説明

テレビ放送受信装置

【課題】一般向けのテレビ受像機を接続してその動作制御を容易に実行する。
【解決手段】周波数軸上に重畳された複数のテレビ放送信号を受信し、受信した信号中から一つのテレビ放送信号を選局し、その映像及び音声信号を復調して出力するテレビ放送受信部22と、電源投入を指示する電源スイッチ14を含む操作部27と、電源投入の指示に基づいて電源制御部32により自装置の電源を投入させると共にテレビ放送受信部22で出力した映像信号及び音声信号が供給される外部機器に対しても電源供給させ、この電源制御部32による外部機器への電源供給量を電流検出部31により出力電流値で検出させ、検出した出力電流値から外部機器の電源投入状態を判断し、外部機器が待機状態である際には外部機器の電源投入信号をリモコンコード出力部30、出力端子28を介して発信させ、発信された電源投入信号を外部機器で受信可能な信号に変換して送達させる制御部26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばホテルや旅館、病院等の共同施設構内に敷設する構内テレビ配信網の各端末装置に好適なテレビ放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホテルや旅館等の旅客宿泊施設、あるいは病院等の入院施設でその施設構内に敷設する構内テレビ配信網でテレビ放送を視聴する場合、共用のアンテナで受信した地上波放送、BS・110°CSデジタル放送、地上波デジタル放送、及び施設内で独自に放送する自主放送等の複数の番組を端末装置である専用のテレビ放送受信装置で受信し、このテレビ放送受信装置で選局、復調した映像信号及び音声信号をこのテレビ放送受信装置に接続したテレビ受像機で出力して視聴を行なうことが可能となる。
【0003】
しかるに、一般的にSTB(セットトップボックス)とも称される、上記専用のテレビ放送受信装置はACコンセントを備え、テレビ受像機のACコード先端のプラグを接続しておくことで当該テレビ受像機の電源供給をも行なうものとなっている。
【0004】
テレビ放送受信装置に接続するテレビ受像機としては、上記AC電源の供給をテレビ放送受信装置から受けることからも、AC電源が供給されれば直ちにその時点でテレビ放送受信装置から送られてくる映像及び音声の各信号を再生するような業務用途向けのものが望ましい。
【0005】
このような業務用途向けのテレビ受像機を用いることで、利用者はテレビ放送受信装置用のリモコンの電源ボタンあるいはテレビ放送受信装置本体の前面等に配置された電源ボタンを操作するだけでテレビ受像機にもAC電源が供給され、その時点で選局されているチャンネルの映像及び音声がテレビ受像機より出力されるようになる。
【0006】
一方で、ACアウトレットからの出力電流を検知する電流検知手段と、該電流検知手段により電流の有無によりテレビ受像機が接続されているか否か記憶する記憶手段とを設け、テレビ受像機が接続されているにもかかわらずホームターミナルの電源オン時に上記出力電流が検出されない場合、テレビ受像機側の主電源がオフとなっていることを在宅者に報知する報知手段とを設けたホームターミナルの技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開平06−046017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近時は一般向けのテレビ受像機で、表示素子に液晶パネルやプラズマパネル等の薄型パネルディスプレイを用いた、所謂液晶テレビ、プラズマテレビとも呼称されるタイプのものが普及し、且つそれらがデジタル放送の受信にも対応してきている関係から、これら一般向けのテレビ受像機を構内テレビ配信網にも用いることが多くなっている。
【0008】
しかるに、液晶テレビ等を含む一般向けのテレビ受像機では、AC電源を内部で接続/切断する、テレビ受像機本体に備えられた主電源スイッチと、リモートコントローラの電源オンのキー操作信号を受付けるのみのスタンバイ状態及び映像音声を出力する状態を切換るサブ電源スイッチの2系統の電源スイッチを有するものが多い。
【0009】
この種の一般向けテレビ受像機では、サブ電源スイッチのオン/オフを示す情報が選局や音量等の情報と共に内部のメモリに随時記憶されるものとなっており、主電源スイッチがオン操作された時点でメモリに記憶している動作状態に復帰することとなる。
