ディスクアレイ制御装置、ハードディスクドライブ及びディスクアレイ装置
【課題】 HDDごとに最適な伝送機能を設定する。
【解決手段】 伝送最適化パラメータテーブル31aは、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aとデータ伝送パラメータ31bとの対応関係を示す。情報入力手段311は、HDD搭載位置情報格納部11及びHDD識別情報格納部12から、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを入力する。パラメータ決定手段312は、情報入力手段311から入力したHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル31aに照合することにより、データ伝送パラメータ31bを決定する。パラメータ出力手段313は、パラメータ決定手段312で決定されたデータ伝送パラメータ31bを、通信LSI−I/O部33及びHDD−I/O部14を介してHDD伝送機能設定部13へ出力するとともに、通信LSI伝送機能設定部32へ出力する。
【解決手段】 伝送最適化パラメータテーブル31aは、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aとデータ伝送パラメータ31bとの対応関係を示す。情報入力手段311は、HDD搭載位置情報格納部11及びHDD識別情報格納部12から、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを入力する。パラメータ決定手段312は、情報入力手段311から入力したHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル31aに照合することにより、データ伝送パラメータ31bを決定する。パラメータ出力手段313は、パラメータ決定手段312で決定されたデータ伝送パラメータ31bを、通信LSI−I/O部33及びHDD−I/O部14を介してHDD伝送機能設定部13へ出力するとともに、通信LSI伝送機能設定部32へ出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のハードディスクドライブ(以下「HDD」という。)を制御するディスクアレイ制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のHDDを並べて、これらを全体として一つのHDDとして制御可能とした、ディスクアレイ装置が知られている(例えば特許文献1)。このディスクアレイ装置は、データの読み書きの高速化及びデータの信頼性の向上を目的に、主にコンピュータの外部記憶装置に用いられる。
【0003】
図9は、従来のディスクアレイ装置を示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0004】
図9は、従来のディスクアレイ装置について、HDD1とバックボード2及びHDD制御パッケージ(以下「HDD制御PKG」という。)3’との接続に着目した場合のブロック図である。
【0005】
HDD1は、製造元、ディスク容量、ディスク回転数、ファームウェア・バージョンなどの情報が格納されたHDD識別情報格納部12と、HDD1がバックボード2のどのスロットに搭載されたかを示すHDD搭載位置情報格納部11と、HDD−I/O部14を制御するとともに伝送品質を最適化するための出力振幅、プリエンファシス強度、入力インピーダンス、イコライザ強度などの設定を行うHDD伝送機能設定部13とを備えている。HDD識別情報格納部11及びHDD搭載位置情報格納部12の各情報は、RAIDを構築するためにのみ使用される。HDD伝送機能設定部13で設定されるパラメータは、メーカで予め固定値に設定されているので、伝送媒体や通信するLSI毎に伝送品質を最適化することには使われない。
【0006】
一方、HDD制御PKG3’は、RAID構築パラメータテーブル格納部34、通信LSI−I/O部33、通信LSI伝送機能設定部32などを備えている。HDD制御PKG3’においても、通信LSI伝送機能設定部32で設定されるパラメータが予め固定値に設定されているため、採用する全てのHDDと搭載する全てのスロット位置とに対して、伝送品質を最適化することはできない。
【0007】
【特許文献1】特開2001−100942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ファイバチャネルなどの高速シリアルインタフェースを有したHDDを、バックボードを介して複数台搭載するディスクアレイ装置では、バックボード伝送品質が当該ディスクアレイ装置の信頼性を大きく左右する。シリアルインタフェースの伝送速度が2Gbps程度までは、伝送波形のマージンを比較的容易に確保できる。そのため、HDDのバックボード搭載スロット位置、製造元、バージョンなどに関係なく、プリエンファシス強度などの伝送機能設定を最大公約数的に一律に設定できていた。
【0009】
しかしながら、伝送速度が3Gbpsを超えるあたりから、配線パターンの表皮効果、誘電損失による高周波損失、コネクタ部でのインピーダンス不整合による多重反射などが顕著となることより、HDDの搭載位置すなわち伝送長によって、伝送波形の歪み度合いが大きく異なってくる。一般的には、バックボードの伝送長が長いほど、伝送波形歪みが大きく、伝送品質が悪化する。
【0010】
また、駆動能力、波形の立ち上がり時間、出力振幅、入力インピーダンス、入力感度などのシリアルI/Oの電気特性、及び、プリエンファシス強度、イコライザ強度などのシリアルI/Oの波形整形能力は、HDDベンダ各社で様々であり、更に、同一ベンダにおいてもHDDのバージョンでそれらが異なる場合もある。このように、HDDの素性によっても、伝送波形の歪み度合いは大きく異なってくる。
【0011】
このような伝送速度の高速化に伴う諸問題について、図面に基づき更に具体的に説明する。図10は、実際のディスクアレイ装置を使って、HDD種別による波形比較を示したものである。ここで、図10[1][2]において、HDDのバックボード搭載位置は同じスロット0(バックボード線長15cm)を使用し、2.125Gbpsで伝送している。HDD種別により、波形に差があることが分る。
【0012】
図11は、実際のディスクアレイ装置を使って、HDD搭載位置による波形比較を示したものである。ここで、図11[1][2]において、HDD及び通信LSIは同じものを使用し、2.125Gbpsで伝送している。スロット(バックボード線長)により、波形に差があることが分る。
【0013】
図12は、伝送評価用のバックボードを使って、伝送速度による波形比較を示したものである。ここで、図12[1][2]において、通信LSIは4.25Gbpsと6.25Gbpsとで異なるものを使用しているが、バックボード線長はどちらも30cmである。伝送速度が高速になると、高周波損失や誘電体損失などの影響で、アイ開口が小さくなることが分る。
【0014】
図13は、伝送評価用のバックボードを使って、アイ開口を広げる通信LSIの一つの機能であるプリエンファシスによる波形比較を示したものである。ここで、図13[1][2]において、伝送速度は6.25Gbpsであり、バックボード線長はどちらも30cmである。プリエンファシスを機能させることにより、アイ開口が拡大することが分る。
【0015】
以上のとおり、伝送速度の高速化に伴い、HDDのバックボード搭載スロット位置、製造元、バージョンなどに対し、プリエンファシス強度などの伝送機能設定を最大公約数的に一律に設定することは、伝送品質を確保する上で極めて困難となってきている。
【0016】
そこで、本発明の目的は、HDDごとに最適な伝送機能を設定できるディスクアレイ制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数のハードディスクドライブを制御するディスクアレイ制御装置において、各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を入力し、このハードディスクドライブ情報に基づき、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定する機能、を備えたことを特徴とする。より詳しく言えば、本発明に係るディスクアレイ制御装置は、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のHDDを制御するとともに、データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するものであり、情報入力手段、パラメータ決定手段及びパラメータ出力手段を備えている。情報入力手段は、各HDDに関するHDD情報を、当該各HDDから入力する。パラメータ決定手段は、情報入力手段から入力したHDD情報に基づいて、データ伝送パラメータを決定する。パラメータ出力手段は、パラメータ決定手段で決定されたデータ伝送パラメータを、ディスク側伝送機能設定部及び制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力する。このように、HDDごとにHDD情報を入力し、そのHDD情報に基づいてHDDごとにデータ伝送パラメータを決定する。したがって、HDDごとに最適な伝送機能を設定できる。特に、データ伝送が高速シリアル通信によって行われる場合に、効果が顕著になる。伝送速度が高速になるほど、HDDの種類や位置によって伝送品質がばらつきやすくなるからである。
【0018】
パラメータ決定手段は、例えば、HDD情報とデータ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルに、情報入力手段から入力したHDD情報を照合することにより、データ伝送パラメータを決定する。HDD情報は、例えばHDDの識別情報及び搭載位置情報の少なくとも一方である。データ伝送パラメータは、例えば出力振幅、プリエンファシス強度、入力インピーダンス及びイコライザ強度の少なくとも一つである。また、ディスクアレイ制御装置の電源投入時又はHDDの交換時若しくは追加時に、情報入力手段、パラメータ決定手段及びパラメータ出力手段が動作する、としてもよい。
