説明

テールピース台車および掘削ずりの移送方法

【課題】装置全体の小型化を図ることにより、たとえば小断面のトンネルにおいても使用することができるテールピース台車を提供する。
【解決手段】テールピース台車は、クラッシャー2から掘削ずりを投入されるホッパ53と、連続ベルトコンベアにおけるテールプーリ10とが搭載された台車本体30を備えている。台車本体30には、テールプーリ10を移動させることによってコンベアベルト11の蛇行を抑制する蛇行抑制機構4が設けられている。蛇行抑制機構4の上方には、クラッシャー2におけるクラッシャーベルトコンベア22を配置するコンベア装置配置空間が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に配置されるテールピース台車および掘削ずりの移送方法に係り、特に、切羽で掘削した掘削ずりを破砕した後、ベルトコンベアに移載するテールピース台車および掘削ずりの移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルにおいて切羽を掘削する際には、たとえば切羽に対して発破を行う方法が採られている。発破によって生じた土砂(以下「掘削ずり」という)を坑外に運搬する方法として、近年、トンネル内に設けられたベルトコンベアによって掘削ずりを搬送して排出する運搬方式が採られている。
【0003】
ベルトコンベアを用いた運搬方式では、掘削によって生じた掘削ずりを破砕するクラッシャーをトンネル内に配置しておき、掘削ずりをホイルローダでクラッシャーまで搬送した後にクラッシャーで破砕する。続いて、クラッシャーで小径に破砕した掘削ずりをベルトコンベアに移載し、ベルトコンベアによって坑口まで運搬している。
【0004】
クラッシャーで破砕した掘削ずりをベルトコンベアに移載する際には、テールピース台車が用いられる。このようなテールピース台車として、従来、掘削ずりをトンネルの坑外まで搬送する連続ベルトコンベアのほか、掘削ずりをクラッシャーのクラッシャーコンベアから連続ベルトコンベアまで搬送する第2ベルトコンベアを備えるバックアップデッキが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この第2ベルトコンベアは、テールピース台車に設けられた構造用架台に載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−210400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示されたバックアップコンベアでは、第2ベルトコンベアが設けられていることから、装置全体として大型化を招く傾向があるというという問題があった。さらに、装置全体の大型化に伴い、たとえば小断面のトンネルに用いることができないという問題があった。
【0007】
他方、この種のテールピース台車では、連続ベルトコンベアの蛇行を抑制する蛇行抑制機構が設けられることが多い。上記特許文献1に開示されたバックアップデッキにおけるテールピース台車に蛇行抑制機構を設ける際には、第2ベルトコンベアが載置された構造用架台に吊持される形で設けられる。このため、蛇行抑制機構を設けるためにも構造用架台が必要となり、装置全体の大型化を避けられないものであった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、装置全体の小型化を図ることにより、たとえば小断面のトンネルにおいても使用することができるテールピース台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した本発明に係るテールピース台車は、トンネル内の切羽における掘削ずりを破砕し、破砕した掘削ずりをトンネルの坑口方向に移送するコンベア装置を備えるクラッシャーと、トンネル内に配置され、クラッシャーによって移送された掘削ずりをトンネルの坑口方向に搬送するベルトコンベアとの間に配設され、クラッシャーによって移送された掘削ずりをベルトコンベアに移載するテールピース台車であって、コンベア装置から掘削ずりを投入されるホッパと、ベルトコンベアにおけるテールプーリと、が搭載された台車本体と、テールプーリを移動させることによってベルトコンベアにおけるベルトの蛇行を抑制する蛇行抑制機構を備え、蛇行抑制機構が台車本体に設けられており、蛇行抑制機構の上方に、コンベア装置を配置するコンベア装置配置空間が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るテールピース台車においては、蛇行抑制機構の上方に蛇行抑制機構を設けるための構造用架台や構造用架台に搭載される第2ベルトコンベアなどが設けられていない。