説明

テーパ状かつループした縫合糸を作製するシステムおよび方法

【課題】組織と縫合糸との係合前に、縫合糸にループをより効果的に形成するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】縫合糸の一部分を選択的に保持するための基部;該縫合糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイス;該縫合糸の第二の端部を受容するための引っ張りデバイス;該縫合糸の第一のセクションと第二のセクションとを接合させてループを形成するように構成された溶接アセンブリ;および該縫合糸の該第一のセクションにテーパ状表面を形成するように構成された切断アセンブリを備える、テーパ状表面を有するループ状縫合糸を形成するためのシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2008年9月24日に出願された、米国仮出願番号61/099,594の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ループ状縫合糸を形成する方法に関する。より特定すると、本開示は、テーパ状の表面を有するループ状縫合糸を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
創傷閉鎖手順(外科手術)中に縫合糸にループを形成するための方法は、公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組織と縫合糸との係合前に、縫合糸にループをより効果的に形成するためのシステムおよび方法を有することが、有利である。このシステムおよび方法が、ループにテーパ状の端部を形成し得ると、さらに有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
縫合糸の一部分を選択的に保持するための基部;
該縫合糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイス;
該縫合糸の第二の端部を受容するための引っ張りデバイス;
該縫合糸の第一のセクションと第二のセクションとを接合させてループを形成するように構成された溶接アセンブリ;および
該縫合糸の該第一のセクションにテーパ状表面を形成するように構成された切断アセンブリ
を備える、テーパ状表面を有するループ状縫合糸を形成するためのシステム。
【0006】
(項目2)
上記基部が、縫合糸巣、ピン保持部材、ピン、およびピンロック部材を備える、上記項目に記載のシステム。
【0007】
(項目3)
上記ピン保持部材が上記基部に旋回可能に設置されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0008】
(項目4)
上記ピンが、該ピンの周りに上記縫合糸の一部分を受容するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0009】
(項目5)
上記基部が、上記縫合糸の少なくとも上記第二のセクションを受容するための少なくとも1つのチャネルを備える、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0010】
(項目6)
上記切断アセンブリが、超音波エネルギー、刃、およびレーザーのうちの少なくとも1つを使用して切断するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0011】
(項目7)
上記溶接アセンブリが超音波エネルギーを使用して溶接するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0012】
(項目8)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、ほぼ直線のテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0013】
(項目9)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、ほぼ曲線のテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0014】
(項目10)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、凸状であるテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0015】
(項目11)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、凹状であるテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0016】
(項目12)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、細長本体の長手方向軸の方へと下向きに角度の付いたテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0017】