【0019】
本発明に係るディスクアレイ装置は、本発明に係るディスクアレイ制御装置と、これによって制御される複数のHDDと、を備えたものである。その具合例を、以下に述べる。複数のHDDとディスクアレイ制御装置とは、接続装置を介して接続されている。接続装置は、複数のHDDを着脱自在とする着脱機構と、着脱機構に装着された各HDDに対してHDD搭載位置情報を出力するHDD搭載位置情報出力部とを備えている。各HDDは、ディスク側伝送機能設定部の他に、ディスクアレイ制御装置に対してデータ伝送を実行するディスク側データ入出力部と、HDD搭載位置情報出力部から出力されたHDD搭載位置情報を格納するHDD搭載位置情報格納部と、HDD識別情報が予め格納されたHDD識別情報格納部とを備えている。ディスクアレイ制御装置は、制御側伝送機能設定部の他に、各HDDに対してデータ伝送を実行する制御側データ入出力部と、情報入力手段、パラメータ決定手段及びパラメータ出力手段を有する制御側伝送パラメータテーブル格納部と、HDD搭載位置情報格納部及びHDD識別情報格納部からHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を入力してRAID構築パラメータを設定するRAID構築パラメータテーブル格納部とを備えている。
【0020】
この具体例の動作を以下に説明する。あるHDDを接続装置の着脱機構に装着すると、接続装置のHDD搭載位置情報出力部から、HDDのHDD搭載位置情報格納部へ、HDD搭載位置情報が出力される。続いて、HDDは、HDD搭載位置情報格納部及びHDD識別情報格納部に格納されているHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を、ディスクアレイ制御装置の制御側伝送パラメータテーブル格納部及びRAID構築パラメータテーブル格納部へ出力する。続いて、制御側伝送パラメータテーブル格納部では、情報入力手段がHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を入力し、入力されたHDD搭載位置情報及びHDD識別情報をパラメータ決定手段がパラメータテーブルで照合することにより最適なデータ伝送パラメータを決定し、決定されたデータ伝送パラメータをパラメータ出力手段がディスク側伝送機能設定部及び制御側伝送機能設定部へ出力する。一方、RAID構築パラメータテーブル格納部では、HDD搭載位置情報格納部及びHDD識別情報格納部からHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を入力してRAID構築パラメータを設定する。最後に、ディスク側伝送機能設定部及び制御側伝送機能設定部がディスク側データ入出力部及び制御側データ入出力部にデータ伝送パラメータを設定すると、HDDとディスクアレイ制御装置との間で、高速シリアル通信などによるデータ伝送が可能となる。
【0021】
本発明に係るHDDは、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置によって制御されるとともに、データ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有するものである。このディスク側伝送機能設定部は、ディスクアレイ制御装置から出力されたデータ伝送パラメータを設定する機能を有する点で、従来技術と異なる。そして、本発明に係るHDDは、当該HDDに関するHDD情報とデータ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルが予め格納されたディスク側伝送パラメータテーブル格納部を備えた、としてもよい。
【0022】
本発明に係るHDDを用いた本発明に係るディスクアレイ装置は、例えば次のように構成される。パラメータ決定手段は、ディスク側伝送パラメータテーブル格納部からパラメータテーブルを必要に応じて入力し、情報入力手段から入力したHDD情報を当該パラメータテーブルに照合することにより、データ伝送パラメータを決定する。この場合は、制御側伝送パラメータテーブル格納部に予め格納されていなかったパラメータテーブルを用いて、データ伝送パラメータを決定することができる。また、ディスク側伝送パラメータテーブル格納部のパラメータテーブルは、当該ハードディスクドライブのフォーマット時に書き込めば、別途書き込みの機会を設けなくて良いので、製造工程を簡略化できる。
【0023】
本発明に係るディスクアレイ制御方法は、本発明に係るディスクアレイ制御装置の各手段の動作を手順として捉えたものである。本発明に係るディスクアレイ制御プログラムは、本発明に係るディスクアレイ制御装置の各手段としてコンピュータを機能させるものである。なお、特許請求の範囲において、本発明に係るディスクアレイ制御方法及びプログラムは、本発明に係るディスクアレイ制御装置の請求項2に相当する請求項のみを記載したが、本発明に係るディスクアレイ制御装置の他の各請求項に相当する請求項を記載してもよい。
【0024】
換言すると、本発明は、ファイバチャネルなどの高速シリアルインタフェースを有するHDDを複数台搭載可能なディスクアレイ装置において、電源投入時及びHDD交換時に、HDD搭載位置情報とHDD識別情報とを自動的に検出し、これらの情報と予め格納しておいた伝送品質が最適となるパラメータとを照合し、その結果をHDD及びHDD制御PKG内通信LSIに自動的に送信かつ機能させ、その後データ転送を開始することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、HDDごとにHDD情報を入力し、そのHDD情報に基づいてHDDごとにデータ伝送パラメータを決定することにより、HDDごとに最適な伝送機能を設定できる。したがって、HDDの搭載位置や電気特性に影響されずに、安定した伝送品質を確保できるので、ディスクアレイ装置としての信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
特許請求の範囲における「ディスクアレイ制御装置」、「接続装置」、「HDD搭載位置情報出力部」、「ディスク側伝送機能設定部」、「ディスク側データ入出力部」、「制御側伝送機能設定部」、「制御側データ入出力部」、「制御側伝送パラメータテーブル格納部」、「ディスク側伝送パラメータテーブル格納部」については、以下の実施形態においてそれぞれ「HDD制御PKG3,4」、「バックボード2」、「スロット位置信号出力部21」、「HDD伝送機能設定部13」、「HDD−I/O部14」、「通信LSI−I/O部33」、「通信LSI伝送機能設定部32」、「伝送最適化パラメータテーブル格納部31,31’」、「伝送最適化パラメータテーブル格納部15」と具体化して言い換える。
【0027】
図1は、本発明に係るディスクアレイ装置の第一実施形態を示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0028】
本実施形態のディスクアレイ装置は、HDD1〜n、バックボード2、HDD制御PKG3,4等を備えている。HDD1〜nは、バックボード2を介して、HDD制御PKG3,4に機械的かつ電気的に接続されている。ここで、HDD1〜nの製造元及び搭載数は、ディスクアレイ装置の製品性によって任意であり、また、HDD1〜nの搭載位置も任意である。二枚のHDD制御PKG3,4が存在する理由は、ディスクアレイ装置の冗長性を向上させるためである。したがって、HDD制御PKG3,4はともに同一機能を有する。
【0029】
図2は、HDD1とバックボード2及びHDD制御PKG3との接続に着目した場合のブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0030】
HDD1とHDD制御PKG3とは、バックボード2を介して接続されている。バックボード2は、HDD1を着脱自在とする着脱機構(図示せず)と、着脱機構に装着されたHDD1に対してスロット位置信号21aを出力するスロット位置信号出力部21とを備えている。
【0031】
HDD1は、データ伝送に関するデータ伝送パラメータ31bを設定可能なHDD伝送機能設定部13と、HDD制御PKG3に対してデータ伝送を実行するHDD−I/O部14と、スロット位置信号出力部21から出力されたスロット位置信号21aすなわちHDD搭載位置情報11aを格納するHDD搭載位置情報格納部11と、HDD識別情報12aが予め格納されたHDD識別情報格納部12とを備えている。HDD伝送機能設定部13は、HDD制御PKG3から出力されたデータ伝送パラメータ31bを設定する機能を有する点で、従来のHDD伝送機能設定部と異なる。
【0032】
HDD制御PKG3は、データ伝送に関するデータ伝送パラメータ31bを設定可能な通信LSI伝送機能設定部32と、HDD1に対してデータ伝送を実行する通信LSI−I/O部33と、伝送最適化パラメータテーブル格納部31と、HDD搭載位置情報格納部11及びHDD識別情報格納部12からHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを入力してRAID構築パラメータを設定するRAID構築パラメータテーブル格納部34とを備えている。
【0033】
図3は、HDD制御PKG3内の伝送最適化パラメータテーブル格納部31を示すブロック図である。以下、図2及び図3に基づき説明する。
【0034】
伝送最適化パラメータテーブル格納部31は、本発明の特徴である情報入力手段311、パラメータ決定手段312、パラメータ出力手段313及び伝送最適化パラメータテーブル31aを備えている。伝送最適化パラメータテーブル31aは、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aとデータ伝送パラメータ31bとの対応関係を示す。情報入力手段311は、HDD搭載位置情報格納部11及びHDD識別情報格納部12から、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを入力する。パラメータ決定手段312は、情報入力手段311から入力したHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル31aに照合することにより、データ伝送パラメータ31bを決定する。パラメータ出力手段313は、パラメータ決定手段312で決定されたデータ伝送パラメータ31bを、通信LSI−I/O部33及びHDD−I/O部14を介してHDD伝送機能設定部13へ出力するとともに、通信LSI伝送機能設定部32へ出力する。
