説明

テトラメチルシクロブタンジオールを含有するコーティング組成物

アクリルコポリマー、架橋剤および溶媒とブレンドされた硬化性ポリエステルレジンを含有する溶媒系の熱硬化性コーティング組成物を開示する。ポリエステルレジンは、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含有し、そしてコーティング組成物における良好な乾燥時間、アクリルレジンとの親和性、垂れ防止性、および硬度発現を示す。該コーティング組成物を使用して、クリアコートまたは顔料着色コーティング(自動車OEM、自動車補修、および他の用途のための)を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
詳細な説明
アクリルおよびポリエステルは、溶媒系熱硬化性コーティングの製造において用いられる一般的な種類のレジンである。アクリルは、その優れた硬度、速い乾燥時間、耐スクラッチ性、耐ステイン性、耐化学物質性、および耐湿性、ならびに屋外耐久性で知られている。しかし、アクリルコーティングは、しばしば可撓性を欠き、そして実際の適用粘度を実現するためにコーティング配合物中の大量の溶媒を必要とする。アクリルについての高溶媒要求は、これがコーティングVOC(”volatile organic compound”)量規制(種々の連邦および国の大気質機関によって命令される)を満足することを困難にする。
【0002】
一方、ポリエステルは、低VOC量または「高固形分」コーティングの配合に理想的に適しており、そして性能特性の良好なバランスを与える。しかし、ポリエステルは、典型的には、アクリルほどには気候に耐えない。アクリルとポリエステルとのレジンのブレンド物を用いて、望ましい特性を有する高固形分の溶媒系熱硬化性コーティングを実現できる。アクリルとポリエステルとのレジンのブレンド物を含むコーティング組成物の幾つかの例は、米国特許第4,076,766号;第4,322,508号;第4,338,379号;第4,397,989号;第4,751,267号;および第4,716,200号の主題である。
【0003】
ポリエステルレジンを用いて、コーティング配合物におけるアクリルレジンの一部を置き換えて、特定の性能特性を改善することができる。例えば、ポリエステルの存在は、より低いVOP含有量を助け、光沢を増大させ、コーティングの可撓性を改善し、またはこれらの特性の1つ以上の組合せとなる。しかし、ポリエステルはまた、乾燥時間を遅くする不所望の作用を有する場合がある。コーティングの垂れ防止性、硬度および硬度に関連する特性も妥協される場合がある。
【0004】
例えば、ネオペンチルグリコール(本明細書で「NPG」と略す)および高レベルのイソフタル酸(本明細書で「IPA」と略す)を含有するポリエステルレジンは、一般的には良好な光沢、硬度、耐ステイン性および耐化学物質性を示す。しかし、高いIPA含有量を有するポリエステルは、アクリルレジンとブレンドする際に示す親和性が乏しい。
【0005】
ポリエステル/アクリルブレンド物の非親和性は、それ自体が相分離、溶液からのレジンの沈殿、および不透明から濁りの範囲に亘る様々な程度の溶液の乏しい明澄性を示す。これらの状態は高度に不所望であり、そしてレジン溶液およびそれから配合されるコーティングの乏しい貯蔵安定性をもたらす。コーティングは、粘度増大、相分離、含有成分の凝集等を被る場合があり、これはより高い適用粘度、悪い外観および悪い機械特性(硬化フィルムのもの)をもたらすことになる。
【0006】
ポリエステルの親和性は、しばしば、種々の改質用のジオール、ジカルボン酸、および無水物をレジン配合物中に組入れることによって改善できる。これらの改質用のジオールおよびジカルボン酸の例としては、1,6−ヘキサンジオール(本明細書で「HD」と略す)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(本明細書で「TMPD」と略す)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(本明細書で「BEPD」と略す)、アジピン酸(本明細書で「AD」と略す)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(本明細書で「CHDA」と略す)、およびヘキサヒドロフタル酸無水物(本明細書で「HHPA」と略す)が挙げられる。これらのモノマーは親和性を改善できるが、これらはしばしば、乾燥時間が遅く、垂れ防止性がより低く、そしてコーティング硬度およびより高い硬度に関係する所望の特性が低下したポリエステルを生成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、アクリルレジンと親和性ブレンド物を形成し、更に、高固形分のコーティング組成物中で、アクリルレジン単独によって示される所望の硬度特性を維持するポリエステルレジンが要求される。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから調製されるポリエステルレジンが、アクリルレジンとの良好な親和性を示す(高含有量の芳香族ジカルボン酸の存在下であっても)ことを我々は見出した。
【0008】
本発明は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、アクリルコポリマー、架橋剤および溶媒から調製される硬化性ポリエステルを含む溶媒系熱硬化性コーティング組成物を提供する。従って、一態様において、我々の発明は:
(A).(A)、(B)および(C)の総質量基準で2〜50質量%の硬化性ポリエステルであって
i.二塩基酸残基の総モル基準で20〜100モル%のイソフタル酸残基および80〜20モルのアジピン酸残基を含む二塩基酸残基;
ii.ジオール残基の総モル基準で10〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、を含むジオール残基;ならびに
iii.ジオール残基とポリオール残基との総モル基準で2〜40モル%の少なくとも1種のポリオールの残基;
を含み、
数平均分子量500〜10,000ダルトン、ガラス転移温度−35℃〜100℃、ヒドロキシル価20〜300mgKOH/ポリエステルg、および酸価0〜80mgKOH/ポリエステルg、を有する硬化性ポリエステル;
(B).(A)、(B)および(C)の総質量基準で25〜88質量%の、少なくとも1種のヒドロキシル官能基、エポキシ官能基、カルボキシル官能基、ブロック化フェノール官能基、またはアセトアセトキシ官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマー;ならびに
(C).(A)、(B)および(C)の総質量基準で10〜50質量%の、カルボン酸または水酸基との反応性を有する少なくとも1種の化合物を含む少なくとも1種の架橋剤;
(D).(A)、(B)、(C)および(D)の総質量基準で10〜60質量%の、少なくとも1種の非水性溶媒;
を含む、熱硬化性コーティング組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
我々の発明のコーティング組成物は、典型的なポリエステルレジン配合物,例えばNPG/IPAを含有するもの、または市販で入手可能なポリエステルであってこのような用途のために推奨されるもの、とブレンドされたアクリルと比べたときに、乾燥時間の改善、垂れ防止性および硬度発現を示す。我々のコーティング組成物を使用して、クリアコートまたは顔料着色コーティング(自動車OEM、自動車補修、輸送、航空宇宙、保守、海洋、機械および装置、汎用金属、器具、金属家具、プラスチック、および建造物/構造物のコーティング用途で使用されるもの)を得ることができる。
【0010】
特記がない限り、以下の説明および特許請求の範囲に記載する数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似である。最低でも、各数値パラメータは、少なくとも記載される有効数字の数を考慮し通常の四捨五入法を適用して解釈すべきである。更に、この開示および特許請求の範囲で記載される範囲は全範囲を具体的に含みかつ1つまたは複数の端点のみではないことが意図される。例えば、0から10と記載される範囲は、例えば1、2、3、4等のような0から10の間の全ての整数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113等のような0から10の間の全ての端数、ならびに端点0および10を開示することが意図される。また、例えば「C1〜C5の炭化水素」等の化学置換基に関連する範囲は、C1およびC5の炭化水素、更にC2、C3およびC4の炭化水素を具体的に含みかつ開示することが意図される。
【0011】
本発明の広範な範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似であることに関わらず、具体例において説明される数値は可能な限り厳密に記載される。しかしいずれの数値も、これらのそれぞれの試験測定で見られる標準偏差に起因して本質的にある程度の誤差を必然的に含む。
【0012】
明細書および特許請求の範囲で使用される単数形"a" "an"および"the"は、他を指す明確な記載がない限りこれらの複数の指示対象を包含する。例えば、a "polyester"、a "dicarboxylic acid "、a "residue"の記載は、「少なくとも1種」または「1種以上」のポリエステル、ジカルボン酸または残基と同義であり、よって複数種のポリエステル、ジカルボン酸、または残基の意味を意図する。加えて、"an" ingredientまたは"a" polyesterを含有しまたは包含する組成物の記載は、名前の挙がったものに加えて他の含有成分または他のポリエステルをそれぞれ包含することが意図される。用語"containing(含有する)"または"including(包含する)"は、用語"comprising(含む)"と同義であることを意図し、少なくとも名前の挙がった化合物、要素、粒子、または方法ステップ等が組成物または物品または方法に存在するが、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法ステップ等の存在は、他のこのような化合物、材料、粒子、方法ステップ等が名前の挙がったものと同じ機能を有しても、特許請求の範囲において明確に排除していない限りは排除されないことが意味される。
【0013】
また、1以上の方法ステップの記載は、組み合わされた列挙されるステップの前もしくは後の追加の方法ステップ、または明確に規定されるこれらのステップの間の途中の方法ステップの存在を排除しないことを理解すべきである。更に、方法ステップまたは含有成分の表記は別々の働きまたは含有成分を規定するための便宜的な手段であり、そして列挙された表記は特記がない限り任意の順序に並べることができる。
【0014】
