ディスクの引込み装置
【課題】光ディスクをその最大外形の位置まで押込むことなく、少しだけ挿入しただけで光ディスクが自動的に引込まれるようにし、しかも排出の際にも光ディスクが飛出さないようにした光ディスクプレーヤ。
【解決手段】光ディスク92の引込みの最初の状態においては、引込みレバー78上の駆動輪82と光ディスクの外周面との間の摩擦力によって滑り止めゴム17上を転動させるようにして光ディスク92を引込む。そしてチャッキング位置の手前において、モータ62の駆動力がピニオン65およびラック61によって移動されるスライド板50の摺動動作を利用し、コントロールレバー86によって引込みレバー78を回動させるとともに、上記スライド板の摺動動作に連動して切換えレバー70を回動させて伝達歯車73を歯車列64中の中間ギヤから離間させて上記駆動輪に対する駆動力を遮断し、駆動輪をコロとして引込みの最終動作を行なうようにする。
【解決手段】光ディスク92の引込みの最初の状態においては、引込みレバー78上の駆動輪82と光ディスクの外周面との間の摩擦力によって滑り止めゴム17上を転動させるようにして光ディスク92を引込む。そしてチャッキング位置の手前において、モータ62の駆動力がピニオン65およびラック61によって移動されるスライド板50の摺動動作を利用し、コントロールレバー86によって引込みレバー78を回動させるとともに、上記スライド板の摺動動作に連動して切換えレバー70を回動させて伝達歯車73を歯車列64中の中間ギヤから離間させて上記駆動輪に対する駆動力を遮断し、駆動輪をコロとして引込みの最終動作を行なうようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクの引込み装置に係り、とくにディスクの外周部に回転体を押当てて前記ディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)等の光ディスクを用いて記録再生を行なう場合には、上記光ディスクをプレーヤの所定の装着位置に引込み、ターンテーブルによって回転させながら上記ディスクに対して半径方向に移動自在な光ピックアップを用いて信号の読書きを行なう。従ってこのような光ディスクプレーヤは、その記録再生のために、所定の記録再生位置に引込まなければならない。
【0003】
一般的な光ディスクの引込み装置は、トレー式の装置であって、トレー上の凹部に光ディスクを載置し、この状態でトレーを引込むことにより、光ディスクが演奏位置に移動される。このようなトレー式の引込み装置は、光ディスクよりも一回り大きなトレーを用いるために、ディスクプレーヤの大きさが大きくなる欠点がある。
【0004】
このような欠点を克服するために、スロットイン方式の光ディスクプレーヤが提案されている。スロットイン方式は、挿入口に光ディスクを挿入して途中まで押込むと、その後に内部の引込み装置が光ディスクを自動的に引込んで記録再生位置に装着するようにしている。このような装置は、光ディスクの挿入の操作数が少なくなるとともに、トレーを用いない分だけスペースが小さくなる。またトレー式に比べて記録再生装置の姿勢の自由度が向上することになる。
【0005】
ところが従来のスロットイン方式は、原則的に回転自由なコロを用いてディスクを引込むように構成されていたために、スロット内へのディスクの出入れの動作に難点を有する欠点がある。また挿入の際は、ディスクの最大外形がコロの設置ラインを通過するところまでディスクを手動で押込まないと、ディスクが正しくローディングできない欠点がある。また光ディスクを排出する際にも、ディスクに勢いがついて飛出してしまう欠点がある。
【0006】
特開2005−85342号公報には、再生する光ディスクが挿入されるディスク挿入口と、ディスク挿入口から挿入された光ディスクを搬送する搬送機構とを備え、搬送機構は、光ディスクの搬送方向と同方向に離間して設けられ、搬送する光ディスクの外周面に接触し回転して回転して光ディスクを搬送する搬送ローラと、搬送ローラが取り付けられる搬送部材と、搬送ローラ間の搬送部材に設けられ、各搬送ローラを搬送する光ディスクの外周面に対して近接離間する方向に移動させる回動支点部と、搬送部材を搬送する光ディスクの外周面の方向に付勢する引っ張りコイルバネとを有し、搬送するディスクが汚損されるのを防止するようにしている。
【0007】
このような構成のディスクの引込み装置は、搬送部材上にディスクを両側から挟むように一対の搬送ローラを配する構造にしているために、構造が非常に複雑になる欠点がある。また搬送部材を設けなければならないことから、スペース的にも必ずしもコンパクトに構成することができない。
【特許文献1】特開2005−85342号公報
【特許文献2】特開2005−174441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の課題は、トレーを用いることなく、光ディスクを記録再生位置へ確実に引込むことができるようにしたスロットインタイプのディスクの引込み装置を提供することである。
【0009】
本願発明の別の課題は、光ディスクの最大径が引込み用回転体を通過する位置まで手動で押込むことを必要としないようにしたディスクの引込み装置を提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の課題は、ディスクの排出の際に、ディスクが飛出すことがないようにしたディスクの引込み装置を提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の課題は、より小型化が可能なディスクの引込み装置を提供することである。
【0012】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の主要な発明は、ディスクの外周部に回転体を押当てて前記ディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置において、
前記回転体を回転自在に支持した引込みレバーと、
前記回転体に対して回転駆動力を伝達する回転駆動手段と、
前記回転体に対する回転駆動力の伝導と遮断とを切換える切換え手段と、
を有し、前記回転体に対して回転駆動力を伝達して該回転体と前記ディスクとの間の摩擦力により前記ディスクを途中まで引込み、前記ディスクが所定の位置まで引込まれたら前記切換え手段によって前記回転体に対する回転駆動力の伝達を遮断して前記回転体を自由な状態にして、前記引込みレバーの移動によって前記ディスクを引込むようにしたことを特徴とするディスクの引込み装置に関するものである。
【0014】
