説明

テレビドアホン装置

【課題】複数の子機のカメラ部にて撮像されるデジタル映像信号のフレームレートを、当該子機の台数に対応して変化させ時分割多重で親機に伝送し、当該親機にてマルチ画面表示及び録画を行う。
【解決手段】複数の子機1a、1bのカメラ部11a、11bにて撮像されたデジタル映像信号S11a、S11bのフレームレートを、当該子機の台数に対応してフレームレート変化部12a、12bにて変化させ、データ送出部13a、13bは、フレームレート変化部からの映像データS12a、S12bをそれぞれのスロットが割り当てられた時分割多重で個別の伝送路L1a、L1bを経由して親機2に伝送する。また、親機は、データ受信部20にて受信された映像データをもとに、複数の子機のカメラ部にて撮像されたデジタル映像信号をモニタ部21にマルチ画面表示させるとともに録画部22に録画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビドアホン装置に係り、特に、複数の子機のカメラ部にて撮像されるデジタル映像信号の親機への出画機能及び録画機能を備えたテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のテレビドアホン装置として、複数の子機のカメラにて撮像される映像信号の垂直同期処理機能を備えたテレビインターホン装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
このテレビインターホン装置によれば、親機の信号処理部にて生成される基準同期信号により、複数の子機のカメラにて撮像される映像信号の垂直同期をそれぞれ一致させることができる。これにより、複数の映像信号について同じタイミングで親機のモニタに出画する例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示、多分割表示を行う際に視認性の高い良好な画質表示が可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−228410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1のテレビドアホン装置において、複数の子機のカメラにて撮像される映像信号を同じタイミングで親機のモニタに出画する例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示、多分割表示を行うにあたっては、全ての子機において映像信号の垂直同期がそれぞれ一致するような同期結合を行わなければならず、その同期結合機能を構成する同期結合制御部が必要とされ回路構成が煩雑となるばかりでなく、コストが増大となる難点があった。
【0006】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、複数の子機のカメラ部にて撮像されるデジタル映像信号のフレームレートを、当該子機の台数に対応して変化させ時分割多重で親機に伝送し、当該親機にてマルチ画面表示及び録画を行うことができるテレビドアホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるテレビドアホン装置は、来訪者の映像を撮像してデジタル映像信号を出力するためのカメラ部を有する複数の子機と、個別の伝送路を経由して接続される複数の子機のカメラ部にて撮像されたデジタル映像信号を出画するためのモニタ部を有する親機とを設けたものである。複数の子機にはそれぞれ、複数の子機がともにデジタル映像信号を出力している状態でカメラ部にて撮像されたデジタル映像信号のフレームレートを当該子機の台数N(Nは、2以上の正の整数。)に対応してN0/N(N0は、標準フレームレート。)に変化させるためのフレームレート変化部と、フレームレート変化部からの映像データをそれぞれのスロットが割り当てられた時分割多重で個別の伝送路に送出するためのデータ送出部とを備えている。親機には、個別の伝送路を経由して複数の子機から伝送されてくる映像データを受信し、複数の子機のカメラ部にて撮像されたデジタル映像信号をマルチ画面表示でモニタ部に出画させるためのデータ受信部を備えている。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第1の態様において、親機には、複数の子機から時分割多重で伝送されてくるデジタル映像信号を録画するための録画部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のテレビドアホン装置によれば、複数の子機のカメラ部にて撮像されるデジタル映像信号のフレームレートを、当該子機の台数に対応してフレームレート変化部にて変化させ、データ送出部は、フレームレート変化部からの映像データをそれぞれのスロットが割り当てられた時分割多重で個別の伝送路を経由して親機に伝送することができる。