その代わり、蛇行抑制機構の上方に、クラッシャーにおけるコンベア装置を配置するコンベア装置配置空間が形成されている。このため、クラッシャーにおけるコンベア装置からホッパに直接掘削ずりを投入することができ、装置全体の小型化を図ることにより、たとえば小断面のトンネルにおいても使用することができる。
【0011】
ここで、蛇行抑制機構は、水平面上におけるトンネルの掘進方向に対する直交方向、鉛直方向、ベルトコンベアのチルト方向、およびテールプーリの鉛直軸周りの旋回方向のうちの少なくとも1方向にテールプーリを移動させる機構である態様とすることができる。
【0012】
このように、水平面上におけるトンネルの掘進方向に対する直交方向、鉛直方向、ベルトコンベアのチルト方向、およびテールプーリの鉛直軸周りの旋回方向のうちの少なくとも1方向にテールプーリを移動させる機構であることにより、ベルトコンベアにおけるベルトの蛇行を好適に抑制することができる。
【0013】
また、台車本体に、クラッシャーと接続される接続部材が設けられている態様とすることができる。
【0014】
このように、台車本体にクラッシャーと接続される接続部材が設けられていることにより、テールピース台車をクラッシャーによって牽引して移動させることができる。このため、テールピース台車に駆動モータなどの駆動源を設ける必要がなくなる。したがって、その分テールピース台車の小型化を図ることができる。
【0015】
さらに、台車本体に従動車輪が取り付けられている態様とすることができる。
【0016】
このように、台車本体に従動車輪が取り付けられていることにより、クラッシャーによって牽引したテールピース台車を容易に走行させることができる。
【0017】
また、台車本体は、フレーム材が組み合わされたフレーム構造をなしている態様とすることができる。
【0018】
このように、台車本体に従動車輪が取り付けられる場合には、クローラを設ける場合などのように台車本体に底板などを設ける必要がなくなる。このため、台車本体が、フレーム材が組み合わされたフレーム構造をなしている構造とすることができ、テールピース台車の軽量化を図ることができる。
【0019】
さらに、ホッパを搭載するホッパ搭載部が台車本体に設けられており、ホッパ搭載部に、ホッパに掘削ずりが投入された際における衝撃を吸収する衝撃吸収構造が設けられている態様とすることができる。
【0020】
このように、ホッパ搭載部に、ホッパに掘削ずりが投入された際における衝撃を吸収する衝撃吸収構造が設けられていることにより、ホッパを通じてベルトコンベアのベルトに与える衝撃を緩和することができる。したがって、ホッパに対する掘削ずりの投入に伴うベルトの損傷を防止することができる。
【0021】
他方、上記課題を解決した本発明に係る掘削ずりの移送方法は、上記テールピース台車を用いた掘削ずりの移送方法であって、クラッシャーで破砕した掘削ずりをコンベア装置によってホッパまで移送してホッパに投入し、ホッパに投入された掘削ずりをベルトコンベアに移載することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るテールピース台車によれば、装置全体の小型化を図ることにより、たとえば小断面のトンネルにおいても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】テールピース台車が配置されたトンネルの側断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】テールピース台車の平面図である。
【図4】テールピース台車の側面図である。
【図5】蛇行抑制機構における水平方向への移動構造の正面図である。
【図6】蛇行抑制機構における鉛直方向への移動構造の側面図である。
【図7】蛇行抑制機構における旋回方向への移動構造の平面図である。