ここで、駆動ギヤと噛合うラックを有するスライド板を備え、該スライド板の摺動に連動して前記切換え手段による回転駆動力の遮断と、前記引込みレバーの移動による前記ディスクの引込み動作とが行なわれてよい。また前記引込みレバーが前記スライド板の摺動に連動してコントロールレバーを介して回動し、前記引込みレバーに支持された回転体によって前記ディスクを引込むようにしてよい。また前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されて該コントロールレバーが回動し、該コントロールレバーの回動運動を前記引込みレバーに伝達して前記ディスクの引込み動作を行なうようにしてよい。また前記切換え手段が切換えレバーから構成され、前記スライド板の摺動に連動して回動し、前記引込みレバー上の回転体に対する駆動力の伝達を遮断してよい。また前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されるとともに、前記切換えレバーの係合孔に係合し、前記コントロールレバーが回動すると前記切換えレバーが連動して回動してよい。またディスクの他側端側が滑り止め部材に押付けられた状態で前記ディスクの一側端が前記回転体によって引込まれるようにしてよい。
【0015】
本願発明の好ましい態様は、スロットインスリムタイプのディスクドライブにおいて、ディスクスロット内より出入れする機構に、搬送ゴムローラ等の積極的な回転駆動手段を用いるようにし、これによって、ディスクの先端をスロットインしただけでローディングできるようにしたオートローディング機構に関するものである。
【0016】
このようなスロットインタイプのディスクの引込み装置は、ローディング方向の姿勢について、縦横を選ばないので、レイアウトフリーなディスクドライブを提供することができる。また従来のこの種のタイプのディスクの引込み装置は、動作品位的な問題のために、ポータブル式のパソコンにその用途が限定されていた。これに対して本機構は、オートローディングが必要とされる車載セットや、高級品位感が必要とされるオーディオセット等にも搭載できるようなり、これによって車載セットやポータブルPC等の小型化およびデザインの特化が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本願の主要な発明は、ディスクの外周部に回転体を押当ててディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置において、回転体を回転自在に支持した引込みレバーと、回転体に対して回転駆動力を伝達する回転駆動手段と、回転体に対する回転駆動力の伝達と遮断とを切換える切換え手段と、を有し、回転体に対して回転駆動力を伝達して該回転体とディスクとの間の摩擦力によりディスクを途中まで引込み、ディスクが所定の位置まで引込まれたら切換え手段によって回転体に対する回転駆動力の伝達を遮断して回転体を自由な状態にして、引込みレバーの移動によってディスクを引込むようにしたものである。
【0018】
従ってこのようなディスクの引込み装置によると、このディスクの引込み工程の途中までは、積極的に回転駆動される回転体とディスクとの間の摩擦力によってディスクが引込まれ、その後に自由な状態になっている回転体を保持した引込みレバーの移動によってディスクを引込むことが可能になり、このために安定的かつ確実にディスクが引込まれるとともに、ディスクの最大外形まで手動でディスクを押込む必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1および図2に示すように、この光ディスクプレーヤは、偏平な外筐95を備えている。外筐95の前面側はフロントパネル96から構成されている。そしてフロントパネル96には横長のスリット状の挿入口97が形成され、この挿入口97に対して光ディスク92を挿入すると、自動的に引込まれるようになっている。なおとくに図2に示すように、外筐95はその右側端側の下側の部分が凹部98になっており、この凹部98によって右側端の部分の外筐95の厚さが薄くなっており、いわゆるスリムドライブタイプのディスクプレーヤを構成している。
【0020】
次にこのようなディスクプレーヤの内部構造を、とくに図3を参照して説明する。このディスクプレーヤはシャーシ10を備え、このシャーシ10上にベースユニット11が昇降自在に取付けられる。すなわちベースユニット11は図3において下端側の部分に一対の支持部12を備え、この支持部12を回動支点として昇降動作するようになっており、他端側に設けられているピン13が昇降カム14のカム部15によって昇降されるようになっている(図10参照)。そしてベースユニット11上には、円形のターンテーブル16が配され、このターンテーブル16上に光ディスク92を引込んで回転させるようにしている。また上記シャーシ10の一側端であってベースユニット11の側部には滑り止めゴム17が配される。
【0021】
上記ベースユニット11上には、横側蹴出しレバー20が配され、この横側蹴出しレバー20がシャーシ10上の支点ピン21によって回動自在に支持される。そして横側蹴出しレバー20は巻ばね22によって時計方向に回動付勢される。また横側蹴出しレバー20の先端部にはコロ23が載置される。
【0022】
上記横側蹴出しレバー20に隣接して、シャーシ10上にはトリガレバー24が配される。トリガレバー24はその先端側が傾斜部25に構成されるとともに、一対の長孔26を備えている。そしてこれらの長孔26はシャーシ10上に植設されたピン27と係合される。またばね28によって、トリガレバー24は図3において右斜め上方に付勢される。
【0023】
上記トリガレバー24の先端側に交差するようにコロ逃がしスライダ32が配される。コロ逃がしスライダ32は長孔33を備え、この長孔33にピン34と上述のトリガレバー24の長孔26に係合するピン27とが係合される。またコロ逃がしスライダ32はばね35によって図3中右方に摺動付勢されている。
【0024】
上記コロ逃がしスライダ32の近傍にはさらにコロ逃がしレバー39が配され、シャーシ10に植設された支点ピン40によって回動自在に支持される。しかもこのコロ逃がしレバー39はピン41を備え、このピン41が上述のトリガレバー24の先端部で押圧されるようになっている。またコロ逃がしレバー39はその先端部に係合孔42を備えている。
【0025】
上記コロ逃がしレバー39の上側には、重合うように蹴出しレバー43が配されている。蹴出しレバー43はシャーシ10に植設された支点ピン44によって回動自在に支持されるとともに、巻ばね45によって時計方向に回動付勢されており、しかもこの蹴出しレバー43の先端部にコロ46が取付けられている。
【0026】
シャーシ10上にはまた、スライド板50が摺動自在取付けられている。そしてスライド板50の先端部に植設されたピン51が上記コロ逃がしレバー39の係合孔42に係合している。またスライド板50にはL字孔52が形成されている。L字孔52は伝達レバー53に植設されたピン54を受入れている。伝達レバー53はシャーシ10上に植設された支点ピン55によって回動自在に支持されるとともに、巻ばね56によって時計方向に回動付勢されている。そしてこの伝達レバー53に植設されたピン57が上記昇降カム14に係合されている。
【0027】
スライド板50には異形の開口60が形成されるとともに、図3において下端側の左側部にラック61が形成されている。またシャーシ10上にはモータ62が取付けられ、このモータ62の出力軸にウオームホイール63が固着されている。ウオームホイール63は歯車列64を介してピニオン65と伝動されるようになっている。そしてピニオン65が上記スライド板50のラック61に噛合うようになっている。またシャーシ10上には光学センサ66が取付けられる。