また、親機は、データ受信部にて受信された映像データをもとに、複数の子機のカメラ部にて撮像されたデジタル映像信号をモニタ部にマルチ画面表示させることができるばかりでなく録画部に録画することができる。これにより、複数の子機のカメラにて撮像される映像信号の垂直同期をそれぞれ一致させるような同期結合機能が不要とされ、コストが抑えられた簡素な構成もとに、複数の子機のカメラ部にて撮像されるデジタル映像信号をモニタ部にマルチ画面表示させることができるばかりでなく録画部に録画することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のテレビドアホン装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示すブロック図である。このテレビドアホン装置には、住戸外、例えば、異なる住戸玄関にそれぞれ設置される複数の子機、ここでは、2台の子機(以下、第1、第2の各子機という。)1a、1bと、住戸内に設置され、個別の伝送路L1a、L1bを経由して第1、第2の各子機1a、1bにそれぞれ接続される親機2とが設けられている。
【0012】
第1、第2の各子機1a、1bはそれぞれ同様な構成で(個別の子機番号が割り当てられるもので)あり、子機操作部10a、10b、カメラ部11a、11b、フレームレート変化部12a、12b及びデータ送出部13a、13bが備えられている。ここで、子機操作部10a、10bは、住戸玄関に居る来訪者が親機呼び出しを行うために操作するものであり、例えば、呼出ボタンにて構成されている。また、カメラ部11a、11bは、呼出操作を行った来訪者の映像や住戸玄関の周囲近傍の映像(監視映像を含む。)を撮像して例えば、YUV信号等のデジタル映像信号を生成するためのものであり、例えば、CDD、CMOS等の各種の映像撮像媒体にて構成されている。また、フレームレート変化部12a、12bは、当該第1、第2の各子機がともに個別の伝送路L1a、L1bへデジタル映像信号を出力している状態でカメラ部11a、11bからのデジタル映像信号のフレームレートを当該子機の台数N(Nは、2以上の正の整数。)に対応してN0/N(N0は、標準フレームレート。)に変化させる、本実施例では当該子機の台数が2台であるためにフレームレートをN0/2に変化させるためのものである。また、データ送出部13a、13bは、フレームレート変化部12a、12bからの映像データをそれぞれのスロットが割り当てられた時分割多重で個別の伝送路L1a、L1bに送出するためのものである。
【0013】
また、親機2には、データ受信部20、モニタ部21、録画部22及びCPU23が備えられている。ここで、データ受信部20は、個別の伝送路L1a、L1bを経由して第1、第2の各子機1a、1bから時分割多重で伝送されてくる映像データ(及び呼出データ)を受信し、時分割分離してモニタ部21及びCPU23にそれぞれ送出するためのものである。また、モニタ部21は、データ受信部20にて時分割分離された映像データをもとに、第1、第2の各子機1a、1bのカメラ部11a、11bにて撮像されたデジタル映像信号をマルチ画面表示する例えば、ピクチャ・イン・ピクチャ表示、多分割表示等の態様で出画するためのものであり、例えば、LCD、TFT、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の出画表示媒体にて構成されている。また、録画部22は、データ受信部20にて時分割分離された映像データをもとに、第1、第2の各子機1a、1bのカメラ部11a、11bにて撮像されたデジタル映像信号を録画するためのものあり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体にて構成されている。さらに、CPU23は、当該親機の構成各部を制御するためのものである。具体的な制御としては、データ受信部20における受信動作を能動にするとともに、モニタ部21を出画可能な状態に制御し、また録画部22を録画可能な状態に制御し、さらには録画部22に録画させたデジタル映像信号を読み出してモニタ部21に動画表示させる制御が該当する。
【0014】
このように構成された本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、以下、具体的な動作について、図1、図2の信号説明図及び図3(a)、(b)の画面構成図をそれぞれ参照して説明する。なお、図2は、第1、第2の各子機1a、1bから個別の伝送路L1a、L1bを経由して親機2に伝送される映像データ(及び呼出データ)のフレーム構成の一例を示す信号説明図である。また、図3(a)、(b)はそれぞれ、親機2のモニタ部21にマルチ画面表示されるデジタル映像信号の一例を示す画面構成図である。
