説明

ディジタル時計並びにそれを備えた腕時計およびカメラ用データ写し込み装置

【課題】 日付や時間などの計時情報に差のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報を把握し、あるいは写真に写し込むことができるディジタル時計並びにそれを備えた腕時計およびカメラ用データ写し込み装置を提供する。
【解決手段】 日付および時刻の少なくとも一方を含む計時情報を求めるための計時を行うとともに、その計時結果に基づく計時情報をディジタル情報として出力する計時手段と、任意の時点でその時点の計時情報を第1使用地域の基準に合わせて調整する計時情報調整手段と、を備えたディジタル時計であって、第2使用地域の第1使用地域に対する計時情報の差である計時情報差を設定する計時情報差設定手段をさらに備え、計時手段は、計時情報差が設定されたときに、その計時情報差に基づいて第2使用地域における計時情報を求めて、ディジタル情報として出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタル時計並びにそれを備えた腕時計およびカメラ用データ写し込み装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディジタル時計は、発振回路や論理回路等を備えて構成され、内部の計時用カウンタにより日付や時刻等の計時情報を求めてディジタル情報として出力する。そして、現在では、その計時情報を表示するだけのいわゆる時計ばかりでなく、各種の分野の装置に内蔵されている。例えばカメラにおいて、シャッタを押すと同時にその時点の日時等を写真(フィルム)に写し込むためのカメラ用データ写し込み装置などにも、その日時等(計時情報)のディジタル情報(ディジタルデータ)を自動的に求める計時手段として内蔵されて利用されている。
【0003】また、この種のディジタル時計は、任意の時点で日時等を調整するための日時調整用スイッチを備えていて、電池交換等の際の日時等の初期設定時を初めとして、必要なときに日時等を調整できるようになっている。この場合、例えばモードスイッチにより日時調整モードを呼び出し、年、月、日、時、分、秒などを順番に調整できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のディジタル時計を内蔵する腕時計やカメラを持って(携帯して)、基準日時の異なる外国等(時差のある地域)に旅行する場合、その旅行先で正確な日時に基づいて行動したり、正確な日時を写真に写したいときには、その旅行先に到着した時点で現地の基準に日時を合わせる必要がある。また、旅行から帰ったときには、同様の手順にてそれを戻す必要がある。また、互いに時差のある複数の地域を旅行するときには、その度に現地の基準に合わせる必要がある。
【0005】しかし、これらの度に上述の日時調整スイッチを利用するのは、その度に年、月、日、時、分、秒などを順番に調整する必要があり、操作が煩わしいために、旅行等で時差のある地域に移動しても、日時の調整をしない場合が多くなってしまい、旅行先で正確な日時に基づいて行動するのに不便で、あるいは異なる日時を写真に写してしまうなどの問題が生じた。
【0006】本発明は、日付や時間などの計時情報に差のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報を把握し、あるいは写真に写し込むことができるディジタル時計並びにそれを備えた腕時計およびカメラ用データ写し込み装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1のディジタル時計は、日付および時刻の少なくとも一方を含む計時情報を求めるための計時を行うとともに、その計時結果に基づく前記計時情報をディジタル情報として出力する計時手段と、任意の時点でその時点の前記計時情報を第1使用地域の基準に合わせて調整する計時情報調整手段と、を備えたディジタル時計であって、第2使用地域の前記第1使用地域に対する計時情報の差である計時情報差を設定する計時情報差設定手段をさらに備え、前記計時手段は、前記計時情報差が設定されたときに、その計時情報差に基づいて前記第2使用地域における計時情報を求めて、前記ディジタル情報として出力することを特徴とする。
