説明

テルペン系ジメチロール化合物

【課題】本発明は、ポリマー原料や粘接着剤原料、香料、顕色剤、感光性レジスト材料、界面活性剤、可塑剤、殺虫剤、殺菌剤、医薬品、ゴム用薬品などの原料、反応溶媒、熱媒、光学材料、洗浄剤、電子部品関連における製造原料等として、耐水性、耐吸湿性、密着性、電気絶縁性などを向上させる新規なテルペン系ジメチロール化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、アロオシメン、ミルセン、オシメン、α−ファルネセン、β−ファルネセンから選ばれた少なくとも1種の化合物(a)と、不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物(b)を反応させ、つづいて、還元反応を行うことより得られるテルペン系ジメチロール化合物である。化合物(a)としてはアロオシメンやミルセンが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジメチロール化合物に関し、さらに詳細には、不飽和ポリエステルや飽和ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポリマー原料や、熱可塑性ゴム系、オレフィン系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの粘接着剤原料や顕色剤、感光性レジスト材料、界面活性剤、可塑剤、殺虫剤、殺菌剤、医薬品、ゴム用薬品などの原料、香料、反応溶媒、樹脂改質剤、熱媒、光学材料、洗浄剤、電子部品関連における製造原料として使用することにより、耐水性、耐吸湿性、密着性、電気絶縁性などの性能の向上を図ることができる新規なジメチロール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不飽和ポリエステルや飽和ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリアセタール、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの原料として、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセリンなどのジオール類やポリオール類、そしてビスフェノールAなどのジフェノール類、あるいはそれらの誘導化合物が使用されている。
【0003】
具体的には、不飽和ポリエステルや飽和ポリエステルなどのポリエステル樹脂やポリウレタンにエチレングリコール、1,4−プタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール類が使用される(特許文献1)。また、エポキシ樹脂などの原料としてビスフェノールAが使用されている。
【特許文献1】特開平05−001133号公報
【0004】
しかしながら、これらのポリマーは、その用途によっては必ずしも性能を満足していない。例えば、不飽和ポリエステルや飽和ポリエステルなどのポリエステル樹脂やポリウレタンなどの場合は耐水性などの物性が、充分満足できる程度のものとなっていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたもので、ポリマー原料や粘接着剤原料、香料、顕色剤、感光性レジスト材料、界面活性剤、可塑剤、殺虫剤、殺菌剤、医薬品、ゴム用薬品などの原料、反応溶媒、熱媒、光学材料、洗浄剤、電子部品関連における製造原料等として、耐水性、耐吸湿性、密着性、電気絶縁性などを向上させる新規なテルペン系ジメチロール化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アロオシメン、ミルセン、オシメン、α−ファルネセン、β−ファルネセンから選ばれた少なくとも1種の化合物(a)と、不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物(b)を反応させ、つづいて、還元反応を行うことより得られるテルペン系ジメチロール化合物である。化合物(a)としてはアロオシメンやミルセン、化合物(b)としてはフマル酸が好ましい。また、これら化合物(a)と化合物(b)の反応としては、ディールス−アルダー反応が好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のテルペン系ジメチロール化合物は、不飽和ポリエステルや飽和ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポリマー原料として、耐水性、耐吸湿性、密着性、電気絶縁性などを向上させることができる。特に、本発明のテルペン系ジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸化合物とを反応させて得られるジ(メタ)アクリレート化合物は、フォトレジスト、コーティング剤、インキ、塗料、電気絶縁材料などの感光性材料組成物などとして利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のテルペン系ジメチロール化合物について説明する。
本発明のテルペン系ジメチロール化合物は、アロオシメン、ミルセン、オシメン、α−ファルネセン、β−ファルネセンから選ばれた少なくとも1種の化合物(a)と、不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物(b)を反応させ、つづいて、還元反応を行うことより得られるテルペン系ジメチロール化合物である。
【0009】
ここで、化合物(a)のアロオシメン、ミルセン、オシメン、α−ファルネセン、β−ファルネセンについて説明する。これら化合物は、単独または2種以上を併用して使用してもよい。好ましくは、コスト面等から、アロオシメン、ミルセンである。