(項目13)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、組織に貫入するために適切なテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0018】
(項目14)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、細長本体の長手方向軸に対して約0°〜約90°の角度を形成するテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0019】
(項目15)
上記切断アセンブリが、上記縫合糸の第一のセクションに、約5°〜約60°の角度を形成するテーパ状表面を形成するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載のシステム。
【0020】
(項目16)
ループ形成システムを提供する工程であって、該ループ形成システムは、形成されるべき縫合糸をしっかりと保持するための基部、該縫合糸にループを形成するための溶接アセンブリ、および該ループの表面にテーパを形成するための切断アセンブリを備える、工程;
該縫合糸の第一のセクションが該縫合糸の第二のセクションに隣接して維持されるように、該縫合糸の一部分を該基部に固定する工程;
該溶接アセンブリと該基部とを互いの方へと近接させる工程;
該溶接アセンブリと該基部とを互いから離すように移動させる工程;
該切断アセンブリと該基部とを互いの方へと近接させる工程;
該縫合糸の該第一のセクションの近位端にテーパ状表面を切断する工程;
該切断アセンブリと該基部とを互いから離すように移動させる工程;ならびに
形成された該縫合糸を該基部から取り外す工程、
を包含する、縫合糸にループを形成する方法。
【0021】
(項目17)
上記ループ形成システムが、縫合糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイスをさらに備える、上記項目に記載の方法。
【0022】
(項目18)
上記ループ形成システムが、一旦上記縫合糸が上記基部内に保持されると該縫合糸に張力を加えるための引っ張りデバイスをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0023】
(項目19)
上記項目のうちのいずれかに記載の方法から形成された医療デバイス。
【0024】
テーパ状の切断部を有するループ状縫合糸を形成するためのシステムが提供される。このシステムは、糸の一部分を選択的に保持するための基部、この糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイス、この糸の第二の端部を受容するための引っ張りデバイス、この糸の第一のセクションと第二のセクションとを接合してループを形成するように構成された溶接アセンブリ、およびこの糸の第一のセクションにテーパ状端部を形成するように構成された切断アセンブリを備える。
【0025】
(要旨)
従って、テーパ状の表面を有するループ状縫合糸を形成するためのシステムが提供される。このシステムは、糸の一部分を選択的に保持するための基部、この糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイス、この糸の第二の端部を受容するための引っ張りデバイス、この糸の第一のセクションと第二のセクションとを接合してループを形成するように構成された溶接アセンブリ、およびこの糸の第一のセクションにテーパ状端部を形成するように構成された切断アセンブリを備える。
【0026】
この基部は、縫合糸巣(nest)、ピン保持部材、ピン、およびピンロック部材を備え得る。この基部は、糸の第二のセクションの少なくとも一部分を受容するための、少なくとも1つのチャネルを備え得る。このピン保持部材は、この基部に旋回可能に設置され得る。このピンは、このピンの回りに糸の一部分を受容するように構成され得る。このシステムの溶接アセンブリは、超音波エネルギーを使用して溶接するように構成され得る。
【0027】
このシステムの切断アセンブリは、超音波エネルギー、刃およびレーザーのうちの1つを使用して切断するように構成され得る。この切断アセンブリは、糸の第一のセクションに、ほぼ直線またはほぼ曲線のテーパ状の端部を形成するように構成され得る。この切断アセンブリは、糸の第一のセクションに、凸状または凹状のテーパ状端部を形成するように構成され得る。この切断アセンブリはまた、この糸の第一のセクションに、細長本体の長手方向軸に向かって下向きに角度の付いたテーパ状端部を形成するように構成され得る。さらに、この切断アセンブリは、糸の第一のセクションに、細長本体の長手方向軸に対して約0°〜約90°、好ましくは、5°〜約60°の角度を形成する、テーパ状端部を形成するように構成され得る。さらに、この切断アセンブリは、糸の第一のセクションに、組織に貫入するために適切なテーパ状端部を形成するように構成され得る。
【0028】