【0008】このディジタル時計は、一般的なディジタル時計の構成(計時手段および計時情報調整手段)に加えて、第2使用地域の第1使用地域に対する計時情報差を設定する計時情報差設定手段をさらに備えて、計時情報差が設定されたときに、その計時情報差に基づいて第2使用地域における計時情報を求めて、ディジタル情報として出力する。このため、第1使用地域と計時情報差(時差等)のある第2使用地域に移動しても、年、月、日、時、分、秒などを順番に調整する計時情報調整手段(日時調整スイッチ等)のような煩雑な操作をすることなく、計時情報差を設定する簡易な操作だけで、計時情報差(日時差等)を解消して、第2使用地域の正確な計時情報をディジタル情報として出力できる(ディジタル出力できる)。
【0009】また、請求項1のディジタル時計において、前記計時情報差設定手段は、12時間増から12時間減までの選択肢のいずれかを時刻差として設定可能な時刻差設定手段を有することが好ましい。
【0010】このディジタル時計では、プラスマイナス12時間の範囲の選択肢のいずれかを時刻差(時差)として選択でき、選択肢を選択するという簡易な操作で時差を解消して、第2使用地域(現地)の正確な計時情報をディジタル出力できる。なお、世界各国の主な基準時刻の時差は、1時間単位で定まっているのが普通なので(例外として30分単位の時差等がある)、この場合の選択肢として、例えば1時間単位や30分単位の選択肢を用意しておくことにより、任意の基準時刻に対応することもできる。
【0011】また、請求項2のディジタル時計において、前記時刻差設定手段は、等間隔のステップで回転可能なダイヤル式スイッチであることが好ましい。
【0012】このディジタル時計では、ダイヤル式スイッチを等間隔(例えば1時間単位)のステップで回転させるだけの簡易な操作で、時差を選択・設定してそれを解消し、第2使用地域(現地)の正確な計時情報をディジタル出力できる。
【0013】また、請求項2のディジタル時計において、前記時刻差設定手段は、等間隔のステップで切換可能な切換スイッチであることが好ましい。
【0014】このディジタル時計では、切換スイッチを等間隔(例えば1時間単位)のステップで切り換えるだけの簡易な操作で、時差を選択・設定してそれを解消し、第2使用地域(現地)の正確な計時情報をディジタル出力できる。
【0015】また、請求項1ないし4のいずれかのディジタル時計において、前記計時情報差設定手段は、1日増および1日減を含む日付差の選択肢のいずれかを日付差として設定可能な日付差設定手段を有することが好ましい。
【0016】このディジタル時計では、プラスマイナス1日の選択肢のいずれかを日付差(日差)として選択でき、選択肢を選択するという簡易な操作で日差を解消して、ディジタル出力できる。
【0017】また、請求項1ないし5のいずれかのディジタル時計において、前記計時情報差として設定可能な選択肢に前記計時情報差がゼロの選択肢が含まれることが好ましい。
【0018】このディジタル時計では、計時情報差として設定可能な選択肢に計時情報差がゼロの選択肢が含まれるので、移動先で計時情報差を他の値に設定していても、ゼロの選択肢を選択するだけの簡単な操作で、第1使用地域の基準に戻すことができる。
【0019】また、請求項1ないし6のいずれかのディジタル時計において、前記計時情報差設定手段により前記計時情報差としてゼロ以外が設定されていることを報知する計時情報差設定報知手段をさらに備えたことが好ましい。
【0020】このディジタル時計では、計時情報差としてゼロ以外が設定されていることを報知するので、ユーザは、第1使用地域以外の基準に合わせた計時情報がディジタル出力されていることを簡単に把握できる。
【0021】また、請求項1のディジタル時計において、前記計時情報差設定手段は、描画された世界地図上の主要都市の位置に、各主要都市と前記第1使用地域との計時情報差を設定するためのスイッチを有することが好ましい。
【0022】このディジタル時計では、描画された世界地図上の主要都市の位置に、各主要都市と第1使用地域との計時情報差を設定するためのスイッチを有するので、移動先の基準と同じ基準の主要都市の位置にあるスイッチを操作するだけで、計時情報差(日差、時差)を簡易に設定してそれを解消し、第2使用地域(現地)の正確な計時情報をディジタル出力できる。
【0023】また、請求項8のディジタル時計において、前記計時情報差設定手段により設定されている前記計時情報差に対応する主要都市を報知する計時情報差設定都市報知手段をさらに備えたことが好ましい。
【0024】このディジタル時計では、設定されている計時情報差に対応する主要都市を報知するので、ユーザは、設定されている計時情報差が現在位置に適合しているか否かを簡単に把握できる。
