説明

テープ搬送装置を備えた射出成形機

【課題】リール上のテープの残量を正確に把握することが可能な、リールから送り出される連続したテープに樹脂を射出して連続した成形品を成形する搬送装置を備えた射出成形機提供すること。
【解決手段】積算搬送量(実績値)は4500(mm)、テープ初期長さは5000(mm)、残量は500(mm)、搬送量(1サイクル)は25(mm)、残サイクル数は20ショット、サイクル時間(実績値)は10秒、残時間は200(秒)、テープ終了警告は300(mm)前が表示されているように、射出成形機の表示装置の表示画面に、積算搬送量(実績値)、テープ初期長さ設定値、残量、搬送量(1成形サイクル)、残サイクル数、サイクル時間(実績値)、残時間、テープ終了警告が表示され、金属テープ供給用リール40を取り替えたとき、積算搬送量、残量をリセットするリセットボタンも表示されるが、これらの表示内容は適宜取捨選択して表示してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フープ成形など、連続したテープをサイクル毎に金型内に搬送し、搬送されたテープ上に樹脂を射出して連続した成形品を成形する射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の部品上に樹脂を射出して電子部品などを成形する成形方法にフープ成形がある(特許文献1、特許文献2)。フープ成形ではリールに巻かれた金属製のテープをエアシリンダやモータなどの駆動装置を使用して毎成形サイクル所定量金型間に搬送する。そして搬送されたテープ上に樹脂を射出して成形品を完成させる。このようにフープ成形ではテープの搬送と射出を繰り返すことにより連続した成形品を作ることができる。
フープ送り装置には金属製のテープのたるみを監視するセンサが取り付けられており、テープの搬送に異常が無いか検出することができる(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−31732号公報
【特許文献2】特開平8−39604号公報
【特許文献3】特開平8−39604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フープ成形では金属製のテープをリールに巻いており、テープが無くなる毎にリールを交換する必要がある。生産を円滑に行うためにはリールの交換時期を把握してあらかじめ交換するリールを準備しておき、テープが無くなり次第、直ちにリールを交換し生産を再開するのが望ましい。また、成形現場の作業者の負担を減らすため、運転中にテープが無くなった場合にはその時点で生産を中止し、成形機のシリンダ温度を下げるなどして安全に機械(射出成形機)を停止させることが望ましい。
以上のようにリール上のテープの残量を正確に把握することは、円滑な生産を行なったり作業者の負担を減らす上で重要である。従来、リールの交換時期はリールに巻かれたテープの量を目視して確認することもできたが、その量からテープが無くなる時期を正確に把握することはできなかった。また、上述した従来のたるみ監視用センサではテープの搬送に異常が発生したことがわかるのみであったため、リールの交換時期を前もって確認する手段としては使用することができなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、リール上のテープの残量を正確に把握することが可能な、リールから送り出される連続したテープに樹脂を射出して連続した成形品を成形する搬送装置を備えた射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、リールに巻かれたテープと該テープを成形サイクル毎に金型間に搬送するテープ搬送装置を備えた射出成形機において、前記リールに最初に巻かれていたテープの初期長さを入力する入力部と、前記搬送手段によって搬送されたテープの搬送量を積算して積算値を求める積算部と、前記リールが交換されると前記積算値をリセットするリセット部と、前記初期長さと前記積算値との差からテープの残量を算出する残量算出部と、前記残量を表示する表示部と、を備えたことを特徴とするテープ搬送装置を備えた射出成形機である。
請求項2に係る発明は、リールに巻かれたテープと該テープを成形サイクル毎に金型間に搬送するテープ搬送装置を備えた射出成形機において、前記リールに最初に巻かれていたテープの初期長さを入力する入力部と、前記搬送手段によって搬送されたテープの搬送量を積算して積算値を求める積算部と、前記リールが交換されると前記積算値をリセットするリセット部と、前記初期長さと前記積算値との差からテープの残量を算出する残量算出部と、前記テープの残量を1成形サイクル分のテープ搬送量で除した値をテープが無くなるまでの残成形サイクル数として算出する残成形サイクル数算出部と、前記残成形サイクル数を表示する表示部と、を備えたことを特徴とするテープ搬送装置を備えた射出成形機である。