【図8】テールピース台車の動作状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、本実施形態では、特に示す場合を除き、トンネルの坑口側を「前方」、切羽側を「後方」と表示して説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るテールピース台車が配置されたトンネルの側断面図である。図1に示すように、トンネルT内には、連続ベルトコンベア1が設けられており、切羽Kの近傍位置には、クラッシャー2が配置されている。連続ベルトコンベア1における後部側には、本実施形態に係るテールピース台車3が配置されており、テールピース台車3よりも切羽K側の位置にクラッシャー2が配置される。クラッシャー2は、切羽Kにおける発破作業によって生じた掘削ずりを破砕し、破砕した掘削ずりをテールピース台車3に移載する。
【0026】
連続ベルトコンベア1の切羽K側端部は、テールピース台車3の坑口側端部に配置されており、テールピース台車3に移載された掘削ずりを坑口まで搬送する。これらのテールピース台車3および連続ベルトコンベア1は、図2に示すように、トンネルTの掘進方向に見て、トンネルTの側端部に配置されている。
【0027】
連続ベルトコンベア1は、図3および図4に示すように、切羽K側に配置されたテールプーリ10を備えている。このテールプーリ10は、テールピース台車3に搭載されている。テールプーリ10には、コンベアベルト11が巻き回されており、テールプーリ10の回転に伴ってコンベアベルト11が移動し、コンベアベルト11上の掘削ずりをトンネルの坑口方向に搬送する。
【0028】
さらに、連続ベルトコンベア1は、コンベアフレーム12を備えており、コンベアフレーム12の上面側には、テールプーリ10から送り出されるコンベアベルト11の移動を案内するキャリアローラ13が設けられている。キャリアローラ13は、コンベアフレーム12上においてコンベアベルト11の移動方向に離間して複数設置されている。一方、コンベアフレーム12の下面側には、テールプーリ10に戻るコンベアベルト11を案内するリターンローラ14が設けられている。
【0029】
クラッシャー2は、図1に示すように、発破作業によって生じた掘削ずりを破砕する破砕部21を備えている。破砕部21には、破砕前の掘削ずりを投入する投入口および破砕後の掘削ずりを排出する排出口が形成されている。また、破砕部21における排出口には、破砕した掘削ずりをトンネルの坑口方向に移送するコンベア装置であるクラッシャーベルトコンベア22が設けられている。クラッシャーベルトコンベア22は、破砕部21における排出口から排出された破砕後の掘削ずりを上方に搬送する。
【0030】
また、クラッシャーベルトコンベア22の先端部には、掘削ずり投入ホッパ23が設けられている。掘削ずり投入ホッパ23は、クラッシャーベルトコンベア22によって搬送された掘削ずりをテールピース台車3に投入する。さらに、クラッシャー2は、いわゆる自走式であり、駆動源となるモータやモータに電力を供給するバッテリやケーブル、さらには駆動用のクローラなどを備えている。
【0031】
テールピース台車3は、図3および図4に示すように、台車本体30を備えている。台車本体30は、フレーム構造をなしており、坑口側から見て左側位置に配置された左サイドフレーム30Aおよび右側位置に配置された右サイドフレーム30Bを備えている。また、左右サイドフレーム30A,30Bの後端部に掛け渡されたバックフレーム30Cと、左右サイドフレーム30A,30Bの長手方向途中位置に掛け渡された補強フレーム30D,30Eを備えている。
【0032】
左右サイドフレーム30A,30Bの側方には、それぞれ車輪31およびアウトリガー32が設けられている。車輪31は、従動車輪であり、他の動力による推進力がテールピース台車3に付与された際に回転してテールピース台車3を移動させる。また、アウトリガー32は、サイドフレーム30A,30Bの外側にそれぞれ配設されており、クラッシャー2からテールピース台車3に対する掘削ずりの投入作業が行われる際に、地面にセットされて台車本体30を水平に保持したまま固定する。
【0033】
台車本体30の中央部には、油圧タンク33が設けられており、その前方位置には操作レバー34が設けられている。また、操作レバー34は、制御盤35に電気的に接続されている。この操作レバー34を作業員が操作するによって、制御盤35に設けられた制御装置によって、蛇行抑制機構4や連続ベルトコンベア1が制御される。さらに、バックフレーム30Cの後ろ側には、牽引プレート36が設けられている。牽引プレート36は、クラッシャー2に設けられた図示しない牽引部材が接続可能とされている。
