説明

テレビジョン受信装置、及びテレビジョン受信装置の出力信号調整方法

【課題】録画信号の同期信号の電圧レベルの調整を容易に行うことができるテレビジョン受信装置、及びテレビジョン受信装置の出力信号調整方法を提供する。
【解決手段】映像信号に基づく録画信号を出力する信号出力部10と、映像信号に応じて映像信号処理を行う映像信号処理部5とを有するテレビジョン受信装置100において、信号出力部10から出力された録画信号の出力経路を外部出力端子から映像信号処理部5に切り換える切換手段7を備え、かかる出力経路が映像信号処理部5に切り換えられた場合に、映像信号処理部は信号出力部10から入力された録画信号の同期信号の電圧レベルを測定して該電圧レベルの測定結果を信号出力部10に出力し、信号出力部10は測定された電圧レベルが所定レベルより低い場合には電圧レベルを上げ、測定された電圧レベルが所定レベルより高い場合には電圧レベルを下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受信装置、及びテレビジョン受信装置の出力信号調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受信装置は、例えば、装置全般を制御するバックエンドLSIと、映像信号に応じて映像信号処理を行う映像信号処理LSIとを有している。
そして、ビデオ/HDD/DVDレコーダー等の録画機器に録画を行う場合、映像信号を録画信号としてバックエンドLSIから出力し、かかる録画信号は外部出力端子を介して外部の録画機器に供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
この録画信号には、輝度信号、色度信号、同期信号等の各種信号が含まれている。中でも、同期信号は、ディスプレイの表示タイミングを制御するために規定値に調整する必要があり、一般に、メーカがテレビジョン受信装置を出荷する際に、生産工場において調整が行なわれ、工場出荷時の品質のばらつきが抑えられている。
【特許文献1】特開平7−147644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした出荷前の調整は、例えば、テレビジョン受信装置にコンピュータ等を接続し、コンピュータ等に信号を出力させてこれをモニタし、規定値からはずれていた場合には制御命令をテレビジョン受信装置にフィードバックする等の手法によって行われているが、いちいちコンピュータ等に接続しなければならないので煩雑であるという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、録画信号の同期信号の電圧レベルの調整を容易に行うことができるテレビジョン受信装置、及びテレビジョン受信装置の出力信号調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
映像信号に基づく録画信号を出力する信号出力部と、
前記映像信号に応じて映像信号処理を行う映像信号処理部と、を有するテレビジョン受信装置において、
前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路を、外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換える切換手段を備え、
前記切換手段により前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路が外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換えられた場合に、前記映像信号処理部は、前記信号出力部から入力された前記録画信号の同期信号の電圧レベルを測定して、該電圧レベルの測定結果を前記信号出力部に出力し、
前記信号出力部は、前記映像信号処理部から入力された前記測定結果に基づいて、測定された前記電圧レベルが所定レベルより低い場合には電圧レベルを上げ、測定された前記電圧レベルが所定レベルより高い場合には電圧レベルを下げることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、
映像信号に基づく録画信号を出力する信号出力部と、
前記映像信号に応じて映像信号処理を行う映像信号処理部と、を有するテレビジョン受信装置の出力信号調整方法において、
前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路を、外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換える切換工程と、
前記切換工程により前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路が外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換えられた場合に、前記映像信号処理部により、前記信号出力部から入力された前記録画信号の同期信号の電圧レベルを測定する電圧レベル測定工程と、
前記電圧レベル測定工程により測定された電圧レベルの測定結果を前記映像信号処理部から前記信号出力部に出力する測定結果出力工程と、