本明細書で用いる用語「硬化性ポリエステル」は、用語「レジン」と同義であり、1種以上の酸成分、ジオール成分、およびポリオール成分の重縮合によって得られる熱硬化性表面コーティングポリマーを意味することを意図する。本発明の硬化性ポリエステルは熱硬化性ポリマーであり、そして溶媒系コーティング用のレジンとして特に好適である。このポリエステルは、低分子量,典型的には500〜10,000ダルトンを有し、そしてフィルム、シートおよび他の成形品の、押出し、キャスト、ブロー成形、および他の熱形成プロセス(高分子量熱可塑性ポリマーに一般的に用いるもの)による製造には好適でない。ポリエステルは、反応性官能基,典型的には水酸基またはカルボキシル基を、コーティング配合物中の架橋剤との後の反応のために有する。官能基は、ポリエステルレジン組成物中に過剰のジオールまたは酸(ジカルボン酸またはトリカルボン酸より)のいずれかを有することによって制御する。所望の架橋経路は、ポリエステルレジンがヒドロキシル末端であるかまたはカルボン酸末端であるかによって決定する。概念は、当業者に公知であり、そして例えばOrganic Coatings Science and Technology,2nd ed.,p.246−257,Z.Wicks,F.Jones,およびS.Pappas,Wiley,New York,1999より、に記載されている。
【0015】
典型的には、酸成分は、少なくとも1種のジカルボン酸を含み、そして、任意に、単塩基または多塩基のカルボン酸を包含できる。例えば、硬化性ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸,例えばイソフタル酸等、脂肪族または脂環式のジカルボン酸,例えばアジピン酸または1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、または1種以上の芳香族、脂肪族および脂環式の酸の混合物等を含む酸成分から得ることができる。ジオール成分は、1種以上の脂肪族脂環式ジオール(例えば2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等)、直鎖もしくは分岐の脂肪族ジオール(例えばネオペンチルグリコール等)または芳香族ジオール(例えばp−キシレンジオール等)を含むことができる。触媒を用いて重縮合反応の速度を加速することができる。硬化性ポリエステルの成分の各々の追加例としては、当該分野で公知のものが挙げられ、以下、および当該分野で公知の種々の文献,例えばResins for Surface Coatings,Vol.III,p.63−167,ed.(P.K.T.OldringおよびG.Hayward,SITA Technology,London,UK,1987より)等で議論されるものが挙げられる。
【0016】
本発明のポリマーに関して本明細書で用いる用語「残基」は、重縮合または開環反応を介してポリマー中に導入される任意の有機構造(対応するモノマーを含む)を意味する。当業者には、本発明の種々の硬化性ポリエステル中の関連する残基が、親モノマー化合物自体または親化合物の任意の誘導体に由来できることもまた理解されよう。例えば、本発明のポリマーにおいて言及されるジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーまたはその関連の酸ハライド、エステル、塩、無水物、またはこれらの混合物に由来できる。よって、本明細書で用いる用語「ジカルボン酸」は、ジカルボン酸およびジカルボン酸の任意の誘導体(その関連の酸ハライド、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、またはこれらの混合物(硬化性ポリエステルを形成するためのジオールとの重縮合プロセスで有用なもの)が挙げられる)を包含することを意図する。
【0017】
用語「非水性溶媒」は、1種以上の有機液体で実質的に構成される溶媒または溶媒混合物を意味することを意図する。本発明の非水性溶媒は、典型的には、溶媒の総質量基準で30質量%以下の水を含有する。非水性溶媒の他の例としては、20質量%以下、10質量%以下、および5質量%以下の水を含有する溶媒である。
【0018】
本発明の熱硬化性コーティング組成物は、成分(A)、(B)および(C)の総質量基準で2〜50質量%の硬化性ポリエステルを含み、そして、酸成分、ジオール成分およびポリオール成分を含む。酸成分は、芳香族ジカルボン酸、非環式脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、またはこれらの組合せの残基を含み;ジオール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基を含む。例えば、一般的な態様において、硬化性ポリエステルは:
i.二塩基酸残基の総モル基準で、20〜100モル%の少なくとも1種の芳香族二塩基酸の残基、および80〜0モル%の少なくとも1種の脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、またはこれらの組合せの残基、を含む二塩基酸残基;
ii.ジオール残基の総モル基準で10〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、を含むジオール残基;および
iii.ジオール残基とポリオール残基との総モル基準で2〜40モル%の少なくとも1種のポリオールの残基;
を含み、
該硬化性ポリエステルは、数平均分子量500〜10,000ダルトン、ガラス転移温度−35℃〜100℃、ヒドロキシル価10〜300mgKOH/ポリエステルg、および酸価0〜80mg水酸化カリウムKOH/ポリエステルg、を有する。
【0019】
硬化性ポリエステルは、二塩基酸残基の総モル基準で20〜100%の、少なくとも1種の芳香族二塩基酸残基を含むことができる。芳香族二塩基酸の例としては、これらに限定するものではないが、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらの組合せが挙げられる。ナフタレンジカルボン酸またはその混合物の1,4−、1,5−、および2,7−異性体を、2,6−異性体に加えて使用できる。芳香族二塩基酸残基に加えて、硬化性ポリエステルは、80〜0モル%の非環式脂肪族二塩基酸または脂環式二塩基酸,例えばアジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、またはこれらの組合せの残基を含むことができる。シスおよびトランスの異性体が可能である場合、脂環式二塩基酸は、純粋なシス、トランスの異性体、またはシス−トランス異性体の混合物として使用できる。硬化性ポリエステルが含むことができる二塩基酸成分の幾つかの追加の非限定例は以下の通りである:(a)30〜100モル%のイソフタル酸残基;(b)30〜100モル%のイソフタル残基および70〜0モル%の脂肪族二塩基酸残基;ならびに(c)30〜100モル%のイソフタル酸残基および70〜0モル%の、8個以下の炭素を有する脂肪族二塩基酸の残基。
【0020】
別の例において、硬化性ポリエステルは、二塩基酸残基の総モル基準で20〜80モル%のイソフタル酸残基および80〜20モル%のアジピン酸残基を含むことができる。別の例において、二塩基酸残基は30〜70モル%のイソフタル酸残基、70〜30モル%のアジピン酸残基を含む。更に別の例において、二塩基酸残基は、40〜60モル%のイソフタル酸残基および60〜40モル%のアジピン酸残基を含む。イソフタル酸およびアジピン酸の残基に加え、二塩基酸残基は、30モル%以下の、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびグルタル酸から選択される少なくとも1種のジカルボン酸の残基を更に含むことができる。
【0021】
上記のジカルボン酸残基に加え、本発明のポリエステル組成物の酸成分は、モノカルボン酸または多塩基酸(2個より多いカルボン酸基を含有するもの)の残基を更に含むことができる。例えば、ポリエステルは、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、tert−ブチル安息香酸、ブタン酸、無水トリメリット酸、またはこれらの混合物から選択される残基を含むことができる。
【0022】
硬化性ポリエステルはまた、ジオール残基の総モル基準で10〜100モル%の、2,2,4,4−テトラメチルー1,3−シクロブタンジオール(本明細書で「TMCD」と略す)残基を含む。TMCDは、純粋なシスおよびトランスの異性体として、またはシス−トランス異性体混合物として、使用できる。硬化性ポリエステル中のTMCD残基含有量の他の例は、20〜100モル%、30〜70モル%、40〜60モル%、および50モル%である。硬化性ポリエステルは、任意に、90モル%以下の他のジオールの残基,例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオールおよび水素化ビスフェノールA等を、TMCDとの組合せで含むことができる。例えば、硬化性ポリエステルレジンは、TMCDとの組合せでネオペンチルグリコールの残基を含むことができる。
【0023】
硬化性ポリエステルは、ジオール残基とポリオール残基との総モル基準で2〜40モル%の少なくとも1種のポリオールの残基を含む。これらのポリオールとしては、非環式脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、およびアリールアルキルポリオールを挙げることができる。ポリオールの幾つかの具体例としては、これらに限定するものではないが、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)、トリメチロールエタン(TME)、エリスリトール、スレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン等が挙げられる。一例において、硬化性ポリエステルは、3〜30モル%の、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、エリスリトール、スレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、およびグリセリンから選択される少なくとも1種のポリオールの残基を含むことができる。別の態様において、硬化性ポリエステルは、トリメチロールプロパンを含む。
【0024】
本発明の硬化性ポリエステルは、ヒドロキシル価10〜300mgKOH/レジンgを有する。ヒドロキシル価の更なる例は、20〜275、および30〜250である。硬化性ポリエステルは、酸価0〜50mgKOH/レジンg、または、他の例においては、2〜25mgKOH/レジンg、および2〜15mgKOH/レジンgを有する。硬化性ポリエステルの数平均分子量は、400ダルトン〜10,000ダルトンである。分子量範囲の追加例は、600〜7000、および800〜5000である。硬化性ポリエステルは、ガラス転移温度(本明細書で「Tg」と略す)−35℃〜100℃を有する。硬化性ポリエステルのTg範囲の他の代表例は、−35℃〜80℃、−35℃〜50℃、−20℃〜50℃、−35℃〜50℃未満、−35℃〜49℃、−35℃〜48℃、−35℃〜47℃、−35℃〜46℃、−35℃〜45℃、−35℃〜40℃、である。
【0025】
