説明

テレビジョン受信装置

【目的】 共通のコントロールビットが割り当てられている二種の言語文字の一方を用いる第1の地域と他方を用いる第2の地域のいずれに置かれてもその地の言語文字での文字表示が自動的に行われるテレビジョン受信装置を提供する。
【構成】 オートチューニング時にテレテキスト情報抜取部5にて局名情報を抜き取る。抜き取った局名情報はテレテキトスデコーダ6によってCPU13に供給される。CPU13内のROM15には、放送局が東欧に属するか西欧に属するかを示す情報が格納されている。CPU13は前記局名情報を前記ROM15に格納してある情報に照らして放送局が属する地域が第1の地域か或いは第2の地域かを判別し、判別結果に基づいて自動的に言語文字を第1の地域向けの設定又は第2の地域向けの設定とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、放送局識別情報と文字情報とを含むテレテキスト情報が多重されたテレビジョン信号を受信して復調するテレビジョン受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】テレテキスト情報を受信するテレビジョン受信装置には、第1の地域向けと第2の地域向けの両方で使用可能な構成を有し、且つ図5(a)及び図5(b)に示すように、装置内のCPU51の判別端子52にHigh又はLowを印加することにより、第1の地域向け又は第2の地域向けのいずれかに固定された上で出荷されるものがある。図5は欧州向けテレビジョン受信装置の場合を示している。この図から分かるように、判別端子52が抵抗53を介して電源(5V)に接続されるか又はGNDに接続されるかによって判別端子52にはHigh又はLowが印加されることになり、Lowのときには東欧(EAST)向けの受信装置となり、Highのきには西欧(WEST)向けの受信装置となる。
【0003】図4は、欧州向けテレビジョン受信装置がテレテキスト情報を画面表示するときの言語文字と、どの言語文字を採用するかを制御するコントロールビットとの関係を示している。コントロールビットは3ビットであり、送られてくるテレテキスト情報に含まれている。3ビットの情報によって8種類の言語文字のいずれかを示すことができる。ここで、受信装置が西欧(WEST)向けに設定されていた場合においてコントロールビットとして(0,0,0)を受け取ると、受信した文字情報を英語文字(English)のコード表に照らして文字ドットパターンデータを発生させることになる。一方、東欧(EAST)向けに設定されていた場合においてコントロールビットとして(0,0,0)を受け取ると、受信した文字情報をポーランド語文字(Polish)のコード表に照らして文字ドットパターンデータを発生させることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のこの種のテレビジョン受信装置では、上記のごとく、抵抗53の有無によって西欧向けか東欧向けかが固定されているため、西欧向けに設定されていた受信装置を東欧にもってくると、コントロールビット(0,0,0)を受け取った場合にポーランド語文字(Polish)として生成されている文字コードを英語文字(English)のコード表に照らして文字のドットパターンデータを発生するため、文字ばけが生じるという不具合がある。
【0005】この発明は、上記の事情に鑑み、共通のコントロールビットが割り当てられている二種の言語文字の一方を用いる第1の地域と他方を用いる第2の地域のいずれに置かれてもその地の言語文字での文字表示が自動的に行われるテレビジョン受信装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明のテレビジョン受信装置は、上記の課題を解決するために、放送局識別情報と文字情報とを含むテレテキスト情報が多重されたテレビジョン信号を受信し、第1の地域向けの設定か又は第2の地域向けの設定かに応じて第1の地域側の言語文字と第2の地域側の言語文字のいずれかを用い、受信した文字情報の画面表示を行うように構成されたテレビジョン受信装置において、前記放送局識別情報を検出する検出手段と、検出された放送局識別情報に基づいて放送局が属する地域が第1の地域か或いは第2の地域かを判別する判別手段と、判別結果に基づいて自動的に第1の地域向けの設定又は第2の地域向けの設定とする自動設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】上記の構成であれば、共通のコントロールビットに対して地域別に異なる言語文字が割り当てられていても、受信装置はその置かれた地で受信する放送局識別情報に基づいて、その地が第1の地域か或いは第2の地域かを判別して自動的にその地で用いられる言語文字を選択する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
