説明

テーパーローラベアリングの組立装置

【課題】テーパー状のローラを順番にスムーズに保持器の窓に案内する。
【解決手段】テーパーローラベアリングの組立装置は、保持器2の周壁3に設けている窓4に順番にローラ1を入れる。組立装置は、保持器2の周壁3を下窄み状とする姿勢で保持器2を保持する保持機構10と、保持機構10で保持される保持器2の中心孔5に挿入されて保持器2の周壁3との間にローラ1を案内する隙間24を設けている内側ガイド21と、保持機構10で保持される保持器2の窓4に向かって、周壁3の内側からローラ1を供給するローラガイド30とを備えている。ローラガイド30は、複数のローラ1を、下方の外径を小さくする姿勢で上下方向に並べて、下端の排出端部30Aから保持器2の窓4に供給する。さらに、ローラガイド30は、排出端部30Aを鉛直方向に対して傾斜する姿勢であって、保持器2の周壁3の傾斜方向と反対方向に傾斜する姿勢としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパーローラベアリングの組立装置に関し、とくに保持器の窓に順番にローラを供給する組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラベアリングの自動組立方法は開発されている。(特許文献1ないし3参照)
これ等の公報にはローラベアリングの組立方法が記載される。しかしながら、これらの公報に記載される方法では、テーパーローラベアリングを組み立てできない。テーパーローラベアリングは、テーパー状のローラを保持器の窓に入れて、その内側に内輪を挿入して組み立てられるが、このベアリングは保持器に設けているテーパー状の窓にテーパー状のローラを挿入するので、ローラをスムーズに挿入するのが極めて難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−242948号公報
【特許文献2】特開平5−50341号公報
【特許文献3】特開2006−205263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、テーパーローラベアリングの自動組立装置として、図1に示すように、保持器92を下窄み状の姿勢に配置し、保持器92の窓94に入れる全てのローラ91を窓94の上方に環状に配置し、全てのローラ91を一緒に落下させて保持器92の窓94に入れる装置を開発した。この組立装置は、下窄み状に配置される保持器92の内側には、窓94に入れるローラ91が倒れるのを阻止する載せ円筒90を配置している。この姿勢で水平に配置される保持器92の窓94は、その幅が下方に向かって次第に狭くなる姿勢となる。
【0005】
図1の組立装置は、保持器92の全ての窓94に、一緒に多数のローラ91を落下して案内するので、保持器92の各々の窓94の上方に、ローラ91を供給する筒状のローラガイド(図示せず)を配置している。ローラガイドは、各々の窓にローラを供給するので、窓の数と同じ本数を環状に配置している。ローラガイドの内径は、ローラを通過できるように、ローラの最大外径よりも大きく、その外径は、内径に肉厚が加算されるので、ローラの外径に比べて相当に太くなる。ローラガイドが太くなることから、ローラガイドの排出端部を理想的な位置に配置できなくなる。この配置は、排出端部から窓に供給されるローラの安定した供給を難しくする。さらに、各々のローラガイドから全てのローラが全く同じタイミングで保持器の内側に落下されるとき、ローラがブリッジとなって落下しなくなることがある。それは、ローラが窓の内側に環状に並べて落下されて、窓から外側に移動して窓に案内されるからである。ローラがブリッジになって落下できなくなると、組立装置は異常停止するので、能率よく連続して組み立てできなくなる。
【0006】
さらにまた、ローラは、錆びを防止するために表面に防錆油が付着している。防錆油は、ローラガイドとの摩擦抵抗を大きくして、ローラのスムーズな落下を阻害する。このため、各々のローラガイドは、一緒にローラを供給するように制御されるが、摩擦抵抗が大きいローラガイドからは速やかに供給されず、一斉にローラを落下できなくなる欠点もある。とくに摩擦抵抗が大きくなると、ローラがローラガイドに詰まる弊害もある。ローラは自重で落下して窓に供給されるので、ローラの自重がローラの移送力となる。ローラガイドに1個のローラを落下させる図1の組立装置は、1個のローラの重量がローラを移送させる力となるので、ローラを強い力で移送して、保持器の窓に供給できない。このため、防錆油で摩擦抵抗が大きくなると、全てのローラをスムーズに落下できなくなる。全てのローラガイドからスムーズにローラを落下できないと、全ての窓に所定のタイミングでローラを供給できなくなる。組立装置は、所定の時間に窓にローラが供給されるとして、ローラの供給が開始されて所定の時間が経過すると、保持器を次の工程に移送する。この工程でローラの供給されない保持器が次の工程に移送されると正常に組み立てできなくなる。また、保持器の窓に供給されなかったローラが次の保持器に供給されることになって、組立装置は異常停止する。以上のことが互いに作用して、図1に示す組立装置は、全てのローラを安定して窓に入れるのが難しく、また、異常停止を有効に阻止できない欠点がある。
【0007】
さらにまた、図1の組立装置は、保持器に供給する全てのローラを環状に並べて、複数のローラガイドから一斉に保持器に供給するので、多数のローラを環状に並べて窓に供給する配列供給機構が複雑で製造コストが高くなる欠点がある。複雑な配列供給機構は、組み替えに手間がかって、保持器やローラの交換に時間がかかる欠点がある。また、1台の組立装置で、複数の保持器にローラを挿入する装置にあっては、高価で複雑な配列供給機構を複数組設けるので、装置全体の製造コストが高くなる欠点もある。