請求項3に係る発明は、サイクル時間に前記残成形サイクル数を乗じることによってテープが無くなるまでの残時間を求める残時間算出部を備え、前記表示部に少なくとも前記残時間を表示することを特徴とする請求項2に記載のテープ搬送装置を備えた射出成形機である。
請求項4に係る発明は、前記テープの残量があらかじめ設定された残量未満になった場合には警告を発生することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のテープ搬送装置を備えた射出成形機である。
請求項5に係る発明は、前記テープの残量があらかじめ設定された残量未満になった場合には成形運転を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のテープ搬送装置を備えた射出成形機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、リール上のテープの残量を正確に把握することが可能な、リールから送り出される連続したテープに樹脂を射出して連続した成形品を成形する搬送装置を備えた射出成形機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態における射出成形機の表示装置に表示される表示例を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本発明は、テープが巻かれたリールとテープを搬送するテープ搬送装置を備えた射出成形機において、リール上のテープ使用量、テープ残量、テープが無くなるまでのショット数や時間を画面上に表示するとともに、テープの残量が少なくなった場合には警告を出力したり、機械の運転モードを自動的に停止モードに切り替えることを特徴とするテープ搬送装置を備えた射出成形機に関する発明である。
【0010】
図1は本発明の実施形態の一例である。射出成形機Mは、機台上(図示省略)に型締部Mc、および射出部Miを備える。射出部Miは樹脂材料(ペレット)を加熱溶融し、当該溶融樹脂を金型(可動側金型35,固定側金型36)のキャビティ内に射出するものである。型締部Mcは主に金型(可動側金型35,固定側金型36)の開閉を行うものである。
射出部Miを説明する。射出シリンダ1の先端にはノズル2が取り付けられ、射出シリンダ1内には、スクリュ3が挿通されている。射出装置5内にはスクリュ3を射出シリンダ1内で前後進および軸周りに回転させる駆動機構などが設けられている。符号4は射出シリンダ1に樹脂を供給するホッパである。
【0011】
次に、型締部Mcを説明する。型締部Mcは、型開閉用モータM1、リアプラテン31、可動プラテン30、タイバ32、固定プラテン33、トグルリンク機構34、可動側金型35,固定側金型36を備える。リアプラテン31と固定プラテン33とは複数本のタイバ32で連結されており、可動プラテン30はタイバ32にガイドされるように配置されている。可動プラテン30に可動側金型35,固定プラテン33に固定側金型36が取り付けられている。
トグルリンク機構34は、型開閉用モータM1によって駆動されるボールねじ軸38に取り付けられたクロスヘッド39を進退させることによって、トグルリンク機構34を作動させることができる。この場合、クロスヘッド39を前進(図における右方向に移動)させると、可動プラテン30が前進させられて型閉じおよび型締めが行われる。
【0012】
型開閉用モータM1はサーボモータが好ましく、回転位置検出用の位置・速度検出器P1を備えている。位置・速度検出器P1によって検出された型開閉用モータM1の回転位置の検出信号はサーボアンプ11を経由してサーボCPU15に入力する。
【0013】
金属テープ42の搬送装置には射出成形機Mの制御装置10によって制御される搬送用のサーボモータであるテープ搬送用モータM2が備えられている。金属テープ供給用リール40に巻かれた金属テープ42は可動側金型35と固定側金型36の間を通過して成形品回収用リール41に巻き取られる。テープ搬送用モータM2には位置・速度検出器P2が取り付けられており、テープ搬送用モータM2の回転位置の検出信号はサーボアンプ12を経由してサーボCPU15に入力する。
【0014】
射出成形機Mの制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNCCPU20、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMCCPU17、及びサーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU15を有し、バス16を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間で情報伝達が行えるように構成されている。