【0025】また、請求項10の腕時計は、請求項1ないし9のいずれかに記載のディジタル時計と、前記ディジタル情報を視認可能な計時情報に変換して表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0026】この腕時計は、計時情報差を設定する簡易な操作だけで、計時情報差(日時差等)を解消して、第2使用地域(移動先:現地)の正確な計時情報をディジタル情報として出力できるディジタル時計と、そのディジタル情報を視認可能な計時情報に変換して表示する表示手段と、を備えるので、計時情報差(日時差等)のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報をその表示により把握できる。
【0027】また、請求項11のカメラ用データ写し込み装置は、請求項1ないし9のいずれかに記載のディジタル時計と、前記ディジタル情報をカメラのフィルムに写し込むための写し込みデータに変換して前記フィルムに写し込む写し込み手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】このカメラ用データ写し込み装置は、簡易な操作で、第2使用地域(移動先:現地)の正確な計時情報をディジタル情報として出力できるディジタル時計と、そのディジタル情報をカメラのフィルムに写し込むための写し込みデータに変換して前記フィルムに写し込む写し込み手段と、を備えるので、計時情報差(日時差等)のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報を写真に写し込むことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、まず、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るディジタル時計を適用した腕時計について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】図1および図2に示すように、この腕時計1は、計時回路10と、表示LCD2と、計時回路10からの出力情報に基づいて表示LCD2を駆動するLCDドライバ5と、計時回路10内の基準日時を調整するための基準日時調整スイッチ(計時情報調整手段)SAと、日時差を設定する日時差設定スイッチ(計時情報差設定手段)SDと、電池からの電力を各部に分配する電源回路9とを備えている。ここで、計時回路10と、LCDドライバ5と、電源回路9とが同一のIC20内に収容されて腕時計1に搭載される。
【0031】なお、本実施形態のディジタル時計W1は、計時回路10、基準日時調整スイッチSA、および、日時差設定スイッチSDとを備えた部分である。ここで、基準日時調整スイッチSAは、一般的ないわゆる時刻合わせ用のスイッチであり、例えばユーザが日本を本拠地とする場合、電池交換等の際の日時等の初期設定その他、必要なときに、時計の日時(年、月、日を含む日付および時、分、秒を含む時刻など)を、操作手順に従って順番に、日本(第1使用地域)の基準時刻に合わせるのに使用する。
【0032】一方、日時差設定スイッチSDは、中央にゼロ設定が配設され、1時間単位の12時間増から12時間減まで、すなわちプラスマイナス12時間の範囲の1時間単位の選択肢のいずれかを時刻差(時差)として選択できるダイヤル式のスイッチである。世界各国の主な基準時刻の時差は、1時間単位で定まっているのが普通なので、ユーザは、基準日時の異なる外国等(時差の異なる地域:第2使用地域)に旅行(移動)した場合、日時差設定スイッチSDのダイヤルを1時間単位のステップで回転させるだけの簡易な操作で、時差を選択・設定できる。また、中央のゼロ設定は、移動先から日本に帰ってきたときにゼロに合わせるだけで、移動先で設定した日時差をキャンセルする(ゼロにする)ことにより、表示時刻を日本(第1使用地域)の基準に戻すためのものである。
【0033】基準日時調整スイッチSAや日時差設定スイッチSDからの設定値(設定データ)は計時回路10に入力される。計時回路10は、図示のように、腕時計1内の各部を制御する制御回路11と、制御回路11からの指令により基準日時調整スイッチSAや日時差設定スイッチSD等の周辺回路とインタフェースを行うインタフェース回路12と、水晶発振器を有して基本クロックやその分周信号を各部に分配する発振・分周回路14と、制御回路11からの計時情報をLCD用にデコードしてLCD用のディジタル情報(ここではLCD用のキャラクタデータまたはセグメントデータの情報を2値表現したコードデータ)として出力するデコーダ13と、を備えている。
【0034】制御回路11は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM等を有する他、計時カウンタを有し、互いに内部バスにより接続されている。ROMは、CPUで処理する制御プログラム、各種モード設定用の制御データ、LCD表示用のキャラクタデータ等を記憶している。RAMは、各種モード設定のフラグ等のために使用される各種レジスタ群の他、前述の基準日時調整スイッチSAや日時差設定スイッチSDからの設定データを読み込み、計時カウンタにセットしたり、それらの基づいてデコーダ13に出力する計時情報を作成するなどのための作業エリアとして使用される。