【0008】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、テーパー状のローラを順番にスムーズに保持器の窓に案内できるテーパーローラベアリングの組立装置を提供するにある。
また、本発明の他の大切な目的は、防錆油が付着するローラを速やかに安定して保持器の窓に案内できるテーパーローラベアリングの組立装置を提供することにある。
さらにまた、本発明の他の大切な目的は、ローラを保持器の窓に供給する機構を簡素化して、組み替え作業を簡単かつ容易に、しかも短時間にできる構造にでき、さらに、組み替える機構を安価にして全体の製造コストを低減できるテーパーローラベアリングの組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、テーパー状である保持器2の周壁3に設けている窓4に順番にテーパー状のローラ1を入れる組立装置である。テーパーローラベアリングの組立装置は、保持器2の周壁3を下窄み状とする姿勢で保持器2を保持する保持機構10と、この保持機構10で保持される保持器2の中心孔5に挿入されて保持器2の周壁3との間にローラ1を案内する隙間24を設けている内側ガイド21と、保持機構10で保持される保持器2の窓4に向かって、周壁3の内側からローラ1を供給するローラガイド30とを備えている。ローラガイド30は、複数のローラ1を、下方の外径を小さくする姿勢とし、かつ上下方向に複数のローラ1を並べて下端の排出端部30Aから保持器2の窓4に供給すると共に、その排出端部30Aを鉛直方向に対して傾斜する姿勢としている。さらに、組立装置は、ローラガイド30の排出端部30Aの傾斜方向を、保持器2の周壁3の傾斜方向と反対方向に傾斜する姿勢としている。
【0010】
以上のテーパーローラベアリングの組立装置は、テーパー状のローラを順番にスムーズに保持器の窓に案内できる特徴がある。それは、以上の組立装置が、周壁を下窄み状とする姿勢で配置している保持器の窓に、複数のローラを上下に並べて収納しているローラガイドでもって、周壁の上側からローラを入れると共に、ローラガイドの排出端部を鉛直方向に対して傾斜する姿勢とし、かつ、排出端部の傾斜方向を、保持器の周壁の傾斜方向と反対方向に傾斜する姿勢としているからである。以上の組立装置は、ローラガイドの排出端部から鉛直方向に対して傾斜する姿勢でローラが窓に供給される。この姿勢で供給されるローラは、上段のローラに押し下げられてスムーズに保持器の窓に供給される。さらに、排出端部を周壁の傾斜方向とは反対方向に傾斜しているので、保持器の周壁の内側に落下したローラは、図7に示すように、排出端部30Aにある上段のローラ1によって、矢印で示すように窓4に強制的に挿入される方向に押されて、図8に示すように、窓4に速やかに挿入される。すなわち、ローラガイド30に上下に収納している複数のローラ1は、下端のローラ1を押し下げて強制的に周壁3の内側に押し込み、さらに、周壁3の内側に落下したローラ1は、上段のローラ1に押されて、強制的に窓4に挿入される。以上のようにローラを強制的に窓に挿入する組立装置は、加工精度の低い保持器の窓にも安定してローラを供給できる特徴も実現する。
【0011】
さらに、以上の組立装置は、防錆油が付着するローラをも速やかに安定して保持器の窓に案内できる特徴も実現する。それは、保持器の窓に挿入される最下段のローラを上段のローラで強制的に押し下げて保持器の窓に挿入するからである。
【0012】
さらにまた、以上の組立装置は、ローラを保持器の窓に供給する機構を簡素化して、組み替え作業を簡単かつ容易に、しかも短時間にできる構造にでき、さらに、組み替える機構を安価にして全体の製造コストを低減できる特徴も実現する。それは、ローラガイドで順番にローラを保持器の窓に供給するからである。この構造は、従来の組立装置のように、全てのローラを一緒に各々の窓に供給しないので、組み立てるテーパーローラベアリングの型式を変更するとき、太さが異なるローラガイドに変更して、直径の異なるローラを保持器の窓に供給できる。複数のローラを順番に供給する機構は、保持器に供給する全てのローラを定位置に並べて、保持器の全ての窓に一斉に供給する機構とは比較にならないほど簡単な機構にでき、しかも軽くできることから、型式が異なるテーパーローラベアリングの組み替えを極めて簡単に能率よく短時間で処理できる。また、型式が異なるテーパーローラベアリングに供給する供給機構が簡単になるので、種々の型式のテーパーローラベアリングを自動組立しながら、供給機構を安価にできる特徴も実現できる。
【0013】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、ローラガイド30を傾斜姿勢で回転させる回転機構50を備えて、この回転機構50でローラガイド30を回転させて、保持器2の窓4に順番にローラ1を供給することができる。
以上の組立装置は、ローラガイドを回転して複数のローラを順番に保持器の窓に供給するので、保持器を回転することなくローラを供給できる。このため保持器の保持機構を簡単にできる特徴がある。
【0014】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、保持器が交換される毎に回転機構を逆転させることができる。
以上の組立装置は、ローラガイドの上端に可撓性のチューブを連結して、ローラをローラガイドに供給できるので、ローラガイドにローラを供給する構造を簡単にできる特徴がある。それは、保持器の窓にローラを供給して保持器が交換される毎に、回転機構でローラガイドを逆転するので、ローラガイドにねじ切れないように可撓性のチューブを連結できるからである。