さらに、縫合糸にループを形成する方法が提供される。この方法は、ループ形成システムを提供する工程であって、このループ形成システムは、形成されるべき糸をしっかりと保持するための基部、この糸にループを形成するための溶接アセンブリ、およびこのループの端部にテーパを形成するための切断アセンブリを備える、工程;この糸の第一のセクションがこの糸の第二のセクションに隣接して維持されるように、この基部にこの糸の一部分を固定する工程;この溶接アセンブリとこの基部とを互いの方へと近接させる工程;この溶接アセンブリとこの基部とを互いから離すように移動させる工程;この切断アセンブリとこの基部とを互いの方へと近接させる工程;ならびにこの糸の第一のセクションの近位端にテーパ状端部を切断する工程;この切断アセンブリとこの基部とを互いから離すように移動させる工程;ならびに形成された縫合糸をこの基部から取り外す工程を包含する。
【0029】
この方法のループ形成システムは、糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイスをさらに備え得る。このループ形成システムは、一旦、糸が基部に保持されると、この糸を引っ張るための引っ張りデバイスをさらに備え得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、組織と縫合糸との係合前に、縫合糸にループをより効果的に形成するためのシステムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、ループにテーパ状の端部を形成し得るので、さらに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】図1Aは、テーパ状部分を備えるループ状縫合糸の側面図である。
【図1B】図1Bは、線1B−1Bに沿って見た、図1Aのループ状縫合糸の断面端面図である。
【図1C】図1Cは、図1Aの部分1Cの拡大側面図である。
【図2A】図2Aは、本開示のテーパ状ループ形成方法において使用される基部の正面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの基部の側面図である。
【図2C】図2Cは、図2Aおよび図2Bの基部の上面図である。
【図3A】図3Aは、縫合糸を装填され、そして溶接アセンブリ、縫合糸保持アセンブリおよび縫合糸引っ張りアセンブリを備える、図2A〜図2Cの基部の側面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの装填された基部の上面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aおよび図3Bの装填された基部の断面正面図である。
【図4A】図4Aは、縫合糸が溶接前の構成にある、図3Cの拡大図である。
【図4B】図4Bは、縫合糸が溶接後の構成にある、図3Cの拡大図である。
【図5A】図5Aは、溶接後であってテーパ状切断部が形成される前の、図3A〜図3Cの装填された基部の上面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの装填された基部の断面正面図である。
【図5C】図5Cは、図5Aおよび図5Bの装填された基部の断面側面図である。
【図6A】図6Aは、縫合糸の溶接後であって切断後の、図5A〜図5Cの装填された基部の断面正面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aの装填された基部の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、そして本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、上に提供された本開示の一般的説明および以下に提供される実施形態の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明する役に立つ。
【0033】
(詳細な説明)
テーパ状表面を備えるループ状縫合糸を形成するための方法が、本明細書中に記載される。最初に図1Aを参照すると、本開示の方法により形成されるループ状縫合糸が、一般にループ状縫合糸10として示されている。縫合糸10は、モノフィラメント糸11から形成されるが、縫合糸10は、編組糸、マルチフィラメント糸および他の外科手術用繊維から形成され得ることが予測される。円形の断面形状を有するように示されているが、糸11の断面形状は、任意の適切な形状(例えば、丸、楕円、正方形、平坦、八角形、および矩形)であり得る。糸11は、分解性材料、非分解性材料、およびこれらの組み合わせから形成され得る。糸11は、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、押し出し成型、成型および/またはゲル紡糸)を使用して形成され得る。
【0034】