ここで、アロオシメン(化1)、ミルセン(化2)、オシメン(化3)、α−ファルネセン(化4)、β−ファルネセン(化5)の化学構造式を化1〜化5に記載する。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
化合物(b)について説明する。
化合物(b)は、不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルである。通常、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸ジアルキルエステルなどを用いることができる。
不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルのアルキル成分としては、特に制限はなく、例えば、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジブチルなどが挙げられる。
これらの中で、好ましくは、コスト面等から、フマル酸である。
また、これら不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルは、単独または2種以上を併用して使用してもよい。
また、
【0016】
上記化合物(a)と化合物(b)の反応としては、特に限定されないが、通常、環化付加反応が用いられる。好ましくはディールス−アルダー反応と呼ばれる環化付加反応が用いられる。このようにして得られる化合物は、通常、二重結合を有する環化付加反応物である。
【0017】
この環化付加反応の反応方式は特に限定されないが、バッチ反応でも連続反応でも反応できる。
【0018】
この環化付加反応の反応温度は、通常、0〜250℃、好ましくは30〜200℃、さらに好ましくは50〜180℃に加熱することで反応が行なわれる。反応温度が0℃未満だと反応速度が極端に遅く、また250℃を超えると、重合などの副反応が顕著になり好ましくない。
【0019】
この環化付加反応は、通常、無触媒で行われるが、触媒を用いて行ってもよい。反応触媒としては特に限定されないが、好ましくは通常、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、活性白土などの酸触媒が用いられる。
また、溶媒は使用しなくてもよいが、パラメンタン等の高沸点の二重結合や官能基を有しない溶媒を使用してもよい。
【0020】
このようにして得られた二重結合を有する環化付加反応物に、続いて二重結合への水素添加反応を行い、さらに還元反応を行うと、目的のジメチロール化合物が得られる。しかしながら、特に二重結合への水素添加反応を行わず、そのまま還元反応を行ってもよい。この場合、二重結合が残ったジメチロール化合物が得られるが、この二重結合はエポキシ化したり、重合反応などに利用することができる。二重結合の水素添加反応、および還元反応の方法は特に限定されないが、通常、以下の2通りの方法が挙げられる。
【0021】
すなわち、第1の方法は、まず触媒の存在下で水素による環化付加反応物の二重結合の水素添加反応を行った後、還元剤にて不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元してジメチロール化合物を得る方法である。
【0022】
この水素添加反応で使用される触媒としては、特に限定されるものではなく、通常、水素添加反応用の金属触媒が用いられる。例えば、ニッケル系、銅系、パラジウム系、白金系などの触媒が挙げられる。また、水素添加反応の温度は、0〜300℃が好ましく、さらに好ましくは25〜100℃である。この場合、金属触媒の使用量は、環化付加反応物に対して、通常、0.1〜30重量%、好ましくは1〜25重量%である。
【0023】
また、この還元反応で使用される還元剤は、特に限定されるものではないが、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化硼素ナトリウム、ナトリウム水素化ビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムなどの還元剤が挙げられる。
【0024】
この還元反応の反応温度は、通常、0〜120℃、好ましくは30〜100℃で反応が行われる。この場合、還元剤の使用量は、原料である飽和環化付加反応物1モルに対して、通常、1.6〜3.0モル、好ましくは2.0〜2.4モルである。
【0025】
また、第2の還元反応の方法は、触媒を用い水素による接触水素化還元反応により、環化付加反応物の二重結合および不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元してジメチロール化合物を得る方法である。
【0026】
その際使用される触媒は、特に限定されるものではなく、通常使用される接触還元触媒が使用できる。例えば、銅−クロム系触媒、銅−鉄−アルミニウム系触媒、パラジウム系、白金系、ルテニウム系などの金属系触媒などが挙げられる。また、温度は、0〜500℃が好ましく、さらに好ましくは100〜300℃である。この場合の金属系触媒の使用量は、環化付加反応物に対して、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%である。
また、前記水素化触媒で二重結合を水素添加したのちに、銅−クロム系触媒、銅−鉄−アルミニウム系触媒などの還元触媒で不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元することもできる。この場合、温度は、0〜500℃、好ましくは100〜300℃であり、また、還元触媒の使用量は、飽和環化付加反応物に対して、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%である。
【0027】