本発明の硬化性ポリエステルの他の代表的な組成物は:(a)二塩基酸残基の総モル基準で20〜80モル%のイソフタル酸残基および80〜20モルのアジピン酸残基;ジオール残基の総モル基準で20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基;ならびにジオール残基およびポリオール残基の総モル基準で2〜40モル%のポリオールを含み、該硬化性ポリエステルは数平均分子量500〜10,000ダルトン、ガラス転移温度-35℃〜100℃、ヒドロキシル価20〜300mgKOH/ポリエステルg、および酸価0〜80mgKOH/ポリエステルgを有するもの;ならびに(b)20〜80モル%のイソフタル酸残基、80〜20モル%のアジピン酸残基、および0〜30モル%の、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびグルタル酸から選択される少なくとも1種のジカルボン酸の残基;ならびに、20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基を含むジオール残基;を含むものである。このポリエステルは、前記した二塩基酸、ジオール、ポリオール、酸価およびヒドロキシル価、ならびにガラス転移温度の種々の態様を包含することを理解すべきである。例えば、硬化性ポリエステルは、40〜60モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、60〜40モル%のネオペンチルグリコール残基、および2〜40モル%の、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、エリスリトール、およびジペンタエリスリトールから選択される少なくとも1種のポリオールの残基、を含むことができる。別の例において、二塩基酸成分は、30〜70モル%のイソフタル酸残基および70〜30モル%のアジピン酸残基を含むことができ、そして、ジオール成分は、20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むことができる。更に別の例において、硬化性ポリエステルは、50〜100モル%のイソフタル酸残基、0〜50モル%のアジピン酸残基、100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、および10モル%のトリメチロールプロパン残基を含むことができる。この態様において、硬化性ポリエステルは、ポリエステル1グラム当たりのヒドロキシル価30〜250mg水酸化カリウム、ポリエステル1グラム当たりの酸価2〜15mg水酸化カリウム、数平均分子量700〜7000ダルトン、およびTg−20℃〜50℃を有することができる。更に別の例において、硬化性ポリエステルは、50モル%のイソフタル残基、50モル%のアジピン酸残基、50モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、50モル%のネオペンチルグリコール残基、および10モル%のトリメチロールプロパン残基を含むことができる。
【0026】
硬化性ポリエステルはまた、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、tert−ブチル安息香酸、およびブタン酸、無水トリメリット酸、またはこれらの混合物から選択されるモノカルボン酸の残基を更に含むことができる。更に別の例において、本発明のポリエステルは、ポリエステル1グラム当たりのヒドロキシル価30〜250mg水酸化カリウム、ポリエステル1グラム当たりの酸価2〜15mg水酸化カリウム、および数平均分子量700〜7000ダルトン、およびTg−20℃〜75℃を有することができる。
【0027】
硬化性ポリエステル成分は、反応物質を、所望の分子量、酸価またはヒドロキシル価に到達するまで加熱することによって調製できる。典型的には、反応物質は温度150℃〜250℃で水を混合物から除去しながら加熱して、数平均分子量500〜10,000ダルトン、ガラス転移温度−35℃〜100℃、ヒドロキシル価20〜300mg水酸化カリウム/ポリエステルg、または酸価0〜80mg水酸化カリウム/ポリエステルgを有する硬化性ポリエステルを生成する。
【0028】
反応は、水(直接縮合)またはアルコール(エステル交換)の収集によって監視できる。ポリエステルは、典型的には、温度範囲150〜250℃で得られ、そして大気圧または減圧下で実施できる。別の例において、ポリエステルの二塩基酸成分およびジオール成分は、ポリオールが添加される前に部分的に反応できる。ポリオールを反応混合物に添加したら、目的の酸価が満足されるまで加熱を継続する。
【0029】
代替として、硬化性ポリエステルをプロセス溶媒の存在下で調製して、エステル化の水の除去を助け、そしてポリエステルレジンの合成を促進することができる。プロセス溶媒は、ポリエステルレジンの形成において用いる当該分野で公知の任意のプロセス溶媒であることができる。例えば、プロセス溶媒は炭化水素溶媒であることができる。別の例において、プロセス溶媒は、芳香族炭化水素,例えばキシレンを含むことができる。キシレンは、純粋な異性体、またはオルト、メタ、およびパラの異性体の混合物であることができる。プロセス溶媒の量は、当業者に理解されるように日常実験によって決定できる。プロセス溶媒は、反応混合物の総質量基準で0.5〜5質量%の範囲の量で添加できる。
【0030】
任意に、触媒を用いてポリエステルの合成を促進できる。触媒は、ポリエステルポリマーの形成のために有用な当該分野で公知の任意の触媒であることができる。例えば、触媒はスズ触媒,例えば、Fascat 4100TM(Arkema Corporationから入手可能)であることができる。添加する触媒の量は、当業者に理解されるように日常実験によって決定できる。好ましくは、触媒は、反応物質の量を基準として0.01〜1.00質量%の範囲の量で添加する。
【0031】
コーティング組成物はまた、成分(A)、(B)および(C)の総質量基準で25〜88質量%の、少なくとも1種のヒドロキシル官能基、エポキシ官能基、カルボキシル官能基、ブロック化フェノール官能基、またはアセトアセトキシ官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマーを含む。熱硬化性アクリルレジンは、典型的には、バルク中または溶媒中でのフリーラジカル重合によって得られる。代表的なフリーラジカル開始剤としては、これらに限定するものではないが、有機過酸化物またはアゾ化合物,例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)−バレロニトリルが挙げられる。反応は、好ましくは、用いる溶媒の還流温度で実施する。これは一般的には用いる開始剤の熱分解温度よりも高い。アクリルレジンの調製方法および成分の好適例としては当該分野で公知のものが挙げられ、これらに限定するものではないが、上記、およびResins for Surface Coatings,Vol.II,p.121−210,ed.P.K.T.OldringおよびG.Hayward,SITA Technology,London,UK,1987より、に記載されるものが挙げられる。
【0032】
アクリルレジンは、上記で列挙したような反応性官能基を含有する他のエチレン性不飽和モノマーと共重合されたアクリルモノマーを含む。アクリルモノマーの幾つかの一般的な例は、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、(メタ)アクリル酸、およびアクリルアミドモノマーである。エチレン性不飽和モノマーの例としては、これらに限定するものではないが、不飽和モノ−およびジカルボン酸、アリルモノマー、およびビニル化合物,例えばビニル芳香族炭化水素、ビニル脂肪族炭化水素、ビニルエーテル、およびビニルエステル等が挙げられる。不飽和モノ−およびジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸または無水物、ハコニック酸(haconic acid)、シトラコン酸、メサコン酸、ムコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、ヒドロソルビン酸、ソルビン酸、α−クロルソルビン酸、桂皮酸、およびヒドロムコン酸、更にこのような酸のエステルが挙げられる。ビニル芳香族炭化水素の例としては、スチレン、メチルスチレンおよび同様の低級アルキルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、およびジビニルベンゾエートが挙げられる。ビニル脂肪族炭化水素モノマーとしては、αオレフィン,例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、およびシクロヘキセン、更に共役ジエン,例えば1,3−ブタジエン、メチル−2−ブタジエン、1,3−ピペリレン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、およびジシクロペンタジエンが挙げられる。ビニルエステルの幾つかの代表的な例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、ビニルイソプロピルアセテートおよび同様のビニルエステルが挙げられる。ビニルアルキルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテルが挙げられる。
【0033】
アクリルモノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸の低級アルキルエステルであって1〜12個の炭素原子を含有するアルキルエステル部分を有するもの、更にアクリル酸およびメタクリル酸の芳香族誘導体、等のモノマーが挙げられる。有用なアクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレート、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレート、プロピルアクリレートおよびプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロへキシルアクリレートおよびシクロへキシルメタクリレート、デシルアクリレートおよびデシルメタクリレート、イソデシルアクリレートおよびイソデシルメタクリレート、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレート、ならびに種々の反応生成物,例えばアクリル酸およびメタクリル酸と反応したブチル、フェニル、クレジルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレート,例えばヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルのアクリレートおよびメタクリレート、更にアミノアクリレートおよびアミノメタクリレートが挙げられる。アクリル酸としては、アクリル酸およびメタクリル酸、エタクリル酸、α−クロルアクリル酸、α−シアノアクリル酸、クロトン酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、およびβ−スチリルアクリル酸が挙げられる。アクリルアミドモノマーの例としては、これらに限定するものではないが、アクリルアミドまたはメタクリルアミド,例えばN−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エタノールメタクリルアミド、および同様のアルキルアクリルアミドまたはアルキルメタクリルアミドのモノマーであってメチル、エチル、プロピル、n−ブチルまたはイソ−ブチルのアルキル基を含有するものが挙げられる。一態様において、例えば、アクリルコポリマー(B)のエチレン性不飽和モノマーは、アクリレート、メタクリレート、スチレン、(メタ)アクリル酸、およびビニルエステルの少なくとも1種から選択される。