【0015】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、回転機構50が、内側ガイド21を固定している基台27に対して回転自在に連結してなる回転部51と、この回転部51を水平面内で回転させる駆動機構52とを備えることができる。回転部51は、駆動機構52に回転される回転体53と、この回転体53に脱着自在に連結され、かつローラガイド30を固定してなる脱着プレート54とを備えて、脱着プレート54を回転体53に脱着して、ローラガイド30を交換することができる。
以上の組立装置は、ローラガイドを固定している脱着プレートを回転部に脱着して、回転するローラガイドを簡単に交換できる特徴がある。
【0016】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、ローラガイド30が、ローラ1の排出と停止を制御するストッパ32を先端に備えることができる。
以上の組立装置は、ストッパでローラの排出を制御できるので、ローラガイドから特定数のローラを排出して、保持器の窓に供給できる。
【0017】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、ローラガイド30の排出端部30Aの鉛直方向に対する傾斜角(α)を3度ないし30度とすることができる。
以上の組立装置は、傾斜する排出端部でもって、ローラを確実にしかも速やかに保持器の窓に強制的に挿入できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明者が先に開発したベアリングの自動組立方法を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるテーパーローラベアリングの組立装置の断面図である。
【図3】図2に示すテーパーローラベアリングの組立装置の平面図である。
【図4】図2に示すテーパーローラベアリングの組立装置の斜視図である。
【図5】図2に示すテーパーローラベアリングの組立装置がローラガイドを供給位置とする状態を示す断面図である。
【図6】図5に示すテーパーローラベアリングの組立装置がローラを保持器に供給する状態を示す断面図である。
【図7】図6に示すローラガイドがローラを保持器に供給する状態を示す拡大断面図である。
【図8】図7に示すローラが保持器の窓に供給される状態を示す拡大断面図である。
【図9】図4に示すテーパーローラベアリングの組立装置のローラガイドを脱着する状態を示す斜視図である。
【図10】図4に示す組立装置でテーパーローラベアリングを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図11】図4に示す組立装置でテーパーローラベアリングを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図12】図4に示す組立装置でテーパーローラベアリングを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図13】図4に示す組立装置でテーパーローラベアリングを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図14】図4に示す組立装置でテーパーローラベアリングを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図15】図4に示す組立装置でテーパーローラベアリングを組み立てる工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのテーパーローラベアリングの組立装置を例示するものであって、本発明は組立装置を以下の構造に特定しない。
【0020】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図2ないし図6は、テーパーローラベアリングの組立装置を示している。これらの図の組立装置は、テーパー状である保持器2の周壁3に設けている窓4に順番にテーパー状のローラ1を入れてテーパーローラベアリングを組み立てる。図の組立装置は、保持器2を水平姿勢に保持する保持機構10と、保持器2の中心孔5に挿入される内側ガイド21と、この保持機構10で保持される保持器2の窓4に向かって、周壁3の内側からローラ1を供給するローラガイド30とを備えている。さらに、図の組立装置は、保持器2の外側に外側ガイド25を設けている。
【0022】
保持機構10は、ローラ1をスムーズに保持器2の窓4に案内できるように、保持器2を水平姿勢として、その周壁3を下窄み状とする姿勢で保持する。周壁3を下窄み状とする姿勢の保持器2は、周壁3の窓4を下方に向かって幅が狭くなる姿勢としている。図の保持機構10は、保持器2の外周部の下面を支持して保持器2を水平姿勢に配置するベース11と、このベース11の上に載せた保持器2を外周から挟着して定位置に保持する挟着機構12とを備える。
【0023】
ベース11は、図5と図6に示すように、内側ガイド21と外側ガイド25の間にあって、保持器2を支持する上面を水平面内に配置して、ここに載せる保持器2を水平姿勢に配置する。図の組立装置は、保持器2を水平姿勢に配置するが、保持器は必ずしも水平姿勢に配置する必要はなく、たとえば0〜30度は傾斜して配置することもできる。
【0024】