【0035】計時カウンタは、年、月、日、時、分、秒等をそれぞれ担当するレジスタ群、それぞれのアップ/ダウンカウント用のインクリメント/デクリメント回路、およびそれらのセット/リセット信号生成用のデコーダ回路等から成り、全体としていわゆる時計機能を担当するものである。そして、CPUは、上記の構成により、ROM内の制御プログラムや制御データに従って、RAM内の各種データや計時カウンタのカウント値を処理し、LCD用データを作成するなど、腕時計1全体を制御している。
【0036】ここで、基準日時調整スイッチSAや日時差設定スイッチSDからの設定データに基づいて計時情報を作成するには、大別して2つの方法がある。1つは、基準日時が調整された時点を初期状態として、その後、基本的には、基準日時(すなわち第1使用地域の日時)を計時カウンタでカウントしておき、その出力に対して日時差設定スイッチSDの設定による日時差を加減算して、計時情報として出力する方法である。他の1つは、日時差が設定された時点で、その時点での計時カウンタの値と加減算してその結果を計時カウンタにセットし、基本的に、日時差を含む日時(すなわち第2使用地域の日時)を計時カウンタでカウントし、それを計時情報としてそのまま出力する方法である。すなわち、前者は基準日時をカウントして出力において日時差を盛り込む方法、後者は日時差をセットする毎にカウント内容をそれに合わせて変えてそれをそのまま出力する方法であるが、ここではいずれの方法も採用できる。
【0037】制御回路11では、上述のいずれの方法を採用した場合も、日時差(計時情報差)が設定されたときに、その計時情報差に基づいて第2使用地域における計時情報を求めて出力し、計時回路10では、デコーダ13において制御回路11からの計時情報をLCD用のデータに変換(デコード)して出力する。このため、第1使用地域と計時情報差(時差等)のある第2使用地域に移動しても、基準日時調整スイッチSAに頼ることなく、日時差設定スイッチSDにより計時情報差を設定する簡易な操作だけで、その計時情報差(日時差等)を解消して、第2使用地域の正確な計時情報をディジタル情報として出力できる(ディジタル出力できる)。
【0038】また、腕時計1では、LCDドライバ5において計時回路10からの計時情報のLCD用のデータに基づいて表示LCD2を駆動し、視認可能な計時情報に変換して表示する。これにより、計時情報差(日時差等)のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報をその表示により把握できる。また、日時差設定スイッチSDのダイヤルの設定位置は、計時情報差としてゼロ以外が設定されていることを報知するので、ユーザは、第1使用地域以外の基準に合わせた計時情報が表示(ディジタル出力)されていることを簡単に把握できる。
【0039】例えば図3に示すように、ユーザは、通常使用(例えば日本(第1使用地域)で使用)の地域時間を使用している状態(A10)から、時差のある地域(例えば外国(第2使用地域))に移動したときには(A11)、その時差の情報を取得し(A12)、日時差設定スイッチSDのダイヤルを操作してその移動先に合った時差を設定する(A13)だけで、その移動先の地域にいる間、その移動先の現地時間に基づいて行動できる(A14)。また、移動先から戻ったときには(A15)、日時差設定スイッチSDのダイヤルを操作してゼロ設定に戻すだけで、基準時間(第1使用地域の使用時間:第1使用地域の現地時間)に戻すことができる(A16)。すなわち、時差のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差(日時差等)を解消して、現地の正確な計時情報をその表示により把握して行動できる。
【0040】次に、本発明の第2実施形態に係るディジタル時計を適用したカメラ用データ写し込み装置(以下単に「写し込み装置」)について説明する。
【0041】図4に示すように、この写し込み装置50に適用したディジタル時計W2は、図1で前述のディジタル時計W1の計時回路10を計時回路15に置き換えたものであり、計時回路15は、計時回路10の制御回路11を制御回路16に置き換えたものなので、基本的には、制御回路16のみが異なる。この制御回路16は、前述の制御回路10と同様に、日時差(計時情報差)が設定されたときに、その計時情報差に基づいて第2使用地域における計時情報を求めて出力するのに加えて、図外のシャッタスイッチと接続され、シャッタスイッチが操作されたときに、写し込み用のタイミング信号を出力する。