【0034】
上記のように、アクリルコポリマーは、少なくとも1種のヒドロキシル官能基、エポキシ官能基、カルボキシル官能基、ブロック化フェノール官能基、またはアセトアセトキシ官能基であってエチレン性不飽和モノマーを他のアクリレートモノマー(例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート)と共重合することによって得られるものを含む。カルボキシ含有モノマーの例としては、アクリル酸および低級アルキル置換アクリル酸,例えばメタクリル酸等が挙げられる。ヒドロキシル含有モノマーの例としては、エチレン性不飽和モノマー,例えばヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシへキシルアクリレート、ヒドロキシへキシルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。反応剤の比および得られるアクリルポリマーの分子量は、平均官能性(例えば分子当たりのOH基の数)2もしくはそれ以上、または別の例において、4もしくはそれ以上を有するポリマーを与えるように選択できる。
【0035】
アクリルコポリマーは、当業者に周知の手順に従って調製でき、または市販で購入できる。例えば、市販で入手可能なヒドロキシル官能性アクリルレジンとしては、MACRYNALTMシリーズ(Cytec Surface Specialtiesから入手可能)、ACRYLOIDTMシリーズ(Rohm and Haas Companyから入手可能)、およびJONCRYLTMシリーズ(BASF Corporationから入手可能)が挙げられる。
【0036】
硬化性ポリエステルおよびアクリルコポリマーは、典型的には一緒にブレンドする。ブレンド物中のポリエステルの質量%は、ポリエステルおよびアクリルコポリマーの総質量基準で2〜50質量%である。ポリエステル/アクリルブレンド物中のポリエステルの量の他の例は、5〜40質量%、および最も好ましくは8〜30質量%である。
【0037】
我々の熱硬化性コーティング組成物は、硬化性ポリエステル、アクリルコポリマー、および架橋剤(上記の成分(A)、(B)および(C))の総質量基準で10〜50質量%の少なくとも1種の架橋剤を更に含むことができる。典型的には、架橋剤は、カルボン酸末端またはヒドロキシル末端のいずれかの硬化性ポリエステルおよびアクリルコポリマーとのブレンド物と反応できる化合物である。例えば、架橋剤は、エポキシド、メラミン、ヒドロキシアルキルアミド、イソシアネート、およびイソシアヌレートから選択される少なくとも1種の化合物を含むことができる。これらの架橋剤およびコーティングへのその適用は、当該分野で一般的に公知である。例えば、エポキシド架橋剤は、カルボン酸末端ポリエステルまたはカルボキシル官能性アクリルコポリマーと反応する。一方、メラミン、イソシアネート、イソシアヌレートは、ヒドロキシル末端ポリエステルおよびヒドロキシル官能性アクリルコポリマーと反応する。
【0038】
エポキシド架橋剤としては、これらに限定するものではないが、ビスフェノールAを含有するエポキシレジン、エポキシノボラックレジン、水素化ビスフェノールAを含有するエポキシレジン、ビスフェノールFを含有するエポキシレジン、トリグリシジルイソシアヌレート、およびこれらの架橋剤の組合せから選択される少なくとも1種のエポキシド化合物を挙げることができる。市販で入手可能なエポキシド架橋剤の幾つかの例としては、エポキシド,EPONTM 商標(Hexion Specialty Chemicalsから入手可能)で販売されるもの、およびARALDITETM 商標(Huntsman Advanced Materialsから入手可能)で販売されるもの、が挙げられる。
【0039】
メラミンまたは「アミノ」型の架橋剤もまた当該分野で周知であり、本発明において使用できる。よって、例えば、本発明のコーティング組成物は、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルウレア、および混合ブトキシ/メトキシ置換メラミンから選択される少なくとも1種のメラミン化合物を含むことができる。市販で入手可能なメラミン架橋剤の例としては、CYMELTM 300 シリーズおよびCYMELTM 1100 シリーズのメラミン架橋剤(Cytec Surface Specialtiesから入手可能)が挙げられる。
【0040】
エポキシドおよびメラミンに加え、イソシアネートおよびイソシアヌレートは、本発明に係る架橋剤として使用できる。代表的なイソシアネートおよびイソシアヌレートとしては、これらに限定するものではないが、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートのイソシアヌレート、メチレンビス−4,4’−イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−へキサメチレンジイソシアネートのビウレット、1,6−へキサメチレンジイソシアネート、1,6−へキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、およびトリフェニルメタン4,4’−4’’−トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、ポリイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ならびにエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、およびトリメチロールプロパンのイソシアネート末端付加物から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0041】
コーティング組成物はまた、ジオールおよびポリオール,例えばエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリメチロールプロパン等のイソシアネート末端付加物を、架橋剤として含むことができる。これらの架橋剤は、1モルよりも多いジイソシアネート(例えば上記されるもの)を、1モルのジオールまたはポリオールと反応させて、官能性が2から3の、より高分子量のイソシアネートプレポリマーを形成することにより形成する。イソシアネート末端付加物の幾つかの市販の例としては、イソシアネート架橋剤(DESMODURTMおよびMONDURTMの商標で、Bayer Material Scienceから入手可能)が挙げられる。
【0042】
本発明の一態様において、架橋剤は、少なくとも1種の脂肪族イソシアネートを含み、これは硬化したコーティングにおける良好な屋外耐久性および色安定性を付与できる。脂肪族イソシアネートの例としては、1,6−へキサメチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、およびこれらの組合せが挙げられる。イソシアネート架橋剤の混合物もまた採用できる。別の態様において、架橋剤は、1,6−へキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−へキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはこれらの混合物を含むことができる。更に別の態様において、架橋剤は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーを含むことができる。
【0043】
硬化性ポリエステルおよびイソシアネートの反応についてのストイキオメトリー計算は、当業者に公知であり、The Chemistry of Polyurethane Coatings,Technical Publication p.20(Bayer Material Science, 2005より)に記載されている。当業者は、ポリエステルレジンとイソシアネートとの間の架橋が、最大分子量および最適な特性(イソシアネート:ヒドロキシル比1:1(すなわち1当量のイソシアネート(−NCO)が1当量のヒドロキシル(−OH)と反応する場合)での分子量に関連し)に到達することを理解するであろう。しかし、典型的には、雰囲気、溶媒、および顔料からの付随の湿気との反応によるイソシアネートの損失を見越して小過剰のイソシアネート(5〜10%)を用いる。他のNCO:OH比を用いることができる;例えば、NCO対OHの比を1未満:1に変えて可撓性を改善すること、または1超:1にしてより硬く、より化学物質耐性で、かつより耐候性のコーティングを製造することが望ましい場合がある。
【0044】
本発明のコーティング組成物は、典型的には、NCO:OH比0.9:1.0〜1.5:1.0を有する。他のNCO:OH比の例は、0.95:1.0〜1.25:1.0および0.95:1.0〜1.1:1.0である。
【0045】
熱硬化性コーティング組成物はまた、硬化性ポリエステル、アクリルコポリマー、架橋剤、および溶媒(成分(A)、(B)、(C)および(D))の総質量基準で10〜60質量%の少なくとも1種の溶媒を含む。溶媒の例としては、これらに限定するものではないが、ベンゼン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、t−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、メチルアセテート、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジアセトンアルコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(Eastman Chemical Co.から、商標名TEXANOLTMで入手可能)、またはこれらの組合せが挙げられる。コーティング組成物はまた、反応性溶媒,例えば、ジアリルフタレート、SANTOLINKTM XI−100 ポリグリシジルアリルエーテル(Cytec Surface Specialtiesから入手可能)、および他の、例えば米国特許第5,349,026号および第5,371,148号に記載されるもの等を含むことができる。典型的には、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の総質量基準で40〜90質量%の固形分(すなわち不揮発分)を含む。本発明のコーティング組成物についての固形分質量%の幾つかの追加例は、50,60,65,70,75,80,および85質量%である。
【0046】
