説明

テトラゾイルオキシム誘導体およびその塩、ならびに植物病害防除剤

【課題】植物病害に対する防除効果に優れたテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩、ならびに植物病害防除剤の提供。
【解決手段】式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩、並びにこれらから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する植物病害防除剤。


式(1)中、Xは、ハロゲン等を表し、n1は0〜5の整数を表し、Aは置換テトラゾリル基を表し、Hetは置換ピリジル基または置換1,3−チアゾリル基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩、ならびにこれらから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する植物病害防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農園芸作物の栽培に当り、作物の病害に対して、多数の防除薬剤が提案されている。例えば、特許文献1〜6には、本発明の化合物と類似の構造を有するテトラゾイルオキシム誘導体が開示され、植物病害防除剤として使用することが提案されている。
しかし、従来の植物病害防除剤は、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性の病原菌の出現によりその使用が制限されたり、また、植物体に薬害や汚染を生じさせたり、若しくは人畜魚類等に対する毒性が強かったりすることから、必ずしも満足すべき防除薬剤とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる新規な植物病害防除剤の開発が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−131416号公報
【特許文献2】特開2004−131392号公報
【特許文献3】特開2003−137875号公報
【特許文献4】WO2008/006873
【特許文献5】WO2008/006874
【特許文献6】WO2008/006875
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、植物病害に対する防除効果に優れた、新規なテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩、ならびにこれらから選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する植物病害防除剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、多くのテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩を合成するとともにそれらの生理活性を鋭意検討した。その結果、下記式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩が、優れた植物病害に対する防除効果を示し、かつ、有用植物に対する薬害の心配がないものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1は、式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩である。
【0007】
【化1】

式(1)中、Xは、ハロゲン原子、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シアノ基、C1-8アルキルスルホニル基、ニトロ基、C1-8ハロアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。
n1はXの数を表し、0〜5のいずれかの整数である。n1が2以上のとき、X同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
Aは、式(2)または式(3)で表されるテトラゾイル基を表す。
【0008】
【化2】

式(2)中、YはC1-8アルキル基を表す。
【0009】
【化3】

式(3)中、Yは前記と同じ意味を表す。
Hetは、式(4)で表されるピリジル基、または式(5)で表されるチアゾイル基を表す。
【0010】
【化4】

式(4)中、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21を表す。R1は、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC3-8シクロアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基を表す。mは括弧内の酸素原子の数を表し、0〜2のいずれかの整数である。
n2はRの数を表し、0〜3のいずれかの整数である。n2が2以上のとき、複数のR同士は、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
Zは、式(a)若しくは式(b)で表される基を表す。
【0011】
【化5】

式(a)中、R50は、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するアラルキルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリールオキシ基を表し、R51は、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルチオ基、またはNR6061を表す。R60およびR61は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアラルキル基を表す。
【0012】
【化6】

式(b)中、R50およびR51は、前記と同じ意味を表す。R53は、水素原子、または無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を表す。
【0013】
【化7】

