説明

テーパされたフィラメント用コンテナ

本発明は、テーパされたフィラメントの束をパッケージングするための、熱可塑性材料から製造されたマルチコンパートメント化コンテナ(10)を提供する。コンテナは、複数のウェル(18)を含む下部受容セクション(12)と、受容セクション内のウェル(18)に対応するウェル(20)を含むカバー(14)とを有する。受容セクションウェル(18)は、フィラメント束をウェル内に案内するのを助けるリブ(26)を含む。コンテナは、パッケージングの間フィラメントの取扱いやすさを可能にし、輸送の間フィラメントをしっかりと保持して、フィラメントの損傷を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントの束をパッケージングするためのコンテナに関し、より特定的には、複数の束にされたテーパされたフィラメントをパッケージングするためのプラスチックコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
テーパされたフィラメントの用途は、主として、歯ブラシ、塗料ブラシ、および化粧ブラシである。テーパされたフィラメントは、歯ブラシに特に有用である。テーパされた先端は、歯間凹部および歯肉から歯への移行領域などの困難な領域に達することができる。テーパされたフィラメントは、テーパされていないフィラメントより効果的に、これらの達するのが困難な領域から歯垢を除去する。
【0003】
テーパされたフィラメントをパッケージングするための現在の実施は、フィラメントの束を、任意選択的にゴムバンドで巻き、次に、束をペーパーストリップで巻き、巻かれた束をゴムバンドで固定する。次に、巻かれた束をペーパーポーチ内にパックする。ペーパーポーチはペーパーコンテナ内にパックされ、ペーパーコンテナはカートン内に積重ねられる。このパッケージング手段は、テーパされたフィラメントには不十分である。テーパされたフィラメントの端部は、非常に小さい力に敏感であり、容易に破断されるか曲げられる。フィラメント端部は現在のパッケージングで保護されない。さらに、フィラメントの滑りやすい表面は、束を、パッキングおよびアンパッキングの間取扱うのを困難にし、破断しやすさまたは損傷しやすさを増加させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、束の取扱いやすさをもたらし、したがって、フィラメントの損傷しやすさまたは破断しやすさを減少させながら、束をしっかりと保持するような、先端加工された(tipped)フィラメント束をパッケージングするための向上されたコンテナを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単に述べると、および本発明の一態様によれば、フィラメントの束を保持するための向上されたマルチコンパートメント化(multi−compartmentalized)コンテナであって、複数のウェルを有する受容セクションと、受容セクションのためのカバーとを含む向上されたマルチコンパートメント化コンテナを提供する。カバーは、複数のウェルを有することができ、ウェルの開口端部は、受容セクション内の複数のウェルの開口部と整列されて、フィラメント束のための容器を形成する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、真空成形、熱成形、または射出成形によって形成されるフィラメント束のための向上されたコンテナを提供する。
【0007】
本発明の別の態様によれば、フィラメントの束を保持するためのマルチコンパートメント化コンテナであって、複数のウェルを有する受容セクションと、受容セクションのためのカバーとを含むマルチコンパートメント化コンテナから、テーパされたフィラメント束を取外すための方法を提供する。カバーは、カバーが所定位置にあるとき、カバー内の複数のウェルの各々の開口端部が、受容セクション内の対応するウェルの開口端部と整列されて、フィラメント(たとえば、繊維)束を保持するための容器を形成するように、アレイで複数のウェルを含む。カバーが受容セクションの上で閉じられると、フィラメント束が、カバーウェルの深さおよび対応する受容セクションウェルの深さに適合する。
【0008】
本発明は、添付の図面と関連して、次の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
【0009】
本発明を、その好ましい実施形態と関連して説明するが、本発明をその実施形態に限定することは意図されないことが理解されるであろう。それどころか、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲内に含むことができるような代替例、修正例、および均等物をすべて網羅することが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(定義)
次の定義を、どのように本明細書および添付の特許請求の範囲の文脈で使用するかに従って、参考として示す。
【0011】
ここで使用されるような「ウェル」という用語は、コンパートメントまたは窪んだ領域を示す。
【0012】
ここで使用されるような「カバーウェル」という用語は、カバー内のウェルを示す。
【0013】
ここで使用されるような「受容ウェル」という用語は、受容セクション内のウェルを示す。
【0014】
ここで使用されるような「先端加工された」という用語は、フィラメントの端部に近いほど、フィラメントの直径が徐々に小さくなる、化学的にまたは機械的にテーパされたまたは丸くされたフィラメントを示す。
【0015】
ここで使用されるような「アレイ」という用語は、行および列の矩形配列を示す。
【0016】
ここで使用されるような「PET」という用語は、ポリ(エチレンテレフタレート)を示す。
【0017】
ここで使用されるような「PETG」という用語は、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート−コ−イソフタレート)を示す。