本発明のコーティング組成物は、任意に、少なくとも1種の架橋触媒を更に含むことができる。代表的な架橋触媒としては、カルボン酸、スルホン酸、3級アミン、3級ホスフィン、スズ化合物、またはこれらの化合物の組合せが挙げられる。架橋触媒の幾つかの具体例は、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸、安息香酸、トリフェニルホスフィン、ジブチルスズジラウレート、およびジブチルスズジアセテートから選択される1種以上の化合物である。架橋触媒は、典型的には、コーティング組成物において用いる架橋剤の種類に左右される可能性がある。例えば、架橋剤はエポキシドを含むことができ、そして架橋触媒はp−トルエンスルホン酸、安息香酸、3級アミン、およびトリフェニルホスフィンから選択される少なくとも1種の化合物を含むことができる。別の例において、架橋剤はメラミンまたは「アミノ」架橋剤を含むことができ、そして架橋触媒は、p−トルエンスルホン酸、非ブロック化ドデシルベンゼンスルホンおよびブロック化ドデシルベンゼンスルホン(本明細書で「DDBSA」と略す)、ジノニルナフタレンスルホン酸(本明細書で「DNNSA」と略す)およびジノニルナフタレンジスルホン酸(本明細書で「DNNDSA」と略す)を含むことができる。これらの触媒の幾つかは、商標名例えばNACURETM 155,5076,1051,および5225(King Industriesから入手可能)、ならびにBYK−CATALYSTSTM(BYK−Chemie USAから入手可能)等で市販で入手可能である。
【0047】
別の態様において、硬化性ポリエステルは、ヒドロキシル末端を含むことができ、そして架橋剤はイソシアネートを含むことができる。イソシアネート架橋触媒の例としては、FASCATTM 4202(ジブチルスズジラウレート)、FASCATTM 4200(ジブチルスズジアセテート)(両者はArkemaから入手可能)、DABCOTM T−12(Air Productsから入手可能)およびK−KATTM 348,4205,5218,XC−6212TM 非スズ触媒(King Industriesから入手可能)、ならびに3級アミンが挙げられる。
【0048】
別の例において、熱硬化性コーティング組成物は、25〜35質量%の溶媒、20〜35質量%のメラミン架橋剤、およびp−トルエンスルホン酸を含む架橋触媒、を含むことができる。更に別の例において、熱硬化性コーティング組成物は、25〜35質量%の溶媒、および20〜35質量%のヘキサメトキシメチルメラミンを含む。
【0049】
本発明の熱硬化性コーティング組成物は、当該分野で公知の1種以上のコーティング添加剤を更に含有することができる。好適なコーティング添加剤の例としては、これらに限定するものではないが、レベリング剤、レオロジー調整剤、流動調整剤,例えばシリコーン、フッ化炭素またはセルロース化合物;増量剤;可塑剤、艶消し剤;顔料湿潤および分散剤;紫外光(UV)吸収剤;UV光安定剤;消泡剤および泡止め剤;沈降防止剤、垂れ防止剤および増粘剤;皮張り防止剤;色むら防止剤および色浮き防止剤;ならびに腐食防止剤、の少なくとも1つが挙げられる。このような添加剤の具体例は、Raw Material Index and Buyer’s Guide,発行元 National Paint&Coatings Association,1500 Rhode Island Avenue,N.W.,Washington.,DC 20005、に見出すことができる。このような添加剤の幾つかの追加の例は、米国特許第5,371,148号に見出すことができる。
【0050】
艶消し剤の例としては、これらに限定するものではないが、合成シリカ(Davison Chemical Division of W.R.Grace&CompanyからSYLOIDTMとして入手可能);ポリプロピレン(Hercules Inc.からHERCOFLATTMとして入手可能);および合成シリケート(J.M.Huber CorporationからZEOLEXTMとして入手可能)が挙げられる。
【0051】
分散剤の例としては、これらに限定するものではないが、ナトリウムビス(トリデシル)スルホサクシネート、ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホサクシネート、ナトリウムジヘキシルスルホサクシネート、ナトリウムジシクロヘキシルスルホサクシネート、ジアミルナトリウムスルホサクシネート、ナトリウムジイソブチルスルホサクシネート、ジナトリウムイソデシルスルホサクシネート、スルホコハク酸のジナトリウムエトキシ化アルコール半エステル、ジナトリウムアルキルアミドポリエトキシスルホサクシネート、テトラ−ナトリウムN−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホサクシナメート、ジナトリウムN−オクタスルホサクシナメート、硫酸化エトキシ化ノニルフェノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0052】
粘度、懸濁、および流動の調整剤としては、これらに限定するものではないが、ポリアミノアミドホスフェート、ポリアミンアミドの高分子量カルボン酸塩、および不飽和脂肪酸のアルキレンアミン塩(全てBYK Chemie USAからANTI TERRATMとして入手可能)が挙げられる。更なる例としては、これらに限定するものではないが、ポリシロキサンコポリマー、ポリアクリレート溶液、セルロースエステル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアミドワックス、ポリオレフィンワックス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。例えば、熱硬化性組成物は、BYK 331(BYK−Chemieから入手可能)を流動およびレベリングの添加剤として含有できる。
【0053】
幾つかの独占所有権で保護された泡止め剤は市販で入手可能であり、これらに限定するものではないが、BUBREAKTM(Buckman Laboratories Inc.)、BYKTM(BYK Chemie,U.S.A.)、FOAMASTERTMおよびNOPCOTM(Henkel Corp./Coating Chemicals)、DREWPLUSTM(Drew Industrial Division of Ashland Chemical Company)、TROYSOLTMおよびTROYKYDTM(Troy Chemical Corporation)、ならびにSAGTM(Union Carbide Corporation)が挙げられる。
【0054】
UV吸収剤、UV光安定剤、および酸化防止剤の例としては、これらに限定するものではないが、置換ベンゾフェノン、置換ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、ヒンダードベンゾエート、フェノール、およびホスファイトが挙げられ、これらの幾つかは、Cytec Specialty ChemicalsからCYASORB(登録商標) UVとして、そしてCiba Specialty ChemicalsからTINUVIN(登録商標),CHIMASSORB(登録商標),IRGANOX(登録商標)およびIRGAFOS(登録商標)として入手可能であり;そしてジエチル−3−アセチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−ホスホネート、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ならびにレゾルシノールモノベンゾエートが挙げられる。例えば、一態様において、熱硬化性コーティング組成物は、IRGANOX(登録商標) 1010酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)を含有できる。
【0055】
上記のペイントまたはコーティングの添加剤は、一般的には、コーティング組成物の比較的小さい比率、典型的には0.05質量%〜5.00質量%を形成する。本発明の熱硬化性コーティング組成物は、顔料着色されていないクリアコートを主に意図するが、これらは、任意に、上記の添加剤に加えて1種以上の顔料を含有できる。
【0056】
例えば、本発明の追加の側面は、1種以上の顔料を含有する溶媒系熱硬化性コーティング組成物を包含する。顔料の典型的なレベルは、組成物の総質量基準で20〜60質量%であることができる。好適な顔料の例としては、表面コーティングの当業者によって理解されるものが挙げられる。例えば、顔料は、典型的な有機または無機の顔料、特にColour Index,3rd ed.,2nd Rev.,1982,発行元 Society of Dyers and Colourists(American Association of Textile Chemists and Colorists関連)に記載されるものであることができる。好適な顔料の他の例としては、これらに限定するものではないが、二酸化チタン、バライト、クレー、炭酸カルシウム、CI Pigment White 6(二酸化チタン)、CI Pigment Red 101(赤色酸化鉄)、CI Pigment Yellow 42、CI Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4(銅フタロシアニン);CI Pigment Red 49:1およびCI Pigment Red 57:1が挙げられる。着色剤,例えばフタロシアニンブルー、モリブデートオレンジ、またはカーボンブラック等もまたコーティング組成物に添加できる。
【0057】
熱硬化性コーティング組成物は、任意の一般的な基材,例えば紙;ポリマーフィルム,例えばポリエチレンまたはポリプロピレン;木材;金属,例えばアルミニウム、スチールまたはガルバナイズドシート;ガラス;ウレタンエラストマー;プライマー付の(塗装された)基材;等に適用できる。コーティング組成物は、基材上に、当該分野で公知の方法を用いて、例えばスプレー、ドローダウン、ロールコート等によって、0.5〜4milのウエットコーティングを基材上にコートできる。コーティングは、環境温度(室温)で硬化させることができ、または強制換気オーブン内で温度50℃〜175℃に、5〜120分間加熱し、そして続いて放冷することができる。よって、本発明の更なる側面は、本発明のコーティング組成物でコートされて硬化されている成形品または形成品である。典型的な適用および硬化方法の更なる代表例は、米国特許第4,737,551号および第4,698,391号および第3,345,313号に見出すことができる。
【0058】
本発明の更なる側面は:
(A).(A)、(B)および(C)の総質量基準で2〜50質量%の硬化性ポリエステルであって
i.二塩基酸残基の総モル基準で20〜100モル%のイソフタル酸残基から本質的になる二塩基酸残基;
ii.ジオール残基の総モル基準で、20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基および80〜0モル%のネオペンチルグリコール残基、から本質的になるジオール残基;ならびに
iii.2〜40モル%の、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、エリスリトール、およびジペンタエリスリトールから選択される少なくとも1種のポリオールの残基;
から本質的になり、数平均分子量500〜10,000ダルトン、ガラス転移温度−35℃〜80℃、ヒドロキシル価20〜300mgKOH/ポリエステルg、および酸価0〜80mgKOH/ポリエステルgを有する、硬化性ポリエステル;