挟着機構12は、ベース11の上に載せている保持器2を、その周壁3の上端縁で外側から挟着して定位置に配置する。挟着機構12は、往復運動して保持器2の外周をバランスして挟着する押圧片13と、この押圧片13を往復運動させる往復運動機構14とを備える。図4ないし図6の押圧片13は、垂直姿勢に配置されるレバー13Aで、このレバー13Aは中間の支点を傾動できるように傾動軸15を介してフレーム16に連結している。さらに、レバー13Aの押圧片13は、その下端に保持器2の外周に向かって突出する押圧部13aを有し、この押圧部13aの先端で保持器2の外周を押して挟着している。さらに、挟着機構12は、押圧部13aの上方に、保持器2の周壁3の上面を保持する押さえ凸部17を設けている。この押さえ凸部17は、フレーム16から保持器2に向かって水平方向に延びており、その先端が押圧部13aの先端よりも内側に突出して、保持器2の周壁3の上面を保持するが、保持器2の周壁3よりも内側には突出しないように、その突出量を調整している。図に示す挟着機構12は、押さえ凸部17の先端の位置に対する押圧部13aの先端の位置を調整する調整機構18を備えている。図の調整機構18は、押圧片13を貫通するネジ棒18Aで、その先端を押さえ凸部17の背面に当接させて、このネジ棒18Aの先端部の突出量で、押さえ凸部17に対する押圧部13aの位置を特定している。この挟着機構12は、押さえ凸部17の先端で、保持器2の周壁3の上面を定位置に保持しながら、押圧部13aの先端で保持器2の外周を押して挟着して、保持器2を抜けないように定位置に配置する。
【0025】
往復運動機構14は、押しバネ19とシリンダ20を備えている。押しバネ19はコイルスプリングで、レバー13Aの支点よりも下方であって、フレーム16とレバー13Aとの間に配置している。押しバネ19は、押圧部13aを保持器2の周壁3に向かって弾性的に押圧している。シリンダ20は、ロッド20Aを水平方向に往復運動する姿勢でフレーム16に固定している。シリンダ20は、ロッド20Aの先端が、レバー13Aである押圧片13の上端部の外側面に向く姿勢で配置している。以上の往復運動機構14は、シリンダ20のロッド20Aを押し出して、ロッド20Aの先端で押圧片13の上端部を水平方向に押圧して、レバー13Aの押圧片13を傾動させる。この状態で、押圧部13aが保持器2の外周を押圧しない状態となって、保持器2を外すことができる。
ただ、組立装置は、挟着機構を以上の構造に特定しない。挟着機構は、ベースの上に載せている保持器を外側から挟着して定位置に配置できる他の全ての構造が使用できる。
【0026】
内側ガイド21は、保持器2の中心孔5に挿入される円柱部22を上部に設けている。円柱部22は、保持器2の中心孔5に挿入できるように、中心孔5よりも小さい外径の円柱状として、周壁3との間にローラ1を案内する隙間24を設けている。図5と図6の内側ガイド21は、円柱部22の下端縁に沿ってリング状の鍔23を突出して設けており、鍔23の外径を保持器2の中心孔5の内径にほぼ等しく、正確には中心孔5よりもわずかに小さくしている。この内側ガイド21は、リング状の鍔23を保持器2の中心孔5に挿入して、保持器2を内側ガイド21の定位置に配置している。さらに、図4の内側ガイド21は、円柱部22の外周面の全面にわたって、ローラガイド30から供給されるローラ1を鉛直方向に案内する複数の案内凹部22Aを設けている。この案内凹部22Aは、鉛直姿勢のローラ1の外形に沿う円弧状で、保持器2の周壁3に設けた複数の窓4に対向して設けている。この構造の内側ガイド21は、ローラガイド30から供給されるローラ1を円柱部22の案内凹部22Aに案内して、保持器2の窓4に速やかに案内できる。ただ、案内凹部の内面形状は、必ずしも円弧状とする必要はなく、V字状やコ字状、あるいは多角柱の外周面に沿う形状とすることもできる。
【0027】
外側ガイド25は、上方に向かって内径を大きくするテーパー状の開口部26を有し、この開口部26の内側に保持器2を配設している。テーパー状の開口部26は、ローラ1を窓4に入れている保持器2を内側に配置できる内径としている。図5と図6の外側ガイド25は、ローラガイド30から保持器2の周壁3の内側に鉛直姿勢で落下して案内されるローラ1が内面に接触する内径としている。
【0028】
内側ガイド21と外側ガイド25は、基台27に固定している。内側ガイド21と外側ガイド25は、セットされる保持器2の大きさや形状に応じて種々に交換できるように、取り外し自在に基台27に固定している。内側ガイド21と外側ガイド25の間に配置されるベース11は、上昇機構(図示せず)でもって、内側ガイド21に対して上昇されて、全ての窓4にローラ1が挿入された保持器2を取り出し位置に押し上げる構造としている。
【0029】
ローラガイド30は、テーパー状のローラ1を内部に多段に入れて下端から排出できる円筒31を備えており、この円筒31の上端部を太くして固定部31Aとしている。ローラガイド30は、円筒31の固定部31Aの上端を、脱着プレート54の下面に連結している。脱着プレート54は、ローラガイド30を水平面内で回転させる回転機構50の回転部51に固定している。ローラガイド30は、円筒31の内径をローラ1の最大経よりもわずかに、たとえば0.5mm〜1mm大きくして、ローラ1を自重でスムーズに落下させて下段から供給できるようにしている。ただし、ローラガイドは、必ずしも円筒とする必要はなく、たとえば複数のローラをリング状に配置して、内側にローラを多段に入れて配置できるものも使用できる。
【0030】
図5と図6のローラガイド30は、ローラ1を送り出す排出端部30Aにストッパ32を設けている。ストッパ32は、ローラガイド30からのローラ1の排出と停止をコントロールする。ストッパ32は、ローラガイド30の下端に連結されてローラ1の排出をコントロールするストッパ片33と、このストッパ片33を傾動させる駆動機構40とを備える。