式(5)中、R11は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21を表す。R1およびmは、前記と同じ意味を表す。
Zは、前記と同じ意味を表す。
【0014】
本発明において、好適なテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩は、n1が0であるものおよび/またはYがメチル基であるものである。
また、本発明においては、式(a)におけるR50とR51の組合せが、水酸基とNR6061、アラルキルオキシ基とアルキル基、アリールオキシ基とアルキル基、アルコキシ基と水素原子、アラルキルオキシ基と水素原子、若しくはアリールオキシ基と水素原子の組み合わせ、または式(b)におけるR50とR51とR53の組合せが、アラルキル基とアルキルチオ基とアルキル基、若しくはアルキル基と水素原子とアルキル基の組み合わせであるものが好ましい。
【0015】
また、本発明の第2は、前記のテトラゾイルオキシム誘導体またはその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する植物病害防除剤である。
なお、本明細書において「Ca-b○○○基」は、その基を構成する炭素元素の数がa個〜b個のものであることを示している。
【発明の効果】
【0016】
本発明のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩は、優れた植物病害に対する防除効果を示し、且つ有用植物に対する薬害の心配がない。本発明の植物病害防除剤は、本発明のテトラゾイルオキシム誘導体若しくはその塩から選ばれる少なくとも1種を含有するものであるので、農作物の栽培における病害防除が有効になされる一方で、作物への薬害や環境への汚染が生じず、人畜魚類への毒性が低いものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、1)テトラゾイルオキシム誘導体およびその塩、並びに、2)植物病害防除剤に項分けして詳細に説明する。
【0018】
1)テトラゾイルオキシム誘導体およびその塩
本発明のテトラゾイルオキシム誘導体は、前記式(1)で表される化合物である。
【0019】
前記式(1)中、Xは、ハロゲン原子、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シアノ基、C1-8アルキルスルホニル基、ニトロ基、C1-8ハロアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。
【0020】
ハロゲン原子として具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
1-8アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
1-8アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
1-8アルキルスルホニル基として具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、i−プロピルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基等が挙げられる。
1-8ハロアルキル基として具体的には、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3,2,2−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基等が挙げられる。
【0021】
アリール基は、単環または多環のアリール基を意味する。なお、多環アリール基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環または芳香環のいずれであってもよい。アリール基のうち、C6-10アリール基が好ましい。無置換のアリール基として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。
【0022】
置換基を有するアリール基における「置換基」は、化学的に許容されるものであれば特に限定されない。具体的には、下記に例示する置換基を挙げることができる。
(1)フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子; (2)メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基; (3)シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基; (4)メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基; (5)ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等のアルケニル基; (6)2−シクロプロペニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロヘキセニル基、4−シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基; (7)ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基; (8)エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等のアルキニル基; (9)エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基等のアルキニルオキシ基; (10)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;
【0023】
(11)フェノキシ基、1−ナフトキシ基等のアリールオキシ基; (12)ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基; (13)ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基; (14)ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、シクロヘキシルカルボニル基、フタロイル基等のアシル基; (15)メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基; (16)カルボキシル基; (17)水酸基; (18)クロロメチル基、クロロエチル基、1,2−ジクロロ−n−プロピル基、1−フルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基等のハロアルキル基; (19)2−クロロ−n−プロポキシ基、2,3−ジクロロブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のハロアルコキシ基; (20)2−クロロ−1−プロペニル基、2−フルオロ−1−ブテニル基等のハロアルケニル基; (21)4,4−ジクロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ペンチニル基、5−ブロモ−2−ペンチニル基等のハロアルキニル基;
【0024】
(22)2−クロロ−1−プロペニルオキシ基、3−ブロモ−2−ブテニルオキシ基等のハロアルケニルオキシ基; (23)3−クロロ−プロパルギル基、3−ヨード−プロパルギル基等のハロアルキニル基; (24)3−クロロ−プロパルギルオキシ基、3−ヨード−プロパルギルオキシ基等のハロアルキニルオキシ基; (25)4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基等のハロアリール基; (26)4−フルオロフェノキシ基、4−クロロ−1−ナフトキシ基等のハロアリールオキシ基; (27)クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、4−クロロベンゾイル基等のハロゲン置換アシル基; (28)メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基; (29)メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、1−エトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基; (30)シアノ基;
【0025】
(31)イソシアノ基; (32)ニトロ基; (33)イソシアナト基; (34)シアナト基; (35)アミノ基(NH2基); (36)メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基; (37)アニリノ基、ナフチルアミノ基、アントラニルアミノ基等のアリールアミノ基; (38)ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基等のアラルキルアミノ基; (39)メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、i−プロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基; (40)フェニルスルホニルアミノ基等のアリールスルホニルアミノ基;
【0026】
(41)ピペラジニルスルホニルアミノ基等のヘテロアリールスルホニルアミノ基; (42)ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i−プロピルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基; (43)メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基; (44)フルオロメチルスルホニルアミノ基、クロロメチルスルホニルアミノ基、ブロモメチルスルホニルアミノ基、ジフルオロメチルスルホニルアミノ基、ジクロロメチルスルホニルアミノ基、1,1−ジフルオロエチルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニルアミノ基、ペンタフルオロエチルスルホニルアミノ基等のハロアルキルスルホニルアミノ基; (45)ビス(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(エチルスルホニル)アミノ基、(エチルスルホニル)(メチルスルホニル)アミノ基、ビス(n−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(i−プロピルスルホニル)アミノ基、ビス(n−ブチルスルホニル)アミノ基、ビス(t−ブチルスルホニル)アミノ基等のビス(アルキルスルホニル)アミノ基;
【0027】
(46)ビス(フルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(クロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ブロモメチルスルホニル)アミノ基、ビス(ジクロロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(1,1−ジフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ基、ビス(2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル)アミノ基、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミノ基等のビス(ハロアルキルスルホニル)アミノ基; (47)ヒドラジノ基、N’−フェニルヒドラジノ基、N’−メトキシカルボニルヒドラジノ基、N’−アセチルヒドラジノ基、N’−メチルヒドラジノ基等の無置換の若しくは置換基を有するヒドラジノ基; (48)アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N−フェニル−N−メチルアミノカルボニル基等の無置換の若しくは置換基を有するアミノカルボニル基; (49)ヒドラジノカルボニル基、N’−メチルヒドラジノカルボニル基、N’−フェニルヒドラジノカルボニル基等の無置換の若しくは置換基を有するヒドラジノカルボニル基; (50)N−メチルイミノメチル基、1−N−フェニルイミノエチル基、N−ヒドロキシイミノメチル基、N−メトキシイミノメチル基等の無置換の若しくは置換基を有するイミノアルキル基;
【0028】
(51)チオール基; (52)イソチオシアナト基; (53)チオシアナト基; (54)メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のアルキルチオ基; (55)ビニルチオ基、アリルチオ基等のアルケニルチオ基; (56)エチニルチオ基、プロパルギルチオ基等のアルキニルチオ基; (57)フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基; (58)2−ピペリジルチオ基、3−ピリダジルチオ基等のヘテロアリールチオ基; (59)ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基; (60)2−ピリジルメチルチオ基、2−フリルメチルチオ基等のヘテロアリールアルキルチオ基; (61)メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、n−プロピルチオカルボニル基、i−プロピルチオカルボニル基、n−ブチルチオカルボニル基、i−ブチルチオカルボニル基、s−ブチルチオカルボニル基、t−ブチルチオカルボニル基等のアルキルチオカルボニル基;
【0029】
(62)メチルチオメチル基、1−メチルチオエチル基等のアルキルチオアルキル基; (63)フェニルチオメチル基、1−フェニルチオエチル基等のアリールチオアルキル基; (64)メチルチオメトキシ基、1−メチルチオエトキシ基等のアルキルチオアルコキシ基; (65)フェニルチオメトキシ基、1−フェニルチオエトキシ基等のアリールチオアルコキシ基; (66)メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t−ブチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基; (67)アリルスルフィニル基等のアルケニルスルフィニル基; (68)プロパルギルスルフィニル基等のアルキニルスルフィニル基; (69)フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基; (70)2−ピリジルスルフィニル基、3−ピリジルスルフィニル基等のヘテロアリールスルフィニル基; (71)ベンジルスルフィニル基、フェネチルスルフィニル基等のアラルキルスルフィニル基; (72)2−ピリジルメチルスルフィニル基、3−ピリジルメチルスルフィニル基等のヘテロアリールアルキルスルフィニル基;
【0030】
(73)メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基; (74)アリルスルホニル基等のアルケニルスルホニル基; (75)プロパルギルスルホニル基等のアルキニルスルホニル基; (76)フェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基; (77)2−ピリジルスルホニル基、3−ピリジルスルホニル基等のヘテロアリールスルホニル基; (78)ベンジルスルホニル基、フェネチルスルホニル基等のアラルキルスルホニル基; (79)2−ピリジルメチルスルホニル基、3−ピリジルメチルスルホニル基等のヘテロアリールアルキルスルホニル基; (80)フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダソール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基等の不飽和複素5員環基;
【0031】
(81)ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、5−クロロ−3−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリミジン−5−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基等の不飽和複素6員環基; (82)テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピロリジン−2−イル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、N−メチルピペラジノ基、オキサゾリン−2−イル基等の飽和若しくは部分不飽和複素環基; (83)2−ピリジルオキシ基、3−イソオキサゾリルオキシ基等の複素環オキシ基; (84)2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル等のヘテロアリールアルキル基; (85)2−ピリジルメトキシ基、3−ピリジルメトキシ等のヘテロアリールアルコキシ基。