【0042】写し込み装置50は、図4および図5に示すように、上述のディジタル時計W2の他、モニタLCD3と、写し込みLCD4と、ディジタル時計W2の制御回路16の指令によりこれらのLCDを駆動するLCDドライバ6と、ランプ8と、制御回路16の指令によりそのランプ8を駆動するランプドライバ7と、を備えている。ここで、計時回路15と、LCDドライバ6と、ランプドライバ7と、電源回路9とが同一のIC30内に収容されてカメラ100内の基板に搭載され、基準日時調整スイッチSAの他、ダイヤル式で時刻差を1時間単位で設定できる日時差設定スイッチSDが裏蓋表面に設けられている。写し込みLCD4は、フィルムに写し込む写し込みデータを反映させたいわゆるマスクの役目を果たし、制御回路16から出力されるタイミング信号に基づいてランプドライバ7がランプ8を所定時間点灯させることにより、写し込みLCD4の内容がフィルムに写し込まれる。
【0043】上述のように、ディジタル時計W2は、図1のディジタル時計W1と基本的な構成が同じなので、第1使用地域と計時情報差(時差等)のある第2使用地域に移動しても、基準日時調整スイッチSAに頼ることなく、計時情報差を設定する簡易な操作だけで、計時情報差(日時差等)を解消して、第2使用地域の正確な計時情報をディジタル出力、すなわち制御回路16からの計時情報をLCD用のデータに変換(デコード)して出力できる。
【0044】そして、写し込み装置50は、上述のディジタル時計W2と、そのLCD用のデータを写し込みデータに変換して(カメラのフィルムに写し込むための写し込みマスクとして)フィルムに写し込む写し込み手段(LCDドライバ6,ランプドライバ7、写し込みLCD4、ランプ8)を備えるので、計時情報差(日時差等)のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報を写真に写し込むことができる。なお、モニタLCD3は、写し込みデータの視認による確認を必要としない場合には省略することもできる。また、LCDドライバ6は、駆動するLCDが2個である以外は、図1のLCDドライバ5と同一機能のものであり、このため、モニタLCD3を省略する場合には、LCDドライバ5と同一のものでも良い。
【0045】ところで、上述の第1、第2実施形態のディジタル時計W1、W2およびそれらを備えた腕時計1や写し込み装置50では、ダイヤル式で時刻差を1時間単位で設定できる日時差設定スイッチSDを採用したが、日付のみ写し込むような写し込み装置などでは、日付のみ正確に調整できれば良いものもある。
【0046】例えば図6(a)に示すように、第3実施形態に係るディジタル時計を備えた写し込み装置150を内蔵するカメラ200では、日付差のみ設定できる日時差設定スイッチSD2がその裏蓋表面に設けられている。この日付差設定スイッチSD2は、中央にゼロ設定が配設され、1日増から1日減まで、すなわちプラスマイナス1日の選択肢のいずれかを日付差(日差)として選択できるスライド式のスイッチである。ユーザは、日付差設定スイッチSD2のスイッチをスライドさせて選択肢を選択するという簡易な操作で、日付差を選択・設定して日付差を解消できる。
【0047】例えば図7に示すように、ユーザは、通常使用(第1使用地域で使用)の地域の日付を使用している状態(A20)から、日付差のある地域(第2使用地域)に移動したときには(A21)、モニタLCD3(これを省略したときには日時差設定スイッチSD2の位置)により日付を確認し(A22)、移動先に適合していないときには(A22:NG)、日時差設定スイッチSDをスライド操作してその移動先に合った日付に変更し(A23)、適合しているときには(A22:OK)、その移動先の地域にいる間、その移動先の現地時間に適合した日付を写真に写し込む(A24)。そして、移動先から戻ったときには(A25)、日時差設定スイッチSDをスライドしてゼロ設定に戻すだけで、(第1使用地域の)基準日付に戻すことができる(A26)。すなわち、日付差のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差(日時差等)を解消して、現地の正確な計時情報をその表示により把握して行動できる。
【0048】なお、日付差を設定する日時差設定スイッチとしても、上述のスライド式ばかりでなく、図6(b)に示すように、図2や図5で前述の時刻差設定と同様のダイヤル式を用いても良い。また、例えば計時情報差としてゼロ以外が設定されていることをインジケータ用のLED等により報知するようにすれば、ユーザは、第1使用地域以外の基準に合わせた計時情報がディジタル出力されていることを簡単に把握できる。