前記測定結果出力工程により前記信号出力部に入力された電圧レベルの前記測定結果に基づいて、前記信号出力部により、測定された前記電圧レベルが所定レベルより低い場合には電圧レベルを上げ、測定された前記電圧レベルが所定レベルより高い場合には電圧レベルを下げる電圧レベル調整工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、切換手段によって信号出力部から出力された録画信号の出力経路が外部出力端子から映像信号処理部に切り換えられ、切換手段により録画信号の出力経路が映像信号処理部に切り換えられた場合に、映像信号処理部によって、当該録画信号の同期信号の電圧レベルが測定され、この測定された電圧レベルの測定結果が信号出力部に出力される。そして、測定された前記電圧レベルが所定レベルより低い場合には、信号出力部によって電圧レベルを上げ、測定された前記電圧レベルが所定レベルより高い場合には、信号出力部によって電圧レベルを下げるように電圧レベルの調整が行われる。
したがって、録画信号の同期信号はテレビジョン受信装置内部で自動調整されることとなり、自動的に規定の電圧レベルに設定されるので誰でも容易に調整することが可能となる。また、いちいちコンピュータに接続する必要がないので、より簡単に調整することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図を参照して、本発明に係るテレビジョン受信装置を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本実施形態では、テレビジョン受信装置として、デジタルテレビを例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0009】
まず、本発明に係るデジタルテレビ100の構成について図1及び図2を参照しながら説明する。本実施形態に係るデジタルテレビ100は、例えば、図1に示すように、アンテナ1,チューナ部2,復調部3,デコーダ4,映像信号処理部5,表示部6,切換手段を構成する切換スイッチ7,外部出力端子8、信号出力部としての制御部10等を備えて構成されている。
【0010】
アンテナ1は、例えば、パラボラアンテナやUHFアンテナ等であり、地上波デジタル放送,BS・CS放送等のテレビジョン放送信号を含む放送波を受信し、地上波デジタル信号,BS・CS放送信号等のRF信号をチューナ部2に出力する。なお、CATV回線を介して放送波を受信する場合には、接続ケーブル(図示省略)等が備えられてもよい。
【0011】
チューナ部2は、ミキサ(図示省略),選局回路(図示省略),A/D変換回路(図示省略)等を備えて構成され、ミキサ,選局回路等により、アンテナ1から入力されたRF信号が、ユーザが所望するチャンネルのIF(Intermediate Frequency)信号に変換され、A/D変換回路により、生成されたIF信号がデジタルデータに変換される。
【0012】
復調部3は、例えば、チューナ部2から入力されるデジタルデータに復調処理等を行って、デコーダ4に出力する。
【0013】
デコーダ4は、例えば、復調部3から入力されるデジタルデータに復号処理等を行って映像信号を生成し、当該映像信号を映像信号処理部5及び制御部10に出力する。
【0014】
映像信号処理部5は、例えば、LSI等により構成され、デコーダ4によりデコードされた映像信号に対して、例えば、スケーリング処理、画質調整処理等の各種映像処理を行ったのち、処理された映像信号を表示部に出力する。
また、映像信号処理部5は、かかる映像信号における同期信号(SYNC)の電圧レベルを検出する機能を有している。
特に、制御部10から録画信号が入力された場合には、映像信号処理部5は、入力された録画信号から同期信号を分離して、当該同期信号の電圧レベルを測定する。
また、映像信号処理部5は、測定した電圧レベルの測定結果に関する信号を制御部10に出力する。
【0015】
表示部6は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)等を備えて構成され、映像信号処理部5から出力される映像信号に基づく映像を表示する。
【0016】
切換スイッチ7は、例えば、押下スイッチ等であり、例えば、検査員などの操作者により押下されることによって、使用モードから検査モードへの切換が行われ、かかる切換信号を制御部10に出力する。
なお、切換手段としては、切換スイッチ7以外にも、例えば、操作信号を入力するための各種キー等を備えた検査用リモートコントローラなどとしてもよく、こうした場合、リモコン受信回路(図示せず)を介して操作信号を制御部10に出力することとしてもよい。
【0017】
ここで、「使用モード」とは、ユーザが使用する際のデジタルテレビ100の設定モードである。具体的には、制御部10から録画信号が出力された場合、当該録画信号が外部出力端子8を介して、例えば、DVDレコーダー等の外部機器に出力されるよう出力経路が設定されている。
一方、「検査モード」においては、制御部10から録画信号が出力された場合、当該録画信号が映像信号処理部5に出力されるよう出力経路が設定されている。
【0018】