【0035】
なお、情報入力手段311、パラメータ決定手段312及びパラメータ出力手段313は、ファームウェアによって実現されているが、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって実現することもできる。例えば、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み込むことによって、CPUが各手段として機能する、としてもよい。
【0036】
次に、図2に基づき更に詳しく説明する。HDD1は、HDD1がバックボード2のどのスロットに搭載されたかを示すHDD搭載位置情報格納部11と、HDD1の製造元やファームウェア・バージョンなどの情報が格納されたHDD識別情報格納部12と、HDD−I/O部14を制御するとともに伝送品質を最適化するためのプリエンファシス強度などの設定を行うHDD伝送機能設定部13とを備えている。バックボード2は、スロット毎にその位置を特定するためのスロット位置信号出力部21を備えている。
【0037】
HDD制御PKG3は、HDD搭載位置毎及びHDD毎に伝送品質を最適化するためのパラメータを格納した伝送最適化パラメータテーブル格納部31と、通信LSI−I/O部33を制御するとともに伝送品質を最適化するためのプリエンファシス強度などを設定する通信LSI伝送機能設定部32と、RAIDを構築するためのRAID構築パラメータテーブル格納部34とを備えている。
【0038】
HDD1のインタフェースにおける電気特性は、一般的に製造元やファームウェア・バージョン毎に異なる。そのため、HDD1のインタフェースにおける電気特性の把握は、HDD識別情報格納部12に格納された情報のうち、製造元及びファームウェア・バージョンを参照することで可能となる。
【0039】
図4は、伝送最適化パラメータテーブル格納部31に格納されている伝送最適化パラメータテーブル31aの一例を示す図表である。以下、図2乃至図4に基づき説明する。
【0040】
HDD搭載位置情報11aは、HDD搭載位置情報格納部11に格納されている情報である。HDD識別情報12aは、HDD識別情報格納部12に格納されている情報である。HDD伝送機能13aは、HDD伝送機能設定部13で設定されるデータ伝送パラメータ31bである。通信LSI伝送機能32aは、通信LSI伝送機能設定部32で設定されるデータ伝送パラメータ31bである。
【0041】
伝送最適化パラメータテーブル31aは、HDD搭載位置情報11aとしてバックボード2の搭載スロット毎に、かつ、HDD識別情報12aとしてHDD型番(製造元も含まれる)及びそのファームウェア・バージョン毎に、かつ、ディスクアレイ装置情報34aとして装置型番及びそのファームウェア・バージョン毎に、HDD伝送機能13a及び通信LSI伝送機能32aのプリエンファシス強度、出力振幅、入力インピーダンス、イコライザ強度などの伝送波形を整形できるデータ伝送パラメータ31bを格納している。また、これらのデータ伝送パラメータ31bは、予め実験やシミュレーションによって網羅的に設定する必要がある。
【0042】
なお、バックボード2の着脱機構及びRAID構築パラメータテーブル格納部34については、本発明に直接関係しないため、説明を省略する。
【0043】
図5は、第一実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。以下、図2乃至図5に基づき説明する。
【0044】
まず、電源投入後(ステップ101)、HDD1がバックボード2に既に接続されている場合又は追加で接続された場合(ステップ109)、HDD1はバックボード2からスロット位置信号21aを検出する(ステップ102)。一方、HDD制御PKG3は、HDD搭載位置情報11aを自動的に検出することにより(ステップ103)、HDD1がどのスロットに搭載されたかを認識する。そして、HDD制御PKG3は、HDD識別情報12aも自動的に参照することにより(ステップ104)、HDD1の製造元やファームウェア・バージョンなどを認識する。更に、HDD制御PKG3は、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル31aと照合して(ステップ105)、合致するデータ伝送パラメータ31bをHDD伝送機能設定部13及び通信LSI伝送機能設定部32へ自動的に送信することにより、それらのパラメータを機能させる。(ステップ106,107)。その後、HDD−I/O部14と通信LSI−I/O部33との間のデータ転送を開始する(ステップ108)。
【0045】
このように、電源投入時及びHDD交換時に、HDD搭載位置情報11aとHDD識別情報12aとを自動的に検出し、予め格納しておいた伝送品質が最適となるデータ伝送パラメータ31bと照合し、その結果をHDD1内のHDD伝送機能設定部13及びHDD制御PKG3内の通信LSI−I/O部33に自動的に送信・機能させてから、データ転送を開始することにより、伝送品質を自律的に最適化することができ、ディスクアレイ装置の信頼性を向上させることが可能である。
【0046】
換言すると、本実施形態によれば以下の効果を奏する。(1).HDDの搭載位置とHDDの電気特性とに最適な伝送パラメータを設定及び機能させることにより、安定した伝送品質を確保できるので、ディスクアレイ装置としての信頼性を向上できる。(2).HDDの搭載位置とHDDの電気特性とに最適な伝送パラメータを自動的に設定及び機能させることにより、オンライン下におけるHDD交換においても自律的に最適伝送品質を継続できる。(3).HDDの搭載位置とHDDの電気特性とに最適な伝送パラメータを設定及び機能させることにより、HDDのマルチベンダ化を実現できる。
【0047】
図6は、本発明に係るディスクアレイ装置の第二実施形態における、HDD1’とバックボード2及びHDD制御PKG3との接続に着目した場合のブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図2と同一部分は同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0048】
本実施形態におけるHDD1’は、HDD1’に関するHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aとデータ伝送パラメータ31bとの対応関係を示す伝送最適化パラメータテーブル15a(図4)が予め格納された伝送最適化パラメータテーブル格納部15を備えたことを特徴とする。
【0049】
一方、HDD制御PKG3の伝送最適化パラメータテーブル格納部31’では、パラメータ決定手段312(図3)が次のように動作する。伝送最適化パラメータテーブル格納部15から伝送最適化パラメータテーブル15aを必要に応じて入力し、別途入力したHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル15aに照合することにより、データ伝送パラメータ31bを決定する。
【0050】
ここで、伝送最適化パラメータテーブル格納部31’の伝送最適化パラメータテーブル31aに、新たに実装したHDD1’に対応するデータが無かったとする。このとき、伝送最適化パラメータテーブル格納部31’は、伝送最適化パラメータテーブル格納部15からHDD−IO部14及び通信LSI−I/O部33を介して伝送最適化パラメータテーブル15aを入力し、これを伝送最適化パラメータテーブル31aに上書きする。
【0051】
図7は、第二実施形態のディスクアレイ装置におけるHDD1’に伝送最適化パラメータテーブル15aを書き込む動作を示すフローチャートである。以下、図6及び図7に基づき説明する。
【0052】
まず、新規にHDD1’を購入する(ステップ200)。続いて、HDD1’のフォーマットを行う(ステップ201)。このステップ201では、1セクタあたり512バイトに8バイト分のCRC(Cyclic Redundancy Check)を付加して520バイトへ変換する。このとき、HDD1’に最新の伝送最適化パラメータテーブル15aを書き込む(ステップ202)。このように、HDD1’のフォーマット時に伝送最適化パラメータテーブル15aも書き込めば、別途書き込みの機会を設けなくて良いので、製造工程を簡略化できる。
【0053】
図8は、第二実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。以下、図6乃至図8に基づき説明する。ただし、図8において図5と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
まず、HDD識別情報12aが伝送最適化パラメータテーブル31aに格納されているか否かを判断する(ステップ110)。格納されていなければ、HDD1’に格納されている伝送最適化パラメータテーブル15aを、HDD制御PKG3の伝送最適化パラメータテーブル31aに上書きする(ステップ111)。その他の動作は、第一実施形態と同じである。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、伝送最適化パラメータテーブル格納部31’に予め格納されていなかったパラメータテーブルを用いて、データ伝送パラメータ31bを決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ファイバチャネル(Fibre Channel)、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)、SAS(Serial