【0028】
上記スライド板50の下側であってシャーシ10上には切換えレバー70が配される。この切換えレバー70はシャーシ10上の固定ピンから成る支点ピン71によって回動自在に支持されるとともに、異形の係合孔72を備えている。また先端部には伝達歯車73が取付けられており、しかもこの伝達歯車73と同軸状にプーリ74が設けられている。プーリ74にはベルト75の一端が掛渡されている。
【0029】
上記切換えレバー70およびスライド板50の上側には引込みレバー78が配されている。引込みレバー78は一端にプーリ79を保持しており、このプーリ79の支軸が支点ピン80になっている。すなわち引込みレバー78は支点ピン80によって回動自在に支持されている。そして、プーリ79にベルト75の他端が掛渡されている。また、引込みレバー78上には歯車列81が設けられ、この歯車列81の端部に駆動輪82が取付けられている。また引込みレバー78には円弧状の長孔83が形成されている。
【0030】
上記切換えレバー70およびスライド板50の上側に重合うように、コントロールレバー86が配されている。このコントロールレバー86は、シャーシ10の切起こし部分(図示せず)に植設された支点ピン87によって回動自在に支持されるとともに、一対の係合ピン88、89が植設されている。一方の係合ピン88が上記スライド板50の異形の開口60と切換えレバー70の係合孔72とに係合されている。これに対してコントロールレバー86の他方の係合ピン89は上記引込みレバー78の円弧状の長孔83に係合されている。
【0031】
次に、以上のような構成に成るディスクプレーヤによる光ディスク92の引込み動作を説明する。図1に示すように、フロントパネル96のスリット状の挿入口97を通してこのディスクプレーヤの外筐95内に光ディスク92の先端部を挿入する。光ディスクの一部が図4に示すように外筐95の一部に挿入されると、光学センサ66が光ディスク92を検出し、これによってモータ62が回転する。モータ62の回転はウオームホイール63および歯車列64に伝達される。歯車列64中の中間の歯車が切換えレバー70の先端部に取付けられている伝達歯車73に噛合っているために、この歯車73が回転駆動される。歯車73の回転は、プーリ74およびベルト75を介して反対側のプーリ79に伝達される。そしてこのプーリ79の回転が歯車列81を介して駆動輪82に伝達されるこのために駆動輪82が図4において時計方向に回転駆動される。
【0032】
上述のように引込みレバー78上の駆動輪82が時計方向に回転駆動されると、この駆動輪82と光ディスク92の外周面との間の摩擦力によって、光ディスク92は反時計方向に回転する力を受け、このために光ディスク92はベースユニット11の左側に配されている滑り止めゴム17上を転動しながら引込まれていくことになる。図5に示す位置まで光ディスク92が引込まれると、この光ディスク92の先端側の部分が横側蹴出しレバー20の先端部に取付けられているコロ73を押すことになる。すると横側蹴出しレバー20のピン29がトリガレバー24の傾斜部25を押圧する。このためにトリガレバー24が図5に示すように右斜め上方に移動し、これによってこのトリガレバー24の先端側の部分がコロ逃がしレバー39上のピン41を押圧する。従ってコロ逃がしレバー39が支点ピン40を中心として時計方向に回転駆動される。
【0033】
上述の如く、このコロ逃がしレバー39の先端側の係合孔42がスライド板50の先端部に植設されたピン51を受入れている。従ってスライド板50は上記コロ逃がしレバー39の支点ピン40を中心とする時計方向への回動によって、図5において下方に押される。するとこのスライド板50に設けられているラック61が歯車列64の終端のピニオン65に噛合う。従ってスライド板50はモータ62によって、ウオームホイール63、歯車列64、およびピニオン65を介して駆動され、これによってこのスライド板50が図5において下方に移動される。
【0034】
スライド板50には、とくに図6に拡大して示すように、異形の開口60が形成されており、スライド板50の図5における下方への摺動によって、コントロールレバー86に植設されている係合ピン88がこのスライド板50の異形の開口60内を相対的に図6に示すように上方へ移動するとともに、この移動の際に図5および図6において左方に変位する。このためにコントロールレバー86は支点ピン87を中心として図7に示すように時計方向に回動される。このコントロールレバー86の先端部に設けられている係合ピン89が引込みレバー78の長孔83に係合している。従ってコントロールレバー86の支点ピン87を中心とする時計方向の回動によって、引込みレバー78が図7に示すように支点ピン80を中心として時計方向に回動され、この引込みレバー78に設けられている駆動輪82が光ディスク92を押込むことになる。なおこのときには、後述するように駆動輪82は積極的に駆動されておらず、引込みレバー78の回転に伴う変位によって駆動輪82が光ディスク92を引込むことになる。
【0035】
上記コントロールレバー86のピン88はスライド板50の異形の開口60および切換えレバー70の係合孔72に係合されている。ここで切換えレバー70の係合孔72は図8に拡大して示すように屈曲されており、コントロールレバー86が、引込みレバー78を回動させるために、支点ピン87を中心として時計方向に回動すると、上記係合ピン88が図8Aに示す位置から図8Bに示す位置に移動する。すなわち係合ピン88は図8において切換えレバー70の係合孔72内を相対的に左方に移動することになり、このような移動動作によって、図8Bおよび図9に示すように、支点ピン71を中心として反時計方向に回動される。上述の如く切換えレバー70の先端部には伝達歯車73が取付けられている。従ってこの切換えレバー70の支点ピン71を中心とする反時計方向への回動によって、伝達歯車73が歯車列64中の中間歯車から離れる。このことはモータ62からの駆動力の伝達が遮断されることを意味する。すなわちコントロールレバー86の回動動作に連動して、切換えレバー70が反時計方向に回動されて駆動力の伝達の遮断が行なわれる。従ってこの段階以降は、上記駆動輪82が単なるコロとして機能するようになり、駆動輪82が引込みレバー78の回転駆動に伴う力を光ディスク92に伝達する機能を果たすことになる。すなわち光ディスク92は上記駆動輪82の押圧力のみによって押込まれることになる。
【0036】