【0015】
図1に示す第1、第2の各子機1a、1bのうち特定の当該子機、ここでは、第1の子機1aの子機操作部10aを使用して来訪者(以下、第1の来訪者という。)が所定の呼出操作を行うと、カメラ部11aが能動となり、呼出操作を行った第1の来訪者の映像や自子機1aが設置された住戸玄関の周囲近傍の映像の撮像が開始される。このカメラ部11aにて撮像された映像であり信号処理された例えば、YUV等のデジタル映像信号(以下、第1のデジタル映像信号という。)S11aのフレームレートは、フレームレート変化部12aを経由してN0(標準フレームレート)/2に変化し、映像データ(以下、第1の映像データという。)S12aとしてデータ送出部13aに送出される。このデータ送出部13aは、フレームレート変化部12aからの第1の映像データS12aを伝送路L1aに送出するにあたり、例えば、30fpsに割り当てられる1〜30に時分割された30個のスロットのうち、1/2である1〜15の計15個の該当するスロットに前述の第1の映像データS12a及び第1の来訪者による親機呼び出しがある旨の呼出データ(以下、第1の呼出データという。)S10aをそれぞれ挿入して親機2へ時分割多重で伝送させることができる。
【0016】
また、前述のような第1の来訪者による第1の子機1aからの呼出時と同一のタイミングで、第2の子機1bの子機操作部10bを使用して別途の来訪者(以下、第2の来訪者という。)が所定の呼出操作を行うと、カメラ部11bが能動となり、呼出操作を行った第2の来訪者の映像や自子機1bが設置された住戸玄関の周囲近傍の映像の撮像が開始される。このカメラ部11bにて撮像された映像であり信号処理された例えば、YUV等のデジタル映像信号(以下、第2のデジタル映像信号という。)S11bのフレームレートは、フレームレート変化部12bを経由してN0(標準フレームレート)/2に変化し、映像データ(以下、第2の映像データという。)S12bとしてデータ送出部13bに送出される。このデータ送出部13bは、フレームレート変化部12bからの第2の映像データS12bを伝送路L1bに送出するにあたり、例えば、30fpsに割り当てられる1〜30に時分割された30個のスロットのうち、前述の第1の子機1aに割り当てられた当該スロットとは異なる16〜30の計15個の該当するスロットに、前述の第2の映像データS12b及び第2の来訪者による親機呼び出しがある旨の呼出データ(以下、第2の呼出データという。)S10bをそれぞれ挿入して親機2へ時分割多重で伝送させることができる。
【0017】
親機2において、データ受信部20は、個別の伝送路L1a、L1bを経由して時分割多重で第1、第2の各子機1a、1bから伝送されてきた第1、第2の各映像データS12a、S12b及び第1、第2の各呼出データS10a、S10bを、例えば、30fpsに割り当てられる1〜30に時分割された30個のスロットのうち該当するスロットより時分割分離で抽出し、第1、第2の各映像データS12a、S12bは、モニタ部21及びCPU23にそれぞれ送出する一方、第1、第2の各呼出データS10a、S10bはそれぞれ、CPU23にのみ送出する。ここで、CPU23は、データ受信部20を経由して時分割分離された第1、第2の各呼出データS10a、S10bを受信すると、モニタ部21を出画状態となるように制御し、第1、第2の各来訪者による親機呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等を表示させて呼出報知を行うことができる。また、CPU23は、データ受信部20を経由して同様に時分割分離された第1、第2の各映像データS12a、S12bをもとに、第1、第2の各子機1a、1bのカメラ部11a、11bにて撮像されたデジタル映像信号S11a、S11bを、図3(a)に示すピクチャ・イン・ピクチャ表示や図3(b)に示す多分割表示の態様でモニタ部21にマルチ画面表示させることができる。さらに、CPU23は、データ受信部20を経由して同様に時分割分離された第1、第2の各映像データS12a、S12bをもとに、第1、第2の各子機1a、1bのカメラ部11a、11bにて撮像されたデジタル映像信号S11a、S11bを、録画部22に録画することができ、この録画映像は、適宜な読出操作、例えば、図1に破線で示す親機操作部(符号は付与せず。)の使用による読出操作を検出したCPU23の制御により読み出され、モニタ部21に動画表示させることもできる。
【0018】