これら(1)〜(85)に例示された置換基は、その中にさらに(1)〜(85)に例示された置換基を化学的に許容される範囲で有することができる。
【0032】
置換基を有するアリール基として具体的には、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基等を挙げることができる。
これらの中でも、Xはハロゲン原子であるのが好ましい。
【0033】
n1は0〜5のいずれかの整数、好ましくは0〜3のいずれかの整数、より好ましくは0である。なお、n1が2以上のとき、X同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0034】
Aは、式(2)または式(3)で表されるテトラゾイル基を表す。これらのうち、式(2)で表されるテトラゾイル基が好ましい。
式(2)および(3)中、Yは、C1-8アルキル基を表す。C1-8アルキル基としては、前記Xで列挙したものと同じものが挙げられる。
これらの中でも、Yとしては、C1-3アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0035】
Hetは、前記式(4)で表されるピリジル基、または式(5)で表されるチアゾリル基を表す。これらのうち式(4)で表されるピリジル基が好ましい。
式(4)中、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21を表す。
【0036】
Rとしての、ハロゲン原子、無置換のC1-8アルキル基、および無置換の若しくは置換基を有するアリール基は、前記Xで説明したものと同じのものが挙げられる。
Rとしての、無置換のC2-8アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0037】
Rとしての、無置換のC2-8アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−メチル−3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,1−ジメチル−2−ブチニル基等が挙げられる。
【0038】
Rとしての、無置換のヘテロ環基の具体例として、フラン−2−イル基、フラン−3−イル基、チオフェン−2−イル基、チオフェン−3−イル基、ピロール−2−イル基、ピロール−3−イル基、オキサゾール−2−イル基、オキサゾール−4−イル基、オキサゾール−5−イル基、チアゾール−2−イル基、チアゾール−4−イル基、チアゾール−5−イル基、イソオキサゾール−3−イル基、イソオキサゾール−4−イル基、イソオキサゾール−5−イル基、イソチアゾール−3−イル基、イソチアゾール−4−イル基、イソチアゾール−5−イル基、イミダゾール−2−イル基、イミダソール−4−イル基、イミダゾール−5−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−4−イル基、ピラゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、1,2,3−トリアゾール−4−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−5−イル基等の不飽和複素5員環基; ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、5−クロロ−3−ピリジル基、3−トリフルオロメチル−2−ピリジル基、ピリダジン−3−イル基、ピリダジン−4−イル基、ピラジン−2−イル基、ピリミジン−5−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基等の不飽和複素6員環基; テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−4−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピロリジン−2−イル基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基、アジリジノ基、アゼチジノ基、ピロリジノ基、オキサゾリン−2−イル基等の飽和若しくは部分不飽和複素環基等が挙げられる。
【0039】
Rとしての、置換基を有するアミノ基、置換基を有するC1-8アルキル基、置換基を有するC2-8アルケニル基、置換基を有するC2-8アルキニル基、および置換基を有するヘテロ環基における「置換基」は、化学的に許容される範囲で前記X中の置換基を有するアリール基における「置換基」として示されたものと同様のものを挙げることができる。
置換基を有するアミノ基として具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、アセチルメチルアミノ基、アセチルエチルアミノ基、ベンゾイルメチルアミノ基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有するC1-8アルキル基として具体的には、クロロメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、メチルスルホニルメチル基、ジメチルアミノメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基等が挙げられる。
【0041】
置換基を有するC2-8アルケニル基として具体的には、2−クロロエテニル基、2−フルオロエテニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−ペンテニル基、1,2,2−トリフルオロエテニル基、2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル基、2,3,3−トリヨード−2−プロペニル基、2−メトキシエテニル基等が挙げられる。
【0042】
置換基を有するC2-8アルキニル基として具体的には、2−クロロエチニル基、2−フルオロエチニル基、3−フルオロ−1−プロピニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロピニル基、3−フルオロ−2−プロピニル基、3−ヨード−2−プロピニル基等が挙げられる。
【0043】
置換基を有するヘテロ環基として具体的には、3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル基、4−トリフルオロメトキシ−2−ピリジル基、3−メチル−1−ピラゾリル基、4−トリフルオロメチル−1−イミダゾリル基、3,4−ジフルオロピロリジノ基等が挙げられる。
【0044】
Rとしての、OR1、COR1、S(O)m1およびCO21中のR1は、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC3-8シクロアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基を表す。また、mは、0〜2のいずれかの整数を表す。
【0045】
1としての、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、および無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基としては、前記Rの説明で示したものと同様のものが挙げられる。
【0046】
無置換のC3-8シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
また、R1としての、置換基を有するC3-8シクロアルキル基における「置換基」は、化学的に許容される範囲で前記X中の置換基を有するアリール基における「置換基」として示されたものと同様のものを挙げることができる。
【0047】
OR1の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、エチニルオキシ基、1−プロピニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基、アミノオキシ基、メチルアミノオキシ基、ジエチルアミノオキシ基、メトキシカルボニルアミノオキシ基、フェノキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0048】
S(O)m1の具体例としては、ジメチルアミノチオ基、クロロメチルチオ基、3−ブテニルチオ基、エチニルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、1−ブテニルスルフィニル基、1−ヘキシニルスルフィニル基、2,3−ジメチルフェニルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、N−エチル−N−メチルアミノスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、2−メチル−2−ブテニルスルホニル基、2−プロピニルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2-ニトロフェニルスルホニル基、p-トリルスルホニル基等が挙げられる。
【0049】
COR1の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、プロパノイル基、i−プロピルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、ビニルカルボニル基、1−プロペニルカルボニル基、2−プロペニルカルボニル基、i−プロペニルカルボニル基、1−プロピニルカルボニル基、2−プロピニルカルボニル基、3−ブテニルカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、N−メチル−N−エチルアミノカルボニル基、アジリジノカルボニル基、アゼチジノカルボニル基、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基、N−メチルピペラジノカルボニル基等が挙げられる。
【0050】
CO21の具体例としては、メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、1−ペンテニルオキシカルボニル基、2−プロピニルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0051】
これらのうち、Rとしては、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、C1-8アルキル基、OR1、およびSR1が好ましく、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、C1-8アルキル基、OR1、およびSR1がさらに好ましい。
無置換の若しくは置換基を有するアミノ基としてはアミノ基(NH2基)およびジアルキルアミノ基が好ましく、C1-8アルキル基としてはC1-4アルキル基が好ましく、OR1としてはC1-4アルコキシ基が好ましく、SR1としてはC1-4アルキルチオ基が好ましい。
【0052】
n2は0〜3のいずれかの整数を表す。n2は0が好ましい。n2が2以上のとき、複数のR同士は、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
【0053】
式(5)中の、R11は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21を表す〈R1およびmは、前記と同じ意味を表す。〉。
【0054】
11としての、ハロゲン原子、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21は、前述のRとして示したものと同じものが挙げられる。
【0055】
式(4)および式(5)中、Zは、式(a)若しくは式(b)で表される基を表す。
式(a)中、R50は、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するアラルキルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリールオキシ基を表し、R51は、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルチオ基、またはNR6061を表す。R60およびR61は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアラルキル基を表す。なお、式(a)若しくは式(b)中にはC=Nの二重結合に基づく立体異性体が存在する。したがって、本発明のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩には、該立体異性体およびそれらの混合物が含まれる。
式(b)中、R50およびR51は、前記と同じ意味を表す。R53は、水素原子、または無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を表す。
【0056】
式(a)および式(b)中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のC1-8アルキル基が好ましいものとして挙げられる。
式(a)および式(b)中のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
式(a)および式(b)中のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のC1-8アルコキシ基が好ましいものとして挙げられる。
式(a)および式(b)中のアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられる。
式(a)および式(b)中のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフトキシ基等が挙げられる。
式(a)および式(b)中のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等のC1-8アルキルチオ基が好ましいものとして挙げられる。
式(a)および式(b)中における「置換基」は、化学的に許容される範囲で前記X中の置換基を有するアリール基における「置換基」として示されたものと同様のものを挙げることができる。
式(a)若しくは式(b)で表される基は、式(a)におけるR50とR51の組合せが、水酸基とNR6061、アラルキルオキシ基とアルキル基、アリールオキシ基とアルキル基、アルコキシ基と水素原子、アラルキルオキシ基と水素原子、若しくはアリールオキシ基と水素原子の組み合わせであることが好ましく、または式(b)におけるR50とR51とR53の組合せが、アラルキル基とアルキルチオ基とアルキル基、若しくはアルキル基と水素原子とアルキル基の組み合わせであることが好ましい。特に、式(a)におけるR50とR51の組合せが、アルコキシ基と水素原子、アラルキルオキシ基とアルキル基、またはアラルキルオキシ基と水素原子の組合せであることが好ましい。
【0057】
本発明のテトラゾイルオキシム誘導体では、Zが式(a)若しくは式(b)で表される基であることによって、従来のテトラゾイルオキシム誘導体には無かった優れた植物病害防除効果を発揮することになる。式(a)および式(b)で表される基の構造は、アミジン型、アミドオキシム型、グアニジン型などの構造である。グアニジン型の場合は互変異性を示すので、式(a)および式(b)のようにC=Nの二重結合部分の位置を厳密に決定できないことがある。これらの基は窒素原子を2以上含むものである。詳細は不明だが、このZ中の窒素原子が何等かの作用をして本発明の効果を奏するものと推定される。
【0058】
式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体には、オキシム部の炭素−窒素二重結合に基づく、(E)体および(Z)体の立体異性体が存在する。これら2つの立体異性体およびこれらの混合物はいずれも本発明に含まれる。通常、合成物は、(Z)体のみ、若しくは(E)体と(Z)体の混合物として得られる。(E)体と(Z)体の混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の手法により分離精製することにより、2つの異性体をそれぞれ単離することができる。(Z)体および(E)体とも活性を有しており、中でも(Z)体が好ましい。
【0059】
本発明のテトラゾイルオキシム誘導体の塩は、式(1)で表される化合物の塩である。塩としては、農園芸学上許容される塩であれば、特に制限されない。例えば、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;酢酸塩、乳酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩等の有機酸の塩;が挙げられる。
【0060】
(テトラゾイルオキシム誘導体およびその塩の製造方法)
式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体は、例えば、特開2003−137875号公報やWO03/016303号パンフレットに記載された方法に準じて製造することができる。
【0061】
【化8】