図9に示すように、光ディスク92がターンテーブル16上に引込まれたところで、横側蹴出しレバー20とコロ逃がしレバー39の回動運動が停止する。ところがこの時点においてはまだスライド板50のラック61が歯車列64の終端のピニオン65と噛合っているために、スライド板50はさらに下方に移動される。するとこのスライド板50に設けられているL字孔52に係合されている伝達レバー53のピン54によって、この伝達レバー53が図9および図11に示すように、支点ピン55を中心として時計方向に回動される。するとこの伝達レバー53によって昇降カム14が図11に示すように右方に移動される。従ってベースユニット11のピン13が図10に示す昇降カム14のカム部15の左端側に移動する。従ってベースユニット11は支持部12を中心としてターンテーブル16側が持上がるようになり、このために光ディスク92は外筐95の天板の内側に設けられている押さえとターンテーブル16とによって狭着されてチャッキングが終了する。
【0037】
上述のような昇降カム14の動作によってチャッキング動作が行なわれた後も、スライド板50は依然として図11に示すように下方に移動される。従ってこのようなスライド板50の移動によって、その異形の開口60の周縁部でピン88を押圧するために、コントロールレバー86がさらに支点ピン87を中心として反時計方向に回動される。従ってこのコントロールレバー86の回動運動に連動して、引込みレバー78が支点ピン80を中心として反時計方向に回動される。これによって駆動輪82が光ディスク92の外周から離間する。また上記スライド板50の図11における下方への移動によって、コロ逃がしレバー39が支点ピン40を中心としてさらに時計方向に回動されるために、このコロ逃がしレバー39上のピン105が蹴出しレバー43の切起こし部分を押して、この蹴出しレバー43を支点ピン44を中心として反時計方向に回動させる。従ってこのコロ逃がしレバー39の先端側のコロ46が光ディスク92から離間する。また上記コロ逃がしレバー39に植設されているピン106がコロ逃がしスライダ32を図11において左方へ押圧するために、このコロ逃がしスライダ32の先端側の部分が横側蹴出しレバー20上のピン107を押圧し、これによってこの横側蹴出しレバー20を支点ピン21を中心として反時計方向に回動させる。従って横側蹴出しレバー20の先端側のコロ23が光ディスク92の外周部から離間する。
【0038】
このように光ディスク92が完全に引込まれるとともに、駆動輪82およびコロ46、23から離間した状態において、ターンテーブル16が回転駆動されるために、これによって所定の記録および/または再生の動作が行なわれる。すなわちこの光ディスク92に対して半径方向に移動する光ピックアップによって信号の書込みあるいは読出しが行なわれる。
【0039】
光ディスク92の排出動作は上記の動作とは基本的に逆の動作になる。そしてその最初の工程において、昇降カム14の逆方向への移動によってベースユニット11の下降動作が行なわれる。このときにシャーシ10上に植設されている取外しピン102が光ディスク92の中心側の部分に当接し、これによってターンテーブル16から光ディスク92を引離すようにしている。
【0040】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明は、コンパクトディスク、DVD等の各種の光ディスクを用いる光ディスクプレーヤに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】光ディスクプレーヤに対する光ディスクの挿入動作を示す外観斜視図である。
【図2】光ディスクプレーヤの側面図である。
【図3】光ディスクプレーヤにおけるディスクの引込み装置を示す要部平面図である。
【図4】引込み開始の動作を示す要部平面図である。
【図5】光ディスクをほぼ半分引込んだ状態の平面図である。
【図6】スライド板の異形の開口の拡大平面図である。
【図7】光ディスクをほぼ引込んだ状態の要部平面図である。
【図8】切換えレバーの回動動作を示す要部平面図である。
【図9】光ディスクが完全に引込まれた状態の要部平面図である。
【図10】昇降カムによるチャックアップ動作を示す要部縦断面図である。
【図11】チャックアップ動作を完了した状態の光ディスクプレーヤの要部平面図である。
【符号の説明】
【0043】
10…シャーシ、11…ベースユニット、12…支持部、13…ピン、14…昇降カム、15…カム部、16…ターンテーブル、17…滑り止めゴム、20…横側蹴出しレバー、21…支点ピン、22…巻ばね、23…コロ、24…トリガレバー、25…傾斜部、26…長孔、27…ピン、28…ばね、29…ピン、32…コロ逃がしスライダ、33…長孔、34…ピン、35…ばね、39…コロ逃がしレバー、40…支点ピン、41…ピン、42…係合孔、43…蹴出しレバー、44…支点ピン、45…巻ばね、46…コロ、50…スライド板、51…ピン、52…L字孔、53…伝達レバー、54…ピン、55…支点ピン、56…巻ばね、57…ピン、60…異形の開口、61…ラック、62…モータ、63…ウオームホイール、64…歯車列、65…ピニオン、66…光学センサ、70…切換えレバー、71…固定ピン(支点)、72…係合孔、73…伝達歯車、74…プーリ、75…ベルト、78…引込みレバー、79…プーリ、80…支点ピン、81…歯車列、82…駆動輪、83…長孔、86…コントロールレバー、87…支点ピン、88、89…係合ピン、92…光ディスク、95…外筐、96…フロントパネル、97…挿入口、98…凹部、102…取外しピン、105、106、107…ピン
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクの引込み装置に係り、とくにディスクの外周部に回転体を押当てて前記ディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)等の光ディスクを用いて記録再生を行なう場合には、上記光ディスクをプレーヤの所定の装着位置に引込み、ターンテーブルによって回転させながら上記ディスクに対して半径方向に移動自在な光ピックアップを用いて信号の読書きを行なう。従ってこのような光ディスクプレーヤは、その記録再生のために、所定の記録再生位置に引込まなければならない。
【0003】
一般的な光ディスクの引込み装置は、トレー式の装置であって、トレー上の凹部に光ディスクを載置し、この状態でトレーを引込むことにより、光ディスクが演奏位置に移動される。このようなトレー式の引込み装置は、光ディスクよりも一回り大きなトレーを用いるために、ディスクプレーヤの大きさが大きくなる欠点がある。
【0004】
このような欠点を克服するために、スロットイン方式の光ディスクプレーヤが提案されている。スロットイン方式は、挿入口に光ディスクを挿入して途中まで押込むと、その後に内部の引込み装置が光ディスクを自動的に引込んで記録再生位置に装着するようにしている。このような装置は、光ディスクの挿入の操作数が少なくなるとともに、トレーを用いない分だけスペースが小さくなる。またトレー式に比べて記録再生装置の姿勢の自由度が向上することになる。
【0005】
ところが従来のスロットイン方式は、原則的に回転自由なコロを用いてディスクを引込むように構成されていたために、スロット内へのディスクの出入れの動作に難点を有する欠点がある。また挿入の際は、ディスクの最大外形がコロの設置ラインを通過するところまでディスクを手動で押込まないと、ディスクが正しくローディングできない欠点がある。また光ディスクを排出する際にも、ディスクに勢いがついて飛出してしまう欠点がある。