Attached SCSI)などの高速シリアルインタフェースを有したHDDを、バックボードやケーブルを介して複数台搭載することができるディスクアレイ装置に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るディスクアレイ装置の第一実施形態を示すブロック図である。
【図2】第一実施形態のディスクアレイ装置について、HDDとバックボード及びHDD制御PKGとの接続に着目した場合のブロック図である。
【図3】第一実施形態のディスクアレイ装置における伝送最適化パラメータテーブル格納部を示すブロック図である。
【図4】第一実施形態のディスクアレイ装置における伝送最適化パラメータテーブル格納部に格納されている伝送最適化パラメータテーブルの一例を示す図表である。
【図5】第一実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るディスクアレイ装置の第二実施形態における、HDDとバックボード及びHDD制御PKGとの接続に着目した場合のブロック図である。
【図7】第二実施形態のディスクアレイ装置におけるHDDに伝送最適化パラメータテーブルを書き込む動作を示すフローチャートである。
【図8】第二実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】従来のディスクアレイ装置について、HDDとバックボード及びHDD制御PKGとの接続に着目した場合のブロック図である。
【図10】HDD種別による波形の違いを示す波形図である。
【図11】HDD搭載位置による波形の違いを示す波形図である。
【図12】伝送速度による波形の違いを示す波形図である。
【図13】プリエンファシスによる波形の違いを示す波形図である。
【符号の説明】
【0058】
1〜n,1’ HDD
11 HDD搭載位置情報格納部
12 HDD識別情報格納部
13 HDD伝送機能設定部(ディスク側伝送機能設定部)
14 HDD−I/O部(ディスク側データ入出力部)
15 伝送最適化パラメータテーブル格納部(ディスク側伝送パラメータテーブル格納部)
2 バックボード(接続装置)
21 スロット位置信号出力部(HDD搭載位置情報出力部)
3,4 HDD制御PKG(ディスクアレイ制御装置)
31,31’ 伝送最適化パラメータテーブル格納部(制御側伝送パラメータテーブル格納部)
311 情報入力手段
312 パラメータ決定手段
313 パラメータ出力手段
31a 伝送最適化パラメータテーブル
32 通信LSI伝送機能設定部(制御側伝送機能設定部)
33 LSI−I/O部(制御側データ入出力部)
34 RAID構築パラメータテーブル格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のハードディスクドライブ(以下「HDD」という。)を制御するディスクアレイ制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のHDDを並べて、これらを全体として一つのHDDとして制御可能とした、ディスクアレイ装置が知られている(例えば特許文献1)。このディスクアレイ装置は、データの読み書きの高速化及びデータの信頼性の向上を目的に、主にコンピュータの外部記憶装置に用いられる。
【0003】
図9は、従来のディスクアレイ装置を示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0004】
図9は、従来のディスクアレイ装置について、HDD1とバックボード2及びHDD制御パッケージ(以下「HDD制御PKG」という。)3’との接続に着目した場合のブロック図である。
【0005】
HDD1は、製造元、ディスク容量、ディスク回転数、ファームウェア・バージョンなどの情報が格納されたHDD識別情報格納部12と、HDD1がバックボード2のどのスロットに搭載されたかを示すHDD搭載位置情報格納部11と、HDD−I/O部14を制御するとともに伝送品質を最適化するための出力振幅、プリエンファシス強度、入力インピーダンス、イコライザ強度などの設定を行うHDD伝送機能設定部13とを備えている。HDD識別情報格納部11及びHDD搭載位置情報格納部12の各情報は、RAIDを構築するためにのみ使用される。HDD伝送機能設定部13で設定されるパラメータは、メーカで予め固定値に設定されているので、伝送媒体や通信するLSI毎に伝送品質を最適化することには使われない。
【0006】
一方、HDD制御PKG3’は、RAID構築パラメータテーブル格納部34、通信LSI−I/O部33、通信LSI伝送機能設定部32などを備えている。HDD制御PKG3’においても、通信LSI伝送機能設定部32で設定されるパラメータが予め固定値に設定されているため、採用する全てのHDDと搭載する全てのスロット位置とに対して、伝送品質を最適化することはできない。
【0007】
【特許文献1】特開2001−100942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ファイバチャネルなどの高速シリアルインタフェースを有したHDDを、バックボードを介して複数台搭載するディスクアレイ装置では、バックボード伝送品質が当該ディスクアレイ装置の信頼性を大きく左右する。シリアルインタフェースの伝送速度が2Gbps程度までは、伝送波形のマージンを比較的容易に確保できる。そのため、HDDのバックボード搭載スロット位置、製造元、バージョンなどに関係なく、プリエンファシス強度などの伝送機能設定を最大公約数的に一律に設定できていた。
【0009】
しかしながら、伝送速度が3Gbpsを超えるあたりから、配線パターンの表皮効果、誘電損失による高周波損失、コネクタ部でのインピーダンス不整合による多重反射などが顕著となることより、HDDの搭載位置すなわち伝送長によって、伝送波形の歪み度合いが大きく異なってくる。一般的には、バックボードの伝送長が長いほど、伝送波形歪みが大きく、伝送品質が悪化する。
【0010】
また、駆動能力、波形の立ち上がり時間、出力振幅、入力インピーダンス、入力感度などのシリアルI/Oの電気特性、及び、プリエンファシス強度、イコライザ強度などのシリアルI/Oの波形整形能力は、HDDベンダ各社で様々であり、更に、同一ベンダにおいてもHDDのバージョンでそれらが異なる場合もある。このように、HDDの素性によっても、伝送波形の歪み度合いは大きく異なってくる。
【0011】
このような伝送速度の高速化に伴う諸問題について、図面に基づき更に具体的に説明する。図10は、実際のディスクアレイ装置を使って、HDD種別による波形比較を示したものである。ここで、図10[1][2]において、HDDのバックボード搭載位置は同じスロット0(バックボード線長15cm)を使用し、2.125Gbpsで伝送している。HDD種別により、波形に差があることが分る。
【0012】
図11は、実際のディスクアレイ装置を使って、HDD搭載位置による波形比較を示したものである。ここで、図11[1][2]において、HDD及び通信LSIは同じものを使用し、2.125Gbpsで伝送している。スロット(バックボード線長)により、波形に差があることが分る。
【0013】
図12は、伝送評価用のバックボードを使って、伝送速度による波形比較を示したものである。ここで、図12[1][2]において、通信LSIは4.25Gbpsと6.25Gbpsとで異なるものを使用しているが、バックボード線長はどちらも30cmである。伝送速度が高速になると、高周波損失や誘電体損失などの影響で、アイ開口が小さくなることが分る。
【0014】
図13は、伝送評価用のバックボードを使って、アイ開口を広げる通信LSIの一つの機能であるプリエンファシスによる波形比較を示したものである。ここで、図13[1][2]において、伝送速度は6.25Gbpsであり、バックボード線長はどちらも30cmである。プリエンファシスを機能させることにより、アイ開口が拡大することが分る。
【0015】
以上のとおり、伝送速度の高速化に伴い、HDDのバックボード搭載スロット位置、製造元、バージョンなどに対し、プリエンファシス強度などの伝送機能設定を最大公約数的に一律に設定することは、伝送品質を確保する上で極めて困難となってきている。
【0016】
そこで、本発明の目的は、HDDごとに最適な伝送機能を設定できるディスクアレイ制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数のハードディスクドライブを制御するディスクアレイ制御装置において、各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を入力し、このハードディスクドライブ情報に基づき、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定する機能、を備えたことを特徴とする。より詳しく言えば、本発明に係るディスクアレイ制御装置は、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のHDDを制御するとともに、データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するものであり、情報入力手段、パラメータ決定手段及びパラメータ出力手段を備えている。情報入力手段は、各HDDに関するHDD情報を、当該各HDDから入力する。パラメータ決定手段は、情報入力手段から入力したHDD情報に基づいて、データ伝送パラメータを決定する。パラメータ出力手段は、パラメータ決定手段で決定されたデータ伝送パラメータを、ディスク側伝送機能設定部及び制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力する。このように、HDDごとにHDD情報を入力し、そのHDD情報に基づいてHDDごとにデータ伝送パラメータを決定する。したがって、HDDごとに最適な伝送機能を設定できる。特に、データ伝送が高速シリアル通信によって行われる場合に、効果が顕著になる。伝送速度が高速になるほど、HDDの種類や位置によって伝送品質がばらつきやすくなるからである。
【0018】