【0018】
ここで使用されるような「HIPS」という用語は、耐衝撃性ポリスチレンを示す。
【0019】
ここで使用されるような「OPS」という用語は、延伸ポリスチレンを示す。
【0020】
ここで使用されるような「PVC」という用語は、ポリ塩化ビニルを示す。
【0021】
ここで使用されるような「PC」という用語は、ポリカーボネートを示す。
【0022】
ここで使用されるような「PMMA」という用語は、ポリ(メチルメタクリレート)を示す。
【0023】
ここで使用されるような「PP」という用語は、ポリプロピレンを示す。
【0024】
ここで使用されるような「リブ」という用語は、フィラメント束をウェル内に挿入するときフィラメント束を案内するのに役立つ、ウェルの表面から突出する長く狭い部材を示す。
【0025】
ここで使用されるような「束」という用語は、好都合な取扱いのためにともに留められた1群のフィラメントを示す。
【0026】
ここで使用されるような「マルチコンパートメント化」という用語は、フィラメント束を保持するための少なくとも2つの別個の窪んだ領域を含むことを示す。
【0027】
ここで使用されるような「mm」という用語は、ミリメートルを示す。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によるコンテナが、下部受容セクションと、カバーとを有する、テーパされたフィラメントの束をパッケージングするためのマルチコンパートメント化コンテナを含む。受容セクションは複数のウェルを有する。典型的には、受容セクション内のウェルの数は、パッケージングされるべき束のサイズおよび束の数による。典型的には、受容セクション内のウェルは、アレイ(すなわち、十分に調整され配列された整列)で配列される。カバーは、束の長さおよび受容セクション内のウェルの深さ次第では、ウェルを含んでも含まなくてもよい。
【0029】
カバーもウェルを含む場合、カバーウェルは、カバーが所定位置にあるとき、カバー内の各ウェルの開口端部が、受容セクション内のウェルの開口端部と整列されて、繊維束のための容器を形成するようなアレイである。
【0030】
マルチコンパートメント化コンテナは、熱可塑性ポリマーから製造することができる。好ましくは、熱可塑性樹脂は、PET、PETG、HIPS、OPS、PVC、PC、PMMA、およびPPから選択される。使用することができる1つの特定のタイプのHIPSが、K−レジン(K−resin)(登録商標)、フィリップス66(Phillips 66)によって製造された透明HIPSである。マルチコンパートメント化コンテナは、真空成形、熱成形、または射出成形を含むさまざまな方法で形成することができる。
【0031】
ここで、本発明の詳細な説明のために図面を参照する。
【0032】
ここで、本発明によるフィラメントコンテナ10の好ましい実施形態の斜視図を示す図1を参照する。図1に示された実施形態は、一般に、複数のフィラメント束受容ウェル18を含む下部受容セクション12と、複数のウェル20を含む上部カバー14とを有する矩形コンテナを規定する。束受容ウェル18のより詳細な図面が図2にある。カバーおよび受容セクションは、任意選択的に、ヒンジ16によって連結される。受容セクション12内のウェルは、フィラメント全長の少なくとも66%の深さを有する。受容セクション12内のウェル18が、フィラメント全長の100%の深さを有するとき、カバーは平坦なシートである。受容セクション12内のウェルは、束にされたフィラメントを受容ウェル18内に案内する、図2に示されているような徐々にテーパされたリブ26を有する。リブ26は、受容セクション12内のウェル18の基部28で始まり、基部28で最も幅広い。リブ26は、受容ウェル18全高の50%を超えないように、受容ウェル18の側面を軸方向に上に延在するにつれて、徐々にテーパする。リブ26は、中に保管されるべきフィラメント束を受容するのを助ける。ウェル直径は、束を受容ウェル18にしっかりと適合させるのに十分である。ウェル直径の緊密な適合は、束を所定位置にしっかりと保ち、したがって、フィラメントの損傷しやすさまたは破断しやすさを減少させる。ウェル直径は、一般に、一般的なフィラメント束サイズに対応するために、少なくとも30mmである。
【0033】
図3は、カバー14内のウェル20の実施形態の側面図を示す。カバー14内のウェル20の深さは、フィラメント全長の0〜33%である。カバー14上のウェル20の深さが0に等しい場合、カバーは平坦なシートであり、これは板紙と取替えることができる。深さが0を超えるカバーウェル20を有することの1つの利点は、テーパされたフィラメント束の容易な取外しである。束は、フィラメントの先端加工された端部側から、コンテナから取外すことが困難なことがある。先端加工された端部は破断しやすく、端部の滑りやすい性質は、束を、把持するのを困難にする。新たなパッケージングは、受容ウェル18内にフィラメント束のより大きい先端加工されていない端部を配置することによって、この問題を克服する。束をアンパックすべきであるとき、コンテナは、受容セクション12が上にあり、カバー14が下にあるようにひっくり返される。受容ウェル端部は持上げられてコンテナ10を開け、先端加工されていない端部を露出する。次に、束を、コンテナのカバーウェル20から、それらから突出する先端加工されていない端部を把持することによって、容易に取外すことができる。
【0034】
さらに、ウェル20を含むカバー14が、また、両方の端部が先端加工されたフィラメントにとって利点であり、というのは、カバーウェル20の深さがフィラメント全長の33%までであるので、コンテナが逆にされたとき、フィラメント束長さの少なくとも66%がカバーウェル20から突出しているからである。したがって、両方のフィラメント端部が先端加工された場合でも、束は容易に把持される。
【0035】