【0006】
特開2005−85342号公報には、再生する光ディスクが挿入されるディスク挿入口と、ディスク挿入口から挿入された光ディスクを搬送する搬送機構とを備え、搬送機構は、光ディスクの搬送方向と同方向に離間して設けられ、搬送する光ディスクの外周面に接触し回転して回転して光ディスクを搬送する搬送ローラと、搬送ローラが取り付けられる搬送部材と、搬送ローラ間の搬送部材に設けられ、各搬送ローラを搬送する光ディスクの外周面に対して近接離間する方向に移動させる回動支点部と、搬送部材を搬送する光ディスクの外周面の方向に付勢する引っ張りコイルバネとを有し、搬送するディスクが汚損されるのを防止するようにしている。
【0007】
このような構成のディスクの引込み装置は、搬送部材上にディスクを両側から挟むように一対の搬送ローラを配する構造にしているために、構造が非常に複雑になる欠点がある。また搬送部材を設けなければならないことから、スペース的にも必ずしもコンパクトに構成することができない。
【特許文献1】特開2005−85342号公報
【特許文献2】特開2005−174441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の課題は、トレーを用いることなく、光ディスクを記録再生位置へ確実に引込むことができるようにしたスロットインタイプのディスクの引込み装置を提供することである。
【0009】
本願発明の別の課題は、光ディスクの最大径が引込み用回転体を通過する位置まで手動で押込むことを必要としないようにしたディスクの引込み装置を提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の課題は、ディスクの排出の際に、ディスクが飛出すことがないようにしたディスクの引込み装置を提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の課題は、より小型化が可能なディスクの引込み装置を提供することである。
【0012】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の主要な発明は、ディスクの外周部に回転体を押当てて前記ディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置において、
前記回転体を回転自在に支持した引込みレバーと、
前記回転体に対して回転駆動力を伝達する回転駆動手段と、
前記回転体に対する回転駆動力の伝導と遮断とを切換える切換え手段と、
を有し、前記回転体に対して回転駆動力を伝達して該回転体と前記ディスクとの間の摩擦力により前記ディスクを途中まで引込み、前記ディスクが所定の位置まで引込まれたら前記切換え手段によって前記回転体に対する回転駆動力の伝達を遮断して前記回転体を自由な状態にして、前記引込みレバーの移動によって前記ディスクを引込むようにしたことを特徴とするディスクの引込み装置に関するものである。
【0014】
ここで、駆動ギヤと噛合うラックを有するスライド板を備え、該スライド板の摺動に連動して前記切換え手段による回転駆動力の遮断と、前記引込みレバーの移動による前記ディスクの引込み動作とが行なわれてよい。また前記引込みレバーが前記スライド板の摺動に連動してコントロールレバーを介して回動し、前記引込みレバーに支持された回転体によって前記ディスクを引込むようにしてよい。また前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されて該コントロールレバーが回動し、該コントロールレバーの回動運動を前記引込みレバーに伝達して前記ディスクの引込み動作を行なうようにしてよい。また前記切換え手段が切換えレバーから構成され、前記スライド板の摺動に連動して回動し、前記引込みレバー上の回転体に対する駆動力の伝達を遮断してよい。また前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されるとともに、前記切換えレバーの係合孔に係合し、前記コントロールレバーが回動すると前記切換えレバーが連動して回動してよい。またディスクの他側端側が滑り止め部材に押付けられた状態で前記ディスクの一側端が前記回転体によって引込まれるようにしてよい。
【0015】
本願発明の好ましい態様は、スロットインスリムタイプのディスクドライブにおいて、ディスクスロット内より出入れする機構に、搬送ゴムローラ等の積極的な回転駆動手段を用いるようにし、これによって、ディスクの先端をスロットインしただけでローディングできるようにしたオートローディング機構に関するものである。
【0016】
このようなスロットインタイプのディスクの引込み装置は、ローディング方向の姿勢について、縦横を選ばないので、レイアウトフリーなディスクドライブを提供することができる。また従来のこの種のタイプのディスクの引込み装置は、動作品位的な問題のために、ポータブル式のパソコンにその用途が限定されていた。これに対して本機構は、オートローディングが必要とされる車載セットや、高級品位感が必要とされるオーディオセット等にも搭載できるようなり、これによって車載セットやポータブルPC等の小型化およびデザインの特化が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本願の主要な発明は、ディスクの外周部に回転体を押当ててディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置において、回転体を回転自在に支持した引込みレバーと、回転体に対して回転駆動力を伝達する回転駆動手段と、回転体に対する回転駆動力の伝達と遮断とを切換える切換え手段と、を有し、回転体に対して回転駆動力を伝達して該回転体とディスクとの間の摩擦力によりディスクを途中まで引込み、ディスクが所定の位置まで引込まれたら切換え手段によって回転体に対する回転駆動力の伝達を遮断して回転体を自由な状態にして、引込みレバーの移動によってディスクを引込むようにしたものである。
【0018】
従ってこのようなディスクの引込み装置によると、このディスクの引込み工程の途中までは、積極的に回転駆動される回転体とディスクとの間の摩擦力によってディスクが引込まれ、その後に自由な状態になっている回転体を保持した引込みレバーの移動によってディスクを引込むことが可能になり、このために安定的かつ確実にディスクが引込まれるとともに、ディスクの最大外形まで手動でディスクを押込む必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1および図2に示すように、この光ディスクプレーヤは、偏平な外筐95を備えている。外筐95の前面側はフロントパネル96から構成されている。そしてフロントパネル96には横長のスリット状の挿入口97が形成され、この挿入口97に対して光ディスク92を挿入すると、自動的に引込まれるようになっている。なおとくに図2に示すように、外筐95はその右側端側の下側の部分が凹部98になっており、この凹部98によって右側端の部分の外筐95の厚さが薄くなっており、いわゆるスリムドライブタイプのディスクプレーヤを構成している。