(B).(A)、(B)および(C)の総質量基準で25〜88質量%の、少なくとも1種のヒドロキシル官能基、エポキシ官能基、カルボキシル官能基、ブロック化フェノール官能基、またはアセトアセトキシ官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマー;
(C).(A)、(B)および(C)の総質量基準で10〜50質量%の、エポキシド、メラミン、イソシアネートおよびイソシアヌレートから選択される少なくとも1種の架橋剤;ならびに
(D).(A)、(B)、(C)および(D)の総質量基準で10〜60質量%の、少なくとも1種の溶媒;
(E).p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸、安息香酸、トリフェニルホスフィン、ジブチルスズジラウレート、およびジブチルスズジアセテートから選択される少なくとも1種の化合物を含む架橋触媒;ならびに
(F).レベリング剤、レオロジー剤、流動調整剤、可塑剤、艶消し剤、顔料湿潤および分散剤、顔料、染料、紫外光吸収剤、紫外光安定剤;消泡剤、泡止め剤、沈降防止剤、垂れ防止剤、増粘剤、皮張り防止剤;色むら防止剤、色浮き防止剤、ならびに腐食防止剤から選択される少なくとも1種のコーティング添加剤;
から本質的になる、熱硬化性コーティング組成物である。
【0059】
上記の熱硬化性コーティング組成物は、前記した、種々の態様の硬化性ポリエステル、アクリルコポリマー、架橋剤、溶媒、架橋触媒およびコーティング添加剤を包含することが理解される。本明細書で用いる語句「から本質的になる」は、上記に列挙する成分(A)〜(F)を有する熱硬化性コーティング組成物を網羅することを意図し、そして該語句が言及する組成物の本質的な特性を実質的に変化させる任意の要素を排除することが理解される。例えば、組成物は、硬化性ポリエステル、アクリルコポリマー、および溶媒のヘイズまたは混和性を変えない他の成分を包含できる。例えば、この混和性を変える場合がある追加のジオール成分または二塩基酸成分の添加は、本態様から排除されることになる。例えば、ポリエステルポリマーの結晶性を増大させ、そして混和性を低下させることが当該分野で公知のジオール残基または二塩基酸残基の50モル%以上の添加は、本態様から排除される。結晶性を増大させ、そして混和性を低減することが予想される二塩基酸およびジオールの幾つかの代表的な分類としては、これらに限定するものではないが、パラ置換芳香族のジオールまたは二塩基酸の成分、多核芳香族の二塩基酸またはジオール、および脂環式のジオールおよび二塩基酸(ここで、ジオール基および二塩基酸基は1,4−置換パターンまたは互いに「パラ」関係にある)が挙げられる。この態様から排除される二塩基酸およびジオールの成分の幾つかの例は、50モル%以上のテレフタル酸、50モル%以上の1,6−ナフタレンジカルボン酸、75モル%以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、50モル%以上のビスフェノールA、75モル%以上の1,4−シクロヘキサンジメタノール、および50モル%以上の水素化ビスフェノールA、の残基である。全てのモル%は二塩基酸残基またはジオール残基の総モル基準である。
【0060】
一方、上記態様に包含される組成物の幾つかの例は、例えば、二塩基酸成分が、20〜80モル%のイソフタル酸、および80〜20モル%のアジピン酸から本質的になり、そして、ジオール成分が、20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基から本質的になるものである。別の例において、二塩基酸成分は、30〜70モル%のイソフタル酸残基および70〜30モル%のアジピン酸残基から本質的になることができ、そして、ジオール成分は、20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基から本質的になる。別の例において、二塩基酸成分は、40〜60モル%のイソフタル酸残基および60〜40モル%のアジピン酸残基から本質的になることができる。前記のように、二塩基酸成分は、更に、30モル%以下の、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびグルタル酸からから選択される少なくとも1種の二塩基酸の残基から本質的になることができる。別の例において、コーティング組成物は、50〜100モル%のイソフタル酸残基、0〜50モル%のアジピン酸残基、100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、および10モル%のトリメチロールプロパン残基から本質的になることができ、ここで、硬化性ポリエステルは、ポリエステル1グラム当たりのヒドロキシル価30〜250mg水酸化カリウム、ポリエステル1グラム当たりの酸価2〜15mg水酸化カリウム、Tg−20℃〜50℃、および数平均分子量700〜7000ダルトンを有する。
【0061】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基に加えて、ジオール成分は、50モル%の、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、および水素化ビスフェノールAから選択される少なくとも1種のジオール残基から本質的になることができる。
【0062】
前記したように、コーティング組成物は非水性溶媒(D)を含み、これは、ベンゼン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、t−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、メチルアセテート、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノ−イソブチレート、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジアセトンアルコール、および2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートから選択される少なくとも1種の有機液体を含むことができる。本発明を以下の例によって更に説明する。
【0063】

比較例ポリエステルレジンの調製および得られる特性−比較例ポリエステルレジン1(表1中「CE1」と示す)を下記手順に従って、目的数平均分子量=2500ダルトンおよび最終酸価=10で調製した。レジンは、従来の溶融加工方法で形成した。レジンは、2リットル反応ケトル(加熱マントル、機械撹拌器、熱電対、窒素ブランケット(0.4scfh)、油熱部分凝縮器(103℃〜105℃、凝縮物トラップ、および水冷全縮器(15℃)を備える)内で調製した。ケトル頂部およびケトルからカラムへのアダプターをアルミニウム箔で覆って、水の除去を容易にした。ネオペンチルグリコール(「NPG」)およびトリメチロールプロパン(「TMP」)を反応器に入れて、室温から150℃まで60分かけて加熱して均一溶融物を形成した。次いで撹拌(300rpm)を開始させ、そしてイソフタル酸および触媒を入れ、そして完全に混合してスラリーを形成した。温度を150℃から180℃に15分間かけて上げ、次いで235℃まで360分間かけて加熱した。最終酸価9±2mgKOH/レジンgが得られるまで、反応混合物を235℃に保持した。次いでレジンを金属塗料缶内に注いだ。
【0064】
比較ポリエステルレジン例2,3および4(表1中のCE2、CE3、およびCE4)を、下記手順に従って、目的数平均分子量=1250、ヒドロキシル質量当量=500gレジン/eqOH、ヒドロキシル官能性=2.5および最終酸価=8で調製した。レジンは、溶媒プロセスを用いて形成して、エステル化の水の除去を助けた。レジンは2リットル反応ケトル(加熱マントル、機械撹拌器、熱電対、窒素ブランケット(0.6scfh)、油熱部分凝縮器(103℃〜105℃)、凝縮物トラップ、および水冷全縮器(15℃)を備える)内で調製した。凝縮物トラップ、ケトル頂部およびケトルからカラムへのアダプターをアルミニウム箔および繊維ガラステープで覆って、水の除去を容易にした。段階1の原料を反応器に入れた。追加のキシレン(約30g)を用いて水分トラップを満たした。次いで温度を室温から150℃まで90分間に亘って増大させて、均一な溶融物を形成した。撹拌(300rpm)を開始し、温度を230℃まで240分間に亘って増大させた。理論上の凝集物の半分が収集された時点で、段階2のTMPを添加した。最終酸価6±2mgKOH/レジンgが得られるまで、反応混合物を230℃で保持した。次いでレジンを金属塗料缶内に注ぎ入れた。
【0065】
各レジンの酸価、数平均分子量(「Mn」)およびガラス転移温度(「Tg」)を評価した。表1および2に示す。酸価は、ASTM法 1639を用いて評価した。ヒドロキシル価は、レジンを過剰の無水酢酸とピリジン中で反応させることによってエステル化し、次いで未反応無水物を水で分解することにより評価した。次いで、得られる酢酸を、KOHの標準溶液で滴定する。上記手順において、1グラムのレジンサンプルから生じる酢酸を中和するのに必要なKOHのミリグラムを、ヒドロキシル価として報告する。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(Agilent 1100シリーズ GPC−SECシステム)によって、屈折率検出器およびポリスチレン標準で評価した。
【0066】
比較例ポリエステルレジンCE1のTgは、示差走査熱量計(Mettler Toledo 821 DSC)を用いて評価した。サンプルは、窒素パージ下、1回目加熱サイクルで−20℃から160℃までスキャンし、溶融物から冷却し、そして−20℃から160℃までの2回目加熱に供した。加熱および冷却の速度は20℃/分であった。2回目加熱サイクルの中間点をサンプルのTgとして報告する。
【0067】
比較例ポリエステルレジンCE2、CE3およびCE4について、上記手順のレジンのTgは、Tg測定を低くする可能性がある、溶媒プロセスにより残留する残留キシレンを除去するように調整した。より正確なTgを得るために、レジンサンプルをまず、熱重量分析(「TGA」)装置内で前状態調整に供した。該レジンサンプルをステンレススチールの示差走査熱量計(「DSC」)パン内に入れ、そして窒素雰囲気下で室温から150℃まで、速度5℃/分で加熱した。次いでサンプルを示差走査熱量計(調整能力を有する)(TA Instruments Q2000 MDSC,Universal software V4.3Aを備える)に移した。1回目加熱サイクルで、サンプルを窒素雰囲気下で−120℃から125℃まで速度5℃/分で、±0.796℃/分の変調速度で加熱した。次に、これを−120℃まで5℃/分で、±0.796℃/分の変調速度で冷却した。2回目加熱サイクルについて、サンプルを1回目加熱サイクルで用いたのと同じ条件下で加熱した。2回目加熱サイクルの中間点をサンプルのTgとして報告する。
【0068】
【表1】

【0069】
(a)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(Eastman).