外部出力端子8は、例えば、制御部10から出力された録画信号を、ビデオ/HDD/DVDレコーダー等の外部機器に出力するための端子である。
【0019】
制御部10は、例えば、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11,RAM(Random Access Memory)12,記憶部13等を備えて構成される。
【0020】
CPU11は、例えば、記憶部13に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM12に展開して実行することにより、デジタルテレビ100全体の制御を行う。
【0021】
RAM12は、CPU11により実行された処理プログラム等を、RAM12内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0022】
記憶部13は、例えば、プログラムやデータ等が予め記憶された記録媒体(図示せず)を有しており、例えば、40IREの値が同期信号の電圧レベルの規定値として記録されている。
また、記憶部13は、CPU11がデジタルテレビ100全体を制御する機能を実現させるための各種データ,各種処理プログラム,これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。
より具体的には、記憶部13は、例えば、図2に示すように、切換プログラム13A,電圧レベル調整プログラム13B、等を格納している。
【0023】
切換プログラム13Aは、例えば、CPU11に、操作者が切換スイッチ7を操作することにより検査モードに切り換えられた場合に、切換信号の入力に基づいて、録画信号の出力経路を、外部出力端子8から映像信号処理部5に切り換える機能を実現させるプログラムである。CPU11は、かかる切換プログラム13Aを実行することにより、切換スイッチ7とともに切換手段として機能する。
【0024】
電圧レベル調整プログラム13Bは、例えば、CPU11に、映像信号処理部5から入力された同期信号の電圧レベル測定結果に基づいて、測定された電圧レベルが所定レベルより低い場合には予め設定された上昇分(例えば、1IRE)だけ電圧レベルを上げ、測定された電圧レベルが所定レベルより高い場合には予め設定された下降分(例えば、1IRE)だけ電圧レベルを下げる機能を実現させるプログラムである。
【0025】
なお、「所定レベル」とは、同期信号の電圧レベルの規定値である40IREである。
ここで、IREとは、映像信号の電圧レベルを相対的に表す単位である。一般に、映像信号は、40IREから100IREまでの幅で振幅し、この振幅幅140IREが電圧で言うと1Vとなる。すなわち、1IRE=1V/140=7.14mVとなる。
【0026】
次に、上述のような構成のデジタルテレビ100の録画信号の同期信号レベル調整制御動作について図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0027】
まず、切換スイッチ7が操作者に操作されることにより検査モードへの切換が行われると、制御部10に切換信号が入力される(ステップS1)。
CPU11は、切換信号が入力されると、切換プログラム13Aを実行することにより、制御部10から出力される録画信号の出力経路を、外部出力端子8から映像信号処理部5に切り換える(ステップS2;切換工程)。
【0028】
次に、CPU11は、映像信号に基づく録画信号を設定された電圧レベルで映像信号処理部5に出力する。すると、映像信号処理部5は、制御部10から入力された録画信号から同期信号を分離し、当該同期信号の電圧レベルを測定する(ステップS3;電圧レベル測定工程)。
【0029】
次に、映像信号処理部5は、測定した電圧レベルの測定結果を制御部10に出力する(ステップS4;測定結果出力工程)。
【0030】
次に、CPU11は、映像信号処理部5から入力された電圧レベルの測定結果を、記憶部13に記憶された規定値データと照合して、この規定値(40IRE)に合致しているか否かを判断する(ステップS5)。
【0031】
ステップS5において、CPU11が、同期信号の電圧レベルが規定値に合致しないと判断した場合には(ステップS5;No)、CPU11は、電圧レベル調整プログラム13Bを実行することにより、電圧レベルの調整を行う(電圧レベル調整工程)。
具体的には、CPU11は、電圧レベルの測定結果が規定値より高いか、規定値より低いかを判断する(ステップS6)。
ステップS6において、CPU11が、電圧レベルの測定結果が規定値より低いと判断した場合には(ステップS6;電圧レベル<40IRE)、予め設定された上昇分だけ電圧レベルを上げる(ステップS7)。
一方、ステップS6において、CPU11が、電圧レベルの測定結果が規定値より高いと判断した場合には(ステップS6;電圧レベルレベル>40IRE)、予め設定された下降分だけ電圧レベルを下げる(ステップS8)。
【0032】
その後、ステップS3からステップS5を繰り返し、ステップS5において、CPU11が、同期信号の電圧レベルが規定値に合致すると判断した場合には(ステップS5;Yes)、CPU11は処理を終了する。