パラメータ決定手段は、例えば、HDD情報とデータ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルに、情報入力手段から入力したHDD情報を照合することにより、データ伝送パラメータを決定する。HDD情報は、例えばHDDの識別情報及び搭載位置情報の少なくとも一方である。データ伝送パラメータは、例えば出力振幅、プリエンファシス強度、入力インピーダンス及びイコライザ強度の少なくとも一つである。また、ディスクアレイ制御装置の電源投入時又はHDDの交換時若しくは追加時に、情報入力手段、パラメータ決定手段及びパラメータ出力手段が動作する、としてもよい。
【0019】
本発明に係るディスクアレイ装置は、本発明に係るディスクアレイ制御装置と、これによって制御される複数のHDDと、を備えたものである。その具合例を、以下に述べる。複数のHDDとディスクアレイ制御装置とは、接続装置を介して接続されている。接続装置は、複数のHDDを着脱自在とする着脱機構と、着脱機構に装着された各HDDに対してHDD搭載位置情報を出力するHDD搭載位置情報出力部とを備えている。各HDDは、ディスク側伝送機能設定部の他に、ディスクアレイ制御装置に対してデータ伝送を実行するディスク側データ入出力部と、HDD搭載位置情報出力部から出力されたHDD搭載位置情報を格納するHDD搭載位置情報格納部と、HDD識別情報が予め格納されたHDD識別情報格納部とを備えている。ディスクアレイ制御装置は、制御側伝送機能設定部の他に、各HDDに対してデータ伝送を実行する制御側データ入出力部と、情報入力手段、パラメータ決定手段及びパラメータ出力手段を有する制御側伝送パラメータテーブル格納部と、HDD搭載位置情報格納部及びHDD識別情報格納部からHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を入力してRAID構築パラメータを設定するRAID構築パラメータテーブル格納部とを備えている。
【0020】
この具体例の動作を以下に説明する。あるHDDを接続装置の着脱機構に装着すると、接続装置のHDD搭載位置情報出力部から、HDDのHDD搭載位置情報格納部へ、HDD搭載位置情報が出力される。続いて、HDDは、HDD搭載位置情報格納部及びHDD識別情報格納部に格納されているHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を、ディスクアレイ制御装置の制御側伝送パラメータテーブル格納部及びRAID構築パラメータテーブル格納部へ出力する。続いて、制御側伝送パラメータテーブル格納部では、情報入力手段がHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を入力し、入力されたHDD搭載位置情報及びHDD識別情報をパラメータ決定手段がパラメータテーブルで照合することにより最適なデータ伝送パラメータを決定し、決定されたデータ伝送パラメータをパラメータ出力手段がディスク側伝送機能設定部及び制御側伝送機能設定部へ出力する。一方、RAID構築パラメータテーブル格納部では、HDD搭載位置情報格納部及びHDD識別情報格納部からHDD搭載位置情報及びHDD識別情報を入力してRAID構築パラメータを設定する。最後に、ディスク側伝送機能設定部及び制御側伝送機能設定部がディスク側データ入出力部及び制御側データ入出力部にデータ伝送パラメータを設定すると、HDDとディスクアレイ制御装置との間で、高速シリアル通信などによるデータ伝送が可能となる。
【0021】
本発明に係るHDDは、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置によって制御されるとともに、データ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有するものである。このディスク側伝送機能設定部は、ディスクアレイ制御装置から出力されたデータ伝送パラメータを設定する機能を有する点で、従来技術と異なる。そして、本発明に係るHDDは、当該HDDに関するHDD情報とデータ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルが予め格納されたディスク側伝送パラメータテーブル格納部を備えた、としてもよい。
【0022】
本発明に係るHDDを用いた本発明に係るディスクアレイ装置は、例えば次のように構成される。パラメータ決定手段は、ディスク側伝送パラメータテーブル格納部からパラメータテーブルを必要に応じて入力し、情報入力手段から入力したHDD情報を当該パラメータテーブルに照合することにより、データ伝送パラメータを決定する。この場合は、制御側伝送パラメータテーブル格納部に予め格納されていなかったパラメータテーブルを用いて、データ伝送パラメータを決定することができる。また、ディスク側伝送パラメータテーブル格納部のパラメータテーブルは、当該ハードディスクドライブのフォーマット時に書き込めば、別途書き込みの機会を設けなくて良いので、製造工程を簡略化できる。
【0023】
本発明に係るディスクアレイ制御方法は、本発明に係るディスクアレイ制御装置の各手段の動作を手順として捉えたものである。本発明に係るディスクアレイ制御プログラムは、本発明に係るディスクアレイ制御装置の各手段としてコンピュータを機能させるものである。なお、特許請求の範囲において、本発明に係るディスクアレイ制御方法及びプログラムは、本発明に係るディスクアレイ制御装置の請求項2に相当する請求項のみを記載したが、本発明に係るディスクアレイ制御装置の他の各請求項に相当する請求項を記載してもよい。
【0024】
換言すると、本発明は、ファイバチャネルなどの高速シリアルインタフェースを有するHDDを複数台搭載可能なディスクアレイ装置において、電源投入時及びHDD交換時に、HDD搭載位置情報とHDD識別情報とを自動的に検出し、これらの情報と予め格納しておいた伝送品質が最適となるパラメータとを照合し、その結果をHDD及びHDD制御PKG内通信LSIに自動的に送信かつ機能させ、その後データ転送を開始することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、HDDごとにHDD情報を入力し、そのHDD情報に基づいてHDDごとにデータ伝送パラメータを決定することにより、HDDごとに最適な伝送機能を設定できる。したがって、HDDの搭載位置や電気特性に影響されずに、安定した伝送品質を確保できるので、ディスクアレイ装置としての信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
特許請求の範囲における「ディスクアレイ制御装置」、「接続装置」、「HDD搭載位置情報出力部」、「ディスク側伝送機能設定部」、「ディスク側データ入出力部」、「制御側伝送機能設定部」、「制御側データ入出力部」、「制御側伝送パラメータテーブル格納部」、「ディスク側伝送パラメータテーブル格納部」については、以下の実施形態においてそれぞれ「HDD制御PKG3,4」、「バックボード2」、「スロット位置信号出力部21」、「HDD伝送機能設定部13」、「HDD−I/O部14」、「通信LSI−I/O部33」、「通信LSI伝送機能設定部32」、「伝送最適化パラメータテーブル格納部31,31’」、「伝送最適化パラメータテーブル格納部15」と具体化して言い換える。
【0027】
図1は、本発明に係るディスクアレイ装置の第一実施形態を示すブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0028】
本実施形態のディスクアレイ装置は、HDD1〜n、バックボード2、HDD制御PKG3,4等を備えている。HDD1〜nは、バックボード2を介して、HDD制御PKG3,4に機械的かつ電気的に接続されている。ここで、HDD1〜nの製造元及び搭載数は、ディスクアレイ装置の製品性によって任意であり、また、HDD1〜nの搭載位置も任意である。二枚のHDD制御PKG3,4が存在する理由は、ディスクアレイ装置の冗長性を向上させるためである。したがって、HDD制御PKG3,4はともに同一機能を有する。
【0029】
図2は、HDD1とバックボード2及びHDD制御PKG3との接続に着目した場合のブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。
【0030】
HDD1とHDD制御PKG3とは、バックボード2を介して接続されている。バックボード2は、HDD1を着脱自在とする着脱機構(図示せず)と、着脱機構に装着されたHDD1に対してスロット位置信号21aを出力するスロット位置信号出力部21とを備えている。
【0031】
HDD1は、データ伝送に関するデータ伝送パラメータ31bを設定可能なHDD伝送機能設定部13と、HDD制御PKG3に対してデータ伝送を実行するHDD−I/O部14と、スロット位置信号出力部21から出力されたスロット位置信号21aすなわちHDD搭載位置情報11aを格納するHDD搭載位置情報格納部11と、HDD識別情報12aが予め格納されたHDD識別情報格納部12とを備えている。HDD伝送機能設定部13は、HDD制御PKG3から出力されたデータ伝送パラメータ31bを設定する機能を有する点で、従来のHDD伝送機能設定部と異なる。
【0032】
HDD制御PKG3は、データ伝送に関するデータ伝送パラメータ31bを設定可能な通信LSI伝送機能設定部32と、HDD1に対してデータ伝送を実行する通信LSI−I/O部33と、伝送最適化パラメータテーブル格納部31と、HDD搭載位置情報格納部11及びHDD識別情報格納部12からHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを入力してRAID構築パラメータを設定するRAID構築パラメータテーブル格納部34とを備えている。
【0033】
図3は、HDD制御PKG3内の伝送最適化パラメータテーブル格納部31を示すブロック図である。以下、図2及び図3に基づき説明する。
【0034】