図1Aおよび図1Bを参照すると、ループ状縫合糸10は、その遠位端10bに形成されたループ12を備える。ループ12は、実質的に涙滴形状を形成し、そして任意のサイズで形成され得る。モノフィラメント糸11の第一のセクション13が、糸11の第二のセクション14の上に重なって、ループ12を形成する。第一のセクション13および第二のセクション14の隣接する表面は、接合セグメントまたは接合部15を形成する。示されるように、接合セグメント15は、糸11の第一のセクション13を越えて延びる。この様式で、糸11の第一のセクション13および第二のセクション14は、ループ状縫合糸10が組織(図示せず)を通して引かれる際に、互いから分離しにくく、または剥がれにくくなる。
【0035】
以下により詳細に記載されるように、糸11の第一のセクション13および第二のセクション14は、一緒に溶接されて、接合セグメント15を形成する。エネルギーが、糸11の第一のセクション13および第二のセクション14に局所的に適用されて、セクション13、14を一緒に融合させ、接合セグメント15を形成する。種々の型のエネルギー(無線周波数(RF)、超音波、レーザー、電気アーク放電、および熱が挙げられる)が、接合セグメント15を形成するために第一のセクション13および第二のセクション14に適用され得る。あるいは、糸11の第一のセクション13および第二のセクション14は、膠、エポキシ、溶媒、または他の接着剤を使用して接合され得る。
【0036】
図1Cを特に参照すると、第一のセクション13の近位端13aは、角度を付けられて、テーパ状表面17を形成する。テーパ状表面17は、ループ状縫合糸10の近位端10aに向かって下向きに角度を有する。テーパ状表面17は、第二のセクション14の長手方向軸「X」に対して、0°〜90°、好ましくは、約5°〜約60°の角度αを形成し得る。テーパ状表面17は、ループ12を組織内に、または組織を通して挿入することを容易にする。テーパ状表面17は、第一のセクション13と第二のセクション14との接合前、接合中または接合後に形成され得る。1つの実施形態において、テーパ状表面17は、接合セグメント15が糸11の第一のセクション13を越えて延びるように形成される。この様式で、テーパ状表面17は、糸11の第二のセクション14との滑らかな移行部を形成し、これによって、ループ状縫合糸10が組織を通して引かれる際に、第一のセクション13と第二のセクション14とが分離し得るかまたは剥がれ得る可能性を低下させる。
【0037】
実質的に平坦なテーパを有するように示されるが、テーパ状表面17は、多数の構成を備え得る。例えば、テーパ状表面17は、面取りされ得るか、横方向および長手軸方向に凹状のテーパを備え得るか、横方向および長手軸方向に凸状のテーパを備え得るか、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。テーパ状表面17は、縫合される組織、および/またはループ12が組織内に受容されることが望まれる深さに依存して選択され得る。
【0038】
ループ状縫合糸10の遠位端10bにループ12を形成するためのシステムが、ここで図2A〜図6Bを参照しながら記載される。このシステムは、一般に、システム100として示される。システム100は、固定部材または基部110、縫合糸保持部材120(図3A)、縫合糸引っ張り部材125(図3A)、溶接アセンブリ130(図3A〜図3C)、および切断アセンブリ140(図5A〜図6B)を備える。
【0039】
最初に図2A〜図2Cを参照すると、基部110は、プラットフォーム112、縫合糸巣114、ピン保持部材116、ピン保持部材116から延びるピン116a、およびピンロック118を備える。プラットフォーム112は、1つ以上の開口部112aを備え、これらの開口部は、ボルト112bまたは他の固定手段を使用して、基部110をワークステーション(図示せず)に固定するためのものである。示されるように、縫合糸巣114は、プラットフォーム112と一体的に形成される。あるいは、縫合糸巣114は、プラットフォーム112に取り外し可能に取り付けられ得るか、またはしっかりと取り付けられ得る。巣114は、その上表面114aを横切って延びる1つ以上のチャネル115を備える。以下にさらに詳細に記載されるように、チャネル115は、縫合糸11の一部分(第二のセクション14(図1)を含む)を部分的に受容するように構成される。巣114は、チャネル115の近位端115aおよび遠位端115bに沿って延びる、隆起した外側部分113をさらに備え得る。隆起した外側部分113は、2本の縫合糸11を、互いに隣接させてかまたは重ねて受容するように構成された、開口部113aを備える。示されるように、縫合糸巣114は、3つのチャネル115を備える。しかし、縫合糸巣114が1つ以上のチャネル115を備え得ることが予測される。1つの実施形態において、縫合糸巣114は、チャネルなしで形成され得る。この様式で、縫合糸11の第一の部分および第二の部分は、開口部113aに受容され、そして縫合糸引っ張り手段125(図3A)により付与される張力によって、互いに隣接して維持される。
【0040】