【0031】
ストッパ片33は、図5ないし図8に示すように、全体の形状をL字状として、ローラガイド30に沿って伸びる縦ロッド33Aの中間を支点として傾動できるようにローラガイド30に連結している。ストッパ片33は、ローラガイド30の先端部に固定している外筒34に傾動できるように連結している。外筒34は、ストッパ片33を傾動できるように案内する縦溝34A(図4参照)を有し、ここに傾動できるように傾動軸35で連結している。縦ロッド33Aは、その下端部にローラガイド30の内側に突出するストッパ凸部33Bを有し、上端の外側にはスプリング溝33Cを設けて、ここにリング状の弾性体であるコイルスプリング36を配置している。リング状のコイルスプリング36は引っ張りバネで、縦ロッド33Aの上端をローラガイド30に向かって弾性的に押して、縦ロッド33Aの下端をローラガイド30の中心から離す方向、すなわち、ストッパ32を開いてローラ1を排出する方向に付勢している。
【0032】
駆動機構40は、シリンダ41で、図7と図8に示すように、縦ロッド33Aの上端面に固定した固定プレート37を介してストッパ片33の上端に固定している。シリンダ41は、ローラガイド30の円筒31に対して垂直な姿勢であって、ロッド41Aの先端がローラガイド30の円筒31を向く姿勢となるようにストッパ片33に固定している。この駆動機構40は、シリンダ41がロッド41Aを伸長させる状態で、ロッド41Aの先端が円筒31の外周面を押圧して、ストッパ片33の上端部を円筒31から離れる方向に押し出してストッパ片33を傾動させる。シリンダ41のロッド41Aが往復運動されて、ストッパ片33は傾動される。ストッパ片33が傾動して、ストッパ32は、ローラ1を排出する状態と、排出を停止する状態に制御される。シリンダ41のロッド41Aが収縮されると、ストッパ片33はローラ1を排出する状態となる。シリンダ41のロッド41Aが伸長されると、ストッパ片33はローラ1の排出を停止する状態となる。したがって、このストッパ32は、シリンダ41のロッド41Aの伸縮を制御して、ローラ1の排出と停止をコントロールできる。
ただ、組立装置は、ストッパを以上の構造には特定しない。ストッパは、ローラの排出と停止をコントロールできる他の全ての構造が使用できる。
【0033】
ローラガイド30は、排出端部30Aの開口部を保持器2の周壁3の内側に沿って水平面内で回転させて、保持器2に周壁3の内側からローラ1を供給する。ローラガイド30は、複数のローラ1を上下に並べて収納して、排出端部30Aでもって、下から順番にローラ1を保持器2の窓4に供給する。ローラ1は、下方の外径を小さくする姿勢でローラガイド30に収納される。ローラガイド30の排出端部30Aは、ローラ1を速やかに保持器2の窓4に案内するために、鉛直方向に対して傾斜する姿勢をしている。排出端部30Aの傾斜方向は、保持器2の周壁3が傾斜する方向とは反対方向である。周壁3と反対方向に傾斜する排出端部30Aは、上方に向かって保持器2の中心に向かう方向となる。ローラガイド30の排出端部30Aは、ここから送り出して鉛直方向に落下させるローラ1を、周壁3の内側と内側ガイド21の案内凹部22Aとの隙間24に落下させる位置に開口している。周壁3の内側に落下した鉛直姿勢のローラ1は、傾斜する排出端部30A内の最下段にあるローラ1に押されて傾動して、周壁3の窓4に強制的に押し込まれる。この状態を図6ないし図8に示している。排出端部30A内のローラ1は、排出端部30Aに沿って傾斜方向に落下して、その下面1Aでもって、周壁3の内側に送り込まれた鉛直姿勢のローラ1の上端内側縁1Bを、図7に示す傾斜する押圧力Fで押圧する。傾斜する押圧力Fは、鉛直方向の押圧力である垂直分力F1と水平方向の押圧力である水平分力F2とが合成された力となる。水平方向の押圧力である水平分力F2は、周壁3の内側に送り込まれたローラ1を図7の矢印Aで示す方向に強制的に傾動させて窓4に押し込む力として作用し、ローラ1を図7から図8に示すように傾動させて、周壁3の窓4に速やかに案内する。
【0034】
排出端部30Aは、その下端縁30aを、保持器2の窓4の上端よりも上方であって、窓4の上端に接近する位置に配置している。さらに、排出端部30Aは、その下端縁30aを、内側ガイド21の円柱部22の外周面よりも中心側であって、案内凹部22Aの最深部である内側縁22aに接近する位置に配置している。排出端部30Aは、好ましくは、案内凹部22Aに案内されるローラ1の上端内側縁1Bよりも内側、すなわち円柱部22の中心側に配置することで、排出端部30Aから落下するローラ1の下面1Aで、案内凹部22Aの内側に送り込まれたローラ1の上端内側縁1Bを押圧できる。したがって、排出端部30Aは、排出端部30A内の最下段のローラ1を傾斜姿勢として落下させて、このローラ1の下面1Aでもって、周壁3の内側に供給された鉛直姿勢のローラ1の上端内側縁2Bを押圧して、水平分力F2をローラ1に作用させて窓4に強制的に押し込むことができる位置に開口される。
【0035】