【0010】
したがって、一般向けのテレビ受像機をテレビ放送受信装置に接続し、テレビ放送受信装置側でテレビ受像機へのAC電源の供給も含めて制御を行なうものとした場合、テレビ受像機のサブ電源スイッチが切断された状態でテレビ放送受信装置がテレビ受像機へのAC電源の供給を断つと、次にテレビ受像機へのAC電源の供給を再開しても、テレビ受像機側では依然としてサブ電源スイッチが切断されたスタンバイ状態となり、テレビ放送等の視聴を行なうことはできない。
【0011】
また、このように一般向けのテレビ受像機を接続したテレビ放送受信装置では、選局を含めてすべての制御を、テレビ受像機側のリモートコントローラではなく、テレビ放送受信装置専用のリモートコントローラでの操作により行なうことが前提となり、テレビ受像機は単なるモニタ装置として機能することとなる。
【0012】
しかし、この専用のリモートコントローラでは、テレビ受像機本体に備えられる主電源スイッチや音量スイッチ、入力切換えスイッチ等の操作に対応することはできない。
【0013】
したがって、誤ってテレビ受像機側のスイッチが操作されてしまった場合には、テレビ放送受信装置専用のリモートコントローラのキー操作で元の状態に復帰させることはできず、またその旨をガイドメッセージとしてテレビ受像機の表示画面で報知させることなどもできない。
【0014】
機器の取扱いにきわめて不慣れな者を含む不特定多数の利用者が想定されるホテル客室等にて、上記のような事態が発生することは装置の提供者側として配慮に欠けており、無用のトラブルを引き起こす可能性もあるため、できうる限り回避しなければならない。
【0015】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、一般向けのテレビ受像機を接続してその動作制御を容易に実行することが可能なユーザフレンドリーなテレビ放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願請求項1記載の発明は、複数のテレビ放送信号を受信し、受信した信号中から一つのテレビ放送信号を選局してその映像及び音声の各信号を復調し出力する選局手段と、電源投入を指示する指示手段と、この指示手段での指示に基づいて自装置の電源を投入させると共に上記選局手段で出力した映像信号及び音声信号が供給される外部機器に対しても電源供給する電源供給手段と、この電源供給手段による外部機器への電源供給量を出力電流値により検出する検出手段と、この検出手段で検出した出力電流値から上記外部機器がテレビ放送の視聴状態と待機状態のいずれであるかを判断する判断手段と、この判断手段で上記外部機器が待機状態であると判断した際に上記外部機器の電源投入信号を発信する発信手段と、この発信手段で発信された電源投入信号を上記外部機器で受信可能な信号に変換して上記外部機器に送達する送達手段とを具備したことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、複数のテレビ放送信号を受信し、受信した信号中から一つのテレビ放送信号を選局してその映像及び音声の各信号を復調し出力する選局手段と、電源投入を指示する指示手段と、この指示手段での指示に基づいて自装置の電源を投入している状態で、上記選局手段で出力した映像信号及び音声信号が供給される外部機器に対しても電源供給する電源供給手段と、この電源供給手段による外部機器への電源供給量を出力電流値により継続して検出する検出手段と、この検出手段で検出した出力電流値から上記外部機器がテレビ放送の視聴状態と待機状態のいずれであるかを判断する判断手段と、この判断手段で上記外部機器が待機状態であると判断した際に上記外部機器の電源投入信号を発信する発信手段と、この発信手段で発信された電源投入信号を上記外部機器で受信可能な信号に変換して上記外部機器に送達する送達手段とを具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、上記外部機器は、専用のリモートコントローラからの操作信号を受信する受信部を有し、上記送達手段は、上記発信手段からの電源投入信号を上記専用のリモートコントローラからの操作信号に変換して有線で上記受信部に送達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