サーボCPU15には、位置ループ,速度ループ,電流ループの処理を行うサーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM13とデータの一時記憶に用いられるRAM14が接続されている。サーボCPU15には、サーボCPU15からの指令に基づいて型開閉用モータM1,テープ搬送用モータM2を駆動するサーボアンプ11,12が接続され、各サーボモータM1,M2に取り付けられた位置・速度検出器P1,P2からの出力がサーボCPU15に帰還されるようになっている。各サーボモータM1,M2の回転位置は、位置・速度検出器P1,P2からの位置のフィードバック信号に基づいてサーボCPU15により算出され、各現在位置記憶レジスタに更新記憶される。
【0015】
PMCCPU17には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM18および演算データの一時記憶等に用いられるRAM19が接続され、CNCCPU20には、射出成形機を全体的に制御する自動運転プログラム、本発明に関連した金属テープ42を搬送する搬送装置を制御する制御プログラムなどの各種プログラムを記憶したROM21および演算データの一時記憶に用いられるRAM22が接続されている。
成形データ保存用RAM23は、不揮発性のメモリであって、射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。表示装置/MDI(手動データ入力装置)25は表示回路24を介してバス16に接続され、機能メニューの選択および各種データ(テープ初期長さ、1成形サイクルあたりのテープの搬送量、1成形サイクルあたりの時間(サイクル時間))の入力操作等が行える。数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。なお、表示装置としては、LCD(液晶表示装置)、CRT、その他の表示装置を用いたものでもよい。
【0016】
以上の射出成形機の構成により、PMCCPU17が射出成形機全体のシーケンスを制御し、CNCCPU20がROM21の運転プログラムや成形データ保存用RAM23に格納された成形条件等に基づいて、型開閉用モータM1,テープ搬送用モータM2を含む各サーボモータに対して移動指令の分配を行い、サーボCPU15は各サーボモータに対して分配された移動指令と位置・速度検出器P1,P2を含む位置検出器で検出されたフィードバック信号等に基づいて、ディジタルサーボ処理を実行し、各サーボモータを駆動制御する。
【0017】
上記射出成形機Mを用いた成形動作を説明する。型開閉用モータM1を正方向に回転させると、モータの駆動力は動力伝達機構を介してボールねじ軸38の端部に取り付けられたプーリ37を回転させ、ボールねじ軸38が正方向に回転させられ、ボールねじ軸38に螺合したクロスヘッド39は前進(図1における右方向)させられ、トグルリンク機構34が作動させられると、可動プラテン30が前進させられる。
【0018】
可動プラテン30に取り付けられた可動側金型35が固定側金型36と接触すると(型閉状態)、型締工程に移行する。型締工程では、型開閉用モータM1を更に正方向に駆動することで、トグルリンク機構34によって金型(可動側金型35,固定側金型36)に型締力が発生する。そして、射出部Miに設けられたスクリュ前後進用サーボモータ(図示せず)が駆動されてスクリュ3の軸方向に前進し、金型(35,36)内に形成されたキャビティ空間に射出シリンダ1から溶融樹脂が射出され、該キャビティ空間に溶融樹脂が充填される。
型開きを行う場合、型開閉用モータM1を逆方向に駆動すると、ボールねじ軸38が逆方向に回転させられる。それに伴って、クロスヘッド39が後退し、トグルリンク機構34が屈曲する方向に作動し、可動プラテン30がリアプラテン31の方向に後退する。型開工程が完了すると、成形品を可動側金型35から押し出すエジェクタピン(図示せず)を突き出すためのエジェクタ前後進モータ(図示せず)が作動する。これによって、エジェクタピンが可動側金型35の内面から突きだされ、可動側金型35内の成形品は可動側金型35より突き出される。成形品は樹脂成形後、テープ搬送用モータM2を駆動することにより間欠的に搬送される。これによって、次回の成形サイクルにおいて金属テープ42の成形前の部分が可動側金型35と固定側金型36の間に位置することになる。
【0019】