図2A〜図2Cをなお参照すると、ピン116aが、ピン保持部材116から延びる。ピン保持部材116は、プラットフォーム112に旋回可能に取り付けられ、その結果、ピン116aは、チャネル115の端部に沿って、チャネル115に対して垂直にしっかりと配置され、そしてしっかりと保持され得る(図3B)。ピンロック118が、縫合糸巣114に旋回可能に取り付けられ、そしてピン116aをチャネル115の近位端115aに隣接して垂直に配置させて固定するように構成されている。あるいは、ピンロック118は、縫合糸巣114と一体的に形成され得る。別の代替の実施形態において、ピン保持部材116は、プラットフォーム112に取り外し可能に取り付けられ得るか、またはしっかりと取り付けられ得る。ピン116aの直径は、ループ12の所望のサイズに依存して変動し得る。
【0041】
図3Aを簡単に参照すると、上で議論されたように、システム100はまた、縫合糸保持手段120および縫合糸引っ張り手段125を備える。縫合糸保持手段120は、縫合糸11の近位端11aを保持するように構成された、クランプまたは他のデバイスを備え得る。縫合糸引っ張り手段125は、縫合糸11の遠位端11bを受容して、一旦糸11が縫合糸巣114に固定されると縫合糸11に張力を付与するように構成された、液圧もしくは空気圧引っ張りばね、電気シリンダまたは他の引っ張りデバイスを備え得る。縫合糸保持手段120および縫合糸引っ張り手段125は、チャネル115の遠位端115bに隣接して配置され、ループ12の形成中、縫合糸11の近位端11aおよび遠位端11bをそれぞれしっかりと受容する。
【0042】
図3A〜図4Bを参照すると、溶接アセンブリ130は、発電機(図示せず)に作動可能に接続された超音波デバイス132を備え、この超音波デバイスは、超音波デバイス132から延びるダイス134を超音波により振動させるためのものである。ダイス134は、実質的に平坦な縫合糸接触部分136を規定する。代替の実施形態において、ダイス134は、縫合糸11の第一のセクション13の外形を描くように構成された部分136を備え得る。従って、縫合糸接触部分136は、凸状、凹状または面取りされた輪郭を有する縫合糸に対応するように、凹状、凸状または面取りされた表面を備え得る。1つの実施形態において、溶接アセンブリ130は、溶接アセンブリ130のダイス134を基部110の方へ、および基部110から離すように移動させるための、プレスアセンブリ(図示せず)に作動可能に設置される。あるいは、溶接アセンブリ130は、基部110に対して固定されて設置され得、そして基部110が上昇および下降させられて、基部110をダイス134の方へ、およびダイス134から離すように移動させ得る。
【0043】
ここで図5A〜図6Bを参照すると、切断アセンブリ140は、発電機(図示せず)に作動可能に接続された超音波デバイス142を備え、この超音波デバイスは、超音波デバイス142から延びる刃144を超音波により振動させるためのものである。ダイス134を超音波により振動させるための発電機は、刃144を超音波により振動させるために超音波デバイス142に作動可能に接続された発電機と、同じであっても異なっていてもよい。1つの実施形態において、刃144は、実質的に平坦な切断表面144aを規定する。しかし、刃144は、代替の構成の切断表面を備え得ることが予測される。刃144は、凹状、凸状、面取り、または他の様式で構成されたテーパ17を、ループ状縫合糸10に形成するように構成され得る。以下の議論は、超音波デバイス142を備える切断アセンブリに関連するが、切断アセンブリ140は、超音波により振動する刃144なしで使用され得ることが予測される。この様式で、刃144は、縫合糸11の切断を行うために、ヒータまたは他の装置に作動可能に接続され得る。なお別の実施形態において、ループ状縫合糸10のテーパ17は、レーザーを使用して切断され得る。
【0044】
図5A〜図6Bをさらに参照して、1つの実施形態において、切断アセンブリ140は、基部110に対して固定されて設置され、その結果、切断アセンブリ140は、基部110が刃144の方へと近接させられる際、および刃144から離れるように移動させられる際に、静止状態に維持される。代替の実施形態において、切断アセンブリ140は、基部110に対して選択的に配置され、その結果、切断アセンブリ140は、基部110に対して移動する。いずれの実施形態においても、切断アセンブリ140および基部110のうちの少なくとも一方が、他方に対して横方向に移動して、他方の方へと近接するように構成される。切断アセンブリ140が静止状態に維持される場合、基部110は、横方向に矢印A(図6B)の方向に、そして切断アセンブリ140の方へと矢印Aの方向に移動するように構成される。基部110が静止状態に維持される場合、切断アセンブリ140は、横方向に矢印Bの方向に、そして基部110の方へと矢印Bの方向に移動するように構成される。基部110および/または切断アセンブリ140の移動は、コンピュータにより制御されても、手動で行われてもよい。
【0045】
