して、この制御リンク3により、連結杆21に連結する集草枠cの連結杆21に対する姿勢が制御されるようにしている。
【0022】
連結杆21に並列させて設けるこの制御リンク3は、図9にあるように、フレーム13に固定装着した取付アーム19の突出端側の上面側に、該取付アーム19を上方に延長するように取付ブラケット19aを装設して一体に固着し、この取付ブラケット19aに、該制御リンク3の前端側の端部を、連結軸S2により上下に自在に回動するよう軸着連結し、かつ、該制御リンク3の後端側を、集草枠cの枠柱20の上端に寄せた部位に、連結軸S3を介し上下に回動自在に軸着連結することで、側面視において、前述の連結杆21の上方に位置してその連結杆21と上下に略平行に並列する状態として、取付アーム19と集草枠cの枠柱20との間に渡架装設してある。
【0023】
そして、この制御リンク3は、それの長さが、前述の連結杆21の長さより短く設定してあり、また、この制御リンク3を取付アーム19に対し連結する連結軸S2の軸支位置は、連結杆21を軸支するよう取付アーム19に設ける連結軸Pの軸支位置よりも、取付アーム19の突出端側に寄せた位置に設定してある。
【0024】
この例においては、制御リンク3は、それの取付アーム19に連結する連結軸S2の中心から集草枠cの枠柱20に連結する連結軸S3の中心までの長さが、連結杆21の連結軸Pの中心から連結軸S1までの長さに対し、略2割弱短く設定してあり、また、制御リンク3を取付アーム19に対し連結するために、取付アーム19を延長するように設けた取付ブラケット19aの突出端部に設ける連結軸S2は、連結杆21より短くした寸法分だけ連結杆21を取付アーム19に連結する連結軸Pの軸支位置よりも、取付アーム19の突出方向に寄せた位置に設定している。
【0025】
また、この制御リンク3は、取付アーム19に対し連結軸S2を介し上下に昇降回動自在に軸支するに際し、図9・図10・図11に示しているように、取付アーム19の上面側に、後方上方に向け角状に突出するよう設けた取付ブラケット19aの先端側で、その取付ブラケット19aの左右の側壁の一方の側壁の外面に突出した位置に連結軸S2を配設して、その連結軸S2を中心とする該制御リンク3の回動が、取付ブラケット19aの左右の一方の側壁の外側位置において行われるようにしてある。そして、前述の連結杆21を取付アーム19に連結する連結軸Pは、図10にあるように、平面視において、この取付アーム19の、前記取付ブラケット19aに設けた連結杆21が位置する取付ブラケット19aの側壁外面に対し、反対側に位置する取付ブラケット19aの左右の他方の側壁の外面側に配設して、この連結杆21と制御リンク3とが、図11にあるように、平面視において、それぞれ左右に離れて位置し、異なる空間帯を互いに干渉することなく回動するようにしてある。
【0026】
このように設ける制御リンク3は、この実施例においては、取付ブラケット19aに設けた連結軸S2中心とする回動及び集草枠cの枠柱20の上端側に設けた連結軸S3中心とする回動の何れにも規制はなく、何れの回動も自由に行われるが、その回動範囲は、該制御リンク3が、連結杆21とでリンク機構を構成することから、連結杆21とともに回動する範囲に規制される。
【0027】
制御リンク3の連結軸S2中心とする下方回動は、図12にあるように、連結杆21が規制部材K1との衝合で下降回動が阻止されて、リンク機構が固定されることで、その状態位置において、阻止される。
【0028】
上方回動は、前述の状態位置から、リンク機構に支持されている集草枠cの上昇により、図6にあるように、連結杆21と共に回動し、さらに、集草枠cが上昇して、それにより、連結杆21が図8にあるように連結軸Pを越して後方に回動し規制部材K2に衝合してその後方回動が阻止されてリンク機構が固定されることでストップすることで阻止される。これにより前述の連結杆21が規制部材K1に規制された状態位置から連結杆21が規制部材K2に規制されたこの状態位置の間を回動するようになる。
【0029】
集草枠cは、上述の連結杆21よりなる連結リンクと、制御リンク3と、これらの2本のリンクの各前端側を軸支するよう取付アーム19に設けた連結軸Pと、取付ブラケット19aに設けた連結軸S2と、集草枠cの枠柱20の上端部に嵌装せる鞘筒状の取付筒200と、その取付筒200に、前2本のリンクの各後端側を軸支するように設けた連結軸S1及び連結軸S3とで構成されるリンク機構Lを介して支架されることになる。
【0030】