連続成形中および手動運転による金属テープ42の搬送が行われると、射出成形機Mの制御装置10は金属テープ42の搬送量をテープ搬送用モータM2に備えられた位置・速度検出器P2からの情報によって取得し、検出された搬送量を積算して射出成形機Mに備わった表示装置の画面に表示する。そして射出成形機Mの操作を行う作業者は画面に表示された搬送量の積算値と最初にリールに巻かれていたテープの初期長さとを比較することで、テープの残量を把握することができる。
【0020】
さらに最初に金属テープ供給用リール40に巻かれていた金属テープ42の初期長さをあらかじめ設定しておき、前記積算量との初期長さとの差からテープの残量を計算することもできる。そして金属テープ42の残量を1成形サイクル分の搬送量で除して金属テープ42が無くなるまでの残成形サイクル数を表示するようにしてもよい。また、前記の残成形サイクル数に1成形サイクルのサイクル時間を乗じてテープが無くなるまでの残時間を表示してもよい。サイクル時間は現在の成形サイクル時間を使用してもよいし、あらかじめ設定した時間でもよい。なお、残時間の代わりに現在の時刻に残時間を足し合わせてテープが無くなる時刻を表示するようにしてもよい。
作業者はリールの交換が行われたら前記の積算量をリセットし、新しいリールで搬送量の積算を再開することができる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態における射出成形機の表示装置に表示される表示例を説明する図である。表示装置の表示画面には、積算搬送量(実績値)、テープ初期長さ設定値、残量、搬送量(1成形サイクル)、残サイクル数、サイクル時間(実績値)、残時間、テープ終了警告が表示される。金属テープ供給用リール40を取り替えたとき、積算搬送量、残量をリセットするリセットボタンも表示される。なお、これらの表示内容は適宜取捨選択して表示してもよい。
図2では、積算搬送量(実績値)は4500(mm)、テープ初期長さは5000(mm)、残量は500(mm)、搬送量(1サイクル)は25(mm)、残サイクル数は20ショット、サイクル時間(実績値)は10秒、残時間は200(秒)、テープ終了警告は300(mm)前が表示されている。残量が500(mm)でありテープ終了警告前の残量であるので、この表示状態の場合にはテープ終了警告はなされていない。
【0022】
以下、フローチャートを用いて表示装置に表示する表示内容を得るための処理を説明する。
図3は本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートはテープ残量を表示するための処理である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA01]リール交換か否か判断し、リール交換の場合(YESの場合)にはステップSA02へ移行し、リール交換ではない場合(NOの場合)にはステップSA03へ移行する。
●[ステップSA02]テープ搬送量の積算値(Fa)を0に初期化し、ステップSA01にも戻り処理を継続する。
●[ステップSA03]テープ搬送用サーボモータは駆動中か否か判断し、駆動中の場合(YESの場合)にはステップSA04へ移行し、駆動中ではない場合(NOの場合)には駆動中になるまで待って、ステップSA04へ移行する。
●[ステップSA04]テープ搬送量Fを読み込む。
●[ステップSA05]テープ搬送量の積算値(Fa)にステップSA04で読み込んだ搬送量(F)を加算した値に、テープ搬送量の積算値(Fa)を更新する。
●[ステップSA06]テープ残量(Fr)をテープ初期量(Fi)からテープ搬送量の積算値(Fa)を減じることにより算出する。
●[ステップSA07]テープ残量(Fr)を表示し、ステップSA01に戻り処理を継続する。
【0023】
図4は本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートは残サイクル数を表示するための処理である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSB01]リール交換か否か判断し、リール交換の場合(YESの場合)にはステップSB02へ移行し、リール交換ではない場合(NOの場合)にはステップSB03へ移行する。
●[ステップSB02]テープ搬送量の積算値(Fa)を0に初期化し、ステップSB01にも戻り処理を継続する。
●[ステップSB03]テープ搬送用サーボモータは駆動中か否か判断し、駆動中の場合(YESの場合)にはステップSB04へ移行し、駆動中ではない場合(NOの場合)には駆動中になるまで待って、ステップSB04へ移行する。
●[ステップSB04]テープ搬送量Fを読み込む。
●[ステップSB05]テープ搬送量の積算値(Fa)にステップSB04で読み込んだ搬送量(F)を加算した値に、テープ搬送量の積算値(Fa)を更新する。