また、上記処理の修了後には、検査モードから使用モードへと自動的に切換えが行われ、制御部10から出力される録画信号の出力経路が、映像信号処理部5から外部出力端子8へと変更される。
【0033】
以上のように、本発明に係るデジタルテレビ100によれば、CPU11が切換プログラム13Aを実行することにより録画信号の出力経路が外部出力端子8から映像信号処理部5に切り換えられ、映像信号処理部5によって録画信号の同期信号の電圧レベルが測定されるとともに、電圧レベルの測定結果が制御部10に出力され、CPU11が電圧レベル調整プログラム13Bを実行することにより同期信号の電圧レベルが規定値に調整されることとなるので、同期信号はデジタルテレビ100内部で自動調整されることとなる。
したがって、同期信号の規定値を知らなくても自動的に規定の電圧レベルに設定されるので、誰でも容易に調整することが可能となる。
また、いちいちコンピュータに接続する必要がないので、より簡単に調整することが可能となる。
【0034】
なお、電圧レベル調整時の上昇分、下降分の設定は、設計事項であるが、例えば、測定結果と所定レベルの差に応じて自動的に設定されるようになっていてもよい。具体的には、測定結果と所定レベルの差が所定値以上の場合には、所定値よりも小さい場合よりも上昇分、下降分の値を大きくする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るデジタルテレビの概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係るデジタルテレビの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るデジタルテレビにおける出力信号調整制御動作の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 アンテナ
2 チューナ部
3 復調部
4 デコーダ
5 映像信号処理部
6 表示部
7 切換スイッチ(切換手段)
8 外部出力端子
10 制御部(信号出力部)
11 CPU(切換手段)
12 RAM
13 記憶部
13A 切換プログラム
13B 電圧レベル調整プログラム
100 デジタルテレビ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づく録画信号を出力する信号出力部と、
前記映像信号に応じて映像信号処理を行う映像信号処理部と、を有するテレビジョン受信装置において、
前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路を、外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換える切換手段を備え、
前記切換手段により前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路が外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換えられた場合に、前記映像信号処理部は、前記信号出力部から入力された前記録画信号の同期信号の電圧レベルを測定して、該電圧レベルの測定結果を前記信号出力部に出力し、
前記信号出力部は、前記映像信号処理部から入力された前記測定結果に基づいて、測定された前記電圧レベルが所定レベルより低い場合には電圧レベルを上げ、測定された前記電圧レベルが所定レベルより高い場合には電圧レベルを下げることを特徴とするテレビジョン受信装置。
【請求項2】
映像信号に基づく録画信号を出力する信号出力部と、
前記映像信号に応じて映像信号処理を行う映像信号処理部と、を有するテレビジョン受信装置の出力信号調整方法において、
前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路を、外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換える切換工程と、
前記切換工程により前記信号出力部から出力された前記録画信号の出力経路が外部出力端子から前記映像信号処理部に切り換えられた場合に、前記映像信号処理部により、前記信号出力部から入力された前記録画信号の同期信号の電圧レベルを測定する電圧レベル測定工程と、
前記電圧レベル測定工程により測定された電圧レベルの測定結果を前記映像信号処理部から前記信号出力部に出力する測定結果出力工程と、
前記測定結果出力工程により前記信号出力部に入力された電圧レベルの前記測定結果に基づいて、前記信号出力部により、測定された前記電圧レベルが所定レベルより低い場合には電圧レベルを上げ、測定された前記電圧レベルが所定レベルより高い場合には電圧レベルを下げる電圧レベル調整工程と、を含むことを特徴とするテレビジョン受信装置の出力信号調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−260518(P2009−260518A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105386(P2008−105386)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】