【0020】
次にこのようなディスクプレーヤの内部構造を、とくに図3を参照して説明する。このディスクプレーヤはシャーシ10を備え、このシャーシ10上にベースユニット11が昇降自在に取付けられる。すなわちベースユニット11は図3において下端側の部分に一対の支持部12を備え、この支持部12を回動支点として昇降動作するようになっており、他端側に設けられているピン13が昇降カム14のカム部15によって昇降されるようになっている(図10参照)。そしてベースユニット11上には、円形のターンテーブル16が配され、このターンテーブル16上に光ディスク92を引込んで回転させるようにしている。また上記シャーシ10の一側端であってベースユニット11の側部には滑り止めゴム17が配される。
【0021】
上記ベースユニット11上には、横側蹴出しレバー20が配され、この横側蹴出しレバー20がシャーシ10上の支点ピン21によって回動自在に支持される。そして横側蹴出しレバー20は巻ばね22によって時計方向に回動付勢される。また横側蹴出しレバー20の先端部にはコロ23が載置される。
【0022】
上記横側蹴出しレバー20に隣接して、シャーシ10上にはトリガレバー24が配される。トリガレバー24はその先端側が傾斜部25に構成されるとともに、一対の長孔26を備えている。そしてこれらの長孔26はシャーシ10上に植設されたピン27と係合される。またばね28によって、トリガレバー24は図3において右斜め上方に付勢される。
【0023】
上記トリガレバー24の先端側に交差するようにコロ逃がしスライダ32が配される。コロ逃がしスライダ32は長孔33を備え、この長孔33にピン34と上述のトリガレバー24の長孔26に係合するピン27とが係合される。またコロ逃がしスライダ32はばね35によって図3中右方に摺動付勢されている。
【0024】
上記コロ逃がしスライダ32の近傍にはさらにコロ逃がしレバー39が配され、シャーシ10に植設された支点ピン40によって回動自在に支持される。しかもこのコロ逃がしレバー39はピン41を備え、このピン41が上述のトリガレバー24の先端部で押圧されるようになっている。またコロ逃がしレバー39はその先端部に係合孔42を備えている。
【0025】
上記コロ逃がしレバー39の上側には、重合うように蹴出しレバー43が配されている。蹴出しレバー43はシャーシ10に植設された支点ピン44によって回動自在に支持されるとともに、巻ばね45によって時計方向に回動付勢されており、しかもこの蹴出しレバー43の先端部にコロ46が取付けられている。
【0026】
シャーシ10上にはまた、スライド板50が摺動自在取付けられている。そしてスライド板50の先端部に植設されたピン51が上記コロ逃がしレバー39の係合孔42に係合している。またスライド板50にはL字孔52が形成されている。L字孔52は伝達レバー53に植設されたピン54を受入れている。伝達レバー53はシャーシ10上に植設された支点ピン55によって回動自在に支持されるとともに、巻ばね56によって時計方向に回動付勢されている。そしてこの伝達レバー53に植設されたピン57が上記昇降カム14に係合されている。
【0027】
スライド板50には異形の開口60が形成されるとともに、図3において下端側の左側部にラック61が形成されている。またシャーシ10上にはモータ62が取付けられ、このモータ62の出力軸にウオームホイール63が固着されている。ウオームホイール63は歯車列64を介してピニオン65と伝動されるようになっている。そしてピニオン65が上記スライド板50のラック61に噛合うようになっている。またシャーシ10上には光学センサ66が取付けられる。
【0028】
上記スライド板50の下側であってシャーシ10上には切換えレバー70が配される。この切換えレバー70はシャーシ10上の固定ピンから成る支点ピン71によって回動自在に支持されるとともに、異形の係合孔72を備えている。また先端部には伝達歯車73が取付けられており、しかもこの伝達歯車73と同軸状にプーリ74が設けられている。プーリ74にはベルト75の一端が掛渡されている。
【0029】
上記切換えレバー70およびスライド板50の上側には引込みレバー78が配されている。引込みレバー78は一端にプーリ79を保持しており、このプーリ79の支軸が支点ピン80になっている。すなわち引込みレバー78は支点ピン80によって回動自在に支持されている。そして、プーリ79にベルト75の他端が掛渡されている。また、引込みレバー78上には歯車列81が設けられ、この歯車列81の端部に駆動輪82が取付けられている。また引込みレバー78には円弧状の長孔83が形成されている。
【0030】
上記切換えレバー70およびスライド板50の上側に重合うように、コントロールレバー86が配されている。このコントロールレバー86は、シャーシ10の切起こし部分(図示せず)に植設された支点ピン87によって回動自在に支持されるとともに、一対の係合ピン88、89が植設されている。一方の係合ピン88が上記スライド板50の異形の開口60と切換えレバー70の係合孔72とに係合されている。これに対してコントロールレバー86の他方の係合ピン89は上記引込みレバー78の円弧状の長孔83に係合されている。
【0031】
次に、以上のような構成に成るディスクプレーヤによる光ディスク92の引込み動作を説明する。図1に示すように、フロントパネル96のスリット状の挿入口97を通してこのディスクプレーヤの外筐95内に光ディスク92の先端部を挿入する。光ディスクの一部が図4に示すように外筐95の一部に挿入されると、光学センサ66が光ディスク92を検出し、これによってモータ62が回転する。モータ62の回転はウオームホイール63および歯車列64に伝達される。歯車列64中の中間の歯車が切換えレバー70の先端部に取付けられている伝達歯車73に噛合っているために、この歯車73が回転駆動される。歯車73の回転は、プーリ74およびベルト75を介して反対側のプーリ79に伝達される。そしてこのプーリ79の回転が歯車列81を介して駆動輪82に伝達されるこのために駆動輪82が図4において時計方向に回転駆動される。
【0032】
上述のように引込みレバー78上の駆動輪82が時計方向に回転駆動されると、この駆動輪82と光ディスク92の外周面との間の摩擦力によって、光ディスク92は反時計方向に回転する力を受け、このために光ディスク92はベースユニット11の左側に配されている滑り止めゴム17上を転動しながら引込まれていくことになる。図5に示す位置まで光ディスク92が引込まれると、この光ディスク92の先端側の部分が横側蹴出しレバー20の先端部に取付けられているコロ73を押すことになる。すると横側蹴出しレバー20のピン29がトリガレバー24の傾斜部25を押圧する。このためにトリガレバー24が図5に示すように右斜め上方に移動し、これによってこのトリガレバー24の先端側の部分がコロ逃がしレバー39上のピン41を押圧する。従ってコロ逃がしレバー39が支点ピン40を中心として時計方向に回転駆動される。
【0033】