【0034】
台車本体30における前側には、連続ベルトコンベア1の蛇行を抑制する蛇行抑制機構4が設けられている。蛇行抑制機構4は、図5にも示すように、左右サイドフレーム30A,30Bにおける長手方向略中央位置よりもやや前方位置において、左右サイドフレーム30A,30Bに対して直交して掛け渡される水平レール41を備えている。
【0035】
水平レール41には、水平レール41に沿って移動するテールスライドユニット42が取り付けられている。テールスライドユニット42は、水平レール41の上下位置にそれぞれ配置されるスライド車輪42Aを備えている。さらに、テールスライドユニット42には、水平シリンダ43の水平シリンダロッド43Aが取り付けられている。
【0036】
水平シリンダ43における水平シリンダ本体43Bは、台車本体30における左サイドフレーム30Aに取り付けられている。この水平シリンダ43を伸縮させると、スライド車輪42Aが水平レール41に沿って走行し、テールスライドユニット42が水平レール41に沿って、水平面上におけるトンネルの掘進方向に対する直交方向である左右方向に沿って移動する。
【0037】
テールスライドユニット42には、鉛直方向に移動する上下テールユニット44が取り付けられている。図6に示すように、上下テールユニット44は、テールスライドユニット42の先端側表面に沿って配置される車輪44Aを備えている。さらに、上下テールユニット44には、鉛直シリンダ45の鉛直シリンダロッド45Aが取り付けられている。
【0038】
また、テールスライドユニット42は、鉛直シリンダ45を保持するシリンダ保持ブラケット42Bを備えており、鉛直シリンダ45の鉛直シリンダ本体45Bは、鉛直方向に沿って配置され、テールスライドユニット42におけるシリンダ保持ブラケット42Bに保持されている。この鉛直シリンダ45を伸縮させると、車輪44Aがテールスライドユニット42の先端側表面に沿って走行し、上下テールユニット44が鉛直方向に沿って移動する。
【0039】
また、図7にも示すように、上下テールユニット44には、旋回フレーム46が接続されており、旋回フレーム46に連続ベルトコンベア1におけるテールプーリ10が搭載されている。旋回フレーム46は、鉛直方向に沿って打ち込まれたピン46Aによって上下テールユニット44に接続されている。このため、旋回フレーム46は、鉛直軸周りに旋回可能とされている。
【0040】
さらに、蛇行抑制機構4は、旋回シリンダ47を備えている。旋回シリンダ47におけるシリンダロッド47Bは、接続ロッド48を介して上下テールユニット44に接続されており、旋回シリンダ47におけるシリンダ本体47Aは、旋回フレーム46に取り付けられている。接続ロッド48は、旋回シリンダ47におけるシリンダロッド47Bおよび上下テールユニット44に対してそれぞれ揺動可能に取り付けられている。このため、旋回シリンダ47を伸縮させることにより、旋回フレーム46および旋回フレーム46に取り付けられたテールプーリ10は、このテールプーリ10の後方に設定された鉛直軸周りに揺動する。
【0041】
また、台車本体30における先端部には、ホッパ搭載部5が設けられている。ホッパ搭載部5は、テールフレーム51を備えている。テールフレーム51は、旋回フレーム46における下端部に接続されており、前方に延在している。テールフレーム51における上方には、連続ベルトコンベア1におけるコンベアフレーム12が配置されている。コンベアフレーム12は、図4に示すように、旋回フレーム46に対して、トンネルTの掘進方向に直交する水平軸回りに揺動可能となるヒンジ機構49によって接続されている。
【0042】
さらに、テールフレーム51における先端部とコンベアフレーム12における先端部との間には、スプリング52が介在されている。これらの旋回フレーム46に揺動可能に接続されたコンベアフレーム12と、テールフレーム51と、スプリング52等によってサスペンション機構が構成されている。
【0043】