【0049】また、複数の第2使用地域を想定した設定ばかりでなく、例えば第1使用地域は日本、第2使用地域はイギリスなどのように、頻繁に旅行する旅行先が1国に定まっている場合には、押した状態で日本、引いた状態でイギリスなど、プッシュプル方式などでも良い。その他にも、旅行先が少ない国数(例えば2〜3国程度)に定まっている場合には、その旅行先のみ予め設定しておけるようなタイプでも良いし、あるいはそのための特別仕様にしても良い。
【0050】また、例えば図8に示すように、第4実施形態に係るディジタル時計を備えた写し込み装置を内蔵するカメラ300では、裏蓋表面に世界地図が描かれ、その世界地図上の主要都市の位置に、各主要都市と日本(第1使用地域)との計時情報差(日差、時差)を設定するためのスイッチボタンが設けられていて、いずれかのスイッチボタンを押すと、そのスイッチボタンが押された状態で維持(ロック)され、再度押して戻すまでの間、その主要都市と日本との計時情報差が設定される。
【0051】このため、移動先の基準と同じ基準の主要都市の位置にあるスイッチを操作するだけで、計時情報差を簡易に設定してそれを解消し、第2使用地域(現地)の正確な計時情報(ディジタル情報)に基づいて写真に写し込むことができる。また、単に再度押すだけで元に(日本用に)戻すことができる。また、計時情報差が設定されている間、スイッチボタンが押された状態で維持される(ロックされている)ので、設定されている計時情報差に対応する主要都市を報知するタイプのスイッチとなる。すなわち、押されているスイッチ位置を見るだけで、ユーザは、設定されている計時情報差およびそれが現在位置に適合しているか否かを簡単に把握できる。
【0052】また、例えば図9に示すように、第5実施形態に係るディジタル時計を備えた腕時計1aでは、表示LCD2aの外周部に、計時情報差(図示では時刻差)を示す数値が刻印されたダイヤル式の日時差設定スイッチSDaが設けられている。この場合、内周部の所定位置(図中の黒三角)にダイヤル側の数値を合わせることにより、計時情報差(図示では時刻差)を容易に設定できる。これにより、計時情報差(日時差等)のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報をその表示により把握でき、日時差設定スイッチSDaの設定位置により、第1使用地域以外の基準に合わせた計時情報が表示(ディジタル出力)されていることを簡単に把握できる。
【0053】なお、図5や図6(b)に図示のダイヤル式の日時差設定スイッチSD、SD3としても、上述のタイプ(外周部を回転させて内周部の所定位置に合わせるタイプ)を使用できる。また、図8で上述の第4実施形態では、カメラ(の写し込み装置)に適用する例を挙げたが、腕時計の背面に小さな世界地図を描き、ペン先等で押せるスイッチ等にすれば、同様の適用ができる。また、特定の少数の国を第2使用地域として対象としたものにもできるし、そのような場合等では、世界地図も簡略化したものでも良い。すなわち、腕時計も写し込み装置もそれらに備えるディジタル時計の機能は同等なので、一方に適用できたものは基本的に他方にも適用できる。
【0054】また、この種のディジタル時計を内蔵して利用するような各種の装置にも適用でき、特に旅行先に携帯するようなもの、例えば懐中時計、携帯電話、ページャなどに対して適用するのは有益である。もちろん、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0055】
【発明の効果】上述のように、本発明のディジタル時計並びにそれを備えた腕時計およびカメラ用データ写し込み装置によれば、日付や時間などの計時情報に差のある地域に移動しても、簡易な操作で計時情報差を解消して、現地の正確な計時情報を把握し、あるいは写真に写し込むことができる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るディジタル時計およびそれを備えた腕時計のブロック図である。
【図2】図1の実施形態に係る腕時計の外観斜視図である。
【図3】移動先で時差を修正する場合の典型的なアクションのフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るディジタル時計およびそれを備えた写し込み装置のブロック図である。
【図5】図4の写し込み装置を内蔵するカメラの背面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るディジタル時計を備えた写し込み装置を内蔵するカメラの背面図である。