ここで、排出端部30Aの下端縁30aが保持器2の窓4の上端よりも下方にあると、鉛直姿勢で落下されるローラ1の上端に接触して、このローラ1が窓4の方向に傾動するのが阻害される。また、排出端部30Aの下端縁が窓4の上端よりも上方に離れ過ぎると、排出端部30A内のローラ1を傾斜姿勢として、周壁3の内側に落下した鉛直姿勢のローラ1を水平分力F2で押圧できなくなり、また、ローラ1を正確に周壁3と内側ガイド21との隙間24に落下できなくなる。したがって、ローラガイド30は、その排出端部30Aの下端縁30aと、周壁3の窓4の上端縁との間隔(d)を、ローラ1の外径の1/2よりも小さく、好ましくは1/3よりも小さくする。さらに、好ましくは、この間隔(d)を0.5mm〜3mmとして、排出端部30A内のローラ1でもって、周壁3の内側に落下した鉛直姿勢のローラ1を理想的な状態で窓4に強制的に押し込むことができる。
【0036】
また、排出端部30Aの下端縁30aの水平位置は、案内凹部22Aの最深部である内側縁22aとほぼ等しい位置として、排出端部30Aから落下するローラ1を、周壁3と案内凹部22Aの間の隙間24にスムーズに案内しながら、周壁3の内側に供給された鉛直姿勢のローラ1を窓4に速やかに案内できる。ただ、ローラガイドは、排出端部の下端縁の水平位置を、案内凹部の内側縁より多少は外側とし、あるいは内側とすることもできる。たとえば、内側ガイド21は、円柱部22に設ける案内凹部22Aの深さ(t)を変更することにより、周壁3の内側にできる隙間24の幅が変更されて、隙間24に供給されるローラ1と案内凹部22Aの内側縁22aとの間隔も変化する。したがって、排出端部30Aの下端縁30aの水平位置は、案内凹部22の深さ(t)やローラ1の外径等に応じて、内側縁22aより外側あるいは内側としながら、排出端部30Aから落下するローラ1の下面1Aで、案内凹部22Aの内側に送り込まれたローラ1の上端内側縁1Bを押圧することもできる。
【0037】
とくに、図に示す内側ガイド21は、円柱部22に設ける案内凹部22Aの上端部を内側に向かって面取りして、傾斜面22bとしている。この構造は、排出端部30Aの下端縁30aの位置を、案内凹部22Aの内側縁22aよりも内側としながら、排出端部30Aから落下するローラ1を、確実に周壁3と案内凹部22Aとの間の隙間24に案内できる。さらに、排出端部30Aの下端縁30aの位置を、案内凹部22Aの内側縁22aよりも内側とする構造は、隙間24に案内されて鉛直姿勢にあるローラ1の上端内側縁1Bを、排出端部30Aから落下するローラ1の下面1Aでより確実に押圧して、隙間24にある鉛直姿勢のローラ1をスムーズに窓4に案内できる特長もある。
【0038】
傾斜する押圧力Fの水平方向の押圧力、すなわち排出端部30Aにあるローラ1が鉛直姿勢のローラ1を水平方向に押す水平分力F2は、排出端部30Aの水平方向に対する傾斜角(α)によって変化する。排出端部30Aは、傾斜角(α)を大きくして水平分力F2を大きくできる。したがって、周壁3の内側に落下したローラ1を、排出端部30Aのローラ1が押して周壁3の窓4に強制的に押し込む水平分力F2は、排出端部30Aの傾斜角(α)を大きくして大きくできる。ただ、排出端部30Aの傾斜角(α)が大きくなると、ローラ1との摩擦抵抗が大きくなって、ローラ1をスムーズに排出するのが難しくなる。したがって、排出端部30Aの傾斜角(α)は、鉛直姿勢のローラ1を窓4に強制的に押し込む作用と、ローラ1をスムーズに落下させる作用の両方を考慮して、たとえば3度〜30度、好ましくは5度〜20度、さらに好ましくは5度〜15度の範囲に設定される。
【0039】
図のローラガイド30は全体を直線状として、全体を鉛直方向に対して傾斜する姿勢としている。ただし、本発明の組立装置は、必ずしもローラガイドの全体を鉛直方向に対して傾斜する必要はなく、ローラガイドの下端部の排出端部のみを鉛直方向に対して傾斜する姿勢とすることもできる。図2ないし図6の組立装置は、ローラガイド30の上端を連結している回転部51に、鉛直方向にガイド孔53Aを設けて、このガイド孔53Aに傾斜姿勢のローラガイド30を連結している。
【0040】
ローラガイド30は、図2ないし図6に示すように、回転機構50でもって傾斜姿勢で回転される。回転機構50は、ローラガイド30の排出端部30Aを水平面内で回転して、保持器2の窓4に順番にローラ1を供給する。回転機構50は、保持器2を交換する毎に、すなわち保持器2の全ての窓4にローラ1が供給されて、この保持器2が取り出され、その後、次の保持器2がセットされて、この保持器2の窓4にローラ1を供給するときに、前回の方向とは逆に回転されて、ローラ1を供給する。以上の組立装置は、ローラガイド30を1回転毎に逆転させるので、ローラガイド30を連結している回転部51も1回転毎に逆転される。したがって、回転部51のローラガイド30に可撓性のホース29を連結して、ローラ1を供給できる。可撓性のホース29は、1回転毎に逆転されるので、ねじ切れることがなく、ローラ1をスムーズに順番に供給できる。可撓性のホース29は、別に設けているローラ1の供給装置(図示せず)からローラ1を供給することができる。
【0041】
図の回転機構50は、内側ガイド21を固定している基台27に対して回転自在に連結している回転部51と、この回転部51を水平面内で回転させる駆動機構52とを備えている。回転部51は、駆動機構52に回転される回転体53と、この回転体53に脱着自在に連結され、かつローラガイド30を固定してなる脱着プレート54とを備えている。
【0042】
回転体53は、中央部にガイド孔53Aを開口してなる円盤状で、水平面内で回転できるように、フレーム16に連結している。図に示すフレーム16は、上面に回転体53が配設される水平プレート部16Aを備えている。この水平プレート部16Aは、中央部にローラガイド30を案内する中心穴16aを開口しており、さらに、円形である回転体53の外周に沿うリング状の周壁56を上面から突出して設けている。図の回転体53は、外周縁に沿って下方に突出するリング状の周壁部53Bを有しており、この周壁部53Bの外周面と水平プレート部16Aの周壁56の内面とを、リング状のベアリング55を介して連結して、回転体53を水平プレート部16Aに対して回転できるように配置している。さらに、図の回転体53は、回転部51を駆動機構52で回転させるために、回転体53の外周縁部の上面に、リング状の歯車57を固定して設けている。図に示す歯車57は外周面に外周歯57Aを有しており、この外周歯57Aを駆動機構52で駆動して回転部51を回転させる構造としている。