(b)計算の使用質量基準で1質量%過剰のグリコールを含む.
(c)トリメチロールプロパン(Perstorp).
(d)イソフタル酸(Eastman).
(e)アジピン酸(DuPont).
(f)ブチル第二スズ酸(Arkema).
【0070】
ポリエステルレジンの調製および得られる特性−例のポリエステルレジン配合物E5〜E9は、溶媒プロセスを用いて、比較例ポリエステルレジンCE2、CE3およびCE4について記載したのと同じ目的レジン特性で調製した。そして表2に記載する。例のポリエステルレジン配合物E10は、溶融プロセスを用いて、比較例ポリエステルレジンCE1について記載したのと同じ目的レジン特性で調製した。レジン特性は、比較例ポリエステルレジンについて記載したのと同じ様式で評価した。そして表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
(a)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(Eastman).
(b)計算の使用質量基準で1質量%過剰のグリコールを含む.
(c)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(Eastman).
(d)トリメチロールプロパン(Perstorp).
(e)イソフタル酸(Eastman).
(f)アジピン酸(DuPont).
(f)ブチル第二スズ酸(Arkema).
【0073】
ポリエステル/アクリルブレンド物の親和性−ポリエステルレジンは、市販で入手可能なアクリルレジン、MACRYNALTM SM 515/70BAC(Cytec Surface Specialtiesから入手可能)との親和性について評価した。MACRYNALTM SM 515は、脂肪族ポリイソシアネートとの架橋性を有するヒドロキシ官能性アクリルレジンであり、その製造元によって、風乾および強制換気乾燥を使用することが推奨されている、2液型高固形分自動車補修コーティングである。
【0074】
SETALTM 1603BA−78(Nuplex Resinsから入手可能)は、良好な乾燥特性および良好な完全硬化(through-hardening)および高硬度を、脂肪族ポリイソシアネートとの組合せで有する、市販で入手可能なポリエステルレジンである。2液型高固形分クリアコートおよび固体有色トップコート(乗用物補修用)においてアクリルレジンとの組合せで共バインダーとして用いることが製造元によって推奨されている。アクリルは、SETALTM 1603との組合せで、現在可能な技術を代表する市販物質を用いて、追加の比較例の役割を果たす。
【0075】
ポリエステルおよびアクリルレジンの1:1ブレンド物を、60質量%固形分で、n−ブチルアセテート中で評価した。全てのポリエステルレジンは、n−ブチルアセテート中の固形分が70質量%に低減された。SETALTM 1603は、n−ブチルアセテート中、78質量%固形分の溶液として供給する。追加のn−ブチルアセテートは、レジン固形分を70質量%に低減することを必要とする。MACRYNALTM SM 515は、n−ブチルアセテート中の70質量%溶液として供給する。4オンス瓶に、40.0gの各70質量%固形分のレジン溶液を添加した。次いで、別の13.3gのn−ブチルアセテートを添加して、93.3gの、レジンの60質量%固形分ブレンド物を形成した。溶液を室温で約24時間回転させて成分を混合した。幾つかの例は、ブレンド物を密に混合するために、スチームキャビネット内、71℃(160°F)での追加の回転を必要とした。各々のポリエステル/アクリルブレンド物の一部を、10milの湿潤フィルムとしてガラス上にキャストし、そしてオーブン内で60分間52℃(125°F)にて乾燥させ、続いて室温で7日間、評価前に乾燥させた。
【0076】
ポリエステルとアクリルレジンとの親和性は、溶液を目視検査で、そして乾燥フィルムを目視検査で、そしてBYK−Gardner haze−gard plus装置で測定したときのヘイズパーセントを、ASTM法D 1003,Method Aで評価することによって評価した。そして表3に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
比較例ブレンド物CE11は、より高分子量のポリエステルレジン(NPGおよび100モル%のイソフタル酸を有する)を含有する。同様に、比較例ブレンド物CE12は、より低分子量のポリエステルレジン(NPGおよび100モル%のIPA含有量を有する)を含有する。両者は、アクリルレジンとの乏しい親和性を有する。
【0079】
比較例ブレンド物CE13およびCE14においては、ポリエステル配合物中、それぞれ20モル%および50モル%のイソフタル酸がアジピン酸(「AD」)で置換されている。ADレベルが二塩基酸成分の50モル%に到達する場合のみ、NPGポリエステルがアクリルレジンとの親和性を有する。Nuplexの技術文献で示唆されるように、SETALTM 1603は、比較例ブレンド物CE15中でアクリルレジンとの親和性を有する。
【0080】
E16〜E19において、ブレンド物は、50:50モルIPA/ADの一定の二塩基酸成分で、TMCD含有量が増大するポリエステルレジンを含有する。これらのポリエステルの全ては、アクリルレジンとの良好な親和性を示す。
【0081】
例のブレンド物E20は、80:20モル比のIPA/ADを有するTMCDポリエステルレジンを含有する。比較例ブレンド物CE13中のポリエステルレジンとは異なり、このポリエステルは、アクリルレジンとの良好な親和性を示す。
【0082】
例のブレンド物E21は、二塩基酸成分としての全IPAを有して、50:50モル比のNPG:TMCDを有する高分子量のポリエステルレジンを含有する(高芳香族酸含有量)。比較例ブレンド物CE11中のポリエステルとは異なり、このポリエステルはアクリルレジンとの親和性を有する。
【0083】
クリアコート配合、乾燥時間、垂れ防止性および硬度発現−明澄なポリウレタンコーティングを調製した。そして表4に示す。レジンは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(Rhodia TOLONATETM HDT−LV)で、1.1:1 NCO:OH比にて架橋した。
【0084】
外気環境において、薄いフィルム,例えば自動車補修クリアコートの乾燥プロセスは、Advanced Rheometrics Expansion System (「ARES」)レオメーター(TA Instrumentsから入手可能)を用いてシミュレートした。乾燥挙動を時間の関数として評価するために用いるこのレオロジー的方法は、Proceedings of the International Waterborne,High−Solids,and Powder Coatings Symposium(2004),31st 221−36(K.S.Seo,らによる)に詳細に記載されている。表4中のクリアコート配合物は、挙げている量の1/10に縮小した。パートA成分を4オンスのガラス瓶に添加し、約24時間回転させた。次いで、パートB架橋剤を添加し、高速ローラー上で5分間混合した。1mLのMonojectツベルクリンシリンジ(Sherwood Medicalから入手可能)を用いて、約0.1mLまたは0.2mLのコーティングをレオメーター試験領域に移した。これは浅い円形鉢で深さ0.2mmを有する。その後、ガラス側の端部を用いて液体表面をならした。次いで幅0.28mmおよび長さ15mmのT棒を液体中に浸漬した。鉢の底部とT棒の下部との間のギャップは0.05mmであった。コーティングの動力学的な掃動は、25rad/秒の周波数および100%歪で実施した。レオロジープロファイルは、76℃±1℃および相対湿度46%±2%で形成された。各クリアコートについて収集した粘度データを表5に示す。乾燥時間(分単位)は、クリアコート粘度が4に到達した点として規定し、表6に示す。乾燥時間はまた、クリアコートの垂れ防止性に置き換えることができる。より速い乾燥時間はより良好な垂れ防止性を示す。
【0085】
クリアコートの硬度発現を測定するためのサンプルは、表4に列挙する配合を用いて調製した。パートA成分を8オンスのガラス瓶に添加した。物質を約24時間回転させた。次いで、パートBの架橋剤をパートAに添加し、そしてローラー上で約30分間完全に混合した後、適用した。ドローダウンカップを用いて、10milの湿潤フィルムをガラス上に適用した。次いで、クリアコートを60℃±2℃にて20分間強制換気乾燥させ、続いて、4週間かけて室温硬化させた。クリアコートの硬度は、1,2,7,14,21および28日後に室温にて評価した。そして表6に示す。硬度は、Tukonマイクロハードネステスターで倍率20倍にて、ASTM法D3363に従って測定した。
【0086】
クリアコート配合物中での、ポリエステルのアクリルレジンおよびイソシアネート架橋剤との親和性を、表6に示す。そしてこれは、60日後の乾燥フィルムを、BYK−Gardner haze−gard plus装置で、ASTM法D 1003,Method Aに従って測定したときのヘイズパーセントによって評価することによって評価した。
【0087】
ポリエステルは、アクリルの一部を置換するために用いた場合、コーティングの乾燥時間、垂れ防止性、硬度発現または明澄性に対する影響を殆どまたは全く有さないことが望ましい。表6中の乾燥時間は、例のクリアコートE27(TMCDポリエステルを含有する)が、比較例クリアコートCE22、CE23およびCE24と比べて乾燥時間を加速させたことを示す。例のクリアコートE25およびE26(これらはTMCDポリエステルレジンを含有する)は、比較例CE23(市販のSetalポリエステルを含有する)と比べて乾燥時間を改善した。コーティングの乾燥が速いほど、垂れ防止性能も改善する。
【0088】
表6中のTukon硬度結果は、クリアコート例E26およびE27(TMCDポリエステルを含有する)は、早期の硬度発現(初めの7日に亘って)を示す。これは比較例CE22と同様であり、そしてCE23およびCE24と比べて改善されたものである。より長期(14〜28日)に亘って、例のクリアコート(TMCDレジンを含有する)は、比較例CE22と同様の硬度を発現する。比較例クリアコートCE23(SETALTM ポリエステルを含有する)およびCE24(NPGポリエステルを含有する)は、最も柔軟なクリアコートであった。全てのクリアコートは、ヘイズパーセントで測定したときの良好な明澄性を示した(表6参照のこと)。