【0009】アンテナ1は受信した放送波を電気信号に変換しアンテナ給電線を介してチューナ2に供給する。チューナ2の信号入力部は、アンテナ給電線と増幅部との入力インピーダンスを整合させる回路や妨害となる電波を排除する各種のトラップ回路、入力信号を増幅する増幅部などを備えている。また、チューナ2は、希望チャンネルの信号と局部発振信号とを混合して中間周波数信号(IF)を生成する。局部発振信号は電圧シンセサイザーから出力される。電圧シンセサイザーは、印加電圧(同調電圧)によって容量が変化する可変容量ダイオード等を備えて成り、欧州で採用されている中間周波数の信号が出力されるように、希望チャンネルの信号に対応させて可変した局部発振信号を生成する。
【0010】検波回路3は、中間周波数の映像信号を検波することによってPALフォーマットのカラーテレビ信号(輝度信号、搬送色信号、同期信号)を取り出す。ビデオ信号処理回路4は、色副搬送波を発生し、これを用いて搬送色信号から色差信号を復調し、この色差信号から色信号(R,G,B)を生成するなどの処理を行う。ドライブ回路8は、色信号や輝度信号を受像管9を駆動するのに必要な大きさに増幅したり、カラーテレビ信号の中から同期信号を取り出し、垂直同期信号と水平同期信号とに分けて受像管9に与える。
【0011】テレテキスト情報抜取部5は、カラーテレビ信号に含まれているテレテキスト情報(走査線の6ラインから22ラインに重畳されている)を抜き取る処理を行う。テレテキストデコーダ6は、抜き取られたテレテキスト情報をデコードし、文字表示信号(RGB信号)を生成して混合回路12に供給するとともに、コントロールビットや局名情報をCPU13に供給する。前記局名情報としては、ネットワークアイデントと呼ばれる各放送局ごとに付与される識別情報が用いられる。ネットワークアイデントは、例えば周知のテレテキスト情報のブロードキャストサービスデータと呼ばれる行(ROW30)に含まれる。例えば、東欧の放送局(チェコ、ハンガリー、ポーランド等)においては、各国の各放送局に対してそれぞれ図2に示すように、“4201”“4202”…“4802”のごとく、局名情報(8/30format1(ヨーロッパテレテキストフォーマット))が与えられている。
【0012】混合回路12は、テレテキストデコーダ6から出力される文字表示信号およびキャラクタジェネレータ7から出力される文字表示信号(チャンネル番号の数字等)を前記ビデオ信号処理回路から出力される映像信号に加える。
【0013】リモコン送信機10は、テレビジョン受信装置に指令を送出するための送信機である。このリモコン送信機10に設けられた図示しないキーを操作すると、そのキーに対応した指令を意味する信号光(リモコン信号)が図示しない発光部から送出される。リモコン受光器11は、前記信号光を受光し、これを電気信号に変換してCPU13に与える。
【0014】CPU13は、前記テレテキストデコーダ6から受け取った局名情報をCPU13内のRAM14に格納する。CPU13内のROM15には、動作制御プログラムやコントロールビットに対する言語情報(図4R>4参照)が格納されている。更に、このROM15には、文字放送に対応している放送局、その局名情報(放送局識別情報)、各言語文字のキャラクタデータ、及び放送局が属する地域が西欧か東欧かを示す情報が格納されている。例えば、“0”を東欧、“1”を西欧とすれば、図3に示している“4201”“4202”…“4802”の全てに対して“0”を割り当てておくことにより、CPU13はテレテキストデコーダ6から局名情報として例えば“4802”を受け取ったとき、ROM15の局名情報“4802”に割り当てられている“0”を認識して当該放送局は東欧に属していると判断できることになる。CPU13は、放送局が東欧であると判断したときには、不揮発性メモリ16の東欧/西欧判別フラグに“0”を書き込み、放送局が西欧であると判断したときには、同フラグに“1”を書き込む。
【0015】また、CPU13は、放送局が属する地域が東欧であると判断した後にテレテキスト情報に含まれるコントロールビットとして例えば“0,0,0”を受け取った場合、ポーランド語文字(Polish)のキャラクタデータをテレテキストデコーダ6に与えることになる(図4参照)。従って、この場合には、テレテキストデコーダ6は、テレテキスト情報読取部5から与えられた文字情報に基づいてポーランド語文字(Polish)の文字表示信号(RGB信号)を生成して混合回路12に出力する。
【0016】また、CPU13は、チャンネルプリセット時、チューナ2の同調電圧をVHF帯からUHF帯まで徐々に変化させてオートチューニング処理を実行し、同調点での同調電圧データを不揮発性メモリ16に書き込む。そして、この実施形態では、オートチューニング処理時に受信装置が置かれた地が東欧か西欧かを判断し、言語文字を選択するようにしている。
【0017】図3はオートチューニング処理および地域判別処理を示したフローチャートである。なお、地域の初期設定は西欧としている。まず、同調電圧を初期値にセットする(ステップS1)。次に同調点の有無を判断し(ステップS2)、同調点が無ければ同調電圧を上昇させ(ステップS9)、ステップS2に戻って同調点の有無を判断する。同調点が有れば局名情報の判別処理を実行する(ステップS3)。次に、局名情報が判別できたかどうかを判断する(ステップS4)。局名情報が判別できたら、その放送局が東欧の放送局かどうかを判断する(ステップS5)。東欧の放送局であると判断した場合には、地域を東欧にセットする(ステップS6)。即ち、不揮発性メモリ16の東欧/西欧判別フラグに“0”を書き込む。更に、同調電圧データを不揮発性メモリ16に書き込む(ステップS7)。一方、局名情報が判別ができなかった場合及び東欧の放送局でないと判断された場合は、そのままステップS7に進む。ステップS7で同調電圧データの書き込みを行った後、同調電圧が所定値に達したかどうかを判断し(ステップS8)、達していないならステップS9に進んで同調電圧を上昇させてステップS2に進む一方、達したならばオートチューニング処理を終了する。