式(1)、(6)および(7)中、A、X、Het、およびn1は前記と同じ意味を表し、Lはハロゲン原子等の脱離基を表す。
すなわち、式(6)で表されるオキシムと式(7)で表される化合物とを、塩基の存在下に反応させることにより、式(1)で表される本発明のテトラゾイルオキシム誘導体を得ることができる。
【0062】
この反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5等の有機塩基;等が挙げられる。これらの塩基は一種単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基の使用量は、式(6)で表されるオキシムに対し、通常0.01〜100倍モル、好ましくは0.1〜5倍モルである。
【0063】
この反応は、溶媒存在下若しくは無溶媒で行うことができる。
用いる溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に限定されない。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;水;およびこれらの混合溶媒;等が挙げられる。
【0064】
この反応を行う時の温度は、通常、−70℃〜+200℃、好ましくは−20℃〜+100℃である。反応時間は反応規模等にもよるが、通常、30分間〜24時間である。
【0065】
また、式(1)で表される化合物の塩は、常法に従い、式(1)で表される化合物に酸を作用させることにより製造することができる。
【0066】
式(7)で表される化合物中のHetが式(4)で表されるピリジル基、または式(5)で表されるチアゾイル基である場合には、上記の反応によって直接に本発明の式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0067】
本発明のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩は、式(7)で表される化合物に代えて式(8)または式(9)で表される化合物等を用いて上記と同じ手法で反応させ、アミノ置換ピリジン基またはアミノ置換チアゾイル基が導入された化合物を得、該アミノ基を上述したZに置換する方法で製造することができる。なお、式(8)または式(9)中のR40およびR41は水素原子、アルキル基などの置換基である。
【0068】
【化9】