伝送最適化パラメータテーブル格納部31は、本発明の特徴である情報入力手段311、パラメータ決定手段312、パラメータ出力手段313及び伝送最適化パラメータテーブル31aを備えている。伝送最適化パラメータテーブル31aは、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aとデータ伝送パラメータ31bとの対応関係を示す。情報入力手段311は、HDD搭載位置情報格納部11及びHDD識別情報格納部12から、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを入力する。パラメータ決定手段312は、情報入力手段311から入力したHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル31aに照合することにより、データ伝送パラメータ31bを決定する。パラメータ出力手段313は、パラメータ決定手段312で決定されたデータ伝送パラメータ31bを、通信LSI−I/O部33及びHDD−I/O部14を介してHDD伝送機能設定部13へ出力するとともに、通信LSI伝送機能設定部32へ出力する。
【0035】
なお、情報入力手段311、パラメータ決定手段312及びパラメータ出力手段313は、ファームウェアによって実現されているが、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって実現することもできる。例えば、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み込むことによって、CPUが各手段として機能する、としてもよい。
【0036】
次に、図2に基づき更に詳しく説明する。HDD1は、HDD1がバックボード2のどのスロットに搭載されたかを示すHDD搭載位置情報格納部11と、HDD1の製造元やファームウェア・バージョンなどの情報が格納されたHDD識別情報格納部12と、HDD−I/O部14を制御するとともに伝送品質を最適化するためのプリエンファシス強度などの設定を行うHDD伝送機能設定部13とを備えている。バックボード2は、スロット毎にその位置を特定するためのスロット位置信号出力部21を備えている。
【0037】
HDD制御PKG3は、HDD搭載位置毎及びHDD毎に伝送品質を最適化するためのパラメータを格納した伝送最適化パラメータテーブル格納部31と、通信LSI−I/O部33を制御するとともに伝送品質を最適化するためのプリエンファシス強度などを設定する通信LSI伝送機能設定部32と、RAIDを構築するためのRAID構築パラメータテーブル格納部34とを備えている。
【0038】
HDD1のインタフェースにおける電気特性は、一般的に製造元やファームウェア・バージョン毎に異なる。そのため、HDD1のインタフェースにおける電気特性の把握は、HDD識別情報格納部12に格納された情報のうち、製造元及びファームウェア・バージョンを参照することで可能となる。
【0039】
図4は、伝送最適化パラメータテーブル格納部31に格納されている伝送最適化パラメータテーブル31aの一例を示す図表である。以下、図2乃至図4に基づき説明する。
【0040】
HDD搭載位置情報11aは、HDD搭載位置情報格納部11に格納されている情報である。HDD識別情報12aは、HDD識別情報格納部12に格納されている情報である。HDD伝送機能13aは、HDD伝送機能設定部13で設定されるデータ伝送パラメータ31bである。通信LSI伝送機能32aは、通信LSI伝送機能設定部32で設定されるデータ伝送パラメータ31bである。
【0041】
伝送最適化パラメータテーブル31aは、HDD搭載位置情報11aとしてバックボード2の搭載スロット毎に、かつ、HDD識別情報12aとしてHDD型番(製造元も含まれる)及びそのファームウェア・バージョン毎に、かつ、ディスクアレイ装置情報34aとして装置型番及びそのファームウェア・バージョン毎に、HDD伝送機能13a及び通信LSI伝送機能32aのプリエンファシス強度、出力振幅、入力インピーダンス、イコライザ強度などの伝送波形を整形できるデータ伝送パラメータ31bを格納している。また、これらのデータ伝送パラメータ31bは、予め実験やシミュレーションによって網羅的に設定する必要がある。
【0042】
なお、バックボード2の着脱機構及びRAID構築パラメータテーブル格納部34については、本発明に直接関係しないため、説明を省略する。
【0043】
図5は、第一実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。以下、図2乃至図5に基づき説明する。
【0044】
まず、電源投入後(ステップ101)、HDD1がバックボード2に既に接続されている場合又は追加で接続された場合(ステップ109)、HDD1はバックボード2からスロット位置信号21aを検出する(ステップ102)。一方、HDD制御PKG3は、HDD搭載位置情報11aを自動的に検出することにより(ステップ103)、HDD1がどのスロットに搭載されたかを認識する。そして、HDD制御PKG3は、HDD識別情報12aも自動的に参照することにより(ステップ104)、HDD1の製造元やファームウェア・バージョンなどを認識する。更に、HDD制御PKG3は、HDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル31aと照合して(ステップ105)、合致するデータ伝送パラメータ31bをHDD伝送機能設定部13及び通信LSI伝送機能設定部32へ自動的に送信することにより、それらのパラメータを機能させる。(ステップ106,107)。その後、HDD−I/O部14と通信LSI−I/O部33との間のデータ転送を開始する(ステップ108)。
【0045】
このように、電源投入時及びHDD交換時に、HDD搭載位置情報11aとHDD識別情報12aとを自動的に検出し、予め格納しておいた伝送品質が最適となるデータ伝送パラメータ31bと照合し、その結果をHDD1内のHDD伝送機能設定部13及びHDD制御PKG3内の通信LSI−I/O部33に自動的に送信・機能させてから、データ転送を開始することにより、伝送品質を自律的に最適化することができ、ディスクアレイ装置の信頼性を向上させることが可能である。
【0046】
換言すると、本実施形態によれば以下の効果を奏する。(1).HDDの搭載位置とHDDの電気特性とに最適な伝送パラメータを設定及び機能させることにより、安定した伝送品質を確保できるので、ディスクアレイ装置としての信頼性を向上できる。(2).HDDの搭載位置とHDDの電気特性とに最適な伝送パラメータを自動的に設定及び機能させることにより、オンライン下におけるHDD交換においても自律的に最適伝送品質を継続できる。(3).HDDの搭載位置とHDDの電気特性とに最適な伝送パラメータを設定及び機能させることにより、HDDのマルチベンダ化を実現できる。
【0047】
図6は、本発明に係るディスクアレイ装置の第二実施形態における、HDD1’とバックボード2及びHDD制御PKG3との接続に着目した場合のブロック図である。以下、この図面に基づき説明する。ただし、図2と同一部分は同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0048】
本実施形態におけるHDD1’は、HDD1’に関するHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aとデータ伝送パラメータ31bとの対応関係を示す伝送最適化パラメータテーブル15a(図4)が予め格納された伝送最適化パラメータテーブル格納部15を備えたことを特徴とする。
【0049】
一方、HDD制御PKG3の伝送最適化パラメータテーブル格納部31’では、パラメータ決定手段312(図3)が次のように動作する。伝送最適化パラメータテーブル格納部15から伝送最適化パラメータテーブル15aを必要に応じて入力し、別途入力したHDD搭載位置情報11a及びHDD識別情報12aを伝送最適化パラメータテーブル15aに照合することにより、データ伝送パラメータ31bを決定する。
【0050】
ここで、伝送最適化パラメータテーブル格納部31’の伝送最適化パラメータテーブル31aに、新たに実装したHDD1’に対応するデータが無かったとする。このとき、伝送最適化パラメータテーブル格納部31’は、伝送最適化パラメータテーブル格納部15からHDD−IO部14及び通信LSI−I/O部33を介して伝送最適化パラメータテーブル15aを入力し、これを伝送最適化パラメータテーブル31aに上書きする。
【0051】
図7は、第二実施形態のディスクアレイ装置におけるHDD1’に伝送最適化パラメータテーブル15aを書き込む動作を示すフローチャートである。以下、図6及び図7に基づき説明する。
【0052】
まず、新規にHDD1’を購入する(ステップ200)。続いて、HDD1’のフォーマットを行う(ステップ201)。このステップ201では、1セクタあたり512バイトに8バイト分のCRC(Cyclic Redundancy Check)を付加して520バイトへ変換する。このとき、HDD1’に最新の伝送最適化パラメータテーブル15aを書き込む(ステップ202)。このように、HDD1’のフォーマット時に伝送最適化パラメータテーブル15aも書き込めば、別途書き込みの機会を設けなくて良いので、製造工程を簡略化できる。
【0053】
図8は、第二実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。以下、図6乃至図8に基づき説明する。ただし、図8において図5と同じ部分は同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
まず、HDD識別情報12aが伝送最適化パラメータテーブル31aに格納されているか否かを判断する(ステップ110)。格納されていなければ、HDD1’に格納されている伝送最適化パラメータテーブル15aを、HDD制御PKG3の伝送最適化パラメータテーブル31aに上書きする(ステップ111)。その他の動作は、第一実施形態と同じである。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、伝送最適化パラメータテーブル格納部31’に予め格納されていなかったパラメータテーブルを用いて、データ伝送パラメータ31bを決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ファイバチャネル(Fibre Channel)、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)、SAS(Serial