、接続した一般向けのテレビ受像機に電源供給を行ない、テレビ受像機が待機状態であれば自動的に電源投入信号を発信して強制的にその動作を立上げてテレビ放送の視聴を実現させるので、利用者になんら負担をかけることなく制御を容易に実行することが可能となる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、接続した一般向けのテレビ受像機に電源供給を行ない、テレビ受像機でテレビ放送の視聴中に誤ってテレビ受像機側の電源切断操作がされて待機状態となってしまった場合でもこれを即時検出し、自動的に電源投入信号を発信して強制的にその動作を立上げてテレビ放送の視聴を実現させるので、利用者になんら負担をかけることなく制御を容易に実行することが可能となる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または2記載の発明の効果に加えて、電源投入信号を上記外部機器専用のリモートコントローラからの操作信号に変換して送達することにより、確実に外部機器の電源投入を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本発明を例えばホテル施設構内の各客室毎に設置するテレビ放送受信装置に適用した場合の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0023】
なお、このホテル施設構内の各客室毎にテレビ放送を配信する配信側の設備では、地上波アナログ放送、地上波デジタル放送、BSデジタル放送、110°CSデジタル放送などをそれぞれ専用のアンテナで受信し、それらの出力と館内の自主放送とを混合した後に、同軸ケーブルで構成する配信網を介して、各客室毎に設置された上記テレビ放送受信装置に配信するものとする。
【0024】
図1は、この客室に配置されたテレビ放送受信装置1と、そのモニタ装置として使用される一般向けの液晶テレビ3との接続構成を示すものである。同図で、テレビ放送受信装置1は図示しない配信網と同軸ケーブル4で接続されて、周波数軸上に配列して重畳された上記複数のテレビ放送信号を受信し、選局したチャンネルの映像と音声とを得て、映像信号(video)を映像ケーブル6を介して、同音声信号(audio)を音声ケーブル7を介してそれぞれ液晶テレビ3の各入力端子に送達する。
【0025】
また、この液晶テレビ3のAC電源ケーブル8先端のプラグをここでは図示しない背面側のACコンセントに接続することで、この液晶テレビ3のAC電源供給も行なう。
【0026】
さらに、テレビ放送受信装置1からはリモートコントロールコード9が導出され、その先端に位置する赤外線発光ユニット10が液晶テレビ3前面のリモートコントローラ受光部11上に貼付される。
【0027】
テレビ放送受信装置1は、自身のAC電源ケーブル5の先端のプラグをこの客室に予め配置されている図示しないACコンセントに接続するもので、その筐体前面にはリモコン受光部13及び電源スイッチ14が配設される。
【0028】
リモコン受光部13は、このテレビ放送受信装置1専用のリモートコントローラ2からの赤外線信号を受信するものであり、一方の電源スイッチ14はテレビ放送受信装置1自体及びこのテレビ放送受信装置1に接続された液晶テレビ3の電源を手動でオン/オフ操作するために備えられる。
【0029】
液晶テレビ3は、その前面にバックライト付きのカラー液晶パネルでなる表示画面を備えると共に、上記リモコン受光部11と、映像と音声とを出力する視聴状態と、電源のオンが指示されるのを待機する待機状態とを切り換える電源ボタン12とを備える。
【0030】
すなわちこの液晶テレビ3は、近年増加している他の機種と同じく、従来の主電源スイッチに相当するものを持たず、AC電源ケーブル8を介してAC電源が供給されている状態では常に上記視聴状態あるいは待機状態のいずれかとなる機種であるものとする。
【0031】
また、この液晶テレビ3に本来付属しているはずの図示しないリモートコントローラは使用せず、このテレビ放送受信装置1及び液晶テレビ3を設置した客室にも配備しないものとする。
【0032】
次いで上記テレビ放送受信装置1内の詳細な回路構成について説明する。
図2は、テレビ放送受信装置1内部の機能回路構成を示すものであり、同軸ケーブル4を介して送られてきた信号は分配器21にて2系統に分配され、テレビ放送受信部22と高周波モデム25に伝送される。