【0069】
アミノ基(NR4041)を上述したZに置換する方法としては、例えば、(1)アミノ基にホルムアミドを反応させること、またはオルトエステルを反応させた後、アミンを反応させることによりアミジン構造に変換する方法;(2)アミジン構造にヒドロキシルアミン若しくはアルコキシアミンを反応させること、またはアミノ基にオルトエステルを反応させた後、ヒドロキシルアミン若しくはアルコキシアミンを反応させることによってアミドオキシム構造に変換する方法;(3)アミノ基にチオホスゲン等を反応させてイソチオシアナト基に変換し、これにアミン等を反応させてチオウレア基に変換し、さらにこれにハロアルキル等を反応させることによってアルキルチオ基で置換されたアミジン構造等に変換する方法、(4)前記で得られたアルキルチオ基で置換されたアミジン構造等にアミン等を反応させることによってグアニジン構造、アミドオキシム構造等に変換する方法などが挙げられる。
【0070】
いずれの反応においても、反応終了後においては、通常の後処理操作を行うことにより、目的とする式(1)で表される化合物およびその塩を単離することができる。また、生成物の精製が必要であれば、蒸留、再結晶またはカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の精製手段を採用することができる。
【0071】
式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体またはその塩(以下、「本発明の化合物」ということがある。)は、広範囲の種類の糸状菌、例えば、卵菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対し優れた殺菌力を有する。
従って、本発明の化合物を有効成分とする組成物は、花卉、芝、牧草を含む農園芸作物の栽培に際し発生する種々の病害の防除に、種子処理、茎葉散布、土壌施用または水面施用等により使用することができる。
【0072】
例えば、テンサイ:褐斑病(Cercospora beticola)、黒根病(Aphanomyces cochlioides); ラッカセイ:褐斑病(Mycosphaerella arachidis)、黒渋病(Mycosphaerella berkeleyi); キュウリ:うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒星病(Cladosporium cucumerinum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis); トマト:灰色かび病(Botrytis cinerea)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、綿腐病(Phythium aphanidermatum)、疫病(Phytophthora infestans); ナス:灰色かび病(Botrytis cinerea)、黒枯病(Corynespora melongenae)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum); ホウレンソウ:苗立枯病(Pythium ultimum); イチゴ:灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Sphaerotheca aphanis); タマネギ:灰色腐敗病(Botrytis allii)、灰色かび病(Botrytis cinerea); インゲン:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、灰色かび病(Botrytis cinerea); りんご:うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、黒星病(Venturia inaequalis)、モニリア病(Monilinia mali);
【0073】
カキ:うどんこ病(Phyllactinia kakicola)、炭そ病(Gloeosporium kaki)、角斑落葉病(Cercospora kaki); モモ・オウトウ:灰星病(Monilinia fructicola); ブドウ:灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Uncinula necator)、晩腐病(Glomerella cingulata)、べと病(Plasmopara viticola); ナシ:黒星病(Venturia nashicola)、赤星病(Gymnosporangium asiaticum)、黒斑病(Alternaria kikuchiana); チャ:輪斑病(Pestalotia theae)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis); カンキツ:そうか病(Elsinoe fawcetti)、青かび病(Penicillium italicum)、緑かび病(Penicillium digitatum)、灰色かび病(Botrytis cinerea); オオムギ:うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda);
【0074】
コムギ:赤かび病(Gibberella zeae)、赤さび病(Puccinia recondita)、斑点病(Cochliobolus sativus)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.tritici)、紅色雪腐病(Micronectriella nivalis)、褐色雪腐病(Pythium iwayamai); イネ:いもち病(Pyricularia oryzae)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、ごま葉枯病(Cochliobolus niyabeanus)、苗立枯病(Pythiym graminicolum); ダイズ:紫斑病(Cercospora kikuchii)、べと病(Peronospora manshurica)、茎疫病(Phytophthora sojae); ジャガイモ:疫病(Phytophthora infestans); アブラナ科植物:根こぶ病(Plasmodiophora brassicae); タバコ:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum); チューリップ:灰色かび病(Botrytis cinerea); ベントグラス:雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)、赤焼病(Pythium aphanidermatum); オーチャードグラス:うどんこ病(Erysiphe graminis) 等の防除に使用することができる。
【0075】
また、近年種々の病原菌において、フェニルアマイド系殺菌剤やストロビルリン系殺菌剤等に対する耐性が発達し、それらの薬剤の効力不足を生じており、耐性菌にも有効な薬剤が望まれている。本発明の化合物は、それら薬剤に対し感受性の病原菌のみならず、耐性菌にも優れた殺菌効果を有する薬剤である。
【0076】
例えば、メタラキシルに耐性を示すジャガイモ・トマトの疫病(Phytophthora infestans)、キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)に対しても感受性菌と同様に本発明の化合物は有効である。
さらに、ストロビルリン系殺菌剤(例えば、クレソキシムメチル、アゾキシストロビン等)に耐性を示すキュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)、ブドウべと病(Plasmopara viticola)に対しても感受性菌と同様に本発明の化合物は有効である。
適用が好ましい病害としては、ブドウべと病菌(Plasmopara viticola)、ウリ類のべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、バレイショやトマトの疫病菌(Phytophthora infestans)、 芝のピシウム菌(Pythium aphanidermatum他)、テンサイ黒根病菌(Aphanomyces cochlloides) 等を代表とする卵菌類が引き起こす多種の病害が挙げられる。
【0077】
本発明の化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる。
また本発明の化合物の製造工程において製造される中間体の中には殺菌活性を示すものがある。
さらにまた、本発明の化合物を塗料や繊維等に混入させることで、壁や浴槽、若しくは靴や衣服の防菌、防黴剤として使用することもできる。
【0078】
2)植物病害防除剤
本発明の植物病害防除剤は、式(1)で表されるテトラゾイルオキシム誘導体またはその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有するものである。
本発明の植物病害防除剤としては、本発明化合物のみからなる形態であってもよいし、一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、フロアブル等の形態であってもよい。
【0079】
本発明の植物病害防除剤において、固型剤を目的とする場合には、添加剤および/または担体として、大豆粉、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレイ等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機および無機化合物を用いることができる。
【0080】
また、液体の剤型を目的とする場合には、ケロシン、キシレンおよびソルベントナフサ等の石油留分、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、トリクロルエチレン、メチルi−ブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として用いることができる。
【0081】
さらに、本発明の植物病害防除剤においては、これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要に応じて界面活性剤を添加することができる。
【0082】
用いる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、i−ブチレン−無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
【0083】
製剤中の有効成分量は、特に限定されないが、通常、組成物(製剤)全体に対して0.5〜95質量%であり、好ましくは2〜70質量%である。
【0084】
本発明の植物病害防除剤が水和剤、乳剤、フロアブル剤である場合には、水で所定の濃度に希釈して懸濁液若しくは乳濁液として使用することができる。また、粉剤・粒剤である場合には、そのまま植物に散布する方法で使用することができる。
【0085】
本発明の化合物または本発明の植物病害防除剤は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、各種の殺菌剤や殺虫・殺ダニ剤または共力剤の1種または2種以上と混合して使用することも出来る。
【0086】
本発明の化合物または本発明の植物病害防除剤と混合して使用できる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
【0087】
〈殺菌剤〉
銅剤;塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅等。 硫黄剤;チウラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、ジラム、プロピネブ、ポリカーバメート等。 ポリハロアルキルチオ剤;キャプタン、フォルペット、ジクロルフルアニド等。 有機塩素剤;クロロタロニル、フサライド等。 有機リン剤;IBP、EDDP、トリクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル等。 ベンズイミダゾール剤;チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール等。 ジカルボキシイミド剤;イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、フルオルイミド等。 カルボキシアミド剤;オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、テクロフタラム、トリクラミド、ペンシクロン等。 アシルアラニン剤;メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル等。 ストロビルリン系剤;アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、ピリベンカルブ、ファモキサドン、フェンアミドン等。
【0088】
アニリノピリミジン剤;アンドプリン、メパニピリム、ピリメタニル、ジプロジニル等。 SBI剤;トリアジメホン、トリアジメノール、ビテルタノール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、フェナリモール、ピリフェノックス、トリホリン、フルシラゾール、エタコナゾール、ジクロブトラゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、イマザリル、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、ブチオベート、エポキシコナゾール、メトコナゾール、プロチオコナゾール、スピロキサミン、フェンヘキサミド、ピリブチカルブ等。
【0089】
抗生物質剤;ポリオキシン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン等。 アニライド系剤;ボスカリド、ペンチオピラド、フルオピラム、ビキサフェン等。 グアニジン系剤;イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、ドジン、グアザチン等。 バリン系剤;ジメトモルフ、フルモルフ、イプロバリカルブ、ベンチアバリカルブ、マンジプロパミド等。
【0090】
その他の殺菌剤;シモキサニル、シアゾファミド、アミスルブロム、プロパモカルブ、フルアジナム、プロパモカルブ酢酸塩、エタボキサム、フルオピコリド、ゾキサミド、シフルファナミド、メトラフェノン、プロキナジッド、ヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ、アニラジン、イソプロチオラン、フェリムゾン、プロペナゾール、チアジニル、アシベンゾラルSメチル、イソチアニル、ピロキロン、フタライド、トリシクラゾール、カルプロパミド、フェノキサニル、ジクロシメット、フルアジナム、フルジオキソニル、ピロールニトリン、ヒドロキシイソオキサゾール、フルスルファミド、ジエトフェンカルブ、キントゼン、メタスルホカルブ、アニラジン、キノメチオナート、ジチアノン、ジノカブ、ジクロメジン、オキソリニック酸、レシチン、重曹、フェナミノスルフ、フェナジンオキシド等。
【0091】
〈殺虫・殺ダニ剤〉
有機燐およびカーバメート系殺虫剤;フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ等。
【0092】
ピレスロイド系殺虫剤;ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トロラメトリン、シラフルオフェン、ブロフェンプロクス、アクリナスリン等。
【0093】
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤;ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、アセタミプリド、イミダクロプリド、ニテンピラム、フィプロニル、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、エマメクチン、フルベンジアミド、スピノサド、機械油、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬等。
【0094】
殺線虫剤;フェナミホス、ホスチアゼート等。 殺ダニ剤;クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、フルアクリピリム等。
【0095】
〈植物生長調節剤〉
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等。
【実施例】
【0096】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
【0097】
実施例1
〔(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(ジメチルアミノメチリデン)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシムの製造〕
特開2003−137875号公報に記載されている方法に準じる工程i〜iiによって(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−アミノピリジン−6−イルメチル)−オキシムを得た。すなわち、
〔工程i〕
(1−メチルテトラゾール−5−イル)フェニルメタノン59.1ミリモル、塩化ヒドロキシルアンモニウム148ミリモルをピリジン100mlに加え、45℃で24時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧下濃縮し、得られた残留物に水と酢酸エチルを加え、反応生成物を抽出した。有機層を希塩酸、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗浄し、次いで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層から溶媒を留去して、(1−メチルテトラゾール−5−イル)フェニルメタノンオキシム(収率100%)を得た。
【0098】
〔工程ii〕
水素化ナトリウム1.40g(60%in oil)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド30mlに懸濁させた。氷浴で冷却しながら、(1−メチルテトラゾール−5−イル)フェニルメタノンオキシム12.6ミリモル及び乾燥N,N−ジメチルホルムアミド15mlからなる溶液を滴下した。10分間撹拌を続けた後、さらに、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶解した2−ブロモメチル−6−アミノピリジン14ミリモルを滴下した。滴下終了後、氷浴を取り除き、1.5時間撹拌を続けた。反応液を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、反応生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、次いで有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層から溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−アミノピリジン−6−イルメチル)−オキシムを得た。
【0099】
〔工程iii〕
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−アミノピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.75g(2.42mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド ジメチルアセタール0.58g(0.48mmol)をベンゼン(20mL)に溶解し、8時間加熱還流した。冷却後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチルを加えて水、および飽和食塩水で洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後に減圧濃縮して、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(ジメチルアミノメチリデン)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム1.10gを得た。
【0100】
【化10】