Attached SCSI)などの高速シリアルインタフェースを有したHDDを、バックボードやケーブルを介して複数台搭載することができるディスクアレイ装置に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るディスクアレイ装置の第一実施形態を示すブロック図である。
【図2】第一実施形態のディスクアレイ装置について、HDDとバックボード及びHDD制御PKGとの接続に着目した場合のブロック図である。
【図3】第一実施形態のディスクアレイ装置における伝送最適化パラメータテーブル格納部を示すブロック図である。
【図4】第一実施形態のディスクアレイ装置における伝送最適化パラメータテーブル格納部に格納されている伝送最適化パラメータテーブルの一例を示す図表である。
【図5】第一実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るディスクアレイ装置の第二実施形態における、HDDとバックボード及びHDD制御PKGとの接続に着目した場合のブロック図である。
【図7】第二実施形態のディスクアレイ装置におけるHDDに伝送最適化パラメータテーブルを書き込む動作を示すフローチャートである。
【図8】第二実施形態のディスクアレイ装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】従来のディスクアレイ装置について、HDDとバックボード及びHDD制御PKGとの接続に着目した場合のブロック図である。
【図10】HDD種別による波形の違いを示す波形図である。
【図11】HDD搭載位置による波形の違いを示す波形図である。
【図12】伝送速度による波形の違いを示す波形図である。
【図13】プリエンファシスによる波形の違いを示す波形図である。
【符号の説明】
【0058】
1〜n,1’ HDD
11 HDD搭載位置情報格納部
12 HDD識別情報格納部
13 HDD伝送機能設定部(ディスク側伝送機能設定部)
14 HDD−I/O部(ディスク側データ入出力部)
15 伝送最適化パラメータテーブル格納部(ディスク側伝送パラメータテーブル格納部)
2 バックボード(接続装置)
21 スロット位置信号出力部(HDD搭載位置情報出力部)
3,4 HDD制御PKG(ディスクアレイ制御装置)
31,31’ 伝送最適化パラメータテーブル格納部(制御側伝送パラメータテーブル格納部)
311 情報入力手段
312 パラメータ決定手段
313 パラメータ出力手段
31a 伝送最適化パラメータテーブル
32 通信LSI伝送機能設定部(制御側伝送機能設定部)
33 LSI−I/O部(制御側データ入出力部)
34 RAID構築パラメータテーブル格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハードディスクドライブを制御するディスクアレイ制御装置において、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を入力し、このハードディスクドライブ情報に基づき、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定する機能、
を備えたことを特徴とするディスクアレイ制御装置。
【請求項2】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のハードディスクドライブを制御するとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置において、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を、当該各ハードディスクドライブから入力する情報入力手段と、
この情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報に基づいて、前記データ伝送パラメータを決定するパラメータ決定手段と、
このパラメータ決定手段で決定されたデータ伝送パラメータを、前記ディスク側伝送機能設定部及び前記制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力するパラメータ出力手段と、
を備えたことを特徴とするディスクアレイ制御装置。
【請求項3】
前記パラメータ決定手段は、前記ハードディスクドライブ情報と前記データ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルに、前記情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報を照合することにより、前記データ伝送パラメータを決定する、
請求項2記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項4】
前記ハードディスクドライブ情報は、前記各ハードディスクドライブの識別情報及び搭載位置情報の少なくとも一方を含む、
請求項2又は3記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項5】
前記データ伝送パラメータは、出力振幅、プリエンファシス強度、入力インピーダンス及びイコライザ強度の少なくとも一つを含む、
請求項2乃至4のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項6】
当該ディスクアレイ制御装置の電源投入時又は前記ハードディスクドライブの交換時若しくは追加時に、
前記情報入力手段が前記ハードディスクドライブ情報を入力し、前記パラメータ決定手段が前記データ伝送パラメータを決定し、前記パラメータ出力手段が前記データ伝送パラメータを出力する、
請求項2乃至5のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項7】
前記データ伝送は高速シリアル通信によって行われる、
請求項2乃至6のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置と、
前記複数のハードディスクドライブと、
を備えたディスクアレイ装置。
【請求項9】
前記複数のハードディスクドライブと前記ディスクアレイ制御装置とは接続装置を介して接続され、
この接続装置は、前記複数のハードディスクドライブを着脱自在とする着脱機構と、この着脱機構に装着された前記各ハードディスクドライブに対してHDD搭載位置情報を出力するHDD搭載位置情報出力部とを備え、
前記各ハードディスクドライブは、前記ディスク側伝送機能設定部の他に、前記ディスクアレイ制御装置に対してデータ伝送を実行するディスク側データ入出力部と、前記HDD搭載位置情報出力部から出力されたHDD搭載位置情報を格納するHDD搭載位置情報格納部と、HDD識別情報が予め格納されたHDD識別情報格納部とを備え、
前記ディスクアレイ制御装置は、前記制御側伝送機能設定部の他に、前記各ハードディスクドライブに対してデータ伝送を実行する制御側データ入出力部と、前記情報入力手段、前記パラメータ決定手段及び前記パラメータ出力手段を有する制御側伝送パラメータテーブル格納部と、前記HDD搭載位置情報格納部及び前記HDD識別情報格納部から前記HDD搭載位置情報及び前記HDD識別情報を入力してRAID構築パラメータを設定するRAID構築パラメータテーブル格納部とを備えた、
請求項8記載のディスクアレイ装置。
【請求項10】
前記各ハードディスクドライブは、前記ハードディスクドライブ情報と前記データ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルが予め格納されたディスク側伝送パラメータテーブル格納部を更に備え、
前記パラメータ決定手段は、前記ディスク側伝送パラメータテーブル格納部からパラメータテーブルを必要に応じて入力し、前記情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報を当該パラメータテーブルに照合することにより、前記データ伝送パラメータを決定する、
請求項9記載のディスクアレイ装置。
【請求項11】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置によって制御されるとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有するハードディスクドライブにおいて、
前記ディスク側伝送機能設定部は、前記ディスクアレイ制御装置から出力されたデータ伝送パラメータを設定する機能を有する、
ことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項12】
当該ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報と前記データ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルが予め格納されたディスク側伝送パラメータテーブル格納部を備えた、
請求項11記載のハードディスクドライブ。
【請求項13】
前記パラメータテーブルは、当該ハードディスクドライブのフォーマット時に書き込まれた、
請求項12記載のハードディスクドライブ。
【請求項14】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のハードディスクドライブを制御するとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置、
このようなディスクアレイ制御装置に用いられるディスクアレイ制御方法において、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を、当該各ハードディスクドライブから入力し、
この入力したハードディスクドライブ情報に基づいて、前記データ伝送パラメータを決定し、
この決定されたデータ伝送パラメータを、前記ディスク側伝送機能設定部及び前記制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力する、