集草枠cの枠柱20は、上述のリンク機構Lを構成する取付筒200内に上端側を嵌挿し、その上端部をネジ201による締結により連結するが、その連結は、取付筒200に対し枠柱20が軸芯線中心に自由に回転する状態としておいて、取付筒200の下端側に寄る部位に棚板状に設けておく係止板202と、この係止板202上に取付筒200中心に回動自在に載置した摺動板203と、この摺動板203と係止板202とに抜き差し自在に嵌挿した係止ピン204とからなる係止機構Mによって、取付筒200内に嵌挿した枠柱20の周面に係合した状態となる摺動板203を回動させ、所望の回転角度位置としたところで、係止ピン204を摺動板203及び係止板202に設けた係合穴に挿通することにより回転をロックした状態とすることで取付筒200に対する枠柱20の上端部の連結が完了するようにしている。
【0031】
このように、リンク機構Lの部材を構成する取付筒200に枠柱20の上端部を嵌装して支持せしめた集草枠cは、リンク機構Lの下降回動の下限となる連結杆21が規制部材K1に衝合した状態位置においてフレーム13に対し最も下降した状態となる。
【0032】
このとき、枠柱20の下端のそり状部20aが、図12にあるように、フレーム13に軸支した車輪18の底面よりも下降した位置を占めるように上下の高さ位置を設定してある。この図12に示している状態は、車輪18が圃場の平地部に位置し、集草枠cが圃場面の低地部に位置して、そこに落ち込み、そり状部20aが低地部の底に接地した状態である。
【0033】
圃場面に生成される凹凸は、通常の圃場では、最も低くなっているところで、地表面GLから約10センチ程度沈降している沈降深さであることから、この実施例においては、集草枠cの下降作動の限度を、車輪18の底面より約10センチ程度下降した位置に設定している。即ち、前述の図12に示しているように、連結杆21が規制部材K1に衝合して下降回動が阻止されたときに、集草枠cの枠柱20の下端のそり状部20aが車輪18の底面よりも約10センチ程度下降した状態位置に下降してくるようにしてある。
【0034】
図6は、テッダー1の車輪18と集草枠cの枠柱20の下端のそり状部20aが、ともに、圃場面の平地部に位置した状態であり、このときは、地表面GLに接するそり状部20aにより、集草枠cが押し上げられることにより、リンク機構Lは上向きに回動し、連結杆21は上昇回動して規制部材K1から離れ、上下に自由に回動する状態にあり、リンク機構Lに支架せる集草枠cは、それの重量が接地するそり状部20aにより地表面GLに支承された状態にある。
【0035】
図13は、テッダー1の車輪18が圃場面の平地部に位置し、集草枠cが圃場面の隆起部に位置した状態である。隆起部の隆起高さは、通常の圃場では地表面GLから約10センチ程度が最も隆起した高さであることから、この最も隆起した約10センチ程度の隆起部に集草枠cが乗り上がった状態を想定した図であって、集草枠cの枠柱20のそり状部20aは、車輪18の底面より約10センチ上昇した位置にある。そして、連結杆21は、規制部材K2からさらに上方に離れた位置にあり、下方回動が自由になっている。
【0036】
このことから、集草枠cは、前述の図6に示す車輪18と集草枠cとが共に平地部に位置する状態位置を規準として、その位置から10センチ下降した位置と10センチ上昇した位置の間を、接地した状態で昇降することになる。
【0037】
従って、集草枠cは、通常の圃場における通常のテッダー作業において、圃場に凹凸があっても底面が地表面に当接した状態に保持され、集草枠cの底面と地表面との間に形成される間隔から、タインbにより掻き送られる草が飛び出して、集草列から離れたとことに放出されることによる集草ロスを抑止するようになる。
【0038】
図示する例についていえば、図14の(イ)に示しているように、リンク機構Lが、連結杆21と規制部材K1との衝合により下降回動が阻止されて固定状態となり、これに支持された集草枠cが下降作動の下限に位置して、その位置に固定された状態となったときに、この集草枠cの枠柱20の前縁で、タインbの先端部の回動軌跡wの後縁に臨む部位Aと、前記タインbの先端部の回動軌跡wとの間に、5〜10ミリ程度の間隔Dが形成されるように、リンク機構Lの連結杆21、制御リンク3の長さ及び連結軸の位置を設定する。
【0039】
このリンク機構Lを介して支持された集草枠cは、図14の(イ)・(ロ)・(ハ)・(ニ)・(ホ)及び図15の作用の説明図にあるように作動する。
【0040】