【0089】
【表4】

【0090】
(a)Cytec Surface Specialties.
(b)Nuplex Resins.
(c)Air Products(ジブチルスズジラウレート)
(d)BYK−Chemie.
(e)Ciba.
(f)Rhodia(脂肪族ポリイソシアネート HDIトリマー).
【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A).(A)、(B)および(C)の総質量基準で2〜50質量%の硬化性ポリエステルであって、
i.二塩基酸残基の総モル基準で20〜100モル%のイソフタル酸残基、を含む二塩基酸残基;
ii.ジオール残基の総モル基準で10〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、を含むジオール残基;
iii.ジオール残基とポリオール残基との総モル基準で2〜40モル%の少なくとも1種のポリオールの残基;
を含み、
数平均分子量500〜10,000ダルトン、ガラス転移温度−35℃〜100℃、ヒドロキシル価20〜300mgKOH/ポリエステルg、および酸価0〜80mgKOH/ポリエステルg、を有する硬化性ポリエステル;
(B).(A)、(B)および(C)の総質量基準で25〜88質量%の、少なくとも1種のヒドロキシル官能基、エポキシ官能基、カルボキシル官能基、ブロック化フェノール官能基、またはアセトアセトキシ官能基を含むエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種のアクリルコポリマー;ならびに
(C).(A)、(B)および(C)の総質量基準で10〜50質量%の、カルボン酸または水酸基との反応性を有する少なくとも1種の化合物を含む少なくとも1種の架橋剤;
(D).(A)、(B)、(C)および(D)の総質量基準で10〜60質量%の、少なくとも1種の非水性溶媒;
を含む、熱硬化性コーティング組成物。
【請求項2】
該二塩基酸残基(i)が、30〜70モル%のイソフタル酸残基を含み、そして70〜30モル%のアジピン酸残基を更に含み;そして該ジオール残基(ii)が、20〜100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
該二塩基酸残基(i)が、40〜60モル%のイソフタル酸残基および60〜40モル%のアジピン酸残基を含む、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
該二塩基酸残基(i)が、30モル%以下の、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびグルタル酸から選択される少なくとも1種のジカルボン酸の残基を更に含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
該ジオール残基(ii)が、90モル%以下の、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、および水素化ビスフェノールAから選択される少なくとも1種のジオールの残基を更に含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
該ポリオール残基(iii)が、3〜30モル%の、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、エリスリトール、スレイトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、およびグリセリンから選択される少なくとも1種のポリオールの残基を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
該ジオール残基(ii)が、40〜60モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、60〜40モル%のネオペンチルグリコール残基を含み、そして該ポリオール残基(iii)が、2〜40モル%の、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、エリスリトール、およびジペンタエリスリトールから選択される少なくとも1種のポリオールの残基を含む、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
該二塩基酸残基(i)が、50モル%のイソフタル酸残基、50モル%のアジピン酸残基を含み、該ジオール残基(ii)が、50モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、50モル%のネオペンチルグリコール残基を含み、そして該ポリオール残基(iii)が、10モル%のトリメチロールプロパン残基を含む、請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
50〜100モル%のイソフタル酸残基、0〜50モル%のアジピン酸残基、100モル%の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール残基、および10モル%のトリメチロールプロパン残基を含み、該硬化性ポリエステルが、ポリエステル1グラム当たりのヒドロキシル価30〜250mg水酸化カリウム、ポリエステル1グラム当たりの酸価2〜15mg水酸化カリウム、Tg−20℃〜50℃、および数平均分子量700〜7000ダルトンを有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
該アクリルコポリマー(B)のエチレン性不飽和モノマーが、アクリレート、メタクリレート、スチレン、(メタ)アクリル酸、およびビニルエステルの少なくとも1種から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
該架橋剤(C)が、エポキシド、メラミン、イソシアネート、およびイソシアヌレートから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
該架橋剤(C)が、ビスフェノールAを含有するエポキシレジン、エポキシノボラックレジン、ビスフェノールFを含有するエポキシレジン、およびトリグリシジルイソシアヌレートから選択される少なくとも1種のエポキシド化合物を含む、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
該架橋剤(C)が、ヘキサメトキシ−メチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルウレア、および混合ブトキシ/メトキシ置換メラミンから選択される少なくとも1種のメラミン化合物を含む、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
該架橋剤(C)が、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートのイソシアヌレート、メチレンビス−4,4’−イソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−へキサメチレンジイソシアネートのビウレット、1,6−へキサメチレンジイソシアネート、1,6−へキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、およびトリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、ポリイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ならびにエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、およびトリメチロールプロパンのイソシアネート末端付加物から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
該溶媒(D)が、ベンゼン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、t−ブチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、メチルアセテート、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジアセトンアルコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
25〜35質量%の溶媒、および20〜35質量%のヘキサメトキシメチルメラミンを含む、請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
レベリング剤、レオロジー剤、流動調整剤、可塑剤、艶消し剤、顔料湿潤および分散剤、架橋触媒、顔料、染料、紫外光吸収剤、紫外光安定剤、消泡剤、泡止め剤、沈降防止剤、垂れ防止剤、増粘剤、皮張り防止剤、色むら防止剤、色浮き防止剤、および腐食防止剤から選択される少なくとも1種のコーティング添加剤を更に含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
請求項1に記載のコーティング組成物でコートされている、成形品。

【公表番号】特表2012−517499(P2012−517499A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549147(P2011−549147)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/000215
【国際公開番号】WO2010/090714
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】