【0033】
テレビ放送受信部22は、その内部にここでは図示しない地上波チューナ、地上波デジタルチューナ、及びBS・110°CSデジタルチューナを並列配置し、後述する制御部26からの信号に基づいて、一つのチャンネルを上記各チューナの一つで選局して映像信号と音声信号とを復調し、復調した映像信号を上記映像ケーブル6が接続された映像出力端子23より、音声信号を上記音声ケーブル7が接続された音声出力端子24よりそれぞれ出力する。
【0034】
高周波モデム25は、上記同軸ケーブル4を介して接続される、図示しないフロントコンピュータとの間で、FSK変調方式で上り/下りの両データ通信による双方向通信機能を実現するもので、該フロントコンピュータからの下りデータ通信で当該テレビ放送受信装置1に対する視聴制限等の制御情報、各種設定情報を受信して復調し、制御部26へ送出する一方で、制御部26からの課金情報や応答情報等を受取り、これを変調した後に分配器21、同軸ケーブル4を介してフロントコンピュータへ送信する。
【0035】
これら高周波モデム25及びテレビ放送受信部22を含めて、テレビ放送受信装置1全体の動作制御を司るのが制御部26である。制御部26は、CPUとこのCPUの動作プログラム等を不揮発的に記憶したフラッシュメモリ、及びワークメモリであるRAM等から構成される。
【0036】
上記制御部26内のフラッシュメモリには、上記液晶テレビ3に供給されるAC電流値から液晶テレビ3の電源がオン状態またはスタンバイ状態のいずれであるかを判断するための設定値や、上記受信装置用リモコン2ではなく液晶テレビ3専用のリモートコントローラのキーコードデータ、このテレビ放送受信装置1固有のアドレス番号等も予め記憶されている。
【0037】
また、上記制御部26内のワークメモリには、上記受信装置用リモコン2の電源キーまたはその他のキー操作を受付けて液晶テレビ3の電源をオン/オフする際のステータス情報等が記憶される。
【0038】
しかるに上記制御部26には、上記テレビ放送受信部22及び高周波モデム25の他に、上記電源スイッチ14や他のキーを含む操作部27、上記リモコン受光部13、磁気カードリーダ/ライタ(カードR/W)29、リモコンコード出力部30、電流検出部31、及び電源制御部32が接続される。
【0039】
リモコン受光部13は、上記受信装置用リモコン2でのキー操作により送信されてくる赤外線変調信号を受信し、これを復調して対応するキーコードデータを得、制御部26に送出する。
【0040】
磁気カードリーダ/ライタ29は、常時においてはこのホテルの客室を利用する利用者が、有料番組を視聴するために購入したプリペイドカードを挿入するもので、有料番組を視聴するとその料金に応じた度数を減算し、該プリペイドカードの排出が指示された時点で残度数データ等を書込んだ後に排出する。
【0041】
なお、この磁気カードリーダ/ライタ29は、上述したホテル利用者がプリペイドカードを挿入する他に、このホテルの施設管理者が各種の設定データを記録した設定カードや確認カード等を挿入することで、設定変更や記憶データの確認を実行することも可能であるものとする。
【0042】
リモコンコード出力部30は、制御部26内のフラッシュメモリに予め記憶されている液晶テレビ3の電源などを制御するキーコードデータからその変調信号を生成して出力端子28より出力し、上記リモコンコード9、赤外線発光ユニット10を介して液晶テレビ3のリモコン受光部11へ直接且つ確実に送達する。
【0043】
電源制御部32は、上記AC電源ケーブル5を介して供給されるAC電源から上記各回路の動作用のDC電源を作成して供給する一方で、内部のリレー制御により必要に応じてAC電源を液晶テレビ用ACコンセント33に印加し、上記AC電源ケーブル8を介して液晶テレビ3に供給させる。
【0044】
この液晶テレビ用ACコンセント33における出力電流値を電流検出部31が検出して上記制御部26へ出力し、その検出値がデジタル変換される。
【0045】
次に上記実施の形態の動作について説明する。
図3は、テレビ放送受信装置1での電源がオフとなっている状態からの電源制御の処理内容を示すもので、基本的には制御部26内のCPUが同制御部26内のフラッシュメモリに記憶されている動作プログラムに基づいて実行するものである。
【0046】