【0018】このオートチューニング処理以降、テレテキストを見るときには、不揮発性メモリ16の東欧/西欧判別フラグの内容を読み出し、“0”のときには東欧の言語文字のうちコントロールビットで指定される言語文字のキャラクタデータがROM15から読み出されてテレテキストデコーダ6に与えられ、“1”のときには西欧の言語文字のうちコントロールビットで指定される言語文字のキャラクタデータがROM15から読み出されてテレテキストデコーダ6に与えられる。すなわち、共通のコントロールビットに対して東欧と西欧とで異なる言語文字が割り当てられていても、その置かれた地で受信する局名情報に基づいて、その地が西欧か東欧かを判別して自動的にその地で用いられる言語文字が選択される。よって、当該テレビジョン受信装置には仕向け先判別用の抵抗を設ける必要は無く、西欧で設置されていたものを東欧に持っていっても或いはその逆に東欧で設置されていたものを西欧に持っていっても適正な言語文字で文字表示が行われることになる。
【0019】なお、上記の実施形態においては、東欧の放送局が一つでも検出されたときには東欧の言語文字を割り当てるようにしたが、これに限るものではなく、東欧の放送局と西欧の放送局が混在して検出された場合には、検出された放送局の多い方の地域の言語文字を割り当てるようにしてもよい。また、放送局の属する地域が西欧または東欧の場合について説明したが、放送局がその他の地域に属する場合にも適用できる。また、チューナ2が電圧シンセサイザーを備える構成を示したが、周波数シンセサイザ方式のチューナを用いてもよい。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、共通のコントロールビットが割り当てられている二種の言語文字の一方を用いる第1の地域と他方を用いる第2の地域のいずれに置かれてもその地の言語文字での文字表示が自動的に行われるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態のテレビジョン受信装置を示すブロック図である。
【図2】東欧における各放送局に対して与えられた局名情報を示した説明図である。
【図3】この発明の実施形態のオートチューニング時の処理を示したフローチャートである。
【図4】東欧と西欧におけるコントロールビットと言語文字との関係を示した説明図である。
【図5】同図(a)は従来のテレビジョン受信装置におけるEAST/WEST判別端子の接続構成を示した回路図であり、同図(b)は同端子への入力とEAST/WEST判別の態様を示した説明図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 チューナ
3 検波回路
4 ビデオ信号処理回路
5 テレテキスト情報抜取部
6 テレテキストデコーダ
7 キャラクタジェネレータ
13 CPU
14 RAM
15 ROM
16 不揮発性メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 放送局識別情報と文字情報とを含むテレテキスト情報が多重されたテレビジョン信号を受信し、第1の地域向けの設定か又は第2の地域向けの設定かに応じて第1の地域側の言語文字と第2の地域側の言語文字のいずれかを用い、受信した文字情報の画面表示を行うように構成されたテレビジョン受信装置において、前記放送局識別情報を検出する検出手段と、検出された放送局識別情報に基づいて放送局が属する地域が第1の地域か或いは第2の地域かを判別する判別手段と、判別結果に基づいて自動的に第1の地域向けの設定又は第2の地域向けの設定とする自動設定手段と、を備えたことを特徴とするテレビジョン受信装置。
【請求項2】 請求項1に記載のテレビジョン受信装置において、オートチューニング時に、前記放送局識別情報を検出し、検出された放送局識別情報に基づいて放送局が属する地域が第1の地域か或いは第2の地域かを判別し、判別結果に基づいて自動的に第1の地域向けの設定又は第2の地域向けの設定とするように構成されたことを特徴とするテレビジョン受信装置。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のテレビジョン受信装置において、前記第1の地域は西欧であり、前記第2の地域は東欧であることを特徴とするテレビジョン受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−268463(P2001−268463A)
【公開日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−80561(P2000−80561)
【出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】