前述の図14の(イ)にあるように下降作動の下限にある集草枠cが上昇していくと、連結杆21の連結軸P中心の上向き回動により、その連結杆21の後端側に連結軸S1を介して連結する集草枠cの枠柱20が、タインbの回動軌跡wから後方に離れていくようになるが、このとき、制御リンク3が枠柱20を連結杆21の後端側の連結軸S1中心に、図14において時計回りに回動させるようになって、連結杆21に対する枠柱20の取付角度を鋭角に変更させ、枠柱20のタインbの回動軌跡wに臨む部位Aを、タインbの回動軌跡wに寄せていくようになることで、集草枠cは、図15の作用の説明図に描かれた作動軌跡にあるように上昇作動し、タインbの先端部の回動軌跡wと、枠柱20の前面との間に形成される間隔Dを、5〜10ミリの範囲内に維持するようになる。
【0041】
これにより、集草枠cは、図14の(イ)・(ロ)・(ハ)・(ニ)・(ホ)の説明図にあるように、圃場面の低地部に位置してフレーム13に対し下降した状態位置から、平地部に位置して標準の高さ位置に上昇した状態、及び隆起地に乗り上がってさらに上昇した状態に至るまで、タインbの回動軌跡wと枠柱20の前縁との間に、設定した間隔Dを保持するようになって、この間隔が拡がることによる集草ロスを抑止するようになる。
【0042】
また、このリンク機構Lは、集草枠cに、集草作業時における集草ロスを防止する作動を与えるだけでなく、集草枠cをテッダー1のフレーム13の上面に格納するようにする際に、上位の制御リンク3が、支点軸である連結軸S2の上方を越して、側面視において連結杆21と交叉した位置まで回動していくことで、倒立した姿勢となった集草枠cを、後方に引き寄せるように作用し、集草枠cをフレーム13の上面に格納できるようにする。
【実施例2】
【0043】
図17乃至図20は、別の実施例を示している。この例は、取付アーム19に連結軸P中心に昇降自在に軸支している連結杆21の下降回動を、所定の姿勢となった以後において規制するように規制部材K1を設ける際に、前述の実施例においては、連結杆21が略水平な姿勢となった状態位置において、取付アーム19に設けた規制部材K1に当接すりょうにしているのに対し、この例では、連結杆21が後方下方に向け少し下降傾斜した姿勢となった状態位置において規制部材K1に衝合して下降回動が規制されるように、取付アーム19に設ける規制部材K1の取付位置を少し下げている点が前述の実施例のものと変わるだけで、その余の点については、前述の実施例のものと変わりがなく、同じ構成部材を用い同様の構成としてある。その構成部材については同じものに同一の符号を付して示し詳しい説明は省略する。
【0044】
この例は、取付アーム19に連結杆21及び制御リンク3等よりなるリンク機構Lを介し集草枠cを取り付け支架せしめるときに、テッダー1の車輪18と集草枠cとが共に平地部に位置している状態姿勢のときを規準とし、この状態時に集草枠cの枠柱20の前縁とタインbの先端部の回動軌跡wの後縁との間に、5〜10ミリ程度の所定の間隔Dが形成されるように組み付け支架するようにしている。これにより集草枠cは最も下降した状態時には、図20にあるように後端側の底面が浮き上がるようになる。
【0045】
前述の実施例のものは、連結杆21が下降回動の下限まで降下した状態位置を基準として、このときに集草枠cをそれの底面が略水平になる姿勢として、取り付け支架するようにしてあり、このため、集草枠cの底面は、平地部において、後端側が少し浮き勝手になる。
【0046】
この実施例のものは、集草枠cが、集草作業中においては、図19の(イ)・(ロ)・(ハ)に示しているように昇降する。このとき、集草枠cの枠柱20の前縁と、タインbの先端部の回動軌跡wの後縁部との間に形成される間隔Dは、図20にあるように、略一定の間隔Dに保持される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従前の被牽引型で2軸式のジャイロ型テッダーのトラクタに連結した状態の平面図である。
【図2】同上の同上状態の側面図である。
【図3】同上のテッダーの集草作業時における集草枠のフレームに対する支架位置の変動状態を表す説明図で、テッダーの車輪及び集草枠が共に圃場の平地部に位置している状態の側面視の説明図である。
【図4】同上テッダーの同上作業時において、テッダーの車輪が平地部に位置し、集草枠が隆起部に位置して、集草枠とタインの回動軌跡との間に集草ロスを生成せしめる広い間隔が生じた状態を示す説明図である。
【図5】同上テッダーの同上作業時において、テッダーの車輪が隆起部に位置して、集草枠の底面と圃場面との間に集草ロスを生成する間隔を形成した状態の説明図である。
【図6】本発明を実施せるテッダーの、牽引連結するトラクタを省略して示す集草作業時における側面図である。