カバー14は、ヒンジ、スタッド、およびファスナなどの、当該技術において知られている任意の適切なデバイスを使用して、受容セクション12に留めることができる。好ましくは、協働型プレススタッド結合装置(press−stud−fastening device)が使用される。次に、カバー14は、カバー14の下側から外方に突出する凸状スタッド24を含む。受容セクション12は、受容セクション12の内部に内方に突出する凹状スタッド22を含み、カバー14上のスタッド24と係合するように配列される。プレススタッド結合装置は、コンテナの自由端に沿って配置することができる。コンテナは、自由側の長さによって、各自由側に1〜4のプレススタッド結合装置を有することができる。
【0036】
したがって、本発明によって、上に述べた目的および利点を十分に満たす、フィラメント束を保護するためのコンテナを提供したことが明らかである。本発明を、その特定の実施形態と関連して説明したが、多くの代替例、修正例、および変更例が当業者には明らかであろうことが明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内にあるそのような代替例、修正例、および変更例をすべて包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明によるフィラメントコンテナの好ましい実施形態の斜視図である。
【図2】受容ウェルの側面図である。
【図3】カバーウェルの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントの束を保持するためのマルチコンパートメント化コンテナであって、
a.複数のウェルを有する受容セクションと、
b.前記受容セクションのためのカバーと
を含むことを特徴とするマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項2】
前記受容セクションと前記カバーとを連結するヒンジをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項3】
前記カバーが、前記カバーが所定位置にあるとき、前記カバー内の複数のウェルの各々の開口端部が、前記受容セクション内の対応するウェルの開口端部と整列されて、フィラメント束を保持するための容器を形成するように、アレイで前記複数のウェルを含み、前記カバーの前記ウェルが深さを有し、前記受容セクションの前記ウェルが深さを有することを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項4】
前記受容セクション内の前記ウェルの深さが、前記フィラメント束内に含まれるフィラメント全長の少なくとも66%であることを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項5】
前記カバー内の前記ウェルの深さが、前記フィラメント束内に含まれるフィラメント全長の0〜33%であることを特徴とする請求項3に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項6】
前記受容セクション内および前記カバー内の前記ウェルが、少なくとも30mmの直径を有することを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項7】
前記フィラメント束が複数のフィラメントを含み、前記フィラメントが先端加工されることを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項8】
前記コンテナが熱可塑性材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項9】
前記熱可塑性材料が、PET、PETG、HIPS、OPS、PVC、PC、PMMA、およびPPからなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項10】
前記コンテナが、真空成形、熱成形、または射出成形されることを特徴とする請求項8に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項11】
前記受容セクションの前記ウェルが、前記ウェルの基部で始まり前記ウェルの側面を軸方向に上に延在するリブを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項12】
前記軸方向に延在するリブが、前記リブの最も幅広い部分が前記ウェルの基部にあるようにテーパされることを特徴とする請求項11に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項13】
前記コンテナが、前記カバーを前記受容セクションに固定するために、協働型プレススタッド結合装置を含むことを特徴とする請求項3に記載のマルチコンパートメント化コンテナ。
【請求項14】
請求項3に記載のコンテナから、テーパされたフィラメント束を取外すための方法であって、
a.前記受容セクションが上にあり、前記カバーが下にあるように、前記コンテナを逆にする工程と、
b.前記カバーを開けるか取外すことによって、前記フィラメント束を露出する工程と、
c.前記束を、前記カバーのウェルから突出する端部によって把持する工程と
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−518250(P2009−518250A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544577(P2008−544577)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/047167
【国際公開番号】WO2007/067804
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508073900)デュポン シンダ フィラメンツ カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】