上述の如く、このコロ逃がしレバー39の先端側の係合孔42がスライド板50の先端部に植設されたピン51を受入れている。従ってスライド板50は上記コロ逃がしレバー39の支点ピン40を中心とする時計方向への回動によって、図5において下方に押される。するとこのスライド板50に設けられているラック61が歯車列64の終端のピニオン65に噛合う。従ってスライド板50はモータ62によって、ウオームホイール63、歯車列64、およびピニオン65を介して駆動され、これによってこのスライド板50が図5において下方に移動される。
【0034】
スライド板50には、とくに図6に拡大して示すように、異形の開口60が形成されており、スライド板50の図5における下方への摺動によって、コントロールレバー86に植設されている係合ピン88がこのスライド板50の異形の開口60内を相対的に図6に示すように上方へ移動するとともに、この移動の際に図5および図6において左方に変位する。このためにコントロールレバー86は支点ピン87を中心として図7に示すように時計方向に回動される。このコントロールレバー86の先端部に設けられている係合ピン89が引込みレバー78の長孔83に係合している。従ってコントロールレバー86の支点ピン87を中心とする時計方向の回動によって、引込みレバー78が図7に示すように支点ピン80を中心として時計方向に回動され、この引込みレバー78に設けられている駆動輪82が光ディスク92を押込むことになる。なおこのときには、後述するように駆動輪82は積極的に駆動されておらず、引込みレバー78の回転に伴う変位によって駆動輪82が光ディスク92を引込むことになる。
【0035】
上記コントロールレバー86のピン88はスライド板50の異形の開口60および切換えレバー70の係合孔72に係合されている。ここで切換えレバー70の係合孔72は図8に拡大して示すように屈曲されており、コントロールレバー86が、引込みレバー78を回動させるために、支点ピン87を中心として時計方向に回動すると、上記係合ピン88が図8Aに示す位置から図8Bに示す位置に移動する。すなわち係合ピン88は図8において切換えレバー70の係合孔72内を相対的に左方に移動することになり、このような移動動作によって、図8Bおよび図9に示すように、支点ピン71を中心として反時計方向に回動される。上述の如く切換えレバー70の先端部には伝達歯車73が取付けられている。従ってこの切換えレバー70の支点ピン71を中心とする反時計方向への回動によって、伝達歯車73が歯車列64中の中間歯車から離れる。このことはモータ62からの駆動力の伝達が遮断されることを意味する。すなわちコントロールレバー86の回動動作に連動して、切換えレバー70が反時計方向に回動されて駆動力の伝達の遮断が行なわれる。従ってこの段階以降は、上記駆動輪82が単なるコロとして機能するようになり、駆動輪82が引込みレバー78の回転駆動に伴う力を光ディスク92に伝達する機能を果たすことになる。すなわち光ディスク92は上記駆動輪82の押圧力のみによって押込まれることになる。
【0036】
図9に示すように、光ディスク92がターンテーブル16上に引込まれたところで、横側蹴出しレバー20とコロ逃がしレバー39の回動運動が停止する。ところがこの時点においてはまだスライド板50のラック61が歯車列64の終端のピニオン65と噛合っているために、スライド板50はさらに下方に移動される。するとこのスライド板50に設けられているL字孔52に係合されている伝達レバー53のピン54によって、この伝達レバー53が図9および図11に示すように、支点ピン55を中心として時計方向に回動される。するとこの伝達レバー53によって昇降カム14が図11に示すように右方に移動される。従ってベースユニット11のピン13が図10に示す昇降カム14のカム部15の左端側に移動する。従ってベースユニット11は支持部12を中心としてターンテーブル16側が持上がるようになり、このために光ディスク92は外筐95の天板の内側に設けられている押さえとターンテーブル16とによって狭着されてチャッキングが終了する。
【0037】
上述のような昇降カム14の動作によってチャッキング動作が行なわれた後も、スライド板50は依然として図11に示すように下方に移動される。従ってこのようなスライド板50の移動によって、その異形の開口60の周縁部でピン88を押圧するために、コントロールレバー86がさらに支点ピン87を中心として反時計方向に回動される。従ってこのコントロールレバー86の回動運動に連動して、引込みレバー78が支点ピン80を中心として反時計方向に回動される。これによって駆動輪82が光ディスク92の外周から離間する。また上記スライド板50の図11における下方への移動によって、コロ逃がしレバー39が支点ピン40を中心としてさらに時計方向に回動されるために、このコロ逃がしレバー39上のピン105が蹴出しレバー43の切起こし部分を押して、この蹴出しレバー43を支点ピン44を中心として反時計方向に回動させる。従ってこのコロ逃がしレバー39の先端側のコロ46が光ディスク92から離間する。また上記コロ逃がしレバー39に植設されているピン106がコロ逃がしスライダ32を図11において左方へ押圧するために、このコロ逃がしスライダ32の先端側の部分が横側蹴出しレバー20上のピン107を押圧し、これによってこの横側蹴出しレバー20を支点ピン21を中心として反時計方向に回動させる。従って横側蹴出しレバー20の先端側のコロ23が光ディスク92の外周部から離間する。
【0038】
このように光ディスク92が完全に引込まれるとともに、駆動輪82およびコロ46、23から離間した状態において、ターンテーブル16が回転駆動されるために、これによって所定の記録および/または再生の動作が行なわれる。すなわちこの光ディスク92に対して半径方向に移動する光ピックアップによって信号の書込みあるいは読出しが行なわれる。
【0039】
光ディスク92の排出動作は上記の動作とは基本的に逆の動作になる。そしてその最初の工程において、昇降カム14の逆方向への移動によってベースユニット11の下降動作が行なわれる。このときにシャーシ10上に植設されている取外しピン102が光ディスク92の中心側の部分に当接し、これによってターンテーブル16から光ディスク92を引離すようにしている。
【0040】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願に含まれる発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明は、コンパクトディスク、DVD等の各種の光ディスクを用いる光ディスクプレーヤに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】光ディスクプレーヤに対する光ディスクの挿入動作を示す外観斜視図である。
【図2】光ディスクプレーヤの側面図である。
【図3】光ディスクプレーヤにおけるディスクの引込み装置を示す要部平面図である。
【図4】引込み開始の動作を示す要部平面図である。
【図5】光ディスクをほぼ半分引込んだ状態の平面図である。
【図6】スライド板の異形の開口の拡大平面図である。