【図7】移動先で日付を修正する場合の典型的なアクションのフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態に係るディジタル時計を備えた写し込み装置を内蔵するカメラの背面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るディジタル時計を備えた腕時計の正面図である。
【符号の説明】
1、1a …… 腕時計
5、6 …… LCDドライバ
10、15 …… 計時回路
50、150、160 …… 写し込み装置
SA、SA2 …… 基準日時調整スイッチ
SD、SD2、SD3、SD4、SDa …… 日時差設定スイッチ
W1、W2 …… ディジタル時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】 日付および時刻の少なくとも一方を含む計時情報を求めるための計時を行うとともに、その計時結果に基づく前記計時情報をディジタル情報として出力する計時手段と、任意の時点でその時点の前記計時情報を第1使用地域の基準に合わせて調整する計時情報調整手段と、を備えたディジタル時計であって、第2使用地域の前記第1使用地域に対する計時情報の差である計時情報差を設定する計時情報差設定手段をさらに備え、前記計時手段は、前記計時情報差が設定されたときに、その計時情報差に基づいて前記第2使用地域における計時情報を求めて、前記ディジタル情報として出力することを特徴とするディジタル時計。
【請求項2】 前記計時情報差設定手段は、12時間増から12時間減までの選択肢のいずれかを時刻差として設定可能な時刻差設定手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のディジタル時計。
【請求項3】 前記時刻差設定手段は、等間隔のステップで回転可能なダイヤル式スイッチであることを特徴とする、請求項2に記載のディジタル時計。
【請求項4】 前記時刻差設定手段は、等間隔のステップで切換可能な切換スイッチであることを特徴とする、請求項2に記載のディジタル時計。
【請求項5】 前記計時情報差設定手段は、1日増および1日減を含む日付差の選択肢のいずれかを日付差として設定可能な日付差設定手段を有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のディジタル時計。
【請求項6】 前記計時情報差として設定可能な選択肢に前記計時情報差がゼロの選択肢が含まれることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のディジタル時計。
【請求項7】 前記計時情報差設定手段により前記計時情報差としてゼロ以外が設定されていることを報知する計時情報差設定報知手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載のディジタル時計。
【請求項8】 前記計時情報差設定手段は、描画された世界地図上の主要都市の位置に、各主要都市と前記第1使用地域との計時情報差を設定するためのスイッチを有することを特徴とする、請求項1に記載のディジタル時計。
【請求項9】 前記計時情報差設定手段により設定されている前記計時情報差に対応する主要都市を報知する計時情報差設定都市報知手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項8に記載のディジタル時計。
【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載のディジタル時計と、前記ディジタル情報を視認可能な計時情報に変換して表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする腕時計。
【請求項11】 請求項1ないし9のいずれかに記載のディジタル時計と、前記ディジタル情報をカメラのフィルムに写し込むための写し込みデータに変換して前記フィルムに写し込む写し込み手段と、を備えたことを特徴とするカメラ用データ写し込み装置。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−264468(P2001−264468A)
【公開日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−74112(P2000−74112)
【出願日】平成12年3月16日(2000.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】