その当初に制御部26は、受信装置用リモコン2または操作部27のキーが操作されたか否かを繰返し判断することで(ステップS01)、これらのキー操作を待機する。
【0047】
そして、その操作がなされたと判断した時点で、次に操作されたのが受信装置用リモコン2の電源キーか、あるいは操作部27の電源スイッチ14であるか否かを判断する(ステップS02)。
【0048】
ここで、操作されたのが受信装置用リモコン2の電源キーあるいは電源スイッチ14以外のものであった場合には、その操作は無効であるものとして再び上記ステップS01からの処理に戻る一方で、受信装置用リモコン2の電源キーあるいは電源スイッチ14が操作された場合には、直ちにテレビ放送受信装置1自体の電源をオンしてテレビ放送の受信動作を開始すると共に(ステップS03)、電源制御部32により内部のリレーを閉じ、液晶テレビ用ACコンセント33を介して液晶テレビ3側へAC電源を供給させる(ステップS04)。
【0049】
図4(A)は、このテレビ放送受信装置1側の制御部26による液晶テレビ3へのAC電源の供給タイミングを例示するもので、図中に示すタイミングT1で受信装置用リモコン2の電源キーあるいは電源スイッチ14が操作され、制御部26がこれに対応して液晶テレビ3へAC電源を供給していることを示す。
【0050】
この液晶テレビ3への電源供給を行なっている状態で、電流検出部31により液晶テレビ用ACコンセント33での出力電流値を検出させ(ステップS05)、その検出した出力電流値が予め設定された値を越えているか否かにより、液晶テレビ3が電源オンの操作を待機するスタンバイ状態ではなく、テレビ放送の視聴動作を行なう電源オン状態であるか否かを判断する(ステップS06)。
【0051】
ここで、電流検出部31で得た電流検出値が制御部26内のフラッシュメモリに予め記憶されている設定値以下であり、液晶テレビ3がスタンバイ状態であると判断した場合に制御部26は、液晶テレビ3の専用リモートコントローラの電源キー操作のキーコードデータを内部のフラッシュメモリより読出し、これをリモコンコード出力部30で変調させて出力端子28より出力させ、上記リモコンコード9、赤外線発光ユニット10を介して液晶テレビ3のリモコン受光部11へ直接且つ確実に送達することで、液晶テレビ3専用の図示しないリモートコントローラでの電源キー操作があった場合と同様に、スタンバイ状態にある液晶テレビ3の電源を自動的にオンさせた後(ステップS07)、再度上記ステップS05からの処理に戻る。
【0052】
図4(C)は、このとき電流検出部31が検出する電流値の変化を示すものであり、上記図4(A)でも示したようにタイミングT1で液晶テレビ3の電源がオンされた後、液晶テレビ3がスタンバイ状態となっているために、AC電源の供給に伴って消費する電流値も上記予め記憶されている設定値A1を下回るものとなるので、制御部26がこれを検出し、上記ステップS07での処理により液晶テレビ3の電源を自動的にオンさせることで、結果として上記タイミングT1から時間T2だけ遅れたタイミングで液晶テレビ3でのテレビ放送の視聴が可能となり、以後もテレビ放送受信装置1からの液晶テレビ3へのAC電源の供給が続行される。
【0053】
また、上記ステップS06で電流検出部31で得た電流検出値が予め設定された値を越えており、液晶テレビ3の電源はすでにオンされてテレビ放送の視聴を行なっていると判断した場合に制御部26は、受信装置用リモコン2または操作部27のキーが操作されたか否かを判断し(ステップS08)、操作されていなければ再び上記ステップS05からの処理に戻ることで、これらのキー操作を待機する。
【0054】
図4(B)は、このとき電流検出部31で検出される電流値の変化を示すものであり、上記図4(A)でも示したようにタイミングT1で液晶テレビ3の電源がオンされた後、液晶テレビ3がテレビ放送の視聴を行なうことで、AC電源の供給に伴って消費する電流値が上記予め記憶されている設定値A1を充分越えることにより、これを検出して、以後液晶テレビ3へのAC電源の供給を続行するものである。
【0055】
しかして、ステップS05,S06,S08の処理を繰返し実行することで、液晶テレビ3の電源ボタン12が利用者に不用意に操作されて液晶テレビ3がスタンバイ状態となってしまった場合でも、ステップS05,S06での処理により即時これを判断し、上記ステップS07での処理により自動的に液晶テレビ3の電源を再度オンとすることができる。