【0101】
実施例2
〔(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(メトキシイミノメチル)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシムの製造〕
〔工程i〜iii〕
実施例1と同じ手法で、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(ジメチルアミノメチリデン)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシムを製造した。
〔工程iv〕
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(ジメチルアミノメチリデン)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム0.20g(0.55mmol)をメタノールに溶解し、O−メチルヒドロキシルアンモニウム塩酸塩0.07g(0.82mmol)を加えて室温にて3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1(v/v))精製して、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(メトキシイミノメチル)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム0.15gを得た。
【0102】
【化11】

【0103】
実施例3
〔(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−{[(N−ベンジル−N−メチルアミノ)メチルメルカプトメチリデン]アミノ}ピリジン−6−イルメチル)−オキシムの製造〕
〔工程i〜ii〕
実施例1と同じ手法で、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−アミノピリジン−6−イルメチル)−オキシムを製造した。
【0104】
〔工程iii〕
氷冷した(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−アミノピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.40g(1.29mmol)のアセトン(6mL)、クロロホルム(3mL)混合溶媒に、チオホスゲン0.18g(1.56mmol)および飽和重曹水(3mL)を加え、そのまま30分間撹拌した。液を減圧濃縮し、塩化メチレンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、減圧留去して粗(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−イソチオシアナトピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.53gを得た。
【0105】
【化12】