また、コンベアフレーム12上には、ホッパ53が配設されており、ホッパ53の前方にスカート54が配設されている。このホッパ53に対して、クラッシャー2における掘削ずり投入ホッパ23から掘削ずりが直接投入される。蛇行抑制機構4における各部材は、ホッパ53よりも低い位置に配置されている。
【0044】
さらに、蛇行抑制機構4およびホッパ搭載部5は、全体的にホッパ53の設置位置よりも低い位置に設けられており、台車本体30の上方には、本発明のコンベア装置配置空間となる空間が形成されている。このため、台車本体30の上方には、テールピース台車3よりも切羽K側に配置されたクラッシャー2におけるクラッシャーベルトコンベア22が、他の物体等の障害物に接触することなくホッパ53に届くまでの配置空間が形成されている。
【0045】
次に、本実施形態に係るテールピース台車の動作および作用について説明する。本実施形態に係るテールピース台車3は、クラッシャー2から掘削ずりを投入されるホッパ53を備えている。掘削ずりの投入を行う際には、クラッシャー2における図8に示すように、掘削ずり投入ホッパ23をテールピース台車3の上方に配置し、その先端部をホッパ53の上部に配置する。次に、クラッシャー2で破砕された掘削ずりをクラッシャーベルトコンベア22で搬送し、テールピース台車3に設けられたホッパ53に投入する。
【0046】
ここで、本実施形態に係るテールピース台車3では、蛇行抑制機構を設けるための構造用架台や、構造用架台に搭載されるベルトコンベアなどが設けられていない。このため、クラッシャー2におけるクラッシャーベルトコンベア22を配置する配置空間が形成されている。このため、テールピース台車3としての小型化を図ることができる。
【0047】
テールピース台車3の小型化を図ることにより、装置の簡素化はもちろん、たとえば従来のバックアップデッキを用いることができない小断面のトンネルを掘削する場合においても、テールピース台車3を利用することができる。さらに、テールピース台車3の小型化を図ることにより、トンネルを正面視した際の側方に大きく寄せてテールピース台車3や連続ベルトコンベア1を配置することができる。したがって、トンネル内の中央位置をその他の作業を行う空間として有効利用することができる。
【0048】
また、ホッパ53に掘削ずりを投入する際、掘削ずりは、クラッシャーベルトコンベア22からホッパ53に向けて落下するので、ホッパ53は、掘削ずりの落下による衝撃を受ける。ここで、ホッパ53の下方には、スプリング52等のサスペンション機構が設けられている。このサスペンション機構におけるスプリング52等により、掘削ずりの落下による衝撃を吸収することができる。その結果、掘削ずりの落下による連続ベルトコンベア1におけるコンベアベルト11等の損傷を防止することができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係るテールピース台車3では、蛇行抑制機構4として、水平方向および鉛直方向のほか、鉛直軸周りの旋回方向へテールプーリ10を移動させることによってコンベアベルト11の蛇行を抑制している。このように、鉛直軸周りの旋回方向にテールプーリ10を移動させることにより、コンベアベルト11の蛇行をより好適に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るテールピース台車3は、従動車輪となる車輪31が設けられており、自走のためのクローラなどが設けられていない態様となっている。このため、台車本体30に底板などを設ける必要がなくなるので、台車本体30が、フレーム材が組み合わされたフレーム構造をなしている構造とすることができ、テールピース台車3の軽量化を図ることができる。加えて、台車本体30の後端部には、接続部材である牽引プレート36が設けられている。このため、テールピース台車3が自走しない場合でも、クラッシャー2に牽引されて移動することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、テールピース台車3は牽引されて走行可能とされているが、動力源を設けて自走式とする態様とすることもできる。この場合には、走行車輪に代えてクローラなどを用いることが好適となる。また、上記実施形態においては、水平シリンダ43および鉛直シリンダ45をそれぞれ1本ずつ設けることによってテールピース台車3を全体的に小型化しているが、これらのシリンダを複数本設ける態様とすることもできる。