【0056】
図4(D)は、このような場合に電流検出部31が検出する電流値の変化を例示するものである。この場合、テレビ放送受信装置1の電源制御部32から液晶テレビ用ACコンセント33を介して液晶テレビ3へのAC電源の供給が継続されている過程で、例えば液晶テレビ3の電源ボタン12が利用者により不用意に操作されてしまい、液晶テレビ3がテレビ放送の視聴動作からスタンバイ状態に移行してしまった場合でも、電流検出部31が液晶テレビ3への出力電流値を検出し続けているために制御部26がその状態を検出することができ、出力電流値が予め記憶されている設定値A1を下回ってから時間T3が経過した時点で制御部26が上記ステップS07での処理により液晶テレビ3の電源を自動的に再度オンさせ、再び液晶テレビ3でのテレビ放送の視聴が可能となる。
【0057】
その後、利用者により受信装置用リモコン2または操作部27のキーが操作されるとステップS08でこれを判断し、次に操作されたのが受信装置用リモコン2の電源キーか、あるいは操作部27の電源スイッチ14であるか否かを判断する(ステップS09)。
【0058】
ここで、操作されたのが受信装置用リモコン2の電源キーあるいは電源スイッチ14以外のものであった場合には、視聴するチャンネルの変更やボリューム調整など、操作されたキーに対応してテレビ放送の視聴制御を行なった後に(ステップS10)、再び上記ステップS05からの処理に戻る。
【0059】
また、上記ステップS09で受信装置用リモコン2の電源キーあるいは電源スイッチ14が操作されたと判断した場合には、電源制御部32による液晶テレビ用ACコンセント33を介しての液晶テレビ3側への電源供給を停止させた後に(ステップS11)、テレビ放送受信装置1自体の電源もオフし(ステップS12)、以上で一連の処理を出力するものとして、再び次の電源オン指示に備えるべく、上記ステップS01からの処理に戻る。
【0060】
このように、テレビ放送受信装置1に接続した一般向けの液晶テレビ3をテレビ受像機として併せてAC電源を供給すると共に、液晶テレビ3が待機状態であれば自動的にその電源をオンさせるべく信号を発信して強制的にその動作を立上げ、テレビ放送の視聴を実現させるので、利用者になんら負担をかけることなく制御を容易に実行することが可能となる。
【0061】
加えて、テレビ放送受信装置1の電源オン時のみではなく、一旦テレビ放送の視聴を開始した後に、その視聴中に誤って液晶テレビ3側の電源スイッチ14が操作がされてスタンバイ状態となってしまった場合でもこれを即時検出し、自動的に液晶テレビ3の電源をオンさせる信号を発信して強制的にその動作を立上げ、テレビ放送の視聴を再開させるので、利用者になんら負担をかけることなく制御を容易に実行することが可能となる。
【0062】
特に、液晶テレビ3の電源をオンさせる信号をこの液晶テレビ3専用のリモートコントローラで発せられる信号に変換して液晶テレビ3のリモコン受光部11まで送達することにより、確実に液晶テレビ3の電源をオンさせることができる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、テレビ放送受信装置1からリモコンコード9及びその先端の赤外線発光ユニット10を介してテレビ受像機3のリモコン受光部11に送出する信号は、電源のオン/オフを指示するものであるものとして説明したが、これに限らず、音量調節、入力切換え、選局等の他の指示動作に係るキーコードの信号も含めてテレビ受像機3へ送出するものとしてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態はテレビ放送受信装置1に接続されるテレビ受像機として液晶テレビ3を用いるものとしたが、接続されるテレビ受像機の表示素子は液晶表示パネルを用いるものに限定することなく、プラズマディスプレイあるいはCRT(ブラウン管)を用いたものなどでもよいことは勿論である。
【0065】
さらに上記実施の形態は、ホテル施設構内の各客室毎に設置するテレビ放送受信装置に適用した場合について説明したものであるが、本発明はこれに限らず、施設構内で利用するテレビ配信網の各端末としての業務用テレビ放送受信装置であれば、旅館等の宿泊施設、あるいは病院等の宿泊施設等に配置するものでも同様に適用可能である。
【0066】