前述までの説明から明らかなように、本発明の実施例によるテレビドアホン装置によれば、背景技術に記載した特許文献1のテレビインターホン装置が有する同期結合機能が不要とされ、コストが抑えられた簡素な構成もとに、複数の子機1a、1bのカメラ部11a、11bにて撮像されるデジタル映像信号S11a、11bのフレームレートを、当該子機の台数に対応して変化させ時分割多重で親機2に伝送することにより、当該親機におけるモニタ部21へのマルチ画面表示及び録画部22への録画を行うことができる。
【0019】
また、本発明の実施例によるテレビドアホン装置においては、複数の子機として、2台の子機1a、1bを適用したが、この台数に限定されるものではない。より複数台の当該子機を適用することもできる。例えば、3台の当該子機を適用するにあたっては、各子機のカメラ部にて撮像されるデジタル映像信号のフレームレートは、フレームレート変化部を経由してN0(標準フレームレート)/3に変化し、データ送出部は、フレームレート変化部からの映像データを個別の伝送路に送出するにあたり、例えば、30fpsに割り当てられる1〜30に時分割された30個のスロットのうち、1/3である計10個のスロットの該当するスロットに映像データや来訪者による親機呼び出しがある旨の呼出データをそれぞれ挿入して親機2へ時分割多重で伝送させることができる。
【0020】
最後に、本発明のテレビドアホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成のテレビドアホン装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。例えば、来訪者による通話機能を複数の子機1a、1bに備え、また居住者による通話機能を親機2に備えたテレビドアホン装置も好適とされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示すブロック図。
【図2】図2は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、複数の子機から個別の伝送路を経由して親機に伝送される映像データ(及び呼出データ)のフレーム構成の一例を示す信号説明図である。
【図3】図3(a)、(b)はそれぞれ、本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、親機のモニタ部にマルチ画面表示されるデジタル映像信号の一例を示す画面構成図。
【符号の説明】
【0022】
1a、1b……第1、第2の各子機(複数の子機)
11a、11b……カメラ部
12a、12b……フレームレート変化部
13a、13b……データ送出部
2……親機
20……データ受信部
21……モニタ部
22……録画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者の映像を撮像してデジタル映像信号を出力するためのカメラ部(11a、11b)を有する複数の子機(1a、1b)と、個別の伝送路(L1a、L1b)を経由してそれぞれ接続される前記複数の子機の前記カメラ部にて撮像されたデジタル映像信号を出画するためのモニタ部(21)を有する親機(2)とを設け、
前記複数の子機にはそれぞれ、前記複数の子機がともにデジタル映像信号を出力している状態で前記カメラ部にて撮像された前記デジタル映像信号のフレームレートを当該子機の台数N(Nは、2以上の正の整数。)に対応してN0/N(N0は、標準フレームレート。)に変化させるためのフレームレート変化部(12a、12b)と、前記フレームレート変化部からの映像データをそれぞれのスロットが割り当てられた時分割多重で前記個別の伝送路に送出するためのデータ送出部(13a、13b)とを備え、
前記親機には、前記個別の伝送路をそれぞれ経由して前記複数の子機から伝送されてくる前記映像データを受信し、前記複数の子機の前記カメラ部にて撮像されたデジタル映像信号をマルチ画面表示で前記モニタ部に出画させるためのデータ受信部(20)を備えたことを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項2】
前記親機には、前記複数の子機から時分割多重で伝送されてくる前記デジタル映像信号を録画するための録画部(22)を備えたことを特徴とする請求項1記載のテレビドアホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−159229(P2009−159229A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334183(P2007−334183)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】