システム100を利用してループ状縫合糸10を形成する方法が、ここで図3A〜図6Bを参照しながら記載される。最初に図3Aを参照すると、糸11の近位端11aがクランプ120にしっかりとロックされる。次いで、糸11の第二のセクション14が巣114のチャネル115内に配置される。次に、糸11がピン116aの周りに巻かれ、その後、糸11の第一のセクション13が第二のセクション14の上または隣接位置に配置される。次いで、糸11の遠位端11bが、引っ張りシリンダ125に受容される。次いで、引っ張りシリンダ125が起動されて、基部110内の糸11に張力を加える。ループ状縫合糸10の形成中に糸11が延びることを防止するため、そしてこれによって糸11の一貫性および一体性を確実にするために、糸11は、予め延伸された材料から形成され得る。
【0046】
ここで図3C〜図4Bを特に参照すると、一旦、第一のセクション13および第二のセクション14が互いに隣接して配置されると、溶接アセンブリ130が、縫合糸巣114の方へと近接される。あるいは、縫合糸巣114が溶接アセンブリ130の方へと近接され得る。溶接アセンブリ130が縫合糸巣114に近づくと、第一のセクション13がチャネル136の縫合糸接触部分136aに係合するまで(図4A)、縫合糸11の第一のセクション13がダイス134のチャネル136に受容される。超音波デバイス132が、このプロセス中の任意の時点で起動されて、ダイス134を超音波により振動させ得る。ダイス134を巣114の方へと近接させ続けることによる、糸11の第一のセクション13および第二のセクション14に付与される下向きの圧力(図4B)は、ダイス134の超音波による振動と一緒になって、第一のセクション13および第二のセクション14の接触部分を局所的に加熱し、そしていくつかの例においては、この接触部分が融解し始め得る。超音波エネルギーをセクション13、14に適用することにより、接合セグメント15が作製される。
【0047】
一旦、第一のセクション13および第二のセクション14が融合して接合セグメント15を作製すると、溶接アセンブリ130が縫合糸巣114から離れるように移動させられ得る。ループ状縫合糸10が基部110に固定されたままである状態で、溶接アセンブリ130は、切断アセンブリ140と置換または交換されて、第一のセクション13の近位端13aのテーパ状切断部を完了させ得る。あるいは、ループ状縫合糸10が基部110から除去され得、そして別体のマウント(図示せず)に固定されて、テーパ形成プロセスを完了させ得る。
【0048】
ここで図5A〜図6Bを参照して、一旦、切断アセンブリ140が基部110に対して適切に配置されると、基部110は、切断アセンブリ140の方へと近接させられる。あるいは、切断アセンブリ140が基部110の方へと近接させられ得る。超音波デバイス142が、切断アセンブリ140を基部110の方へと近接させる前または近接中の任意の時点で、起動され得る。図6Bを特に参照すると、切断アセンブリ140に関連する基部110の移動は、矢印Aにより示されるような上向きの移動、および矢印Aにより示されるような横方向の移動を含む。代替の実施形態において、切断アセンブリ140は、矢印Bに示されるような下向きの移動、および矢印Bにより示されるような横方向の移動で移動される。基部110が切断アセンブリ140に対して移動する速度は、テーパ状表面17(図1C)の所望の構成に依存して変動し得る。この様式で、横方向の移動が上/下向きの移動に対して増加する場合、テーパ状の表面17は、より小さい角度の角度α(図1C)を規定する。逆に、横方向の移動が上/下向きの移動に対して減少する場合、テーパ状表面17の角度αが増加する。いずれの実施形態においても、切断アセンブリ140および基部110は、刃144が糸11の第一のセクション13を完全に切断するまで、互いの方へと近接させられる。次いで、糸11の遠位端11bが、引っ張りシリンダ125により引き離される。
【0049】
次いで、切断アセンブリ140および基部110は、互いから離れるように移動させられ、そしてループ状縫合糸10がピン116aから取り外される。縫合糸10は、溶接および/または切断プロセス中に形成したばりまたは破片(図示せず)を含み得る。ばりは、ループ状縫合糸10が使用され得る前に除去される必要があり得る。
【0050】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照しながら本明細書中に記載されたが、本開示は、これらの特定の実施形態に限定されないこと、ならびに種々の他の変更および改変が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、当業者によりなされ得ることが、理解されるべきである。例えば、システム100は、1つより多くの溶接アセンブリ130および対応する数の切断アセンブリ140を備えて、1回の起動につき1つより多くの縫合糸10を製造し得ることが予測される。システム100は、切断プロセス中に縫合糸10を維持するための別体の基部を備え得ることが、さらに予測される。
【符号の説明】
【0051】
10 ループ状縫合糸
10b 遠位端
11 糸
12 ループ
13 第一のセクション
14 第二のセクション
15 接合セグメント
100 システム
110 基部
112 プラットフォーム
114 縫合糸巣
115 チャネル
116 ピン保持部材
116a ピン