【0043】
駆動機構52は、回転体53を回転させる駆動歯車58と、この駆動歯車58を回転させるモータ59とを備えている。図に示す回転体53は、外周縁部に固定した歯車57の外周面に外周歯57Aを設けているので、この外周歯57Aと噛み合う駆動歯車58を歯車57の外側に配置している。ただ、回転体は、外周縁部に固定したリング状の歯車の内周面に内周歯を設けることもできる。この回転体は、歯車の内周面に設けた内周歯と噛み合う駆動歯車を歯車の内側に配置して回転体を回転できる。モータ59はサーボモータで、回転体を1回転毎に逆転させて、ローラガイド30を1回転毎に逆転させる。この駆動機構は、回転体を1回転毎に逆転させるので、可撓性のホース29をねじ切ることなく配設できる。この組立装置は、保持器2を交換する毎に、すなわち全ての窓4にローラ1が供給された保持器2が取り出され、その後、次の保持器2がセットされてローラ1を供給するときに、回転部51を前回の方向とは逆に回転してローラ1を供給する。
【0044】
ただ、駆動機構は、必ずしも回転体を1回転毎に逆転させることなく、一方向に回転させることもできる。図5と図6に示す回転部51は、ローラガイド30の円筒31の固定部31Aを脱着プレート54に固定すると共に、円筒31の上端にローラ1を供給する連結筒部28であって、可撓性のホース29の先端が連結される連結筒部28を脱着プレート54の中心孔54Aにリング状のベアリング60を介して連結している。この構造は、可撓性のホース29が連結される連結筒部28を脱着プレート54に対して空転できるので、回転部51が回転する状態にあっても、可撓性のホース29がねじ切れるのを防止できる。
【0045】
さらに、組立装置は、ローラガイド30を交換できるように、フレーム16に脱着自在に連結している。図9の組立装置は、脱着プレート54を回転体53に脱着して、ローラガイド30を交換するようにしている。このローラーガイド30は、脱着プレート54を回転体53から取り外して交換される。図に示す回転部51は、脱着プレート54を回転体53の定位置に固定する固定部61を備えている。図の回転部51は、回転体53の上面に載せた脱着プレート54の両端部を回転体53と固定部61とで挟着して、脱着プレート54を回転体53の定位置に固定する。固定部53は、連結ネジ(図示せず)を設けたレバー61を操作して、回転体53に脱着される。
【0046】
さらに、組立装置は、フレーム16を上下に往復運動させる昇降機構66を備える。図に示す昇降機構66は、一対の上下シリンダ67を備えている。一対の上下シリンダ67は、支持台65を介して基台27に垂直姿勢で固定している。さらに、上下シリンダ67は、上方に伸びるロッド67Aの先端にフレーム16の水平プレート部16Aを固定している。この組立装置は、昇降機構66が上下シリンダ67のロッド67Aを収縮する状態でフレーム16を降下させて、ローラガイド30の排出端部30Aをローラ1の供給位置とする。また、組立装置は、昇降機構66が上下シリンダ67のロッド67Aを伸長する状態でフレーム16を上昇させて、ローラガイド30の排出端部30Aをローラ1の供給位置から上方に離れた位置とする。
【0047】
以上の組立装置は、以下に示す工程でテーパーローラベアリングを組み立てする。
(1)図4に示すように、昇降機構66の上下シリンダ67のロッド67Aを伸長してフレーム16を上昇位置とする。この状態で、図10に示すように、内側ガイド21と外側ガイド25の間に保持器2をセットする。このとき、保持機構10のベース11は降下位置としておく。保持器2は、図に示すように、周壁3を下窄み状とする姿勢として、中心孔5に内側ガイド21を挿入する状態でセットされる。さらに、保持器2は、周壁3に設けた複数の窓4が、内側ガイド21の外周面に設けた複数の案内凹部22Aと対向する位置となるようにセットされる。
(2)図4に示すように、挟着機構12のシリンダ20のロッド20Aを伸長させて、押圧片13の突出部13aを開く姿勢とする状態で、昇降機構66の上下シリンダ67のロッド67Aを収縮してフレーム16を降下位置とする。さらに、図11に示すように、挟着機構12のシリンダ20のロッド20Aを収縮させて、押圧片13の突出部13aを閉じた姿勢とし、一対の押圧片13でもって保持器2の周壁3を両側から保持する。この状態で、図5に示すように、ローラガイド30の排出端部30Aは、ローラ1の供給位置に配置される。
(3)図6に示すように、ローラガイド30のストッパ32を解除して、排出端部30Aからローラ1を落下させて、保持器2の周壁3と内側ガイド21の案内凹部22Aの間の隙間24に供給する。保持器2の周壁3の内側に落下したローラ1は、図7に示すように、排出端部30Aにある上段のローラ1によって、矢印で示すように押圧されて、図8に示すように、窓4に速やかに案内される。
(4)さらに、この状態で、図12に示すように、回転機構50でもって、ローラガイド30を傾斜姿勢で回転させる。ローラガイド30の排出端部30Aが水平面内で回転して、排出端部30Aから落下するローラ1が保持器2の周壁3の窓4に順番に供給される。