●[ステップSB06]テープ残量(Fr)をテープ初期量(Fi)からテープ搬送量の積算値(Fa)を減じることにより算出する。
●[ステップSB07]テープ残量(Fr)を1サイクルあたりの搬送量で除することにより残成形サイクル数を算出する。
●[ステップSB08]残成形サイクル数を表示し、ステップSB01に戻り処理を継続する。
【0024】
図5は本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートはテープ残量がテープ終了警告量より少なくなったときに警告処理を行う処理である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSC01]リール交換か否か判断し、リール交換の場合(YESの場合)にはステップSC02へ移行し、リール交換ではない場合(NOの場合)にはステップSC03へ移行する。
●[ステップSC02]テープ搬送量の積算値(Fa)を0に初期化し、ステップSC01にも戻り処理を継続する。
●[ステップSC03]テープ搬送用サーボモータは駆動中か否か判断し、駆動中の場合(YESの場合)にはステップSC04へ移行し、駆動中ではない場合(NOの場合)には駆動中になるまで待って、ステップSC04へ移行する。
●[ステップSC04]テープ搬送量Fを読み込む。
●[ステップSC05]テープ搬送量の積算値(Fa)にステップSC04で読み込んだ搬送量(F)を加算した値に、テープ搬送量の積算値(Fa)を更新する。
●[ステップSC06]テープ残量(Fr)をテープ初期量(Fi)からテープ搬送量の積算値(Fa)を減じることにより算出する。
●[ステップSC07]テープ残量(Fr)を表示する。
●[ステップSC08]テープ残量(Fr)がテープ終了警告量(Fw)より小さいか否か判断し、小さい場合(YESの場合)にはステップSC09へ移行し、小さくない場合(NOの場合)にはステップSC01へ戻り、処理を継続する。
●[ステップSC09]警告処理を実行し、ステップSC01に戻り処理を継続する。
【0025】
ステップSC09の警告処理として、例えば、表示装置の表示画面に警告表示を行う処理、射出成形機に備わった警告灯を点灯する処理、ブザーを鳴らす処理がある。このような警告処理によって、作業者にテープ残量(Fr)がテープ終了警告量(Fw)より少なくなったことを注意喚起できる。これにより作業者はリールが無くなる前に次のリールの準備を行なえるため円滑なリール交換が可能となる。
【0026】
図6は本発明の実施形態に係る処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートはテープ残量がテープ終了警告量より少なくなったときに成形運転を停止する処理を行う処理である。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSD01]リール交換か否か判断し、リール交換の場合(YESの場合)にはステップSD02へ移行し、リール交換ではない場合(NOの場合)にはステップSD03へ移行する。
●[ステップSD02]テープ搬送量の積算値(Fa)を0に初期化し、ステップSD01にも戻り処理を継続する。
●[ステップSD03]テープ搬送用サーボモータは駆動中か否か判断し、駆動中の場合(YESの場合)にはステップSD04へ移行し、駆動中ではない場合(NOの場合)には駆動中になるまで待って、ステップSD04へ移行する。
●[ステップSD04]テープ搬送量Fを読み込む。
●[ステップSD05]テープ搬送量の積算値(Fa)にステップSD04で読み込んだ搬送量(F)を加算した値に、テープ搬送量の積算値(Fa)を更新する。
●[ステップSD06]テープ残量(Fr)をテープ初期量(Fi)からテープ搬送量の積算値(Fa)を減じることにより算出する。
●[ステップSD07]テープ残量(Fr)を表示する。
●[ステップSD08]テープ残量(Fr)がテープ終了警告量(Fw)より小さいか否か判断し、小さい場合(YESの場合)にはステップSD09へ移行し、小さくない場合(NOの場合)にはステップSD01へ戻り、処理を継続する。
●[ステップSD09]成形運転停止処理を実行し、処理を終了する。
【0027】
ステップSD09の警告処理として、作業者の負担を減らすため成形中にテープの残量(Fr)がテープ終了警告量(Fw)などの所定量未満になった場合には、前記の注意喚起の代わりに、機械の運転の自動停止を行うようにしてもよい。この場合には、運転を停止後、射出シリンダ1などから構成される射出ユニットを後退させて自動で樹脂を排出したり、さらには射出シリンダ1の温度を下げるなどして安全に機械を停止するようにすればよい。
【0028】