【0106】
〔工程iv〕
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−イソチオシアナトピリジン−6−イルメチル)−オキシム1.40g(3.24mmol)をベンゼン(25mL)に溶解し、室温にて一晩撹拌した。溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1(v/v))精製して、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(N−ベンジル−N−メチルアミノチオカルボニル)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム1.65gを得た。
【0107】
【化13】

【0108】
〔工程v〕
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−{2−[(N−ベンジル−N−メチルアミノチオカルボニル)アミノ]ピリジン−6−イルメチル}−オキシム0.19g(0.49mmol)をDMF(5mL)に溶解し、炭酸カリウム0.06g(0.44mmol)、ヨウ化メチル0.07g(0.48mmol)を加えて室温にて4時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、そして減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v))精製して、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−{[(N−ベンジル−N−メチルアミノ)メチルメルカプトメチリデン]アミノ}ピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.15gを得た。
【0109】
【化14】

【0110】
実施例4
〔(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−{[(N−ベンジル−N−メチルアミノ)ヒドロキシイミノメチル]アミノ}ピリジン−6−イルメチル)−オキシムの製造〕
〔工程i〜v〕
実施例3と同じ手法で、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−{[(N−ベンジル−N−メチルアミノ)メチルメルカプトメチリデン]アミノ}ピリジン−6−イルメチル)−オキシムを製造した。
【0111】
〔工程vi〕
(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−{[(N−ベンジル−N−メチルアミノ)メチルメルカプトメチリデン]アミノ}ピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.15g(0.32mmol)のエタノール(5mL)溶液に50%ヒドロキシルアミン水溶液0.63g(9.6mmol)を加えて80度にて2.5時間撹拌した。溶媒を減圧濃縮して酢酸エチルで抽出し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、次いで減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=1:1(v/v))精製して、(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル) フェニルメタノン−O−(2−{[(N−ベンジル−N−メチルアミノ)ヒドロキシイミノメチル]アミノ}ピリジン−6−イルメチル)−オキシム0.06gを得た。
【0112】
【化15】