118 ピンロック
120 縫合糸保持部材
125 縫合糸引っ張り部材
130 溶接アセンブリ
140 切断アセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸の一部分を選択的に保持するための基部;
該縫合糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイス;
該縫合糸の第二の端部を受容するための引っ張りデバイス;
該縫合糸の第一のセクションと第二のセクションとを接合させてループを形成するように構成された溶接アセンブリ;および
該縫合糸の該第一のセクションにテーパ状表面を形成するように構成された切断アセンブリ
を備える、テーパ状表面を有するループ状縫合糸を形成するためのシステム。
【請求項2】
前記基部が、縫合糸巣、ピン保持部材、ピン、およびピンロック部材を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ピン保持部材が前記基部に旋回可能に設置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ピンが、該ピンの周りに前記縫合糸の一部分を受容するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記基部が、前記縫合糸の少なくとも前記第二のセクションを受容するための少なくとも1つのチャネルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記切断アセンブリが、超音波エネルギー、刃、およびレーザーのうちの少なくとも1つを使用して切断するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記溶接アセンブリが超音波エネルギーを使用して溶接するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、ほぼ直線のテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、ほぼ曲線のテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、凸状であるテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、凹状であるテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、細長本体の長手方向軸の方へと下向きに角度の付いたテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、組織に貫入するために適切なテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、細長本体の長手方向軸に対して約0°〜約90°の角度を形成するテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記切断アセンブリが、前記縫合糸の第一のセクションに、約5°〜約60°の角度を形成するテーパ状表面を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
ループ形成システムを提供する工程であって、該ループ形成システムは、形成されるべき縫合糸をしっかりと保持するための基部、該縫合糸にループを形成するための溶接アセンブリ、および該ループの表面にテーパを形成するための切断アセンブリを備える、工程;
該縫合糸の第一のセクションが該縫合糸の第二のセクションに隣接して維持されるように、該縫合糸の一部分を該基部に固定する工程;
該溶接アセンブリと該基部とを互いの方へと近接させる工程;
該溶接アセンブリと該基部とを互いから離すように移動させる工程;
該切断アセンブリと該基部とを互いの方へと近接させる工程;
該縫合糸の該第一のセクションの近位端にテーパ状表面を切断する工程;
該切断アセンブリと該基部とを互いから離すように移動させる工程;ならびに
形成された該縫合糸を該基部から取り外す工程、
を包含する、縫合糸にループを形成する方法。
【請求項17】
前記ループ形成システムが、縫合糸の第一の端部を受容するためのクランプデバイスをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ループ形成システムが、一旦前記縫合糸が前記基部内に保持されると該縫合糸に張力を加えるための引っ張りデバイスをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法から形成された医療デバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2010−77587(P2010−77587A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214516(P2009−214516)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】