ことを特徴とするディスクアレイ制御方法。
【請求項15】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のハードディスクドライブを制御するとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置、
このようなディスクアレイ制御装置に用いられるディスクアレイ制御プログラムにおいて、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を、当該各ハードディスクドライブから入力する情報入力手段、
この情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報に基づいて、前記データ伝送パラメータを決定するパラメータ決定手段、並びに、
このパラメータ決定手段で決定されたデータ伝送パラメータを、前記ディスク側伝送機能設定部及び前記制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力するパラメータ出力手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするディスクアレイ制御プログラム。
【請求項1】
複数のハードディスクドライブを制御するディスクアレイ制御装置において、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を入力し、このハードディスクドライブ情報に基づき、データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定する機能、
を備えたことを特徴とするディスクアレイ制御装置。
【請求項2】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のハードディスクドライブを制御するとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置において、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を、当該各ハードディスクドライブから入力する情報入力手段と、
この情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報に基づいて、前記データ伝送パラメータを決定するパラメータ決定手段と、
このパラメータ決定手段で決定されたデータ伝送パラメータを、前記ディスク側伝送機能設定部及び前記制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力するパラメータ出力手段と、
を備えたことを特徴とするディスクアレイ制御装置。
【請求項3】
前記パラメータ決定手段は、前記ハードディスクドライブ情報と前記データ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルに、前記情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報を照合することにより、前記データ伝送パラメータを決定する、
請求項2記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項4】
前記ハードディスクドライブ情報は、前記各ハードディスクドライブの識別情報及び搭載位置情報の少なくとも一方を含む、
請求項2又は3記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項5】
前記データ伝送パラメータは、出力振幅、プリエンファシス強度、入力インピーダンス及びイコライザ強度の少なくとも一つを含む、
請求項2乃至4のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項6】
当該ディスクアレイ制御装置の電源投入時又は前記ハードディスクドライブの交換時若しくは追加時に、
前記情報入力手段が前記ハードディスクドライブ情報を入力し、前記パラメータ決定手段が前記データ伝送パラメータを決定し、前記パラメータ出力手段が前記データ伝送パラメータを出力する、
請求項2乃至5のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項7】
前記データ伝送は高速シリアル通信によって行われる、
請求項2乃至6のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載のディスクアレイ制御装置と、
前記複数のハードディスクドライブと、
を備えたディスクアレイ装置。
【請求項9】
前記複数のハードディスクドライブと前記ディスクアレイ制御装置とは接続装置を介して接続され、
この接続装置は、前記複数のハードディスクドライブを着脱自在とする着脱機構と、この着脱機構に装着された前記各ハードディスクドライブに対してHDD搭載位置情報を出力するHDD搭載位置情報出力部とを備え、
前記各ハードディスクドライブは、前記ディスク側伝送機能設定部の他に、前記ディスクアレイ制御装置に対してデータ伝送を実行するディスク側データ入出力部と、前記HDD搭載位置情報出力部から出力されたHDD搭載位置情報を格納するHDD搭載位置情報格納部と、HDD識別情報が予め格納されたHDD識別情報格納部とを備え、
前記ディスクアレイ制御装置は、前記制御側伝送機能設定部の他に、前記各ハードディスクドライブに対してデータ伝送を実行する制御側データ入出力部と、前記情報入力手段、前記パラメータ決定手段及び前記パラメータ出力手段を有する制御側伝送パラメータテーブル格納部と、前記HDD搭載位置情報格納部及び前記HDD識別情報格納部から前記HDD搭載位置情報及び前記HDD識別情報を入力してRAID構築パラメータを設定するRAID構築パラメータテーブル格納部とを備えた、
請求項8記載のディスクアレイ装置。
【請求項10】
前記各ハードディスクドライブは、前記ハードディスクドライブ情報と前記データ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルが予め格納されたディスク側伝送パラメータテーブル格納部を更に備え、
前記パラメータ決定手段は、前記ディスク側伝送パラメータテーブル格納部からパラメータテーブルを必要に応じて入力し、前記情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報を当該パラメータテーブルに照合することにより、前記データ伝送パラメータを決定する、
請求項9記載のディスクアレイ装置。
【請求項11】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置によって制御されるとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有するハードディスクドライブにおいて、
前記ディスク側伝送機能設定部は、前記ディスクアレイ制御装置から出力されたデータ伝送パラメータを設定する機能を有する、
ことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項12】
当該ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報と前記データ伝送パラメータとの対応関係を示すパラメータテーブルが予め格納されたディスク側伝送パラメータテーブル格納部を備えた、
請求項11記載のハードディスクドライブ。
【請求項13】
前記パラメータテーブルは、当該ハードディスクドライブのフォーマット時に書き込まれた、
請求項12記載のハードディスクドライブ。
【請求項14】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のハードディスクドライブを制御するとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置、
このようなディスクアレイ制御装置に用いられるディスクアレイ制御方法において、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を、当該各ハードディスクドライブから入力し、
この入力したハードディスクドライブ情報に基づいて、前記データ伝送パラメータを決定し、
この決定されたデータ伝送パラメータを、前記ディスク側伝送機能設定部及び前記制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力する、
ことを特徴とするディスクアレイ制御方法。
【請求項15】
データ伝送に関するデータ伝送パラメータを設定可能なディスク側伝送機能設定部を有する複数のハードディスクドライブを制御するとともに、前記データ伝送パラメータを設定可能な制御側伝送機能設定部を有するディスクアレイ制御装置、
このようなディスクアレイ制御装置に用いられるディスクアレイ制御プログラムにおいて、
前記各ハードディスクドライブに関するハードディスクドライブ情報を、当該各ハードディスクドライブから入力する情報入力手段、
この情報入力手段から入力したハードディスクドライブ情報に基づいて、前記データ伝送パラメータを決定するパラメータ決定手段、並びに、
このパラメータ決定手段で決定されたデータ伝送パラメータを、前記ディスク側伝送機能設定部及び前記制御側伝送機能設定部の少なくとも一方に出力するパラメータ出力手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするディスクアレイ制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−221271(P2006−221271A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32011(P2005−32011)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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