【0052】
さらに、上記実施形態では、テールプーリ10を3方向に移動可能としてコンベアベルト11の蛇行を抑制するようにしているが、他の方向、たとえばコンベアベルト11のチルト方向に移動可能とすることもできる。衝撃吸収構造として、スプリング52等を用いたサスペンション構造を用いているが、他の構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0053】
1…連続ベルトコンベア
2…クラッシャー
3…テールピース台車
4…蛇行抑制機構
5…ホッパ搭載部
10…テールプーリ
11…コンベアベルト
12…コンベアフレーム
13…キャリアローラ
14…リターンローラ
21…破砕部
22…クラッシャーベルトコンベア
23…掘削ずり投入ホッパ
30…台車本体
30A…左サイドフレーム
30B…右サイドフレーム
30C…バックフレーム
30D,30E…補強フレーム
31…車輪
32…アウトリガー
33…油圧タンク
34…操作レバー
35…制御盤
36…牽引プレート
41…水平レール
42…テールスライドユニット
42A…スライド車輪
42B…シリンダ保持ブラケット
43…水平シリンダ
43A…水平シリンダロッド
43B…水平シリンダ本体
44…上下テールユニット
44A…車輪
45…鉛直シリンダ
45A…鉛直シリンダロッド
45B…鉛直シリンダ本体
46…旋回フレーム
46A…ピン
47…旋回シリンダ
47A…シリンダ本体
47B…シリンダロッド
48…接続ロッド
49…ヒンジ機構
51…テールフレーム
52…スプリング
53…ホッパ
54…スカート
K…切羽
T…トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の切羽における掘削ずりを破砕し、破砕した掘削ずりをトンネルの坑口方向に移送するコンベア装置を備えるクラッシャーと、前記トンネル内に配置され、前記クラッシャーによって移送された掘削ずりを前記トンネルの坑口方向に搬送するベルトコンベアとの間に配設され、前記クラッシャーによって移送された掘削ずりを前記ベルトコンベアに移載するテールピース台車であって、
前記コンベア装置から前記掘削ずりを投入されるホッパと、前記ベルトコンベアにおけるテールプーリと、が搭載された台車本体と、
前記テールプーリを移動させることによって前記ベルトコンベアにおけるベルトの蛇行を抑制する蛇行抑制機構を備え、
前記蛇行抑制機構が前記台車本体に設けられており、前記蛇行抑制機構の上方に、前記コンベア装置を配置するコンベア装置配置空間が形成されていることを特徴とするテールピース台車。
【請求項2】
前記蛇行抑制機構は、水平面上における前記トンネルの掘進方向に対する直交方向、鉛直方向、前記ベルトコンベアのチルト方向、および前記テールプーリの鉛直軸周りの旋回方向のうちの少なくとも1方向に前記テールプーリを移動させる機構である請求項1に記載のテールピース台車。
【請求項3】
前記台車本体に、前記クラッシャーと接続される接続部材が設けられている請求項1または請求項2に記載のテールピース台車。
【請求項4】
前記台車本体に従動車輪が取り付けられている請求項3に記載のテールピース台車。
【請求項5】
前記台車本体は、フレーム材が組み合わされたフレーム構造をなしている請求項4に記載のテールピース台車。
【請求項6】
前記ホッパを搭載するホッパ搭載部が前記台車本体に設けられており、
前記ホッパ搭載部に、前記ホッパに掘削ずりが投入された際における衝撃を吸収する衝撃吸収構造が設けられている請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載のテールピース台車。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載のテールピース台車を用いた掘削ずりの移送方法であって、
前記クラッシャーで破砕した掘削ずりを前記コンベア装置によって前記ホッパまで移送して前記ホッパに投入し、
前記ホッパに投入された掘削ずりを前記ベルトコンベアに移載することを特徴とする掘削ずりの移送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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