【図7】光ディスクをほぼ引込んだ状態の要部平面図である。
【図8】切換えレバーの回動動作を示す要部平面図である。
【図9】光ディスクが完全に引込まれた状態の要部平面図である。
【図10】昇降カムによるチャックアップ動作を示す要部縦断面図である。
【図11】チャックアップ動作を完了した状態の光ディスクプレーヤの要部平面図である。
【符号の説明】
【0043】
10…シャーシ、11…ベースユニット、12…支持部、13…ピン、14…昇降カム、15…カム部、16…ターンテーブル、17…滑り止めゴム、20…横側蹴出しレバー、21…支点ピン、22…巻ばね、23…コロ、24…トリガレバー、25…傾斜部、26…長孔、27…ピン、28…ばね、29…ピン、32…コロ逃がしスライダ、33…長孔、34…ピン、35…ばね、39…コロ逃がしレバー、40…支点ピン、41…ピン、42…係合孔、43…蹴出しレバー、44…支点ピン、45…巻ばね、46…コロ、50…スライド板、51…ピン、52…L字孔、53…伝達レバー、54…ピン、55…支点ピン、56…巻ばね、57…ピン、60…異形の開口、61…ラック、62…モータ、63…ウオームホイール、64…歯車列、65…ピニオン、66…光学センサ、70…切換えレバー、71…固定ピン(支点)、72…係合孔、73…伝達歯車、74…プーリ、75…ベルト、78…引込みレバー、79…プーリ、80…支点ピン、81…歯車列、82…駆動輪、83…長孔、86…コントロールレバー、87…支点ピン、88、89…係合ピン、92…光ディスク、95…外筐、96…フロントパネル、97…挿入口、98…凹部、102…取外しピン、105、106、107…ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの外周部に回転体を押当てて前記ディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置において、
前記回転体を回転自在に支持した引込みレバーと、
前記回転体に対して回転駆動力を伝達する回転駆動手段と、
前記回転体に対する回転駆動力の伝達と遮断とを切換える切換え手段と、
を有し、前記回転体に対して回転駆動力を伝達して該回転体と前記ディスクとの間の摩擦力により前記ディスクを途中まで引込み、前記ディスクが所定の位置まで引込まれたら前記切換え手段によって前記回転体に対する回転駆動力の伝達を遮断して前記回転体を自由な状態にして、前記引込みレバーの移動によって前記ディスクを引込むようにしたことを特徴とするディスクの引込み装置。
【請求項2】
駆動ギヤと噛合うラックを有するスライド板を備え、該スライド板の摺動に連動して前記切換え手段による回転駆動力の遮断と、前記引込みレバーの移動による前記ディスクの引込み動作とが行なわれることを特徴とする請求項1に記載のディスクの引込み装置。
【請求項3】
前記引込みレバーが前記スライド板の摺動に連動してコントロールレバーを介して回動し、前記引込みレバーに支持された回転体によって前記ディスクを引込むことを特徴とする請求項2に記載のディスクの引込み装置。
【請求項4】
前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されて該コントロールレバーが回動し、該コントロールレバーの回動運動を前記引込みレバーに伝達して前記ディスクの引込み動作を行なうことを特徴とする請求項3に記載のディスクの引込み装置。
【請求項5】
前記切換え手段が切換えレバーから構成され、前記スライド板の摺動に連動して回動し、前記引込みレバー上の回転体に対する駆動力の伝達を遮断することを特徴とする請求項4に記載のディスクの引込み装置。
【請求項6】
前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されるとともに、前記切換えレバーの係合孔に係合し、前記コントロールレバーが回動すると前記切換えレバーが連動して回動することを特徴とする請求項5に記載のディスクの引込み装置。
【請求項7】
ディスクの他側端側が滑り止め部材に押付けられた状態で前記ディスクの一側端が前記回転体によって引込まれることを特徴とする請求項1に記載のディスクの引込み装置。
【請求項1】
ディスクの外周部に回転体を押当てて前記ディスクを動作位置へ引込むディスクの引込み装置において、
前記回転体を回転自在に支持した引込みレバーと、
前記回転体に対して回転駆動力を伝達する回転駆動手段と、
前記回転体に対する回転駆動力の伝達と遮断とを切換える切換え手段と、
を有し、前記回転体に対して回転駆動力を伝達して該回転体と前記ディスクとの間の摩擦力により前記ディスクを途中まで引込み、前記ディスクが所定の位置まで引込まれたら前記切換え手段によって前記回転体に対する回転駆動力の伝達を遮断して前記回転体を自由な状態にして、前記引込みレバーの移動によって前記ディスクを引込むようにしたことを特徴とするディスクの引込み装置。
【請求項2】
駆動ギヤと噛合うラックを有するスライド板を備え、該スライド板の摺動に連動して前記切換え手段による回転駆動力の遮断と、前記引込みレバーの移動による前記ディスクの引込み動作とが行なわれることを特徴とする請求項1に記載のディスクの引込み装置。
【請求項3】
前記引込みレバーが前記スライド板の摺動に連動してコントロールレバーを介して回動し、前記引込みレバーに支持された回転体によって前記ディスクを引込むことを特徴とする請求項2に記載のディスクの引込み装置。
【請求項4】
前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されて該コントロールレバーが回動し、該コントロールレバーの回動運動を前記引込みレバーに伝達して前記ディスクの引込み動作を行なうことを特徴とする請求項3に記載のディスクの引込み装置。
【請求項5】
前記切換え手段が切換えレバーから構成され、前記スライド板の摺動に連動して回動し、前記引込みレバー上の回転体に対する駆動力の伝達を遮断することを特徴とする請求項4に記載のディスクの引込み装置。
【請求項6】
前記コントロールレバーに植設されているピンが前記スライド板の異形の開口の周縁部によって押されるとともに、前記切換えレバーの係合孔に係合し、前記コントロールレバーが回動すると前記切換えレバーが連動して回動することを特徴とする請求項5に記載のディスクの引込み装置。
【請求項7】
ディスクの他側端側が滑り止め部材に押付けられた状態で前記ディスクの一側端が前記回転体によって引込まれることを特徴とする請求項1に記載のディスクの引込み装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−200491(P2007−200491A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19454(P2006−19454)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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