このようにして生成したジメチロール化合物は、精製することにより高純度の製品として得られる。その精製方法は特に限定されないが、例えば、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0028】
このようにして生成したジメチロール化合物として、化合物(a)であるアロオシメンと、化合物(b)であるフマル酸をディールス−アルダー反応させ、還元反応を行うことより得られるテルペン系ジメチロール化合物として式(1)に代表される化合物が考えられる。
また、化合物(a)であるミルセンと、化合物(b)であるフマル酸をディールス−アルダー反応させ、還元反応を行うことより得られるテルペン系ジメチロール化合物として式(2)が考えられる。
【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【実施例】
【0031】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記実施例における分析は、下記の機器を使用した。
赤外吸収装置(IR):Perkin Elmer社製、Spectrum one
ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS):HEWLETT PACKARD社製、HP6890 GC System、カラム:HP−5MS(Crosslinked 5% Ph Me Siloxane)、30m×0.25mm×0.25μm、イオン化モード:EI
NMR:日本電子(株)社製、JNM−LA400、周波数400MHz(溶媒:CDCl3、内部標準物質:テトラメチルシラン)
【0032】
実施例1
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた500ml三つ口フラスコに、ヤスハラケミカル(株)製アロオシメン74g(純度92%、0.5モル)およびフマル酸58g(0.5モル)を仕込み、撹拌しながら昇温して、150〜160℃で12時間反応した。反応後、アセトンから再結晶することにより、フマル化アロオシメン83g(アロオシメン基準で収率62%、純度94%)を得た。
【0033】
続いて、電磁撹拌装置を備えた内容500mlのオートクレーブに、上記で得られたフマル化アロオシメン72g(0.27モル)、2−プロパノール140g、および粉末状の5%パラジウムカーボン触媒0.7gを仕込んだ。次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス15kg/cm2の圧力をかけながら導入した。そして、撹拌を開始すると、内温が27℃から32℃へ上昇した。吸収された水素を補うことで圧力を15〜20kg/cm2に保ちながら4時間反応させた。その後、得られた懸濁液をブフナーロートで吸引ろ過を行い、触媒をろ別した。その後、ろ液を減圧濃縮することにより、水添フマル化アロオシメン72g(収率95%、純度92%)を得た。
次に、冷却管、温度計、撹拌棒、滴下ロートを備えた2L四つ口フラスコに、窒素気流下、脱水テトラヒドロフランを500ml入れ、水素化リチウムアルミニウム26g(0.68モル)を加えた。混合液を、65℃で30分間環流させた後、加熱をやめ、ここに上記のようにして得られた水添フマル化アロオシメン61g(0.22モル)をテトラヒドロフラン300mlに溶解した溶液を3時間かけて滴下した。混合液を65℃で12時間環流させた後、0℃付近に冷却し、水を26ml、4規定水酸化ナトリウム水溶液を26ml、水80mlを順次加えた。灰色の部分がなくなるまで撹拌し、酢酸エチルを加え、油層と水層に分離した。油層を減圧蒸留にて溶媒を除去し、粗生成物50gを得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製することにより、上記式(1)で代表されるジメチロール化合物の粘稠液体30g(収率56%、純度96%)を得た。
【0034】
得られた粘稠液体の分析結果を図1〜4に示す。
・分析結果
1)図1:IRチャート 3300cm−1:O−H伸縮、3000〜2800cm−1:C−H伸縮、1500〜1350cm−1、:C−H変角、1040cm−1、:C−O伸縮
2)図2:GC−MSチャート m/z=210[M−H2O]+が観測された。
3)図3:1H−NMRチャート δ(ppm);3.6−4.0(m,6H)、10−2.6(m,22H)
4)図4:13C−NMRチャート
【0035】
実施例2
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた500ml三つ口フラスコに、ヤスハラケミカル(株)製ミルセン90g(純度76%、0.5モル)およびフマル酸58g(0.5モル)を仕込み、撹拌しながら昇温して、150〜160℃で12時間反応した。反応後、アセトンから再結晶することにより、フマル化ミルセン84g(ミルセン基準で収率65%、純度98%)を得た。
【0036】
続いて、電磁撹拌装置を備えた内容500mlのオートクレーブに、上記で得られたフマル化ミルセン72g(0.28モル)、2−プロパノール140g、および粉末状の5%パラジウムカーボン触媒0.7gを仕込んだ。次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス15kg/cm2の圧力をかけながら導入した。そして、撹拌を開始すると、内温が27℃から32℃へ上昇した。吸収された水素を補うことで圧力を15〜20kg/cm2に保ちながら4時間反応させた。その後、得られた懸濁液をブフナーロートで吸引ろ過を行い、触媒をろ別した。その後、ろ液を減圧濃縮することにより、水添フマル化ミルセン71g(収率94%、純度95%)を得た。