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0067】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の一形態に係るテレビ放送受信装置とテレビ受像機との接続構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態に係るテレビ放送受信装置内部の機能回路構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係る主として電源制御に関する処理内容を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態に係る電源制御に関する処理事例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0069】
1…テレビ放送受信装置、2…受信装置用リモコン、3…テレビ受像機、4…同軸ケーブル(構内配信網)、5…AC電源コード、6…映像ケーブル、7…音声ケーブル、8…AC電源ケーブル、9…リモコンコード、10…赤外線発光ユニット、11…リモコン受光部、12…電源ボタン、13…リモコン受光部、14…電源スイッチ、21…分配器、22…テレビ放送受信部、23…映像出力端子、24…音声出力端子、25…高周波モデム、26…制御部、27…操作部、28…出力端子、29…磁気カードリーダ/ライタ(カードR/W)、30…リモコンコード出力部、31…電流検出部、32…電源制御部、33…液晶テレビ用ACコンセント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテレビ放送信号を受信し、受信した信号中から一つのテレビ放送信号を選局してその映像及び音声の各信号を復調し出力する選局手段と、
電源投入を指示する指示手段と、
この指示手段での指示に基づいて自装置の電源を投入させると共に上記選局手段で出力した映像信号及び音声信号が供給される外部機器に対しても電源供給する電源供給手段と、
この電源供給手段による外部機器への電源供給量を出力電流値により検出する検出手段と、
この検出手段で検出した出力電流値から上記外部機器がテレビ放送の視聴状態と待機状態のいずれであるかを判断する判断手段と、
この判断手段で上記外部機器が待機状態であると判断した際に上記外部機器の電源投入信号を発信する発信手段と、
この発信手段で発信された電源投入信号を上記外部機器で受信可能な信号に変換して上記外部機器に送達する送達手段と
を具備したことを特徴とするテレビ放送受信装置。
【請求項2】
複数のテレビ放送信号を受信し、受信した信号中から一つのテレビ放送信号を選局してその映像及び音声の各信号を復調し出力する選局手段と、
電源投入を指示する指示手段と、
この指示手段での指示に基づいて自装置の電源を投入している状態で、上記選局手段で出力した映像信号及び音声信号が供給される外部機器に対しても電源供給する電源供給手段と、
この電源供給手段による外部機器への電源供給量を出力電流値により継続して検出する検出手段と、
この検出手段で検出した出力電流値から上記外部機器がテレビ放送の視聴状態と待機状態のいずれであるかを判断する判断手段と、
この判断手段で上記外部機器が待機状態であると判断した際に上記外部機器の電源投入信号を発信する発信手段と、
この発信手段で発信された電源投入信号を上記外部機器で受信可能な信号に変換して上記外部機器に送達する送達手段と
を具備したことを特徴とするテレビ放送受信装置。
【請求項3】
上記外部機器は、専用のリモートコントローラからの操作信号を受信する受信部を有し、
上記送達手段は、上記発信手段からの電源投入信号を上記専用のリモートコントローラからの操作信号に変換して有線で上記受信部に送達する
ことを特徴とする請求項1または2記載のテレビ放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−325102(P2006−325102A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148182(P2005−148182)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(592205735)株式会社ケイティーエス (16)
【Fターム(参考)】