【0113】
実施例5
上記の方法等で製造できる本発明のテトラゾイルオキシム誘導体の他の例を表1〜5に示す。表中のZは化学式(I)中のZを表す。表2中のZは化学式(II)中のZを表す。表3中のZは化学式(III)中のZを表す。表4中のZは化学式(IV)中のZを表す。表5中のZは化学式(V)中のZを表す。表1〜5に示した化合物の一部について、物性および1H−NMRを表6に示す。融点の単位は℃である。VISC.OILは粘稠なオイルであることを示し、AMRはアモルファスであることを示す。
なお、表1〜5は、製造された本発明テトラゾイルオキシム誘導体の一部を示したに過ぎない。本明細書において具体的に示しきれなかった他の化合物、すなわち本発明の趣旨と範囲を逸脱しない限り種々の基に置換されたものが上記方法等によって製造でき且つ使用できることは本明細書の記載によって当業者において容易に理解できることである。
【0114】
【化16】

【0115】
【表1】

【0116】

【0117】

なお、b−30、b−20、b−21、b−161、b−162およびb−184は、Z中のC=N二重結合に基づく立体異性体の混合物になっていた。
【0118】
【化17】

【0119】
【表2】

【0120】

【0121】
【化18】

【0122】
【表3】

【0123】

【0124】
【化19】

【0125】
【表4】

【0126】

【0127】
【化20】

【0128】
【表5】

【0129】

【0130】
【表6】

【0131】

【0132】
次に、本発明の植物病害防除剤の製剤実施例を若干示すが、添加物および添加割合は、これら実施例に限定されるものではなく、広範囲に変化させることが可能である。製剤実施例中の部は質量部を示す。
【0133】
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 53部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 3部
以上を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分40%の水和剤を得る。
【0134】
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解して、有効成分10%の乳剤を得る。
【0135】
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕して、有効成分10%の粉剤を得る。
【0136】
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
【0137】
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕して、有効成分10%の懸濁剤を得る。
【0138】
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後、適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする。粘土状物を造粒した後乾燥し、有効成分40%の顆粒水和剤を得る。
【0139】
(試験例) トマト疫病(PN)防除試験
素焼きポットで栽培したトマト幼苗(品種「レジナ」、4〜5葉期)に、前記製剤実施例2の乳剤を有効成分100ppmの濃度で散布した。散布後、室温で自然乾燥し、トマト疫病菌(Phytophthora infestans)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、明暗を12時間毎に繰り返す高湿度の恒温室(20℃)に4日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果(防除価)を求めた。
化合物番号b−13、b−14、b−16、b−17、b−19、b−20、b−21、b−30、b−6、b−7、b−22およびb−23の化合物についてPN防除試験を行ったところ、防除価はいずれも80%以上であった。化合物番号は、表1の化合物番号に対応している。
防除価[%]
=〔(無処理区の発病度−処理区の発病度)/(無処理区の発病度)〕×100
【0140】
以上のように、本発明のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩では、Zが式(a)若しくは式(b)で表される基であれば、それ以外の部分の基が変更されても、多少の強弱はあるものの、植物病害に対する防除効果を示すことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):

[式(1)中、Xは、ハロゲン原子、C1-8アルキル基、C1-8アルコキシ基、シアノ基、C1-8アルキルスルホニル基、ニトロ基、C1-8ハロアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアリール基を表す。
n1はXの数を表し、0〜5のいずれかの整数である。n1が2以上のとき、X同士は互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
Aは、式(2):

(式(2)中、YはC1-8アルキル基を表す。)で表されるテトラゾイル基、
または式(3):

(式(3)中、Yは前記と同じ意味を表す。)で表されるテトラゾイル基を表す。
Hetは、式(4):

(式(4)中、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21を表す。R1は、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC3-8シクロアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、または無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基を表す。mは括弧内の酸素原子の数を表し、0〜2のいずれかの整数である。
n2はRの数を表し、0〜3のいずれかの整数である。n2が2以上のとき、複数のR同士は、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
Zは、式(a):

〈式(a)中、R50は、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアラルキル基、水酸基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するアラルキルオキシ基、または無置換の若しくは置換基を有するアリールオキシ基を表し、R51は、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、無置換の若しくは置換基を有するアルコキシ基、無置換の若しくは置換基を有するアルキルチオ基、またはNR6061を表す。R60およびR61は、それぞれ独立に、水素原子、無置換の若しくは置換基を有するアルキル基、または無置換の若しくは置換基を有するアラルキル基を表す。〉、
若しくは式(b):

〈式(b)中、R50およびR51は、前記と同じ意味を表す。R53は、水素原子、または無置換の若しくは置換基を有するアルキル基を表す。〉で表される基を表す。)で表されるピリジル基、
または式(5):

(式(5)中、R11は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、チオール基、ホルミル基、カルボキシル基、無置換の若しくは置換基を有するアミノ基、無置換の若しくは置換基を有するC1-8アルキル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルケニル基、無置換の若しくは置換基を有するC2-8アルキニル基、無置換の若しくは置換基を有するアリール基、無置換の若しくは置換基を有するヘテロ環基、OR1、S(O)m1、COR1、またはCO21を表す。R1およびmは、前記と同じ意味を表す。
Zは、前記と同じ意味を表す。)で表されるチアゾイル基を表す。]で表されるテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩。
【請求項2】
n1が0である請求項1に記載のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩。
【請求項3】
Yがメチル基である請求項1または2に記載のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩。
【請求項4】
式(a)におけるR50とR51の組合せが、水酸基とNR6061、アラルキルオキシ基とアルキル基、アリールオキシ基とアルキル基、アルコキシ基と水素原子、アラルキルオキシ基と水素原子、若しくはアリールオキシ基と水素原子の組み合わせ、または式(b)におけるR50とR51とR53の組合せが、アラルキル基とアルキルチオ基とアルキル基、若しくはアルキル基と水素原子とアルキル基の組み合わせである請求項1〜3のいずれか1項に記載のテトラゾイルオキシム誘導体およびその塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラゾイルオキシム誘導体またはその塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有する植物病害防除剤。

【公開番号】特開2010−174009(P2010−174009A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287(P2010−287)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】