次に、冷却管、温度計、撹拌棒、滴下ロートを備えた21四つ口フラスコに、窒素気流下、脱水テトラヒドロフランを500ml入れ、水素化リチウムアルミニウム26g(0.68モル)を加えた。混合液を、65℃で30分間環流させた後、加熱をやめ、ここに上記のようにして得られた水添フマル化ミルセン60g(0.22モル)をテトラヒドロフラン300mlに溶解した溶液を3時間かけて滴下した。混合液を65℃で12時間環流させた後、0℃付近に冷却し、水を26ml、4規定水酸化ナトリウム水溶液を26ml、水80mlを順次加えた。灰色の部分がなくなるまで撹拌し、酢酸エチルを加え、油層と水層に分離した。油層を減圧蒸留にて溶媒を除去し、粗生成物47gを得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製することにより、上記式(2)で表されるジメチロール化合物の白色結晶20g(収率40%、純度99%)を得た。
【0037】
得られた結晶の分析結果を図5〜9に示す。
・分析結果
1)図5:IRチャート 3300cm−1:O−H伸縮、3000〜2800cm−1:C−H伸縮、1500〜1350cm−1、:C−H変角、1060cm−1、:C−O伸縮
2)図6:GC−MSチャート m/z=210[M−H2O]+が観測された。
3)図7:1H−NMRチャート δ(ppm);4.0(s,2H)、3.4−3.7(ddd、4H)、0.6−1.8(m、22H)
4)図8:13C−NMRチャート、図9:DEPTチャート δ(ppm);67.7(CH2)、67.5(CH2)、44.8(CH)、44.6(CH)、39.2(CH2)、37.5(CH2)、37.3(CH)、36.6(CH2)、32.7(CH2)、29.8(CH2)、27.9(CH)、24.6(CH2)、22.6(CH3)
【0038】
[応用例]
試験例(ポリウレタンへの応用)
環流装置をセットし、あらかじめ窒素ガスで空気を置換した四つ口フラスコに、実施例1で得られたジメチロール化合物を40部、平均分子量1,000のポリプロピレンオキサイド(ポリエーテルポリオール)60部を仕込み、ジブチル錫ジラウレートを50ppm添加し、80℃にて加熱し均一に溶解させた後、80℃にて液状ジフェニルメタンジイソシアネート60部を30分かけて滴下し、80℃で2時間反応を行った。その後、100℃まで昇温して取り出し、末端イソシアネート基含有ウレタン樹脂を得た。
得られたウレタン樹脂を使用して、厚さ3mm以下、重さ30gの試験片を作成し、吸湿試験、および煮沸試験を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
吸湿試験
試験片を121℃、100%RH雰囲気中に投入し、200時間後の吸湿率(%)を測定した。
煮沸試験
試験片を、沸騰水の中に100時間入れ、重量の変化(%)を測定した。
【0040】
比較試験例
本発明のジメチロール化合物に代えて、重量平均分子量2,000のポリエステルジオール(1,6−ヘキサンジオール/アジピン酸系)40部を用いたこと以外は上記と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の新規ジメチロール化合物は、不飽和ポリエステルや飽和ポリエステルなどのポリエステル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などのポリマー原料として、耐水性、耐吸収性、密着性、電気絶縁性などを向上させることができる有用な化合物である。特に、本発明のテルペン系ジメチロール化合物と(メタ)アクリル酸化合物とを反応させて得られるジ(メタ)アクリレート化合物は、フォトレジスト、コーティング剤、インキ、塗料、電気絶縁材料などの感光性材料組成物などとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1で得られたジメチロール化合物のIRスペクトルチャートである。
【図2】実施例1で得られたジメチロール化合物のGC−MSスペクトルチャートである。
【図3】実施例1で得られたジメチロール化合物の1H−NMRチャートである。
【図4】実施例1で得られたジメチロール化合物の13C−NMRチャートである。
【図5】実施例2で得られたジメチロール化合物のIRスペクトルチャートである。
【図6】実施例2で得られたジメチロール化合物のGC−MSスペクトルチャートである。
【図7】実施例2で得られたジメチロール化合物の1H−NMRチャートである。
【図8】実施例2で得られたジメチロール化合物の13C−NMRチャートである。
【図9】実施例2で得られたジメチロール化合物のDEPTチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロオシメン、ミルセン、オシメン、α−ファルネセン、β−ファルネセンから選ばれた少なくとも1種の化合物(a)と、不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物(b)を反応させ、つづいて、還元反応を行うことより得られるテルペン系ジメチロール化合物。
【請求項2】
化合物(a)であるアロオシメンと、化合物(b)であるフマル酸を、ディールス−アルダー反応させ、還元反応を行うことより得られる請求項1記載のテルペン系ジメチロール化合物。
【請求項3】
化合物(a)であるミルセンと、化合物(b)であるフマル酸を、ディールス−アルダー反応させ、還元反応を行うことより得られる請求項1記載のテルペン系ジメチロール化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−332123(P2007−332123A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188602(P2006−188602)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000117319)ヤスハラケミカル株式会社 (85)
【Fターム(参考)】