(5)ローラガイド30が一周して、保持器2の全て窓4にローラ1が供給されると、回転機構50の駆動機構52を停止してローラガイド30の回転を停止させると共に、ストッパ32をロック状態として、ローラ1の落下を停止する。
(6)図13に示すように、挟着機構12のシリンダ20のロッド20Aを伸長させて、一対の押圧片13の突出部13aを開いて保持器2を保持する状態を解除した後、昇降機構66の上下シリンダ67のロッド67Aを伸長して、フレーム16を上昇させる。
(7)図14に示すように、内側ガイド21の上面であって、保持器2の中心に位置して内輪6をセットする。
(8)図15に示すように、保持機構10のベース11を上昇させて、全ての窓4にローラ1がセットされた保持器2を持ち上げて、内輪6の外側に配置する。
以上の工程でローラ1のセットされた保持器2に内輪4がセットされ、これが外輪(図示せず)にセットされてテーパーローラベアリングが組み立てられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のテーパーローラベアリングの組立装置は、自動的にローラを保持器の窓にセットし、さらにローラのセットされた保持器に内輪をセットしてテーパーローラベアリングを能率よく組み立てできる。
【符号の説明】
【0049】
1…ローラ 1A…下面
1B…上端内側縁
2…保持器
3…周壁
4…窓
5…中心孔
6…内輪
10…保持機構
11…ベース
12…挟着機構
13…押圧片 13A…レバー
13a…押圧部
14…往復運動機構
15…傾動軸
16…フレーム 16A…水平プレート部
16a…中心穴
17…押さえ凸部
18…調整機構 18A…ネジ棒
19…押しバネ
20…シリンダ 20A…ロッド
21…内側ガイド
22…円柱部 22A…案内凹部
22a…内側縁
22b…傾斜面
23…鍔
24…隙間
25…外側ガイド
26…開口部
27…基台
28…連結筒部
29…ホース
30…ローラガイド 30A…排出端部
30a…下端縁
31…円筒 31A…固定部
32…ストッパ
33…ストッパ片 33A…縦ロッド
33B…ストッパ凸部
33C…スプリング溝
34…外筒 34A…縦溝
35…傾動軸
36…コイルスプリング
37…固定プレート
40…駆動機構
41…シリンダ 41A…ロッド
50…回転機構
51…回転部
52…駆動機構
53…回転体 53A…ガイド孔
53B…周壁部
54…脱着プレート 54A…中心孔
55…ベアリング
56…周壁
57…歯車 57A…外歯車
58…駆動歯車
59…モータ
60…ベアリング
61…固定部
62…レバー
65…支持台
66…昇降機構
67…上下シリンダ 67A…ロッド
90…載せ円筒
91…ローラ
92…保持器
94…窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパー状である保持器(2)の周壁(3)に設けている窓(4)に順番にテーパー状のローラ(1)を入れるテーパーローラベアリングの組立装置であって、
前記保持器(2)の周壁(3)を下窄み状とする姿勢で保持器(2)を保持する保持機構(10)と、この保持機構(10)で保持される保持器(2)の中心孔(5)に挿入されて保持器(2)の周壁(3)との間にローラ(1)を案内する隙間(24)を設けている内側ガイド(21)とこの保持機構(10)で保持される保持器(2)の窓(4)に向かって、前記周壁(3)の内側から前記ローラ(1)を供給するローラガイド(30)とを備え、
前記ローラガイド(30)が、複数のローラ(1)を下方の外径を小さくする姿勢とし、かつ上下方向に複数のローラ(1)を並べて下端の排出端部(30A)から保持器(2)の窓(4)に供給すると共に、その排出端部(30A)を鉛直方向に対して傾斜する姿勢としており、
前記ローラガイド(30)の排出端部(30A)の傾斜方向が、前記保持器(2)の周壁(3)の傾斜方向と反対方向に傾斜する姿勢としてなることを特徴とするテーパーローラベアリングの組立装置。
【請求項2】
前記ローラガイド(30)を傾斜姿勢で回転させる回転機構(50)を有し、この回転機構(50)がローラガイド(30)を回転させて、保持器(2)の窓(4)に順番にローラ(1)を供給するようにしてなる請求項1に記載されるテーパーローラベアリングの組立装置。
【請求項3】
前記回転機構(50)が、前記保持器(2)が交換される毎に逆転される請求項2に記載されるテーパーローラベアリングの組立装置。
【請求項4】
前記回転機構(50)が、前記内側ガイド(21)を固定している基台(27)に対して回転自在に連結してなる回転部(51)と、この回転部(51)を水平面内で回転させる駆動機構(52)とを備え、前記回転部(51)は、駆動機構(52)に回転される回転体(53)と、この回転体(53)に脱着自在に連結され、かつ前記ローラガイド(30)を固定してなる脱着プレート(54)とを備え、前記脱着プレート(54)を回転体(53)に脱着して、ローラガイド(30)を交換するようにしてなる請求項2または3に記載されるテーパーローラベアリングの組立装置。
【請求項5】
前記ローラガイド(30)が、ローラ(1)の排出と停止を制御するストッパ(32)を先端に備える請求項1ないし4のいずれかに記載されるテーパーローラベアリングの組立装置。
【請求項6】
前記ローラガイド(30)の排出端部(30A)の鉛直方向に対する傾斜角(α)が3度ないし30度としてなる請求項1ないし5のいずれかに記載されるテーパーローラベアリングの組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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