【図7】同上テッダーの、同上作業時の平面図である。
【図8】同上テッダーの集草枠をフレームの上面側に折り畳み格納した状態時の側面図である。
【図9】同上テッダーの要部の拡大した側面図である。
【図10】同上の要部の拡大した平面図である。
【図11】同上の要部の拡大した後面図である。
【図12】同上のテッダーの集草作業時において集草枠が下降作動の下限に下降した状態の説明図である。
【図13】同上のテッダーの集草作業時において、集草枠が想定される最も上昇した位置に押し上げられた状態の説明図である。
【図14】同上テッダーの集草作業時における集草枠のフレームに対する昇降作動の説明図で、(イ)は集草枠が想定される最も沈降している低地部に位置して下降作動の下限に達している状態、(ロ)は集草枠が浅い低地部に位置して少し下降している状態、(ハ)は集草枠が平地部に位置している状態、(ニ)は集草枠が少し隆起した隆起地に位置している状態、(ホ)は集草枠が想定される最も隆起している隆起地に位置している状態を表している。
【図15】同上テッダーの集草枠の集草作業時における昇降作動の作動軌跡を描いた説明図である。
【図16】同上の集草枠の昇降作動における回動しているタインの先端部と集草枠の前縁との間に形成される間隔が変わらないことを示す説明図である。
【図17】別の実施例の側面図である。
【図18】同上の平面図である。
【図19】同上の集草枠の集草作業中における昇降作動の説明図で、(イ)は集草枠が想定される最も隆起した隆起地に位置して上昇した状態、(ロ)は集草枠が平地部に位置した状態、(ハ)は集草枠が想定される最も沈降した低地部に位置した状態を示す。
【図20】同上実施例の集草枠が昇降したときの作動軌跡を描いた説明図である。
【符号の説明】
【0048】
A 回動軌跡の後縁に臨む部位
D 間隔距離
GL 地表面
K1 K2 規制部材
L リンク機構
M 係止機構
P 連結軸
T トラクタ
S1 S2 S3 連結軸
a ローター
b タイン
c 集草枠
w 回動軌跡
1 テッダー
10 主体部
11 ビーム
12 マウント
13・13 フレーム
14 回転軸
15 支持アーム
16 入力軸
17 ユニバーサルジョイント軸
18 車輪
180 ブラケット
19・19 取付アーム
19a 取付ブラケット
20 枠柱
20a そり状部
200 取付筒
201 ネジ
202 係止板
203 摺動板
204 係止ピン
21 連結杆
3 制御リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テッダー(1)のフレーム(13)から後方に突出させて設けた取付アーム(19)に、長手方向を前後方向とした連結杆(21)の前端側を連結軸(P)により連結し、その連結杆(21)の前記連結軸(P)中心に上下に回動する後端側の端部を、集草枠(c)の枠柱(20)の上端部に、連結軸(S1)を介し上下に回動自在に連結し、この連結杆(21)の上方に、この連結杆(21)より短く形成した制御リンク(3)を、前記連結杆(21)と略平行する姿勢として配位し、該制御リンク(3)の後端側を、前記連結軸(S1)の上方に配位して前記枠柱(20)の上端部に設けた連結軸(S3)を介して、枠柱(20)に、上下の回動自在に連結し、該制御リンク(3)の前端側を、前記連結軸(P)より後方に偏位させて取付アーム(19)に設けた連結軸(S2)に連結し、前記取付アーム(19)には、前記連結杆(21)が略水平乃至少し下降傾斜する姿勢となった状態位置より以後の連結軸(P)中心とする下降回動を阻止する規制部材(K1)を設けたことを特徴とするテッダーにおける集草ロス減少装置。
【請求項2】
取付アーム(19)に連結杆(21)を上下に回動自在に軸支する連結軸(P)を、取付アーム(19)の左右の一方の側壁の外面側に配設し、制御リンク(3)を上下に回動自在に軸支する連結軸(S2)を、取付アーム(19)の左右の他方の側壁の外面側に配設して、連結杆(21)と制御リンク(3)とが、平面視において、それぞれ別個の空間を回動するようにしたことを特徴とする請求項1記載のテッダーにおける集草ロス減少装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−189269(P2009−189269A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31763(P2008−31763)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000132909)株式会社タカキタ (34)
【Fターム(参考)】