上述したように、本発明により、リールから送り出される連続したテープに樹脂を射出して連続した成形品を成形する射出成形機において、リール上のテープの残量やリールの交換時期を正確に把握することができる。これによりリールの交換を適切なタイミングで行ない生産を円滑に進めることができる。さらに、残量が少なくなった場合には警告を表示したり、生産を自動停止(成形作業を自動停止)することにより、作業者の負担を減らすことができる。
【0029】
なお、本発明においては搬送装置の駆動手段は図1に示したようなサーボモータが望ましいが、エアシリンダや汎用モータのようにテープ搬送量を検出する手段が無い駆動装置を備えた搬送装置の場合でも、テープ搬送量を検出する手段としてエンコーダなどの位置検出手段を追加してテープ搬送量を検出するようにしてもよい。また、テープ搬送量が毎回同じである場合には、搬送を行った回数を積算し、この回数に1回分のテープ搬送量を乗じてテープ搬送量の積算値を求めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 射出シリンダ
2 ノズル
3 スクリュ
4 ホッパ
5 射出装置

10 制御装置
11 サーボアンプ
12 サーボアンプ
13 ROM
14 RAM
15 サーボCPU
16 バス
17 PMCCPU
18 ROM
19 RAM
20 CNCCPU
21 ROM
22 RAM
23 成形データ保存用RAM
24 表示回路
25 表示装置/MDI(手動データ入力装置)

30 可動プラテン
31 リアプラテン
32 タイバ
33 固定プラテン
34 トグルリンク機構
35 可動側金型
36 固定側金型
37 プーリ
38 ボールねじ軸
39 クロスヘッド
40 金属テープ供給用リール
41成形品回収用リール
42 金属テープ

M 射出成形機
Mc 型締部
Mi 射出部
M1 型開閉用モータ
M2 テープ搬送用モータ

P1,P2 位置・速度検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールに巻かれたテープと該テープを成形サイクル毎に金型間に搬送するテープ搬送装置を備えた射出成形機において、
前記リールに最初に巻かれていたテープの初期長さを入力する入力部と、
前記搬送手段によって搬送されたテープの搬送量を積算して積算値を求める積算部と、
前記リールが交換されると前記積算値をリセットするリセット部と、
前記初期長さと前記積算値との差からテープの残量を算出する残量算出部と、
前記残量を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とするテープ搬送装置を備えた射出成形機。
【請求項2】
リールに巻かれたテープと該テープを成形サイクル毎に金型間に搬送するテープ搬送装置を備えた射出成形機において、
前記リールに最初に巻かれていたテープの初期長さを入力する入力部と、
前記搬送手段によって搬送されたテープの搬送量を積算して積算値を求める積算部と、
前記リールが交換されると前記積算値をリセットするリセット部と、
前記初期長さと前記積算値との差からテープの残量を算出する残量算出部と、
前記テープの残量を1成形サイクル分のテープ搬送量で除した値をテープが無くなるまでの残成形サイクル数として算出する残成形サイクル数算出部と、
前記残成形サイクル数を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とするテープ搬送装置を備えた射出成形機。
【請求項3】
サイクル時間に前記残成形サイクル数を乗じることによってテープが無くなるまでの残時間を求める残時間算出部を備え、
前記表示部に少なくとも前記残時間を表示することを特徴とする請求項2に記載のテープ搬送装置を備えた射出成形機。
【請求項4】
前記テープの残量があらかじめ設定された残量未満になった場合には警告を発生することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のテープ搬送装置を備えた射出成形機。
【請求項5】
前記テープの残量があらかじめ設定された残量未満になった場合には成形運転を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のテープ搬送装置を備えた射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86351(P2013−86351A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228764(P2011−228764)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】